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2018年4月

2018/04/19

『クルマを「きれい」にする美学【KeePer】』 前書きと目次

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クルマを「きれい」にする美学【KeePer】
~日本人特有の国民性が生んだ高性能カーコーティング~


著者:鶴蒔靖夫
定価:本体1800円+税
ISBN978-4-87218-441-9
初版発行:2018年4月18日




はじめに


「自動車産業は20世紀の産業中の産業であり、19世紀初頭におけるランカシャーの綿紡工場に相当する」

これは、経営学者であるピーター・F・ドラッカーが1946年に著した書籍『企業とは何か』の中の一文(抄訳)であるが、21世紀となったいまも、自動車産業が世界経済に大きな影響を与えているという事実は変わっていない。1769年に初めて蒸気で走る自動車がフランスで登場して以来、クルマは進化を続け、自動車産業の裾野も広がり続けている。

一般社団法人 日本自動車工業会の推計によれば、わが国の自動車関連就業人口は約534万人で、これは日本の全就業人口の8.3%にあたる。また、自動車の製造品出荷額は53兆3101億円(2014年)で、全製造業の製造品出荷額等に占める割合は17.5%、輸出額は15兆1200億円(2016年)で、わが国の主要商品の輸出額のうちの21・6%を占めている。

こうしたデータを見れば、日本においても自動車産業は基幹産業であると言っても過言ではない。

クルマは、「文明の利器」であると同時に「文化の尺度」でもある。

戦後復興を終え経済成長が始まった昭和30年代の日本では、自家用車は庶民の憧れであった。やがて、週末のドライブや休日の自動車旅行は「近代的な生活の象徴」としてとらえられるようになり、一般家庭の自動車保有台数は、年を追って増え始めた。

1970年代になると、自動車は「一家に1台」があたりまえとなり、特に都市近郊や地方の農村部では「クルマがなくては生活できない」という状態になった。それは日本における「クルマ社会」の現出であり、「クルマ文化」の定着でもあった。

さらに1974年から1978年にかけて巻き起こった、いわゆる「スーパーカーブーム」は、大きな社会現象となった。小学生らが「スーパーカー消しゴム」を夢中になって集めたり、スーパーカーの展示会などではカメラを抱えたファンが長蛇の列をつくったりした。

その後、スーパーカーブームはいったん沈静化するが、1980年代後半になると、バブル経済の恩恵を受けた層が、ポルシェやフェラーリといった億を超える超高価格帯のクルマにこぞって手を出すようになり、第二のスーパーカーブームといった様相を呈するようになった。

しかし、どんな事象も時とともに移り変わる。これはクルマとて例外ではない。

バブル経済が崩壊するとともに、スーパーカーの人気はいっきに冷えこんだ。そして、いまでは「若者のクルマ離れ」が取り沙汰されるようになっている。トヨタ自動車が2010年にまとめた「『若者のクルマ離れ』について」でも、「エントリー世代(大学生)のクルマ意識の変化」として、「20代男性でクルマを趣味とする人は減り、お金をかけないものへと変化」「興味と所有欲もここ数年で大幅に低下」と指摘している。

このように、販売面では陰りが懸念される自動車市場ではあるが、変わらないものもある。それは「クルマ好きの人が持つ意識」である。

オークネット総合研究所がクルマの所有経験のあるユーザーを対象に実施した「クルマへの愛着に関する意識調査」では、20代の90%以上が自分のクルマに対して愛着を有し、そのうちの48%はクルマを「モノ」ではなく「家族」のような存在として、特別な感情を抱いていることがわかった。その愛着を感じるタイミングについては「運転しているとき」が34・4%と最も高く、次いで「洗車しているとき」が18.8%となっている。

このような感情は、「クルマを大切に扱い、長くつきあう」という意識に根ざしていると言えるだろう。

実際、日本人の「クルマを美しく保とう」とする姿勢は、国民性の表れだと言ってもいいだろう。こうした美意識は、世界でも類を見ない、一種独特な文化であると言えそうだ。だから、日本を訪れた外国人は、日本人の持つクルマのメンテナンスへの意識の高さに一様に驚くことになる。

フランス人男性と結婚した私の知人は、初めて伴侶を伴って日本に帰国した際に、渋滞する日本の道路を見た夫から、「日本では新車しか道路を走ってはいけないという法律でもあるの?」と聞かれたことがあるという。たしかに海外では、サビだらけのクルマや、へこみや傷の目立つクルマが走っていることも珍しくはない。そう考えれば、彼のような疑問を抱く外国人は、けっして少なくはないのだろう。

また、2017年10月には、中国のメディアが「日本のバスの運転手は、自身のクルマでもないのにタイヤのホイールまで雑巾できれいに磨きあげている」という記事を写真つきで掲載し、多くの中国人ネットユーザーから驚きの声が寄せられた。海外の人々からすると、汚れて当然のタイヤやホイールまでこまめに掃除する日本人の感覚は、驚嘆に値するようだ。

おそらく日本人は、世界的に見ても「クルマの美しさを保つこと」に熱心な国民なのだろう。だからこそ、ガソリンスタンドではサービスの一環としてスタッフが窓を拭いてくれるし、洗車機も世界中のどの国よりも発達している。

「私はいろいろな国で洗車機を見てきましたが、これほど精巧に動き、高いクオリティと付加価値をともなった仕上がりを実現できるのは、日本の洗車機だけですね」
こう語るのは、本書で紹介するKeePer技研株式会社(本社:愛知県大府市)の代表取締役社長である谷好通氏だ。

また、谷氏は「クルマを美しく保つためには、ごしごしと磨くのではなく、きちんとクリーンアップし、きれいにお化粧をすることが、なによりも大切です」とも語っている。

車体の美しさを保つ方法としては、最近では洗車とカーコーティングを併用する方法が最も一般的である。クルマに付いた埃や汚れを水で洗い落としたあと、ワックスやポリマーコーティング剤、あるいはガラスコーティング剤などで車体を保護して、美観を保つのだ。

しかし実は、この方法ではクルマの美しさを完璧に保つことは難しい。というのも、洗車には水が欠かせないが、水道水や井戸水にはカルシウムやマグネシウム、ナトリウムなどのミネラルが含まれているため、洗ったあとに鉱物のこびりつきが生じるおそれがあるからだ。さらに、コーティング剤として普及しているワックスの耐久性には限界があり、ポリマーは傷に弱いという難点もある。

こうした一般的な洗車とカーコーティングに付随する種々の問題を解決してくれるのが、KeePer技研の社名にもなっている「キーパーコーティング」という技術である。これは、洗車には水道水ではなく逆浸透膜でつくった純水を使用し、丁寧に手洗いを施したうえで「クリスタルキーパー」もしくは「ダイヤモンドキーパー」という独自のコーティング処理を行うというものだ。

この2種類のコーティング処理には、いずれも従来のガラスコーティング剤とは異なるケミカル製品を使っているため、経年車であっても塗装面を研磨することなく艶やかに仕上げることができる。

これらの技術について谷氏は、

「ドイツの大手化学メーカーと共同で開発した技術と、当社が独自に開発した技術が活かされています。これらの技術では、いくつも特許を取得しています」

と、胸を張る。

KeePer技研の設立は1993年。谷氏が当時経営していたガソリンスタンドで洗車とカーコーティングを担っていたスーパーポリマー事業部を分離し、洗車とカーコーティングの施工や、カーコーティングに使うケミカル製品や道具の販売、さらに施工技術の研修や伝承を目的に、KeePer技研の前身であるアイ・タック技研を起ち上げたのが発端である。

実は当初、谷氏は2軒目のガソリンスタンドを経営しようと考えていたのだが、ガソリン販売には総量規制があったため、やむをえず、2軒目のガソリンスタンドをつくる予定だった場所で洗車とカーコーティングの事業を始めたのだという。その「やむをえず」始めた事業が順調に業績を伸ばし、いまでは洗車&カーコーティングの専門店「キーパーLABO」として全国各地に展開するようになった。

KeePer技研の洗車&カーコーティング技術は顧客から高評価を得ており、リピート率もすこぶる高い。

「少しでも喜んでいただこうと工夫したことの多くがお客様に受け入れられ、それがリピーターの増加につながったのだと思います」

と、谷氏は言う。

KeePer技研の評判は、しだいにクルマ関連の業界に広く知れ渡るようになり、多くの注目を集めるようになった。そしてついには、大手石油元売会社が、傘下のガソリンスタンドに対して、KeePer技研の研修を受けることを推奨するまでになった。

そこで、KeePer技研では、同社が実施する研修を受け、カーコーティングの技術検定で1級の資格を取得した社員を擁するガソリンスタンドを、技術認定店「キーパープロショップ」とする事業を開始した。現在では、「キーパープロショップ」は5656店舗(2018年2月8日時点)にまで拡大している。

また、KeePer技研が運営する洗車&カーコーティングの専門店「キーパーLABO」は、フランチャイズ店を含めると全国に74店舗となっている(2018年1月末時点)。洗車&カーコーティング専門店として、ここまでの規模で事業展開しているところは、ほかにはない。

本書は、他に先駆けて画期的な洗車とカーコーティングの技術を開発し、日本の「クルマ文化」に新たな潮流をつくりだしている、KeePer技研の事業活動を紹介するとともに、創業社長・谷好通氏の経営理念と人生哲学に迫るものである。これは、クルマをこよなく愛する人々にとって、日本のクルマ文化を考えるうえでの貴重な指針の書となるであろう。

なお、本文中の敬称は略させていただいたことを、あらかじめお断りしておく。

2018年3月  鶴蒔靖夫




はじめに


第1章 きれい好きな国民性に根ざした日本のクルマ文化

日本経済を牽引してきた自動車産業
減少傾向にある自動車販売台数
「若者のクルマ離れ」は本当か
「家族」や「友人」のようにクルマに愛着を感じる日本人
きれい好きな国民性が洗車やカーコーティングにも反映
クルマの「きれい」は「安全」に直結している
海外ではおなじみの「洗車屋さん」が日本には存在しない理由
洗車とカーコーティングに特化したKeePer技研


第2章 日本の新しい洗車文化を創造するKeePer技研

KeePer技研が提唱する「新しい洗車文化」とは
KeePer技研の技術を正しく伝えていく営業部隊
顧客のリピート率は85%!「キーパーLABO」
カーコーティングと洗車用のケミカル製品の開発、製造、販売
カーコーティング技術認定店「キーパープロショップ」を展開
組織変更で東証一部上場後の気の緩みを一掃
SUPER GT最終戦にてシリーズチャンピオンを獲得


第3章 クルマの美しさを追求する「キーパーコーティング」の実力

顧客の期待を上まわる「きれい」を実現
売れ筋ナンバーワンの「クリスタルキーパー」
圧倒的な艶と存在感を出す「ダイヤモンドキーパー」
「キーパーコーティング」の原点である「ピュアキーパー」
美しさを保つメンテナンスの基本は「洗車」
プロのこだわりが詰まったオリジナルの洗車グッズ
顧客のクルマと作業する人を守る、その想いが特許に結実


第4章 技術の向上への飽くなき探究―全国各地で活躍するKeePer技研の技術者たち―

全国13カ所にトレーニングセンターを開設
ガソリンスタンド経営者がカーコーティングに着目する理由
コーティング技術の認定制度と「キーパープロショップ」
「キーパープロショップ」の技術レベルをいかにして維持するか
全国チャンピオンをめざして競う技術コンテスト
日々「キーパーコーティング」の技を磨く技術者たち
モチベーションの源は「ありがとう」という言葉


第5章 創業社長・谷好通の経営理念と人生哲学

労苦でしかなかった「晴れた日の洗車」
32歳で起業し、ガソリンスタンドを開設
2軒目として洗車とカーコーティングの専門店をオープン
「キーパーコーティング」の原型となる「Qシステム」の誕生
ドイツの化学メーカーと共同開発したコーティング剤
ビジネスの基本は「与えるが勝ち」
妻の不調が教えてくれた「大切なこと」
第1号店の開始時から続ける徹底した情報公開
谷好通の仕事のこだわり


第6章 KeePer技研が描く未来展望

「キーパーLABO」100店舗体制の達成に向けて
事業発展に不可欠な人材の採用に注力
画期的な新人研修と早期キャリアアップ
女性向けの新商品「艶パック」で新たな市場を切り開く
米中への進出、アプローチで思い知った洗車文化の違い
次世代に託す「キーパープロショップ」の海外展開
堅実経営の先に見えてきた大きな夢「キーパーLABO500店」
まだまだ伸びしろのある国内市場

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