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2018/07/10

『LED革命』前書きと目次

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LED革命
~LEDのリーディングカンパニー「遠藤照明」の挑戦~


著者:鶴蒔靖夫
定価:本体1800円+税
ISBN978-4-87218-374-0
初版発行:2012年8月17日




 はじめに


文明は明かりとともに歩んできた。

はじめに人は火という道具を手に入れた。火は、人に暖を取らせ、獣から身を守り、食べものに火を通し、そして照明となった。火の使用により、人類は初めて文明を持つ余裕を持てたといえよう。暗闇でただ眠るしかなかった人に、火の明かりは光源として文明を育はぐくむチャンスを与えたのだ。

火の揺らめきはやがて松たい明まつからロウソクへと代わり、ガス灯、白熱電球、蛍光灯、ハロゲン灯など、新たな光源へと進化の幅を広げていった。そしてここにきて、これまでの照明の歴史とはまったく次元を異にする新たな光源を人類は手に入れることになった。それがLEDである。

LEDのメリットは何よりも消費電力が圧倒的に少ないことがあげられる。ざっくりいって、白熱電球照明の八〇%以上の消費電力を節減できる。環境や資源問題が喫緊の課題とされている現在、救世主ともいえる光源だ。

LEDの真価はほかにもある。輝度・演色性など、光のクオリティがこれまでのどの光源よりも高いのだ。さらにはデジタル環境に対応しやすく、自由自在に光をアレンジできることも照明デザインをするうえでははかりしれないメリットである。

LEDの登場により、照明の世界はドラマチックに変容した。いままさしく、照明の革命といえるような大イノベーションが進行しているのである。

そのLEDへのイノベーションの火付け役となり、日本の業務用LED照明市場でトップクラスのシェアを有するのが、本書で取り上げる株式会社遠藤照明(本社:大阪府大阪市、代表取締役:遠藤良三氏)である。

遠藤照明が専業照明メーカーとして、これまで手がけた商業施設の名をあげると、誰もが知っている大手百貨店から大型商業施設、スーパー、飲食店など、枚挙にいとまがない。おそらくほとんどの人がすでに、遠藤照明のLEDがつくり出す光の空間でショッピングやグルメを楽しんだ経験があるのではないだろうか。

「高付加価値空間」をつくり出すプロ集団という事業テーマを掲げる遠藤照明が手がけた空間は、これまでにない高い付加価値が生まれ、空間全体を彩ることは当然ながら、環境負荷が少なく、さらに電力料金が大きく下がるというのだ。いまや環境を意識する企業活動は、地球市民として当然の責務の一つといえる。さらに景気低迷・消費不況により収益率が低下している商業施設にとって、電力料金の削減は実質的に利益率の向上と同じ意味を持つ。次々と新たに生まれる空間の多くで、遠藤照明のLED照明が採用されるのも当然である。

遠藤照明の創設は昭和四十二(一九六七)年。遠藤良三氏が個人で立ち上げた、会社というより個人の製作所からのスタートで、それがすべての出発点だった。遠藤氏は、安定した大手銀行の正社員という恵まれた場を惜しげもなくかなぐり捨てると、「金がない」「人がない」「ルートがない」のないないづくしをものともせず、たった一人で会社を立ち上げたのだ。

そこから、非住居空間照明におけるトップシェアを占める企業にまで遠藤照明を育て上げてきた遠藤氏の歩みは、まるで小説のように起伏に富んでいる。私が遠藤照明をテーマに筆を起こしたのは、いまドラスティックに進行しているLED照明へのイノベーションを紹介したかったと同時に、遠藤氏の強い独立精神と、信じた道を強きょう靭じんな意志力で突き進んでいく生き方を、ともすれば、軟弱な生き方に傾きがちな最近の多くの人に知ってもらいたいという思いが大きかったからだ。

遠藤氏の豪胆かつ先見性豊かな経営力は、この三年ほどの動きに特に顕著だ。

たった一人で起業し、非住居空間照明に集中するという戦略でしだいに頭角を現すようになった遠藤照明は、平成二年には大阪証券取引所(新二部)に上場を果たす。照明専業メーカーとしては初の株式上場である。その後も順調に発展を遂げ、ピーク時には総売上高一八七億円にまで達していた。

だが、その歩みは決して順風満帆ではない。平成二十年にはリーマンショックが襲いかかり、遠藤照明の業績は一気に二十年前の水準まで落ち込んでしまう。その後、日本経済は円高、少子高齢化の進行などにより、いまだに低調から抜け出せてはいない。

このとき、遠藤氏はすぐさま「今後、経営資源の投下はLED分野に集中する」と大胆な決断を下した。いずれはLEDが照明の主流になると予感されたものの、当時、LEDが国内照明市場に占める割合はわずか三・四%にすぎなかったのだ。

この決断は見事な結果を導いた。平成二十二年三月期は一三一億円だった遠藤照明の売り上げは、翌平成二十三年三月期には一八九億円と急伸。平成二十四年三月期では二六八億円(実績)、平成二十五年三月期では三五三億円(予測)とさらに勢いよく伸びつづけているというから、痛快極まりない。すでにその売り上げの八〇%はLEDによるものだという。

いうまでもなく、LEDについても世界的な厳しい競争が繰り広げられている。もし、遠藤照明の決断がなければ、日本のLED事業は世界のLED化への潮流にも後おくれをとっただろうといわれている。遠藤氏は社団法人日本照明器具工業会の常任理事の要職にもあるが、率先してLED化を促進したことにより、日本の照明器具産業を大きく牽引する功績も果たしたことになろう。

現在、世界の照明市場は一〇兆円規模と巨大なものになろうとしている。しかも、加速度的に急成長も続けている。その主流は間違いなくLEDが占めるはずだ。

「そうした経済環境に的確に対応するために、アジア諸国はもちろん、欧米にもショールームを開設して海外事業を本格化させ、世界のリーディングカンパニーになることをめざしています」

遠藤氏はこう語る。

事実、これまで遠藤照明では、照明市場の世界的拡大を先取りし、二十三年前にタイに工場を設立。その後、中国にも生産拠点を設けている。その結果、圧倒的な価格競争力を持つなど、世界戦略への布陣固めにも抜かりはない。

本書では、LEDによる非住居空間照明を経営の主軸に据えて、照明新時代を牽引していく遠藤照明の活動を紹介するとともに、創業社長・遠藤良三氏の経営理念、行動哲学にも迫りたいと思っている。

このところ、ポテンシャル低下が懸念される日本経済だが、日本にはこんな元気な企業があることをぜひ、知っていただきたい。こうした企業ががんばっている、それが日本の底力だといえないだろうか。

遠藤照明のパワフルな活動を知れば、日本の未来に新たな活路は開けるという確信が湧いてくるはずだ。また、遠藤氏の生き方は、勇気ある決断、迷うことない行動力こそが難局を切り開いていくのだというメッセージを放ち、多くの人に貴重な示唆を与えるものだと信じている。

なお、本文内の敬称を略させていただくことを、あらかじめお断りしておく。


平成二十四年六月   鶴蒔靖夫




はじめに


第1章 LEDが開く新しい光の時代

照明革命の幕が切って落とされた!
非住居空間照明はLEDがあたり前という時代がはじまった
次世代の照明・LED
誰もが驚いたオールLED照明の提案
売り場を二分しての大実験
売り上げを押し上げるLED照明効果
オフィス空間照明にも理想の光
伝統と先進イメージを融合させる
高付加価値空間創造企業としての遠藤照明
非住居空間×LEDに特化し、オンリーワン企業に
LEDなら大手に勝てる!
照明を知り尽くしている照明のプロ集団


第2章 文明から文化へ――照明の歴史

光が人をつくった
光の正体は電磁波
火からロウソクへ――明かりが果たした役割
歴史を変えた白熱電球
青白く光り、消費電力が少なく、電球の寿命が長い蛍光灯
非住居空間を彩る照明・ハロゲン灯:HIDランプ
本格的なLED時代の幕開け
LED研究の夜明け
光の三原色と青色発光ダイオード
白色発光ダイオードの開発
照明意識の変化とLED使用の急増
東日本大震災でLED普及はさらに加速
環境負荷の圧縮、省エネ照明とLED
非住居空間照明におけるLED化を牽引
クライアントは育ての親
エネルギー消費とデザイン性の高さを併せ持つLED照明


第3章 照明環境創造のプロ集団・遠藤照明

Ⅰ.照明事業
 照明テクノロジーの原点――照明技術研究所
 ビジネスを実際に成立させていく――営業本部
 高付加価値空間を提案する――照明計画研究所
 供給体制を万全に――生産本部
 遠藤照明の品質力の要――品質保証部
Ⅱ.海外事業
 グローバル市場で勝ち抜いていく
 すでに世界攻略の拠点を完成
Ⅲ.環境ソリューション事業
 環境が世界の課題になることを視野にイーシームズを創設
 レンタル事業と省エネ
 省エネ照明の普及浸透に大きく貢献
 イーシームズの環境提案・自動監視制御システムECOライナー
 多彩なサービスメニュー
Ⅳ.インテリア家具事業
 照明とコラボするインテリア製品を開発
 付加価値の高い家具に特化
Ⅴ.人材育成
 高付加価値空間をつくり出すプロフェッショナルたち
 「社員憲章」と「エンドーバリュー」
 信賞必罰制で人材を鍛え直す
 打たれてもいいから出る杭になる、そんな人材を育てていく
 戦略的人事配置で一〇〇〇億円企業の人材育成を


第4章 光とともに歩んできた半世紀

ビジネスとは無縁の家に生まれ育つ
安定よりも自分で勝負! の道がいい
五年で捨てた恵まれた銀行員の座
照明との出合いは“甘いささやき”?
たった一人の独立
護衛艦用照明で鍛えられた技術力
ニクソンショックで、新規領域を探す
店舗照明へと照準を決め、遠藤照明を設立
活路はカタログ制作から
カタログがバインダー形式だったわけ
「一度、使ってもらえれば」という自信
「遠藤ならば」の信頼性
「オリジナルに徹する」を貫く
独自の存在感で価格決定権を手にする
明るさから光の演出の時代へ
一〇〇億円企業に成長
タイに本格的な生産拠点を完成
照明専業メーカーとして初の上場
新技術への積極的な挑戦
バブル経済の崩壊の洗礼を受けて
パチンコ店ブームの火付け役
アパレル、百貨店などの空間照明を牽引
失われた二十年
一〇〇%LEDへの転身
電光石火の攻めを展開


第5章 世界のトップランナーに

進化しつづける「LEDZ」
商業施設から新たなる分野へ
世界がLEDに向けて走り出す
世界規模の倍々ゲームがはじまった
世界のトップランナーへ躍進
競合を恐れとしない、これだけの理由
世界市場で「ENDO」ブランドを確立する
光の未来へ・三年後、一〇〇〇億円企業をめざす


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