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2017/10/12

『「美しさ」が「感動」に変わる瞬間(とき)』前書きと目次

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「美しさ」が「感動」に変わる瞬間(とき)
~知られざる世界企業 タカラベルモントの挑戦~


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著者:鶴蒔靖夫
定価:本体1800円+税
ISBN978-4-87218-381-8
初版発行:2013年1月6日
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はじめに

現在、人の文明は大きな分岐点に立っている。

これまで、私たち人類は長い歴史を通じて、便利であること、あるいは経済的利便性の高いことが人の幸福を実現するものだと思い込み、ひたすら、その進化に挑みつづけてきた。しかし、近年になってようやく、それはどこか間違っていたことに気づいたからだ。端的にいえば、便利さの追求の果てに、人が住む場である地球環境そのものを破壊してきてしまった。そうした大きな矛盾に気づいた人は、本来、めざすべきものに立ち戻ろうとしている。

本来求めるものは「健やかであること」「心地よいこと」「美しいこと」――。それこそが、人を幸せで満たすものだということを痛切なまでに意識するようになっている。今後はますます、人がめざすものは基本的に「健やかであること」「美しくあること」に集約されていくに違いない。

「美と健康」に共通するキーワードは「ヒューマン」だ。したがって、今後、発展が期待される産業は「ヒューマン・インダストリー」の名を冠せられるものとなるだろう。「ヒューマン・インダストリー」を象徴する産業といえば、第一に理容・美容業界(以下・理美容界とする)があげられよう。

髪や肌の手入れやスタイリングは、時代や国、地域、民族、性別を越えて、すべての人にとって欠かせないものであるからだ。髪・顔などから発信するメッセージは、美しさの表現であるとともに、その人の個性であり、人間性そのものといえる。髪や肌は健康状態を映し出す鏡でもあり、その手入れを通じて体内部の健やかさをチェックする役割もある。

ヒューマン・インダストリーとしての理美容の高い価値、重要度を示すように、理美容界は常に上昇カーブを描いて発展してきており、日本国内の市場規模は、エステティック業界を含めて二兆三〇〇〇億円という巨大な規模に達している。

その市場を長年にわたり下支えし、常に際立つイノベーションを実現して業界の発展をリードしてきた企業がある。それが本書で取り上げるタカラベルモント株式会社(本社:大阪府大阪市、代表取締役会長兼社長:吉川秀隆氏)である。

「タカラベルモント」という社名を聞いても、一般的にはあまりなじみがないかもしれないが、誰もが一度は同社の製品にふれたことがあるはずだ。理容サロンや美容サロンでサービスを受ける椅子、あるいはシャンプー台、ヘアカラーやパーマの効果を高める促進器など、理美容サロンにある製品。同社はそれらのトップメーカーであり、社歴は九十年の長きにおよぶ。誰もがその椅子に座ったことがあるどころか、父も母も、祖父母、曾祖父母まで、座ったことがあるかもしれない。

また、理美容技術の提供に欠かせないパーマ液・カラー剤などのヘア化粧品、エステティックで使用するボディ化粧品などの各種化粧品、サロンの空間設計・施工、技術者育成のためのスクール展開など、タカラベルモントの事業内容は理美容からエステティック、ネイルまで網羅的にカバーしている。

さらに理美容椅子の技術を応用し、業容はデンタル・メディカル領域にも拡大している。患者は心地よく治療を受けられ、施術する医師も姿勢や体勢にムリやムダがなく活動しやすい診察台や治療台など、理美容界で培ったノウハウを注いで製作したデンタル・メディカル製品は、それまでの治療を行う側だけの視点でつくられた製品とは一線を画した。施術を受ける側、技術を提供する側、双方にとって心地よく、便宜性も高い製品を提供してきたタカラベルモントは、理美容界の機器メーカーとしてトップを走ってきたリーディングカンパニーである。デンタル・メディカル領域においても、世界における認知と評価は着実に高まってきている。

世界市場への進出も早く、日本のメーカーとしては戦後四番目にアメリカに現地法人を設立、ソニーよりも四年前になるというから、進取の気風は天晴れといいたくなる。次いでヨーロッパ、南米、アジアへとビジネスフィールドを広げていき、一時は理容椅子では圧倒的な世界シェアを誇っていた。近年は中国など新興国の低価格攻勢に多少シェアを落としているが、新興国の経済興隆が進めばクオリティを重視するタカラベルモントの製品が一気に見直されることになるという逆転のシナリオも見えている。

これまでも、タカラベルモントは常に業界の歴史を塗り替えるイノベーションを実現してきた。現在では、どこのサロンでも見かける遠赤外線促進器「ローラーボール」を導入したのも同社である。もっと端的に先駆性を示す例としては、「エステティック」「ヘッドスパ」という言葉を日本で広めたのもタカラベルモントなのである。

「当社の使命は価値提供企業をめざすことだと思っています。一貫して理美容サロンの顧客と医院の患者、そして機器を実際に使う施術者と医師の双方にやさしさを持った機器を開発し、ご提供する。それを通じてお客さまのよき協力者となり、より美しく健康でありたいという人の根源的な願いに貢献していくことに心血を注いでいます」

タカラベルモント代表取締役会長兼社長・吉川秀隆氏が語るように、世界経済の停滞期にも品質重視を基本精神に、次々、新たなイノベーションを進めている。

「来期ごろからそれらがどんどん市場に登場していく予定です」

経済面に限らず、明るい話題が少ないいまの日本に、こうした企業があることはなんとも心強い。

「日本には世界に誇るべきものが数多くあります。たとえば美しい自然、歴史、文化、人と人とのつながり、そして健康で美しいライフスタイル……。こうした日本オリジナルの価値が衣食住ほか多くの分野で改めて見直されています」

吉川氏がいうように、たしかなものづくり技術に日本オリジナルの価値を融合させたモノやサービスを提供・発信していけば、日本の技術やソフトは世界市場でさらに大きな場を得ることができるはずだ。

平成二十三(二〇一一)年、創業九十年を迎えたタカラベルモントはその確信を支柱に、世界の人々が求めてやまない「美と健康」にかかわる市場に、さらに貢献していきたいと決意を固めている。

本書では、創業者・吉川秀信氏にはじまり、二代目社長・吉川秀一氏、三代目の現社長・吉川秀隆氏へと継承されてきたタカラベルモントの、常に世界市場をめざす経営理念、ものづくり哲学を踏まえながら、同社がこれから進んでいこうとする将来ビジョンを描き出していきたいと思っている。

その姿勢、めざす方向性は、理美容界、デンタル・メディカル業界関係者はいうまでもなく、広く日本の今後に関心を持つ多くの読者にも貴重な示唆を与えるものと確信しているからだ。

なお、本文中の敬称は略させていただいたことを、あらかじめお断りしておく。

平成二十四年十一月     鶴蒔靖夫


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はじめに


序 章 サロンとともに歩みつづけて

理美容関係者一〇〇〇人が一堂に――九十周年感謝の集い
「TWBC2013」の開催を決定


第1章 理美容サロンを支えてきた九十年~Ⅰ ―たゆまぬ技術革新とサロン空間への新提案―

心地よさ+高機能性を満たす椅子
「髪が伸びない人間はいない」
三兆円市場をリード
男性は二カ月に一度、理容サロンを利用
女性の美容サロン利用は年平均五・二回
「一〇〇〇円カット」や「自宅ケア」が増加傾向に
だからタカラベルモントの価値が光る
常に利用者サイドに立った九十年のものづくりの歴史
手洗いを超えた自動洗髪機を開発
美容サロン空間を変えた「ローラーボール」
第三のパーマ「エアウェーブ」などを積極的に提案
理容界に活気を取り戻そう
理容サロンの立場に立った提案がタカラベルモントの伝統
「ニュー・メンズ・プロジェクト」
理容サロンのリメイクも成功!
サロン設計、開業プランニングも積極展開
開業サポートでイメージどおりに出店できた!
顧客・サロン・タカラをつなぐ「SALONPOS LinQ」


第2章 理美容サロンを支えてきた九十年~Ⅱ ―ハード・ソフトの両面から理美容界の技術をサポート―

ヘア化粧品のメーカーとして
オーセンティックビューティで急伸長
主力ブランド「ルベル」
サロンの化粧品「エステシモ」
メンズ向けアイテム「トリエオム」
CE開発グループの存在と貢献
営業マンにも美容師資格の取得を推奨
エステ、ネイルカレッジで技術者を育成
吉川学園「タカラ美容専門学校」を開設


第3章 デンタル・メディカル事業への取り組み

世界規模で成長が期待されるデンタル・メディカル事業
デンタル事業
 海の向こうで芽生えたデンタル椅子製造
 販売もアメリカ市場が牽引
 デンタル事業、成長の軌跡
 デンタル事業の活性化に全力投球
メディカル事業
 身体的にも精神的にも、患者が心地よい診療椅子
 他の診療科の検診台、治療台へと発展
製品力を支える開発本部
 開発力をさらに磨いていく
 人間工学+ヒューマニティがヒットのカギ
グローバル展開を推し進める国際事業
 「世界はひとつ」の企業遺伝子
 世界市場を席捲する
 不退転の決意で国際事業を再強化する


第4章「世界はひとつ」を企業精神に

Ⅰ・創業から太平洋戦争終戦まで 大正十~昭和二十年
 いくつも頂を連ねていくという社名を戴いて
 宝鋳造所創業社長・吉川秀信の誕生
 事業の安定と拡大に奔走
 理容椅子と出合う
 日本各地へ、さらに海外へ
 戦争の嵐のなかを生き抜いて
Ⅱ・戦後~東京オリンピックまで 昭和二十~三十九年
 終戦。そして新たなる出発
 飛躍と拡充の昭和三十年代
 「水道哲学」と理容椅子の普及
 活発な新製品開発
Ⅲ・高度経済成長期・前期 昭和四十~五十八年
 デンタル椅子製造を開始
 世界一の理容椅子メーカー・コーケン社の買収
 化粧品分野への進出・ウエラ社との提携
 タカラベルモントの発足・万博に単独参加
 ブラジルに賭けた夢
 化粧品の自社ブランド「ルベル」誕生
 全社あげての販促キャンペーン「ビバ・フェスタ78」を開催
 創業者・吉川秀信の逝去
Ⅳ・高度経済成長期・後期 昭和五十九~平成元年
 企業体質の変換
 V3計画発進
 理美容機器の革命「ローラーボール」の誕生
 デンタル・メディカル事業の成長
 化粧品事業を大幅に拡大
 吉川秀隆が第三代社長に就任
Ⅴ・平成という新時代 平成二~二十三年
 第三次「V3」計画と二十一世紀プラン
 積極施策の展開で国内外市場を活性化
 阪神・淡路大震災の救援・復興支援に全力を傾注
 創業七十五周年、記念行事開催
 TWBCの開催
 二十一世紀のタカラベルモント始動
 水害では代理椅子の貸し出しも
 化粧品研究開発センター誕生
 顧客満足をさらに追求し、ものづくりをいっそう極めていく
 リーマンショックの余波を受けて
 不撓不屈の精神をバックボーンに
 東日本大震災からの復興、さらに新たな展望を求めて


第5章「第二の創業」という名の全社改革

九十周年を機に「第二の創業」宣言
人材育成
 コンプライアンスと「社訓(創業の精神)」
 タカラベルモントの人材育成、二つのミッション
 がんばった人が報われる人事制度に
 体系的な研修制度を確立
 人材の入り口・採用に全力を傾注
 本気のやる気を引き出す新入社員研修
 新入社員全員に海外研修を実施
「第二の創業」年を起点に中期経営計画を実施
各事業部が緻密な戦略遂行で儲かる経営体質へ


終 章 百周年、そしてさらにその先へ向けて

いつも、そこにをさらに徹底、充実していく
まず、市場づくりに全力を傾注
顧客を創造し、新たな事業領域を切り開いていく
海外市場の取り組みを足元から洗い直す
コスト競争力を磨き、中間層の取り込みを進めていく
市場ごとのきめの細かな製品づくり
大きな期待と使命を持つデンタル・メディカル事業
輝きを放つ未来へ向かって


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