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2018年5月

2018/05/23

『学歴がなくても、年収6億円を稼ぐ男の人生』 前書きと目次

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学歴がなくても、年収6億円を稼ぐ男の人生
~「顧客目線」で不動産業界の常識を打ち壊す、佐々木数修都の型破り経営~


著者:鶴蒔靖夫
定価:本体1800円+税
ISBN978-4-87218-442-6
初版発行:2018年6月3日




はじめに

日本が「長寿大国」と言われるようになって久しいが、長寿は、長く生きることで味わえる喜びや楽しさなどをもたらしてくれる一方で、これまでにない心配や不安も生じさせている。

その心配や不安の筆頭にくるのは、やはり健康とお金についてである。どうすれば豊かで活力のある老後を送ることができるのか。これからの時代は、年金だけでは心もとないし、銀行への預金も金利は限りなくゼロに近い。

それだけに、自分の責任で財産を蓄え、かつ、蓄えたお金は自分で守るという意識を持つことが不可欠だ。そこで注目されているのが不動産投資である。

不動産投資というと、投資のプロが行うものであり、素人が行うにはハードルが高いと思われがちだが、最近では一般の会社員でも不動産投資に取り組む人が増えているという。数ある投資商品のなかでも、不動産は安定感があり、かつ、わかりやすい商品であることが、広く一般に理解されてきたからだろう。仮に、急激な景気の変動に見舞われたとしても、不動産は、まったくの無価値になるようなことはない。

投資する物件と、その物件を手掛ける建設会社や不動産会社の選び方さえ間違えなければ、老後も家賃収入によって安心して暮らしていくことができる。そんな、ある意味で理想的とも言える老後の生活スタイルを、いまは普通の会社員でも手に入れることが可能な世の中になってきているのだ。

自分の将来を豊かで実り多いものにしたいなら、「自己責任」と「自助努力」を基盤にした準備が重要だ。とはいえ、自分だけではできないので、それを手助けしてくれるパートナーが大切となる。その準備をするときに力強い味方になってくれる不動産会社が、株式会社金太郎ホーム(本社:千葉県千葉市、代表取締役:佐々木数修都氏)である。

金太郎ホームは、グループ会社である株式会社金太郎カンパニーと株式会社エフと密接に連携し、東京から千葉に至る湾岸エリアを中心に、投資用賃貸マンションの施工・販売や自社施工物件の仲介・管理などをトータルに手掛けている。2002年に創業して以来、右肩上がりの成長をずっと続け、2017年度の年間売上高はグループ全体で100億円に達する。

創業者の佐々木数修都氏は、まだ47歳という若さで、ほとんどゼロの状態からここまで会社を築きあげてきた。

金太郎ホームの特徴は、すべてが顧客本位、入居者本位で貫かれていることである。
主力商品である新築賃貸マンション「ヒルズシリーズ」は、湾岸エリアの総武線沿線の駅から徒歩10分圏内に建つ、中低層のモダンなデザイナーズマンションだ。立地条件、設備、建築構造、デザインなど、どれをとっても秀逸で、かつ、新築か築浅のうえ、付加サービスも豊富なため、非常に人気が高く、入居率は平均96%を誇る。まさに、「入居者から選ばれる賃貸物件」だと言える。

そのため、500人ほどいる物件のオーナーは、全員が「勝ち組大家さん」である。全員が家賃収益を確保しており、これまでに債務不履行に陥ったケースは1件もない。つまり、金太郎ホームは「成功率100%」の優勝請負人なのである。

この成功と人気の秘密は、これまでの建設業界のやり方を根底から覆した建設手法にある。

手掛ける物件は法定耐用年数34年の重量鉄骨造の中低層マンションに限定し、物件のサイズや規格の標準化と徹底した効率化によって建設コストを3割以上削減することで、坪単価26万8000円という脅威の低価格を実現。さらに工期も同業他社の3分の2にまで短縮させた。

「最安値で最高品質、これに金太郎グループは挑戦します。『ヒルズシリーズ』は価格、品質、工期の3点セットで業界に革命を起こしたと思っています」

と、佐々木氏は言う。詳細は本文で説明するが、顧客本位の追求により生まれた画期的な施工法が、そのまま、従来のアパート・マンションの建設のあり方への問題提起となっていることにも注目してもらいたい。

最安値で最高品質という「金太郎流」は、土地を所有する人だけでなく、一般の会社員などにも、不動産投資への道を広く提供することになった。いまでは、金太郎ホームの物件オーナーの4割は、土地を持たない普通の会社員で占められている。しかも、彼らの多くは不動産投資を「事業」としてとらえ、2棟目、3棟目の購入に向かうという。

そうしたオーナーたちに的確なアドバイスをし、彼らの投資を成功に導けるのは、佐々木氏が洞察力と膨大な量の知識を持っているからにほかならない。

佐々木氏は、設計から収支計画の作成、現場管理、金融機関との交渉、さらには経営サポートや税金の相談に至るまで、すべてをコンサルティングできる不動産投資のエキスパートである。その教えを受けようと、不動産投資希望者が全国各地から金太郎ホームにやってくる。日本人だけでなく、外国人投資家のお客様も増えているという。

「私は、マンションを売っているのではなく、事業を売っているのです」

そう語る佐々木氏は、建物のほかにもうひとつ大事なものも売っている。それがサービスだ。

金太郎ホームでは、入居者に対し、スウェーデンのVOLVOの無料レンタカーをはじめとして、野球観戦チケットや東京ディズニーランドの招待券など、さまざまな特典を提供している。こうしたサービスの原資は、金太郎グループ内で信用保証や保険業務を担当する株式会社エフからの収入があてられている。

また、物件の仲介や管理などを受け持つ株式会社金太郎カンパニーによる管理体制も万全で、なにかのトラブルなどがあったとしても30分以内にスタッフが駆けつけられるように体制を整えている。

さらに、入居者どうしの交流会も金太郎カンパニー主導で行われており、その甲斐もあって更新率は84%にのぼる。つまり、金太郎ホームの物件に住んでいる入居者の大半が、長く住み続けることを希望しているわけだ。

なお、この金太郎カンパニーによる賃貸管理からのインカム収入により、金太郎グループの社員全員への給料がほぼ賄われている。つまり、金太郎ホームの年間100棟におよぶ賃貸マンション建設からの利益はそのままキャッシュとして残り、仮に金太郎ホームの売り上げがゼロであったとしても、社員全員の給料は問題なく支払われる体制ができあがっているというわけだ。

この金太郎グループの「潰れない会社」というビジネスモデルを、佐々木氏は身ひとつから築きあげた。キャッシュフローとインカム収入をベースにするこのビジネスモデルは、不動産業に限らず、すべての業界に通用する経営手法である。

さらに、徹底したむだの排除と時間の管理によって社員のコスト意識を高める手法は刮目すべきものがある。「習慣が人間をつくる」という信念を形にすることで若い社員を芯から鍛えていくことにより、成長速度を大きく向上させている。

このほかにも、社会貢献や海外戦略など、紹介すべきことは多くあるのだが、詳しくは本文を読んでもらいたい。すべての行動や考えが、佐々木氏の奮闘と努力のなかで生まれ、育まれたものであることが、感じとれると思う。

現在、佐々木氏は、約6億円の年収を得ている。この額は、グループ従業員数60人、年商100億円規模の企業の代表としては、一見、高額に見えるかもしれない。

しかし、本文をご一読いただき、「最安値で最高品質」のマンション建設を可能にし、年間100件の投資用マンションの一棟売り契約を結ぶと同時に、「潰れない会社」のビジネスモデルをつくりあげた優れた経営者であり、なおかつ、すべてのオーナーから寄せられる相談にも個別に応えている佐々木氏の素顔を知っていただければ、その金額の理由も納得できるはずだ。

また、自分の道を切り開くのは出自や学歴ではなく、物事の本質を見極める力と、誰かに喜んでもらいたいという想いがその原動力になることを、佐々木氏は身をもって伝えてくれている。

本書は、投資用賃貸マンションビジネスを展開する金太郎グループの事業活動を紹介するとともに、創業者・佐々木数修都氏の経営理念と人生哲学に迫るものである。これは、資産形成を考えている人だけでなく、生き残りを図る建設業界関係者、および、自らの人生の道を模索している若者にとっても、貴重な指南の書となるであろう。

なお、文中の敬称は略させていただいたことを、あらかじめお断りしておく。

2018年4月  鶴蒔靖夫




はじめに


第1章 過熱する不動産市場の現状と課題

過熱する不動産投資の背景にある老後の不安
相続税制の改正でブームが加速
集団訴訟まで招いたサブリース問題
入居者もオーナーも満足させる、成功率100%の金太郎ホーム
じりじりと上昇する空室率はなにを語るか
不動産会社の言いなりになっている金融機関
賃貸アパート・マンション投資のメリット
不動産オーナーになる必要最低条件は、自分で判断できること


第2章 投資用マンションで快進撃を続ける金太郎グループ

「勝ち組大家さん」への仲間入り
金太郎グループのアウトライン
不動産投資の素人には新築物件が最適
重量鉄骨造マンションの建設費で坪単価26万8000円を実現
「最高品質」「最安値」を実現するための8つの約束
「湾岸に集中」「駅から10分」という徹底したエリア戦略
不動産投資の成功はキャッシュフローにあり
「ヒルズシリーズ」に込められたオーナーへの配慮
コスト削減との闘い
投資初心者も安心のワンストップ体制
「不動産」ではなく「事業」を売る
パートナーとは対等の関係
事業収支計画のシミュレーションと出口戦略
自らマンション経営をしているからこそわかること
千葉県の賃貸市場


第3章 サービスを売る=潰れない会社

最後まで面倒をみる体制
徹底した入居者本位の姿勢
なにかあっても30分以内に駆けつける
入居者本位の数々の特典
滞納時の家賃を保証する株式会社エフがサービスの財源
サービスには値段がない
東日本大震災直後にとった行動
「潰れない会社」の法則
キャッシュへのこだわりが、何者にも振り回されない会社をつくる


第4章 強烈逆転人生・佐々木数修都の47年間

昭和の匂いが残る男
怠け者の大工の父親、貧しい家が出発点
友達は絶対に裏切らない
オートバイと学級委員とアルバイトの日々
研修期間中に会社を辞めて、次の会社へ
談合が許せず退社を決意
恵まれない環境だったから、すべて自分で覚えなければならなかった
身銭を切って物件を完成
いちばん迷惑をかけた人たちが、いちばん助けてくれた
創業時から佐々木を支えたスタッフ
独自の営業スタイルを確立し、「6億円稼ぐ男」へ


第5章 理念を込めた人材育成

顧客に対する非礼3回でクビ?
新入社員向けのユニークな研修
時間の管理が社是
限られた時間のなかで最高の結果を出す
あらゆることから「むだ」をなくす
「集中タイム」で残業ゼロに
相手を変えようと思ったら、まずは自分自身が変わる
家族を大事にする会社
仕事と家庭を両立できる会社
建設現場の光景を変える
生きた証をメモに残す
起業家を育てる「金太郎塾」


第6章 地域社会に寄り添いながら歩む金太郎グループ

超レトロ車輌「金太郎ホーム号」が走る
未来へつなぐまちづくり
小さいけれど、大事な貢献
いちばんの地域貢献は納税
スポーツ振興、「千葉ジェッツ」のスポンサーに
不動産業界のイメージの向上をめざす
なぜ「ライバルを育てる」のか
今後の動きから目が離せない金太郎グループ
金太郎グループの海外戦略
日本人起業家が結んでくれた台湾との縁
香港やシンガポールへの展開も視野に
20代の社長を誕生させることを宣言
後継者に未来を託し、ビジネスモデルの普及に尽くす


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2018/05/17

『バス旅女子が選ぶ 日本でいちばんバス会社らしくないバス会社』 前書きと目次

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バス旅女子が選ぶ
日本でいちばんバス会社らしくないバス会社
~安心、快適、きれいになるバス旅の秘密~


著者:鶴蒔靖夫
定価:本体1800円+税
ISBN978-4-87218-443-3
初版発行:2018年5月28日




はじめに

「インバウンド」という言葉がメディアに頻繁に登場するようになり始めたのは、数年前からだ。本来は「外から中に入ってくる」という意味だが、近年は、訪日外国人旅行、あるいは訪日外国人旅行者という意味で用いられることが多い。

日本政府は観光を21世紀における重要な政策の柱として位置づけており、2003年の小泉純一郎内閣のときにビジット・ジャパン(訪日旅行促進)事業をスタートさせている。当時はまだ訪日外国人旅行者数は年間500万人ほどにすぎず、これを年間1000万人にするという目標が掲げられた。国を挙げた訪日旅行誘致の取り組みにより、2007年には訪日外国人旅行者数が800万人を超え、その後はリーマンショックや東日本大震災による一時的な落ち込みはあったものの、2013年に初めて目標の1000万人を突破した。

このころから「インバウンド」という言葉が盛んに使われるようになり、観光業や宿泊業など、訪日外国人旅行者を対象としたビジネスが勢いを増してきた。それを受けてさらに政府は、観光立国の実現に向け、東京オリンピック・パラリンピックが開催される2020年までに訪日外国人旅行者数を年間2000万人にするという目標を掲げた。

ところが、免税制度の改定や、東南アジア諸国向けのビザの緩和、円安などが追い風となり、訪日外国人旅行者数は2017年に早くも約2869万人に達し、年間2000万人という目標を達成。そこで政府は新たに、2020年までに4000万人、2030年までに6000万人にすると、目標数値を引き上げた。

そうした状況下でバス業界は、中国人の爆買いツアーなどのインバウンド需要に支えられて貸切バスが好調だった。しかし、ここにきて、貸切バスによるインバウンドツアーに陰りが見え始めてきている。日本を訪れる外国人旅行者の旅行のしかたが、リピーターが増えるにつれ、ツアーではなくFIT(海外個人自由旅行)へとシフトしたことが大きな要因として考えられる。

代わって今後、外国人旅行者向けの需要が期待されるのが、LCC(格安航空会社)などと連携させた高速バスの分野だ。

高速バスは、多くは深夜もしくは早朝の発着で、新幹線や飛行機に比べて格段に安い料金で利用できるとあって、就職活動中の学生をはじめ若い世代を中心に人気が高く、いまでは格安の国内長距離移動手段として、日本人のあいだではすっかり定着した感がある。しかし、新幹線などに比べると、外国人旅行者のあいだでの認知度は、それほど高いとは言えないだろう。

ひと口に「高速バス」と言っても、以前は、大手電鉄系バス会社を中心とした高速乗合バスと、旅行業者が貸切バス事業者に運行を委託し、旅行業法に基づく募集型企画旅行のかたちで提供される高速ツアーバスの、2種類に分かれていた。後発の高速ツアーバスは、格安な料金設定で高速乗合バスとの差別化を図ろうとし、高速バス業界では熾烈な顧客獲得競争が繰り広げられた。

そんななかで2012年4月に、関越自動車道で高速ツアーバスの事故が発生。乗客7名が死亡し、乗客乗員39名が重軽傷を負う大惨事となった。

高速ツアーバスの運行が急増するなかで事故が起きたことを重く見た国土交通省は、安全性の確保などを目的に、高速乗合バスと高速ツアーバスを一本化した、新高速乗合バスのしくみをつくることにした。

こうして2013年7月末までに、高速ツアーバスは新高速乗合バスへと移行されたのだが、その再編された新高速乗合バス業界のなかで、独立系事業者として確固たる地歩を築いているのが、本書で紹介する株式会社平成エンタープライズ(本社:埼玉県富士見市、代表取締役:田倉貴弥氏)である。

平成エンタープライズの創業は、1992年に遡る。代表取締役の田倉貴弥氏が自ら購入した中古バス1台を元手に、台湾や香港から日本に来る観光客を空港や観光地に送迎することからスタートした。まさに日本におけるインバウンド・ツーリズムの先駆けと言っていいだろう。

「私がバス事業を始めた25年前には、外国人旅行者数は、まだ300万人を多少上まわる程度で、インバウンドという言葉を使う人はほとんどいませんでした。それがいまでは3000万人にも達しようという勢いですが、これほどまでにインバウンド需要が大きく伸びてきたのは、インターネットの普及が大きな要因でしょう」

と、田倉氏は創業当時を振り返りながら述べる。

インバウンド対象の貸切バス事業からスタートした平成エンタープライズは、2007年には東京~大阪間の高速バス「VIPライナー」の運行を開始し、高速バス事業に本格的に参入している。

バス事業者と旅行事業者の双方の免許を取得している平成エンタープライズは、いち早く自社の直販サイトを起ち上げ、集客から運行まで一括して自社で行うことで、めざましい成長を遂げてきた。

さらに、貸切観光バスや高速バス事業だけにとどまらず、2001年からは市町村が運営する路線バスや特別支援学校の送迎バスなどの、公共バス事業にも参入。幅広いバス事業を手がけるばかりか、旅行業との接点を活かした独自性の高い事業も展開している。

「私たちは、バス会社という枠を超え、お客様が必要とするさまざまな要望に応じて多種多様なサービスを提供できる、身近な存在をめざしています」

と、田倉氏は語る。

田倉氏は、社員の誰もが認めるアイデアマンで、これまでも顧客の視線に立って「こんなサービスがあったらいいな」と思うサービスを次々と生み出してきた。「周囲に男性客がいると安心して眠れない」という女性客の声に応えて、高速バスに女性専用車両を導入したのも、平成エンタープライズが初めてだ。

また、2010年7月には、東京の新宿駅のそばに、女性にとってうれしいパウダールーム完備の待合室「VIPラウンジ」を開設している。「VIPラウンジ」はその後、京都、大阪、東京、名古屋、なんばの各駅のそばにも開設しているが、パウダールームに高級コスメ200種類を揃えるなど、サービスの中身はいちだんと進化しているようだ。

実は私は、旧態依然としたバス業界に風穴を開けるべく斬新なアイデアを次々と打ち出し「バス業界の革命児」とも称されていた田倉氏の、そのビジネス哲学に迫ろうと、『バス会社社長の脱常識論』(IN通信社)を2010年12月に上梓している。当時も田倉氏の、常識にとらわれない柔軟な発想や、思いついたら即実行に移す決断力と行動力には、目を見張るものがあった。

「なにかおもしろいものはないかと、日々考えています」

と語る田倉氏は、何事に対しても興味と関心が強く、対象を分析し洞察する能力に長けている。田倉氏が生み出すさまざまなアイデアの根底にあるのは、「いかに利用者に喜んでもらえるか」であり、常に顧客の要望を満たすことを考えている。とりわけ「女性客を喜ばせたい」という気持ちが強いように見受けられる。

夜行高速バスの利用者というと、かつては男性客のイメージが強かったが、平成エンタープライズが運行する「VIPライナー」の場合、快適な眠りを追求した車内環境や、乗る前と降りたあとにまで配慮した「VIPラウンジ」のサービスなどにより、女性客から高い支持を集めている。「VIPライナー」の年間利用者数は約50万人にのぼるが、そのうち7割が女性で占められるという。

前著を上梓してから7年のあいだには、東日本大震災があり、新高速乗合バスへの移行もあり、高速バス事業を取り巻く環境は大きく変化したが、平成エンタープライズは、田倉氏が次々に打ち出す独自のアイデアと旺盛なチャレンジ精神で、順調に事業を拡大してきた。女性専用車両など、当時の高速バス業界では「脱常識」だと思われた先駆的な試みも、いつのまにか他社が追随し、いまでは常識となってしまった感がある。

田倉氏はいまも、常に他社の一歩も二歩も先を行き、うしろを振り返ることなく、先頭を走り続ける存在であることに変わりはない。

平成エンタープライズは、この7年のあいだに、バス保有台数、売上ともに、およそ2倍に増え、いまではグループ全体で450台のバスを保有し(2018年3月時点)、年商79億円を売り上げるまでに成長している(2017年3月期)

特筆すべきは、取締役副社長の葛紅氏を筆頭に、女性の管理職が多いことだ。平成エンタープライズには、女性が持てる能力を存分に発揮できる環境が整っていると見ていいだろう。

事業領域も幅広く、高速バス、路線バス、特定バス、日帰りバスツアーなどのバス事業にとどまらず、宿泊事業、ラウンジ事業、ネイルサロンやストレッチ&ボディケア専門店の運営や、8言語対応の総合観光ポータルサイトの運営など旅行系IT事業にも力を注ぎ、いまや「バス会社」のイメージを完全に超えている。

「高速バスや観光バス関連では日本一多くのサービスを提供できる会社にしたいのです。『あそこは、バス会社なのに、おもしろいことをやってるね。いったいどういう会社なんだろう』とお客様に興味を持ってもらい、バスという垣根を超えた新たな関係をお客様と築いていければと思っています」

と、田倉氏は抱負を語る。

目下、平成エンタープライズが重点的に力を注いでいるのが、インバウンドへの積極対応と、自社主催の日帰りバスツアーの拡充である。

日本を訪れる外国人旅行者は今後もさらに増え続け、年間6000万人時代の到来も、そう遠いことではないかもしれない。

ただ、外国からの旅行者は、高級ホテルに泊まるような富裕層ばかりとは限らない。むしろ、これから増えるのはバックパッカーのような、価値ある旅をリーズナブルに楽しみたいという人たちではないかと田倉氏は見ており、そうしたニーズに応えるべく、高速バスでの移動や宿泊、着地型旅行商品などをパッケージ化して、海外の人たちに積極的に提案していきたいと考えている。

また、外国人旅行者を対象としたエンタテインメント系のビジネスも、視野に入れているようだ。

本書は、今後ますますインバウンド需要が期待される高速バス業界にあって、独自性に富むサービスを打ち出し、バス会社の枠を超えた幅広い事業展開で快進撃を続ける平成エンタープライズの、強さの秘密を検証するとともに、創業社長である田倉貴弥氏のビジネス哲学に肉薄するものである。

わが国が観光立国をめざすうえで大切なことはなにか。バス事業の関係者のみならず、観光業や宿泊業など、さまざまなサービス分野に携わる人にとって、常に顧客目線のサービスを追求する田倉氏および平成エンタープライズの姿勢から学び取れることは多いはずだ。サービスを提供する側と、そのサービスを利用する側の双方にとって、本当に価値のあるサービスとはなにかを考えるうえで、本書がなんらかの指針となれば幸いである。

なお、本文中の敬称は略させていただいたことを、あらかじめお断りしておく。

2018年4月  鶴蒔靖夫




はじめに


第1章 インバウンドの増加で需要増が期待される高速バス

高速バス新時代の幕開け
規制緩和で貸切バス事業者が高速バス事業に参入
高速乗合バスと高速ツアーバスの一本化
既存の停留所の発着枠を新規事業者に配分
新制度のもとで新高速乗合バスの人気は定着
付加価値の高いサービスを提供できるかが鍵
インバウンド需要は貸切バスから高速バスへ


第2章 バス業界の常識を変える平成エンタープライズ

バス事業を軸に関連分野へ事業を多角化
快適な眠りを追求する高速バス「VIPライナー」
タイプで選べる「VIPライナー」の豊富なラインナップ
サイト内の人気者「ネコ社長」がチャットボットにも
大好評だった「ワンコインシート」キャンペーンを復活
乗車前と乗車後まで考えたサービス「VIPラウンジ」
アナログとデジタルを融合させたサービス
路線バス、送迎バスや「あそびバス」で地域社会に貢献
バス事業者としての交通安全への取り組み
バス会社の枠を超えた顧客目線のサービスを


第3章 「あったらいいな」をかたちにした多彩なサービス

一般の利用客にも開放された「VIPラウンジ」
多目的ラウンジとしてサービスをグレードアップ
「VIPラウンジ」にネイルサロン「ルピナス」も併設
就職活動中の学生を応援
「手ぶら観光」が好評の手荷物一時預かりサービス
利用者の心をつかむには、きめ細かい対応が必要
格安の簡易宿泊施設「ホステルわさび」を展開
バス事業と宿泊事業の相乗効果を高める


第4章 バス会社ならではのオリジナルツアーを企画・販売

アイデアで勝負する日帰りバスツアー
お笑い芸人をスペシャル添乗員に起用
訪日外国人のFIT化に対応して海外営業を強化
海外営業で夜行高速バスの利点をアピール
インバウンド向け着地型日帰りバスツアーに注力
格安な旅をパッケージとして提案できる強み


第5章 「ネコ社長」田倉貴弥の経営理念と人生哲学

「人を喜ばせたい」という熱い想いで事業を展開
いくつもの事業を営む父親の姿を間近に見て育つ
大好きなクルマの運転を仕事に
中古バス1台を元手にバス事業を起ち上げる
公共バス入札の価格破壊で注目を浴びる
不祥事をなくさないかぎり会社に明日はない
人の命を預かる仕事の重みを常に意識
福利厚生の一環として起ち上げた介護&ストレッチ事業
ブルキナファソに学校設立資金を提供
楽しくて人が集まる会社が大きくなる会社


第6章 バス会社の枠を超え、世界を舞台に総合観光企業へ

インバウンドの増加を踏まえた数々の新企画
ハワイ、バンコク、台湾に現地法人を設立
比較されないマーケットを創出
東京の上野にインバウンド向けのリアル店舗を出店
名古屋にインターネットカフェをオープン
個人旅行者を対象とした便利なサービスが続々登場
バス会社として公共バス事業の拡大にも意欲
バス業界に特化したドライバー求人サイト「ドラプロ」
株式上場も視野に新たなステージへ


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