2019/05/13

『合格にいちばん近い予備校 東京アカデミー』 前書きと目次

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合格にいちばん近い予備校 東京アカデミー
~合格の決め手は『生講義』
 圧倒的な合格実績を誇るオンリーワンの就職予備校~


著者:鶴蒔靖夫
定価:本体1800円+税
ISBN978-4-87218-455-6
初版発行:2019年5月18日




はじめに

景気の回復基調と深刻な人手不足を背景に、2018年4月の有効求人倍率は1.59倍、正社員の有効求人倍率も1.09倍と高水準を維持し、大学生の就職戦線においても近年は学生優位の超売り手市場が続いている。

これまでも企業は、景気がよいときは攻めの経営で採用枠を増やし、景気が悪くなると採用枠を絞るため、学生の就職は、景気に連動して明暗が繰り返されてきた。バブル経済の崩壊やリーマンショックの影響により景気が低迷した時期には、多くの企業が採用を控えたため学生の就職活動は苦戦を強いられ、「就職氷河期」とも言われたものだ。

せっかく大学を卒業しても、そのときの景気が悪ければ、希望する企業への就職は難しくなる。そのうえ、たとえどこかに就職できたとしても、その後の社会状況によっては企業の倒産やリストラという憂き目にもあいかねない。日本はバブル経済の崩壊後、景気低迷期が長らく続き、その間の就職環境はずっと、そのような不安定な状態にあった。

その結果、若者の持つ就職への意識は安定重視に向かった。安定職種の代表格である公務員や教員の人気が高まると同時に、確かな技術や知識に裏打ちされた資格の重要性が見直され、若者に限らず、さまざまな資格取得をめざす人々が急増した。資格取得をサポートする専門学校や予備校には受講生が殺到し、資格取得ブームが到来したのだ。

ひと口に「資格」といっても、国家資格、公的資格、民間資格の3種類があり、その内容も多岐にわたる。特定の職に就くためには取得が必須の資格もあれば、必須ではないが持っていれば就職に有利な資格もある。そうした資格を企業へアピールするための「武器」ととらえ、多くの学生が採用内定を求め、厳しい就職戦線へと挑んだ。

資格を武器に、よりよい企業への就職をめざす者がいる一方で、取得した資格を活かして自ら開業することをめざす者たちもいる。かつて、「高度経済成長期」と言われた1950年代後半から1970年代前半にかけて、弁護士や司法書士、公認会計士、税理士、不動産鑑定士、社会保険労務士などといった専門職の資格を取得して、それを武器に独立開業をめざすための、資格取得ブームが起きたことがある。会社勤めと違い、独立開業すれば定年もないし、資格があれば一生食いっぱぐれることもないと思われていた。

しかし現実には、資格を取得したからといって必ずしも食べていけるとは限らない。顧客がいなければ、苦労して取得した資格も宝の持ちぐされになってしまう。つまり、「職を得るため」という観点では、資格ならどんなものでも役に立つというわけではなく、職につながりやすい資格と、そうではない資格があるのだ。

たとえば、看護師をはじめとする医療系の資格などは、公共性が高いうえに、超高齢社会にあってはますます必要とされるものであるため、「安定した就職」に結びつきやすい。

しかし「安定性」という点では、やはり公務員や教員といった公益性や公共性の高い仕事に勝るものはないだろう。それを反映してか、空前の売り手市場と言われる昨今の就職戦線においても、公務員の人気には根強いものがある。少子化によりひとりっ子が増えていることもあって、最近の若者は地元志向が強まっており、とりわけ地方公務員の人気が高まっている。

また、AI(人工知能)の進化により、多くの仕事が機械に奪われ、職業によっては10年後、20年後には消えてなくなるのではないかと言われているものもある。その点でも、公務員や教員、看護師などといった公共性・公益性の高い仕事はなくなる可能性が低く、安定性は折り紙つきだと言えるだろう。

そうした状況下において、教員を含む公務員系の採用試験や看護師を中心とした医療・福祉系の国家試験などの受験対策専門予備校として屈指の合格実績を誇るのが、本書で紹介する株式会社東京アカデミー(本社:大阪市、理事長兼代表取締役社長:佐川泰宏氏)である。

東京アカデミーの創業は1967年と、すでに半世紀以上の歴史を有する。現理事長である佐川泰宏氏の父の先代理事長が、東京、大阪、名古屋の3カ所で、司法試験、司法書士、不動産鑑定士、社会保険労務士、宅地建物取引主任者(現・宅地建物取引士)の資格試験対策講座を開講したのが始まりだ。その後、公認会計士、税理士、中小企業診断士、簿記、行政書士など、講座の種類を増やしていった。

しかし、前述のように当時は資格取得ブームの時期であり、同業他社の参入が相次いで、資格試験対策のための専門学校や予備校が、全国各地に続々と開設されていった。そのため1980年代のなかばには、こうした資格取得の市場はすでに飽和状態になっていた。

そうした風潮をいち早く感じとった先代理事長は、高校生を対象とした試験対策を開拓しようと、1985年に、高校卒業程度の公務員採用試験と看護学校受験のための対策講座をスタートさせた。これを機に東京アカデミーは、資格試験対策予備校から、公共性・公益性が高く社会貢献につながる仕事に就く人をサポートするための就職試験対策予備校へと、徐々に事業の中身が切り替わっていった。

「『受講生からいただいた受講料は必ず還元しなさい。親切にしなさい』というのが先代理事長の教えでした。受講料の還元とは、受講生を各種試験に合格させることにほかなりません。そして『合格者をたくさん輩出して地域社会に貢献してもらうことで、弊社も同時に社会貢献していく』という先代の教えは、いまでも弊社の基本的理念として、脈々と受け継がれています」

と、現理事長の佐川泰宏氏は語る。

1988年に先代理事長から経営を引き継いだ佐川氏は、この理念のもとで全国展開に踏み切り、現在は北海道から鹿児島まで全国32都市に校舎を擁するまでに拡大させている。その間、公務員試験対策講座を拡張するべく、高校卒業程度だけでなく、大学卒業程度の公務員試験対策講座や教員採用試験対策講座も創設した。地方公務員や教員の試験は自治体によって出題傾向が異なるため、全国32都市に展開する校舎以外にも43拠点で各種の試験対策講座を開講し、地元に特化した情報をもとに、公務員や教員をめざす人たちの採用試験合格を全面的に支援している。

一方、医療系の講座も、受講生を看護医療系学校入学へと導くだけでなく、1996年からは同業他社に先駆けて看護師国家試験対策講座を開講し、入学から国家試験合格、さらには就職までをトータルでサポートできる体制を整えた。いまでは看護師国家試験対策に強い予備校として定評を得ており、全国32校の東京アカデミーのほか、多くの看護医療系大学や専門学校、高等学校にも講師を派遣して、看護師国家試験対策の学校内講座を実施している。

東京アカデミーでは現在、国家公務員、地方公務員、教員の採用試験、看護医療系学校の入学試験、看護師、管理栄養士、社会福祉士、介護福祉士、ケアマネジャーなどの資格試験の、それぞれの対策のための通学講座および通信講座、学内講座、模擬試験を企画・運営しており、受講生の総数は年間約27万人に達するという。

これほど多くの人たちから東京アカデミーが選ばれる最大の理由は、なんといっても合格実績の高さにある。ちなみに2018年度の合格者数は、大卒程度公務員が6226名、高卒程度公務員が3816名、教員採用が6010名、看護師国家試験が2万3606名であり、特に看護師国家試験においては、合格者の実に5人に2人以上が東京アカデミーの講座の受講生だという。

このように高い合格実績をあげられるのは、「三位一体で最高の結果を」をスローガンに、講師、受講生、教務スタッフの3者が力を合わせて「合格」というひとつの目標に向かって突き進んでいるからだ。

また、合格実績のほかに、生講義の実施や、きめ細かな受講生のフォロー、オリジナルテキストなどの質の高さも、東京アカデミーが選ばれる理由としてあげられる。
昨今はDVDやインターネットを活用した講義を行う予備校も増えているようだが、東京アカデミーでは100%生講義にこだわっている。

「生講義へのこだわりが、弊社が運営する講座の特徴のひとつであり、大きな強みにもなっています。双方向のコミュニケーションを大事にする生講義であれば、受講生の理解度に合わせて講義の速度を臨機応変に変えたり、その場で質疑応答ができたりもしますからね。受講生が理解度をどんどん深めていけるという点で、生講義に勝るものはありませんし、直近の時事ニュースも瞬時に講義に盛り込めます。これが合格者の増加にもつながっているのだと思います」

と、佐川氏は絶対的な自信を見せる。

また、東京アカデミーは試験情報の分析力が優れており、カリキュラムも最新の試験傾向を意識して戦略的に組まれているため、学習の成果がむだなく合格に結びつくというメリットもある。公務員試験、教員採用試験、看護師国家試験など、それぞれの試験対策の中身については本編で詳述するが、東京アカデミーは、それらの試験対策予備校のパイオニアであり、リーディングカンパニーでもあると言えるのだ。

本書は、公務員系と医療・福祉系を軸に、公共性や公益性の高い仕事に就くための各種試験対策を徹底サポートする東京アカデミーについて、そこで実践される指導と、それに付随するさまざまな事業活動を紹介しつつ、同業他社の追随を許さない圧倒的な強さの秘密に迫るものである。人生の基盤となる「仕事」のあり方に思いを致す多くの若者や社会人にとって、社会貢献度の高い職業に就くことの意義や、そのための予備校の役割を理解するうえで、本書がなんらかの指針となれば幸いである。

なお、本文中の敬称は略させていただいたことを、あらかじめお断りしておく。

2019年4月  鶴蒔靖夫




はじめに


第1章 資格取得から就職サポートへ
~変わりつつある専門予備校の役割~

早く仕事に就くことを軽んじてきた戦後の日本
憂慮すべきは若者の学力低下
社会の要請に応え実学重視の大学も
大学の就職予備校化
バブル崩壊で再来した「資格の時代」
若者の就職意識は安定重視の方向へ
職業選択のキーワードは「3つのライ」
就職は安定志向に加え地元志向が強まる
地方公務員が地方創生のキーマンに
教員志願者減を背景に年齢制限の引き上げも
超高齢社会でニーズが高まる医療・福祉の仕事
「早く、安く、確実に合格」をめざす専門予備校


第2章 圧倒的な合格率で選ばれる東京アカデミー

公務員資格と看護師資格を中心に多様な講座を運営
100%生講義へのこだわり
講師の見極めは、合格に導けるか否か
講師、受講生、教務スタッフの三位一体で合格をめざす
高い合格率へと導く緻密な試験傾向分析
出題傾向に合わせたオリジナルテキスト
受験生に大人気の試験対策教材
受験者数ナンバーワンを誇る各種模擬試験
就職試験で必須の人物(面接)試験対策
何回でも制限なしで受けられる模擬面接


第3章 全国の自治体を網羅する公務員・教員採用試験対策

公務員試験の競争率は低下傾向
地方公務員では人物本位の採用試験も
現場を知るための「官庁・自治体説明会」を開催
目的意識の確立に力を注ぐ
受講生14名でスタートした教員採用試験対策講座
非正規教員の受験者が多い教員採用試験
自治体別の試験傾向に沿ったカリキュラム
試験の内容は受験者の負担を軽くする傾向に
徹底した市場調査で他社との差別化を図る
得意を伸ばす試験テクニック
講師に求められる「ティーチャー」と「トレーナー」の役割
最終合格までを徹底サポート
新学習指導要領にもいち早く対応


第4章 高い信頼と実績を誇る看護師国家試験対策

看護師国家試験対策は学校内講座からスタート
学校別合格率の公表が「神風」となってニーズが急増
本試験の翌日に「解答速報会」を実施
受講生動員の国家試験問題復元プロジェクトを結成
看護師国家試験では毎年1割が落とされる
基礎の基礎を身につけるDランク講座
受験生の70%が正解した問題のみを集めた『でた!でた問』
国家試験の試験地で前日講習「ザ・ファイナル」を開催
多くの看護師を輩出することで看護界に貢献
必修問題の採点除外措置の是非
新設ラッシュが続く看護系大学


第5章 人づくりから国づくりを支える東京アカデミー

企業理念を表す「感」「益」「献」
4項目からなる事業モットーを明示
学科を横断した総合的な視点を持つ
会社組織で受講生一人ひとりをサポート
社員教育や働き方改革にも力を注ぐ
さまざまなかたちでの教育サービスを提供
外国人看護師の輩出にも寄与
社員人材の育成
昭和、平成、令和と、時代に順応した予備校の創造をめざして

《東京アカデミー アクセスMAP》


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『専門医が集まる大型クリニック』 前書きと目次

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専門医が集まる大型クリニック ~医療法人社団めぐみ会の挑戦~

 

 

著者:鶴蒔靖夫
定価:本体1800円+税
ISBN978-4-87218-454-9
初版発行:2019年5月18日

 

 


 

 

はじめに

 

日本社会はいまや「人生100年時代」とまで言われるほどの超高齢化・長寿化に直面している。日本人の平均寿命は、女性は87.26歳、男性は81.099歳となり、ともに過去最高を更新している(2017年数値。厚生労働省「平成29年簡易生命表の概況」)。戦後まもない1947年の平均寿命は、女性は53.96歳、男性は50.06歳だったから、70年間で30歳以上も延びたことになる。しかも、近年の健康意識の高まりや医療水準の向上により、この先も平均寿命は延び続けると予想され、「人生100年時代」が実感として迫ってくる。

 

古来、「長寿」はその言葉が示すとおり「寿ぐ」こととされてきたが、現代では、手放しで喜んでばかりもいられない状況になっている。というのも、たいていの人は、年齢を重ねるにつれて身体機能が低下し、なんらかの病気を発症して医療機関にかかる頻度が増す。そのため、高齢化の進展にともない、国民医療費が増大の一途をたどっているからだ。

 

2017年度の概算医療費は42兆2000億円で、前年度に比べて9000億円の増加である(厚生労働省「平成29年度 医療費の動向」)。労災や全額自己負担などの費用が含まれていない速報値である概算医療費は、確定値である国民医療費の約98%に相当するというから、確定値は43兆円を突破することになる。これは国の一般会計の半分近くに匹敵する膨大な数字である。

 

国民医療費の増大は、国の財政負担にも重くのしかかる。そのため国としても、医療費の抑制を図ろうと、長期入院の是正や生活習慣病への対策など、さまざまな策を講じてきたものの、いまだ十分とは言えないのが現状だ。

 

2025年には団塊の世代がすべて75歳以上となり、後期高齢者人口が増大することから、医療、看護、介護のニーズがいちだんと高まることが予想されている。しかし日本の医療現場では、すでに医師不足が深刻化しており、看護や介護の人材も不足している状況だ。

 

そこで国は打開策として、これからの超高齢社会を地域全体で支えあう、「地域包括ケアシステム」の構築を推進している。これは、住み慣れた地域で高齢者が自分らしい暮らしを人生の最期まで続けられるように、住まい、医療、介護、予防、生活支援のサービスを一体的に提供するというもので、その具体策のひとつとして、地域住民のプライマリ・ケアを行う「かかりつけ医」の整備と定着がある。

 

「かかりつけ医」とは、平たく言えば「町医者」のことだ。患者の住まいから身近な距離に存在し、病気や健康に関して、いつでもなんでも気軽に相談できる医師をさす。

 

とはいえ、日本では総合診療を行える診療所(クリニック)が少ないことに加え、その多くは在籍する医師が1名程度の小規模な診療所であり、提供できる医療サービスには自ずと限界がある。患者としても、最近は医療情報をインターネットなどを通じて簡単に入手できることもあり、診療所の医師が行う診断や治療に対して不安や物足りなさを覚えることもあるだろう。それに、一般的に大病院のほうが診療所よりも高レベルの医療サービスを受けられると思っている人も多いため、具合が悪くなると近所の診療所を素通りして大病院に行こうとする人は少なくない。

 

「医療の世界を小売業にたとえるなら、診療所は個人商店、病院は百貨店と位置づけられるでしょう。小売業の世界では、個人商店と百貨店のほかにも、時代のニーズに対応して大型量販店やセレクトショップ、コンビニエンスストアなど、さまざまな業態ができました。一方、医療の世界では、それなりの規模がある病院と小規模な診療所という主に2つの形態のみというかたちが長く続いています。しかし医療においても、身近さと専門性の高さを兼ね備えた、病院と診療所の中間とも言うべき医療機関が必要ではないでしょうか。それが、私たちが展開している大型クリニックなのです」

 

こう語るのは、本書で紹介する医療法人社団めぐみ会(本部:東京都多摩市)理事長の田村豊氏である。

 

田村氏は、大学を卒業後、大手石油会社での勤務を経て、医師へ転身したという異色の経歴の持ち主だ。1994年に37歳でめぐみ会の原点となる「田村クリニック」を多摩市に開業して以来、地域医療の新しいモデルづくりをめざし、「信頼できる医療をもっと身近に」の理念のもと、都内に複数の大型クリニックを展開してきた。めぐみ会が運営する大型クリニックは、多摩市を中心に八王子市、品川区、杉並区、目黒区など都内5カ所で10施設を数え、在籍する医師の数は非常勤を含めると約160名、コメディカルや事務スタッフを合わせた従業員数は500名を超えており(2019年3月現在)、めぐみ会全体の規模としては300床の病院に匹敵する。

 

めぐみ会の大型クリニックは、複数の専門医が集まって、それぞれのクリニック内に診察室を持って診療するというスタイルが特徴となっている。いわば、大病院の専門外来が、そのまま身近な診療所内に展開されているようなイメージだ。診療科目は施設によって異なるが、全体では内科、消化器内科、循環器内科、泌尿器科、脳神経外科、小児科、皮膚科など実に19科目に及び、糖尿病外来、肝臓外来、乳腺外来など18の専門外来を設け、それぞれ専門医が診療にあたっている。

 

1人の医師が複数の専門分野を持つことは難しくても、専門分野が違う院内の医師どうしが連携しあうことでチームとしてオールマイティな総合診療が可能となる。めぐみ会では、こうした診療体制により、大病院に負けない専門性の高い診療レベルを維持し、なおかつ患者目線に立って、年中無休・昼休みなしの途切れのない診療を提供している。それが可能となったのも、大型クリニックだからこそである。
そしてもうひとつの特徴が、ターミナル・ケアを含め、近年、ニーズが非常に高まっている訪問診療(往診)に積極的に取り組んでいることだ。

 

田村氏は、開業当初から訪問診療をひとつの柱にしたいと考えていた。というのも、医師を志したときから田村氏には、どんな病気でも診療し、頼まれればいつでも往診し、看取りもする、そんな「町医者」でありたいという思いがあったからだ。

 

だが、実際問題として、医師が1人しかいないような診療所では、外来と往診を両立させることはなかなか難しい。その点、複数の医師がいる大型クリニックなら、緊急の往診依頼があったときに主治医が外来診療でどうしても手を離せないような場合に、ほかの医師がサポートすることができる。

 

めぐみ会では、複数の医師と訪問看護師、ケアマネジャー、医療事務スタッフなどが在宅医療チームを編成し、24時間365日のオンコール体制で在宅患者に対応している。複数の医師やスタッフが連携・協力して、外来診療と同様の高水準の在宅医療サービスを提供する。田村氏自身も、外来診療を行うほか、訪問医としても活動している。

 

超高齢社会を迎えた日本では、医療に求められる役割は高度化する一方である。患者が要求する、「良質で専門性の高い外来診療や在宅医療」へのニーズに迅速に応えるためにも、めぐみ会が提唱し、実践する、大型クリニックモデルによるチーム医療は今後、ますます注目されるようになるのではないか。

 

本書は、日本の医療界に新しいクリニック像を打ち立て、日々進化を続ける、医療法人社団めぐみ会のさまざまな取り組みを紹介するとともに、理事長・田村豊氏の今日までの歩みをたどりつつ、その経営理念と医療哲学に迫るものである。

 

「人生100年時代」に向け、医療や看護、介護は誰にとっても関心の高い身近な問題である。それだけに、現在、医療関連の仕事に携わっている人はもとより、これから医療の世界を志す人、さらには患者やその家族にとっても、新しい地域医療モデルの構築をめざすめぐみ会の活動から学び取れることは多いはずだ。患者にも医師にも喜ばれる理想の医療サービスのあり方を考えるうえで、本書がなんらかの指針となれば幸いである。

 

なお、本文中の敬称は略させていただいたことを、あらかじめお断りしておく。

 

2019年4月  鶴蒔靖夫

 

 


 

 

はじめに

 

 

第1章 超高齢社会における新しい地域医療のかたち

 

地域医療の原点は往診に駆けまわる「町医者」
国民の5人に1人が後期高齢者になる時代
医療現場で常態化する医師不足
地域包括ケアを前提とした地域連携型医療へ
高まる患者の専門医志向
在宅医療のメリットとデメリット
在宅医療チームとしての多職種連携と医療機関連携
これからの在宅医療に求められる機動力
療養病床に代わる介護医療院の創設
医療に求められるサービス業の視点

 

 

第2章 チーム医療で地域の健康と安心を支える

 

信頼できる医療をもっと身近に
チーム医療による大型クリニックのメリット
働きやすさと働きがいを実感できる環境
患者に満足してもらうことが最低条件
大型化と分院展開で経営の安定化を図る
病院勤務医と開業医のメリットを併せ持つ
プロフェッショナルとして誇りを持てる風土
健診事業と産業保健事業で地域や企業の健康をサポート
被災地でのチームによる医療支援活動

 

 

第3章 24時間体制で患者に寄り添う在宅医療

 

3つのクリニックで在宅医療に対応
複数の医師や多職種からなる在宅チームを編成
外来と訪問を両立させた診療スタイル
組織力を持った在宅医療チーム
チームで臨む24時間365日のオンコール体制
在宅ターミナル・ケアから看取りまで
ケアマネジャーが地域医療連携の担い手に

 

 

第4章 医療の質を高める人づくりと環境づくり

 

医師にとって働きやすい環境を整備
実績に連動した成果報酬制を採用
医師の長時間労働に歯止めを
ワークライフバランスを実現するフレキシブルな勤務体系
医療に専念できるように本部機能を強化
求めるのは患者の満足度を高められる医師
開業への医師の思いを実現する開業支援体制
節目に合わせて行う充実した職員研修制度
独自の職種別スキル認定制度とキャリア形成

 

 

第5章 めぐみ会理事長・田村豊の経営理念と医療哲学

 

人の世話をすることを一生の仕事に
脱サラして医学部に入りなおす
徳洲会病院で研修医生活をスタート
研修医時代に遭遇した尊敬すべき医師の姿
37歳で念願の独立開業を果たす
患者との信頼関係を築くためにはコミュニケーション力が不可欠
複数の医師による診療体制を構築
大型クリニック化で医療と経営の分離を実践
理想のクリニックのあり方を追求し続ける熱き思い
医療界のフロントランナーをめざす

 

 

第6章 めぐみ会が描く地域医療の未来図

 

優秀な医師の確保は永遠の課題
医師の働き方改革の是非
高邁なサービス業としての誇りを持つ
当面は分院展開より拠点のブラッシュアップに注力
事業継承というかたちでの分院展開の可能性
将来的には大型クリニックが標準的な診療スタイルに
大型クリニックの機能を活かして過疎地の医療支援も
持続可能性を持った組織づくりに向けて

 

 

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2019/04/11

『知恵ある経営者は「しくみ」で儲ける』前書きと目次

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知恵ある経営者は「しくみ」で儲ける

~強い人材、新しい事業を生み出し続ける経営の極意~

 

著者:鶴蒔靖夫
定価:本体1800円+税
ISBN978-4-87218-453-2
初版発行:2019年4月13日

 


 

はじめに

 

社会の動きはますます変動の勢いを増しており、リーダーには新たな道を開くための決断力と実行力とがこれまで以上に求められている。

かつて日本は、技術革新の先端を突き進み、世界の産業界を導く、トップリーダーだった。強烈な個性を持った経営者たちが小さな会社をグローバルな企業に成長させ、産業構造の転換はもとより、人々の暮らしやものの見方までをも変えていく「大きな物語」がいくつも生まれた。

しかし1990年代初頭にバブル経済が崩壊し、日本の経済成長は長期の停滞に陥った。近年になってようやく「失われた20年」からは抜け出す兆しが見えてきたが、「物語」が輝きを取り戻すまでにはまだしばらくかかりそうだ。

そんな現代の日本だが、ときおり思いもかけないところから「異能」と呼びうる人物が登場することがある。本書で紹介する新地哲己氏も、時代の意思が引き出した、異能のリーダーと呼べる人物のひとりだ。

創業者である新地氏が代表取締役会長兼CEOとして独創的な手腕を振るう芝浦グループは、芝浦グループホールディングス株式会社(本社:福岡県北九州市。以下、芝浦GHDと記す)を中心に、計11(2019年1月現在)のグループ企業で構成されている。

他の追随を許さぬスピード感で事業を拡大し、地元福岡で圧倒的な存在感を誇っているのみならず、業界内でも一目も二目もおかれていた芝浦グループは、さらなる事業の発展をめざし、2018年にいよいよ東京進出を果たした。

1977年に家電販売店を創業し、経営者としてのスタートを切った新地氏が、いまにつながる大きな転身を成し遂げたのは、太陽光発電事業によってであった。「地球環境を守ろう」との理念のもとで展開されたメガソーラー事業は、民間主導の先陣を切り、その規模と迅速さで巨額の利益を会社にもたらした。そこからの飛躍的な成長は、他に類を見ないと言ってもよいほどだ。

実は、私と新地氏は数年前から親交を結んでおり、2014年3月には、貧しかった少年時代から「九州の電力王」と呼ばれるようになるまでの新地氏のドラマチックな道のりをまとめた『お金のない人は知恵を出せ』という本を上梓している。

あれから5年近くが経ち、現在では11社を擁するグループ企業となった芝浦グループの事業は、太陽光発電事業のほかにも、建設、不動産、車輌、健康機器、飲食、イベント、ホテル、農業など、第一次産業から第三次産業まですべてを包括するものへと、さらなる躍進を見せていた。しかも、それらがグループ内で相互に連関する一貫体制という独自のしくみに支えられ、全社一体となって成長している様子は、実にみごとである。それぞれの事業の詳しい内容に関しては本文に記すが、金策も営業も不要という環境のなかでグループ各社の社長は能力の100%を業務に集中させ、それぞれに高い成功率を誇っているのだ。

「なにかがあると、みながいっせいに同じ方向で取り組みます」

と語る新地氏が試行錯誤の末につくりあげたしくみは、「強い人材」と「新たな事業」を育てるための完璧な作品と言ってもよいだろう。

しかし、こうした組織づくりの巧みさもさることながら、新地氏の本領は、新事業の開拓においてこそ発揮される。

「真の経営者とは、なにもないところから新たな事業をつくりあげる人である」と明言する新地氏が、おのれの経営者魂を燃やすのは、「世の中にこれまで存在しないもの」「世界で初めてと言われること」に対して挑むときである。実際、「日本初の全戸個別供給型太陽光発電付きマンション」「日本初のスーパーカー製造事業」「日本初の酸化マグネシウム製造プラントの開発」など、これまでに誰も「やってみよう」とは思わなかったことを、新地氏は事業としてかたちにし続けている。そうしたなかには現在進行形のものもあり、完成の暁には世界中から注目を浴びることは必至だろう。

これまでに存在しないものや世界初のことに挑戦しようとすれば、まず間違いなく「そんなことはできるわけがない」と、周囲の人間に一蹴される。しかし、そうしたなかで、どんな困難をも乗り越えて、ついに成功を導き出すことこそが、経営者にとっての真の喜びであると新地氏は語る。

その「喜び」を得るには、過去の成功に固執せず、環境や状況に合わせて「自己変革」ができる能力が必要だ。新地氏はその能力を「知恵」と呼び、無から有を創出する源としてなによりも重視し、自ら鍛え続けてきた。

「『知恵』は、答えのないものを探る力です。『知恵』さえあれば、なんとかなります」

と語る新地氏の言葉からは、65歳を超えてなお「大きなリスクを背負って挑戦する」という、尽きることのないベンチャー魂が伝わってくる。そうしたチャレンジ精神と活力こそが、いまの日本に最も必要なものではないだろうか。

「未来を語らなければ成長は止まる」

と言う新地氏がスピード感を持って進むその先には、新たな「価値」と「意味」を人々に与える「大きな物語」が復活する兆しが垣間見える。

本書は、卓越した閃きと経営能力で時代に先駆ける事業を次々と実現させてきた芝浦GHD会長兼CEOの新地哲己氏の、経営論やモノの見方、人間観を、赤裸々に綴ったものである。そこには、未来を切り開くための新たなヒントや活力となるものが多数含まれているに違いない。それらは、企業経営者や起業を志す人はもとより、答えのない混迷の時代になにかをつかもうとする人々にとっても、貴重な指南となるだろう。

なお、文中の敬称は略させていただいたことを、あらかじめお断りしておく。

 

2019年2月  鶴蒔靖夫

 


 

はじめに

 

第1章 真の経営者とは「知恵を出す者」である

 

絶えまのない変化を求める
知恵について
経営者とはなにか
芝浦グループの全体像
強い熱意を持つ
成功の条件は日ごろの行い
変化を恐れない

 

第2章 経営者は「金の活かし方」を知っている

 

その金を上手に使いきれるかどうかは腕次第
知恵が生んだ分譲方式の「みやま合同発電所」
銀行も悲鳴をあげるほどのスピードで
金は使わなければ暴走する
むだだと思うことには使わない
自分だけ儲けてはいけない
10億円までなら失敗しても大丈夫、思いきってやってみろ
金と女は追うな、追われるような人間になれ
太陽光発電をめぐる複雑な現状
売電からメンテナンス事業へ

 

第3章 経営者は「誰もやらないこと」をやる

 

「誰かがやったこと」をやるのは「挑戦」とは言わない
Ⅰ 日本初のメガスーパーカーの製造に挑戦
   大盛況だった「メガスーパーカーモーターショー」
   芝浦ブランドのスーパーカーは7億円で限定50台
   常設展示施設と専用サーキット場も提供
Ⅱ アグリビジネスへの挑戦
   キウイフルーツの生産を開始
   ゼスプリのブランドで国内市場に幅広く
Ⅲ 世界初・水蒸気金属反応方式による酸化マグネシウム製造
   1兆円産業も夢ではない
   夢を叶えるために大きな投資を
Ⅳ 世界初の美術品をプロデュース
   光と音楽と絵画を一体化した総合芸術「ART GRAGE」
   ここでしか買えない絵画だから、価値もいっそう高まる
   「この世に存在しないもの」への挑戦

 

第4章 経営者の仕事は「しくみ」をつくること

 

価値のあるホールディングス体制とは
「地球環境を守ろう」をグループ会社の中心理念に
入り口から出口まで、他に例のない自社一貫体制
「身内商売」に儲かるしくみが秘められている
芝浦グループは「連合体」、だから強い
日本初の全戸個別供給型太陽光発電付きマンションが飛躍のきっかけに
ホテル事業への挑戦にも成功
美容・健康事業を着実に展開
常に「つながり」を重視する
会議で業績の話はしない
金策の心配をせず100%仕事に専念できる
最初に役職を与え、実力のある者をどんどん伸ばす
成長のしくみは完成形に近づいている、若手を早く社長に

 

第5章 時代に先駆け、挑戦し続けた40年

 

新しいドラマが始まるとき
アイデアマンだった父親
父親の自殺未遂と貧しい日々
貧しさのなかでも母親は「人の道」を説き続けた
特待生から高収入のアルバイトへ、浮き沈みの激しい高校時代
給料がいちばん安い店に就職し、給料の100倍を稼ぐ
24歳で独立し驚異の売上を叩き出す
成功直後に襲った先物取引の地獄
人の言うことを素直に聞いてどん底から這い上がる
ここぞというときに「最も必要な人」が現れる
家を出て、孤独に耐える
芝浦特機のスタート、空調設備専門業者として独占状態に
世界初の「太陽光発電と不動産の融合」
業態変化をするたびに大きく成長
いつかこんな時代が来ると思っていた

 

第6章 常識を超え、未来を変える

 

1兆円企業をめざして東京に進出
10階建て本社ビルにはスーパーカーの展示場も
数兆円産業になる可能性もある大容量キャパシタの開発
バイオガス発電所を全国に建設
社員のプレゼンコンテストをきっかけに家賃債務保証業を開始
保険会社をハワイに設立
グループを牽引するカリスマ経営者として
女性を輝かせてこそ本当の男
新地も舌を巻く発想力
寝ているあいだに龍の使いで天啓がやってくる
仕掛けの年、社訓「計画・努力・進歩」そして「成功」
多くの人に活力と夢を与える企業に

 

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2019/03/11

『コーア商事グループの挑戦』 前書きと目次

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コーア商事グループの挑戦
~ジェネリック医薬品メーカーのベストパートナー~


著者:鶴蒔靖夫
定価:本体1800円+税
ISBN978-4-87218-452-5
初版発行:2019年3月10日




はじめに

日本の少子高齢化が止まらない。2017年の日本人の平均寿命は、女性が87.26歳、男性が81.09歳(厚生労働省「平成29年簡易生命表」)と、いずれも過去最高を記録している。総人口における65歳以上の高齢者の数も増加の一途をたどり、2018年9月15日現在の推計では3557万人と、総人口のおよそ28.1%を占めている(総務省統計局「統計からみた我が国の高齢者 ―『敬老の日』にちなんで―」)。このまま高齢化が進めば、2065年には国民の38.4%が65歳以上になると推計されている(内閣府「平成30年版高齢社会白書」)

急激に進む高齢化とともに深刻さの度合いを増しているのが、国民医療費の増加である。子どもや若者、働き盛りの現役世代に比べて高齢者は、病院に行く機会が増え、薬も多く処方される。「平成28年度 国民医療費の概況」(厚生労働省)によると、65歳未満の1人あたりの年間医療費は平均して18万3900円、そのうちの45歳~64歳は27万9800円だが、65歳以上では72万7300円に跳ね上がり、75歳以上に限れば年間で90万9600円もかかっている。

つまり、高齢者が増えれば増えるほど、国民医療費が増加することになる。その勢いはすさまじく、このまま手をこまぬいていては、日本が世界に誇る国民皆保険制度の破綻を招きかねない。それを防ぐためには、予防医療を推進して可能なかぎり「健康寿命」を延ばし、高齢になっても病院の世話にならずにすむようにして、医療費を抑制するしかない。

そこで国は、さまざまな医療費抑制政策に取り組み始めた。中長期の対策としては、生活習慣病予防の徹底や平均在院日数の短縮を基本的な考え方としている。具体的には、健康診断や保健指導の実施を事業所に義務づける、医療機能の分化や連携および在宅療養を推進する、療養病床の転換を支援するなどとしている。なかでも、医療費抑制の切り札とも称されているジェネリック医薬品の普及拡大には大きく力を入れている。

日本ではこれまで、欧米に比べてジェネリック医薬品の普及が遅れていたが、近年になってその使用率は急激に上昇し、2018年度第2四半期(7月~9月)には73.2%にまでなった(日本ジェネリック製薬協会「平成30年度第2四半期のGE医薬品の数量シェア分析結果」)。国は2020年9月までに使用率80%超えを目標に掲げているが、この数字を達成するのは間違いなさそうだ。ただし、ジェネリック医薬品市場は、使用率80%を超えるまでは順調に拡大するものの、その後の伸びが鈍化することは確実とされているため、最近では業界再編の動きも見えてきつつある。

こうしたジェネリック医薬品業界において、ひときわ異彩を放ち、大きく躍進を続けているのが、本書で紹介するコーア商事ホールディングス株式会社(以下、コーア商事HD。本社:神奈川県横浜市、代表取締役社長:首藤利幸氏)を中心とするコーア商事HDグループである。グループの傘下には、ジェネリック医薬品の原薬輸入商社であるコーア商事株式会社、注射剤を主とする医療用医薬品の製造販売を行うコーアイセイ株式会社、医薬品包装事業を行うコーアバイオテックベイ株式会社、OTC薬(一般用医薬品)の製造販売を行うコーア製薬株式会社がある。

コーア商事HDの創業者である首藤利幸氏は「企業グループとして、ジェネリック医薬品のベストパートナーをめざしてきた」と語り、自社の強みは「商社機能とメーカー機能を併せ持つ独自性にある」と強調する。

コーア商事HDグループのなかでも事業の中核を担っているのが、原薬輸入において国内トップを走り続けるコーア商事だ。同社はヨーロッパ、中国、インドを中心に約20カ国・約100社と取引関係を持ち、コーア商事HDグループ全体の収益の8割弱を占めている。

コーア商事では、高品質のジェネリック医薬品原薬を安定的かつ、より低価格で国内のジェネリック医薬品製造販売業者に提供するために、関東と関西のそれぞれに自社倉庫と「医薬分析センター」を設置し、さらに海外サプライヤーと連携した開発拠点となる「SIセンター」も立ち上げて、品質検査はもとより、ジェネリック医薬品原薬の品質改善実験も手がけている。

首藤氏は、明治薬科大学を卒業後、日本モンテジソン、日本ザンボンを経て、1991年に44歳でコーア商事を設立した。その後、事業のフィールドを広げていくなかでグループ会社を統括するコーア商事HDを設立し、2018年6月には東証二部上場を果たした。

首藤氏が仕掛ける新たな成長戦略としていま最も力を入れているのが、コーアイセイが行っている、注射剤を主とした医薬品の製造販売と受託製造事業だ。コーアイセイは、1956年に山形県医師会の要望により誕生した、注射剤を中心とした製薬メーカーで、2011年にコーア商事の傘下に入った。

「この事業は大きく伸びる余地がある」と確信する首藤氏は、注射剤のなかでも特に高度な技術が要求される高薬理活性注射剤の製造を目的に、山形市蔵王産業団地にコーアイセイ蔵王工場を建設。同工場では、今後いっそうの需要増が見込まれる抗がん剤や、透析、リウマチといった領域の治療に用いられる注射剤のジェネリック医薬品の開発提案型受託製造を推進していくという。

また、事業拡大のためには各方面で優秀かつ専門的な人材が不可欠になるとの考えから、首藤氏は人材育成にも注力している。

「猛烈なスピードで変化していく世の中に迅速に対応し、必要とされるものを必要とされるときにタイミングよく提供できるように、柔軟に変化を続けていきたい」
と、首藤氏は語る。

本書は、「ジェネリック医薬品のベストパートナー」としての役割を果たすために革新的な取り組みを続けるコーア商事HDグループの事業活動を紹介するとともに、創業者である首藤利幸氏の今日までの歩みをたどりつつ、その経営理念や人生哲学に迫るものである。これは、医療・医薬品業界に関わる人のみならず、現代社会に生きるすべての一般読者にとっても、貴重な指針の書となるだろう。

なお、本文中の敬称は略させていただいたことを、あらかじめお断りしておく。


2019年2月  鶴蒔靖夫




はじめに


第1章 超高齢化に悲鳴をあげる日本の医療

超高齢社会に突入した日本
長寿化を支えた国民皆保険制度
間近に迫っている「2025年問題」
医療費の膨張を助長する「過剰医療」
医薬分業の推進で医療費抑制を図る
地方包括ケア体制で在宅医療の実現をめざす
薬価引き下げで薬剤費削減を狙う日本政府
ジェネリック医薬品は医療費抑制の切り札となるか


第2章 ジェネリック医薬品業界の現状

新薬と同じ効能が保証されているジェネリック医薬品
ジェネリック医薬品が新薬よりも安い理由
抵抗感の少ないオーソライズド・ジェネリックの登場
拡大するジェネリック医薬品市場の今後
薬価引き下げに揺さぶられる医薬品業界
競争激化で経営が逼迫する中小メーカー
より大きな市場を求めて進む海外展開
淘汰・再編の動きが加速するジェネリック医薬品業界


第3章 ジェネリック医薬品のベストパートナー

低価格化に翻弄される業界の支え手に
商社機能とメーカー機能を併せ持つ強み
事業の柱はジェネリック医薬品原薬の輸入
低価格化に対応するために中国との取引を強化
海外との関係強化のためにコーア商事の社長に復帰
創業当初から設置されている「医薬分析センター」
自社倉庫を東西に設置し災害リスクを分散
海外サプライヤーと連携した「SIセンター」を設置
ジェネリック医薬品メーカーの負担を軽減する特許調査


第4章 第2の事業の柱である医薬品製造事業

伸びしろの大きいジェネリック注射剤分野に特化
さまざまな種類がある注射剤
高薬理活性領域の注射剤が輸入に向かない理由
ケミカルカテゴリー5の新工場建設で安心・安全を徹底
抗がん剤など高薬理活性製剤に注力するシンボル工場
抗がん剤廃棄を減らす小規格包装に期待
60年以上にわたって培ったコーアイセイのノウハウ
医薬品の包装を受託するコーアバイオテックベイ
ビタミン剤を中心としたOTC薬を製造販売するコーア製薬


第5章 創業社長・首藤利幸の経営理念と人生哲学

医学部進学を断念し、薬科大学を卒業
カナダで語学力を磨き、帰国後は日本モンテジソンへ
興亜製薬の軒を借りるかたちで起業
資金繰りに苦労しながらも重ねた実績
グループのシナジー効果でさらなる発展を図る
企業を存続させるために欠かせないイノベーション
「ニュービジネスモデル・イノベーション」を推進
東証二部上場を果たし、新たなるステージへ
社会に必要とされる企業であり続けるために


第6章 コーア商事HDグループが描く未来

超高齢社会ゆえに期待されるコーア商事HDグループ
原薬事業のさらなる進化と拡大に向けて低価格化を実現
長期収載品やオーソライズド・ジェネリックへの原薬提供にも注力
人口減で変わる医療のカタチ
グループの未来を担う若い世代に望むこと
伝承したいプロフェッショナルたちの高度な技術
いずれは蔵王に第2工場、第3工場を
2050年を見すえて布石を打つ
コーア商事HDグループの未来像


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2019/02/14

『いま、なぜ専門家集団薬局なのか』 前書きと目次

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いま、なぜ専門家集団薬局なのか
~薬局の新しい価値をつくるフォーラルの挑戦~


著者:鶴蒔靖夫
定価:本体1800円+税
ISBN978-4-87218-451-8
初版発行:2019年2月21日




はじめに

日本人の平均寿命は年々延び続け、最近では「人生100年時代」という言葉も聞かれるようになっている。実際、2017年の日本人の平均寿命は、男性は81.09歳、女性は87.26歳で、どちらも過去最高を更新している(厚生労働省「平成29年簡易生命表の概況」)。ちなみに平均寿命とは、その年に生まれた0歳児が平均して何歳まで生きるかを示す平均余命のことだ。健康意識の高まりや医療水準の向上により、この先も平均寿命が延び続ければ、「人生100年時代」の到来も、けっして絵空事ではない。遠からず、そういう時代がやってくるだろう。そのため政府も、人生100年時代を見据えた政策のグランドデザインを検討する「人生100年時代構想会議」を2017年9月に発足している。

人間にとって長寿は喜ばしいことではあるが、国の財政面にとってはよいとばかりは言えない。高齢化の進展にともなって、国民医療費はふくれあがる一方だからだ。厚生労働省によると、2017年度の概算医療費は42兆2000億円であり、前年度に比べて9000億円の増加となっている(厚生労働省「平成29年度 医療費の動向」)。概算医療費は、労災や全額自己負担の治療費は含まれず、医療機関などでの治療に要した費用全体の推計値である国民医療費の98%に相当するという。つまり、2017年度の国民医療費は43兆円前後となる見通しで、これもまた過去最高を更新することになる。

国はこれまで、国民医療費を削減するために、さまざまな制度改革を進めてきた。診察は医師が行い、調剤は薬局の薬剤師がするという、「医薬分業」もそのひとつだ。それまでは診察を受けた病院や診療所の窓口で薬をもらう院内処方が普通だったが、医薬分業により、医師の書いた処方箋をもとに、薬局の薬剤師が専門性を発揮して、患者が服用する薬について一元的な薬学的管理を行う院外処方にすることで、多剤・重複投薬を防止し、残薬も解消でき、その結果、患者に対する薬物療法の安全性と有効性が向上し、医療費の適正化にもつながるはずだった。

日本の医薬分業元年は、診療報酬改定により処方箋料がそれまでの6点から50点にまで引き上げられた1974年と言われている。それから40年余りの歳月が流れ、いまでは病院や診療所の門前はもとより、街のあちらこちらに「薬局」の看板が見られるようになっている。全国の薬局数は2017年度末時点で5万9138店(厚生労働省「平成29年度衛生行政報告例の概況」)と、コンビニエンスストアの5万5564店(一般社団法人 日本フランチャイズチェーン協会「JFAコンビニエンスストア統計調査月報 2018年10月度」)を上まわり、医薬分業率も72.8%にまでのぼっている(公益社団法人 日本薬剤師会「処方箋受取率の推計 全保険(社保+国保+後期高齢者) 平成29年度 調剤分」)

しかし患者にとっては、院内処方から院外処方に切り替わったことで、かえって二度手間になり、そのメリットが実感できないというのが、多くの国民の本音ではないだろうか。しかも、院内処方に比べて調剤報酬が割高となるため、必ずしも医療費削減に結びついていない。

調剤業務による薬局の収入は薬剤料と技術料(調剤報酬点数)からなるが、国が多額の税金を投入しているにもかかわらず、薬局は国が求める本来の機能を果たしてはいないのではないかという批判も少なくない。とりわけ大手薬局チェーンに対する風当たりは強くなってきている。自社の収益拡大に走るあまり、国が求める薬剤の適正使用や医療費の削減には貢献していないのではないかというわけだ。

薬剤師が、医師の処方箋どおりに正確かつ迅速に調剤し、適切な説明とともに患者に薬を手渡す。これだけで薬局としての職務を果たしているといった認識が、かつてはまかり通っていたのかもしれない。だが、それでは薬剤師が専門性を発揮することにはならない。

団塊の世代が75歳以上となる2025年には、国民医療費は47兆8000億円、2040年には66兆7000億円に達するとの試算結果もあり(内閣官房・内閣府・財務省・厚生労働省「2040年を見据えた社会保障の将来見通し(議論の素材)―概要―」)、医療費の抑制は待ったなしの状況になっている。そのため国は、国民医療費の増大を抑え、社会保障に関する体制を整えるべく、在宅医療を推進するとともに、2025年までに「地域包括ケアシステム」の構築をめざしている。

それら一連の施策のなかで大きな役割を果たすと期待され、重要性を増してきたのが薬局だ。厚生労働省は2015年に「患者のための薬局ビジョン」を策定し、「かかりつけ薬剤師・薬局」の機能に加え、地域住民の健康維持および増進に貢献する薬局を「健康サポート薬局」と位置づけて、将来における薬局のあるべき姿や機能を示している。

そうした国の施策を先取りするかのように、独自の手法で新しい薬局のあるべき姿を実践しているのが、本書で紹介する株式会社フォーラル(本社:東京都江東区)である。

現在は1都3県に薬局20店舗(2019年1月現在)を展開しているフォーラルの特徴のひとつが、薬剤師と管理栄養士という国家資格の有資格者で構成された「専門家集団薬局」である点だ。従業員202名のうち112名が薬剤師、76名が管理栄養士であり(2018年4月現在)、管理栄養士の在籍数ではわが国有数である。

通常、薬局のスタッフは薬剤師と医療事務で構成されるが、フォーラルでは、薬剤師とともにメディカルパートナーとして各店舗に配置された管理栄養士が医療事務をも担うようにしている。

「薬剤師のほかに、食事や栄養の専門家である管理栄養士が在籍することで、調剤するだけでなく、地域のみなさまの健康をサポートするための拠点としても薬局が機能できます。各店舗は、薬剤師と管理栄養士が連携して無料栄養相談や各種セミナーを開催するなど、健康に関する情報を積極的に提供することで地域社会に貢献し、薬局の新しい価値をつくっていきたいという想いで活動しています」

と、フォーラル代表取締役社長の松村達氏は語る。

医薬分業が進んだいまでは、薬局とは処方箋を持った患者だけが利用するところと一般的に思われているのではないだろうか。しかし、フォーラルが実践するように、薬局に管理栄養士が在籍し、食事や栄養、運動などの情報提供を通じて予防医療の拠点として機能するようになれば、処方箋を持たない地域住民も訪れるようになり、地域の健康維持や増進に貢献できるばかりか、医療費の削減にもつながるはずだ。

また、フォーラルでは、「地域包括ケアシステム」の一環として、全店舗で在宅医療に取り組んでおり、薬剤師と管理栄養士が地域の医療・介護チームと連携して、居宅や高齢者施設などを訪問する。輸液などの無菌調剤が可能なクリーンベンチも、在宅医療が中心の3店舗を含めた4店舗で完備している。

薬局運営にあたりフォーラルが全店舗共通のコンセプトとして掲げているのは、「地域の人々が応援したくなる人と薬局」だ。ただし、なにをすることで地域の人に応援したいと思ってもらえる薬局になるかについては社員の自主性や独自性を尊重し、店舗ごとにスタッフが意見を出しあい、自分たちで考えるようにしている。

地域の人々に「あなたがいるから、この薬局に来た」と言ってもらえるようになるためには、「専門性」だけでなく「人間性」が高いことも大切な要素になってくる。やさしさや思いやり、つまり「仁」の心が必要であり、社員の採用にあたっても、その点を重視していると松村氏は言う。

その一方で、自信を持って積極的に地域のために貢献できる人材を育成するために、教育にも力を注ぐ。社員個々の専門性を高め、付加価値をつけるために、自社講師陣によるシステム化された教育研修制度を構築している。

「当社では、仕事の目的は『他者貢献』であり、売上や利益は人々に喜んでいただいた結果であるという考え方を徹底し、社員全員がこの共通認識のもとに行動しています」

と、松村氏は語る。専門家集団による地域貢献活動や充実した研修制度もさることながら、こうした共通の価値観こそがフォーラルの最大の特徴であり、強みと言っていいだろう。

「当社は、社員一人ひとりが『地域のみなさんのために、なにができるか』『どうすれば喜んでいただけるか』を考えながら、さまざまな活動をしています。そうした社員の熱き想いや活動で成り立っている会社なのです」

と言う松村氏の言葉を受けて、本書を執筆するにあたっては十数名の幹部社員にもインタビューを行い、「他者貢献」へのそれぞれの想いを語ってもらった。

本書は、薬局業界の現状と課題を浮き彫りにしつつ、地域社会に健康情報を積極的に提供する「専門家集団薬局」という新しいスタイルの薬局として注目されるフォーラルの活動を現場の声を交えながら紹介するとともに、同社の経営理念と医療哲学に迫るものである。現在、医療や介護に携わっている人はもとより、これから薬剤師や管理栄養士として薬局業界をめざそうとする人にとっても、「他者貢献」を実践するフォーラルの姿勢から学びとれることは多いはずだ。

超高齢社会に突入した日本では、地域医療のあり方と、そのなかで薬局が果たすべき役割が、あらためて問われようとしている。健康長寿社会の実現に向けて、薬局本来の役割を見つめなおし、地域医療のあり方を考えるうえで、本書がなんらかの指針となれば幸いである。

なお、本文中の敬称は略させていただいたことを、あらかじめお断りしておく。


2019年1月  鶴蒔靖夫




はじめに


第1章 超高齢社会における薬局と薬剤師の役割

高齢化の進展でふくらみ続ける国民医療費
薬剤師が医師に薬を奪われていた時代
医薬分業の促進により「薬漬け医療」を回避
国の庇護のもと増大する薬局への厳しい視線
医薬分業の本来の目的に立ち返る
大手門前薬局チェーンに厳しい調剤報酬の改定
「地域包括ケアシステム」で期待される薬局の役割
薬局業務は「対物」から「対人」へ
「箱出し調剤」で調剤業務の簡素化を


第2章 新時代の薬局モデル「専門家集団薬局」

有資格者で構成された専門家集団薬局
「他者貢献」が全社員の共通認識に
地域の人々が応援したくなる人と薬局
フォーラル流「かかりつけ薬剤師・薬局」の職能を発揮
「地域包括ケアシステム」のなかで全店舗が在宅医療に対応
地域のなかで多職種連携によるチーム医療を実践
薬の専門家として「看取り」まで責任を持つ
現場最優先で独自色を打ち出した店舗運営


第3章 地域の人々の健康をサポートする専門家集団

全店舗で管理栄養士による無料栄養相談を実施
薬剤師と管理栄養士の比率は6対4
薬剤師と管理栄養士の強固な連携体制
薬局以外でも予防に重点をおいた指導を実施
約80種のコンテンツが用意された「地域アウトリーチセミナー」
喜びや感謝の言葉が報酬
行政と連携した健康イベントの開催も
学会発表を通して薬局の活動成果を外部に発信


第4章 専門家として、人として成長するための教育研修

社員一人ひとりの「なりたい自分」を応援
「専門性」と「人間性」の両面を高める教育体制
基礎研修からマネジャー育成までのキャリアプラン
専門職能に磨きをかける多彩な勉強会
それぞれが強みをつくり、チームで地域に貢献
社内学術大会「フォーラルフォーラム」
欧米の薬局事情を肌で感じとる海外研修
「指さし英会話」を取り入れた外国人対応
社会貢献の一環として外部にも研修ノウハウを提供
経営者として社員に望むこと


第5章 フォーラルの経営理念とビジネス哲学

薬局の3代目として生まれて
3人の恩師と3人の顧問
創業50周年を機に社名変更し、新たなスタートを切る
「善悪」は「損得」に優先する
社員の熱い「想い」が強みになる
オンリーワン、ナンバーワンの存在に
自分のやりたいことがやれる企業風土
役職についても基本的に「手挙げ制」
女性社員が80%以上を占める職場環境
「FORALL WAY《フォーラルらしさ》」とはなにか
全員が「さん」づけで呼ぶフラットな関係


第6章 フォーラルが描く薬局の未来

「専門家集団薬局モデル」のさらなる普及に向けて
効率化への取り組み
いまこそ薬局が変わるチャンス
人と人とのふれあいで成り立つ薬局の価値
生き残る薬局、淘汰される薬局
駅前立地による出店を進める一方でスリム化も
「連携」をテーマにさらなる進化をめざして

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