**鶴蒔靖夫

2019/08/16

『本日入社、本日オープン!』 前書きと目次

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本日入社、本日オープン!
~AIグループが「センチュリー21」で日本一になった理由~


著者:鶴蒔靖夫
定価:本体1800円+税
ISBN978-4-87218-460-0
初版発行:2019年8月23日 初版発行




はじめに

経営者の多くは、1つの質問に対し、多くの言葉を返してくる。なかには、こちらが聞いていないことまでをも雄弁に語り、ときに脱線したり、そこから意外な方向へと話が発展したりする経営者もいて、それが取材の楽しみでもあったりする。

このような多弁型の経営者は、いわゆるサラリーマン社長より、創業経営者に多く見受けられる。ところが、今回、話を聞いた経営者は、創業経営者でありながら、多くを語らない。質問にはいたって真摯に答えてくれるのだが、そこから外へとはみだすようなことはない。

坂本繁美氏、71歳(1948年生まれ)。神奈川県横浜市で不動産事業を展開するAIグループの創業者で、同グループの会長を務める坂本氏がまとう雰囲気は、世間一般に思い描かれるような不動産業者の、脂ぎったイメージとは対照的だ。その端正で穏やかな風貌と物腰には、大企業のベテラン総務部長といった趣がある。

AIグループ(旧アーバン・コスモ・グループ。2018年にグループ名を変更)は、ホールディングカンパニーである株式会社アイ建設を中核にした9つの企業で形成され、そのうちのアイ建設、株式会社日立ホーム、株式会社スターライフ、株式会社マイホーム、株式会社アース住販、株式会社ヨコハマホーム、株式会社アイホームの7社が不動産事業を手がけている。

不動産事業といっても、その内容にはさまざまなものがあるが、AIグループでは、売上の約9割を占める不動産の売買仲介を中心に、新築分譲、注文住宅、リフォーム、中古住宅および中古マンションの売買、賃貸仲介などを手がけ、グループ全体で総合不動産業を行っている。

住宅・不動産業における新たなビジネスモデルで事業展開をしているわけでも、世間の耳目を集めるような華々しい手法で経営を行っているわけでもないAIグループに、私が注目した理由は、坂本氏が率いるこの企業グループが、不動産の売買仲介において傑出した存在であるからにほかならない。

独立系不動産業者としては神奈川県でもトップクラスの地位にあるAIグループの各社は、世界最大級の不動産仲介ネットワーク「センチュリー21」に加盟している。「センチュリー21」の名称は、テレビCMなどでご存じの方も多いだろう。そのネットワークは世界の80の国と地域に展開され、約9400店舗、従業員数12万7000名(2019年3月31日現在)を擁するというから、そのスケールにはあらためて驚かされる。

「センチュリー21」を展開する Century 21 Real Estate LLC は、1971年にアメリカ東部のニュージャージー州マディソンで設立された。直営店を持たないフランチャイズチェーンとして、わずか17店舗からスタートした「センチュリー21」は、その後の3年で店舗数を1000にまで増やした。

日本では、1983年に日本法人のセンチュリー21・ジャパンが設立され、翌1984年に首都圏12店舗が一斉にオープン。その後、関東、関西、中部と加盟店を増やしていき、現在では北海道から沖縄まで全国に954店舗、従業員数6498名(2019年3月31日現在)にまで成長している。

そのなかにあってAIグループは、「センチュリー21」の企業グループ部門表彰で全国ナンバーワンを2012年度から2018年度までの7年間に6回も受賞するなど、日本国内の「センチュリー21」加盟店において、まぎれもなくトップの座に君臨している企業グループである。

さらに、AIグループとしてだけではなく、AIグループを構成する各社も、全世界の「センチュリー21」加盟店のうち、わずか4%の成績優秀店舗だけが選ばれる「センチュリオン」に、長年にわたって選ばれ続けていることも見逃せない。なかでもAIグループの筆頭格とも言える日立ホームは32年連続で「センチュリオン」を獲得しており、これは「センチュリー21」の加盟店において日本でナンバーワンの記録である。他のグループ各社も、スターライフは26年連続、マイホームは25年連続、アース住販は17年連続、アイ建設は14年連続で「センチュリオン」を獲得し、現在もそれぞれに連続獲得記録を更新中だ。

なぜ、そんなことが可能なのだろうか。

AIグループには、社員の尻を叩き、馬車馬のごとく働かせる、鬼軍曹のような存在がいるわけではない。それどころか、AIグループの総勢約200名をたばねる会長の坂本氏は、前述のとおり、いたって温厚な紳士である。AIグループの社員で、坂本氏が声を荒げているのを聞いたことがある者はいないというほどだ。

その坂本氏に、営業におけるモットーや心構えを尋ねたところ、

「そうですね、お客様主義と言いますか、こちらが売りたい物件を売るのではなく、お客様が欲しいと望まれる物件をご紹介するというやり方ですね。押し売りというのは、どうも性格的にできないものですから」

と、静かな口調で答えが返ってきた。

こうした坂本氏の考えを反映し、AIグループでは飛び込み営業をまったく行っていない。店舗を構えて顧客が来るのを待ち、じっくりと顧客の要望を聞いて、それに沿った物件を紹介するというのが基本スタンスである。「センチュリー21」のトップを走る企業グループと聞くと、いかにも精力的な営業活動をしていそうに思うかもしれないが、実際にはあくまでも「待ちの営業」をしているのだ。

また、坂本氏はよく歌を口ずさんでおり、グループ会社にスーツ姿でふらりと現れた坂本氏をみかけた新入社員が、

「さっき入ってきた、鼻歌のおじさんは誰ですか」

と、上司に尋ねたとのエピソードがあるほどだ。これは、坂本氏をはじめとした社員全員が、ふだんから「センチュリー21」の揃いのジャケットを着ているせいもあるだろうが、それ以上に、坂本氏のもつ「不動産業者らしからぬ雰囲気」のためだろう。

この「不動産業らしからぬ」というのは、AIグループがもつ特徴のひとつである。そうした一風変わった特徴をもった企業グループが、なぜ不動産の売買仲介業でトップになれたのか。その理由を解明していくことが本書の目的だ。

AIグループの創業者である坂本氏は、誰も手がけたことがないようなビッグビジネスを築きあげた事業家でも、ビジネス界における大きな英雄というわけでもない。しかし、不動産仲介業という既存のビジネスにおける覇者であるだけに、その成功への歩みには地に足のついたものがあり、多くの読者にとって等身大の手本となるはずだ。AIグループは、いわば地域の不動産会社においてひときわ明るく輝く星だが、その輝きは、けっして奇をてらって得たものではなく、あたりまえのことを地道に積みかさねた結果、得られたものだということを、読者に伝えられたらと思う。

なお、本文中の敬称は略させていただくことを、あらかじめお断りしておく。


2019年7月  鶴蒔靖夫




はじめに


第1章 スーパー不動産会社を生んだ5つの成功要因

「住みたい街」ランキング1位の横浜
成功要因① 横浜重点主義
横浜駅西口に集中出店する理由
成功要因② 売買仲介の手堅さ
バブル崩壊後に始動した多店舗展開
創業10年にして始めた建売事業
成功要因③ 別会社展開という競争原理
立地で喚起される店舗間のライバル意識
成功要因④ 社員が長続きする会社
飛び込み営業をしないことのメリット
成功要因⑤ あたりまえを続ける会社
巧みなセールストークはいらない


第2章 AIグループ流「成約をつかむ法則」

インターネット時代への素早い対応
業界の若返りとインターネット
顧客にとって「譲れないもの」をつかむ
ニーズ多様化時代の営業スタイル
インターネットではわからない「生きた情報」を手に入れる
顧客の不安を取り除くことも大切な仕事
営業担当者は人間性を高めなければならない
「人間関係」から「信頼関係」に深めるために
トラブルから絶対に逃げてはならない


第3章 誠実の人・坂本繁美の歩みと経営哲学

東京生まれの隠岐育ち
プロの歌手をめざした大学時代
起業と同時にバブル経済の上げ潮に乗る
バブル経済に踊らされず堅実に足元を固める
求められる住宅を提供することが仲介業の矜持
投資用不動産では味わえない「血の通った仕事」
顧客の好みに臨機応変に対応する
肩の力が抜けるアットホームな社風


第4章 ユニークな別会社展開と人材育成

横浜市内の各駅をまわる新人研修
未経験者だからこそ受け継がれる営業ノウハウ
「社長」という目標がみえる会社
みな「自分にできるのだろうか?」からスタートする
思うようにやってみなさい
自由にものが言える社風はなぜできたか
普遍性のある「しくみ」を武器に首都圏進出をうかがう


第5章 変革期を迎えた日本の住宅事情

事業戦略の見直しを迫られる不動産業界
新築着工戸数はピーク時の半分に
多様化するライフスタイルと住宅ニーズ
リフォームの市場拡大は期待できるか
中古住宅流通に必須のインスペクション
日本中の住宅の3割が空き家になる可能性
空き家の増加と犯罪発生率の上昇は比例する
中古住宅流通の拡充を担う不動産仲介業


第6章 AIグループが描く将来戦略

営業エリアの拡大と事業の多角化
仲介業者でなければできない分譲住宅を
リノベーション事業にも意欲
悠揚迫らぬ着実な歩み
ワンマンでもカリスマでもない「普通人」として
企業の強さのエッセンスとは


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2019/08/06

『日本をマネジメントする会社』 前書きと目次

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日本をマネジメントする会社
~ビッグデータで社会を支えるJMの建設業イノベーション~


著者:鶴蒔靖夫
定価:本体1800円+税
ISBN978-4-87218-459-4
初版発行:2019年8月11日 初版発行




はじめに

日本の建設業界はいま、都市部の再開発や2020年の東京オリンピック・パラリンピックに向け、好景気に沸いている。ただし、これは都市部の大手建設会社に対してだけ言えることであり、地方の中小工務店の多くは、その恩恵に預かってはいない。それどころか、地方では人口減少に加え、建設工事に携わる技能労働者(職人)の高齢化も相まって、工務店の廃業も相次いでいるという。

また、わが国では、高度経済成長期に集中的に整備された、道路や橋梁、上下水道をはじめとする都市インフラや、ビル、マンションなどの老朽化が進み、その保守、修繕、改築などへの対応が喫緊の課題となっている。だが、建設業は「きつい、汚い、危険」の3K業種と言われ、他の産業に比べて若者離れが顕著であり、現場では、新築、改修工事ともに人手不足が常態化している状況だ。国としても、深刻化する人手不足に対処するために、外国人労働者の受け入れ拡大策を打ち出してはいるが、業界の改革なくしては、根本的な解決にはなりえないだろう。

そもそも、建設業界に人が集まらないのは、談合がらみの不祥事が後を絶たない古い体質や価値観、受発注の過程での不透明な取引、元請のゼネコンを頂点に複数の下請業者からなる重層下請構造など、建設業界のもつ体質そのものに問題があるからではないだろうか。

実際、建設業就業者の減少が顕著になったのは1990年代後半からであり、特に20歳~24歳の若者の入職者が激減している。1990年代といえば、建設業界ではバブル経済崩壊後の民間投資の減少を補うべく、大型の建設投資(公共事業)が増加したころだ。1993年には、自由民主党元副総裁・金丸信の巨額脱税事件の押収資料から公共事業の入札などをめぐって大手ゼネコンが政界に賄賂を渡していたことが発覚し、国会議員、知事、市長などが摘発されるという、ゼネコン汚職事件で世の中は大きく揺れていた。

当時、準大手ゼネコンである前田建設工業株式会社の総合企画部に身をおきながらも、談合がまかり通る業界の慣習に怒りを覚え、建設業界を改革しようと敢然と立ち上がった男がいる。それが本書で紹介する、株式会社JM(ジャパンマネジメント)(本社:東京都千代田区)代表取締役社長の大竹弘孝氏である。

「営業で談合を起こしたのなら、営業部はいらない。大きな仕事が欲しくて政治資金が流れたのなら、小さな仕事をやればいい」と考えた大竹氏は、建設業界が抱える問題点を反面教師として、小口案件である建物の保守とメンテナンスを基軸とした新しいサービス「なおしや又兵衛」を2000年に立ち上げた。

当初は前田建設工業の社内ベンチャーとしてスタートしたが、2007年にJMを設立して独立し、社長に就任。新築工事は行わず、平均単価十数万円の工事を、セブン‐イレブン・ジャパンとの契約を皮切りに、全国に多店舗展開する企業から継続的に受注するというビジネスモデルを確立した。当初から営業部をおかず、顧客とは提携関係を締結するという方針を貫いており、提携先には、セブン&アイ・ホールディングス、ユニクロ(ファーストリテイリング)、出光興産、日産自動車など、錚々たる企業が名を連ねる。

JMの使命は、「建物の医者」として、地域の建物と設備の健康を守ることである。顧客の「困った!」を助けるために、工事の依頼には24時間365日体制で対応し、いまでは、保守対象とする施設数は全国に10万施設、年間に手がける工事数は18万件以上、売上高は301億円(2018年度)にのぼるまでに成長した。

こうした高い実績を支えるのが、「建設業関連では初の試みで、それが他社にはない大きな強みになっています」と言って大竹氏が胸を張る、JM独自のフランチャイズ制度だ。地域の事情をよく知る全国各地の工務店とフランチャイズ(JMでは「サテライト」と呼ぶ)契約を結び、調査、点検、工事はそれらサテライトおよび協力会社に委託し、JMはそのために必要なICTツールやノウハウを提供する。JMと全国59拠点のサテライトは、従来の建設業における元請と下請といった関係ではなく、ともに成長しあう、あくまでも対等な、いわば「JMグループ」とも言える関係である。仕事の主役は「建物の医者」として最前線の現場で施工を担う職人であり、サテライトおよび協力会社が抱えるその数は全国で1万人にのぼる。

また、JMの特徴のひとつに、徹底したICTの活用があげられる。

「労働生産性が最も悪いと揶揄される建設業を変革するには、ICT(ソフト)と職人(リアル)を融合させる必要がある」と考えた大竹氏は、業務効率や情報共有、生産性の向上を図るために、早くからICTツールの開発に力を注いできた。修理依頼を受けてから代金を請求するまでをシステムで一元管理し、顧客に対して情報の「見える化」を進めるとともに、専用アプリケーションを搭載した「JM‐Pad」と呼ばれるタブレット端末を使って作業記録を電子化し、職人の現場作業の効率化につなげた。

JMの事業は、現在は建物の保守・メンテナンスが大きな割合を占めているが、JMが本来めざそうとしているのは、持続可能な社会に向けた「メンテナンスフリー」の実現である。これまでの工事で蓄積された膨大なデータをもとに建物の「健康状態」を分析することで、よくある建物のトラブルをいち早くみつけだし、メンテナンスフリーにつなげるためのさまざまな提案やアドバイスを顧客企業に対して行っている。

こうした取り組みにより、JMは事業領域を、保守・メンテナンスにとどまらず、建物の計画・設計段階から関わるライフサイクルマネジメントやエネルギーマネジメントへと広げてきた。さらに近年では、コミュニティにおける生活コストの削減という観点から、人口10万人以下の都市を対象に、タウンマネジメントとも言うべき地域活性化支援事業にも乗りだしている。

またJMでは、最先端のICTを使いこなす新しいクラフトマン像をつくりだすことで、職人不足が常態化する建設業界に若者を積極的に取り込もうとしており、技能者や技術者の育成にも力を注いでいる。

本書は、旧態依然とした体質が問題視される建設業界において、前例のない取り組みで新しい建設業のあり方を示し続けているJMの活動を紹介するとともに、同社社長・大竹弘孝氏の経営理念やビジネス哲学、および持続可能な社会の実現に向けた熱い思いに迫るものである。建設業界関係者のみならず、快適な街づくりを願うすべての方々にとって、本書がなんらかの指針となれば幸いだ。

なお、本文中の敬称は略させていただいたことを、あらかじめお断りしておく。

2019年6月  鶴蒔靖夫




はじめに


第1章 日本の建設業界を取り巻く現状と課題

ゼネコン談合汚職が横行した1990年代
いまだに談合を根絶できないのはなぜか
都市部と地方で二極化が進む建設業界
オリンピック後の建設市場縮小を見越した動きも
人手不足と高齢化が進む建設業界
人材確保には技能労働者の処遇改善が不可欠
人手不足解決策として外国人労働力に期待
建設業もグローバル化の時代へ
片務的な契約やICT化の遅れが働き方改革のネックに
建設業界独特の重層下請構造
職人自らが下請体質から抜け出す努力を


第2章 建設業界の常識を打ち破るビジネスモデルを創出したJM

「建物の医者」としての保守・メンテナンスに着目
大手コンビニエンスストアチェーンとの提携が起点に
建設業界初のフランチャイズ制を導入
顧客目線に立って職人たちの意識改革を徹底
パートナーが幸せ感を持てるように
ICTを使いこなす新しい職人像を打ち立てる
フランチャイジー各社の経営を全面サポート
BtoBからBtoCへ


第3章 全国に広がる「なおしや又兵衛」のネットワーク

新事業スタート時から全国に拠点を設置
協力会社を組織化し、効率化を図る
フランチャイズ制導入で地域密着型の事業を展開
全店一斉工事を可能にする機動力
フランチャイジーにとっては安定した仕事量が魅力
フランチャイジーのなかにJM専業会社を創設
サテライト社員も参加してのウェブ会議を毎週開催
24時間365日対応のマネジメントセンター
クレーム対応もマネジメントセンターの重要な役割
進捗管理やデータ分析の機能も兼ね備えたマネジメントセンター


第4章 ICTツールの活用と情報戦略によるメリット

ICTは会社の生命線
現場の職人に寄り添うソフトを次々に開発
産廃処理のエビデンスシステムをいち早く導入
3Dモデルの作成で設計プロセスの革新に挑む
スマートフォンで撮った写真から2D・3Dモデルを自動作成
住宅のリフォーム費用を自分で見積もることも
世界に広がるICTソリューションパートナー
システム開発には現場の声を反映
統合データベースを活用してAIの開発も


第5章 創業社長・大竹弘孝の経営理念とビジネス哲学

ゼネコンのなかでも異色の存在
独断で進めた「なおしや又兵衛」サービス
ダム建設現場から着想を得たビジネスモデル
建設業の構図を変えて製造業に近づける
フロントランナーになれ
「困った人を助ける」がすべての活動のベース
行動すれば、結果はあとからついてくる
働きやすい環境づくりを整備
職人の技能を競う「JM職人甲子園」を開催


第6章 サステイナブル社会を見据えるJMの未来展望

BtoCの本格的始動に向けたトライアル
建物のビッグデータをマネジメントに活用
自分の家は自分で守る時代へ
生活コストの削減を図るタウンマネジメント
PFIによる地域活性化支援事業
アジア諸国での拠点網拡大に意欲
次世代を担う職人の育成にも尽力
新生JMとして「持続可能な社会」に貢献する企業へ


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2019/07/03

『グローバルニッチトップ企業の真髄』 前書きと目次

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“ものづくり”で世界の頂点を究める!
グローバルニッチトップ企業の真髄
~NITTOKUのオンリーワン戦略~


著者:鶴蒔靖夫
定価:本体1800円+税
ISBN978-4-87218-458-7
初版発行:2019年7月8日 初版発行




はじめに

日本は第二次世界大戦で、人的、物的、さらには経済的にも深刻なダメージを受けた。

戦後、政府は製造業を中心とした工業に経済政策の力点をおき、官民一体となって、経済の復興と再生に全力で取り組んだ。多くの企業は設備投資を積極的に行い、技術革新を一心に進め、国民も生活を立てなおそうと身を粉にして働いた。

その結果、日本は猛烈な勢いで驚異の復活を遂げた。戦後10年で戦前の経済規模にまで回復し、さらに1970年代の高度経済成長期には年間10%近い経済成長を遂げ、世界第2位の経済大国の地位にまでのしあがった。そのあまりの勢いに恐怖を覚えた欧米諸国からは、やっかみ半分に「日本人は金に飢えたエコノミックアニマルであり、政治のことなど、なにもわかっていない」などという暴言が飛び出すほどだった。

ひるがえって現代を見てみると、かつてはあれほどまでに諸外国を圧倒した日本の製造業の勢いに、陰りが見えるようになっている。低価格競争が激化する世界市場において、中国、韓国、台湾などのメーカーを相手に苦戦を強いられているのだ。東芝、パナソニック、ソニーなど、エレクトロニクス系や電機系を中心とする名だたる企業の業績が、軒並み低迷している。

これらの企業には、ある共通点が見られる。それは、過去の成功体験にとらわれ、そこから脱却することができなかったということだ。

第二次世界大戦後から1980年代を通して確立した「中品質低価格の製品を大量に生産する」というビジネスモデルで、各社は業績を大きく伸ばした。こうして日本では、大企業全盛の時代が花開いた。

しかし1990年代以降、状況は一変した。市場のグローバル化によりビジネス環境が大きく変化するとともに、それまで企業の成長を支えてきた終身雇用や年功序列賃金などの諸制度が崩壊したのだ。その結果、飛ぶ鳥を落とす勢いだった日本の製造業は大きく失速することになったが、それでも多くの大企業は、旧態依然としたビジネスモデルから脱却できないまま、いまにいたっている。

製造業の前に立ちはだかる、この厚い壁に穴を開け、新たな光明を見いだし、日本の製造業を牽引している企業群がある。それが、経済産業省が規定した、グローバルニッチトップ(GNT)企業と呼ばれる企業群である。2013年10月に経済産業省が公募し、応募のあった281社(大半が非上場)のなかから一定の基準に則って、100社を「グローバルニッチトップ企業100選」として選定した。その多くは独自路線の研究開発型メーカーであり、国内拠点を中心とする生産体制で雇用を生み出しながら海外展開を進め、着実に業績を伸ばしている。

それらのGNT企業群のなかでもひときわ鮮烈な光彩を放っているのが、本書で紹介する日特エンジニアリング株式会社(本社:埼玉県さいたま市)だ。なお、日特エンジニアリングは2019年8月にNITTOKU株式会社と社名変更されるため、本書ではこれ以降、NITTOKUと表記する。

NITTOKUの事業内容は、自動巻線機の製造・販売である。自動巻線機とは、各種の電気製品や電子機器、あるいはモーターなどに必ず組み込まれている「コイル」を自動で製造する機械のことだ。NITTOKUは、世界の自動巻線システム市場で36%のシェアを占める、圧倒的なトップ企業なのである。

「日本はもとより世界でも、大手メーカーは、標準化、平準化、プラットホーム化などによる『全体最適』の仕事は得意ですが、『部分最適』の仕事は不得手です。そこに私たちのような、特定の製品に照準を絞ったニッチビジネスが活躍する舞台があるのです」

こう語るのは、NITTOKU株式会社代表取締役社長の近藤進茂氏だ。

電子回路の基本部品であるコイルを必要とする電気・電子機器や情報通信機器などの分野では、技術革新が日々進められ、それにともない、要求されるコイルの性能や形状も常に変化している。また、環境対策のためもあって、急増するモーターの生産も、一貫組み立てラインを必要とする時代になった。そのためNITTOKUも、各メーカーの技術開発や生産体制の進化に応じて、常に新しい製品を開発し続けている。たゆまぬ研究開発を続けていることこそが、NITTOKUの存在価値である。

NITTOKUは1972年に、自動巻線機をつくる町工場として千葉県八千代市で誕生した。その2年後の1974年に本社を埼玉県浦和市(現・さいたま市)に移転。近藤氏はそのころにNITTOKUに入社し、持ち前の営業力で業績を大きく伸ばしていった。その後は営業部長、常務、専務などを経て、1998年に代表取締役に就任した。

NITTOKUの経営理念は、

1.世界的な視野に立ち
2.ユーザーの期待を創造し
3.最高の技術を提供する
4.創造システムで社会に貢献する

である。事業内容は、自動巻線機ならびに自動巻線機システムの開発、製造、販売で、顧客となるのは電気関連製品をつくるあらゆるメーカーだ。顧客の業界別売上割合は、情報通信業界が51.8%、PC/OA業界が2.9%、AV/家電業界が9.9%、自動車業界が25.5%、その他産業機器が9.9%となっている(2018年3月期)

「当社の特徴は、自動巻線機を製造するための要素技術と基本技術を備え、なおかつ、顧客のいかなる要望にも応えるための『擦り合わせ技術』を持っていることです」

と、近藤氏は言う。すなわち、顧客ごとに異なる要望に的確に応え、オーダーメイドに近いかたちで自動巻線機をつくることができるというのだ。それはまさに、標準化やプラットホーム化とは正反対のポジションと言える。

多くの企業が「中品質低価格の製品を大量に生産する」というビジネスモデルから脱却できずに低迷を続けるなか、NITTOKUは高付加価値の製品を提供することで、その存在価値を高めていった。さらに近年は、巻線機の製造・販売だけでなく、オープンイノベーションも活用しながら、ファクトリー・オートメーション(FA)分野へと事業を拡大し、いっそうの発展を遂げようとしている。

本書は、自動巻線機製造の世界トップ企業として、日本はもとより世界の製造業のなかでも独自の存在感を発揮しているNITTOKUの事業活動を紹介するとともに、同社社長・近藤進茂氏の経営理念や人生哲学に迫るものである。

いまや、日常の生活において電気・電子機器、情報通信機器、自動車などの輸送機器は、なくてはならないものになっている。それだけに本書は、そうした機器の製造に携わる人はもちろん、あらゆる分野の「ものづくり」に関わる人、さらには一般の読者にとっても、貴重な指針の書となるだろう。

なお、本文中の敬称は略させていただいたことを、あらかじめお断りしておく。


2019年5月  鶴蒔靖夫




はじめに


第1章 「ものづくり日本」の未来を切り開く

中国や韓国の企業の後塵を拝している日本の製造業
「中品質低価格の大量生産」から「高品質の少量多品種生産」へ
日本の製造業の活路を開くGNT企業
特定分野で強い競争力を有する研究開発型企業たち
地域経済を振興し、人材育成にも貢献
ドメスティックにしてグローバルな経営を実践
日本のものづくりの伝統を活かすNITTOKU


第2章 エレクトロニクス分野の基幹技術「コイル」

電気を使う装置や設備に不可欠な電子部品
技術革新の陰にはコイルあり
「巻く」ことで銅線の働きが大きく変化
コイルの標準形はリレーとトランス
コイルは用途も形状も千差万別
1兆5000億円を超える世界のコイル・トランス市場


第3章 「巻く」技術を追求して世界No.1企業へ
 ―NITTOKUの事業概要―

線を「巻く」機械をつくる町工場からスタート
「3C」の普及を追い風に事業を拡大
「ユーザーの期待を創造する」を経営理念に掲げる
ただ巻線機を売るのではなく、「生産技術の代行」をする
世界シェア36%を獲得するトップ企業に
独自の技術を活かして新たな事業にも挑戦
実績と経験を活かし精密FA分野へ進出


第4章 5つのコア技術と3つのスピリットでオンリーワンを実現

世界に誇るNITTOKUの5つのコア技術
企業の可能性を広げる要素技術の応用
増産、省スペース、省コストを実現する3つのスピリット
競合他社の追随を阻む「擦り合わせ技術」
技術力を支えるマーケット志向
技術とノウハウを駆使して「スマートファクトリーの確立」をめざす
最新鋭の「インテリジェントタグシステム」
カスタマーサービスのコンセプトは「待たせません」


第5章 NITTOKU社長・近藤進茂の経営理念と人生哲学

ハングリー精神を培った少年時代
人生の基盤を築いた大学時代
持ち前のバイタリティでトップセールスになる
NITTOKUに入社後も営業力を発揮
NITTOKUを成長させた営業力の強化
座右の銘は「知行合一」
知識は人からもらえ
必要なのはInformationではなくIntelligence
「よそ者、若者、馬鹿者」がイノベーションを起こす
人は城、人は石垣、人は堀


第6章 NITTOKUが描く未来展望

「屋台経営」の実践で、人も企業も育てる
「営業」と「セールス」の差はオーナーシップの有無にある
「失敗を許せる世界」でなければ次に進めない
どれだけ隣の市場に行けるかで勝負が決まる
持続的成長を実現するための経営戦略と課題
軌道に乗り始めたヨーロッパ拠点
日本文化のDNAを伝承することこそがメーカーの生きる道
「人材」と「土壌」を育て、未来に備える
常に次世代へ向けて進化するNITTOKU


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『ACNグループの挑戦』 前書きと目次

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ACNグループの挑戦
~総合ソリューションコンサルティング事業元年~


著者:鶴蒔靖夫
定価:本体1800円+税
ISBN978-4-87218-457-0
初版発行:2019年6月15日




はじめに

2018年6月29日、「働き方改革関連法案(働き方改革を推進するための関係法律の整備に関する法律案)」が参議院で可決、成立した。これは、「働き方改革の総合的かつ継続的な推進」「長時間労働の是正と多様で柔軟な働き方の実現等」「雇用形態にかかわらない公正な待遇の確保」の3つを柱とし、その実現のために、労働施策総合推進法(旧・雇用対策法)、労働基準法、労働時間等設定改善法、労働安全衛生法、じん肺法、パートタイム・有期雇用労働法(旧・パートタイム労働法)、労働契約法、労働者派遣法の、8つの労働関係法の改正を行うための法律だ。

各改正法は2019年4月から順次施行され、時間外労働の上限規制や、年5日の年次有給休暇の取得などが義務づけられただけでなく、違反した企業には罰金などが科せられることもある。もとから少ない労働時間・労働日数で十分な業績をあげてきた企業であれば問題はないだろうが、そうでない企業が今後も業績を維持し、さらに伸ばしていくためには、これまで以上に仕事を知的に、かつ効率よく行うことが求められるようになるはずだ。つまり、よりいっそうの生産性の向上が必要になるわけだ。

生産性をより向上させるには、労働環境の改善が不可欠である。そのための手法のひとつとして近年、多くの企業が注目し、実践に取り組んでいるのが、オフィス環境の整備だ。

働き方を一新し、開発力を強化するためには、オフィスを「知識創造プロセスを実行する場」として構築することが必要であるとして、オフィス環境を改善してきた先進的な企業の実例が数多く公開され、その考え方が一般にも浸透しつつある。そうした企業の例を参考に、ペーパーレス、フリーアドレス、サードプレイスオフィスといった、ひと昔前のオフィスのイメージとは大きく異なるしくみや制度を導入している企業も最近では少なくない。

このような「新しいオフィス環境」を可能にしているのが、ICT(情報通信技術)の進化である。

固定電話や机上のパソコンから解放され、ネットワークを利用して、いつでもどこでもビジネスが行える環境を手に入れた現代人にとって、真に快適で便利、かつ創造性を存分に発揮できるオフィス空間とは、どのようなものだろうか。

オフィスとは、企業活動を行ううえで不可欠な経営資源であり、人が創意工夫を凝らしてビジネスを生み出し遂行するための基盤となる場であり、時間あるいは目的などを共有した人と人とが交わる場所でもある、多面性を持った空間だ。そうしたさまざまな側面を持った空間を、いかに活用するか。

ICTによる環境変化は、組織のあり方や、人が働く意味、さらにはライフスタイルにまで影響を及ぼすだろう。しかも、かつてのような、ただひたすら生産性の向上のみを追求してきた時代から、いまでは「働き方」が問われる時代となってきた。そうした時代における「オフィス」とはどうあるべきかを、企業を率いる経営者はもとより、社会全体で真剣に考えていく必要があるのではないか。

「新しい働き方や新しい発想が実現できるかは、新しい空間の活用ができるかにかかっていると思います。どのような空間で個性を発揮してもらうか、その構想がなければ、働き方改革は進んでいかないでしょう」

こう語るのは、一貫して総合ソリューション事業を手がけてきた株式会社ACN(本社:大阪市中央区)の代表取締役社長・藤岡義久氏だ。

ACNは、分譲オフィスソリューションというオフィス用不動産の新しいしくみを提唱する株式会社ACN不動産や、関西を中心に「ソフトバンクショップ」20店舗(2019年4月現在)を展開する株式会社ACNモバイルなどとともに、ACNグループを形成し、「オフィスをレベルアップする会社」をスローガンに全国に活躍の場を広げている企業だ。全国約2万社の顧客に対し、ACNグループ各社が連携して、さまざまな課題をワンストップで解決するサービスを提供している。

ACNグループが手がける総合ソリューション(問題解決)の範囲は、複合機、パソコン、モバイル端末など一般的なIT機器の保守、メンテナンス、導入や運用のサポートといった範疇にとどまらず、業務用エアコンによる電気代の削減や空調環境の改善、セキュリティシステムによる防犯対策、さらには相続税対策や資産運用のための不動産事業にまで及ぶというから驚かされる。

1996年に創業したACNは、コピー機や複合機のリース販売から始まり、顧客が成長発展するプロセスに寄り添いながら、顧客とともに成長を遂げてきた。藤岡氏は「顧客満足度を高めること」を最も大事にしており、その過程でいくつもの画期的なサービスを生み出してきた。代表的な商材である、カウンター料金を廃止したコピー機や複合機は、コピー代金の大幅な経費削減につながると、顧客にたいへん喜ばれているという。

IT機器、ネットワーク、セキュリティシステムなど、オフィス環境のインフラ構築において、提案から施工、メンテナンス、アフターフォローまでをグループ内で一気通貫で対応する体制を整えていることも、顧客からの圧倒的な支持につながっている。とりわけアフターフォロー体制は、どこよりも厚く、丁寧だと、高い評価を得ている。アフターフォローに特化したACNのサービススタッフは、顧客の悩みや相談事に対して、あらゆる手段を駆使して解決にあたり、顧客との末永い信頼関係を培っている。そうした日々の努力の結果、ACNは東阪エリアのオフィスソリューション利用経験者に向けたウェブ調査(調査機関:マイボイスコム)の顧客満足度調査で3年連続第1位の栄誉を獲得した。

一方、不動産ソリューション事業においては、オフィスビルをフロアごとに分譲する、分譲オフィスソリューションを展開している。都心の優良なオフィスビルを入手し、ワンフロアを企業経営者に分譲する、あるいは、入居を希望する企業にテナントとして貸し出し、テナント付きで投資家向けに販売するケースもある。いずれの場合も、利便性の高い都心の優良な立地にオフィスを持てることから、企業経営者からはもちろん、投資家からも高い満足度と好評を得ているという。

「時代は激しく変わっていきます。働く人たちが思う存分、能力を発揮できるオフィスのかたちを考えることは時代の必然です。テーマは無限に広がっていきます。私は、働く環境の改善というテーマを追い続けることが、地方を変え、街を変え、社会全体を変えることにまで発展していくと信じて、これまでやってきました」

藤岡氏がこう語るように、ACNでは「総合ソリューション事業を通じ、新しい価値の創生と、社会の進展に寄与し、進歩発展を目指します。」を経営理念として掲げている。

働き方改革関連法が施行されたいま、オフィス環境の改善や改革は、多くの企業が高い関心を寄せる、社会的なテーマのひとつと言える。それだけに、藤岡氏の考えやACNのさまざまな取り組みは、その一つひとつが貴重な事例となり、多くのヒントや示唆を与えてくれることだろう。

本書は、オフィスの総合ソリューションを牽引するACNグループの今日までの歩みをたどると同時に、創業者・藤岡義久氏の歩みと理念に迫るものである。そこから、人々の働き方や意識改革、地方創生、街づくりなど、さまざまな分野から日本の将来の道筋を考えるうえでの良質な素材を、一人でも多くの人にみつけていただければ、著者としてこれほどうれしいことはない。

なお、本文中の敬称は略させていただいたことを、あらかじめお断りしておく。

2019年4月  鶴蒔靖夫




はじめに


第1章 働き方改革と多様化するオフィス

オフィスの作業効率は日本の経済にも影響を及ぼす
オフィスのあり方と働き方の変化
働き方改革関連法が目的とするもの
1980年代から始まったオフィス改革への取り組み
オフィスのあり方を変える原動力となった「組織的知識創造理論」
「12の知識創造行動」とは
ICTの進歩が生んだフリーアドレス
コミュニケーション活性化のための工夫
働くことの意義を問いなおすオフィス改革
地球環境の保善につながるオフィス環境
インフラを整えることこそがオフィス改革の第一歩


第2章 オフィスソリューションをリードするACNグループ

スローガンは「オフィスをレベルアップする会社」
オフィス空間内にあるすべてのことをワンストップで
顧客企業とともに理想のオフィス空間をつくりあげる
オフィスにある機器すべてをひとつの領域にまとめる
必要コストの常識を変えた「スーパーアクティブプラン」
ネットワークのトータルなサポートを提供する「アクティブサポート」
「リモート支援パッケージ」でパソコンを遠隔操作
業務用エアコンをトータルにサポートする「あんしん保証Ecoプラン」
攻めの防犯を実現する「アクティブセキュリティ」
顧客満足度を最大限に高めるサービススタッフの力
3年連続で顧客満足度第1位の栄冠を獲得
営業スタッフとサービススタッフの連携
中小企業の活性化にICTは不可欠
コンシューマへの基地として展開するモバイル事業
広がりをみせる女性専用カプセルホテル事業


第3章 分譲オフィスソリューションが生む新しい空間価値

オフィス用不動産で独自のビジネスモデルを構築
空間を所有することは空間を創造すること
分譲オフィスソリューションのメリットとデメリット
物件へのこだわり
分譲オフィスソリューションのサポート体制
家賃13%アップ、オーナーのリピート率8割の実績
相続税対策としても効果大
都心部の地価はオリンピック以降も下がらない
不動産との融合で生まれる新たな空間価値


第4章 ACN創業者・藤岡義久の闘いと信念

高校生のときから創業を志す
いきなりトップの成績をあげ、21歳の若さで係長に
部下の声に応えて独立を決意
懲戒解雇で会社を追われる
試練をはねかえして急成長
コピー機のカウンター制廃止を実現
大きな会社も動かすことに
売ったあとにこそ、顧客とよい関係を
本社を「ツイン21 MIDタワー」へ移転
拡大と成長の軌跡
リーマンショックを乗り越えて
3・11以降の着実な進展
チーム制に込められた人生哲学


第5章 総合ソリューションコンサルティングをめざすACNが切り開く未来

オフィスは投資である
顧客満足追求のための理念と基本精神
インパクトのあるテレビCMで知名度アップ
新電力「ACN Energy」をスタート
体系的な研修制度と全社員の資格取得
多彩な資格取得にチャレンジするACNの社員たち
公明正大な実力主義
必要なら上場も
ネットワーク環境の整備こそが地方創生の鍵
オフィスが変われば地方が変わる
時代がACNを後押ししている
総合ソリューションコンサルティング業界をつくることを使命に

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2019/06/03

『菓子と笑顔を機械でつなぐ 菓子づくりのオンリーワン企業』 前書きと目次

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菓子と笑顔を機械でつなぐ
菓子づくりのオンリーワン企業

~菓子づくりの常識を変えるマスダックのあくなき挑戦~


著者:鶴蒔靖夫
定価:本体1800円+税
ISBN978-4-87218-456-3
初版発行:2019年6月9日




はじめに

世界における日本の人気はますます熱気を帯びてきている。2018年に3000万人を超えた訪日外国人数は、2020年の東京オリンピック・パラリンピック開催に向けて今後さらに上昇していくことは間違いない。

日本での滞在を楽しむ外国人が購入する日本みやげのうち、高い人気を集めているのが日本の菓子だ。「質が高くておいしいし、種類も豊富で、しかも安い」と、日本の菓子は非常に評判がよい。鉄道の主要駅やショッピングセンター、観光地のみやげもの店などには、大きなバッグや段ボール箱いっぱいに菓子を買いこむ外国人旅行者がたくさん訪れ、どの顔にも楽しそうな笑顔がはじけている。そうした表情を見ていると、「菓子は、国境を超えて人を幸せにする」と実感する。

日本の菓子を欲しているのは訪日外国人だけではない。国内での人気も非常に高く、2013年以降、確実な上昇カーブを描いており、2017年の市場規模は3兆3898億円に達している(小売金額推定値。全日本菓子協会「平成29年 菓子生産数量・金額 推定結果」)。最近は世界市場への進出も活発で、「ポッキー」(ヨーロッパでは「MIKADO(ミカド)」と呼ばれている)や「コアラのマーチ」などを筆頭に、海外での売れ行きも上々のようだ。

ところで、こうした菓子は、誰が、どのようにして、つくっているのだろうか。菓子職人やパティシエの手によるこだわりの和洋菓子は別として、一般に市販されている菓子の多くは工場でつくられているであろうことは想像できる。

最近では工場見学をテーマにしたテレビ番組が人気があり、なかでも食品工場を扱ったものはおおむね評判がよいという。たしかに、ふだんよく食べている食品が、原料の段階からさまざまな工程を経て、最終的におなじみのかたちになって製造ラインから次々と流れ出てくる様子を見るのは、それがテレビ画面であっても、なぜか興奮してしまう。

ひと口に「菓子」と言っても、味はもちろん、食感、かたち、大きさなど、その内容は多種多様だ。当然、材料から完成品にいたるまでの製造工程も、食品製造のなかでも突出して複雑で、かつ、多岐にわたっている。

そのうえ、菓子には、自家消費用のものだけでなく、贈答品としての性格を持つものもある。そうしたものは包装にも個性があり、折り紙細工のようになっていたり、一つひとつが紐で結ばれていたりなど、包み方もさまざまで、見た目も美しく工夫され、包装を開けるのがためらわれるほどのものもある。

このように、中身も包装も精緻で精工な菓子が、いまでは職人の手を借りずとも、機械でつくれるというのだから、人間が積みあげてきた技術には感嘆するしかない。
この、多種多様な菓子をつくる製菓機械の製造を手がけるのが、本書で紹介する、日本を代表する総合和洋菓子製造機械メーカーの株式会社マスダック(本社:埼玉県所沢市)だ。

「デパートの地下で売られている和洋菓子の6割くらいは、当社の機械によってつくられています」

と、代表取締役社長の増田文治氏が語るように、マスダックに対する菓子業界からの信頼は厚く、得意先からは「マスダックに頼めば、できないものはない」と言われているほどだ。実際、その守備範囲は幅広い。どら焼き、まんじゅう、カステラ、カップケーキ、ロールケーキ、シュークリームなどの柔らかいものから、クッキー、サブレ、パイ菓子などの歯ごたえを楽しめるものまで、実にさまざまなタイプの菓子をつくる機械や製造ラインの開発、設計、製造、メンテナンスを、マスダックは一手に引き受けている。いまでは、マスダックなしでは日本の菓子業界は成り立たないと言っても過言ではないほどだ。

つまり、マスダックは、3兆円を超える日本の菓子市場を縁の下で支える存在とも言えるのだ。

マスダックは1957年に、増田氏の父である増田文彦氏が、前身である新日本機械工業株式会社(2007年にマスダックに社名変更)を創立したことからスタートした。文彦氏が友人に頼まれて開発した機械でつくったまんじゅうを実演販売したところ、まんじゅうを頬張った瞬間にみなが笑顔になり、その笑顔を見ているうちに、「お菓子を食べる幸せを、ひとりでも多くの人に味わってもらいたい」という気持ちがふつふつと湧いてきたことが、創立のきっかけだったという。

それまでも、クッキーやビスケットを大量に焼く機械は、輸入品が主ではあったが、日本にもないわけではなかった。だが、製造工程が繊細で複雑なまんじゅうや桜餅の製造は、機械化は不可能だろうと思われていた。しかし、根っからの機械好きで、機械づくりに関しては天才的な閃きと、その閃きを実現する技術を持っていた文彦氏は、「不可能」と思われていた機械の開発に寝食も忘れて取り組んで、前述のまんじゅう製造機をみごとに完成させ、世間をあっと言わせたのだ。

そして文彦氏は新日本機械工業を設立し、今度は自動どら焼機の開発に着手した。手づくり感を残したどら焼きの製造を機械化するまでの奮闘には感動的なものがあるので、ぜひ本編で堪能していただきたい。

この自動どら焼機は、最初の開発から60年が経った現在も、日本はもとより、世界各地で開催される食品製造機械の展示会には欠かせない、マスダックを代表する製品となっている。もちろん、当初の機械に比べると、めざましい進化を遂げており、その実演を見た来場者は、みな驚嘆するという。

マスダック創業者である文彦氏の製菓機械開発の精神は、「はじめに菓子ありき」という言葉に集約されている。開発を進めるにあたっては、「どんなお菓子をつくるか」「どんなおいしさを実現するのか」をなによりも大事にし、菓子の味と品質にとことんこだわって、取り組んできた。

その尽きることなき菓子への思いから、やがてマスダックは、製菓機械をつくるだけでなく、菓子そのものをつくる事業も手がけるようになった。現在では、東京みやげとして大人気の菓子「東京ばな奈『見ぃつけたっ』」をOEMで製造しているほか、マスダックがアイディアを出し、その後、菓子メーカーと協働でさらに完成度を高めて発売した銘菓も数多くある。

現在のマスダックは、製菓機械の製造事業、製菓機械のメンテナンス事業、菓子製造事業が三位一体となった事業構造により安定的な経営基盤を確立した、優良企業との定評を確立している。製菓機械市場は複雑に込み入っているため、単純に市場シェアを割り出すことは難しいが、自動どら焼機については世界シェアの95%をマスダックの機械が占めているというから仰天する。他の製菓機械についても、国内シェアは相当に高いとみて間違いないはずだ。

また、マスダックは世界市場への進出にも積極的で、現在ではヨーロッパをはじめ、中国、東南アジアなど、世界36カ国に販路を広げている。2004年にオランダで設立した現地法人はその後、マスダックインターナショナルへと発展を遂げ、営業活動は言うまでもなく、製菓機械の現地製造拠点として、マスダックのグローバル戦略における貴重な役割を果たしている。

こうした国内外での躍進ぶりが高く評価され、2014年にマスダックは、経済産業省が選定する「グローバルニッチトップ企業100選」に選ばれた。これは、産業構造の変化にともなってニーズが高まっているニッチ分野において高い世界シェアを有する中堅・中小企業を、各ジャンルから横断的に100社選出し、国として強化を図っていこうという、日本の新世界戦略にもとづいたものである。そのグローバルニッチトップ企業に選定されたことを契機に、マスダックではこれまで以上に海外戦略に攻勢をかけようと、決意も新たに奮闘している。

奮闘といえば、現・代表取締役社長の増田文治氏は、製パン機械および製菓機械の事業者で構成される協同組合日本製パン製菓機械工業会の理事長を務めるなど、名実ともに日本の製菓機械業界をリードする存在となっている。たとえば中国市場攻略についても、増田氏はマスダックと他の製菓機械事業者との協調および連携を呼びかけ、日本の製菓機械事業全体の将来を考慮した体制を整えて市場に攻め込むという戦略を構築している。そこには、単にビジネス展開を広げ、業界のさらなる繁栄を願うこと以上に、「世界の人々に安全でおいしいお菓子を食べてもらい、幸せな人生を送ってもらいたい」という増田氏の熱い思いが満ちている。

本書では、日本の菓子製造に革新をもたらし続けるマスダックの60年以上に及ぶ歴史をたどりながら、創業者である増田文彦氏の技術開発力および、文彦氏から受け継いだマスダックを世界企業へと躍進させている増田文治氏の経営手腕を、詳しく紹介したいと思っている。グローバルニッチトップ企業として躍進するマスダックの姿から、読者が日本経済の将来に新たな可能性を確信し、一人ひとりがそれぞれの立場で世界市場における日本の存在感を高めていこうと意欲を奮い起こすきっかけになれば、著者としてこれ以上の喜びはない。

なお、マスダックの創業者であり、1999年に代表取締役社長の座を退いてからは名誉会長としてマスダックおよび日本の製菓機械業界を見守ってきた増田文彦氏は、本書執筆中の2019年3月11日に永眠された。93歳だった。ここに謹んで増田文彦氏のご冥福をお祈りする。

また、本文中の敬称は略させていただくことを、あらかじめお断りしておく。

2019年4月  鶴蒔靖夫




はじめに


第1章 世界に挑む製パン製菓機械産業

世界を駆けるジャパン・オリジナルの食品機械
今後の伸長が期待される食品機械の輸出
日本の食品機械を世界に発信する
世界的な日本食ブームが食品機械の輸出を牽引する
今後も成長が期待される日本の菓子
菓子は不況にも強い
高いハードルに挑み続ける製パン製菓機械メーカー
「食の安全・安心」に対応したデファクトスタンダード
急がれる先端技術の導入と活用


第2章 製菓機械のエクセレントカンパニー「マスダック」

製菓機械市場を牽引してきたマスダック
「機械製造」と「菓子製造」の2つの事業を展開
小麦粉や卵の季節変動まで考慮して機械化する
機械化の成功で菓子メーカーが大化け
どんな困難も技術力で乗り越えていく
「マスダックに頼めば間違いない」
マスダックは菓子もつくる
いち早く海外市場に進出
海外市場でも機械の品質の高さが高評価
国際的な安心・安全基準をすべてクリア
グローバルニッチトップ企業に認定される
創業社長から国際派社長へのたすきリレー
「経験技術」を中核技術として
社是は「水五訓」


第3章 機械とOEMで菓子市場を支える

最先端技術で「伝統の味」から「新しいおいしさ」まで自在につくる
マスダックの代表的な製菓機械
豊富な知識と経験を持つ、菓子メーカーのベストパートナー
「これぞ東京みやげだ!」という菓子をつくる
世界のファクトリーモデルとなっている「東京ばな奈」工場


第4章 機械づくりの天才・増田文彦の歩み

機械屋、菓子と出合う
自動まんじゅう機の完成
新日本機械工業を設立
マスダックのシンボルである全自動どら焼機を開発
自動サンド機によりサンドパンブームを起こす
ワンウェイで高級菓子をつくる機械を次々と開発
不可能と言われていたシュークリームの専用ラインを実現
菓子の開発・製造事業にも進出
千代紙に包まれた和菓子の機械化に成功
万能製菓機「システムワン」を開発
蒸籠と同様に蒸しあがる蒸し機を開発
「マスダック」ブランドの誕生
増田文彦、勲四等瑞宝章を受章


第5章 改革、そして更なる飛躍へ
― 第2創業期を迎えたマスダック ―

増田文治、社長に就任
アメリカの製パン研究所「AIB」で学ぶ
欧米の菓子市場事情を熟知
茨の道からのスタートだった社長としての第一歩
涙とともに行ったリストラの3年後、奇跡的な復興を遂げる
マスダックヨーロッパを設立して海外事業を積極化
日本の和洋菓子のノウハウを海外に広げていく
マスダックを貫く「おもてなしの精神」
社名をマスダックに変更し、同時に新食品工場を完成
受賞ラッシュが証明するマスダック製菓機のスーパー品質
東日本大震災で菓子の力を実感
創業60周年を迎え、新しいコーポレートスローガンを策定


第6章 グローバル企業への飛翔

機械事業と食品事業、双方の製造拠点を再整備
「マスダック」のもとに各会社を統合
グローバル企業を視野に世界水準の人材構成を実現する
充実した研修制度で有能な人材を育成していく
研修の最大の目的はマスダックの将来像を共有すること
グローバル企業へと、さらに進化を進めていく
2030年のマスダック像


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2019/05/13

『合格にいちばん近い予備校 東京アカデミー』 前書きと目次

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合格にいちばん近い予備校 東京アカデミー
~合格の決め手は『生講義』
 圧倒的な合格実績を誇るオンリーワンの就職予備校~


著者:鶴蒔靖夫
定価:本体1800円+税
ISBN978-4-87218-455-6
初版発行:2019年5月18日




はじめに

景気の回復基調と深刻な人手不足を背景に、2018年4月の有効求人倍率は1.59倍、正社員の有効求人倍率も1.09倍と高水準を維持し、大学生の就職戦線においても近年は学生優位の超売り手市場が続いている。

これまでも企業は、景気がよいときは攻めの経営で採用枠を増やし、景気が悪くなると採用枠を絞るため、学生の就職は、景気に連動して明暗が繰り返されてきた。バブル経済の崩壊やリーマンショックの影響により景気が低迷した時期には、多くの企業が採用を控えたため学生の就職活動は苦戦を強いられ、「就職氷河期」とも言われたものだ。

せっかく大学を卒業しても、そのときの景気が悪ければ、希望する企業への就職は難しくなる。そのうえ、たとえどこかに就職できたとしても、その後の社会状況によっては企業の倒産やリストラという憂き目にもあいかねない。日本はバブル経済の崩壊後、景気低迷期が長らく続き、その間の就職環境はずっと、そのような不安定な状態にあった。

その結果、若者の持つ就職への意識は安定重視に向かった。安定職種の代表格である公務員や教員の人気が高まると同時に、確かな技術や知識に裏打ちされた資格の重要性が見直され、若者に限らず、さまざまな資格取得をめざす人々が急増した。資格取得をサポートする専門学校や予備校には受講生が殺到し、資格取得ブームが到来したのだ。

ひと口に「資格」といっても、国家資格、公的資格、民間資格の3種類があり、その内容も多岐にわたる。特定の職に就くためには取得が必須の資格もあれば、必須ではないが持っていれば就職に有利な資格もある。そうした資格を企業へアピールするための「武器」ととらえ、多くの学生が採用内定を求め、厳しい就職戦線へと挑んだ。

資格を武器に、よりよい企業への就職をめざす者がいる一方で、取得した資格を活かして自ら開業することをめざす者たちもいる。かつて、「高度経済成長期」と言われた1950年代後半から1970年代前半にかけて、弁護士や司法書士、公認会計士、税理士、不動産鑑定士、社会保険労務士などといった専門職の資格を取得して、それを武器に独立開業をめざすための、資格取得ブームが起きたことがある。会社勤めと違い、独立開業すれば定年もないし、資格があれば一生食いっぱぐれることもないと思われていた。

しかし現実には、資格を取得したからといって必ずしも食べていけるとは限らない。顧客がいなければ、苦労して取得した資格も宝の持ちぐされになってしまう。つまり、「職を得るため」という観点では、資格ならどんなものでも役に立つというわけではなく、職につながりやすい資格と、そうではない資格があるのだ。

たとえば、看護師をはじめとする医療系の資格などは、公共性が高いうえに、超高齢社会にあってはますます必要とされるものであるため、「安定した就職」に結びつきやすい。

しかし「安定性」という点では、やはり公務員や教員といった公益性や公共性の高い仕事に勝るものはないだろう。それを反映してか、空前の売り手市場と言われる昨今の就職戦線においても、公務員の人気には根強いものがある。少子化によりひとりっ子が増えていることもあって、最近の若者は地元志向が強まっており、とりわけ地方公務員の人気が高まっている。

また、AI(人工知能)の進化により、多くの仕事が機械に奪われ、職業によっては10年後、20年後には消えてなくなるのではないかと言われているものもある。その点でも、公務員や教員、看護師などといった公共性・公益性の高い仕事はなくなる可能性が低く、安定性は折り紙つきだと言えるだろう。

そうした状況下において、教員を含む公務員系の採用試験や看護師を中心とした医療・福祉系の国家試験などの受験対策専門予備校として屈指の合格実績を誇るのが、本書で紹介する株式会社東京アカデミー(本社:大阪市、理事長兼代表取締役社長:佐川泰宏氏)である。

東京アカデミーの創業は1967年と、すでに半世紀以上の歴史を有する。現理事長である佐川泰宏氏の父の先代理事長が、東京、大阪、名古屋の3カ所で、司法試験、司法書士、不動産鑑定士、社会保険労務士、宅地建物取引主任者(現・宅地建物取引士)の資格試験対策講座を開講したのが始まりだ。その後、公認会計士、税理士、中小企業診断士、簿記、行政書士など、講座の種類を増やしていった。

しかし、前述のように当時は資格取得ブームの時期であり、同業他社の参入が相次いで、資格試験対策のための専門学校や予備校が、全国各地に続々と開設されていった。そのため1980年代のなかばには、こうした資格取得の市場はすでに飽和状態になっていた。

そうした風潮をいち早く感じとった先代理事長は、高校生を対象とした試験対策を開拓しようと、1985年に、高校卒業程度の公務員採用試験と看護学校受験のための対策講座をスタートさせた。これを機に東京アカデミーは、資格試験対策予備校から、公共性・公益性が高く社会貢献につながる仕事に就く人をサポートするための就職試験対策予備校へと、徐々に事業の中身が切り替わっていった。

「『受講生からいただいた受講料は必ず還元しなさい。親切にしなさい』というのが先代理事長の教えでした。受講料の還元とは、受講生を各種試験に合格させることにほかなりません。そして『合格者をたくさん輩出して地域社会に貢献してもらうことで、弊社も同時に社会貢献していく』という先代の教えは、いまでも弊社の基本的理念として、脈々と受け継がれています」

と、現理事長の佐川泰宏氏は語る。

1988年に先代理事長から経営を引き継いだ佐川氏は、この理念のもとで全国展開に踏み切り、現在は北海道から鹿児島まで全国32都市に校舎を擁するまでに拡大させている。その間、公務員試験対策講座を拡張するべく、高校卒業程度だけでなく、大学卒業程度の公務員試験対策講座や教員採用試験対策講座も創設した。地方公務員や教員の試験は自治体によって出題傾向が異なるため、全国32都市に展開する校舎以外にも43拠点で各種の試験対策講座を開講し、地元に特化した情報をもとに、公務員や教員をめざす人たちの採用試験合格を全面的に支援している。

一方、医療系の講座も、受講生を看護医療系学校入学へと導くだけでなく、1996年からは同業他社に先駆けて看護師国家試験対策講座を開講し、入学から国家試験合格、さらには就職までをトータルでサポートできる体制を整えた。いまでは看護師国家試験対策に強い予備校として定評を得ており、全国32校の東京アカデミーのほか、多くの看護医療系大学や専門学校、高等学校にも講師を派遣して、看護師国家試験対策の学校内講座を実施している。

東京アカデミーでは現在、国家公務員、地方公務員、教員の採用試験、看護医療系学校の入学試験、看護師、管理栄養士、社会福祉士、介護福祉士、ケアマネジャーなどの資格試験の、それぞれの対策のための通学講座および通信講座、学内講座、模擬試験を企画・運営しており、受講生の総数は年間約27万人に達するという。

これほど多くの人たちから東京アカデミーが選ばれる最大の理由は、なんといっても合格実績の高さにある。ちなみに2018年度の合格者数は、大卒程度公務員が6226名、高卒程度公務員が3816名、教員採用が6010名、看護師国家試験が2万3606名であり、特に看護師国家試験においては、合格者の実に5人に2人以上が東京アカデミーの講座の受講生だという。

このように高い合格実績をあげられるのは、「三位一体で最高の結果を」をスローガンに、講師、受講生、教務スタッフの3者が力を合わせて「合格」というひとつの目標に向かって突き進んでいるからだ。

また、合格実績のほかに、生講義の実施や、きめ細かな受講生のフォロー、オリジナルテキストなどの質の高さも、東京アカデミーが選ばれる理由としてあげられる。
昨今はDVDやインターネットを活用した講義を行う予備校も増えているようだが、東京アカデミーでは100%生講義にこだわっている。

「生講義へのこだわりが、弊社が運営する講座の特徴のひとつであり、大きな強みにもなっています。双方向のコミュニケーションを大事にする生講義であれば、受講生の理解度に合わせて講義の速度を臨機応変に変えたり、その場で質疑応答ができたりもしますからね。受講生が理解度をどんどん深めていけるという点で、生講義に勝るものはありませんし、直近の時事ニュースも瞬時に講義に盛り込めます。これが合格者の増加にもつながっているのだと思います」

と、佐川氏は絶対的な自信を見せる。

また、東京アカデミーは試験情報の分析力が優れており、カリキュラムも最新の試験傾向を意識して戦略的に組まれているため、学習の成果がむだなく合格に結びつくというメリットもある。公務員試験、教員採用試験、看護師国家試験など、それぞれの試験対策の中身については本編で詳述するが、東京アカデミーは、それらの試験対策予備校のパイオニアであり、リーディングカンパニーでもあると言えるのだ。

本書は、公務員系と医療・福祉系を軸に、公共性や公益性の高い仕事に就くための各種試験対策を徹底サポートする東京アカデミーについて、そこで実践される指導と、それに付随するさまざまな事業活動を紹介しつつ、同業他社の追随を許さない圧倒的な強さの秘密に迫るものである。人生の基盤となる「仕事」のあり方に思いを致す多くの若者や社会人にとって、社会貢献度の高い職業に就くことの意義や、そのための予備校の役割を理解するうえで、本書がなんらかの指針となれば幸いである。

なお、本文中の敬称は略させていただいたことを、あらかじめお断りしておく。

2019年4月  鶴蒔靖夫




はじめに


第1章 資格取得から就職サポートへ
~変わりつつある専門予備校の役割~

早く仕事に就くことを軽んじてきた戦後の日本
憂慮すべきは若者の学力低下
社会の要請に応え実学重視の大学も
大学の就職予備校化
バブル崩壊で再来した「資格の時代」
若者の就職意識は安定重視の方向へ
職業選択のキーワードは「3つのライ」
就職は安定志向に加え地元志向が強まる
地方公務員が地方創生のキーマンに
教員志願者減を背景に年齢制限の引き上げも
超高齢社会でニーズが高まる医療・福祉の仕事
「早く、安く、確実に合格」をめざす専門予備校


第2章 圧倒的な合格率で選ばれる東京アカデミー

公務員資格と看護師資格を中心に多様な講座を運営
100%生講義へのこだわり
講師の見極めは、合格に導けるか否か
講師、受講生、教務スタッフの三位一体で合格をめざす
高い合格率へと導く緻密な試験傾向分析
出題傾向に合わせたオリジナルテキスト
受験生に大人気の試験対策教材
受験者数ナンバーワンを誇る各種模擬試験
就職試験で必須の人物(面接)試験対策
何回でも制限なしで受けられる模擬面接


第3章 全国の自治体を網羅する公務員・教員採用試験対策

公務員試験の競争率は低下傾向
地方公務員では人物本位の採用試験も
現場を知るための「官庁・自治体説明会」を開催
目的意識の確立に力を注ぐ
受講生14名でスタートした教員採用試験対策講座
非正規教員の受験者が多い教員採用試験
自治体別の試験傾向に沿ったカリキュラム
試験の内容は受験者の負担を軽くする傾向に
徹底した市場調査で他社との差別化を図る
得意を伸ばす試験テクニック
講師に求められる「ティーチャー」と「トレーナー」の役割
最終合格までを徹底サポート
新学習指導要領にもいち早く対応


第4章 高い信頼と実績を誇る看護師国家試験対策

看護師国家試験対策は学校内講座からスタート
学校別合格率の公表が「神風」となってニーズが急増
本試験の翌日に「解答速報会」を実施
受講生動員の国家試験問題復元プロジェクトを結成
看護師国家試験では毎年1割が落とされる
基礎の基礎を身につけるDランク講座
受験生の70%が正解した問題のみを集めた『でた!でた問』
国家試験の試験地で前日講習「ザ・ファイナル」を開催
多くの看護師を輩出することで看護界に貢献
必修問題の採点除外措置の是非
新設ラッシュが続く看護系大学


第5章 人づくりから国づくりを支える東京アカデミー

企業理念を表す「感」「益」「献」
4項目からなる事業モットーを明示
学科を横断した総合的な視点を持つ
会社組織で受講生一人ひとりをサポート
社員教育や働き方改革にも力を注ぐ
さまざまなかたちでの教育サービスを提供
外国人看護師の輩出にも寄与
社員人材の育成
昭和、平成、令和と、時代に順応した予備校の創造をめざして

《東京アカデミー アクセスMAP》


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『専門医が集まる大型クリニック』 前書きと目次

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専門医が集まる大型クリニック ~医療法人社団めぐみ会の挑戦~

 

 

著者:鶴蒔靖夫
定価:本体1800円+税
ISBN978-4-87218-454-9
初版発行:2019年5月18日

 

 


 

 

はじめに

 

日本社会はいまや「人生100年時代」とまで言われるほどの超高齢化・長寿化に直面している。日本人の平均寿命は、女性は87.26歳、男性は81.099歳となり、ともに過去最高を更新している(2017年数値。厚生労働省「平成29年簡易生命表の概況」)。戦後まもない1947年の平均寿命は、女性は53.96歳、男性は50.06歳だったから、70年間で30歳以上も延びたことになる。しかも、近年の健康意識の高まりや医療水準の向上により、この先も平均寿命は延び続けると予想され、「人生100年時代」が実感として迫ってくる。

 

古来、「長寿」はその言葉が示すとおり「寿ぐ」こととされてきたが、現代では、手放しで喜んでばかりもいられない状況になっている。というのも、たいていの人は、年齢を重ねるにつれて身体機能が低下し、なんらかの病気を発症して医療機関にかかる頻度が増す。そのため、高齢化の進展にともない、国民医療費が増大の一途をたどっているからだ。

 

2017年度の概算医療費は42兆2000億円で、前年度に比べて9000億円の増加である(厚生労働省「平成29年度 医療費の動向」)。労災や全額自己負担などの費用が含まれていない速報値である概算医療費は、確定値である国民医療費の約98%に相当するというから、確定値は43兆円を突破することになる。これは国の一般会計の半分近くに匹敵する膨大な数字である。

 

国民医療費の増大は、国の財政負担にも重くのしかかる。そのため国としても、医療費の抑制を図ろうと、長期入院の是正や生活習慣病への対策など、さまざまな策を講じてきたものの、いまだ十分とは言えないのが現状だ。

 

2025年には団塊の世代がすべて75歳以上となり、後期高齢者人口が増大することから、医療、看護、介護のニーズがいちだんと高まることが予想されている。しかし日本の医療現場では、すでに医師不足が深刻化しており、看護や介護の人材も不足している状況だ。

 

そこで国は打開策として、これからの超高齢社会を地域全体で支えあう、「地域包括ケアシステム」の構築を推進している。これは、住み慣れた地域で高齢者が自分らしい暮らしを人生の最期まで続けられるように、住まい、医療、介護、予防、生活支援のサービスを一体的に提供するというもので、その具体策のひとつとして、地域住民のプライマリ・ケアを行う「かかりつけ医」の整備と定着がある。

 

「かかりつけ医」とは、平たく言えば「町医者」のことだ。患者の住まいから身近な距離に存在し、病気や健康に関して、いつでもなんでも気軽に相談できる医師をさす。

 

とはいえ、日本では総合診療を行える診療所(クリニック)が少ないことに加え、その多くは在籍する医師が1名程度の小規模な診療所であり、提供できる医療サービスには自ずと限界がある。患者としても、最近は医療情報をインターネットなどを通じて簡単に入手できることもあり、診療所の医師が行う診断や治療に対して不安や物足りなさを覚えることもあるだろう。それに、一般的に大病院のほうが診療所よりも高レベルの医療サービスを受けられると思っている人も多いため、具合が悪くなると近所の診療所を素通りして大病院に行こうとする人は少なくない。

 

「医療の世界を小売業にたとえるなら、診療所は個人商店、病院は百貨店と位置づけられるでしょう。小売業の世界では、個人商店と百貨店のほかにも、時代のニーズに対応して大型量販店やセレクトショップ、コンビニエンスストアなど、さまざまな業態ができました。一方、医療の世界では、それなりの規模がある病院と小規模な診療所という主に2つの形態のみというかたちが長く続いています。しかし医療においても、身近さと専門性の高さを兼ね備えた、病院と診療所の中間とも言うべき医療機関が必要ではないでしょうか。それが、私たちが展開している大型クリニックなのです」

 

こう語るのは、本書で紹介する医療法人社団めぐみ会(本部:東京都多摩市)理事長の田村豊氏である。

 

田村氏は、大学を卒業後、大手石油会社での勤務を経て、医師へ転身したという異色の経歴の持ち主だ。1994年に37歳でめぐみ会の原点となる「田村クリニック」を多摩市に開業して以来、地域医療の新しいモデルづくりをめざし、「信頼できる医療をもっと身近に」の理念のもと、都内に複数の大型クリニックを展開してきた。めぐみ会が運営する大型クリニックは、多摩市を中心に八王子市、品川区、杉並区、目黒区など都内5カ所で10施設を数え、在籍する医師の数は非常勤を含めると約160名、コメディカルや事務スタッフを合わせた従業員数は500名を超えており(2019年3月現在)、めぐみ会全体の規模としては300床の病院に匹敵する。

 

めぐみ会の大型クリニックは、複数の専門医が集まって、それぞれのクリニック内に診察室を持って診療するというスタイルが特徴となっている。いわば、大病院の専門外来が、そのまま身近な診療所内に展開されているようなイメージだ。診療科目は施設によって異なるが、全体では内科、消化器内科、循環器内科、泌尿器科、脳神経外科、小児科、皮膚科など実に19科目に及び、糖尿病外来、肝臓外来、乳腺外来など18の専門外来を設け、それぞれ専門医が診療にあたっている。

 

1人の医師が複数の専門分野を持つことは難しくても、専門分野が違う院内の医師どうしが連携しあうことでチームとしてオールマイティな総合診療が可能となる。めぐみ会では、こうした診療体制により、大病院に負けない専門性の高い診療レベルを維持し、なおかつ患者目線に立って、年中無休・昼休みなしの途切れのない診療を提供している。それが可能となったのも、大型クリニックだからこそである。
そしてもうひとつの特徴が、ターミナル・ケアを含め、近年、ニーズが非常に高まっている訪問診療(往診)に積極的に取り組んでいることだ。

 

田村氏は、開業当初から訪問診療をひとつの柱にしたいと考えていた。というのも、医師を志したときから田村氏には、どんな病気でも診療し、頼まれればいつでも往診し、看取りもする、そんな「町医者」でありたいという思いがあったからだ。

 

だが、実際問題として、医師が1人しかいないような診療所では、外来と往診を両立させることはなかなか難しい。その点、複数の医師がいる大型クリニックなら、緊急の往診依頼があったときに主治医が外来診療でどうしても手を離せないような場合に、ほかの医師がサポートすることができる。

 

めぐみ会では、複数の医師と訪問看護師、ケアマネジャー、医療事務スタッフなどが在宅医療チームを編成し、24時間365日のオンコール体制で在宅患者に対応している。複数の医師やスタッフが連携・協力して、外来診療と同様の高水準の在宅医療サービスを提供する。田村氏自身も、外来診療を行うほか、訪問医としても活動している。

 

超高齢社会を迎えた日本では、医療に求められる役割は高度化する一方である。患者が要求する、「良質で専門性の高い外来診療や在宅医療」へのニーズに迅速に応えるためにも、めぐみ会が提唱し、実践する、大型クリニックモデルによるチーム医療は今後、ますます注目されるようになるのではないか。

 

本書は、日本の医療界に新しいクリニック像を打ち立て、日々進化を続ける、医療法人社団めぐみ会のさまざまな取り組みを紹介するとともに、理事長・田村豊氏の今日までの歩みをたどりつつ、その経営理念と医療哲学に迫るものである。

 

「人生100年時代」に向け、医療や看護、介護は誰にとっても関心の高い身近な問題である。それだけに、現在、医療関連の仕事に携わっている人はもとより、これから医療の世界を志す人、さらには患者やその家族にとっても、新しい地域医療モデルの構築をめざすめぐみ会の活動から学び取れることは多いはずだ。患者にも医師にも喜ばれる理想の医療サービスのあり方を考えるうえで、本書がなんらかの指針となれば幸いである。

 

なお、本文中の敬称は略させていただいたことを、あらかじめお断りしておく。

 

2019年4月  鶴蒔靖夫

 

 


 

 

はじめに

 

 

第1章 超高齢社会における新しい地域医療のかたち

 

地域医療の原点は往診に駆けまわる「町医者」
国民の5人に1人が後期高齢者になる時代
医療現場で常態化する医師不足
地域包括ケアを前提とした地域連携型医療へ
高まる患者の専門医志向
在宅医療のメリットとデメリット
在宅医療チームとしての多職種連携と医療機関連携
これからの在宅医療に求められる機動力
療養病床に代わる介護医療院の創設
医療に求められるサービス業の視点

 

 

第2章 チーム医療で地域の健康と安心を支える

 

信頼できる医療をもっと身近に
チーム医療による大型クリニックのメリット
働きやすさと働きがいを実感できる環境
患者に満足してもらうことが最低条件
大型化と分院展開で経営の安定化を図る
病院勤務医と開業医のメリットを併せ持つ
プロフェッショナルとして誇りを持てる風土
健診事業と産業保健事業で地域や企業の健康をサポート
被災地でのチームによる医療支援活動

 

 

第3章 24時間体制で患者に寄り添う在宅医療

 

3つのクリニックで在宅医療に対応
複数の医師や多職種からなる在宅チームを編成
外来と訪問を両立させた診療スタイル
組織力を持った在宅医療チーム
チームで臨む24時間365日のオンコール体制
在宅ターミナル・ケアから看取りまで
ケアマネジャーが地域医療連携の担い手に

 

 

第4章 医療の質を高める人づくりと環境づくり

 

医師にとって働きやすい環境を整備
実績に連動した成果報酬制を採用
医師の長時間労働に歯止めを
ワークライフバランスを実現するフレキシブルな勤務体系
医療に専念できるように本部機能を強化
求めるのは患者の満足度を高められる医師
開業への医師の思いを実現する開業支援体制
節目に合わせて行う充実した職員研修制度
独自の職種別スキル認定制度とキャリア形成

 

 

第5章 めぐみ会理事長・田村豊の経営理念と医療哲学

 

人の世話をすることを一生の仕事に
脱サラして医学部に入りなおす
徳洲会病院で研修医生活をスタート
研修医時代に遭遇した尊敬すべき医師の姿
37歳で念願の独立開業を果たす
患者との信頼関係を築くためにはコミュニケーション力が不可欠
複数の医師による診療体制を構築
大型クリニック化で医療と経営の分離を実践
理想のクリニックのあり方を追求し続ける熱き思い
医療界のフロントランナーをめざす

 

 

第6章 めぐみ会が描く地域医療の未来図

 

優秀な医師の確保は永遠の課題
医師の働き方改革の是非
高邁なサービス業としての誇りを持つ
当面は分院展開より拠点のブラッシュアップに注力
事業継承というかたちでの分院展開の可能性
将来的には大型クリニックが標準的な診療スタイルに
大型クリニックの機能を活かして過疎地の医療支援も
持続可能性を持った組織づくりに向けて

 

 

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2019/04/11

『知恵ある経営者は「しくみ」で儲ける』前書きと目次

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知恵ある経営者は「しくみ」で儲ける

~強い人材、新しい事業を生み出し続ける経営の極意~

 

著者:鶴蒔靖夫
定価:本体1800円+税
ISBN978-4-87218-453-2
初版発行:2019年4月13日

 


 

はじめに

 

社会の動きはますます変動の勢いを増しており、リーダーには新たな道を開くための決断力と実行力とがこれまで以上に求められている。

かつて日本は、技術革新の先端を突き進み、世界の産業界を導く、トップリーダーだった。強烈な個性を持った経営者たちが小さな会社をグローバルな企業に成長させ、産業構造の転換はもとより、人々の暮らしやものの見方までをも変えていく「大きな物語」がいくつも生まれた。

しかし1990年代初頭にバブル経済が崩壊し、日本の経済成長は長期の停滞に陥った。近年になってようやく「失われた20年」からは抜け出す兆しが見えてきたが、「物語」が輝きを取り戻すまでにはまだしばらくかかりそうだ。

そんな現代の日本だが、ときおり思いもかけないところから「異能」と呼びうる人物が登場することがある。本書で紹介する新地哲己氏も、時代の意思が引き出した、異能のリーダーと呼べる人物のひとりだ。

創業者である新地氏が代表取締役会長兼CEOとして独創的な手腕を振るう芝浦グループは、芝浦グループホールディングス株式会社(本社:福岡県北九州市。以下、芝浦GHDと記す)を中心に、計11(2019年1月現在)のグループ企業で構成されている。

他の追随を許さぬスピード感で事業を拡大し、地元福岡で圧倒的な存在感を誇っているのみならず、業界内でも一目も二目もおかれていた芝浦グループは、さらなる事業の発展をめざし、2018年にいよいよ東京進出を果たした。

1977年に家電販売店を創業し、経営者としてのスタートを切った新地氏が、いまにつながる大きな転身を成し遂げたのは、太陽光発電事業によってであった。「地球環境を守ろう」との理念のもとで展開されたメガソーラー事業は、民間主導の先陣を切り、その規模と迅速さで巨額の利益を会社にもたらした。そこからの飛躍的な成長は、他に類を見ないと言ってもよいほどだ。

実は、私と新地氏は数年前から親交を結んでおり、2014年3月には、貧しかった少年時代から「九州の電力王」と呼ばれるようになるまでの新地氏のドラマチックな道のりをまとめた『お金のない人は知恵を出せ』という本を上梓している。

あれから5年近くが経ち、現在では11社を擁するグループ企業となった芝浦グループの事業は、太陽光発電事業のほかにも、建設、不動産、車輌、健康機器、飲食、イベント、ホテル、農業など、第一次産業から第三次産業まですべてを包括するものへと、さらなる躍進を見せていた。しかも、それらがグループ内で相互に連関する一貫体制という独自のしくみに支えられ、全社一体となって成長している様子は、実にみごとである。それぞれの事業の詳しい内容に関しては本文に記すが、金策も営業も不要という環境のなかでグループ各社の社長は能力の100%を業務に集中させ、それぞれに高い成功率を誇っているのだ。

「なにかがあると、みながいっせいに同じ方向で取り組みます」

と語る新地氏が試行錯誤の末につくりあげたしくみは、「強い人材」と「新たな事業」を育てるための完璧な作品と言ってもよいだろう。

しかし、こうした組織づくりの巧みさもさることながら、新地氏の本領は、新事業の開拓においてこそ発揮される。

「真の経営者とは、なにもないところから新たな事業をつくりあげる人である」と明言する新地氏が、おのれの経営者魂を燃やすのは、「世の中にこれまで存在しないもの」「世界で初めてと言われること」に対して挑むときである。実際、「日本初の全戸個別供給型太陽光発電付きマンション」「日本初のスーパーカー製造事業」「日本初の酸化マグネシウム製造プラントの開発」など、これまでに誰も「やってみよう」とは思わなかったことを、新地氏は事業としてかたちにし続けている。そうしたなかには現在進行形のものもあり、完成の暁には世界中から注目を浴びることは必至だろう。

これまでに存在しないものや世界初のことに挑戦しようとすれば、まず間違いなく「そんなことはできるわけがない」と、周囲の人間に一蹴される。しかし、そうしたなかで、どんな困難をも乗り越えて、ついに成功を導き出すことこそが、経営者にとっての真の喜びであると新地氏は語る。

その「喜び」を得るには、過去の成功に固執せず、環境や状況に合わせて「自己変革」ができる能力が必要だ。新地氏はその能力を「知恵」と呼び、無から有を創出する源としてなによりも重視し、自ら鍛え続けてきた。

「『知恵』は、答えのないものを探る力です。『知恵』さえあれば、なんとかなります」

と語る新地氏の言葉からは、65歳を超えてなお「大きなリスクを背負って挑戦する」という、尽きることのないベンチャー魂が伝わってくる。そうしたチャレンジ精神と活力こそが、いまの日本に最も必要なものではないだろうか。

「未来を語らなければ成長は止まる」

と言う新地氏がスピード感を持って進むその先には、新たな「価値」と「意味」を人々に与える「大きな物語」が復活する兆しが垣間見える。

本書は、卓越した閃きと経営能力で時代に先駆ける事業を次々と実現させてきた芝浦GHD会長兼CEOの新地哲己氏の、経営論やモノの見方、人間観を、赤裸々に綴ったものである。そこには、未来を切り開くための新たなヒントや活力となるものが多数含まれているに違いない。それらは、企業経営者や起業を志す人はもとより、答えのない混迷の時代になにかをつかもうとする人々にとっても、貴重な指南となるだろう。

なお、文中の敬称は略させていただいたことを、あらかじめお断りしておく。

 

2019年2月  鶴蒔靖夫

 


 

はじめに

 

第1章 真の経営者とは「知恵を出す者」である

 

絶えまのない変化を求める
知恵について
経営者とはなにか
芝浦グループの全体像
強い熱意を持つ
成功の条件は日ごろの行い
変化を恐れない

 

第2章 経営者は「金の活かし方」を知っている

 

その金を上手に使いきれるかどうかは腕次第
知恵が生んだ分譲方式の「みやま合同発電所」
銀行も悲鳴をあげるほどのスピードで
金は使わなければ暴走する
むだだと思うことには使わない
自分だけ儲けてはいけない
10億円までなら失敗しても大丈夫、思いきってやってみろ
金と女は追うな、追われるような人間になれ
太陽光発電をめぐる複雑な現状
売電からメンテナンス事業へ

 

第3章 経営者は「誰もやらないこと」をやる

 

「誰かがやったこと」をやるのは「挑戦」とは言わない
Ⅰ 日本初のメガスーパーカーの製造に挑戦
   大盛況だった「メガスーパーカーモーターショー」
   芝浦ブランドのスーパーカーは7億円で限定50台
   常設展示施設と専用サーキット場も提供
Ⅱ アグリビジネスへの挑戦
   キウイフルーツの生産を開始
   ゼスプリのブランドで国内市場に幅広く
Ⅲ 世界初・水蒸気金属反応方式による酸化マグネシウム製造
   1兆円産業も夢ではない
   夢を叶えるために大きな投資を
Ⅳ 世界初の美術品をプロデュース
   光と音楽と絵画を一体化した総合芸術「ART GRAGE」
   ここでしか買えない絵画だから、価値もいっそう高まる
   「この世に存在しないもの」への挑戦

 

第4章 経営者の仕事は「しくみ」をつくること

 

価値のあるホールディングス体制とは
「地球環境を守ろう」をグループ会社の中心理念に
入り口から出口まで、他に例のない自社一貫体制
「身内商売」に儲かるしくみが秘められている
芝浦グループは「連合体」、だから強い
日本初の全戸個別供給型太陽光発電付きマンションが飛躍のきっかけに
ホテル事業への挑戦にも成功
美容・健康事業を着実に展開
常に「つながり」を重視する
会議で業績の話はしない
金策の心配をせず100%仕事に専念できる
最初に役職を与え、実力のある者をどんどん伸ばす
成長のしくみは完成形に近づいている、若手を早く社長に

 

第5章 時代に先駆け、挑戦し続けた40年

 

新しいドラマが始まるとき
アイデアマンだった父親
父親の自殺未遂と貧しい日々
貧しさのなかでも母親は「人の道」を説き続けた
特待生から高収入のアルバイトへ、浮き沈みの激しい高校時代
給料がいちばん安い店に就職し、給料の100倍を稼ぐ
24歳で独立し驚異の売上を叩き出す
成功直後に襲った先物取引の地獄
人の言うことを素直に聞いてどん底から這い上がる
ここぞというときに「最も必要な人」が現れる
家を出て、孤独に耐える
芝浦特機のスタート、空調設備専門業者として独占状態に
世界初の「太陽光発電と不動産の融合」
業態変化をするたびに大きく成長
いつかこんな時代が来ると思っていた

 

第6章 常識を超え、未来を変える

 

1兆円企業をめざして東京に進出
10階建て本社ビルにはスーパーカーの展示場も
数兆円産業になる可能性もある大容量キャパシタの開発
バイオガス発電所を全国に建設
社員のプレゼンコンテストをきっかけに家賃債務保証業を開始
保険会社をハワイに設立
グループを牽引するカリスマ経営者として
女性を輝かせてこそ本当の男
新地も舌を巻く発想力
寝ているあいだに龍の使いで天啓がやってくる
仕掛けの年、社訓「計画・努力・進歩」そして「成功」
多くの人に活力と夢を与える企業に

 

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2019/02/14

『いま、なぜ専門家集団薬局なのか』 前書きと目次

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いま、なぜ専門家集団薬局なのか
~薬局の新しい価値をつくるフォーラルの挑戦~


著者:鶴蒔靖夫
定価:本体1800円+税
ISBN978-4-87218-451-8
初版発行:2019年2月21日




はじめに

日本人の平均寿命は年々延び続け、最近では「人生100年時代」という言葉も聞かれるようになっている。実際、2017年の日本人の平均寿命は、男性は81.09歳、女性は87.26歳で、どちらも過去最高を更新している(厚生労働省「平成29年簡易生命表の概況」)。ちなみに平均寿命とは、その年に生まれた0歳児が平均して何歳まで生きるかを示す平均余命のことだ。健康意識の高まりや医療水準の向上により、この先も平均寿命が延び続ければ、「人生100年時代」の到来も、けっして絵空事ではない。遠からず、そういう時代がやってくるだろう。そのため政府も、人生100年時代を見据えた政策のグランドデザインを検討する「人生100年時代構想会議」を2017年9月に発足している。

人間にとって長寿は喜ばしいことではあるが、国の財政面にとってはよいとばかりは言えない。高齢化の進展にともなって、国民医療費はふくれあがる一方だからだ。厚生労働省によると、2017年度の概算医療費は42兆2000億円であり、前年度に比べて9000億円の増加となっている(厚生労働省「平成29年度 医療費の動向」)。概算医療費は、労災や全額自己負担の治療費は含まれず、医療機関などでの治療に要した費用全体の推計値である国民医療費の98%に相当するという。つまり、2017年度の国民医療費は43兆円前後となる見通しで、これもまた過去最高を更新することになる。

国はこれまで、国民医療費を削減するために、さまざまな制度改革を進めてきた。診察は医師が行い、調剤は薬局の薬剤師がするという、「医薬分業」もそのひとつだ。それまでは診察を受けた病院や診療所の窓口で薬をもらう院内処方が普通だったが、医薬分業により、医師の書いた処方箋をもとに、薬局の薬剤師が専門性を発揮して、患者が服用する薬について一元的な薬学的管理を行う院外処方にすることで、多剤・重複投薬を防止し、残薬も解消でき、その結果、患者に対する薬物療法の安全性と有効性が向上し、医療費の適正化にもつながるはずだった。

日本の医薬分業元年は、診療報酬改定により処方箋料がそれまでの6点から50点にまで引き上げられた1974年と言われている。それから40年余りの歳月が流れ、いまでは病院や診療所の門前はもとより、街のあちらこちらに「薬局」の看板が見られるようになっている。全国の薬局数は2017年度末時点で5万9138店(厚生労働省「平成29年度衛生行政報告例の概況」)と、コンビニエンスストアの5万5564店(一般社団法人 日本フランチャイズチェーン協会「JFAコンビニエンスストア統計調査月報 2018年10月度」)を上まわり、医薬分業率も72.8%にまでのぼっている(公益社団法人 日本薬剤師会「処方箋受取率の推計 全保険(社保+国保+後期高齢者) 平成29年度 調剤分」)

しかし患者にとっては、院内処方から院外処方に切り替わったことで、かえって二度手間になり、そのメリットが実感できないというのが、多くの国民の本音ではないだろうか。しかも、院内処方に比べて調剤報酬が割高となるため、必ずしも医療費削減に結びついていない。

調剤業務による薬局の収入は薬剤料と技術料(調剤報酬点数)からなるが、国が多額の税金を投入しているにもかかわらず、薬局は国が求める本来の機能を果たしてはいないのではないかという批判も少なくない。とりわけ大手薬局チェーンに対する風当たりは強くなってきている。自社の収益拡大に走るあまり、国が求める薬剤の適正使用や医療費の削減には貢献していないのではないかというわけだ。

薬剤師が、医師の処方箋どおりに正確かつ迅速に調剤し、適切な説明とともに患者に薬を手渡す。これだけで薬局としての職務を果たしているといった認識が、かつてはまかり通っていたのかもしれない。だが、それでは薬剤師が専門性を発揮することにはならない。

団塊の世代が75歳以上となる2025年には、国民医療費は47兆8000億円、2040年には66兆7000億円に達するとの試算結果もあり(内閣官房・内閣府・財務省・厚生労働省「2040年を見据えた社会保障の将来見通し(議論の素材)―概要―」)、医療費の抑制は待ったなしの状況になっている。そのため国は、国民医療費の増大を抑え、社会保障に関する体制を整えるべく、在宅医療を推進するとともに、2025年までに「地域包括ケアシステム」の構築をめざしている。

それら一連の施策のなかで大きな役割を果たすと期待され、重要性を増してきたのが薬局だ。厚生労働省は2015年に「患者のための薬局ビジョン」を策定し、「かかりつけ薬剤師・薬局」の機能に加え、地域住民の健康維持および増進に貢献する薬局を「健康サポート薬局」と位置づけて、将来における薬局のあるべき姿や機能を示している。

そうした国の施策を先取りするかのように、独自の手法で新しい薬局のあるべき姿を実践しているのが、本書で紹介する株式会社フォーラル(本社:東京都江東区)である。

現在は1都3県に薬局20店舗(2019年1月現在)を展開しているフォーラルの特徴のひとつが、薬剤師と管理栄養士という国家資格の有資格者で構成された「専門家集団薬局」である点だ。従業員202名のうち112名が薬剤師、76名が管理栄養士であり(2018年4月現在)、管理栄養士の在籍数ではわが国有数である。

通常、薬局のスタッフは薬剤師と医療事務で構成されるが、フォーラルでは、薬剤師とともにメディカルパートナーとして各店舗に配置された管理栄養士が医療事務をも担うようにしている。

「薬剤師のほかに、食事や栄養の専門家である管理栄養士が在籍することで、調剤するだけでなく、地域のみなさまの健康をサポートするための拠点としても薬局が機能できます。各店舗は、薬剤師と管理栄養士が連携して無料栄養相談や各種セミナーを開催するなど、健康に関する情報を積極的に提供することで地域社会に貢献し、薬局の新しい価値をつくっていきたいという想いで活動しています」

と、フォーラル代表取締役社長の松村達氏は語る。

医薬分業が進んだいまでは、薬局とは処方箋を持った患者だけが利用するところと一般的に思われているのではないだろうか。しかし、フォーラルが実践するように、薬局に管理栄養士が在籍し、食事や栄養、運動などの情報提供を通じて予防医療の拠点として機能するようになれば、処方箋を持たない地域住民も訪れるようになり、地域の健康維持や増進に貢献できるばかりか、医療費の削減にもつながるはずだ。

また、フォーラルでは、「地域包括ケアシステム」の一環として、全店舗で在宅医療に取り組んでおり、薬剤師と管理栄養士が地域の医療・介護チームと連携して、居宅や高齢者施設などを訪問する。輸液などの無菌調剤が可能なクリーンベンチも、在宅医療が中心の3店舗を含めた4店舗で完備している。

薬局運営にあたりフォーラルが全店舗共通のコンセプトとして掲げているのは、「地域の人々が応援したくなる人と薬局」だ。ただし、なにをすることで地域の人に応援したいと思ってもらえる薬局になるかについては社員の自主性や独自性を尊重し、店舗ごとにスタッフが意見を出しあい、自分たちで考えるようにしている。

地域の人々に「あなたがいるから、この薬局に来た」と言ってもらえるようになるためには、「専門性」だけでなく「人間性」が高いことも大切な要素になってくる。やさしさや思いやり、つまり「仁」の心が必要であり、社員の採用にあたっても、その点を重視していると松村氏は言う。

その一方で、自信を持って積極的に地域のために貢献できる人材を育成するために、教育にも力を注ぐ。社員個々の専門性を高め、付加価値をつけるために、自社講師陣によるシステム化された教育研修制度を構築している。

「当社では、仕事の目的は『他者貢献』であり、売上や利益は人々に喜んでいただいた結果であるという考え方を徹底し、社員全員がこの共通認識のもとに行動しています」

と、松村氏は語る。専門家集団による地域貢献活動や充実した研修制度もさることながら、こうした共通の価値観こそがフォーラルの最大の特徴であり、強みと言っていいだろう。

「当社は、社員一人ひとりが『地域のみなさんのために、なにができるか』『どうすれば喜んでいただけるか』を考えながら、さまざまな活動をしています。そうした社員の熱き想いや活動で成り立っている会社なのです」

と言う松村氏の言葉を受けて、本書を執筆するにあたっては十数名の幹部社員にもインタビューを行い、「他者貢献」へのそれぞれの想いを語ってもらった。

本書は、薬局業界の現状と課題を浮き彫りにしつつ、地域社会に健康情報を積極的に提供する「専門家集団薬局」という新しいスタイルの薬局として注目されるフォーラルの活動を現場の声を交えながら紹介するとともに、同社の経営理念と医療哲学に迫るものである。現在、医療や介護に携わっている人はもとより、これから薬剤師や管理栄養士として薬局業界をめざそうとする人にとっても、「他者貢献」を実践するフォーラルの姿勢から学びとれることは多いはずだ。

超高齢社会に突入した日本では、地域医療のあり方と、そのなかで薬局が果たすべき役割が、あらためて問われようとしている。健康長寿社会の実現に向けて、薬局本来の役割を見つめなおし、地域医療のあり方を考えるうえで、本書がなんらかの指針となれば幸いである。

なお、本文中の敬称は略させていただいたことを、あらかじめお断りしておく。


2019年1月  鶴蒔靖夫




はじめに


第1章 超高齢社会における薬局と薬剤師の役割

高齢化の進展でふくらみ続ける国民医療費
薬剤師が医師に薬を奪われていた時代
医薬分業の促進により「薬漬け医療」を回避
国の庇護のもと増大する薬局への厳しい視線
医薬分業の本来の目的に立ち返る
大手門前薬局チェーンに厳しい調剤報酬の改定
「地域包括ケアシステム」で期待される薬局の役割
薬局業務は「対物」から「対人」へ
「箱出し調剤」で調剤業務の簡素化を


第2章 新時代の薬局モデル「専門家集団薬局」

有資格者で構成された専門家集団薬局
「他者貢献」が全社員の共通認識に
地域の人々が応援したくなる人と薬局
フォーラル流「かかりつけ薬剤師・薬局」の職能を発揮
「地域包括ケアシステム」のなかで全店舗が在宅医療に対応
地域のなかで多職種連携によるチーム医療を実践
薬の専門家として「看取り」まで責任を持つ
現場最優先で独自色を打ち出した店舗運営


第3章 地域の人々の健康をサポートする専門家集団

全店舗で管理栄養士による無料栄養相談を実施
薬剤師と管理栄養士の比率は6対4
薬剤師と管理栄養士の強固な連携体制
薬局以外でも予防に重点をおいた指導を実施
約80種のコンテンツが用意された「地域アウトリーチセミナー」
喜びや感謝の言葉が報酬
行政と連携した健康イベントの開催も
学会発表を通して薬局の活動成果を外部に発信


第4章 専門家として、人として成長するための教育研修

社員一人ひとりの「なりたい自分」を応援
「専門性」と「人間性」の両面を高める教育体制
基礎研修からマネジャー育成までのキャリアプラン
専門職能に磨きをかける多彩な勉強会
それぞれが強みをつくり、チームで地域に貢献
社内学術大会「フォーラルフォーラム」
欧米の薬局事情を肌で感じとる海外研修
「指さし英会話」を取り入れた外国人対応
社会貢献の一環として外部にも研修ノウハウを提供
経営者として社員に望むこと


第5章 フォーラルの経営理念とビジネス哲学

薬局の3代目として生まれて
3人の恩師と3人の顧問
創業50周年を機に社名変更し、新たなスタートを切る
「善悪」は「損得」に優先する
社員の熱い「想い」が強みになる
オンリーワン、ナンバーワンの存在に
自分のやりたいことがやれる企業風土
役職についても基本的に「手挙げ制」
女性社員が80%以上を占める職場環境
「FORALL WAY《フォーラルらしさ》」とはなにか
全員が「さん」づけで呼ぶフラットな関係


第6章 フォーラルが描く薬局の未来

「専門家集団薬局モデル」のさらなる普及に向けて
効率化への取り組み
いまこそ薬局が変わるチャンス
人と人とのふれあいで成り立つ薬局の価値
生き残る薬局、淘汰される薬局
駅前立地による出店を進める一方でスリム化も
「連携」をテーマにさらなる進化をめざして

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2019/01/24

『「再エネ農業」で所得倍増!』 前書きと目次

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「再エネ農業」で所得倍増!
~電気と野菜を同時につくるソーラーファーム(R)


著者:鶴蒔靖夫
定価:本体1800円+税
ISBN978-4-87218-450-1
初版発行:2019年1月23日




はじめに


 はじめに

農業のことを語ろうとすると、最近では明るさよりも、困難な現状のほうがどうしても浮かびあがってくる。農業従事者の高齢化や後継者不足が深刻化し、衰退傾向は隠しようもない。食料自給率も38%と低いままである(2017年度、カロリーベース概算値。農林水産省「平成29年度 食料自給率・食料自給力指標について」)

そんななかでも、数年前から若者のあいだに、新たな動きが芽生えつつあることを感じる。先日も、若者の意識の変化を感じさせる内容の新聞記事を見た。果樹農家を営む祖父が高齢のため廃業を決意したときに、大学を卒業した孫が後継者として名乗りをあげたというエピソードである。

その農家は、高齢のため畑仕事が厳しくなってきていた。しかし息子は公務員をしており、後を継ぐ状況にはまったくない。そのため「自分の代で農業は終わり」と決意し、畑の梨の木を伐採しようとチェーンソーを持ち出した。そのときに、就職活動中だった孫が「自分が継ぐ」と申し出たという。

これは7年前の出来事で、いまは90歳を超えた祖父が、30代になった孫の監督役として、元気に孫と一緒に栽培に精を出しており、そんなふたりを公務員の息子(孫の父親)も側面から応援しているそうだ。

小さな記事ではあったが、「農業を守る」といった使命感などではなく、「モノづくりが好きだから」という普通の気持ちで農業に向きあう若者が出てきたことに、私はひさしぶりに爽やかなものを感じた。

未来を開くのは、やはり若者たちである。政府は数年前から矢継ぎ早にこれまでのタブーを破るような農業政策を打ち出しているが、それらも、農業を魅力のあるものにすることで若者の参入を促すことを目的としている。

自立した農業、消費者と直接つながる農業、社会の変革に貢献する農業―、そうした環境が整えられたなら、若者たちも農業に目を向けていくのではないか。そんな「新しい農業を創造するためのプロジェクト」が、官民をあげてさまざまな手法で行われ始めている。

そのなかでも群を抜いた実績を残しているのが、群馬県前橋市に拠点をおいて活動しているファームドゥ・グループである。同グループは、農産物の流通を手がけるファームドゥ株式会社、太陽光発電と農業を組み合わせた新しいビジネスモデルを提案するファームランド株式会社、農業に従事する若手人材の育成を目的とする農地所有適格法人 有限会社ファームクラブで形成されている。

グループ代表の岩井雅之氏は、農家の三男に生まれ、生産者の生の声をくみとりながら徹底した農家視点で独自のしくみを創出した。活動の根底にあるのは、「農家の所得を上げること」「農業を儲かる産業に転換させること」という果敢なベンチャー精神である。

「若者にとって魅力がある農業とは、儲かる農業であるということ。ビジネスとして成り立つこと」

と明快な方向性を打ち出し、「農業には夢があり、おもしろい」とアピールする様子には、いささかの迷いもない。その夢を実現させるために独自のしくみを構築し、農家の収入向上のために力を注ぎ続けてきた。

しくみのひとつは、生産者と消費者を直接結びつける、独自の流通システムである。ファームドゥでは、地元の群馬県を中心に、埼玉県、千葉県などで農産物と特産加工品の直売所「食の駅」を12店舗運営し、東京都内や横浜市をはじめとする都市部では小型の農産物直売所「地産マルシェ」を19店舗展開している(2018年11月現在)。産地で収穫された農産物は、ファームドゥが構築した物流システムにより、収穫後24時間以内にこれらの店舗の店頭に並ぶ。

これらの店舗では、販売される農産物の価格は生産者自身がつけており、どの店舗にどれくらいの農産物を出荷するかも生産者自身が決めている。また、規格外となった農産物も売ることができ、余った野菜は加工して販売することも可能だ。この直売方式により、農家の所得は従来の2倍にもできる。

もうひとつのしくみは、壮大な実験とも言える、太陽光発電事業と農業を合体させた「ソーラーファーム(R)」である。農地に太陽光パネルを設置し、その太陽光パネルの下で農産物を栽培することで、農家は農産物の販売収益に加えて売電による収益も得られ、ここでも所得は2倍となる。

つまり、農業の6次産業化と太陽光発電により、農家や地域の収入を4倍にすることができるのだ。

詳しくは本文に譲るが、この「半農半電」のシステムで特許を取得した岩井氏は、「ソーラーファーム(R)」のビジネスには「エネルギー」「農」「環境」という3つの重要なキーワードが含まれていることの意義を何度も語った。二酸化炭素の削減にも効果があり、地球環境とも密接に関連する「ソーラーファーム(R)」が、農業における画期的なビジネスモデルとして世界に普及することも、けっして遠い夢ではないだろう。この「ソーラーファーム(R)」は現在、国内で42カ所(2018年11月現在)が稼働しているほか、国外にも進出し、モンゴルでも稼働中だ。

1994年の創業からわずか25年たらずでここまでの発展を成し遂げた岩井氏の足跡は、当然、波乱に満ちている。誰もやらないことをやることこそが人生の醍醐味であるとして、わざわざ険しい道を選んで進んできた。「失敗を恐れるな、そこから大事なことを学べばいい」との心意気で、何度も挫折を味わいながらも、そのたびに前より大きくなって再生する岩井氏に、私は事業者としての非凡な才能と実力を感じた。

しかし、私が岩井氏に最も信頼感を覚えたのは、狭い農地で丹精込めて農産物を栽培し続け、農協の規格からもはずれてしまうような山間の中小零細農家に向ける、配慮に満ちた温かな眼差しにである。岩井氏が生み出した「革命的」とすら呼ばれるさまざまなしくみも、そうした中小零細農家を助けたいという思いが、そもそもの発端になっている。農業を営む人への敬意と共感が時代を動かすビジネスモデルをつくりあげ、それが多くの人を巻き込んで、ファームドゥ・グループは着実に成長を続けているのだ。

精緻に組み立てられたしくみの中身や岩井氏のパーソナリティに関しては本文に詳述したので、ぜひ読んでいただきたい。そこからは、官にはできないことに挑む民間企業のあり方など、さまざまなヒントが得られるはずだ。また、農業に関わる人はもちろん、農業をめざす若者、そして多くの一般読者にとっても、本書は貴重な指南の書となるだろう。

なお、本文中の敬称は略させていただいたことを、あらかじめお断りしておく。


2018年12月  鶴蒔靖夫




はじめに


第1章 日本の農業をめぐる課題と対策

農地面積、農従者人口、農家戸数、やせ細る農業
工業化が農業沈滞を招き、高学歴化が後継者をなくす
耕作放棄地がもたらすクライシス
農業を成長産業へと先導するビジネスモデルを創出
6次産業化はブームに終わるのか
次世代技術を駆使する「スマート農業」
企業の参入が農業のあり方を変えた
「攻めの農業」で180度の転換をした政府
兼業で賄う儲からない農業、農協への斬り込みが始まった
次々と国が打ち出す強化策
徹底した現場主義で農業生産者の意識を変えていく


第2章 日本の農業を変えるソーラーファーム事業

太陽光発電と農業を組み合わせた「ソーラーファーム」とは
「夢の農業王国・中里農場」に広がる「ソーラーファーム」
FIT制度から広がった太陽光発電事業
原子力発電所の事故をきっかけに太陽光発電事業に
一時転用許可によってやっと開けた営農型太陽光発電
「ソーラーファーム」でどれだけ収益をあげることができるか
「半農半電」の利益を農家だけでなく地域に広く還流
優良事例として農林水産省も紹介する「ソーラーファーム」
農業の新しいかたちを提示する「ハウス養液型ソーラーファーム」
多様なつながりを育む協同体「中里農場」
一時転用許可延長の背景にあったファームドゥの役割
あらゆる農家に適応する「ソーラーファーム」のしくみ


第3章 海外へ夢を広げるファームドゥ・グループ

モンゴルの大地に広がる「ソーラーファーム」
新鮮な野菜を望んでいたウランバートルの人々
モンゴル農業の厳しさと二酸化炭素ビジネスの存在を知る
二酸化炭素削減が国際的なビジネスを生む
モンゴルでフル活動している「ソーラーファーム」
「北極星勲章」を授章


第4章 生産者と消費者をダイレクトに結ぶファームドゥの流通革命

新鮮な朝どれの野菜が満載
店舗スタッフは生産者と消費者の架け橋
価格を自分で決めるシステムが自立の意識を促す
約4000人の登録生産者は大半が中小零細農家
画期的で緻密な物流システムを構築
農協に依存しない体質に
農協は農業のために投資すべき
よいものをつくれば報われるファームドゥの産直販売システム


第5章 常に農家とともに歩んだ岩井雅之の人生哲学

農に根ざしたビジネスモデルを次々と開発
「遠いところ」に憧れた農家の三男坊
海底油田掘削の映像を見て海洋学部へ
農業資材専門店との出合いが人生を決めた
無収入の身になり行商へ
開店したとたんに問屋とメーカーの抵抗にあう
農家のデパートに千客万来
やむにやまれぬ事情で始めたファームクラブ
頼まれるままに始まった農産物の直売
農業資材専門店の危機
大企業の農業参入は失敗の連続だった
「食の駅」オープンで売上前年比220%を達成
第1号店から完成形だった「食の駅」
6次産業の強化でトータルな農業支援ビジネスを
電力事業に参入するも、いきなり挫折を味わう


第6章 日本から世界へ発信する「新しい農業のカタチ」

夢に向かって新しいこと
オランダで生産性の高さと国家的なしくみの巧みさを学ぶ
モンゴルに続き、中国とベトナムへの進出計画
期待の新事業、養魚事業
儲かる農業は新たな広がりを見せていく
「新世代太陽光発電」を開発中
パートナーとして夢と役割をシェアし共存共栄をめざす
若者に夢を
夢に挑戦、多彩なアイデアを生み出す活力
100年先、200年先の農業のために
人生哲学を込めた語録


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