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2018/03/09

『オーイズミグループの挑戦』 前書きと目次


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オーイズミグループの挑戦
~驚きと感動のホスピタリティ産業を追求~


著者:鶴蒔靖夫
定価:本体1800円+税
ISBN978-4-87218-375-7
初版発行:2012年9月3日




 はじめに

 長引くデフレはいつの間にか完全に社会に浸透した観がある。国内外のさまざまな要因が重なり、景気の先行きには一向に明るい兆しが見えず、人々の節約志向もすっかり定着した。そうしたなかで生まれたのが、食事や娯楽などを家の中で完結させる「巣ごもり消費」と呼ばれるトレンドだ。その影響をもっとも受けているのが外食産業で、加えて食の安心・安全に対する懸念、中食ビジネスの成長、さらには弁当を自作する弁当男子ブームなど、逆風が吹いている。

 さらに追い打ちをかけたのが東日本大震災だ。震災直後の過度な自粛ムードはほどなくして落ち着いたものの、不要不急の消費は手控えるという傾向は依然として続いている。

 昨年来からの「節電キャンペーン」も、大量生産・大量消費が前提だった従来の生活を改めて見直すきっかけとなった。

 その結果、誰もが「自分にとって本当に必要なものは何か」を考えるようになり、「自分にとっての幸せ、心地よさ」に対しては相応の対価を支払うが、そうでないものに対しては、いかに低価格であろうと価値を見いださない傾向が鮮明になってきた。

 外食産業においては、その傾向はいっそう顕著だ。いまや外食産業は、こうした社会の変化を敏感に読み取り、消費者の多様化する価値観に対応していかなくては生き残れない時代に突入しているのだ。実際、若者の酒離れに対応するため、食事に比重を置く居酒屋、一人客(おひとりさま)や女性(女子会ブーム)に喜ばれるメニューやシステムを導入した店が業績を伸ばしている。

 デフレの環境下でも人は自分が本当にいいと思ったものやサービスにはお金を使う。そうした意味では、顧客一人ひとりの志向を先取りする真のホスピタリティが求められる時代がはじまっているといえる。

 そうしたなか、ひときわ個性的な魅力を放っているのが、本書で紹介する「オーイズミグループ」だ。同グループでは、「遊」「食」「動」「明」を事業テーマに掲げ、「遊」のアミューズメント事業を中心に展開している株式会社オーイズミ(本社:神奈川県厚木市、代表取締役社長:大泉政治氏)と、「食」を担う飲食事業を展開している株式会社オーイズミフーズ(本社:神奈川県厚木市、代表取締役社長:大泉賢治氏)などでグループを構成している。

 平成二十四年三月期のオーイズミグループ全体の売上高は約三三〇億円、経常利益は三五億六〇〇〇万円となる。その中核を担うオーイズミは、平成十六年に東証一部上場を果たし、その実績と技術は高く評価されている。一方、オーイズミフーズは、居酒屋「くいもの屋 わん」を中心に全国でおよそ一六〇店舗を展開している。

 「わん」は現在およそ一三〇店舗を展開し、その洗練された料理や内装、さらにはきめ細やかなおもてなしのサービスといったワンランク上の店づくりで、顧客から高い支持を集めている。

 同社は「かかわるすべての人々をHappyに」をモットーとしており、発展の原動力となったのが、高付加価値路線の店づくりによって生み出される高い収益性だ。世の中はデフレであっても、手が届く範囲内でなら少しだけリッチな気分を味わいたいという顧客は確実に存在する。そうした顧客のニーズを読んだ的確な時代感覚、そして、顧客の嗜好にマッチした店をつくりあげ運営するオペレーションの巧みさが成功をもたらしたといえる。

 出店スタイルも特徴的だ。同社では、本社を置く神奈川県を中心に、居酒屋の競合が比較的少ない中小ターミナルなど、これまで業界が注目してこなかったエリアへ積極的に出店。地域住民のニーズをとらえた地域密着型の店舗展開は、画一的な店舗運営でローコストオペレーションを実現する同業他社とは一線を画す。こうした出店戦略は、地代などのコスト削減効果も生んでいる。

 また、すぐれたサービスを提供するためには、優秀な人材が必要不可欠となる。顧客へのきめ細やかなサービスはマニュアルだけに頼っていてはできない。地域密着型の店舗も本部からの指示だけでは現実不可能だ。

 そこで同社では、人事評価制度の刷新、モチベーションアップのためさまざまな取り組み、労務環境の改善などを積極的に行うことで、自ら考え自立的に仕事に取り組んでいける考える集団燃える集団づくりに注力している。

 「景気の低迷が続き、東日本大震災以降、消費者の財布の紐も固くなり、外食産業を取り巻く環境は依然として厳しい状況が続いていますが、どんな状況においても、常に創造的な仕事を行い、仕事を通じて多くの人に愛される企業でありたいと願っています」

 こう語るのは、オーイズミ代表取締役社長・大泉政治氏である。

 大泉氏は父親から町工場を継ぎ、昭和四十三(一九六八)年に神奈川県秦野市で大泉製作所を設立。当時、大泉氏は二十五歳、仕事は大手電気メーカーの下請けとしてのプレス板金加工が中心だったが、第一次オイルショックにより、下請けとして生き残ることに限界を感じた大泉氏は、トレンドや他人のアイデアにとらわれない、逆転の発想で自社製品の開発に着手した。それが「硬貨計算機」だ。

 パチンコ店にとってはパチンコ台に大量に投入された硬貨を手作業で数えていた手間が省け、経営の効率化をはかることが可能となった。試行錯誤の末、硬貨計算機の開発に成功したのは昭和五十三年ころである。大泉氏が開発した硬貨計算機は発売直後から評判を呼び、日本電信電話公社(現・NTT)、日本国有鉄道(現・JR)、日本道路公団に次々と導入されていった。

 翌年には、その高い先見性と技術力が評価され、「全日本中小企業総合見本市」において内閣総理大臣賞を受賞。硬貨計算機のメーカーとして、世間に広く認知されることとなった。次いで「紙幣計算機」、「紙幣識別機用金庫」の開発に成功し、昭和五十七年には再び、内閣総理大臣賞を受賞している。

 「昭和五十七年に五〇〇円硬貨が誕生し、当社は大きく成長しました。なぜ私が硬貨計算機の開発を考えたのかといいますと、オイルショックが起きたとき、物価が上昇して一時的なインフレになりました。近い将来、デノミネーションあるいは五〇〇円玉が誕生するのではないかと直感したのです。自分の勘だけを頼りに実行に移すのには勇気がいります。内閣総理大臣賞を受賞したことが後々自信につながりました」

 続いて、大泉氏が着手したのは、製造業とはまったく結びつかない異業種の飲食業への参入だ。

 それまでの製造業とはまったく違う業種として最初に手がけたのはスーパーマーケットの経営である。

 「以前、日用品や食品を取り扱うミニスーパーの経営をしていました」

 ミニスーパーの経営は思いのほか順調に推移し、店舗数も拡大。このとき、大泉氏は消費者との直接取引である「BtoC」ビジネスの可能性に気づき、「BtoC」ビジネスの本格的な参入を決意する。ミニスーパーを運営する会社を基盤として、平成二年一月に居酒屋「うまいもの屋湘南いちば」を神奈川県厚木市に開店。さらに平成十二年一月に神奈川県伊勢原市に「くいもの屋 わん」を開店する。

 「最初は一年に二、三店舗のペースで開店させていました。当時、居酒屋業界は競争が激しく、戦略を考えるのに必死でした」

 大泉氏は、飲食業に参入した当初から、他者の真似はせず、独自の店舗運営に徹底的にこだわってきた。それが居酒屋「くいもの屋 わん」のワンランク上の顧客満足を提供する現在の店舗スタイルにつながっている。

 大泉氏の異業種へのチャレンジはまだ続き、その後、「動」の不動産業、「明」の介護予防分野への進出も果たしている。この二つの要素は、大泉氏の人生哲学である「楽しく仕事をして、楽しく遊び、おいしいものを食べて、素敵な家に住み、明るい暮らしをする」を実現させるためには不可欠だからだ。オーイズミグループの四つのテーマ「遊」「食」「動」「明」とは、大泉氏が追い求める人生でありチャレンジの歴史そのものを表している。

 本書は、究極のホスピタリティ産業を追求するオーイズミグループの飲食事業を中心に、グループ全体の事業概要を紹介しつつ、同グループを率いる大泉政治氏の経営理念、人生哲学に迫るものである。

 これは単に飲食事業に携わっている人のみならず、真の価値を求めるすべての一般読者にとっても貴重な指針の書となるであろう。長引く不況で社会全体に閉塞感が広がっている。チャレンジすることに対してあきらめてしまっている日本人の背中を押し、再び目標に向かって努力し、邁進することの偉大さを呼び起こすきっかけとなれば、これほどうれしいことはない。

 なお、本文中の敬称は略させていただいたことを、あらかじめお断りしておく。

平成二十四年七月   鶴蒔靖夫




はじめに


第1章 多様化する顧客の価値観に対応せよ

長引くデフレがもたらした「巣ごもり消費」
逆風吹き荒れる外食産業
激化する外食サバイバル
激しい価格競争の渦に巻き込まれる
大打撃を与えた食の安全
ホスピタリティが求められる時代
外食産業に名乗りをあげるオーイズミ


第2章 かかわるすべての人に幸せを届ける

ナンバーワンをめざして――「くいもの屋 わん」誕生
オーイズミフーズに見る独自の経営路線
独自路線を築くもう一つの飲食事業の柱「オーイズミダイニング」
一品ずつ手づくり料理でおもてなし
答えは現場にある
中小ターミナルを中心にした出店戦略
かかわるすべての人にHappyを届ける


第3章 「遊」「食」「動」「明」をテーマに成長するオーイズミグループ

素晴らしい人生を送るための「遊」「食」「動」「明」
パチンコ業界の変遷
脱下請けで町工場から開発企業に
独創的なアイデアで内閣総理大臣賞を二度受賞
パチンコ業界に新規参入
パチスロ機の開発をスタート
堅実経営をめざす「不動産ビジネス」


第4章 一人ひとりが自ら考えて動ける集団に

オーイズミ流人材育成術
新機種を次々と考案する頭脳集団
仲間やお客の笑顔に支えられ
モチベーションを高める人材マネジメント
従業員の人生に寄りそう
感動するお店をめざして
従業員のチャレンジで業界に風穴をあける


第5章 広がりつづける挑戦の志

創業者・大泉政治の「不撓不屈」の精神
急成長を支えた「サシスセソ」戦略
強いリーダーシップをめざす
受け継がれる「挑戦」の志
グローバル化を視野に入れる


第6章 「遊」「食」「動」「明」の集大成へ

グループの集大成「介護事業」に進出
介護保険制度のあらまし
最新のスポーツ科学を取り入れた「早稲田アクティブ」
その人らしく明るくいきいきと暮らせるために
メガソーラー事業に参入
逆風が吹いても時代の潮流に乗る
チャレンジ精神を若い世代に


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