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2017/06/22

『どうする!医療改革』 前書きと目次

Iryoukaikakuweb


どうする!医療改革
 ~日本の再生医療へのシナリオ~


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著者:松村博史・鶴蒔靖夫
定価:本体1800円+税
ISBN978-4-87218-406-8
初版発行:2015年4月21日
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  はじめに


 平成二十六(二〇一四)年師走。安倍政権の経済政策「アベノミクス」の可否を問う衆院選は与党が大勝し、第三次安倍晋三内閣がスタートした。

 今回の総選挙では経済政策にばかり目が向けられ、社会保障政策は大きな争点になりえなかったが、超高齢社会を迎えたいま、医療や介護、年金など、社会保障関連の改革は待ったなしの状況だ。とにもかくにも、社会保障に充てる財源が圧倒的に不足している。

 解散前に、政府は消費税率一〇%への引き上げを一年半先送りし、平成二十九年四月から実施するとの考えを示し、選挙でこれが容認されたかたちとなり、社会保障の財源確保は、いちだんと厳しい状況に追い込まれている。

 消費税率が五%だったのを八%へ、そして一〇%へと段階的に引き上げられることは、民主党政権時代に「社会保障・税の一体改革」関連法案として、自民党・公明党と三党合意のもと可決され、増税分は社会保障の財源に充てられるはずだった。しかし、八%に引き上げられた税収分の使い道もはっきりと示されていないのが実情で、国民の増税への抵抗感が根強いことは、平成二十六年の世相を表す漢字が「税」であったことからも見てとれる。

 とはいえ、わが国の財政は火の車であることは明らかだ。財政赤字はふくらむ一方で、財務省の発表によると、国債と借入金、政府短期証券を合計した、いわゆる国の借金は平成二十六年九月末で一〇三八兆九一五〇億円となり、国民一人あたりに換算すると八〇〇万円を超えている。一般会計予算の約四分の一は債務の返済に向けられ、近い将来、ギリシャのように財政破綻するのではないかと不安視する声も聞かれる。消費税率が一〇%に引き上げられたところで、こうした状況を抜本的に改善するには至らないのである。

 社会保障関連のなかでも、とりわけ医療費の財源不足は深刻で、すでに医療財政は破綻寸前の状況といわれるようになって久しい。わが国の国民皆保険制度は世界的に誇れるすばらしい制度であることは、誰もが認めるところだろう。だが、制度発足から五十年以上が経過し、当時と時代背景も大きく異なってきている。

 世界に類を見ない高齢化の進展により国民医療費は毎年一兆円規模で増え続け、平成二十五年度の国民医療費は四〇兆円を突破するとみられている。政府は後期高齢者医療制度の保険料軽減特例措置の見直しなどの改革を進めようとしているが、国民皆保険制度の存続は、もはや小手先の改革では、にっちもさっちもいかないところまで追い込まれているのではないだろうか。

 こうした財源問題にとどまらず、国民皆保険制度そのものが制度疲労を起こしており、根本的な仕切り直しが必要ではないかと訴えるのが、日本で最大規模の歯科医療グループを形成する医療法人徳真会グループ(本部:新潟市)の理事長・松村博史氏だ。

 医療財政が逼迫するなか、歯科の診療報酬は低いレベルに抑えられたままで、歯科医療の現場は総じて厳しい状況に置かれている。加えて昨今は歯科医師過剰問題も取り沙汰されているが、松村氏はそのこと自体はまったく問題にしていない。グローバル化が進み、医療も歯科医療も世界的に大競争時代を迎えている状況下では、競争があって当然であり、競争があってこそいい技術や診療も生まれると考えているからだ。

 そうしたことよりももっと広い視点に立ち、日本の医療の将来を考えたとき、松村氏が危惧しているのは、現行の医療制度自体が危機的状況にあることだ。

 松村氏が指摘する日本の医療制度の課題は大別して三つある。一つはいうまでもなく医療財源の問題だ。二つ目はそれにともない、国民皆保険制度が制度疲労を起こしているということ。そして三つ目が、医療従事者の教育の歪みだ。これらの課題を解決していくには、国が行う改革、医療機関側の経営努力、国民(患者)の理解と協力という三つの側面から考えていく必要がある。

 医療に関する問題は超高齢社会を迎えた日本にとっては、解決すべき最重要テーマのひとつといえるだろう。その一方で、安倍政権下では医療を成長戦略の中核の一つに据え、産業としての医療への期待も高まっている。

 このように、医療はいろいろな意味合いで国民の大きな関心事であるだけに、私がパーソナリティを務めるラジオ番組『こんにちは! 鶴蒔靖夫です』では、足かけ二年余りにわたって松村氏に定期的にご出演を願い、「日本の医療」をテーマにシリーズ対談を行ってきた。対談で松村氏が考える医療制度改革への率直な提言や、すでに世界を舞台に先駆的な歯科医療事業を展開する徳真会グループの取り組みについて語ってもらった。

 本書は、ラジオでのシリーズ対談をベースに加筆・再編し、一冊にまとめあげたものである。医療および歯科医療にかかわる方々はもとより、これからの時代を生きるすべての人たちにとって、日本の医療のあるべき姿を考えるうえで、なんらかの参考になれば幸いである。

  平成二十七年一月  鶴蒔靖夫


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 はじめに


第1章 国民皆保険制度の仕切り直しと財源確保が急務

危機に瀕している日本の国民皆保険制度
道州制導入も視野に地方分権型医療のしくみづくりを
消費税、法人税、所得税、資産税オール二〇%への提言
「負担なくして給付なし」を肝に銘じるべき
基礎医療とオプション医療を明確に分ける
医療制度改革を進めるうえでは規制緩和も大きな課題
健康IDカードによる情報の共有化で無駄を削減
国への依存度を下げ、医療機関自らが経営努力を
安定経営には資本と経営、現場の分離も有効
国民(患者)一人ひとりに求められる自立の概念
社会保障を一元化し、医療費の窓口負担を一律に


第2章 真の医療人を育てる教育への提言

民度の低下は人間教育、道徳教育を怠ったツケ
医療従事者に不適性なら他分野に移行できるしくみに
人間力を磨かなければいい医療人は育たない
患者の理解・協力を得にくい臨床参加型教育の現状
歯学部学生のレベル低下で国家試験不合格者が大量発生
国家試験に適性、診断力、技術力の判定も取り入れるべき
国際人の育成はグローバルな環境づくりから
医療マネジメントのスペシャリスト養成機関の必要性
人材育成は企業や医療機関に課せられた責務
医療人に求められる四つのスキルを再教育
多彩な分野のリーダーから生き方を学ぶ「一燈塾」


第3章 「多極化・多角化・世界が舞台」をキーワードに ――徳真会グループが実践する歯科医療改革――

前例のない歯科医療の組織づくりに挑む
歯科医療の現場と経営を分離しチーム医療を実現
現場ではチームプレイの精度を高める努力を
国家への依存度を下げつつ医療の質と効率を高める努力
「医療もサービス業」という視点をもつ
大規模施設によっても生じるスケールメリット
海外展開による医療を通じた社会貢献
歯科技工分野でグローバル・ネットワークを構築
組織として、人としての「自立と創造誓言」
歯科医療界から世界的起業家表彰の日本代表に選出された意義


第4章 時代を先取りする歯科医療プロジェクト

多角化も視野に入れた日本最大規模の郊外型歯科医療施設
診療・技工・研究部門を統合した先端歯科医療研究所
「医療は人なり」を実現させるためのアカデミー
仙台・長町駅前に地方都市型新モデルを創造
東京・青山に誕生する都市型モデルの集大成となる施設
歯科医療分野で日本初のJCI認証取得をめざす
〝隣戦略〟で新たな井戸を掘り進める
〝医道塾〟を開催して医療人としての再教育を
ミャンマーにラボを設立し雇用創出による国際貢献を
学校法人とタイアップして歯科衛生士育成の取り組みも


第5章 日本の医療の成長産業化実現に向けて

アベノミクスでは医療を成長産業として位置づけ
大きく立ち遅れている日本のメディカルツーリズム
医療機関の競い合いより、本当の勝負は時代との競争
TPPへの参加で公正で自由な競争が行える環境へ
どうなる? TPP参加による混合診療解禁の行方
国境の概念を取り払い、医療従事者の人的交流を促進
少子高齢化時代に求められる歯科医療の役割
官民あげて日本の医療の未来を切り開く

 あとがきにかえて


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