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2019年5月

2019/05/13

『合格にいちばん近い予備校 東京アカデミー』 前書きと目次

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合格にいちばん近い予備校 東京アカデミー
~合格の決め手は『生講義』
 圧倒的な合格実績を誇るオンリーワンの就職予備校~


著者:鶴蒔靖夫
定価:本体1800円+税
ISBN978-4-87218-455-6
初版発行:2019年5月18日




はじめに

景気の回復基調と深刻な人手不足を背景に、2018年4月の有効求人倍率は1.59倍、正社員の有効求人倍率も1.09倍と高水準を維持し、大学生の就職戦線においても近年は学生優位の超売り手市場が続いている。

これまでも企業は、景気がよいときは攻めの経営で採用枠を増やし、景気が悪くなると採用枠を絞るため、学生の就職は、景気に連動して明暗が繰り返されてきた。バブル経済の崩壊やリーマンショックの影響により景気が低迷した時期には、多くの企業が採用を控えたため学生の就職活動は苦戦を強いられ、「就職氷河期」とも言われたものだ。

せっかく大学を卒業しても、そのときの景気が悪ければ、希望する企業への就職は難しくなる。そのうえ、たとえどこかに就職できたとしても、その後の社会状況によっては企業の倒産やリストラという憂き目にもあいかねない。日本はバブル経済の崩壊後、景気低迷期が長らく続き、その間の就職環境はずっと、そのような不安定な状態にあった。

その結果、若者の持つ就職への意識は安定重視に向かった。安定職種の代表格である公務員や教員の人気が高まると同時に、確かな技術や知識に裏打ちされた資格の重要性が見直され、若者に限らず、さまざまな資格取得をめざす人々が急増した。資格取得をサポートする専門学校や予備校には受講生が殺到し、資格取得ブームが到来したのだ。

ひと口に「資格」といっても、国家資格、公的資格、民間資格の3種類があり、その内容も多岐にわたる。特定の職に就くためには取得が必須の資格もあれば、必須ではないが持っていれば就職に有利な資格もある。そうした資格を企業へアピールするための「武器」ととらえ、多くの学生が採用内定を求め、厳しい就職戦線へと挑んだ。

資格を武器に、よりよい企業への就職をめざす者がいる一方で、取得した資格を活かして自ら開業することをめざす者たちもいる。かつて、「高度経済成長期」と言われた1950年代後半から1970年代前半にかけて、弁護士や司法書士、公認会計士、税理士、不動産鑑定士、社会保険労務士などといった専門職の資格を取得して、それを武器に独立開業をめざすための、資格取得ブームが起きたことがある。会社勤めと違い、独立開業すれば定年もないし、資格があれば一生食いっぱぐれることもないと思われていた。

しかし現実には、資格を取得したからといって必ずしも食べていけるとは限らない。顧客がいなければ、苦労して取得した資格も宝の持ちぐされになってしまう。つまり、「職を得るため」という観点では、資格ならどんなものでも役に立つというわけではなく、職につながりやすい資格と、そうではない資格があるのだ。

たとえば、看護師をはじめとする医療系の資格などは、公共性が高いうえに、超高齢社会にあってはますます必要とされるものであるため、「安定した就職」に結びつきやすい。

しかし「安定性」という点では、やはり公務員や教員といった公益性や公共性の高い仕事に勝るものはないだろう。それを反映してか、空前の売り手市場と言われる昨今の就職戦線においても、公務員の人気には根強いものがある。少子化によりひとりっ子が増えていることもあって、最近の若者は地元志向が強まっており、とりわけ地方公務員の人気が高まっている。

また、AI(人工知能)の進化により、多くの仕事が機械に奪われ、職業によっては10年後、20年後には消えてなくなるのではないかと言われているものもある。その点でも、公務員や教員、看護師などといった公共性・公益性の高い仕事はなくなる可能性が低く、安定性は折り紙つきだと言えるだろう。

そうした状況下において、教員を含む公務員系の採用試験や看護師を中心とした医療・福祉系の国家試験などの受験対策専門予備校として屈指の合格実績を誇るのが、本書で紹介する株式会社東京アカデミー(本社:大阪市、理事長兼代表取締役社長:佐川泰宏氏)である。

東京アカデミーの創業は1967年と、すでに半世紀以上の歴史を有する。現理事長である佐川泰宏氏の父の先代理事長が、東京、大阪、名古屋の3カ所で、司法試験、司法書士、不動産鑑定士、社会保険労務士、宅地建物取引主任者(現・宅地建物取引士)の資格試験対策講座を開講したのが始まりだ。その後、公認会計士、税理士、中小企業診断士、簿記、行政書士など、講座の種類を増やしていった。

しかし、前述のように当時は資格取得ブームの時期であり、同業他社の参入が相次いで、資格試験対策のための専門学校や予備校が、全国各地に続々と開設されていった。そのため1980年代のなかばには、こうした資格取得の市場はすでに飽和状態になっていた。

そうした風潮をいち早く感じとった先代理事長は、高校生を対象とした試験対策を開拓しようと、1985年に、高校卒業程度の公務員採用試験と看護学校受験のための対策講座をスタートさせた。これを機に東京アカデミーは、資格試験対策予備校から、公共性・公益性が高く社会貢献につながる仕事に就く人をサポートするための就職試験対策予備校へと、徐々に事業の中身が切り替わっていった。

「『受講生からいただいた受講料は必ず還元しなさい。親切にしなさい』というのが先代理事長の教えでした。受講料の還元とは、受講生を各種試験に合格させることにほかなりません。そして『合格者をたくさん輩出して地域社会に貢献してもらうことで、弊社も同時に社会貢献していく』という先代の教えは、いまでも弊社の基本的理念として、脈々と受け継がれています」

と、現理事長の佐川泰宏氏は語る。

1988年に先代理事長から経営を引き継いだ佐川氏は、この理念のもとで全国展開に踏み切り、現在は北海道から鹿児島まで全国32都市に校舎を擁するまでに拡大させている。その間、公務員試験対策講座を拡張するべく、高校卒業程度だけでなく、大学卒業程度の公務員試験対策講座や教員採用試験対策講座も創設した。地方公務員や教員の試験は自治体によって出題傾向が異なるため、全国32都市に展開する校舎以外にも43拠点で各種の試験対策講座を開講し、地元に特化した情報をもとに、公務員や教員をめざす人たちの採用試験合格を全面的に支援している。

一方、医療系の講座も、受講生を看護医療系学校入学へと導くだけでなく、1996年からは同業他社に先駆けて看護師国家試験対策講座を開講し、入学から国家試験合格、さらには就職までをトータルでサポートできる体制を整えた。いまでは看護師国家試験対策に強い予備校として定評を得ており、全国32校の東京アカデミーのほか、多くの看護医療系大学や専門学校、高等学校にも講師を派遣して、看護師国家試験対策の学校内講座を実施している。

東京アカデミーでは現在、国家公務員、地方公務員、教員の採用試験、看護医療系学校の入学試験、看護師、管理栄養士、社会福祉士、介護福祉士、ケアマネジャーなどの資格試験の、それぞれの対策のための通学講座および通信講座、学内講座、模擬試験を企画・運営しており、受講生の総数は年間約27万人に達するという。

これほど多くの人たちから東京アカデミーが選ばれる最大の理由は、なんといっても合格実績の高さにある。ちなみに2018年度の合格者数は、大卒程度公務員が6226名、高卒程度公務員が3816名、教員採用が6010名、看護師国家試験が2万3606名であり、特に看護師国家試験においては、合格者の実に5人に2人以上が東京アカデミーの講座の受講生だという。

このように高い合格実績をあげられるのは、「三位一体で最高の結果を」をスローガンに、講師、受講生、教務スタッフの3者が力を合わせて「合格」というひとつの目標に向かって突き進んでいるからだ。

また、合格実績のほかに、生講義の実施や、きめ細かな受講生のフォロー、オリジナルテキストなどの質の高さも、東京アカデミーが選ばれる理由としてあげられる。
昨今はDVDやインターネットを活用した講義を行う予備校も増えているようだが、東京アカデミーでは100%生講義にこだわっている。

「生講義へのこだわりが、弊社が運営する講座の特徴のひとつであり、大きな強みにもなっています。双方向のコミュニケーションを大事にする生講義であれば、受講生の理解度に合わせて講義の速度を臨機応変に変えたり、その場で質疑応答ができたりもしますからね。受講生が理解度をどんどん深めていけるという点で、生講義に勝るものはありませんし、直近の時事ニュースも瞬時に講義に盛り込めます。これが合格者の増加にもつながっているのだと思います」

と、佐川氏は絶対的な自信を見せる。

また、東京アカデミーは試験情報の分析力が優れており、カリキュラムも最新の試験傾向を意識して戦略的に組まれているため、学習の成果がむだなく合格に結びつくというメリットもある。公務員試験、教員採用試験、看護師国家試験など、それぞれの試験対策の中身については本編で詳述するが、東京アカデミーは、それらの試験対策予備校のパイオニアであり、リーディングカンパニーでもあると言えるのだ。

本書は、公務員系と医療・福祉系を軸に、公共性や公益性の高い仕事に就くための各種試験対策を徹底サポートする東京アカデミーについて、そこで実践される指導と、それに付随するさまざまな事業活動を紹介しつつ、同業他社の追随を許さない圧倒的な強さの秘密に迫るものである。人生の基盤となる「仕事」のあり方に思いを致す多くの若者や社会人にとって、社会貢献度の高い職業に就くことの意義や、そのための予備校の役割を理解するうえで、本書がなんらかの指針となれば幸いである。

なお、本文中の敬称は略させていただいたことを、あらかじめお断りしておく。

2019年4月  鶴蒔靖夫




はじめに


第1章 資格取得から就職サポートへ
~変わりつつある専門予備校の役割~

早く仕事に就くことを軽んじてきた戦後の日本
憂慮すべきは若者の学力低下
社会の要請に応え実学重視の大学も
大学の就職予備校化
バブル崩壊で再来した「資格の時代」
若者の就職意識は安定重視の方向へ
職業選択のキーワードは「3つのライ」
就職は安定志向に加え地元志向が強まる
地方公務員が地方創生のキーマンに
教員志願者減を背景に年齢制限の引き上げも
超高齢社会でニーズが高まる医療・福祉の仕事
「早く、安く、確実に合格」をめざす専門予備校


第2章 圧倒的な合格率で選ばれる東京アカデミー

公務員資格と看護師資格を中心に多様な講座を運営
100%生講義へのこだわり
講師の見極めは、合格に導けるか否か
講師、受講生、教務スタッフの三位一体で合格をめざす
高い合格率へと導く緻密な試験傾向分析
出題傾向に合わせたオリジナルテキスト
受験生に大人気の試験対策教材
受験者数ナンバーワンを誇る各種模擬試験
就職試験で必須の人物(面接)試験対策
何回でも制限なしで受けられる模擬面接


第3章 全国の自治体を網羅する公務員・教員採用試験対策

公務員試験の競争率は低下傾向
地方公務員では人物本位の採用試験も
現場を知るための「官庁・自治体説明会」を開催
目的意識の確立に力を注ぐ
受講生14名でスタートした教員採用試験対策講座
非正規教員の受験者が多い教員採用試験
自治体別の試験傾向に沿ったカリキュラム
試験の内容は受験者の負担を軽くする傾向に
徹底した市場調査で他社との差別化を図る
得意を伸ばす試験テクニック
講師に求められる「ティーチャー」と「トレーナー」の役割
最終合格までを徹底サポート
新学習指導要領にもいち早く対応


第4章 高い信頼と実績を誇る看護師国家試験対策

看護師国家試験対策は学校内講座からスタート
学校別合格率の公表が「神風」となってニーズが急増
本試験の翌日に「解答速報会」を実施
受講生動員の国家試験問題復元プロジェクトを結成
看護師国家試験では毎年1割が落とされる
基礎の基礎を身につけるDランク講座
受験生の70%が正解した問題のみを集めた『でた!でた問』
国家試験の試験地で前日講習「ザ・ファイナル」を開催
多くの看護師を輩出することで看護界に貢献
必修問題の採点除外措置の是非
新設ラッシュが続く看護系大学


第5章 人づくりから国づくりを支える東京アカデミー

企業理念を表す「感」「益」「献」
4項目からなる事業モットーを明示
学科を横断した総合的な視点を持つ
会社組織で受講生一人ひとりをサポート
社員教育や働き方改革にも力を注ぐ
さまざまなかたちでの教育サービスを提供
外国人看護師の輩出にも寄与
社員人材の育成
昭和、平成、令和と、時代に順応した予備校の創造をめざして

《東京アカデミー アクセスMAP》


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『専門医が集まる大型クリニック』 前書きと目次

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専門医が集まる大型クリニック ~医療法人社団めぐみ会の挑戦~

 

 

著者:鶴蒔靖夫
定価:本体1800円+税
ISBN978-4-87218-454-9
初版発行:2019年5月18日

 

 


 

 

はじめに

 

日本社会はいまや「人生100年時代」とまで言われるほどの超高齢化・長寿化に直面している。日本人の平均寿命は、女性は87.26歳、男性は81.099歳となり、ともに過去最高を更新している(2017年数値。厚生労働省「平成29年簡易生命表の概況」)。戦後まもない1947年の平均寿命は、女性は53.96歳、男性は50.06歳だったから、70年間で30歳以上も延びたことになる。しかも、近年の健康意識の高まりや医療水準の向上により、この先も平均寿命は延び続けると予想され、「人生100年時代」が実感として迫ってくる。

 

古来、「長寿」はその言葉が示すとおり「寿ぐ」こととされてきたが、現代では、手放しで喜んでばかりもいられない状況になっている。というのも、たいていの人は、年齢を重ねるにつれて身体機能が低下し、なんらかの病気を発症して医療機関にかかる頻度が増す。そのため、高齢化の進展にともない、国民医療費が増大の一途をたどっているからだ。

 

2017年度の概算医療費は42兆2000億円で、前年度に比べて9000億円の増加である(厚生労働省「平成29年度 医療費の動向」)。労災や全額自己負担などの費用が含まれていない速報値である概算医療費は、確定値である国民医療費の約98%に相当するというから、確定値は43兆円を突破することになる。これは国の一般会計の半分近くに匹敵する膨大な数字である。

 

国民医療費の増大は、国の財政負担にも重くのしかかる。そのため国としても、医療費の抑制を図ろうと、長期入院の是正や生活習慣病への対策など、さまざまな策を講じてきたものの、いまだ十分とは言えないのが現状だ。

 

2025年には団塊の世代がすべて75歳以上となり、後期高齢者人口が増大することから、医療、看護、介護のニーズがいちだんと高まることが予想されている。しかし日本の医療現場では、すでに医師不足が深刻化しており、看護や介護の人材も不足している状況だ。

 

そこで国は打開策として、これからの超高齢社会を地域全体で支えあう、「地域包括ケアシステム」の構築を推進している。これは、住み慣れた地域で高齢者が自分らしい暮らしを人生の最期まで続けられるように、住まい、医療、介護、予防、生活支援のサービスを一体的に提供するというもので、その具体策のひとつとして、地域住民のプライマリ・ケアを行う「かかりつけ医」の整備と定着がある。

 

「かかりつけ医」とは、平たく言えば「町医者」のことだ。患者の住まいから身近な距離に存在し、病気や健康に関して、いつでもなんでも気軽に相談できる医師をさす。

 

とはいえ、日本では総合診療を行える診療所(クリニック)が少ないことに加え、その多くは在籍する医師が1名程度の小規模な診療所であり、提供できる医療サービスには自ずと限界がある。患者としても、最近は医療情報をインターネットなどを通じて簡単に入手できることもあり、診療所の医師が行う診断や治療に対して不安や物足りなさを覚えることもあるだろう。それに、一般的に大病院のほうが診療所よりも高レベルの医療サービスを受けられると思っている人も多いため、具合が悪くなると近所の診療所を素通りして大病院に行こうとする人は少なくない。

 

「医療の世界を小売業にたとえるなら、診療所は個人商店、病院は百貨店と位置づけられるでしょう。小売業の世界では、個人商店と百貨店のほかにも、時代のニーズに対応して大型量販店やセレクトショップ、コンビニエンスストアなど、さまざまな業態ができました。一方、医療の世界では、それなりの規模がある病院と小規模な診療所という主に2つの形態のみというかたちが長く続いています。しかし医療においても、身近さと専門性の高さを兼ね備えた、病院と診療所の中間とも言うべき医療機関が必要ではないでしょうか。それが、私たちが展開している大型クリニックなのです」

 

こう語るのは、本書で紹介する医療法人社団めぐみ会(本部:東京都多摩市)理事長の田村豊氏である。

 

田村氏は、大学を卒業後、大手石油会社での勤務を経て、医師へ転身したという異色の経歴の持ち主だ。1994年に37歳でめぐみ会の原点となる「田村クリニック」を多摩市に開業して以来、地域医療の新しいモデルづくりをめざし、「信頼できる医療をもっと身近に」の理念のもと、都内に複数の大型クリニックを展開してきた。めぐみ会が運営する大型クリニックは、多摩市を中心に八王子市、品川区、杉並区、目黒区など都内5カ所で10施設を数え、在籍する医師の数は非常勤を含めると約160名、コメディカルや事務スタッフを合わせた従業員数は500名を超えており(2019年3月現在)、めぐみ会全体の規模としては300床の病院に匹敵する。

 

めぐみ会の大型クリニックは、複数の専門医が集まって、それぞれのクリニック内に診察室を持って診療するというスタイルが特徴となっている。いわば、大病院の専門外来が、そのまま身近な診療所内に展開されているようなイメージだ。診療科目は施設によって異なるが、全体では内科、消化器内科、循環器内科、泌尿器科、脳神経外科、小児科、皮膚科など実に19科目に及び、糖尿病外来、肝臓外来、乳腺外来など18の専門外来を設け、それぞれ専門医が診療にあたっている。

 

1人の医師が複数の専門分野を持つことは難しくても、専門分野が違う院内の医師どうしが連携しあうことでチームとしてオールマイティな総合診療が可能となる。めぐみ会では、こうした診療体制により、大病院に負けない専門性の高い診療レベルを維持し、なおかつ患者目線に立って、年中無休・昼休みなしの途切れのない診療を提供している。それが可能となったのも、大型クリニックだからこそである。
そしてもうひとつの特徴が、ターミナル・ケアを含め、近年、ニーズが非常に高まっている訪問診療(往診)に積極的に取り組んでいることだ。

 

田村氏は、開業当初から訪問診療をひとつの柱にしたいと考えていた。というのも、医師を志したときから田村氏には、どんな病気でも診療し、頼まれればいつでも往診し、看取りもする、そんな「町医者」でありたいという思いがあったからだ。

 

だが、実際問題として、医師が1人しかいないような診療所では、外来と往診を両立させることはなかなか難しい。その点、複数の医師がいる大型クリニックなら、緊急の往診依頼があったときに主治医が外来診療でどうしても手を離せないような場合に、ほかの医師がサポートすることができる。

 

めぐみ会では、複数の医師と訪問看護師、ケアマネジャー、医療事務スタッフなどが在宅医療チームを編成し、24時間365日のオンコール体制で在宅患者に対応している。複数の医師やスタッフが連携・協力して、外来診療と同様の高水準の在宅医療サービスを提供する。田村氏自身も、外来診療を行うほか、訪問医としても活動している。

 

超高齢社会を迎えた日本では、医療に求められる役割は高度化する一方である。患者が要求する、「良質で専門性の高い外来診療や在宅医療」へのニーズに迅速に応えるためにも、めぐみ会が提唱し、実践する、大型クリニックモデルによるチーム医療は今後、ますます注目されるようになるのではないか。

 

本書は、日本の医療界に新しいクリニック像を打ち立て、日々進化を続ける、医療法人社団めぐみ会のさまざまな取り組みを紹介するとともに、理事長・田村豊氏の今日までの歩みをたどりつつ、その経営理念と医療哲学に迫るものである。

 

「人生100年時代」に向け、医療や看護、介護は誰にとっても関心の高い身近な問題である。それだけに、現在、医療関連の仕事に携わっている人はもとより、これから医療の世界を志す人、さらには患者やその家族にとっても、新しい地域医療モデルの構築をめざすめぐみ会の活動から学び取れることは多いはずだ。患者にも医師にも喜ばれる理想の医療サービスのあり方を考えるうえで、本書がなんらかの指針となれば幸いである。

 

なお、本文中の敬称は略させていただいたことを、あらかじめお断りしておく。

 

2019年4月  鶴蒔靖夫

 

 


 

 

はじめに

 

 

第1章 超高齢社会における新しい地域医療のかたち

 

地域医療の原点は往診に駆けまわる「町医者」
国民の5人に1人が後期高齢者になる時代
医療現場で常態化する医師不足
地域包括ケアを前提とした地域連携型医療へ
高まる患者の専門医志向
在宅医療のメリットとデメリット
在宅医療チームとしての多職種連携と医療機関連携
これからの在宅医療に求められる機動力
療養病床に代わる介護医療院の創設
医療に求められるサービス業の視点

 

 

第2章 チーム医療で地域の健康と安心を支える

 

信頼できる医療をもっと身近に
チーム医療による大型クリニックのメリット
働きやすさと働きがいを実感できる環境
患者に満足してもらうことが最低条件
大型化と分院展開で経営の安定化を図る
病院勤務医と開業医のメリットを併せ持つ
プロフェッショナルとして誇りを持てる風土
健診事業と産業保健事業で地域や企業の健康をサポート
被災地でのチームによる医療支援活動

 

 

第3章 24時間体制で患者に寄り添う在宅医療

 

3つのクリニックで在宅医療に対応
複数の医師や多職種からなる在宅チームを編成
外来と訪問を両立させた診療スタイル
組織力を持った在宅医療チーム
チームで臨む24時間365日のオンコール体制
在宅ターミナル・ケアから看取りまで
ケアマネジャーが地域医療連携の担い手に

 

 

第4章 医療の質を高める人づくりと環境づくり

 

医師にとって働きやすい環境を整備
実績に連動した成果報酬制を採用
医師の長時間労働に歯止めを
ワークライフバランスを実現するフレキシブルな勤務体系
医療に専念できるように本部機能を強化
求めるのは患者の満足度を高められる医師
開業への医師の思いを実現する開業支援体制
節目に合わせて行う充実した職員研修制度
独自の職種別スキル認定制度とキャリア形成

 

 

第5章 めぐみ会理事長・田村豊の経営理念と医療哲学

 

人の世話をすることを一生の仕事に
脱サラして医学部に入りなおす
徳洲会病院で研修医生活をスタート
研修医時代に遭遇した尊敬すべき医師の姿
37歳で念願の独立開業を果たす
患者との信頼関係を築くためにはコミュニケーション力が不可欠
複数の医師による診療体制を構築
大型クリニック化で医療と経営の分離を実践
理想のクリニックのあり方を追求し続ける熱き思い
医療界のフロントランナーをめざす

 

 

第6章 めぐみ会が描く地域医療の未来図

 

優秀な医師の確保は永遠の課題
医師の働き方改革の是非
高邁なサービス業としての誇りを持つ
当面は分院展開より拠点のブラッシュアップに注力
事業継承というかたちでの分院展開の可能性
将来的には大型クリニックが標準的な診療スタイルに
大型クリニックの機能を活かして過疎地の医療支援も
持続可能性を持った組織づくりに向けて

 

 

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