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2017年10月

2017/10/20

『合人社グループの挑戦』前書きと目次

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合人社グループの挑戦
~マンションは管理を買う~


著者:鶴蒔靖夫
定価:本体1800円+税
ISBN978-4-87218-380-1
初版発行:2012年11月15日




 はじめに

 マンションの資産価値を維持するにあたって、重要な要素はその管理にあるといわれている。

 一般的には、マンションを買う場合、外観や間取りにはじまり、周辺の住宅環境、交通の便など、どこかで折り合いをつけ、購入する。

 だが第一に、マンションは管理を買うのだという話がある。初めてマンションを買う場合は特に夢だけが肥大して、マンションの管理まで頭が回らないことがほとんどであるが、引っ越したその日から管理と直接かかわりあうことになるのだ。

 管理が悪ければ、建物は傷み、雑然としたまま放置されればマンション自体の資産価値は下がる一方である。

 ところが近年、マンション管理に関して数々の問題点が指摘されてきた。その一つは、管理費用が高止まり状態になっていることだ。理由は、新築マンションを購入したとき、すでに管理会社が指定されており、競争原理が働かなかったことにある。しかも、その多くがデベロッパーの傘下にあるため、そこに利権が生じることも問題視されていた。

 一方で、半永久的に同じ管理会社が業務を行っていることから、住民の管理に対する関心が低下し、その結果、住環境が改善されないというケースも見られた。そのうえ、大規模な修繕工事が必要となった場合にも積立金が十分にストックされておらず、修繕がままならない状況に陥るケースもあった。

 このような状況を受けて、国は平成十三(二〇〇一)年に「マンションの管理の適正化の推進に関する法律」を施行。これを契機に、管理業界にも徐々にではあるが構造変化が生まれてきている。新築時に決められた管理業者から住民による管理組合がよりよいと判断した管理会社に切り換える「リプレイス」も進んできた。マンション管理業界にも、ようやく競争原理が働くようになったといえよう。

 こうした背景のもと、独立系の管理会社でありながら、設立から約三十年で業界トップクラスにまで成長を遂げ、注目を集めているのが、本書で紹介する株式会社合人社計画研究所(本社:広島県広島市、合人社グループ代表取締役会長兼CEOおよび合人社計画研究所代表取締役所長:福井滋氏)である。

 同社は、デベロッパーを親会社に持たないにもかかわらず、管理受託戸数は合人社グループ全体で一七万戸を優に超える。その成長の理由を、同グループ代表取締役会長兼CEO・福井滋氏は「われわれの経営戦略は極めて簡単です。安くてよいサービスを売ることです」と語る。

 つまり、従来までの管理会社は、このあたり前ともいえる戦略を行ってこなかったのである。その点、同社は独立系であるがゆえに厳しい競争にさらされ、顧客のニーズに合わせるための努力を続けてきたからこそ、高品質・低価格を実現できたといえる。その秘訣はいくつかある。

 まずは、大手管理会社のほとんどが本社を東京に置くなか、同社は広島に本社を置き、人件費や事務所賃料など各種経費の圧縮をはかっている。情報システムにも積極的に投資し、会計業務などの処理を徹底して自動化することで、間接費の削減にも成功した。こうした小さな積み重ねが、ほかの管理会社には真似のできない低価格化へとつながり、顧客数増加でスケールメリットを得ることにより、さらなるコスト削減を実現することができたのである。

 また、フロントマン一人あたりが担当する管理組合数を少なくすることで、理事会の運営サポートや緊急時の対応も充実。管理報告書や月次決算報告書を作成し、毎月全戸に配布するなど、情報をガラス張りにし、住民の管理への関心を高め、管理費の使途の透明化といった努力も行った。一方で、情報誌『Wendy』の発行や、マンション内にカルチャー教室、ミニショップ、さらに全国にさきがけて託児所を設けるなど、住民の暮らしを快適にするためのサービスも提供している。

 同社の創業者である福井滋氏の経歴も異色だ。福井氏は、京都大学大学院で環境計画学を学んだ後、関西電力建設部、環境問題のシンクタンクを経て、広島工業大学工学部助教授に就任。そして、昭和五十五年に合人社計画研究所を設立した。

「デベロッパー系やビルメンテナンス系の会社が多いなか、当社は地域計画や公共施設の設計事務所・計画コンサルタントがルーツです。そのノウハウや人材のストックがあるからこそ、日常点検はもとより、長期修繕計画や大規模修繕工事において適正な施工管理・コンサルティングを行えるのです」と福井氏はいう。

 その一方で、マンション管理で培ったノウハウを生かして、さまざまなジャンルの公共施設開発・運営(PFI事業)にも力を入れている。

 平成十一年には自社ビルを完成させたほか、合人社グループは、平成二十四年三月に、独立系の管理会社では最大手の日本ハウズイングと提携。独立系の強みを最大限に生かし、競争力を高めることで、提携関連会社をあわせて一〇〇万世帯のマンション管理をめざしている。

 本書は、新しいマンション管理のあり方を提起し、牽引する合人社計画研究所の事業活動を紹介するとともに、創業者・福井滋氏の経営理念、ビジネス哲学を検証する。これは、マンション管理に携わる人はもとより、快適なマンションライフを求める多くの一般読者にとっても貴重な指針の書となるであろう。

 なお、本文中の敬称は略させていただいたことを、あらかじめお断りしておく。

平成二十四年九月   鶴蒔靖夫




 はじめに


第1章 マンションは「管理を買う」

永住志向で管理・運営の意識変化
住みよいマンション実現への努力
これからのマンションは管理重視
管理会社と連携、一体運営の是非
浮上するマンション管理の現状
デベロッパー系・独立系管理会社の相違点
適切な距離感が重要
進むマンション管理の構造変化
独立系マンション管理会社の台頭
リプレイスによる管理会社選び


第2章 業界トップクラスに成長した独立系管理会社 ― 合人社計画研究所の事業概要 ―

管理を具体的に住民に知らせる
堅調な動きを示すマンション発売動向
入居者に不信感を抱かせない
強化される管理業者への法規制
きめ細かい対応が最良策――顧客の要望に即した実需としてのサービス提供
卓越した実利性とサービス内容
品質管理の保証を訴求する現場
目に見える管理を具体的に提供
管理戸数拡大により年商アップ
広島拠点で全国規模の事業展開


第3章 入居者本位の管理サービスを提供

新体制の布陣でさらなる飛躍へ
M&Aで加速、平成十五年に一〇万戸達成
国が示す新たな管理方式の検討
あたり前のことを一生懸命やる
第三者管理における課題と現状
フロントマンで評価される現場
システムを使いこなしてこその管理
おまけをつけるか品質を磨くか
伸び代・余白はまだまだある


第4章 住民第一主義の企業理念と人材育成

マンション住民へ利便性を提供
管理会社に対する不信感が募り、結果としてリプレイスへ――ユーザー証言①
顧客の意識がまったく違う時代
大規模タワーマンションだから注目した「管理者方式」――ユーザー証言②
常にユーザーの声に耳を傾ける
現場は会社の鏡ですべてが出る
リプレイスの決め手=担当者の“誠実な人柄”が決定打――ユーザー証言③
将来の大規模修繕工事に備える
大規模修繕工事の発注について


第5章 創業者・福井滋の経営理念と哲学

理工系の頭脳と旺盛な好奇心
“なんでも見てやろう”精神のころ
どう生きる! 技術者か経営者か
ノウハウ、ハウツーを吸収する
やがてひと筋に収斂していく道程
なんでもできなければダメの思想
いまのDNAを広げかつ伝えていく
勝てる勝負をするのが経営者だ


第6章 合人社グループが描く未来への展望

PFI/PPP事業に積極的にかかわる
PFI/PPPとは何か?
わずか一〇円の差で取れたPFI事業
“性能発注”により有利な展開
常に新しいことに挑戦する社風
強固なピラミッドが生む永続性
権限委譲して人材の力量を磨く
企業力は“人”に収斂する
超高層マンションは有望市場か
経営に頂上はない


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2017/10/17

『グローバル・リンクのエネルギー革命』前書きと目次

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グローバル・リンクのエネルギー革命
~日本のモノづくりが世界を救う~


著者:鶴蒔靖夫
定価:本体1800円+税
ISBN978-4-87218-438-9
初版発行:2017年10月22日




はじめに

「資源小国日本」

これは、わが国が以前から内包し、今後も対応を迫られる重大な課題である。

たとえば、日本の食料自給率(カロリーベース)は40%にも満たない。自給率が低いということは、輸入が途絶えれば国民の食生活が成り立たなくなるおそれがあるということだ。そのため、国産農林水産物の消費拡大をめざそうと、さまざまな取り組みが進められている。

さらに、民生と産業の双方の維持・発展に欠かせないエネルギーの自給率はわずか6%(2014年)と、食料自給率の比ではないほど低い。現代社会において電力は不可欠なものであり、それがなければ文化的な生活を送ることは難しいにもかかわらず、日本はエネルギーの94%を輸入に頼っているのだ。

バブル期のような勢いは見られないものの、日本はいまだに世界第3位の経済大国である。2016年の日本の名目GDPは4兆9386億ドル(IMF「World Economic Outlook」)、また都市別に見たGDPランキングでは東京が世界第1位となっている(Brookings Institution「Global Metro Monitor」)。

こうした経済活動を支えているのは、日々大量に消費されているエネルギーだ。世界最大級のエネルギーグループ企業であるBPの統計によれば、日本は一次エネルギー消費量(商業的に取引される燃料および発電用の再生可能エネルギーの合計)の国別ランキング(2016年)で、中国、アメリカ、インド、ロシアに次ぐ第5位となっている。

また、東日本大震災以降、節電意識が全国的に高まったとはいえ、いまでも日本の国民1人あたりの電力消費量(2014年)は、主要国のなかでカナダ、アメリカ、韓国に次ぐ第4位である(IEA「WORLD ENERGY BALANCES」2016 Edition)。

24時間営業のコンビニエンスストアやファミリーレストラン、早朝から深夜まで営業しているスーパーマーケット、24時間365日稼働し続ける自動販売機などは、日本ではあたりまえのようになっているが、世界を見渡せば、先進国ですら、そこまでの利便性を追求している国はそう多くない。こういった便利さは、大量に消費される電気と引き換えに日本人が手にしているものだ。

にもかかわらず、原子力を除く日本のエネルギー自給率はわずか6%というのは、不安定さを増しつつある世界の政情を考えれば、あまりにもリスキーなのではないだろうか。

同じ島国でも、北海油田をはじめとする豊かな地下資源に恵まれたイギリスとは違い、日本は固有のエネルギーや資源がきわめて乏しい。そのため、石油や天然ガス、石炭といった化石燃料を輸入してエネルギーを賄っているが、そのうち石油と天然ガスは政情が不安定な中東諸国に依存しており、供給体制には常に不安がつきまとっている。

しかも、中国やインドなどをはじめとするアジア諸国の急激な経済発展に伴い、世界全体における資源やエネルギーの需要は右肩上がりに増えている。このままいくと、今後、日本が安定的に化石燃料を確保することは困難になるであろうことは想像に難くない。

それに加えて、これら化石燃料を使用する、火力発電や各種の工場、輸送システムなどは、地球温暖化の原因となるCOなどの温室効果ガスを発生するというデメリットがある。最近では、局地的豪雨の多発や干ばつ、ハリケーンや台風の被害の増加など、地球温暖化の影響とみられる異常気象が地球規模で起きているが、このまま温暖化が進めば、こうした異常気象はますます顕著になるおそれがある。

世界各国の協議によって京都議定書やパリ協定などが締結され、世界的な規模でCOの排出量削減が進められようとはしているが、2017年6月1日にアメリカのトランプ大統領がパリ協定からの離脱を正式に発表したことで、地球の気温上昇を産業革命前と比較して2度未満に抑えるための取り組みを推進することが困難になる可能性も生じてきた。

とはいえ、アメリカの離脱の発表を受けて、中国が即座にパリ協定順守の意向を表明したように、世界の主要国は今後もCO排出量削減のための協力体制を強めていくものと見られている。離脱を決めたアメリカにしても、大気汚染や公害に反対する国民パワーがCO排出量の増加を許さないだろう。

かつて「地球温暖化は中国がつくりあげた『でっちあげ』にすぎない」と発言したこともあるトランプ大統領が、いかに地球環境保護の流れに逆行しようとしても、世界はすでに化石燃料に依存しすぎることのリスクに気づいている。化石燃料は、使い続ければいつかは必ず底をつく。可採残量に限りがある化石エネルギーに依存して成り立つ文明は、けっして持続可能なものではないのだ。

しかも、安定して大量の電気を供給でき、温室効果ガスを排出しない安心安全なエネルギーとのふれこみで推進されてきた原子力発電は、福島第一原子力発電所の事故により、その安全神話がまやかしであったことを露呈してしまった。

東日本大震災が引き起こした津波によって全交流電源喪失状態に陥った福島第一原子力発電所は、水素爆発を起こして建屋が吹き飛び、大量の放射性物質を大気中に放出した。その結果、国際原子力事象評価尺度(INES)において最悪のレベル7に分類される、史上類を見ないほどの大規模かつ深刻な事故となった。

こうしてみると、地球温暖化を招く火力発電や、ひとたび事故が起きれば放射性物質の拡散などのリスクを抱える原子力発電は、エネルギーを確保する手段として理想的なものであるとは、とても言えないのが現実だ。

そこで期待されるのが、太陽光や風力、水力、地熱、バイオマスといった自然の力を利用する、クリーンで再生可能なエネルギーの活用である。これらは化石燃料に比べて自然環境への負荷が少なく、地球温暖化対策にもつながり、放射能汚染の心配や大規模な人的災害につながるおそれもない。

その再生可能エネルギーの分野で、独自に開発した技術によって着実に業績を伸ばしているのが、本書で紹介するグローバル・リンク株式会社(本社:東京都千代田区、代表取締役:冨樫浩司氏)である。

「ソーラー発電と蓄電で日本の未来に安心を」を社是に掲げるグローバル・リンクの設立は、2011年4月18日。東日本大震災の発生からわずか1カ月後のことである。

震災が起きたとき、大手造船会社の研究開発の職を辞していた冨樫氏は、故郷の宮崎市で、年老いた母親の世話をする日々を送っていた。そこに、かねてからつきあいのあった広告代理店の社長が訪れ、冨樫氏を一喝した。

「いつまでのんびりしているんだ。田舎に引っこんでいる場合じゃない。一刻も早く東京に戻って、おまえが持っている技術を活かして電気が使えるしくみをつくれ! 被災地の人たちを救うんだ」

その社長は、冨樫氏が蓄電システムに関する特許を所有していることを知っていた。それこそが震災で大きな被害を受けた日本社会にとって大きな希望の光になるに違いないと考え、なんと創業資金として3000万円を用立てようとまで申し出てくれたのだ。

「私が開発していた蓄電技術の可能性を、彼は信じてくれていたのです。震災で電気の供給が少なくなっているいまこそ、その技術を使うときだと教えてくれました」
と、冨樫氏は当時を振り返る。

東京に戻った冨樫氏は、グローバル・リンクを起こすとすぐに、自前の特許を駆使して小型太陽光発電と蓄電池を組み合わせた独自のシステム「G‐SOLAR」を開発し、OEMによって製品化した。

日本では、電力供給が不足していた終戦直後や、電気工事技術などが未発達だった1960年代ごろまでは、地域ごとに順番に電力供給を止める輪番停電がしばしば行われていたが、近年では電気工事技術の発達などにより、電気の供給が止まることはほとんど見られなくなっていた。

しかしグローバル・リンクの創業当時は、福島第一原子力発電所の事故の影響で全国各地の原子力発電所が運転停止に追いこまれ、日本の電力事情は逼迫していた。特に東日本では深刻な電力不足に陥り、一時的とはいえ、東京都内でも電力の供給制限、いわゆる計画停電が実施されていた。

また、電力ピーク需要を減少させるために節電対策が推進され、駅のエスカレーターが止まったり、公共機関におけるエアコン使用の抑制が行われるなどして、多くの人々が節電の影響を受けていた時期であった。オフィス自体は照明がついていても、ビルのエントランスや廊下の照明は消され、どこへ行っても薄暗かったことを、ご記憶の方も多いのではないだろうか。

こうした状況のなかで、誰もが新たな発電技術や蓄電システムを求めていたため、グローバル・リンクには創業早々から注文が殺到した。というのも、2011年の時点で太陽光発電と蓄電の両方の技術を擁する企業は、グルーバル・リンクのほかには1社しかない状況だったからだ。

「当社の持つ技術が時代のニーズと合致したため、創業からわずか1年たらずで出資してもらった3000万円を返すことができました」

と、冨樫氏は語る。

創業から半年ほど経ったころのことだった。テレビのニュースで、宮城県のある病院の院長が「電気が来ないので治療ができない」と嘆く姿を目のあたりにした冨樫氏は、すぐさま仙台市の病院を訪問し、「G‐SOLAR」を寄贈した。すると、その話題が複数のテレビや新聞にとりあげられ、グローバル・リンクの名が全国に知られることとなった。

この一件こそが、グローバル・リンクにとって大きな転機となった。これを契機に、それまで無名だったグローバル・リンクに、1日100件を超す問い合わせが寄せられるようになったのだ。

以来、グローバル・リンクの業績は右肩上がりに伸びている。現在までに設置した太陽光発電所の数は15府県69プラントにのぼり、その発電規模は原子力発電所1.5基分に相当するという。売上高もグループ全体で67億円を超えるまでに成長した。

本書は、再生可能エネルギーの普及に尽力し、各地のインフラのイノベーションに取り組むグローバル・リンクの事業活動を紹介するとともに、同社社長・冨樫浩司氏の経営理念と人生哲学に迫るものである。これは現在、再生エネルギー関連の事業に携わっている人のみならず、地域環境の未来を考え、日本の将来に関心を寄せる多くの一般読者にとっても、貴重な指針の書となるであろう。

なお、本文中の敬称は略させていただいたことを、あらかじめお断りしておく。

 2017年9月  鶴蒔靖夫



はじめに


第1章 急変する世界のエネルギー事情と国際的な取り組み

エネルギーに対する世界の考えを一変させた東日本大震災
世界で進む脱原子力発電の動き
深刻さが増す地球温暖化
地球温暖化の歯止めになるか、COP21「パリ協定」
2015年のもうひとつのトピック「SDGs」
地球温暖化防止の流れに逆行するトランプ政権
地球規模で増えつつある再生可能エネルギー導入
FIT制度の改正が再生可能エネルギーに与える影響
合意されたクリーンエネルギーへの投資増強


第2章 いま求められる再生可能エネルギーの活用

持続可能な社会の実現に欠かせない再生可能エネルギー
主な再生可能エネルギーの特徴
温暖化解決の鍵は分野ごとのイノベーション
注目される日本の地熱発電や水素技術
いよいよ政府が本腰を入れ始めた再生可能エネルギーの導入拡大
崩れ去った「オール電化神話」
震災後に必要性が再認識された「無停電マンション」
蓄電技術の向上が電気事情を大きく変える
再生可能エネルギーの導入が進むと電気料金が上がるのか
時代は「売電」から「自家発電」へ


第3章 再生可能エネルギー業界を牽引するグローバル・リンク

東日本大震災を機に起業を決意
技術をもって被災地に寄り添う
創立5年で原子力発電1.5基分の電力供給を実現
廃校を産業用太陽光発電に活用し、税収増で地元に貢献
温泉宿のM&Aで地熱発電分野にスピード進出
地熱発電で過疎地域を活性化
24の特許技術と尽きないアイデアで業界を常にリード
「ベストベンチャー100」に選定


第4章 エネルギー新時代を切り拓く多様な技術と製品群

太陽光発電に代わる次世代の再生エネルギー
世界に立ち遅れている風力発電分野でも活路を見いだす
温泉熱を活用する地熱バイナリー発電
医療・産業廃プラスチックを発電動力に活用
油化プラント技術を応用しジェット燃料を生成
永久磁石を使って恒久的に電気を生み出す夢のシステム
ノンフロン冷媒ガス「G‐POWER」を開発
蓄電技術を応用して生み出された製品群


第5章 「不可能の壁」へのあくなき挑戦 ―冨樫浩司の経営理念と人生哲学―

「世の中にないものをつくりだす」が経営理念
子どものころから好きだったモノづくり
大手自動車メーカーで金型設計の業務につく
日立造船に転籍し蓄電システムに出合う
発電・蓄電技術で社会に大きく貢献
夢のエネルギーをつくるため「不可能の壁」を乗り越えろ


第6章 夢の技術でエネルギーを“つくる”時代へ ―グローバル・リンクが描く未来―

世界進出に向け、まずは香港市場での株式上場をめざす
「夢の技術の開発」をミッションに掲げて
課題は次世代の育成
死ぬまで「モノづくり」はやめられない
挑戦し続ける研究者魂
めざすは「電力会社のいらない未来」


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2017/10/12

『「美しさ」が「感動」に変わる瞬間(とき)』前書きと目次

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「美しさ」が「感動」に変わる瞬間(とき)
~知られざる世界企業 タカラベルモントの挑戦~


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著者:鶴蒔靖夫
定価:本体1800円+税
ISBN978-4-87218-381-8
初版発行:2013年1月6日
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はじめに

現在、人の文明は大きな分岐点に立っている。

これまで、私たち人類は長い歴史を通じて、便利であること、あるいは経済的利便性の高いことが人の幸福を実現するものだと思い込み、ひたすら、その進化に挑みつづけてきた。しかし、近年になってようやく、それはどこか間違っていたことに気づいたからだ。端的にいえば、便利さの追求の果てに、人が住む場である地球環境そのものを破壊してきてしまった。そうした大きな矛盾に気づいた人は、本来、めざすべきものに立ち戻ろうとしている。

本来求めるものは「健やかであること」「心地よいこと」「美しいこと」――。それこそが、人を幸せで満たすものだということを痛切なまでに意識するようになっている。今後はますます、人がめざすものは基本的に「健やかであること」「美しくあること」に集約されていくに違いない。

「美と健康」に共通するキーワードは「ヒューマン」だ。したがって、今後、発展が期待される産業は「ヒューマン・インダストリー」の名を冠せられるものとなるだろう。「ヒューマン・インダストリー」を象徴する産業といえば、第一に理容・美容業界(以下・理美容界とする)があげられよう。

髪や肌の手入れやスタイリングは、時代や国、地域、民族、性別を越えて、すべての人にとって欠かせないものであるからだ。髪・顔などから発信するメッセージは、美しさの表現であるとともに、その人の個性であり、人間性そのものといえる。髪や肌は健康状態を映し出す鏡でもあり、その手入れを通じて体内部の健やかさをチェックする役割もある。

ヒューマン・インダストリーとしての理美容の高い価値、重要度を示すように、理美容界は常に上昇カーブを描いて発展してきており、日本国内の市場規模は、エステティック業界を含めて二兆三〇〇〇億円という巨大な規模に達している。

その市場を長年にわたり下支えし、常に際立つイノベーションを実現して業界の発展をリードしてきた企業がある。それが本書で取り上げるタカラベルモント株式会社(本社:大阪府大阪市、代表取締役会長兼社長:吉川秀隆氏)である。

「タカラベルモント」という社名を聞いても、一般的にはあまりなじみがないかもしれないが、誰もが一度は同社の製品にふれたことがあるはずだ。理容サロンや美容サロンでサービスを受ける椅子、あるいはシャンプー台、ヘアカラーやパーマの効果を高める促進器など、理美容サロンにある製品。同社はそれらのトップメーカーであり、社歴は九十年の長きにおよぶ。誰もがその椅子に座ったことがあるどころか、父も母も、祖父母、曾祖父母まで、座ったことがあるかもしれない。

また、理美容技術の提供に欠かせないパーマ液・カラー剤などのヘア化粧品、エステティックで使用するボディ化粧品などの各種化粧品、サロンの空間設計・施工、技術者育成のためのスクール展開など、タカラベルモントの事業内容は理美容からエステティック、ネイルまで網羅的にカバーしている。

さらに理美容椅子の技術を応用し、業容はデンタル・メディカル領域にも拡大している。患者は心地よく治療を受けられ、施術する医師も姿勢や体勢にムリやムダがなく活動しやすい診察台や治療台など、理美容界で培ったノウハウを注いで製作したデンタル・メディカル製品は、それまでの治療を行う側だけの視点でつくられた製品とは一線を画した。施術を受ける側、技術を提供する側、双方にとって心地よく、便宜性も高い製品を提供してきたタカラベルモントは、理美容界の機器メーカーとしてトップを走ってきたリーディングカンパニーである。デンタル・メディカル領域においても、世界における認知と評価は着実に高まってきている。

世界市場への進出も早く、日本のメーカーとしては戦後四番目にアメリカに現地法人を設立、ソニーよりも四年前になるというから、進取の気風は天晴れといいたくなる。次いでヨーロッパ、南米、アジアへとビジネスフィールドを広げていき、一時は理容椅子では圧倒的な世界シェアを誇っていた。近年は中国など新興国の低価格攻勢に多少シェアを落としているが、新興国の経済興隆が進めばクオリティを重視するタカラベルモントの製品が一気に見直されることになるという逆転のシナリオも見えている。

これまでも、タカラベルモントは常に業界の歴史を塗り替えるイノベーションを実現してきた。現在では、どこのサロンでも見かける遠赤外線促進器「ローラーボール」を導入したのも同社である。もっと端的に先駆性を示す例としては、「エステティック」「ヘッドスパ」という言葉を日本で広めたのもタカラベルモントなのである。

「当社の使命は価値提供企業をめざすことだと思っています。一貫して理美容サロンの顧客と医院の患者、そして機器を実際に使う施術者と医師の双方にやさしさを持った機器を開発し、ご提供する。それを通じてお客さまのよき協力者となり、より美しく健康でありたいという人の根源的な願いに貢献していくことに心血を注いでいます」

タカラベルモント代表取締役会長兼社長・吉川秀隆氏が語るように、世界経済の停滞期にも品質重視を基本精神に、次々、新たなイノベーションを進めている。

「来期ごろからそれらがどんどん市場に登場していく予定です」

経済面に限らず、明るい話題が少ないいまの日本に、こうした企業があることはなんとも心強い。

「日本には世界に誇るべきものが数多くあります。たとえば美しい自然、歴史、文化、人と人とのつながり、そして健康で美しいライフスタイル……。こうした日本オリジナルの価値が衣食住ほか多くの分野で改めて見直されています」

吉川氏がいうように、たしかなものづくり技術に日本オリジナルの価値を融合させたモノやサービスを提供・発信していけば、日本の技術やソフトは世界市場でさらに大きな場を得ることができるはずだ。

平成二十三(二〇一一)年、創業九十年を迎えたタカラベルモントはその確信を支柱に、世界の人々が求めてやまない「美と健康」にかかわる市場に、さらに貢献していきたいと決意を固めている。

本書では、創業者・吉川秀信氏にはじまり、二代目社長・吉川秀一氏、三代目の現社長・吉川秀隆氏へと継承されてきたタカラベルモントの、常に世界市場をめざす経営理念、ものづくり哲学を踏まえながら、同社がこれから進んでいこうとする将来ビジョンを描き出していきたいと思っている。

その姿勢、めざす方向性は、理美容界、デンタル・メディカル業界関係者はいうまでもなく、広く日本の今後に関心を持つ多くの読者にも貴重な示唆を与えるものと確信しているからだ。

なお、本文中の敬称は略させていただいたことを、あらかじめお断りしておく。

平成二十四年十一月     鶴蒔靖夫


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はじめに


序 章 サロンとともに歩みつづけて

理美容関係者一〇〇〇人が一堂に――九十周年感謝の集い
「TWBC2013」の開催を決定


第1章 理美容サロンを支えてきた九十年~Ⅰ ―たゆまぬ技術革新とサロン空間への新提案―

心地よさ+高機能性を満たす椅子
「髪が伸びない人間はいない」
三兆円市場をリード
男性は二カ月に一度、理容サロンを利用
女性の美容サロン利用は年平均五・二回
「一〇〇〇円カット」や「自宅ケア」が増加傾向に
だからタカラベルモントの価値が光る
常に利用者サイドに立った九十年のものづくりの歴史
手洗いを超えた自動洗髪機を開発
美容サロン空間を変えた「ローラーボール」
第三のパーマ「エアウェーブ」などを積極的に提案
理容界に活気を取り戻そう
理容サロンの立場に立った提案がタカラベルモントの伝統
「ニュー・メンズ・プロジェクト」
理容サロンのリメイクも成功!
サロン設計、開業プランニングも積極展開
開業サポートでイメージどおりに出店できた!
顧客・サロン・タカラをつなぐ「SALONPOS LinQ」


第2章 理美容サロンを支えてきた九十年~Ⅱ ―ハード・ソフトの両面から理美容界の技術をサポート―

ヘア化粧品のメーカーとして
オーセンティックビューティで急伸長
主力ブランド「ルベル」
サロンの化粧品「エステシモ」
メンズ向けアイテム「トリエオム」
CE開発グループの存在と貢献
営業マンにも美容師資格の取得を推奨
エステ、ネイルカレッジで技術者を育成
吉川学園「タカラ美容専門学校」を開設


第3章 デンタル・メディカル事業への取り組み

世界規模で成長が期待されるデンタル・メディカル事業
デンタル事業
 海の向こうで芽生えたデンタル椅子製造
 販売もアメリカ市場が牽引
 デンタル事業、成長の軌跡
 デンタル事業の活性化に全力投球
メディカル事業
 身体的にも精神的にも、患者が心地よい診療椅子
 他の診療科の検診台、治療台へと発展
製品力を支える開発本部
 開発力をさらに磨いていく
 人間工学+ヒューマニティがヒットのカギ
グローバル展開を推し進める国際事業
 「世界はひとつ」の企業遺伝子
 世界市場を席捲する
 不退転の決意で国際事業を再強化する


第4章「世界はひとつ」を企業精神に

Ⅰ・創業から太平洋戦争終戦まで 大正十~昭和二十年
 いくつも頂を連ねていくという社名を戴いて
 宝鋳造所創業社長・吉川秀信の誕生
 事業の安定と拡大に奔走
 理容椅子と出合う
 日本各地へ、さらに海外へ
 戦争の嵐のなかを生き抜いて
Ⅱ・戦後~東京オリンピックまで 昭和二十~三十九年
 終戦。そして新たなる出発
 飛躍と拡充の昭和三十年代
 「水道哲学」と理容椅子の普及
 活発な新製品開発
Ⅲ・高度経済成長期・前期 昭和四十~五十八年
 デンタル椅子製造を開始
 世界一の理容椅子メーカー・コーケン社の買収
 化粧品分野への進出・ウエラ社との提携
 タカラベルモントの発足・万博に単独参加
 ブラジルに賭けた夢
 化粧品の自社ブランド「ルベル」誕生
 全社あげての販促キャンペーン「ビバ・フェスタ78」を開催
 創業者・吉川秀信の逝去
Ⅳ・高度経済成長期・後期 昭和五十九~平成元年
 企業体質の変換
 V3計画発進
 理美容機器の革命「ローラーボール」の誕生
 デンタル・メディカル事業の成長
 化粧品事業を大幅に拡大
 吉川秀隆が第三代社長に就任
Ⅴ・平成という新時代 平成二~二十三年
 第三次「V3」計画と二十一世紀プラン
 積極施策の展開で国内外市場を活性化
 阪神・淡路大震災の救援・復興支援に全力を傾注
 創業七十五周年、記念行事開催
 TWBCの開催
 二十一世紀のタカラベルモント始動
 水害では代理椅子の貸し出しも
 化粧品研究開発センター誕生
 顧客満足をさらに追求し、ものづくりをいっそう極めていく
 リーマンショックの余波を受けて
 不撓不屈の精神をバックボーンに
 東日本大震災からの復興、さらに新たな展望を求めて


第5章「第二の創業」という名の全社改革

九十周年を機に「第二の創業」宣言
人材育成
 コンプライアンスと「社訓(創業の精神)」
 タカラベルモントの人材育成、二つのミッション
 がんばった人が報われる人事制度に
 体系的な研修制度を確立
 人材の入り口・採用に全力を傾注
 本気のやる気を引き出す新入社員研修
 新入社員全員に海外研修を実施
「第二の創業」年を起点に中期経営計画を実施
各事業部が緻密な戦略遂行で儲かる経営体質へ


終 章 百周年、そしてさらにその先へ向けて

いつも、そこにをさらに徹底、充実していく
まず、市場づくりに全力を傾注
顧客を創造し、新たな事業領域を切り開いていく
海外市場の取り組みを足元から洗い直す
コスト競争力を磨き、中間層の取り込みを進めていく
市場ごとのきめの細かな製品づくり
大きな期待と使命を持つデンタル・メディカル事業
輝きを放つ未来へ向かって


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『国民は150人の命を救えるか!』前書きと目次

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国民は150人の命を救えるか!
~建設職人に光を 明るく楽しい建設産業を創る一足場職人の55年の軌跡を追って~


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著者:鶴蒔靖夫
定価:本体1800円+税
ISBN978-4-87218-382-5
初版発行:2013年5月11日
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はじめに

「一五〇人の命を助けてください」

切実なる叫びというのが強く伝わってくる文言だ。

平成二十四(二〇一二)年十一月八日に開催された「全国仮設安全大会」で採択された決議(書)の冒頭にこの言葉が記されている。同大会はストップ・ザ・墜落事故を目標に掲げ、「全国仮設安全事業協同組合」(後述)により開催された総決起集会である。建設現場で墜落する死亡事故者は年間一五〇人を数えるが、この事実は一般的には知られていない。

街のあちこちでシートがかけられ、今日も建設工事が進んでいる。日常、見慣れた光景だから誰もさほど気にはとめない。工事現場の横を通る際は、少し注意を払う程度である。

しかし時折、物が落ちてきたり柱が倒れて通行人が巻き込まれる死傷事故が起きると、報道で大きく取り上げられる。すると、人々は顕在化した危険に眉をひそめる。だが、多くの場合、無事故・安全第一の看板が掲げられる建設現場は、危険であることは理解していても、それほど事故が頻発するとは考えない。

しかし、シートの内側は、別の世界だった……。

詳細は本文で述べるが、最初に掲載したように、「平成二十三年における死亡災害発生状況」によると、建設業の死亡災害発生は四九四人となっており、これは全産業の死亡者数一〇二四人の実に四八・二%を占めている。いかに建設業が危険な状態で仕事をしているか、この数字からも明らかだろう。しかし一般的には、それほどの数の年間死亡者がいるとは知られていない。また、死亡には至らないまでも、四日以上の休業を余儀なくされる職人の数は、年間約二万人にも上るのだという。

「死亡で多いのが墜落事故です。統計に出てくるのは労災保険がベースの数字ですが、実際のところはもっと多いのが現実です。建設業は一一次にもおよぶ重層下請け構造となっており、すべて完全に掌握されているわけではありません」

この事実を語るのは、「全国仮設安全事業協同組合(略称:アクセス)」(本部:東京都中央区)の理事長・小野辰雄氏だ。

小野氏が造船工だった職人時代、二度の墜落事故を体験し、安全な足場の必要性を痛感する。そして昭和四十三(一九六八)年、日本で初めて安全足場機材を製造・販売・レンタルする日綜産業株式会社(本社:東京都中央区)を設立、代表取締役に就任している。つまり、同社は足場業のパイオニア的存在なのだ。

「創業して四十年以上になりますが、当社が納入した工事現場で足場に起因して墜落死した職人は一人もおりません」と小野氏は胸を張る。このように、墜落労働災害はゼロにできるのだ。「災害ゼロ」の具体的な手立ては、「手すり先行工法による二段手すりと幅木」(ハード)を設置し、確実な「足場などの安全点検」(ソフト)を実施することである。

現実に、アクセスおよび日綜産業では、このハードとソフトの取り組みにより、災害ゼロを実現している。どの建設現場でも同じようにまねをすれば、事故は撲滅できる。そのためには、安全足場の設置および安全点検を法制化する必要がある。

なおアクセスでは、この一月に「墜落労働災害撲滅に関する賢人会議」を経て、以下の三つを目的として訴求している。

建設産業に明るい未来を!!
建設職人にステータスと誇りを!!
若者が喜んで入職する建設産業界へ!!

墜落事故(危険)がなくならなければ、若い人は建設業を敬遠するようになる。実際にその傾向が近年増加している。人の命を粗末にする職場には未来はないのだ。

「人の命はみんな平等です。職人の命を大事にしなければ、建設業界は衰退する一方です。安全で楽しく仕事ができる現場・環境をつくれば、未来の明るい建設産業が創出できます」と、小野氏は熱く語るのだ。

同時に、職人の地位の向上をはかり、ドイツのマイスター制度に倣い、斯界のスペシャリスト、プロフェッショナルの育成にも注力すべきだと話している。

本書は、建設業の発展を支える「縁の下の力持ち」として仮設現場の安全確保に尽力するアクセスの活動を紹介するとともに、同組合の理事長を務める日綜産業社長・小野辰雄氏の経営理念、人生哲学に迫るものである。これは建設業の未来に大きく貢献するものであるだけに、建設業界関係者はもとより、多くの一般読者にとっても貴重な指針の書となるであろう。

なお、本文中の敬称は略させていただいたことを、あらかじめお断りしておく。

平成二十五年三月   鶴蒔靖夫


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はじめに


第1章 建設現場における労働災害の現状

自ら安全な足場をつくることを決意
事故は迂闊ではすまされない
全産業の死傷事故の三五%を占める建設現場――人の命が軽くあってはならない
建設現場での死亡者の約四〇%が墜落・転落
建設業の労災死亡者数の海外比較
建設現場における労災は弱者へのしわ寄せ
建設現場の墜落事故は人災だ――事故ゼロ実現のために何が必要かを考える
重層下請け構造が生み出した足場作業の安全軽視――経済優先で続発する事故
物理的に落ちない仕組みで無事故を実現
点検、そして点検さらに点検
建設職人の「命の人権」を救うために


第2章 建設作業の安全確立をめざす「アクセス」

墜落防止機材設置義務の法制化――アクセス積年の悲願を実現するために
ストップ・ザ・墜落事故
「点検に勝る安全なし」を体現
「安全なくして経済なし」の論理
建設労働者の三五%が足場作業員
「究極の陰の部分」に光を照射
適材適所が奏効した制度改正
事故ゼロの決め手を認知させる
待ったなし――緊急に手を打つ
働きやすい安心感のある足場の普及に向けて


第3章 「避けられた死」とは ―生涯現役、職人の地位と命を守るのがミッション―

教育で労災ゼロはできない
足場の設置こそ危険回避の前提
知悉するここから先の危険
「避けられた死」があるはずだ
公的に認められた有資格者の証
ドイツのマイスター制度に倣う
SSFを立ち上げ職人大学構想へ
正しいことは誰がやっても同じ――「ものつくり大学」の存在意義を考える
学んで現業に生かすことが大事
職人の地位と命を守ることが使命


第4章 現場の安全・安心文化を訴求 ―ファミリアな団結力で謳歌する日綜人生―

安全・安心文化を顕在化させる
日綜ファミリー結束力の源
チームワークが団結につながる
人と人の接点、和を大切にする
和を以て貴しとなすの真意
五年に一度、社員旅行で結束を強める
3Kマスターと3Kスピリット
一致団結ビクトリーの精神
スローガンは「ユーステージエボリューション」
安全・安心文化を継承する


第5章 「NISSO」の安心エンジニアリング

業界の安全に寄与しているか?
売り放しでは安全は確保できない
技能と技術の違いを明確にする
体験をエンジニアリングに投影
安全エンジニアリングから考察――応用力の育成と涵養についての小野持論
鳶がクイックに動けるために
安心エンジニアリングの浸透前夜
造船工法から導入したアイデア
こんなところでも仮設が大活躍
「われら幸せ建設職人行動たい」――安全のスペシャリストとして行動


第6章 安心して心豊かに暮らせる社会の実現に向けて ―建設現場を支える要は人―

建設業は深刻な人手不足
日本どうした! 自信を持て!
個のリ・エンジニアリング時代
他人に左右されない自前の哲学
経済より人が優先する独自の価値観――楽しさ満載の日綜ファミリー
失敗あり、貢献ありの海外展開
安全足場は原因療法である/「墜落労働災害撲滅に関する賢人会議」①
明るい未来の建設業を創造する/「墜落労働災害撲滅に関する賢人会議」②


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