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2017年8月

2017/08/31

『夢を叶える予備校』前書きと目次

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夢を叶える予備校
~躾、環境づくりから始まる第一志望合格への道~

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著者:鶴蒔靖夫
定価:本体1800円+税
ISBN978-4-87218-436-5
初版発行:2017年9月13日
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はじめに

グローバル化や技術革新の進展がこれまでにない社会の到来を予測させるなかで、喫緊の課題とされているのが教育の改革である。

従来の教育で重視されてきた「知識・技能」に加え、思考力や判断力、そして高いコミュニケーション能力などを身につけなければ、多様な価値観を持つ国や人々がそれぞれの立場を尊重しつつ自らの考えをぶつけあう国際舞台から取り残されることは、必至だと言えよう。

そうしたなかで政府は、2020年度から大学入試の抜本的な改革を実施することを打ち出した。

これまでも、大学入試の改革は社会の変動につながり、少なくない影響を与えてきた。共通一次試験、大学入試センター試験が定着させた偏差値偏重社会を経て、実学業を重視し、豊かな人間性を育むことを明確に打ち出した今回の入試改革が、どのような社会を導くのか、いまから高い関心が寄せられている。

国によるこうした入試改革の遙か以前から、大学入試のための勉強を通じて豊かな人間性を育てることを理念においていた大学受験予備校がある。それが本書で紹介する「学校法人村上学園 高松高等予備校」(香川県高松市。以下、高松高等予備校と記す)である。

高松という地方都市に根を張る高松高等予備校は、西日本の予備校の雄として圧倒的な存在感を示している。その非常に高い合格実績により、全国各地から毎年1000人以上の受験生が集まるというから驚きだ。

彼らを引きつけているのは、なんといっても第一志望校への合格率の高さである。その大半は国公立大学や有名私立大学に合格している。近年、人気が高まっている国公立大学医学部医学科への合格率もきわめて高く、2017年度は129名が合格を果たした。

第一志望校の合格を達成するために、高松高等予備校ではありとあらゆる工夫がなされている。学力別に分けたクラスは、すべてが少人数制である。徹底した個別指導により、センター試験の点数が前年の300点台から700点台にまで1年間で急上昇するという奇跡のような話も実際に起きている。

各クラスには専任教師による担任がおかれ、学習から生活習慣に至るまで、きめ細かな指導が年間を通して行われる。その熱心さは、「全身全霊」という言葉がふさわしい。授業の運びはわかりやすく、かつ、わかるまで何度でも教えていく。

「ここには、サラリーマン的教師はひとりもいません」

こう言うのは、本書の主人公である理事長の村上良一氏だ。この村上氏こそが、地方の一予備校にすぎなかった高松高等予備校を、全国にその名が知られる存在にまで押し上げた人物である。

村上氏によれば、浪人生とは現役時代に勉強をしなかった者たちである。きちんと勉強をした者は現役で志望校に受かっている。

高松高等予備校では、浪人生の大半は、机に向かう習慣もできていない「高校4年生」ととらえ、毎日の授業と寮での自習時間を組み合わせた徹底した学習管理システムを構築して、勉強に集中できる最高の環境をつくりあげている。「高校生」である以上、遅刻は厳禁、無断欠席はご法度であり、実際、生徒たちの授業への出席率は98%に達している。

「合格の秘訣は、規則正しい生活と勉強への専念です。きちんとした生活習慣ができていれば、自然と合格するのです」

と、村上氏はあくまでも泰然と語る。

その高松高等予備校最大の特徴が、各地からやって来る生徒のための直営寮があるということである。別名「受験道場」あるいは「高予備刑務所」と呼ばれるこの寮では、起床から就寝までの生活すべてが受験勉強を中心にした厳しい管理下で行われる。殊に夕食後に全員が自習室に集まって行う3時間の「必須自習」は、忍耐力と持久力を身につける自分との闘いの時間である。この苦しい時間の積み重ねが、知らぬうちに彼らの精神の幹を太くさせていくのだ。

寮では寮長と寮母が24時間体制で、厳しく、かつ温かく寮生を見守り続ける。食事はすべて手料理で、これが寮生の元気の源になっている。「うどん県」とも呼ばれる香川県の予備校らしく、学校の敷地内には生徒のための安いうどん屋がある。また、生徒が体調をくずしたらいつでも入院可能な医院も設けている。予備校附属の医院があるのは、日本で唯一、高松高等予備校だけである。

村上氏は、生徒を予備校の「お客様」だと思って接している。お客が何を欲しているか、どうすれば喜ぶかを追求することをいちばんの運営方針として、彼らの成長をさまざまな方向から促していくのである。

どんな生徒も磨けば光る。ときには規則を守らずに寮から追い出される生徒もいるが、そんなときは自分の家に住まわせて、合格までの面倒をみる。素直にまじめにやることの大切さに気づいてもらうためだ。

「素直さとまじめさがあれば、人生、怖いものはないのです」

こうして巣立った生徒たちは、自分への甘えを打ち消し、礼儀をわきまえ、努力する大切さを知った人間として、自らの足で人生を歩み始める。共同生活を通して、協働の意味を汲み取っていく。それが人間性の基礎となり、高松高等予備校の卒業生はほかの子よりも社会性があり、辛抱強いなどの評価を受けている。

受験に成功するだけの教育をするのではなく、社会に出たときに立派に通用する人材に育てること。そこに高松高等予備校がめざす人間教育の真髄がある。

人を育てることへの思いの深さは、不登校児支援のための全日制スタイルの通学型通信制高校である「村上学園高等学校」の開校も実現させた。16年がかりの奮闘の成果である。

グローバル時代となり、多様な人々との協働が求められる場面がきても、高松高等予備校の卒業生たちなら、自然体で正面から向きあえるのではないかと期待ができる。

本書は、地方にありながら全国の受験生や保護者から高い支持を集めている高松高等予備校のさまざまな取り組みを紹介しつつ、理事長・村上良一氏の教育理念や人生哲学に迫るものである。ひょんなことから予備校経営に携わることになった村上氏の波乱に富んだ半生は、清濁あわせもつ器の深さや熱気の高さなどを存分に伝える味わい深い物語になっている。

これは、広く教育に携わる人のみならず、日本の若者の健全な成長を願うすべての読者にとって貴重な指針の書となるであろう。

なお、本文中の敬称は略させていただいたことを、あらかじめお断りしておく。

 2017年8月  鶴蒔靖夫


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はじめに


第1章 変化する大学進学をめぐる動き

日本特有の大学進学の厳しさとは
2018年問題と教育現場の大変革
「根本は人間を育てるところにある」と言う異色の予備校
激減する浪人生
予備校はこれまでのビジネスモデルが通用しない時代に
親と子の「受験観」の差
大学入試制度の変遷
強まる「文系回帰」の傾向
志願者が多い人気大学の魅力とは
映像授業は予備校の脅威にはならない


第2章 第一志望合格へ導き人間的成長を促す、独自の学習環境づくり

予備校は「勉強しない子」が来るところ
勉強しに来るのではなく、勉強しないから予備校に来る
Ⅰ 厳しい出席管理
 授業に出ることが最低条件、年間平均出席率98%
 「学習状況管理システム」で日々のすべてを保護者と共有
Ⅱ 寮での徹底した生活管理
 「受験道場」と呼ばれる8つの直営寮にかけた信念
 厳しい規則のなかでの生活が、集中力と人格を高めていく
 寮の真髄は自習室にあり。そこでおたがいに競いあう
 寮長と寮母は親代わり
 家族のような運命共同体として
Ⅲ わかるまで教える授業とクラス担任制
 少人数クラスで対話形式の授業を実現
 専任教師がクラス担任をする、かぎりなく高校に近い雰囲気
 熱意と親切心のある教師たち
 生徒のためにある「教え方」と「オリジナルテキスト」
 どこよりも学力が伸びるためのオリジナルテスト
「必勝五箇条」と若さのはじけるスポーツ大会
自宅通学生も自習室の利用で学習リズムを確立
日本初の予備校附属医院
学費と寮費が「すべて込み」で、特待生制度も充実
社会に役立つ人材を。教育の原点は人育て

《ここに来る教師はみんな、教えることが好きなんです》
 高松高等予備校 校長 馬場 康弘


第3章 情報戦を制する高松高等予備校

受験は情報戦
全国の予備校で初めてコンピュータを導入
大学進学研究会の始まりと発展
自前の情報にこだわり続ける『入試のてびき』
入試センター試験ファイナルの実施
センター試験の自己採点結果をどこよりも早く公表
システム完成によって情報の力が飛躍的に伸長
数字で見る1年間のドラマ
2017年の入試変更の動き


第4章 夢と希望を育む「村上学園高等学校」

香川県初の私立学校による通信制高校
社会の一員として活躍できる人間を育てることが目標
公文式学習を導入
「進学コース」の生徒は高松高等予備校が全面的にバックアップ
キャリアアップと生きる力を養う総合学習
さまざまな人とのつながりや地域との交流を体験
通信制高校の増加が示す子どもたちの不安な現状
開校までの16年間の戦い
「村上学園高等学校で勉強できることに誇りを持っています」
本人が気づいていない可能性を引き出し、羽ばたかせる教育を
自分の道を歩み始めた卒業生たちの力強いメッセージ

《村上学園高等学校は全日制スタイルの通信制高校》
 村上学園高等学校 校長 村上 太


第5章 波瀾万丈の半生が生んだ理念と哲学

やんちゃで喧嘩も強かった子ども時代
アイデアひとつで儲けた学生時代
電気店大成功
賭け事をやめるため、縁もゆかりもない仙台へ
3年間だけ手伝う約束で高松に
受験生に「親分」と呼ばれ
「自分の子ども仕様」に寮を改善
補習科を凌駕する予備校を目標に
高松高等予備校の寮をつくった人物
自習室の始まりはブレーカーが落ちたから
行き場のなくなった子を自宅に呼んで受験まで面倒をみる
思えば遠くへ来たものだ

《空気のような存在で、最後まで面倒をみる》
 総寮長 石井 孝明
《食事を通して心と身体を元気にしていくのが役割です》
 寮母 栢木 八重乃


第6章 いつまでも「生徒のための予備校」であり続けるために

思いがけない褒章受章
教育で金儲けはしない
教育とは、その子のためになるようにすること
やりたいことをやらせなさい
教師との一体感がある古き良き時代の学校
東京オリンピックまで現役で


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