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2017/06/21

『心で寄り添う“終の住処”』 前書きと目次

Tsuinoweb


「先生方」への感謝と尊敬
心で寄り添う“終の住処”
 ~高品質の住まいとサービスで最高の顧客満足を~


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著者:鶴蒔靖夫
定価:本体1800円+税
ISBN978-4-87218-415-0
初版発行:2015年11月2日
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 はじめに

日本が超高齢社会に突入したのは、2007年のことだ。全人口に占める65歳以上の人の割合、いわゆる高齢化率が21・5%になったことが、危機感を持って伝えられた。そして2014年10月1日現在、高齢化率は約26%と過去最高を記録した。

国は、世界に類を見ないスピードで進む高齢化に懸命に対応しようとしているが、次々出現する問題に、なかなか追いついていけないのが現状である。

高齢化とともに進む少子化により、家族の形態が変わるなか、老老介護や一人暮らしの世帯は増えていき、孤独死の報道にも「他人ごととは思えない」という声が聞こえてくる。

特別養護老人ホームに入所できない高齢者は、全国で52万人以上にのぼると言われている。つまり、待機高齢者の数は、昨今問題視されている待機児童の数より、10倍以上も多いのだ。

老後をどこですごすのか。高齢社会の最大の課題は、「終の住処」をどうするかということにある。家族で支えきれない高齢者の受け皿づくりは、官民をあげて早急に取り組まなければならない課題である。

そこで近年、クローズアップされているのが、「サービス付き高齢者向け住宅(サ高住)」である。

サ高住とは、安否確認や生活相談などのサービスが付いている、高齢者向け賃貸住宅のこと。対象は60歳以上の単身・夫婦世帯で、高齢者の居住の安定を確保することを目的としている。国土交通省と厚生労働省が共同管轄するという異例の連携で、2011年4月から制度が施行された。

最大の特徴は、建物賃貸借契約を結ぶことで入居できることにあり、入居者は、ワンルームマンションと同じ感覚で暮らすことができる。建物はバリアフリー構造を有し、いざというときのために介護・医療機関とのつなぎの環境が確保されている。料金は年金で賄える範囲が前提となっており、要介護や入院になっても追い出されることはない。施設によっては看取りも行う。

政府は、このサ高住を高齢者住宅の切り札として、10年後には60万戸に増やすという壮大な目標を掲げ、工事費の1割相当分の助成金に加えて、さまざまな助成措置や税の軽減措置を総動員し、民間に推奨している。その効果は絶大で、医療・介護だけでなく、さまざまな業種が参入し、2015年2月時点の登録戸数は17万2000戸にも及んでいるという。

一種のブームとも言える状況だが、立地や設備、サービス面などに、事業者ごとのばらつきも見られ、「玉石混交」との声もあがっている。また、国土交通省と厚生労働省の間での齟齬もあり、ハードとソフト両面に及ぶ総合的な対策が望まれている。

こうしたなか、良質のサ高住を提供し、躍進している会社から、詳しい話を聞く機会を得た。それが、本書で紹介する株式会社三英堂商事である。

2014年7月、栃木県下野市にサ高住第1号の「家族の家ひまわり石橋」をオープンして以降、栃木県と埼玉県内に7軒のサ高住を新設。近い将来には約49カ所の開設が視野に入っているという。

サ高住「家族の家ひまわり」の主な特徴は、以下のとおりだ。

①リーズナブルな料金体系―石橋の場合、家賃・共益費・生活支援サービス・食費を含んで月額税別12万1000円。周囲のサ高住と比較して1万円近く安い。
②ほかのどこにもない独創的な空間―共有スペースを広めにとって、「小さな街づくり」をコンセプトに、笑顔と楽しさのあふれる空間を提供。
③建物内部には、居宅、訪問、通所の介護事業所を併設。デイサービスも隣接している。医療機関とも提携。
④きめ細かく行き届いたスタッフのケア―スタッフは入居者を「○○先生」と呼び、人生の大先輩として感謝と尊敬の念を持って、きめ細かなケアを行っている。

「これからはサ高住の時代です。高齢者対策だけでなく、雇用を生み出し、地域活性化にもつながるものですので、全力を尽くして取り組んでいかなければならないと思っています」

こう力強く語るのは、三英堂商事の創業者であり代表取締役社長の上村岩男氏である。

上村氏の経営方針である顧客本位の施設運営によって、サ高住「家族の家ひまわり」は、入居者の家族や地域から大きな信頼を寄せられている。

三英堂商事は、介護業界では異質の経歴を持つ会社である。そもそもは1977年、不動産業として上村氏によって設立され、企業の独身寮の管理運営という分野で急成長を遂げた。不動産業で成功を収めたのち、1998年に介護事業に参入。以後は、介護付き有料老人ホーム「家族の家ひまわり」やグループホーム「気手来手くんの家」の運営を軸に事業を進め、首都圏に合わせて23カ所の施設を開設した(2015年9月現在)。

不動産事業と介護事業は、一見かけ離れたもののように思えるが、実はその底辺部分のハードとソフトが精巧につながることで従来よりも一段上の施設・サービスを提供することが可能となる点で、共通するものがある。独身寮という特殊な建物が高齢者施設にふさわしい特質を持っていることに、いち早く着目した上村氏は、自ら介護事業に飛び込むことで、施設運営に新たな可能性を証明していくことになった。

その経営戦略の要点は、上村氏が築きあげた俺流、いわゆる「自前運営」にある。サ高住設立にふさわしい土地の情報収集から始まって、土地活用のマスタープラン、建築施行会社の紹介、入居者募集、賃貸借契約という、不動産業に関わる段取りに加え、居宅介護支援事業所の開設、職員の採用、研修、給食の提供など、入口の部分から施設運営開始までの工程が自前で行われるのである。これによって、設備面でも介護面でも質の高いサービスが、リーズナブルな料金で提供されることになった。

そして近年、有料老人ホーム(特定施設)からサ高住の拡充へと経営の軸足を移行したのは、高齢社会の切迫した要求に応えていくためだという。

「遊休地にサ高住を建設し、それによって、高齢化が進む日本と地域社会に、ともに貢献しようということです」

上村氏が推進するサ高住は、遊休不動産を持つ土地オーナーに建物を建設してもらい、それを20年以上という長期にわたって借り受けて運営する方式をとっている。これにより、利用者が負担する料金をぎりぎりまで抑えるとともに、土地オーナーの収益性や経営面も安定するというメリットをもたらすことに成功した。

オーナーを説得する際、上村氏は、土地活用は人のために役立つ事業に貢献してこそ価値があると伝えるという。

「介護事業の業績というものは、必ずしも売り上げや利益率のみをさすのではないでしょう。最も大切なことは、入居者やご家族にどれだけ満足していただけるかで決まるのです。私たちがめざすのは、その人らしく楽しい日々を送ってもらうこと。利用者への感謝と尊敬を忘れず、真心のお手伝いを貫いていった結果が、市場に受け入れられるのだと思います。介護はどこまでも、人に始まり、人に終わるものです。そうした『人』の事業を支援し、社会に貢献するものであることを、オーナー様にも理解していただきたいのです」

活動の根底にあるのは「感謝と尊敬」「真心のお手伝い」「家族の絆の架け橋」「社会参加と共生」「未来の価値の創造」「無上意のサービス」そして「進化への対応」の7つの理念だ。この7つの理念の実現を通して、三英堂商事はさらなる社会貢献をめざしている。

サ高住は、日本の超高齢社会における切り札であり、救済でもあろう。時代はサ高住を求めている。

その波を受け、三英堂商事の数年先の目標は、サ高住による全国展開と、100億円企業への挑戦である。その目標が果たされた暁には、日本の「終の住処」の光景も、ずいぶんと変わっているのではないだろうか。

本書は、独自のビジネススタイルで高齢者に安心・安全な「終の住処」を提供している三英堂商事のこれまでの企業活動を紹介するとともに、これからの将来に向かっての代表取締役社長・上村岩男氏の経営理念や人生哲学を伝えるものである。

情熱と気迫で「無い無い尽くし」のゼロからすべてを築いていった上村氏の半生は、人生とは未知と希望で満ちていることを示し、若者や読者に勇気を与えるに違いない。

また、全国の高齢者とその家族、土地オーナーはもとより、超高齢社会に生きるすべての読者にとっても、貴重な指針の書ともなるはずだ。

なお、本文中の敬称の一部は略させていただいたことを、あらかじめお断りしておく。

  2015年9月  鶴蒔靖夫


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  はじめに


第1章 いまこそ求められる安心・安全な「終の住処」

首都圏に介護難民が急増
単身・夫婦のみ世帯の終の住処として登場した「サ高住」
サ高住で高齢社会を支える三英堂商事
国土交通省が力を入れた高齢者のための「住居」
利用権契約と賃貸借契約、厚生労働省は囲い込みを警戒
年金で賄える料金、人が住むことを目的とした建物
主な高齢者向けの施設・住居
安らかな老後には準備と計画が必要
介護移住、全国初の計画を実現させた杉並区の英断
サ高住は人間の尊厳を守る受け皿


第2章 三英堂商事ならではの「サ高住」事業を展開

安心して入居できる料金設定
対象、併設施設、別途料金
他の施設より割安な価格設定を打ち出す
施設の中で繰り広げられる、懐かしく温かな街の光景
健康、笑顔、明るさで満たされた施設
長い旅をすごした人のため、食事は施設でつくる
すべて手づくり、行政の検査官も驚きを隠さない
プロの機能訓練指導員による機能回復と認知症予防に対応
高齢者は尊敬すべき先達
トータル管理システム「気手来手くん」のパワフルな機能
コスト削減と、いっそうのサービスの充実が図られる必須アイテム
不動産事業の強みを生かし、最初から最後まで自前で
長期借り上げで土地オーナーにも大きなメリット
不動産と介護の運営ノウハウを活用


第3章 三英堂商事の7つの理念と人材育成

7つの理念を通して社会に貢献
三英堂商事の道しるべ、7つの理念
介護事業の醍醐味を生み出す「感謝と尊敬」
マニュアル化できないサービスこそ真のサービス
「無上意のサービス」とは
「たかが理念、されど理念」が内包する深い世界
すべてを受け入れ、機能回復に最善を尽くす
介護職員の深刻な不足
介護報酬引き下げのダメージ
ネガティブな先入観を払拭すること
地方に眠っている人材を発掘し、雇用の場をつくる
ライフスタイルの多様性に応じた働き方の実現
「人財」育成のために
礼儀、挨拶を徹底して仕込む新人教育
将来への先行投資、専門学校へ通う社員に補助金提供
介護事業の業績は、利益率だけでは測れない


第4章 新しい街づくりを推進するサ高住の役割と課題

サ高住整備の現状と課題
地域コミュニティの先導的役割としてのサ高住
『三丁目の夕日』のようなご近所づきあい
地域密着をめざさないと生きていけない
有料老人ホームとしての稼働と監視
アメリカCCRCに見る「終の住処」のあり方
日本版CCRCとサ高住の新たな役割


第5章 上村岩男の歩みと人生哲学

いつもゼロからスタートする男
破けた靴に段ボールをあてがって
おたふく風邪で命拾い
集中のあまり上下別々のスーツで出勤
最大の危機、明日手形を落とさなければ……
大自然に囲まれて育った少年時代
人生初の挫折、開拓者魂に触れた札幌時代
鶏口となるも牛後となるなかれ
独身寮需要の推移から見えるもの
バブル崩壊、事業を根幹から見直すときがきた
有料老人ホーム第1号「ナースィングホームひまわり船橋」誕生
たった1人の利用者のために
寮という建物が持つ奥深さを再利用すること
5度の本社移転のすえ、現在の渋谷クロスタワーに


最終章 三英堂商事が描く未来

快進撃を続ける三英堂商事
九州で地盤を固め、全国展開へ
不動産業の参入で市場は健全に
土地オーナーにもうひと言
「気手来手くん」開発―ITとの融合で介護の現場は変化する
365日、経営のことを考える
経営者は孤独、心を強くしてくれる言葉
100億円企業への挑戦


《施設取材レポート》
  家族の家ひまわり石橋(サービス付き高齢者向け住宅)
  家族の家ひまわり宇都宮豊郷台(サービス付き高齢者向け住宅)
  家族の家ひまわり与野(介護付き有料老人ホーム)
  気手来手くんの家連光寺(グループホーム)


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