**鶴蒔靖夫

2019/02/14

『いま、なぜ専門家集団薬局なのか』 前書きと目次

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いま、なぜ専門家集団薬局なのか
~薬局の新しい価値をつくるフォーラルの挑戦~


著者:鶴蒔靖夫
定価:本体1800円+税
ISBN978-4-87218-451-8
初版発行:2019年2月21日




はじめに

日本人の平均寿命は年々延び続け、最近では「人生100年時代」という言葉も聞かれるようになっている。実際、2017年の日本人の平均寿命は、男性は81.09歳、女性は87.26歳で、どちらも過去最高を更新している(厚生労働省「平成29年簡易生命表の概況」)。ちなみに平均寿命とは、その年に生まれた0歳児が平均して何歳まで生きるかを示す平均余命のことだ。健康意識の高まりや医療水準の向上により、この先も平均寿命が延び続ければ、「人生100年時代」の到来も、けっして絵空事ではない。遠からず、そういう時代がやってくるだろう。そのため政府も、人生100年時代を見据えた政策のグランドデザインを検討する「人生100年時代構想会議」を2017年9月に発足している。

人間にとって長寿は喜ばしいことではあるが、国の財政面にとってはよいとばかりは言えない。高齢化の進展にともなって、国民医療費はふくれあがる一方だからだ。厚生労働省によると、2017年度の概算医療費は42兆2000億円であり、前年度に比べて9000億円の増加となっている(厚生労働省「平成29年度 医療費の動向」)。概算医療費は、労災や全額自己負担の治療費は含まれず、医療機関などでの治療に要した費用全体の推計値である国民医療費の98%に相当するという。つまり、2017年度の国民医療費は43兆円前後となる見通しで、これもまた過去最高を更新することになる。

国はこれまで、国民医療費を削減するために、さまざまな制度改革を進めてきた。診察は医師が行い、調剤は薬局の薬剤師がするという、「医薬分業」もそのひとつだ。それまでは診察を受けた病院や診療所の窓口で薬をもらう院内処方が普通だったが、医薬分業により、医師の書いた処方箋をもとに、薬局の薬剤師が専門性を発揮して、患者が服用する薬について一元的な薬学的管理を行う院外処方にすることで、多剤・重複投薬を防止し、残薬も解消でき、その結果、患者に対する薬物療法の安全性と有効性が向上し、医療費の適正化にもつながるはずだった。

日本の医薬分業元年は、診療報酬改定により処方箋料がそれまでの6点から50点にまで引き上げられた1974年と言われている。それから40年余りの歳月が流れ、いまでは病院や診療所の門前はもとより、街のあちらこちらに「薬局」の看板が見られるようになっている。全国の薬局数は2017年度末時点で5万9138店(厚生労働省「平成29年度衛生行政報告例の概況」)と、コンビニエンスストアの5万5564店(一般社団法人 日本フランチャイズチェーン協会「JFAコンビニエンスストア統計調査月報 2018年10月度」)を上まわり、医薬分業率も72.8%にまでのぼっている(公益社団法人 日本薬剤師会「処方箋受取率の推計 全保険(社保+国保+後期高齢者) 平成29年度 調剤分」)

しかし患者にとっては、院内処方から院外処方に切り替わったことで、かえって二度手間になり、そのメリットが実感できないというのが、多くの国民の本音ではないだろうか。しかも、院内処方に比べて調剤報酬が割高となるため、必ずしも医療費削減に結びついていない。

調剤業務による薬局の収入は薬剤料と技術料(調剤報酬点数)からなるが、国が多額の税金を投入しているにもかかわらず、薬局は国が求める本来の機能を果たしてはいないのではないかという批判も少なくない。とりわけ大手薬局チェーンに対する風当たりは強くなってきている。自社の収益拡大に走るあまり、国が求める薬剤の適正使用や医療費の削減には貢献していないのではないかというわけだ。

薬剤師が、医師の処方箋どおりに正確かつ迅速に調剤し、適切な説明とともに患者に薬を手渡す。これだけで薬局としての職務を果たしているといった認識が、かつてはまかり通っていたのかもしれない。だが、それでは薬剤師が専門性を発揮することにはならない。

団塊の世代が75歳以上となる2025年には、国民医療費は47兆8000億円、2040年には66兆7000億円に達するとの試算結果もあり(内閣官房・内閣府・財務省・厚生労働省「2040年を見据えた社会保障の将来見通し(議論の素材)―概要―」)、医療費の抑制は待ったなしの状況になっている。そのため国は、国民医療費の増大を抑え、社会保障に関する体制を整えるべく、在宅医療を推進するとともに、2025年までに「地域包括ケアシステム」の構築をめざしている。

それら一連の施策のなかで大きな役割を果たすと期待され、重要性を増してきたのが薬局だ。厚生労働省は2015年に「患者のための薬局ビジョン」を策定し、「かかりつけ薬剤師・薬局」の機能に加え、地域住民の健康維持および増進に貢献する薬局を「健康サポート薬局」と位置づけて、将来における薬局のあるべき姿や機能を示している。

そうした国の施策を先取りするかのように、独自の手法で新しい薬局のあるべき姿を実践しているのが、本書で紹介する株式会社フォーラル(本社:東京都江東区)である。

現在は1都3県に薬局20店舗(2019年1月現在)を展開しているフォーラルの特徴のひとつが、薬剤師と管理栄養士という国家資格の有資格者で構成された「専門家集団薬局」である点だ。従業員202名のうち112名が薬剤師、76名が管理栄養士であり(2018年4月現在)、管理栄養士の在籍数ではわが国有数である。

通常、薬局のスタッフは薬剤師と医療事務で構成されるが、フォーラルでは、薬剤師とともにメディカルパートナーとして各店舗に配置された管理栄養士が医療事務をも担うようにしている。

「薬剤師のほかに、食事や栄養の専門家である管理栄養士が在籍することで、調剤するだけでなく、地域のみなさまの健康をサポートするための拠点としても薬局が機能できます。各店舗は、薬剤師と管理栄養士が連携して無料栄養相談や各種セミナーを開催するなど、健康に関する情報を積極的に提供することで地域社会に貢献し、薬局の新しい価値をつくっていきたいという想いで活動しています」

と、フォーラル代表取締役社長の松村達氏は語る。

医薬分業が進んだいまでは、薬局とは処方箋を持った患者だけが利用するところと一般的に思われているのではないだろうか。しかし、フォーラルが実践するように、薬局に管理栄養士が在籍し、食事や栄養、運動などの情報提供を通じて予防医療の拠点として機能するようになれば、処方箋を持たない地域住民も訪れるようになり、地域の健康維持や増進に貢献できるばかりか、医療費の削減にもつながるはずだ。

また、フォーラルでは、「地域包括ケアシステム」の一環として、全店舗で在宅医療に取り組んでおり、薬剤師と管理栄養士が地域の医療・介護チームと連携して、居宅や高齢者施設などを訪問する。輸液などの無菌調剤が可能なクリーンベンチも、在宅医療が中心の3店舗を含めた4店舗で完備している。

薬局運営にあたりフォーラルが全店舗共通のコンセプトとして掲げているのは、「地域の人々が応援したくなる人と薬局」だ。ただし、なにをすることで地域の人に応援したいと思ってもらえる薬局になるかについては社員の自主性や独自性を尊重し、店舗ごとにスタッフが意見を出しあい、自分たちで考えるようにしている。

地域の人々に「あなたがいるから、この薬局に来た」と言ってもらえるようになるためには、「専門性」だけでなく「人間性」が高いことも大切な要素になってくる。やさしさや思いやり、つまり「仁」の心が必要であり、社員の採用にあたっても、その点を重視していると松村氏は言う。

その一方で、自信を持って積極的に地域のために貢献できる人材を育成するために、教育にも力を注ぐ。社員個々の専門性を高め、付加価値をつけるために、自社講師陣によるシステム化された教育研修制度を構築している。

「当社では、仕事の目的は『他者貢献』であり、売上や利益は人々に喜んでいただいた結果であるという考え方を徹底し、社員全員がこの共通認識のもとに行動しています」

と、松村氏は語る。専門家集団による地域貢献活動や充実した研修制度もさることながら、こうした共通の価値観こそがフォーラルの最大の特徴であり、強みと言っていいだろう。

「当社は、社員一人ひとりが『地域のみなさんのために、なにができるか』『どうすれば喜んでいただけるか』を考えながら、さまざまな活動をしています。そうした社員の熱き想いや活動で成り立っている会社なのです」

と言う松村氏の言葉を受けて、本書を執筆するにあたっては十数名の幹部社員にもインタビューを行い、「他者貢献」へのそれぞれの想いを語ってもらった。

本書は、薬局業界の現状と課題を浮き彫りにしつつ、地域社会に健康情報を積極的に提供する「専門家集団薬局」という新しいスタイルの薬局として注目されるフォーラルの活動を現場の声を交えながら紹介するとともに、同社の経営理念と医療哲学に迫るものである。現在、医療や介護に携わっている人はもとより、これから薬剤師や管理栄養士として薬局業界をめざそうとする人にとっても、「他者貢献」を実践するフォーラルの姿勢から学びとれることは多いはずだ。

超高齢社会に突入した日本では、地域医療のあり方と、そのなかで薬局が果たすべき役割が、あらためて問われようとしている。健康長寿社会の実現に向けて、薬局本来の役割を見つめなおし、地域医療のあり方を考えるうえで、本書がなんらかの指針となれば幸いである。

なお、本文中の敬称は略させていただいたことを、あらかじめお断りしておく。


2019年1月  鶴蒔靖夫




はじめに


第1章 超高齢社会における薬局と薬剤師の役割

高齢化の進展でふくらみ続ける国民医療費
薬剤師が医師に薬を奪われていた時代
医薬分業の促進により「薬漬け医療」を回避
国の庇護のもと増大する薬局への厳しい視線
医薬分業の本来の目的に立ち返る
大手門前薬局チェーンに厳しい調剤報酬の改定
「地域包括ケアシステム」で期待される薬局の役割
薬局業務は「対物」から「対人」へ
「箱出し調剤」で調剤業務の簡素化を


第2章 新時代の薬局モデル「専門家集団薬局」

有資格者で構成された専門家集団薬局
「他者貢献」が全社員の共通認識に
地域の人々が応援したくなる人と薬局
フォーラル流「かかりつけ薬剤師・薬局」の職能を発揮
「地域包括ケアシステム」のなかで全店舗が在宅医療に対応
地域のなかで多職種連携によるチーム医療を実践
薬の専門家として「看取り」まで責任を持つ
現場最優先で独自色を打ち出した店舗運営


第3章 地域の人々の健康をサポートする専門家集団

全店舗で管理栄養士による無料栄養相談を実施
薬剤師と管理栄養士の比率は6対4
薬剤師と管理栄養士の強固な連携体制
薬局以外でも予防に重点をおいた指導を実施
約80種のコンテンツが用意された「地域アウトリーチセミナー」
喜びや感謝の言葉が報酬
行政と連携した健康イベントの開催も
学会発表を通して薬局の活動成果を外部に発信


第4章 専門家として、人として成長するための教育研修

社員一人ひとりの「なりたい自分」を応援
「専門性」と「人間性」の両面を高める教育体制
基礎研修からマネジャー育成までのキャリアプラン
専門職能に磨きをかける多彩な勉強会
それぞれが強みをつくり、チームで地域に貢献
社内学術大会「フォーラルフォーラム」
欧米の薬局事情を肌で感じとる海外研修
「指さし英会話」を取り入れた外国人対応
社会貢献の一環として外部にも研修ノウハウを提供
経営者として社員に望むこと


第5章 フォーラルの経営理念とビジネス哲学

薬局の3代目として生まれて
3人の恩師と3人の顧問
創業50周年を機に社名変更し、新たなスタートを切る
「善悪」は「損得」に優先する
社員の熱い「想い」が強みになる
オンリーワン、ナンバーワンの存在に
自分のやりたいことがやれる企業風土
役職についても基本的に「手挙げ制」
女性社員が80%以上を占める職場環境
「FORALL WAY《フォーラルらしさ》」とはなにか
全員が「さん」づけで呼ぶフラットな関係


第6章 フォーラルが描く薬局の未来

「専門家集団薬局モデル」のさらなる普及に向けて
効率化への取り組み
いまこそ薬局が変わるチャンス
人と人とのふれあいで成り立つ薬局の価値
生き残る薬局、淘汰される薬局
駅前立地による出店を進める一方でスリム化も
「連携」をテーマにさらなる進化をめざして

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2019/01/24

『「再エネ農業」で所得倍増!』 前書きと目次

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「再エネ農業」で所得倍増!
~電気と野菜を同時につくるソーラーファーム(R)


著者:鶴蒔靖夫
定価:本体1800円+税
ISBN978-4-87218-450-1
初版発行:2019年1月23日




はじめに


 はじめに

農業のことを語ろうとすると、最近では明るさよりも、困難な現状のほうがどうしても浮かびあがってくる。農業従事者の高齢化や後継者不足が深刻化し、衰退傾向は隠しようもない。食料自給率も38%と低いままである(2017年度、カロリーベース概算値。農林水産省「平成29年度 食料自給率・食料自給力指標について」)

そんななかでも、数年前から若者のあいだに、新たな動きが芽生えつつあることを感じる。先日も、若者の意識の変化を感じさせる内容の新聞記事を見た。果樹農家を営む祖父が高齢のため廃業を決意したときに、大学を卒業した孫が後継者として名乗りをあげたというエピソードである。

その農家は、高齢のため畑仕事が厳しくなってきていた。しかし息子は公務員をしており、後を継ぐ状況にはまったくない。そのため「自分の代で農業は終わり」と決意し、畑の梨の木を伐採しようとチェーンソーを持ち出した。そのときに、就職活動中だった孫が「自分が継ぐ」と申し出たという。

これは7年前の出来事で、いまは90歳を超えた祖父が、30代になった孫の監督役として、元気に孫と一緒に栽培に精を出しており、そんなふたりを公務員の息子(孫の父親)も側面から応援しているそうだ。

小さな記事ではあったが、「農業を守る」といった使命感などではなく、「モノづくりが好きだから」という普通の気持ちで農業に向きあう若者が出てきたことに、私はひさしぶりに爽やかなものを感じた。

未来を開くのは、やはり若者たちである。政府は数年前から矢継ぎ早にこれまでのタブーを破るような農業政策を打ち出しているが、それらも、農業を魅力のあるものにすることで若者の参入を促すことを目的としている。

自立した農業、消費者と直接つながる農業、社会の変革に貢献する農業―、そうした環境が整えられたなら、若者たちも農業に目を向けていくのではないか。そんな「新しい農業を創造するためのプロジェクト」が、官民をあげてさまざまな手法で行われ始めている。

そのなかでも群を抜いた実績を残しているのが、群馬県前橋市に拠点をおいて活動しているファームドゥ・グループである。同グループは、農産物の流通を手がけるファームドゥ株式会社、太陽光発電と農業を組み合わせた新しいビジネスモデルを提案するファームランド株式会社、農業に従事する若手人材の育成を目的とする農地所有適格法人 有限会社ファームクラブで形成されている。

グループ代表の岩井雅之氏は、農家の三男に生まれ、生産者の生の声をくみとりながら徹底した農家視点で独自のしくみを創出した。活動の根底にあるのは、「農家の所得を上げること」「農業を儲かる産業に転換させること」という果敢なベンチャー精神である。

「若者にとって魅力がある農業とは、儲かる農業であるということ。ビジネスとして成り立つこと」

と明快な方向性を打ち出し、「農業には夢があり、おもしろい」とアピールする様子には、いささかの迷いもない。その夢を実現させるために独自のしくみを構築し、農家の収入向上のために力を注ぎ続けてきた。

しくみのひとつは、生産者と消費者を直接結びつける、独自の流通システムである。ファームドゥでは、地元の群馬県を中心に、埼玉県、千葉県などで農産物と特産加工品の直売所「食の駅」を12店舗運営し、東京都内や横浜市をはじめとする都市部では小型の農産物直売所「地産マルシェ」を19店舗展開している(2018年11月現在)。産地で収穫された農産物は、ファームドゥが構築した物流システムにより、収穫後24時間以内にこれらの店舗の店頭に並ぶ。

これらの店舗では、販売される農産物の価格は生産者自身がつけており、どの店舗にどれくらいの農産物を出荷するかも生産者自身が決めている。また、規格外となった農産物も売ることができ、余った野菜は加工して販売することも可能だ。この直売方式により、農家の所得は従来の2倍にもできる。

もうひとつのしくみは、壮大な実験とも言える、太陽光発電事業と農業を合体させた「ソーラーファーム(R)」である。農地に太陽光パネルを設置し、その太陽光パネルの下で農産物を栽培することで、農家は農産物の販売収益に加えて売電による収益も得られ、ここでも所得は2倍となる。

つまり、農業の6次産業化と太陽光発電により、農家や地域の収入を4倍にすることができるのだ。

詳しくは本文に譲るが、この「半農半電」のシステムで特許を取得した岩井氏は、「ソーラーファーム(R)」のビジネスには「エネルギー」「農」「環境」という3つの重要なキーワードが含まれていることの意義を何度も語った。二酸化炭素の削減にも効果があり、地球環境とも密接に関連する「ソーラーファーム(R)」が、農業における画期的なビジネスモデルとして世界に普及することも、けっして遠い夢ではないだろう。この「ソーラーファーム(R)」は現在、国内で42カ所(2018年11月現在)が稼働しているほか、国外にも進出し、モンゴルでも稼働中だ。

1994年の創業からわずか25年たらずでここまでの発展を成し遂げた岩井氏の足跡は、当然、波乱に満ちている。誰もやらないことをやることこそが人生の醍醐味であるとして、わざわざ険しい道を選んで進んできた。「失敗を恐れるな、そこから大事なことを学べばいい」との心意気で、何度も挫折を味わいながらも、そのたびに前より大きくなって再生する岩井氏に、私は事業者としての非凡な才能と実力を感じた。

しかし、私が岩井氏に最も信頼感を覚えたのは、狭い農地で丹精込めて農産物を栽培し続け、農協の規格からもはずれてしまうような山間の中小零細農家に向ける、配慮に満ちた温かな眼差しにである。岩井氏が生み出した「革命的」とすら呼ばれるさまざまなしくみも、そうした中小零細農家を助けたいという思いが、そもそもの発端になっている。農業を営む人への敬意と共感が時代を動かすビジネスモデルをつくりあげ、それが多くの人を巻き込んで、ファームドゥ・グループは着実に成長を続けているのだ。

精緻に組み立てられたしくみの中身や岩井氏のパーソナリティに関しては本文に詳述したので、ぜひ読んでいただきたい。そこからは、官にはできないことに挑む民間企業のあり方など、さまざまなヒントが得られるはずだ。また、農業に関わる人はもちろん、農業をめざす若者、そして多くの一般読者にとっても、本書は貴重な指南の書となるだろう。

なお、本文中の敬称は略させていただいたことを、あらかじめお断りしておく。


2018年12月  鶴蒔靖夫




はじめに


第1章 日本の農業をめぐる課題と対策

農地面積、農従者人口、農家戸数、やせ細る農業
工業化が農業沈滞を招き、高学歴化が後継者をなくす
耕作放棄地がもたらすクライシス
農業を成長産業へと先導するビジネスモデルを創出
6次産業化はブームに終わるのか
次世代技術を駆使する「スマート農業」
企業の参入が農業のあり方を変えた
「攻めの農業」で180度の転換をした政府
兼業で賄う儲からない農業、農協への斬り込みが始まった
次々と国が打ち出す強化策
徹底した現場主義で農業生産者の意識を変えていく


第2章 日本の農業を変えるソーラーファーム事業

太陽光発電と農業を組み合わせた「ソーラーファーム」とは
「夢の農業王国・中里農場」に広がる「ソーラーファーム」
FIT制度から広がった太陽光発電事業
原子力発電所の事故をきっかけに太陽光発電事業に
一時転用許可によってやっと開けた営農型太陽光発電
「ソーラーファーム」でどれだけ収益をあげることができるか
「半農半電」の利益を農家だけでなく地域に広く還流
優良事例として農林水産省も紹介する「ソーラーファーム」
農業の新しいかたちを提示する「ハウス養液型ソーラーファーム」
多様なつながりを育む協同体「中里農場」
一時転用許可延長の背景にあったファームドゥの役割
あらゆる農家に適応する「ソーラーファーム」のしくみ


第3章 海外へ夢を広げるファームドゥ・グループ

モンゴルの大地に広がる「ソーラーファーム」
新鮮な野菜を望んでいたウランバートルの人々
モンゴル農業の厳しさと二酸化炭素ビジネスの存在を知る
二酸化炭素削減が国際的なビジネスを生む
モンゴルでフル活動している「ソーラーファーム」
「北極星勲章」を授章


第4章 生産者と消費者をダイレクトに結ぶファームドゥの流通革命

新鮮な朝どれの野菜が満載
店舗スタッフは生産者と消費者の架け橋
価格を自分で決めるシステムが自立の意識を促す
約4000人の登録生産者は大半が中小零細農家
画期的で緻密な物流システムを構築
農協に依存しない体質に
農協は農業のために投資すべき
よいものをつくれば報われるファームドゥの産直販売システム


第5章 常に農家とともに歩んだ岩井雅之の人生哲学

農に根ざしたビジネスモデルを次々と開発
「遠いところ」に憧れた農家の三男坊
海底油田掘削の映像を見て海洋学部へ
農業資材専門店との出合いが人生を決めた
無収入の身になり行商へ
開店したとたんに問屋とメーカーの抵抗にあう
農家のデパートに千客万来
やむにやまれぬ事情で始めたファームクラブ
頼まれるままに始まった農産物の直売
農業資材専門店の危機
大企業の農業参入は失敗の連続だった
「食の駅」オープンで売上前年比220%を達成
第1号店から完成形だった「食の駅」
6次産業の強化でトータルな農業支援ビジネスを
電力事業に参入するも、いきなり挫折を味わう


第6章 日本から世界へ発信する「新しい農業のカタチ」

夢に向かって新しいこと
オランダで生産性の高さと国家的なしくみの巧みさを学ぶ
モンゴルに続き、中国とベトナムへの進出計画
期待の新事業、養魚事業
儲かる農業は新たな広がりを見せていく
「新世代太陽光発電」を開発中
パートナーとして夢と役割をシェアし共存共栄をめざす
若者に夢を
夢に挑戦、多彩なアイデアを生み出す活力
100年先、200年先の農業のために
人生哲学を込めた語録


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2018/12/04

『洋館家グループの挑戦』 前書きと目次

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洋館家グループの挑戦
~住宅業界の常識を変える三次元ネットワーク~


著者:鶴蒔靖夫
定価:本体1800円+税
ISBN978-4-87218-449-5
初版発行:2018年12月7日




はじめに

よく「マイホームを買って、一国一城の主になってこそ一人前」などと言われるが、本当にそうだろうか。「一生でいちばん高い買い物」であるマイホームを購入することは、喜ばしいことであると同時に、大きな不安を抱える状況に自分や家族を追い込むことにもつながる。長期にわたるローンの返済に追われるだけでなく、地震や火災などによる被害や資産価値の下落の可能性など、多くのリスクを背負うことになるからだ。

生活の基盤である「衣食住」のなかでも、生活費におけるウエイトが最も大きいのは「住」だろう。住宅費の平均的な割合としては、ひとり暮らしでアパートを借りている若者なら給与の約3分の1程度を家賃に、ローンを組んでマイホームを購入した人なら収入の2割ほどを返済にあてる、といったところだろうか。

「衣」と「食」は、その日の気分でいかようにもできるが、「住」は、そうはいかない。買うにせよ、借りるにせよ、住まいを変えるには、多額の費用と手間暇を要する。だからこそ、住まい選びに関しては慎重にならざるをえない。

いま、日本の住宅市場は、転換期にさしかかろうとしている。戦後70年にわたり増加する一方だった住宅戸数が、ここにきて減少に転じているのだ。

国土交通省の発表によると、2017年度の新設住宅着工戸数は前年度比2.8%減の94万6396戸となっている(国土交通省「建築着工統計調査報告 平成29年度計」)。また、野村総合研究所では、2030年度には新設住宅着工戸数が、持ち家20万戸、分譲住宅14万戸、貸家26万戸の、合計60万戸にまで減少すると予測している(野村総合研究所ニュースリリース「2030年度の新設住宅着工戸数は60万戸、大工の人数は21万人に減少」2018年6月13日)

今後は日本の総人口や総世帯数の減少が進むと見込まれている以上、新設住宅着工戸数が減っていくのも当然だが、問題は、それだけにとどまらない。空き家の急激な増加が、日本各地で深刻な問題となっているのだ。2013年の時点では、総住宅数6062万9000戸のうちの13.5%にあたる819万6000戸が空き家だった(総務省統計局「平成25年住宅・土地統計調査(確報集計)結果の概要」)。その数は今後も増加の一途をたどり、2033年には総住宅数の27.3%にあたる約1955万戸にまでふくらむと、野村総合研究所では予測している(野村総合研究所「2018年度版 2030年の住宅市場と課題」)

こうした状況を踏まえて「住宅産業は斜陽化している」と言い切るのは、本書で紹介する株式会社洋館家本店(本社:栃木県鹿沼市)を中心とする洋館家グループの、グループ統括最高責任者兼代表取締役である福田功氏だ。

「終戦後、政府は復興を図るための経済政策の柱として、産業の工業化を推進しました。そのため、多くの労働者が大都市に集まり、その結果、住宅不足が生じました。そこで、民間業者はもとより、地方自治体や公共機関までもが、競うようにして住宅を提供したのです。それは、まさに住宅市場における『量の時代』でした。この傾向がバブル経済の崩壊後も続いたため、現在の住宅供給過多を招くことになったのです」

と、福田氏は日本の住宅市場の現状を分析する。

しかし、時代は変わり始めている。日本の総人口の減少を背景に、住宅の需給バランスに変化が現れるにつれ、住宅に対する国民の意識も大きく変容し、「理想は持ち家の取得」としつつも、住宅ローンの負担や、就労や勤務の状況、家族の暮らしなどを考慮し、賃貸住宅を志向する層が増え始めているのだ。

また、経済のグローバル化の進展により、勤労者の行動範囲は広がっている。東京で勤めていた人が大阪や北海道に転勤するなどというのは珍しくないし、海外に転勤するケースも増えてきている。外務省の統計によれば、2017年10月1日時点での長期滞在者数(海外に3カ月以上滞在しているが、その後は日本に戻る予定の日本人の数)は86万7820人となっており、これは34万929人だった1989年の海外長期滞在者数の約2.5倍にあたる(外務省「海外在留邦人数調査統計 平成30年要約版」)

日本の住宅の価格は、世界の水準に比べて高い。そのうえ、たとえば転勤が決まったので、家を売って家族全員で新しい赴任先に引っ越そうと思っても、売却価格がローンの残債金額に届かず、ローンを精算することができないというケースも少なくない。それならばと、転勤が終わるまでのあいだ、持ち家を賃貸に出そうと思っても、すぐに入居者が見つかるとは限らないし、運よく借り手が見つかったとしても、住宅の維持費や税金がかかるうえ、賃貸による収入は月々のローンの支払いで消えてしまうというのが実情だ。

「持ち家に住んでいる人が地方や海外に赴任することになった場合、たいていの人は家族を残して単身赴任せざるをえないのが現状でしょう。しかし、住んでいるのが賃貸住宅なら、そこを引き払って家族一緒に赴任先へと引っ越すことも気軽にできるはずです」

と、賃貸住宅で暮らすメリットを説く福田氏は、「借りるマイホーム」とも言える高品質で低価格の戸建賃貸住宅を、自身が率いる洋館家グループで提案する。

洋館家グループでは、他社が建てる品質が同等の住宅と比べて、イニシャルコスト30%減を実現している。それを可能にしたのは、福田氏が独自に生み出した「三次元ネットワーク」というシステムである。このネットワークは、住宅の建築と販売に関わる4つの企業群によって構成される。中核となる「洋館家本店」が商品開発や施工技術の指導をし、関連会社の「株式会社未来の住まい館」が資材を一括購入する。そして、その資材の供給を受けたグループ会員の「施工店」が施工し、それを同じくグループ会員である「販売専門店」、すなわち不動産業者が販売するというしくみである。

グループの中核企業である洋館家本店を福田氏が設立したのは2005年のことだ。それ以前に、30年以上にわたり不動産業を営んでいた福田氏は、2つの問題を解決しなければならないという強い想いを常に抱き続けていたという。その問題とは、ひとつは「日本の住宅の価格は高すぎる」ということ、そしてもうひとつは、日本の木造住宅は償却期間が25年と、欧米諸国の住宅に比べて短いことから、「住宅が資産としての価値を持たない」ということだ。この2つの問題を解決する手段として福田氏が考え出したのが、「三次元ネットワーク」というビジネスモデルなのである。

現在、洋館家グループの「三次元ネットワーク」には、全国で1666社が加盟している(2018年8月時点)。高品質かつ低価格の戸建賃貸住宅「セント・マリアージュ」、個人向けデザイナーズ規格住宅「シェリー・メイゾン」のほか、高齢者向け平屋住宅「和(なごみ)」を手がけ、これまでに合計で2700棟を建築してきた。

「できるだけ早く会員企業を2000社に増やし、2020年までに年間1000棟、2030年までに年間4000棟体制にしたいと考えています」

と、福田氏は抱負を語る。

現在、洋館家グループが特に力を注いでいるのが「ZEH(ゼロ・エネルギー・ハウス)仕様の戸建賃貸住宅」である。ZEHとは、創エネルギーと消費エネルギーの差をゼロあるいはそれ以下にするシステムを有する住宅のことだ。このZEHについては、経済産業省や国土交通省、環境省も連携し、国をあげて推進に取り組んでいる。

「資源の乏しい日本の将来における住宅は、これ以外に考えられません」

と、福田氏も言う。

本書は、「世界一高い」と言われる日本の住宅産業の改革を図り、住宅に対する消費者の意識を大きく変えるためのさまざまな試みを行っている洋館家グループの事業活動を紹介するとともに、「三次元ネットワーク」という独自のビジネスモデルを生み出したグループ統括最高責任者兼代表取締役・福田功氏の今日までの歩みをたどりつつ、その経営理念と住宅哲学に迫るものである。これは、住宅産業に携わっている人のみならず、快適で自由な暮らしを望む多くの一般読者にとっても、貴重な指針の書になるだろう。

なお、本文中の敬称は略させていただいたことを、あらかじめお断りしておく。


2018年11月  鶴蒔靖夫




はじめに


第1章 「質の時代」を迎えて変化する住まい選び

「量」が求められた戦後の住宅政策
いまや全国で約820万戸、増加し続ける空き家問題
大都市中心に供給過剰が続く住宅市場
住宅市場は「量の時代」から「質の時代」へ
「持ち家か、賃貸か」は永遠のテーマ
若年層を中心に増える積極的な賃貸志向
住宅ローンは過去のモデル
洋館家グループが提唱する「借りるマイホーム」という新概念


第2章 住まいづくりの常識を変える洋館家グループ

高品質かつ低価格の住宅づくりを実現した洋館家グループ
住まいのフレキシビリティが求められる
高すぎる日本の住宅市場の改革に挑む
住宅業界初の全国統一価格を実現
資材の一括購入で30%のコスト削減に成功
戸建賃貸から実需向け規格住宅や高齢者住宅まで
オーナーと入居者の双方に訴求する戸建賃貸住宅
それぞれの得意分野を活かす「三次元ネットワーク」


第3章 全国へ広がる洋館家グループの「三次元ネットワーク」

「三次元ネットワーク」で消費者価格と地域貢献を実現
全国規模のネットワークはいかにして生まれたか
「三次元ネットワーク」とフランチャイズの違い
受注の安定性で人件費を削減
仕事の安定供給が人件費を抑えるわけ
会員施工店の実績を伸ばすための1年更新制
大手は参入できない新しい領域を開拓
関わるすべての人にメリットをもたらすしくみ
「三次元ネットワーク」に協力する大手メーカーたち


第4章 時代の変化とオーナーの要望に応える多様な商品群

次世代仕様に進化する洋館家本店の各商品
新・戸建賃貸住宅「St.Mariage ~セント・マリアージュ~」
デザイナーズ規格住宅「CHERI LA MAISON ~シェリー・メイゾン~」
高齢者向け平屋住宅「和(なごみ)」
住宅の価値を向上させる「4つの新仕様」
耐震、温熱、劣化、維持管理等で最高等級の性能評価を取得
国際水準の住宅資産価値を実現
住宅の標準機能となる「ZEH仕様」
女性や高齢者も安心して住める戸建住宅
オーナーと入居者の喜びの声


第5章 創業社長・福田功の経営理念と住宅哲学

父から受け継いだ不動産会社
再許可を受けた建設業で粉骨砕身
30億円の負債を自力で完済
病を患っていた入居者の存在が福田を動かした
大赤字だった戸建賃貸住宅第1号
顕在するものにとらわれず、いかに潜在するものを引き出すか
めざすのは「相反利益」より「共存利益」を生む社会
格差社会の住宅事情に一石を投じる
ルールのないビジネスからの脱却


第6章 洋館家グループが描く未来展望

究極の姿は「住宅の通販」
通販が可能にする営業コストの大幅削減
モデルハウスの維持管理コストを削減するアイデア
戸建賃貸住宅を提供するという社会貢献
投資すべきエリアを見極め、「共存利益」をめざす
賃貸経営を成功に導くオーナーへのアドバイス
地域に貢献しながら共存利益を追求
グループ会員にいかに理念を伝えていくかが課題
めざすのは、すべての勤労者が一戸建てに住める社会


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2018/11/28

『グリーン・パワー』 前書きと目次

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グリーン・パワー
~芝生の力で日本に活力を!~


著者:鶴蒔靖夫
定価:本体1800円+税
ISBN978-4-87218-448-8
初版発行:2018年12月3日




はじめに

2018年6月14日に開幕したFIFAワールドカップサッカー・ロシア大会で、日本代表は2大会ぶりに決勝トーナメント(ベスト16)に進出した。決勝トーナメントでは1回戦でベルギーに惜しくも敗れはしたものの、FIFAランキングで格上のベルギーを相手に全力でプレーする選手たちに日本中が熱い声援を送ったことは記憶に新しい。

2018年のサッカーに続き、2019年にはアジア圏で初のラグビーのワールドカップが、ラグビー文化圏外の会場である日本で開催される。そして2020年には東京オリンピック・パラリンピックが開催と、スポーツのビッグイベントが続くこともあり、日本ではいま、スポーツ振興の気運が高まっている。こうした世界規模の大会の開催に向け、各スポーツ施設の整備も急ピッチで進められている。

サッカー、ラグビー、それに2020年の東京オリンピックで追加種目となった野球などのグラウンドに欠かせないものといえば、それは芝生だ。よく手入れをされた芝生が青々と茂っているからこそ、選手は転倒時のけがなどを恐れずに激しいプレーができ、それが観客の興奮をいっそう高める。

スポーツ選手ではない一般の人にとって、芝生の上でする、より身近なスポーツといえば、ゴルフかもしれない。かくいう私もそのひとりだ。ゴルフ歴は50年以上に及び、海外のゴルフ場でも何回もプレーをしてきた。

そのうえで言うのだが、日本のゴルフ場ほど芝生が美しく整備されたところはないというのが私の実感だ。芝そのものの品質はもとより、設計、施工、メンテナンスなどにも、日本人ならではの美意識と優れた技術が隅々にまで行き届いていると感じる。

昨今はスポーツシーンでの需要が高まっている芝生だが、元来は豊かさの象徴だという。

芝は、もともとは家畜のための牧草が起源であり、家に芝生があるということは、自分はそれだけ多くの家畜を飼っている、つまり裕福であるということを表した。中世ヨーロッパでは、家畜を飼えるのは貴族や上流階級などの裕福な人たちであり、そこから芝生は「豊かさ」の象徴となっていった。

また、それだけの広さの土地を持っていることも誇示できる。そのため、中世ヨーロッパの貴族や資産家たちは、邸宅の庭に緑鮮やかな芝生を敷き詰め、優雅な暮らしを楽しんだという。

その後、芝生文化は移民とともにヨーロッパからアメリカ大陸へと渡り、庶民の憧れである「芝生付きの家」を持つことが一種のステイタスシンボルにもなった。

日本では、明治維新以降、急速に西洋文明が流入するなかで、庭園や公園に芝生が導入されるようになったが、それが社会に定着するまでにはかなりの時間を要した。日本で芝生が本格的に普及するのは、高度経済成長期以降のことだった。

1970年代になると、全国各地にゴルフ場が続々と開設され、公園や緑地、校庭、各種スポーツグラウンドへの芝生の導入が進んだ。さらに、河川や道路などの法面の保護にも利用されるようになり、芝生の需要が増大し、これにともない、日本国内での芝生の生産も拡大した。

日本における芝生の最大の生産地は茨城県で、その次が鳥取県である。鳥取県における芝の作付面積は日本全体の約15%に及び、出荷額も約21%を占める(農林水産省「平成28年花木等生産状況調査」)。これは、中国山地の最高峰であり、鳥取県のシンボルでもある大山の裾野に広がる火山灰土壌が、芝の栽培に適しているからだ。

その鳥取県の東伯町(現・琴浦町)で1963年に設立された鳥取県中部芝生生産組合を前身とし、いまや芝生ビジネス日本一の企業として異彩を放っているのが、本書で紹介する株式会社チュウブ(本社:東京都中央区、代表取締役会長:大田英二氏、代表取締役社長:小柴雅央氏)である。

芝生の生産は、ほとんどが個人農家で行われる第1次産業だ。しかしチュウブは、芝生の生産から設計、施工、販売、メンテナンス、さらには施設運営まで、芝生に関連する多様なビジネスを一貫体制で展開している。こうした展開をしている企業は、他に類をみない。

「育む」「創る」「輝かす」「営む」をキーワードに、芝生に関するすべてをワンストップで提供する次世代芝生一貫システムを、チュウブでは「ダンケターフ」と呼んでいる。その名の由来を、会長の大田氏は次のように語る。

「当社の社是である『感謝』の意を表すドイツ語の『danke』から命名しました。その『danke』に、英語で芝生を表す『turf』の頭の『tu』をつけると、『danketu(団結)』になるんですね。つまり『ダンケターフ』には、お客様への感謝という意味と、各事業部門の従業員が団結して芝生に関するあらゆるニーズに応えるという意味が込められています」

芝は、日本芝と西洋芝の2種類に大別され、現在、日本における作付面積の約93%は日本芝が占める。チュウブも、生産組合として創業した当初は「野芝」や「高麗芝」「姫高麗芝」などの日本芝を中心に少品種大量生産を行っていたが、株式会社に組織変更し、事業領域を拡大するとともに、顧客の多様な要望に応じるべく、西洋芝も含めた多品種少量生産へと切り替えていった。

「芝生の出荷先も、当初はゴルフ場の張芝工事が8割くらいを占めていましたが、法面保護や公園などの公共事業でも芝生が使われることが多くなり、さらに最近ではスポーツグラウンドや校庭緑化などもあって、芝生の用途はどんどん広がっています。それにつれて、お客様の芝生に対する要望も多様化してきています。

私がチュウブに入社した40年ほど前は、芝生の品種や規格も10種類あるかないかというところでしたが、お客様の要望に可能なかぎり応えようとしてきた結果、現在では、栽培する芝は約30種にまで増え、規格も要望に応じて変えていったので、気がついたら商品としては約250品目と、とんでもない数字になっていました(笑)。ここまで多くの商品を扱えるのは当社だけです」

50年以上にわたって芝生一筋に歩んできただけに、大田氏の言葉には確たる自信がうかがえる。

事業内容も、芝生の生産、販売、施工、メンテナンスにとどまらず、ゴルフ場や公園施設の管理、運営、建設・土木関連事業、さらにはレストランの経営、生花や黒らっきょうの生産と販売など、多岐にわたる。事業拠点もいまでは全国46カ所に及び、年間売上高77億円(連結)、従業員数650名(2017年6月時点)を数える企業にまで成長した。

また、チュウブでは独自の研究機関としてチュウブグリーン研究所を設立し、芝の品種改良、各種資材および工法の研究開発、世界の芝の調査など、新しい技術や品種の導入にも積極的に取り組んでいる。

新品種の導入として特筆すべきは、アメリカのジョージア大学で開発された、世界最高品質との呼び声も高い新品種「ティフグランド」と「ティフスポーツ」の、日本での独占生産権および中国を除く東アジアでの独占販売権を手に入れたことだ。これらは、これまでも各種の競技場でスポーツターフ(運動用地用の芝生)として使われていた「ティフトン」という品種の改良型で、大田氏いわく「あらゆる面で優位性を持つ、究極の芝」とのことだ。これらの芝の特徴については本編で詳述するが、2019年のラグビーワールドカップや、2020年の東京オリンピック・パラリンピックが追い風となって、需要が高まることは間違いなさそうだ。すでにラグビーワールドカップの試合会場のひとつである埼玉県の「熊谷ラグビー場」に、日本で初めて「ティフグランド」が採用されたほか、キャンプ地も含め、いくつもの競技場で新品種による張り替え工事が実施、または予定されているという。

芝生はニッチな市場とはいえ、生産だけでなく施工や管理などの関連ビジネスまで含めると、その市場規模は1000億円とも目されている。近年は特にグラウンドの芝生化が進み、スポーツターフの伸びが著しい。

しかしながら、芝生が日本人の生活に浸透しているとは言い難く、欧米では広く認識されている芝生文化も、日本ではまだ馴染みが薄い。

芝生は、その機能性もさることながら、鮮やかなグリーンは見た目に美しく、心に豊かさや安らぎを与えてくれるものでもあることから、芝生ビジネスの国内トップ企業であるチュウブとしては、さまざまな事業活動を通じて、芝生をひとつの文化として日本人の生活に定着させることに力を尽くしていきたいという。

本書は、グラウンド緑化や都市緑化への関心が高まるなか、芝生関連ビジネスで突出した規模を誇り、地域貢献にも力を注ぐ、チュウブの事業活動を紹介するとともに、同社会長・大田英二氏をはじめとする経営陣の理念やビジネス哲学、そして芝生への熱い思いに迫るものである。

施設や敷地への芝生導入に取り組む各種施設の経営者や運営担当者のみならず、街の緑化や自宅の庭の芝生化に関心を寄せる方々にとって、本書がなんらかの指針となれば幸いである。

なお、本文中の敬称は略させていただいたことを、あらかじめお断りしておく。


2018年10月  鶴蒔靖夫




はじめに


第1章 増大する天然芝の需要と芝生文化の広がり

中世ヨーロッパに端を発する芝生文化
日本では高度経済成長期以降に本格的に普及
ゴルフ場に代わり、スポーツターフの需要が増大
用途に応じて芝の種類を使い分ける
芝生の生育に欠かせない太陽光と排水性
注目が高まる天然芝ならではの効用
鳥取県では行政が芝の生産をバックアップ
「鳥取方式」により校庭の芝生化を促進


第2章 日本一の芝生会社「チュウブ」の実力

鳥取県で産声をあげた芝生ビジネスのパイオニア
社是に掲げる「感謝」と社会貢献への意識
芝生に関するあらゆるニーズにワンストップで対応
少品種大量生産から多品種少量生産へ
芝生産農家とともに築きあげてきた生産体制
出荷作業を代行することで生産者の負担を軽減
ゴルフ場に関連するすべてを事業化
メンテナンスの要となるグリーンキーパー
ゴルフ場運営事業に参入
周辺のゴルフ場とは共存共栄の方針
顧客目線のサービスを続々と投入
ゴルフ場から公園、宿泊施設の運営へと事業領域を拡大


第3章 先進の技術で芝グラウンドをプロデュース

スポーツターフの生産に適した天然砂丘圃場
迅速な施工が特徴のビッグロール工法
チュウブ独自のRe-SOD工法
「ティフトン」の新品種の独占権を取得
徹底した品質管理下で生産される新品種
「究極の芝」と称される「ティフグランド」
耐寒性と回復力に優れる「ティフスポーツ」
最先端の機械を導入したグラウンド改良工事を提案
全天候型スタジアムを想定した天然芝育成実験


第4章 最先端の研究・開発を行うチュウブグリーン研究所

研究・開発の中核を担う部門として研究所を設立
芝草の品種改良に取り組み、オリジナル品種を開発
「ティフトン」の新品種導入に向けた試験栽培
芝生の施肥管理のための葉身窒素測定器を開発
国際大会レベルのターフクオリティ試験
土壌、日照、病害の各調査を実施し、改善策を提案
花卉らっきょうや黒らっきょうの研究・開発も


第5章 顧客第一主義に徹し、地域経済の振興にもひと役買う

脈々と引き継がれてきた団結力とチャレンジ精神
本当の株式会社に生まれ変わるために社内改革を断行
東京支店を縮小中も関東での営業を継続
公園の指定管理を機に業績が好転
公共施設の運営で地域に密着した事業を展開
地域振興のためにも人が集まる施設運営を
顧客満足のために価格以上のサービスを提供
すべてに「感謝無限大」
現状維持は後退と同じ、常に一歩前進を
「ガイナーレ鳥取」の「Shibafull」プロジェクトをサポート


第6章 「緑の力」で日本を元気に

「GREEN ENERGY」をスローガンに
海外展開に向け着々と準備
芝生関連のスポーツビジネスが定着する可能性
暖地型ハイブリッド芝の開発も研究課題のひとつ
新商品、新事業の可能性を求めて研究開発
町おこしとして倉吉市旧市街地に複合施設を建設
社員が団結して芝生文化の普及に邁進


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2018/11/09

『明日の農業に挑戦』 前書きと目次

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明日の農業に挑戦
~高崎健康福祉大学で学ぶ農業の未来~


著者:鶴蒔靖夫
定価:本体1800円+税
ISBN978-4-87218-447-1
初版発行:2018年11月15日




はじめに

1970年代、日本は奇跡的な経済成長を見せたが、その陰で農業は弱体化していった。食料自給率は下がり、第1次産業への就労者数も目に見えて減少し、気がつけば、いまや日本の農業を支えているのは大半が高齢者で、後継者がいないという状態になっている。「食」と「農」は国民の生存そのものと直結しているだけに、事態は深刻である。

そこで政府は、2013年から「攻めの農林水産業」を旗印に掲げ、農林水産業を成長産業にするとともに、地域産業の活性化にもつなげていこうと動きだしている。日本の農山漁村が長年にわたって培ってきた潜在力を活かし、世界の食の市場に打って出ようというのである。

政府のこうした動きがどれほどの功を奏するかは不確定だが、私たちが農業に対する見方を変えるべき時期に来ていることは確かだろう。農業を単体のフレームで見るのではなく、農業を基軸に「食」「環境」「健康」を一体のものとしてトータルにとらえる必要がある。

その際に幅広い視点と新たな行動を生むきっかけを与えるのが、アカデミズムとの連携だろう。あるエコノミストは、国境を超えた地域連携とアカデミズムの連携が、農業の活力を生むキーワードだと指摘している。

こうしたなかで、群馬県高崎市にある高崎健康福祉大学(理事長兼学長・須藤賢一氏)が2019年4月に、新たに「農学部」を開設するという吉報が届いた。

高崎健康福祉大学は、「人類の健康と福祉に貢献する」ことを建学の思想に掲げて2001年に開学した4年制大学で、教育、福祉、健康に関する分野の4学部7学科と大学院で編成されている。その特徴は「人を支えるスペシャリスト」を育成していることで、小学校教諭、看護師、社会福祉士、薬剤師、理学療法士、管理栄養士、保健師などをめざす多くの若者が集まってくる。国家試験合格率はどれも全国平均をはるかに超えており、2018年の合格率は、診療情報管理士、管理栄養士、看護師、保健師で100%を達成した。また、就職率も99%以上という高さを誇っている。

高崎健康福祉大学の前身である群馬女子短期大学は、須藤氏の伯母にあたる、須藤いま子氏によって創設された。生涯を女子教育に捧げたいま子氏は、人間性を豊かにし、高めていくことを、教育の最大の目的とした。それを象徴するのが、いま子氏が訴え続けた「自利利他」の精神だ。「人の喜びを自分の喜びとする」というこの教えは現理事長の須藤氏に受け継がれ、いまも学生たちを導いていく「健大精神」として位置づけられている。

須藤氏は、時代の先を読む直観力の持ち主である。伝統ある群馬女子短期大学を、形態も教育内容もまったく違う高崎健康福祉大学に変革したのも、21世紀の社会を見越しての英断だった。21世紀は誰もが健康と福祉を求める時代になるから、大学は、そのための人材を養成する役割を果たさなければならないと、考えたのである。

それ以後も学部・学科の再編など、常に攻めの姿勢で進み続けてきた須藤氏が、ここにいたって「農学部」の開設を決めたのは、時代の足音をとらえたと同時に、これまでの教育事業の集大成という意味も込められているのだろう。

農学研究科出身の須藤氏にとって、自分の手で「農学部」をつくることは、長年にわたって抱き続けてきた夢のひとつだった。衰退し続ける日本の農業を復活させ、新たな産業として日本を支える力にすること、そして、農業の魅力を発信し、農業イノベーションを創出できる人材を養成することは、いずれも喫緊の課題である。「農学部」の開設は、そうした課題の解消に向けた、大きな挑戦と言える。

須藤氏は、文部科学省に提出した「高崎健康福祉大学農学部設置の趣旨等」で、「農学部」設置の目的を次のように記している。

「本学が農学部を設置して、人間の健康に最も関わりあいが深く、かつ人類の生存に不可欠である安心・安全な食料の生産、その加工や保存技術、および流通などに関わる人材の育成、およびその研究開発を行うことは、本学の建学の理念にもとづく教育研究のさらなる展開となる」

学科には「生命科学」「作物園芸システム」「フードサイエンス」「アグリビジネス」の4つのコースを準備し、生命のしくみの理解から、種蒔き、収穫、農産物の加工、販売、経営戦略にいたるまでを包括的かつ先進的に組み込んだ。そのカリキュラムを詳細に見ていくと、いままでにない農学部をつくるという須藤氏の強い意欲が見てとれる。ICTの先端技術を活用し新たな農業を創出することを目標にしており、それを成すために、学部長には農業イノベーションの重鎮である東京大学名誉教授の大政謙次氏を招聘した。

「農業の魅力を高める人材の養成と、新たな農学を発信する研究開発を、クルマの両輪として動かしていく」

と、須藤氏は抱負を語る。

農学部設置となった高崎健康福祉大学が理想とするのは、これまでの国家資格取得の実学分野と、社会の変革につながる研究開発分野の、高いレベルでの一体化である。それが高崎健康福祉大学のブランドとなり、「なくてはならぬ大学」としての永続性をもつことにつながるだろう。

さらに、高崎健康福祉大学農学部は、群馬県初の農学部として、地元の農業関係者から寄せられる期待も大きい。

本書は、群馬県内のみならず、日本全国の農業従業者や農業関連事業者の要望に応えて開設された高崎健康福祉大学農学部がめざす、農学教育および研究への取り組みを詳しく紹介するとともに、これからの農学教育のあるべき姿を示すものである。これは、農学を志し、将来の日本の農業を担うことに情熱を燃やす若い世代はもとより、現在、農業の近代化や企業化に取り組んでいる経営者や農業従事者、さらには日本の「食」と「農」に関心を寄せる多くの一般読者にとっても、貴重な指南の書となることだろう。

なお、本文中の敬称は略させていただいたことを、あらかじめお断りしておく。


2018年10月  鶴蒔靖夫




はじめに


第1章 日本の農業を取り巻く現状

新しい農業のあり方は全人類の普遍的なテーマ
日本の農業が抱えるさまざまな課題
「攻めの農業」への大転換
注目と期待の6次産業化
次代を切り開く切り札「スマート農業」
耕作放棄地がもたらす問題
企業参入による大きな変化
チャレンジする人を後押しする「農業次世代人材投資資金」
農業に注目する若者たち
流通面でも抜本的改革を
減反廃止で米はどう変わるか
農学部は将来に必要な学部


第2章 新時代の農学部が誕生

「農学部」という名称にこだわる
長年の夢だった「農学部」設置
農業の多様性を体現する4つの専門コース
農学は時代の潮流をつくる学問へ
古代文明から始まる農学は総合科学として発展
地域と地球をつなげるグローカルな視点をもつ
群馬県の農産物のブランド力を上げることがミッション
群馬産農産物のブランド化をめざす
大学と行政が連携し、魅力ある地域をともにめざす
農業イノベーションの創出をめざす、まったく新しい「農学部」
アグリビジネスで新時代の農業ビジネスを創出
地域や他学部との連携で得られる幅広い視野
他学部、地域、幼稚園との連携で多様な研究が可能に
すでに28もの組織からインターンシップの受け入れを了承
研究機関としての存在感を発揮する


第3章 日本人の心性をつくった「農」の歴史

狩猟文化からとつぜん農耕文化に進んだ日本
江戸時代の新田開発がもたらした光と影
農具の発達が国家レベルの大工事も完成させた
米からパンへの素早い転換、そして米余りに
いま見直される里山の役割
教育も一貫している農業先進国オランダ
農業と教育、福祉の連携


第4章 健康、福祉、地域に貢献する高崎健康福祉大学

就職率99%以上を誇るスペシャリスト養成大学
創設者・須藤いま子から受け継ぐ人間教育の魂
「自利利他」の精神からすべてが始まる
人間としての土台を築くための共通教養科目
少人数制と多彩な教授陣できめ細かな指導を行う
あらゆる悩みを受けとめる「アドバイザー制」
キャリアサポート体制も充実
世界の現場を体験し国際的な視野を持つ
地域に貢献し地域創生の拠点に
大学内にある「訪問看護ステーション」
研究と教育の場を地域に開放


第5章 大学の未来、農業の未来

私立大学淘汰時代の幕開け
時代を先取りし、時代の追い風を受けた15年
創設者・須藤いま子への尊敬と葛藤が鍛えた経営者としての闘魂
スポーツの伝統がオリンピック金メダリストを生む
附属幼稚園、高校との連携が生む健大ファミリー
農業の海外戦略に向けて
日本式農業のノウハウを海外に伝える若者の拠点に
農業が本質的に持つ成長性
大学の永続性に不可欠なブランド化
いままでにない「農学部」が21世紀型の研究者を生み、世界をリードする


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2018/09/10

『初めて家を持つ人を応援する』 前書きと目次

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初めて家を持つ人を応援する
~住まいの“ぜんぶ”を引き受ける「リビングライフ」のオンリーワン戦略~


著者:鶴蒔靖夫
定価:本体1800円+税
ISBN978-4-87218-372-6
初版発行:2012年8月5日




はじめに

国際競争力を失い、弱体化が進む経済。そこに襲った東日本大震災。まさに“泣き面にハチ”という状況の日本だが、荒廃した地からも新しい芽は伸びはじめる。

特に昨年の大震災は、多くの日本人に、新たな気づきをうながしたようだ。それは、幸福はどこに根ざしているのか、という人が生きていくうえでもっとも基本的な、そして、もっとも重要な問いかけだった。

津波で家を流された人、原発事故の影響でわが家から離れざるを得なくなった人、そうした人々の、わが家に対する深い思いをテレビ映像などで見聞きしながら、住まいは人生の場そのものであり、幸福の基本であると感じると同時に、家族とともに生きていくわが家をもっと大事に考えようと、多くの人々が改めてわが家の持つ大きな意味を認識したのである。

それを象徴しているのが、最近の住宅業界の動きではないか。不動産経済研究所の調べによれば、平成二十四(二〇一二)年一月の実績で、首都圏の建売住宅は対前年同月比で一四・二%増、マンションは同じく対前年同月比三二・六%増と、震災前の需要を大きく上回る活況ぶりを示している。

震災後、大きく沈み込んだ消費者マインドのなかで、いち早く住宅需要が元気を取り戻したことは、人々が人生の幸福は住まいからはじまることを再認識した証ということはできないだろうか。

こう考えたとき、私の脳裏にくっきり浮かんできたのが、本書の主役である株式会社リビングライフ(本社:東京都世田谷区)の代表取締役・炭谷久雄氏である。

炭谷氏と私の出会いは数年前にさかのぼる。私が二十八年間パーソナリティを務めているラジオ番組にゲストとして出演していただいたことがあり、含蓄深いお話をうかがったことがあるのだ。炭谷氏は、「住まいからはじまる人生の幸福づくり」を企業理念に掲げ、住宅事業を中心に、不動産に関するビジネスを幅広く展開している人物だ。

炭谷氏が経営するリビングライフは、「住まいからはじめる生涯幸福設計」をコンセプトに、常に、人が幸福な人生を送るための住宅を提供するという考えを貫いてきた。

売買仲介事業から一戸建て住宅、分譲マンションへと社業を拡大してきたのも、「住まいは生涯幸福の原点だ」という考えにもとづくもので、顧客の生涯にわたる住宅ニーズのすべてを満たしたいという強い願いがそこにある。現在ではさらに進化し、リノベーション、リフォーム、マンション管理、パーキング事業、不動産の積極的活用を行うアセットマネジメント業など、不動産にかかわるニーズのすべてにワンストップで応えるトータルソリューション機能を持つ組織を構築している。

この企業構造はいうまでもなく、企業としての安定・発展にも理想的なかたちになっている。

詳細は本文で述べるが、私が炭谷氏に再びお会いしたいと思ったのは、数年前に、いや、二十年以上前の創業時から、炭谷氏は、住まいと人生の幸福をしっかり結びつけて考えいたことが強く印象に残っていたからだ。

炭谷氏は創業当時から、住宅産業が果たすべき最大の使命は人の生涯幸福の基点となる住まいを提供することだという理念を持ち、それにもとづいてビジネスを展開してきた。その理念は、今回の東日本大震災の経験を経て、いま、多くの日本人が共通して持つ価値観となっていると思われたのだ。

一別以来数年、炭谷氏に再会し、リビングライフは実に数年前の予想をはるかにしのぐ企業規模に成長しており、事業内容も時代の最先端をいくものに進化させていた。このことにも目を見張った。現在、リビングライフでは「環境」をキーワードにした住宅・マンションの提供に力を注いでおり、さらに、業界初の分譲マンションの管理費負担をゼロにする独自のスキームも導入している。

本質を見失わないビジネスは、結果的には大きな繁栄をもたらすということだ。

炭谷氏がリビングライフを創業したのは平成二(一九九〇)年。バブル経済が崩壊した直後で、日本経済は混乱のさなかにあった。特に不動産業界はバブル崩壊の波をもろにかぶり、毎日のように、「あそこがつぶれた」「ここが倒産した」というニュースが飛び交い、まさにカオスそのものだった。

だが炭谷氏は、「こういうときこそ、幸福な人生の基点となる健全な住宅をしっかり提供していかなければならない」と、敢然と起業に踏み切った。火中の栗を拾うともいえるそんな行動を支えたのが、炭谷氏が信頼する「3KM」発想である。

「3KM」は、同じく住宅産業の土屋ホーム(現株式会社土屋ホールディングス、本社:北海道札幌市)の創業社長・土屋公三氏(現会長)が提唱する、人生の幸福設計理念である。幸福を実現するための目標を三つの「K」、つまり「個人」「家庭」「社会(会社)」に分けて考えていくところに最大の特徴がある。

具体的には、一人ひとりが三要素における目標設定を、たとえば年に一度など定期的に行い、これも定期的に、自ら設定した目標がどこまで達成されたかをチェックしていく。「M」は、「目標(Mark)」、「管理(Management)」、「意欲(Motivation)」を意味し、これらは目標達成を確実化するためのスキルになる。

土屋ホームはこの3KMを企業理念にして創業し、当時、すでに大きく成長を遂げていた。だが、炭谷氏が強く心惹かれたのは、めざましい成長力よりも、個人・家庭の幸福の実現をめざしつつ、社会の幸福にも貢献することが社員の共有意識となっている土屋ホームという企業のあり方だった。

早速、3KMについて勉強し、ますますその理念に心酔した炭谷氏は、「自分もこういう会社をつくりたい」と思うようになる。そして、バブル崩壊の逆風が吹くなかで、たった一人で小さな事務所を立ち上げたのである。

現在、リビングライフの年商は約一五〇億円。リーマンショックの直前はこの二倍くらいの年商規模だったが、リーマンショック後はより堅実な方向へと舵を切り、今日では足腰の強い、筋肉質の経営体質に鍛えなおしている。

また、リビングライフでは、「初めて家を持つ人を応援する」という姿勢を大事にしている。実は、不動産業界では大手のシェア拡大がじわじわと進んでいる。ところが大手はその経営構造上、どうしても高価格帯の住宅・マンションの供給に集中しがちなのだ。

「社会を支える若い世代の中間層は、実際そんな高い住宅は買えないのです。そういう人たちが無理なく買うことができ、しかもクオリティ的には他社の住宅・マンションとは遜色がないものを提供することに私は使命感を持っています」

炭谷氏のこうした発言を裏づけるように、リビングライフが現在展開している物件は、住宅・マンション、どれをとっても、リビングライフでなければできないオンリーワンの魅力に満ち、多くの顧客を惹きつけている。

本書では、リビングライフの企業理念のベースとなっている「3KM」について紹介するとともに、同社が手がける各事業について紹介し、リビングライフの全容に迫りたいと考えている。

炭谷氏の理念・考えを知ることで、読者一人ひとりが自分自身にとって、より幸福な人生とは何か、そして、そのためには何をすべきかを考える一つのきっかけとなれば幸いである。また、リビングライフの事業展開からは、低迷する日本経済のなかにあっても、どのような視点を持てば活路が開けるかという、多くの学びを得られるものと確信している。

なお、本文中の敬称は略させていただいたことを、あらかじめお断りしておく。

平成二十四年六月  鶴蒔靖夫




はじめに


第1章 リビングライフと「3KM」理念

社員の生涯幸福設計と「3KM手帳」
炭谷と3KMの出合い
マズローの欲求五段階説――生きがい・やりがいをもたらすもの
3KMを実際に使いこなす
人材を人財に変える3KM


第2章 不動産ニーズのすべてに応えるリビングライフ

人と街をつなぐ不動産のトータルソリューション
街と人をつなぐという使命を果たす
リビングライフグループの事業構造
徹底したドミナント戦略を展開
土地鑑を基盤にする不動産業には最高の事業展開


第3章 原点は真の幸福の追求
 ――炭谷久雄とリビングライフの歩み――

母一人子一人の家庭から大学に進学
不動産業でたちまち頭角を現す
「モリモト」での修業時代
「3KM」との出合い、そして独立
「リビングライフ」を創設
苦労が続いた創業期
本社ビルの完成
創立十周年を期してマンション事業へ進出
[リビングライフ宣言。]
リーマンショックという洗礼
オンリーワン企業への道


第4章 リビングライフが提供する生涯幸福住宅
 ――中核・ディベロップメント事業部の活動状況――

高まる住宅取得ニーズ
家族・地域とのつながりを再確認
平成二十四年はさらに着工戸数が拡大
高まるクオリティ重視傾向
新たなニーズ、エネルギーの自給自足
リビングライフの建築条件付分譲宅地
将来の資産価値も期待できる宅地
リビングライフの建築条件付分譲宅地「ライフアソート」
全戸に太陽光発電を設置する「サンサタウン」
将来的には、太陽光発電装置付住宅が常識に
全二三八邸でダブル発電を実現
神奈川スマートエネルギー構想
電気自動車充電コンセントも設置可
丘の上に誕生する最高の住み心地を実現する「サンサタウン」
三〇〇〇万円台中心という圧巻の価格
あこがれの街「ライフアソート横須賀見晴らしの丘」
第二弾「ライフアソート湘南田浦オレンジタウン」
リビングライフのマンション事業1――新築部門「ライフレビュー」
 マンション事業・新築マンション
 ホテルライクな外観のなかに広がる最上級の機能
 全四一棟、二六〇〇戸の実績を誇る「ライフレビュー」
 常に「初めて家を持つ人」のサポーターになる
 なぜ、リーズナブル価格を実現できるのか
 小~中規模マンションにこだわる理由
 リビングライフだけの安心「マルチアングル・チェックシステム」
 「安全・安心」を確実にする第三者検査機関でのチェック
 お客さまの代理という自覚
 日本初! 十年保証「住設あんしんサポート」
 画期的なシステム「MMP」
 今後は付加価値のあるマンションを提供していく
リビングライフのマンション事業2――リノベーション部門「リリファ」
 リノベーションという新しいマンションのかたち
 新しい時代の価値観から生まれたリノベーション市場
 リノベーション事業への本格参入
 新築マンション同様の「安全・安心」へのこだわり
 外装・内装もすべてリノベーション
 リノベーション案件の進行チャート
    〈コラム〉リビングライフの歴史が自分自身の人生と重なる


第5章 リビングライフのトータルソリューション型ビジネス
 ――住宅流通事業部・多彩なグループ会社展開などの活動状況――

さながら太陽系宇宙のように
地元のプロに徹して不動産売買の仲介を行う住宅流通事業部
ニーズ・時流に応じて変化する商品群
ローンセミナー、自分史などの戦略で顧客の気持ちを引きつける
    〈コラム〉少数精鋭体制で発揮する抜群の販売力が誇り
自社保有の資産の運用、管理で収益を生み出すアセットソリューション事業部
    〈コラム〉少数精鋭でスマートな職場づくりを実現
【グループ企業の活動】
 マンション管理業務を行う株式会社リビングコミュニティ
 安全・安心で長く住めるための充実したサポート
 賃貸管理やコインパーキング事業を展開する株式会社リビングセンター
 二十四時間カバーするリビングセンターのPM事業
 有望市場のコインパーキング
    〈コラム〉各事業部の拡大など、企業として大きく育ってきた喜びを実感
 技術力で圧倒的な信頼と実績をあげている朝日建設株式会社
 高性能・省エネ効果にすぐれた鉄筋コンクリート造の賃貸マンション
 賃貸経営サポートでも実績を拡大
 マンション・ビルのリニューアル事業
    〈コラム〉「ライフレビュー」「リリファ」でリビングライフと切磋琢磨
 「グレイスウッド」など戸建住宅をつくりつづけてきた株式会社東横建設
 仕入れから設計・施工まで自社の手で
 新幹線搭載の制震システムや狂いのこない乾燥集成材を採用
 木の魅力を生かした「グレイスウッド」シリーズ
    〈コラム〉三十五年来のつきあい。炭谷社長は仕事・人生最良のバディで


第6章 リビングライフが描く未来地図

人口減少社会の住宅事情
日本経済浮揚のカギを握る住宅産業
国の「新成長戦略」もリフォーム市場に着目
ワンストップ対応企業の真価を発揮するとき
最大の課題はスタッフの意識向上
リーダーをどう育てていくか
めざすは、個人・家庭・社会の生涯幸福
四十年、五十年と存続する企業をめざす


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2018/09/05

『毎日が産直!「わくわく広場」が変える食の風景』 前書きと目次

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毎日が産直!
「わくわく広場」が変える食の風景
~つくる喜び、たべる楽しさが出会う場所~


著者:鶴蒔靖夫
定価:本体1800円+税
ISBN978-4-87218-446-4
初版発行:2018年10月1日




はじめに

いま、日本の農業は、さまざまな課題を抱えている。農林水産省によると、農業従事者の数は2017年7月時点で約182万人であり(農林水産省「農林水産基本データ集 農業就業人口及び基幹的農業従事者数」)、前年よりも約6%減少している。1990年には480万人を超えていたことを考えると、その激減ぶりには驚かされる。

また、1990年には33.1%だった農業就業人口における65歳以上の割合は、2017年には66.7%となっている。この数値からは、農業従事者の高齢化が著しいことが読み取れる。農業従事者の高齢化にともない耕作放棄地も急増しており、後継者不足はもはや待ったなしの深刻な問題となっている。こうした問題の解決を先送りし、ただ手をこまぬいているようでは、日本の農業が衰退の一途をたどるのは間違いない。

問題の背景にあるのは、離農者の増加に対して、新規就農者が一向に増加しない現実だ。2015年からの3年間で農業就業人口は約28万人も減少しているのに対し、新規就農者数は18万3000人程度でしかない。

実際、「農業では儲からない」「大手企業の農業参入で、小さな農家は立ち行かなくなってしまう」といった声も多く聞かれる。このままTPP(環太平洋パートナーシップ協定。当初のTPPからアメリカが脱退したことにより、現在は「環太平洋パートナーシップに関する包括的及び先進的な協定(CPTPP)」が正式な名称となっている)が本格始動し、外国産の安価な農産物が流入するようになれば、日本の農業がさらなる打撃を受けるのではないかとの懸念もある。

だが、一方では明るい材料もある。それは、地元で採れる農産物の価値を見直す動きが、近年になって顕著になってきたことである。日本人の健康志向やエコロジーに対する関心が年々高まるにつれて、安心・安全で良質な食材に対するニーズも増加し、国内産、さらには地元の農産物の地産地消を求める消費者が増えてきているのだ。そうした声に応えるように「産地直送」を売りにした農産物を扱うマーケットも登場し、人気を博すようになってきている。

「産地直送(産直)」は、実は農家にとってもメリットが大きい。従来の流通を介した販売方法と比べて中間マージンがかからない分、農家の収入が増え、生活の安定につながるからだ。また、消費者の声が農家に直接届くことにより、農業を行うことへの新たな喜びや大きなやりがいが生まれるという、金銭には換算できない効果も出ている。その結果、農業に従事したいという若年層も現れ始めている。

こうした事象を鑑みるに、これからの日本の農業を活性化させる鍵は、農産物流通の変革にあると言っても過言ではないだろう。

本書で紹介する株式会社タカヨシ(本社:千葉県千葉市、代表取締役社長:髙品政明氏)は、画期的な直販システムで農産物の地産地消に取り組み、急成長を遂げた会社である。私は、タカヨシが展開している農産物直売所「わくわく広場」こそが、停滞する日本の農業の現状を打破する可能性を秘めた、流通改革の担い手であると考えている。

タカヨシが直売所ビジネスに参入したのは2000年のことだが、現在では関東を中心に中部、近畿、中国、四国、九州地方にまでエリアを広げ、店舗数は108店舗、年間売上高は140億円(2017年度)にのぼるまでに成長した。「わくわく広場」はショッピングモール内に売り場を設けるケースが多く、野菜や果物のほかに肉や産直加工品、タカヨシでは「和シュラン」と称している調味料類、さらにはパンや惣菜なども扱っている。

産直を売りにした直売所といえば「道の駅」を思い浮かべる人が多いかもしれない。たしかに1990年代に登場して以来、「道の駅」は、長距離ドライブをする人々が24時間いつでも自由に使用できる休憩施設としての機能に加え、その地域の農産物の直売所としての役割も果たしてきた。こうした地産地消型の直売店は「道の駅」のほかにも存在するが、いずれも生産現場の近くに設けられていることが多いのが特徴だ。

それに対し「わくわく広場」は、街に住む消費者が購入しやすいように、生活圏内で地元の農産物を直売している。つまり、これまでは農家の軒先や畑の片隅、あるいはJA(農業共同組合)の販売所や「道の駅」など、生産者の近くにまで足を運ばなければ買えなかった農産物を、ふだんの買い物で利用しているショッピングモールで買えるようにしたというのが「わくわく広場」の最大の特徴であり、強みでもあるのだ。

「家から近い、あるいは、よく利用するショッピングモール内にあれば、お客様は一般的な直売所よりも足繁く通ってくれるようになります。実際、顧客はリピーターが中心で、モールでの買い物のついでに気軽に利用してくださいます」

と、タカヨシ代表取締役社長の髙品政明氏は語る。

「わくわく広場」を利用することで、消費者にとっては「新鮮な産直野菜がぐんと身近になる」というベネフィットが得られる一方、生産者サイドにとっても同店に商品を提供することで得られるメリットは大きい。

ちなみに、「わくわく広場」のシステムは少し変わっている。自分でつくった農産物を「わくわく広場」で売りたい生産者は、タカヨシと商品取引契約を結ぶのではなく、「わくわく広場」の各店舗ごとに委託販売の登録をするのだ。そして、生産者自身が農産物を「わくわく広場」の売り場に直接持ち込み、自分で商品を陳列する。販売価格の設定も自分で行う。「わくわく広場」の営業時間内であれば、生産者はいつでも自由に農産物を運び込むことができる。

そのうえ、売上のノルマを課せられることもない。タカヨシに対しては、売上の20%台の手数料を支払うことにはなるが、従来の流通コストに比べると、かなり安くすむ。そのため、生産者が手にする利幅は当然、従来の流通を通すよりも大きくなり、その分、消費者も新鮮な食材を安く手に入れられるようになる。

店舗への納品に訪れた生産者と消費者が店頭で言葉を交わし、直接コミュニケーションをとる光景も、「わくわく広場」ではよく見られる。こうしたコミュニケーションを通じて消費者は、野菜のおいしい食べ方や上手な保存方法などを生産者から聞くこともできる。生産者も、自分が丹精込めてつくった農産物を実際に口にした消費者からの率直な感想を聞くことができ、消費者がいま、どんな商品を求めているのかをリサーチすることもできる。髙品氏が「私たちは、生産者と顧客をつなぐプラットフォーマーとして、オンリーワンのビジネス展開をしている」と胸を張るのも当然だろう。

「わくわく広場」では、地元でその日の朝に採れた旬の食材を販売することにこだわるため、天候不順時には、売り場に商品が揃わないこともままある。しかし髙品氏は「それも自然なこと」と言い、品不足を恐れずに、あくまでも地元の産直野菜にこだわる。

「わくわく広場」のもうひとつの目玉と言えるのが、タカヨシが自社で厳選した調味料類の品揃えである。どのスーパーマーケットでも購入できるようなナショナルブランドは避け、地方の中小メーカーならではの特色のある商品をチョイスしており、その数は1000種類以上に及ぶ。

「わくわく広場」の生みの親である髙品氏は、自動車のセールスマンを経て、1970年に髙芳商事を設立し、事務機器の販売や、ガソリンスタンド、カーショップの経営などを行っていた。1979年には社名をタカヨシに変更し、ホームセンターの出店を開始するなど、順調に事業を拡大していったが、大手企業が参入してくると業績がしだいに悪化した。その打開策として2000年に始めたのが、ホームセンター内に設けた農産物直売コーナー「農家の八百屋さん」だった。

このアイデアは大当たりとなり、評判を呼んだ。そこで2001年から、農産物の直売事業に本格的に参入した。当初は路面店での展開が中心だったが、2009年にショッピングモール内に出店したことをきっかけに、急成長を遂げた。

「時代の変化に対応し、まず行動すること」がモットーであるという髙品氏のチャレンジは、さらに続く。すでに都市部への出店やフランチャイズ展開にも着手しており、「今後も時流を的確にとらえた方法で、1000店舗を展開する100年企業をめざす」と語る。

本書は、農産物直売市場に新風を巻き起こしたタカヨシの今日までの歩みをたどるとともに、創業社長・髙品政明氏の経営理念と人生哲学に迫るものである。「食」は、生きとし生けるすべての人にとって欠くことのできないものであり、最も身近で興味深いテーマでもある。それだけに本書は、日本の食を担う農業や食品事業に従事する人のみならず、すべての読者にとって貴重な指針の書となるであろう。

なお、本文中の敬称は略させていただいたことを、あらかじめお断りしておく。


2018年8月  鶴蒔靖夫




はじめに


第1章 流通改革から始まる日本の農業再生

日本の農家を悩ます高齢化と後継者不足
TPP始動で心配される日本の農業への影響
変わりゆく農業① ICT化で広がる新たな可能性
変わりゆく農業② 大手企業の農業参入
健康志向が求める「安心・安全」な食材
地産地消で注目される産直野菜と地元直売所
農業の活性化は流通の変革から


第2章 つくる人とたべる人をつなぐ「わくわく広場」

農産物直売所「わくわく広場」とは
「生活圏に位置する直売所」が強み
生産者の顔が見えることで生まれる「品質への安心感」
産直野菜と「和シュラン」によるオンリーワンの業態を確立
地元農家・生産者の手づくりジャムや惣菜類も好評
欠品は「地元の旬の野菜」の証


第3章 生産者・消費者・販売所の「三方よし」のビジネスモデル

納品から陳列、価格設定まで、すべてを生産者に一任
ノルマのない登録制システム
生産者システムで売上情報をリアルタイムで提供
「ローテク」を駆使した物流センター
パンに豆腐、弁当も。地域の商店に新たな収益場所を提供
いかに在庫のリスクを回避するか
「わくわく広場」のリピーターになる人とは
「売れる店づくり」で生産者やメーカーを支える


第4章 「わくわく広場」のパートナーたち

生産者やメーカーの喜びの声
長男の就農を機に「わくわく広場」一本で行くと決め、売上急増
全国各地の「わくわく広場」で自慢の野菜を販売
丹精込めたオーガニック野菜をきちんと評価してくれました
地元で人気のアップルパイが全国へ
こちらのペースで出荷できる自由度の高さがうれしい
こだわりの味噌から手軽な即席味噌汁まで揃っています
取り扱い商品数も増え、売上も急増
スーパーマーケットでは売れなかったこだわりのオリジナル羊羹が大ヒット
こちらの状況に合わせて柔軟性のある取引をしてくれる安心感
「わくわく広場」での販売を通じて深蒸し掛川茶の認知度を高めたい
「わくわく広場」での販売で毎月の売上が10%アップ


第5章 創業社長・髙品政明の半生と経営理念

自動車セールスマンから一転、髙芳商事設立へ
ホームセンターと書店を150店舗展開
本格的に「わくわく広場」をスタート
他社の追随を許さない新たなビジネスモデル
直売所ビジネス参入直後の苦労の数々
路面店展開からショッピングモールへの出店へ
人材教育で商品を見る目と管理能力を養う
的確で素早い経営判断と人を巻き込む力


第6章 「わくわく広場」がつくる、安心と笑顔が広がる世界

めざすは1000店舗、100年企業
フランチャイズ展開の本格化も視野に
オーガニック野菜日本一をめざして
新たな食の提案「わくわくキッチン」
「わくわくキッチン」がもたらすさまざまなメリット
野菜の提供で社会福祉にも貢献
タカヨシの未来を担う次世代のリーダー
日本の農業の未来を支えるための、タカヨシの飽くなき挑戦


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2018/08/06

『人生100歳時代 不動産投資のフロンティア』 前書きと目次


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人生100歳時代
不動産投資のフロンティア
~将来の不安を安心に変えるフロンティアハウス~


著者:鶴蒔靖夫
定価:本体1800円+税
ISBN978-4-87218-445-7
初版発行:2018年7月30日




はじめに

最近では、「人生100年時代」「人生100歳時代」といった言葉をよく見聞きするようになった。

たとえば神奈川県知事の黒岩祐治氏は、2016年の年頭記者会見で、県民一人ひとりが、その人らしく生涯にわたって生き生きと暮らせるよう、県、市町村、大学、民間企業、NPOなどが「かながわ人生100歳時代ネットワーク」を立ち上げ、「人生100歳時代の設計図」として、協働してさまざまな取り組みを進めていくことを宣言した。

また、同年10月には、ロンドン・ビジネススクールのリンダ・グラットン教授とアンドリュー・スコット教授の共著による『THE 100-YEAR LIFE』の日本語翻訳版『LIFE SHIFT(ライフ・シフト) 100年時代の人生戦略』(東洋経済新報社)が発刊され、大きな反響を呼んだ。同書では、2007年に日本で生まれた子どもの50%が107歳まで生きると述べられており、ついにここまできたかと実感する。

そこで政府も、人生100年時代を見すえた政策のグランドデザインを検討する「人生100年時代構想会議」を、2017年9月に発足させている。

たしかに戦後、日本人の平均寿命は延び続けている。1950年には男女ともに60歳程度だった平均寿命は、2016年には男性80.98歳、女性87.14歳(厚生労働省「平成28年簡易生命表の概況 参考資料2 主な年齢の平均余命の年次推移」)にまで延び、「人生90年時代」も目前に迫っている。

この調子でさらに平均寿命が延びていけば、「人生100年時代」の到来も、いよいよ現実味を帯びてくる。そうなれば、その分、仕事をリタイアしたあとの、いわゆる「老後」の時間も長くなっていく。

しかし、少子高齢化の急速な進展により年金制度の基盤が揺らぎ、今後の年金受給額が目減りするなど、年金制度自体の将来も危ぶまれるなかで、老後の生活に対する金銭的な不安を抱いている人は少なくない。そのため、「老後の暮らしに必要な資金は、現役のなるべく早い時期から準備しておこう」という自己防衛意識が、一般の会社員はもとより、一定の資産を有する階層にまで広がっている。

老後の暮らしを安定させる手立てのひとつが、不労所得の確保、すなわち投資による資産運用である。投資の対象は、株式、投資信託、債券などの金融資産と、不動産や金などの実物資産に大別されるが、なかでも不動産投資は、経済状況や為替相場の変動等による影響が少なく、資産価値も落ちにくいうえ、相続税対策をはじめ税制面でもメリットがあり、長期保有することで安定した収入が望めるとあって、高い人気を集めている。

ゼロ金利とも言われる空前の低金利時代が続いていることも、不動産投資の人気の背景としてあげられる。しかし一方で、低金利時代ゆえのさまざまな問題も浮上してきている。

「融資したい」という金融機関と「建てたい」という不動産業者の思惑が一致し、立地や物件の良し悪しを問わずにワンルームマンションやアパートなどの賃貸住宅が続々と建てられた結果、エリアによっては空室が目立つようなところも出てきている。入居稼働率の悪化により、家賃を保証するサブリース契約をめぐる不動産業者とオーナー間のトラブルも相次いでいる。なかには、「長期的な安定が望める」はずが、期待どおりの収益が得られないどころか、ローンの返済もままならないというケースさえあるようだ。返済原資が家賃で賄えないとなれば、不良債権化が懸念される。そのため、金融庁が各金融機関の融資状況にメスを入れ始め、不動産への融資の引き締めにかかっている。

加えて、少子高齢化の進展や、人口減少、空き家問題の顕在化など、不動産業界を取り巻く環境は、必ずしも明るい材料ばかりではない。それだけに、不動産投資を始めるにあたっては、物件選びはもとより、誰(どの不動産会社)から買うか、誰に管理を任せるかといった「パートナー選び」が非常に重要になってくる。

「不動産投資における最大のリスクとも言えるのが空室でしょう。ですから、オーナー様に満足していただくために、収益性の高い物件を開発し、入居稼働率を100%に限りなく近づけることが、われわれの使命と考えます」

こう語るのは、本書で紹介する株式会社フロンティアハウス(本店:神奈川県横浜市)の代表取締役を務める佐藤勝彦氏である。大学を卒業後、マンションデベロッパーを経て、1999年に佐藤氏が32歳の若さで設立したフロンティアハウスは、横浜や東京を中心とした首都圏エリアでの一棟売りの収益物件の開発・販売を中心に、用地仕入れ、建築、販売、賃貸募集、賃貸管理までをワンストップで展開することで、顧客からの厚い支持を集め、着実に実績を積みあげてきた。現在では年間50棟近い物件の開発を手がけ、約2000戸の管理を行っている。

佐藤氏いわく、「収益物件の開発において最も重要なのは立地」とのことで、土地の仕入れが不動産投資の成否の鍵を握っていると言っても過言ではないようだ。建物についても、万人受けのする既存のワンルームでは入居稼働率に限界があるため、エリアの特性や入居者のターゲットを絞った間取りや設備、内装などに工夫を凝らしている。

加えて、空室を限りなくゼロに近づけるために、通常の賃貸契約にとどまらず、マンスリー賃貸や民泊などを組み合わせて対象となる利用者の層を広げるなど、リーシング・イノベーション戦略を展開していることも、フロンティアハウスの特徴のひとつだ。

それが可能なのは、オーナーが物件を一棟所有しているからこそである。不動産の収益物件では、ワンルームマンションなどのように、1戸ごとにオーナーが契約する区分所有もあるが、フロンティアハウスでは、建物全体をオーナーが契約する一棟所有を主にしているのだ。

「一棟所有の場合は、最終的に土地が残るため、将来的に建て替えが可能です。そのときは建設資金の投資だけですむため、より高い利回りが期待できます」

と、佐藤氏は一棟を丸ごと所有することのメリットを強調する。

会社設立から20年目を迎え、売上高50億円(2016年度)、従業員数50名を超える企業に成長したフロンティアハウスがめざすのは、「100年企業」だ。オーナーや入居者といった同社の顧客に対し、子どもや孫の世代まで親子何代にもわたって役に立てる会社となるよう、収益物件としての賃貸アパートやマンションから、ファミリー向けの分譲マンションや戸建住宅まで、不動産事業の幅広い領域を手がけ、住まいに関するあらゆる要望に応えられる体制を整えている。

そして「100年企業」のもうひとつの意味するところが、社員の子どもや孫の世代まで親子何代にもわたって誇りをもって勤められるような、魅力のある企業体をめざすというものだ。「企業は人材がすべて」と語る佐藤氏は、「人を育てる」ことにフォーカスを当てると同時に、社員一人ひとりの多様性を認め、それらを発揮できる環境づくりや、福利厚生の充実など、働き方改革にも力を注いでいる。

本書は、収益物件の開発・販売を中心に不動産の総合企業として成長を続けるフロンティアハウスの事業活動を紹介するとともに、創業社長・佐藤勝彦氏の経営理念と人生哲学に迫るものである。

超長寿社会を迎え、将来の安心を確保する手立てとして不動産投資を検討している人や、便利で快適なアパートライフやマンションライフを楽しみたいと考えている人にとって、本書がなんらかの指針となれば幸いである。

なお、本文中の敬称は略させていただいたことを、あらかじめお断りしておく。

2018年6月  鶴蒔靖夫




はじめに


第1章 将来の不安を安心に変える不動産投資

長寿化の進展でますます長くなる「老後」
老後の暮らしは自助努力によって守る時代に
預貯金は「リスクを取らないリスク」
投資対象の金融資産と実物資産を徹底比較
将来の生活を守るための不動産投資
税制面や生命保険代わりとしてのメリットも
不動産投資の最大のリスクが「空室」
サブリースをめぐるトラブルも多発
入居稼働率低下のリスクが少ない一棟売り物件
今後も有望な東京・横浜エリアの不動産投資
不動産投資は信頼のパートナー選びから


第2章 不動産投資をトータルサポートするフロンティアハウス

収益物件のトータル業務をワンストップで展開
立地へのこだわりで高い入居稼働率を維持
赤いライン入りの外観が特徴的な自社開発物件
入居者目線に立った間取りや仕様を工夫
多様化するニーズに合わせターゲットを絞った展開も
営業はインターネットでのアプローチが7割
オーナーに対する万全なアフターサポート体制
販売した物件を未来永劫管理していく使命
「収益物件のAtoZ」をめざす
自社保有物件を増やし経営安定の一助に


第3章 空室ゼロをめざすリーシング・イノベーション戦略

空室をなくすことが最大の使命
マンスリー賃貸と民泊を絡めて貸し方の引き出しを増やす
マンスリー賃貸がエリアのニーズに合致して満室を実現
住んでいてワクワクするような空間づくり
多様化するマンスリー賃貸のニーズ
地場の不動産仲介業者と組んで賃貸募集
サブリースの目的は顧客満足の向上


第4章 人材育成と働き方改革への取り組み

企業を動かす最大の要素は「人」
新入社員全員がまずは土地の仕入れを経験
「人を育てる文化」を醸成中
多様な働き方を選択できる環境づくり
社長室が現場の意見を集約
ワーク・ライフ・バランスを重視した働き方改革
資格取得支援と豊富な資格手当
社員とその家族の幸せを追求すべく福利厚生を充実
多様性を発揮できるステージづくり


第5章 創業社長・佐藤勝彦の経営理念と人生哲学

野球での活躍で注目を浴びた少年時代
野球部を去ることになった苦い思い出
勉強そっちのけでアルバイトに明け暮れた学生時代
バブル経済絶頂期にデベロッパーに入社
バブルが崩壊し、勤めていた会社が民事再生手続きへ
責任をまっとうすべく最後までやり切って「卒業」
身ひとつでフロンティアハウスを立ち上げる
管理までトータルで提供することの重要性を学ぶ
努力という無形財産が有形財産をつくる
顧客、社員、取引先への思いを経営理念に託す
飛躍の契機となった横浜地区の「難あり土地」
リーマンショックの危機を間一髪で逃れる
MBA取得をめざし大学院へ


第6章 フロンティアハウスが描く「100年企業」への未来図

親子3代にわたるおつきあい
人口減少時代の収益物件の市況を予測
収益物件においても高まるインバウンド需要
人口増の東南アジア市場での展開も視野に
収益物件と戸建住宅の組み合わせ
不動産関連ビジネスは協業の時代へ
セミナー開催による集客にも注力
プロダクトアウトからマーケットインへの転換
「100年企業」に向け、地に足をつけた戦略を


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2018/07/10

『LED革命』前書きと目次

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LED革命
~LEDのリーディングカンパニー「遠藤照明」の挑戦~


著者:鶴蒔靖夫
定価:本体1800円+税
ISBN978-4-87218-374-0
初版発行:2012年8月17日




 はじめに


文明は明かりとともに歩んできた。

はじめに人は火という道具を手に入れた。火は、人に暖を取らせ、獣から身を守り、食べものに火を通し、そして照明となった。火の使用により、人類は初めて文明を持つ余裕を持てたといえよう。暗闇でただ眠るしかなかった人に、火の明かりは光源として文明を育はぐくむチャンスを与えたのだ。

火の揺らめきはやがて松たい明まつからロウソクへと代わり、ガス灯、白熱電球、蛍光灯、ハロゲン灯など、新たな光源へと進化の幅を広げていった。そしてここにきて、これまでの照明の歴史とはまったく次元を異にする新たな光源を人類は手に入れることになった。それがLEDである。

LEDのメリットは何よりも消費電力が圧倒的に少ないことがあげられる。ざっくりいって、白熱電球照明の八〇%以上の消費電力を節減できる。環境や資源問題が喫緊の課題とされている現在、救世主ともいえる光源だ。

LEDの真価はほかにもある。輝度・演色性など、光のクオリティがこれまでのどの光源よりも高いのだ。さらにはデジタル環境に対応しやすく、自由自在に光をアレンジできることも照明デザインをするうえでははかりしれないメリットである。

LEDの登場により、照明の世界はドラマチックに変容した。いままさしく、照明の革命といえるような大イノベーションが進行しているのである。

そのLEDへのイノベーションの火付け役となり、日本の業務用LED照明市場でトップクラスのシェアを有するのが、本書で取り上げる株式会社遠藤照明(本社:大阪府大阪市、代表取締役:遠藤良三氏)である。

遠藤照明が専業照明メーカーとして、これまで手がけた商業施設の名をあげると、誰もが知っている大手百貨店から大型商業施設、スーパー、飲食店など、枚挙にいとまがない。おそらくほとんどの人がすでに、遠藤照明のLEDがつくり出す光の空間でショッピングやグルメを楽しんだ経験があるのではないだろうか。

「高付加価値空間」をつくり出すプロ集団という事業テーマを掲げる遠藤照明が手がけた空間は、これまでにない高い付加価値が生まれ、空間全体を彩ることは当然ながら、環境負荷が少なく、さらに電力料金が大きく下がるというのだ。いまや環境を意識する企業活動は、地球市民として当然の責務の一つといえる。さらに景気低迷・消費不況により収益率が低下している商業施設にとって、電力料金の削減は実質的に利益率の向上と同じ意味を持つ。次々と新たに生まれる空間の多くで、遠藤照明のLED照明が採用されるのも当然である。

遠藤照明の創設は昭和四十二(一九六七)年。遠藤良三氏が個人で立ち上げた、会社というより個人の製作所からのスタートで、それがすべての出発点だった。遠藤氏は、安定した大手銀行の正社員という恵まれた場を惜しげもなくかなぐり捨てると、「金がない」「人がない」「ルートがない」のないないづくしをものともせず、たった一人で会社を立ち上げたのだ。

そこから、非住居空間照明におけるトップシェアを占める企業にまで遠藤照明を育て上げてきた遠藤氏の歩みは、まるで小説のように起伏に富んでいる。私が遠藤照明をテーマに筆を起こしたのは、いまドラスティックに進行しているLED照明へのイノベーションを紹介したかったと同時に、遠藤氏の強い独立精神と、信じた道を強きょう靭じんな意志力で突き進んでいく生き方を、ともすれば、軟弱な生き方に傾きがちな最近の多くの人に知ってもらいたいという思いが大きかったからだ。

遠藤氏の豪胆かつ先見性豊かな経営力は、この三年ほどの動きに特に顕著だ。

たった一人で起業し、非住居空間照明に集中するという戦略でしだいに頭角を現すようになった遠藤照明は、平成二年には大阪証券取引所(新二部)に上場を果たす。照明専業メーカーとしては初の株式上場である。その後も順調に発展を遂げ、ピーク時には総売上高一八七億円にまで達していた。

だが、その歩みは決して順風満帆ではない。平成二十年にはリーマンショックが襲いかかり、遠藤照明の業績は一気に二十年前の水準まで落ち込んでしまう。その後、日本経済は円高、少子高齢化の進行などにより、いまだに低調から抜け出せてはいない。

このとき、遠藤氏はすぐさま「今後、経営資源の投下はLED分野に集中する」と大胆な決断を下した。いずれはLEDが照明の主流になると予感されたものの、当時、LEDが国内照明市場に占める割合はわずか三・四%にすぎなかったのだ。

この決断は見事な結果を導いた。平成二十二年三月期は一三一億円だった遠藤照明の売り上げは、翌平成二十三年三月期には一八九億円と急伸。平成二十四年三月期では二六八億円(実績)、平成二十五年三月期では三五三億円(予測)とさらに勢いよく伸びつづけているというから、痛快極まりない。すでにその売り上げの八〇%はLEDによるものだという。

いうまでもなく、LEDについても世界的な厳しい競争が繰り広げられている。もし、遠藤照明の決断がなければ、日本のLED事業は世界のLED化への潮流にも後おくれをとっただろうといわれている。遠藤氏は社団法人日本照明器具工業会の常任理事の要職にもあるが、率先してLED化を促進したことにより、日本の照明器具産業を大きく牽引する功績も果たしたことになろう。

現在、世界の照明市場は一〇兆円規模と巨大なものになろうとしている。しかも、加速度的に急成長も続けている。その主流は間違いなくLEDが占めるはずだ。

「そうした経済環境に的確に対応するために、アジア諸国はもちろん、欧米にもショールームを開設して海外事業を本格化させ、世界のリーディングカンパニーになることをめざしています」

遠藤氏はこう語る。

事実、これまで遠藤照明では、照明市場の世界的拡大を先取りし、二十三年前にタイに工場を設立。その後、中国にも生産拠点を設けている。その結果、圧倒的な価格競争力を持つなど、世界戦略への布陣固めにも抜かりはない。

本書では、LEDによる非住居空間照明を経営の主軸に据えて、照明新時代を牽引していく遠藤照明の活動を紹介するとともに、創業社長・遠藤良三氏の経営理念、行動哲学にも迫りたいと思っている。

このところ、ポテンシャル低下が懸念される日本経済だが、日本にはこんな元気な企業があることをぜひ、知っていただきたい。こうした企業ががんばっている、それが日本の底力だといえないだろうか。

遠藤照明のパワフルな活動を知れば、日本の未来に新たな活路は開けるという確信が湧いてくるはずだ。また、遠藤氏の生き方は、勇気ある決断、迷うことない行動力こそが難局を切り開いていくのだというメッセージを放ち、多くの人に貴重な示唆を与えるものだと信じている。

なお、本文内の敬称を略させていただくことを、あらかじめお断りしておく。


平成二十四年六月   鶴蒔靖夫




はじめに


第1章 LEDが開く新しい光の時代

照明革命の幕が切って落とされた!
非住居空間照明はLEDがあたり前という時代がはじまった
次世代の照明・LED
誰もが驚いたオールLED照明の提案
売り場を二分しての大実験
売り上げを押し上げるLED照明効果
オフィス空間照明にも理想の光
伝統と先進イメージを融合させる
高付加価値空間創造企業としての遠藤照明
非住居空間×LEDに特化し、オンリーワン企業に
LEDなら大手に勝てる!
照明を知り尽くしている照明のプロ集団


第2章 文明から文化へ――照明の歴史

光が人をつくった
光の正体は電磁波
火からロウソクへ――明かりが果たした役割
歴史を変えた白熱電球
青白く光り、消費電力が少なく、電球の寿命が長い蛍光灯
非住居空間を彩る照明・ハロゲン灯:HIDランプ
本格的なLED時代の幕開け
LED研究の夜明け
光の三原色と青色発光ダイオード
白色発光ダイオードの開発
照明意識の変化とLED使用の急増
東日本大震災でLED普及はさらに加速
環境負荷の圧縮、省エネ照明とLED
非住居空間照明におけるLED化を牽引
クライアントは育ての親
エネルギー消費とデザイン性の高さを併せ持つLED照明


第3章 照明環境創造のプロ集団・遠藤照明

Ⅰ.照明事業
 照明テクノロジーの原点――照明技術研究所
 ビジネスを実際に成立させていく――営業本部
 高付加価値空間を提案する――照明計画研究所
 供給体制を万全に――生産本部
 遠藤照明の品質力の要――品質保証部
Ⅱ.海外事業
 グローバル市場で勝ち抜いていく
 すでに世界攻略の拠点を完成
Ⅲ.環境ソリューション事業
 環境が世界の課題になることを視野にイーシームズを創設
 レンタル事業と省エネ
 省エネ照明の普及浸透に大きく貢献
 イーシームズの環境提案・自動監視制御システムECOライナー
 多彩なサービスメニュー
Ⅳ.インテリア家具事業
 照明とコラボするインテリア製品を開発
 付加価値の高い家具に特化
Ⅴ.人材育成
 高付加価値空間をつくり出すプロフェッショナルたち
 「社員憲章」と「エンドーバリュー」
 信賞必罰制で人材を鍛え直す
 打たれてもいいから出る杭になる、そんな人材を育てていく
 戦略的人事配置で一〇〇〇億円企業の人材育成を


第4章 光とともに歩んできた半世紀

ビジネスとは無縁の家に生まれ育つ
安定よりも自分で勝負! の道がいい
五年で捨てた恵まれた銀行員の座
照明との出合いは“甘いささやき”?
たった一人の独立
護衛艦用照明で鍛えられた技術力
ニクソンショックで、新規領域を探す
店舗照明へと照準を決め、遠藤照明を設立
活路はカタログ制作から
カタログがバインダー形式だったわけ
「一度、使ってもらえれば」という自信
「遠藤ならば」の信頼性
「オリジナルに徹する」を貫く
独自の存在感で価格決定権を手にする
明るさから光の演出の時代へ
一〇〇億円企業に成長
タイに本格的な生産拠点を完成
照明専業メーカーとして初の上場
新技術への積極的な挑戦
バブル経済の崩壊の洗礼を受けて
パチンコ店ブームの火付け役
アパレル、百貨店などの空間照明を牽引
失われた二十年
一〇〇%LEDへの転身
電光石火の攻めを展開


第5章 世界のトップランナーに

進化しつづける「LEDZ」
商業施設から新たなる分野へ
世界がLEDに向けて走り出す
世界規模の倍々ゲームがはじまった
世界のトップランナーへ躍進
競合を恐れとしない、これだけの理由
世界市場で「ENDO」ブランドを確立する
光の未来へ・三年後、一〇〇〇億円企業をめざす


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2018/06/05

『土地を活かす知恵 人を活かす情熱』 前書きと目次

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土地を活かす知恵 人を活かす情熱
~エム・ケーの土地活用革命II~


著者:鶴蒔靖夫
定価:本体1800円+税
ISBN978-4-87218-444-0
初版発行:2018年6月20日




はじめに

「あれ、以前通ったときと景色がすっかり変わったなあ」

取材などで全国を飛びまわる日々を送る私だが、最近、新幹線やクルマの窓から見える景色が以前とは大きく変わったことに気がついて、驚くことがしばしばある。ふと目をやると、以前は茫漠とした空き地が広がっていたところに、工場や倉庫、あるいは配送センターといった、壮大な規模の建物が建っているのだ。

土地は無機的なものだと考えられがちだが、そこに建物が建ち、活用され始めると、土地は急に生き生きとした表情を取り戻す。その結果、一帯の景色までもが活気を帯びてきて、それを遠望する者にまで元気を与えてくれる。土地は、なんらかの目的で使われてこそ命を持つということを、身に沁みて実感する瞬間だ。

バブル経済の崩壊やリーマンショック、さらには歯止めの利かない少子化も重なり、日本の不動産事情は、以前とはまったく異なった様相を呈するようになっている。

かつては「土地信仰」という言葉もあったほど、土地は絶対的な資産であった。だが現在では、都市中心部のごく一部を除けば、ただ持っているだけの土地は「お荷物」と化しつつある。所有していれば税金を納めなければならず、相続のときにはもめごとの種になることもあるうえ、相続税も重くのしかかる。

だからといって売ろうと思っても、最近では、地方ばかりか、首都圏でも中心部から少し離れると、買い手がつかないというケースも珍しくないご時世だ。少子化により住宅需要は頭打ちになり、地方は言うまでもなく、都市部でも空き家が目立つようになってきている。

加えて、「失われた20年」とも称される長引く不況を体験した企業は、設備投資に二の足を踏んでいるところも少なくない。減反政策や後継者不足などにより、代々受け継がれてきた農地もいまでは耕作放棄地となり、荒れ地のまま放置されて雑草が生い茂り、なかには不法投棄のごみの山になってしまったところさえある。

かつては想像することのなかった「土地余り」の時代を迎え、いまや不動産は“負”動産とすら呼ばれるようになっている。

だが、そんな不動産市場に新たな価値観を導入し、使い道がないと考えられていた土地に息を吹き込み、有効活用の道を生み出している企業がある。それが本書で紹介するエム・ケー株式会社(本社・東京都日野市)であり、同社を率いる代表取締役の小林勁氏である。

エム・ケーの創業は1988年11月1日である。まさにバブル経済沸騰期の真っただ中であり、創業からおよそ1年後の1989年12月29日の大納会では、日経平均株価は3万8957円と史上最高値をつけた。

当時、株価以上に高騰していたのは地価である。そうした時期に創業した不動産会社と聞けば、不動産価格を吊りあげながら不動産を買っては売り、売っては買いを繰り返して大きく儲ける、そんなビジネスを展開してきたのではないかと考えるのが普通だろう。だが、小林氏は、不動産バブル最盛期の当時から、土地を有効活用することで安定的に収益を確保することを重視し、その収益を積みあげて会社の基礎体力にするという、堅実そのもののビジネススタイルにこだわっていた。

「人間の活動は、すべて土地の上で行われます。しかし、使える土地の広さには限界があります。だからこそ、土地をいかに利用するか、どう活用するかという知恵が重要なのです。活用方法しだいで、土地の価値を限りなく拡大し、発展させることができるはずです」

こうした独自の視点を持つ小林氏は、土地などの不動産に新たな生命を吹き込み、長期的に収益を生み出すものへと変革させていかなければならないと考えた。具体的に言えば、単に不動産を右から左へと売り買いするのではなく、その土地に長期的に価値を持つ上物を建て、その上物をリースして収益を生み出す「ヘッドリース事業」という独自のビジネスモデルを生み出したのである。

やがて、エム・ケーの土地活用技術はさらに進化していき、その技術で小林氏は、本来、開発ができないとされている「市街化調整区域」を開発するという新たなビジネスに乗り出し、エム・ケーを大きな成功へと導いていった。

多くの自治体にとって、「市街化調整区域」の存在は、頭の痛い問題だった。手つかずのまま放置されている広大な土地には雑草が生い茂り、不法投棄の場になっているところも少なくなかったが、その開発にはいくつもの困難があった。

「市街化調整区域」の活性化計画には、自治体などの許諾が必要であるうえ、相当数にのぼる土地オーナーの了解を取りつけるという困難を極める作業もともなう。そのため、膨大な時間と手間がかかるのが普通である。

ところが、小林氏が率いるエム・ケーは、それを驚くほどの短期間でやり遂げてしまうのだ。冒頭に書いた景色の変化は、小林氏が手掛けた「市街化調整区域」の開発プロジェクトにより、土地が新たな生命を得たことによる変化だったのである。

こうした「市街化調整区域」の開発により、それまで過疎化に悩んでいた地方に新たな雇用が生まれ、自治体としても新たな税収が期待できるようになる。これは、国が掲げている「地方創生」という課題に対する、これ以上ない解答にもなっている。それを証明するように、現在、エム・ケーには全国の自治体から次々と開発依頼が殺到しており、その応対だけで時間がなくなってしまうと、小林氏はうれしい悲鳴をあげている。

「不動産は、所有することに価値があるのではありません。不動産を活用し、長期的に収益を得られるものに変えていかなければならないのです。その実践を推進することが、不動産事業に求められる本来の社会的役割であるはずです」

と言う小林氏の発想は、不動産の価値観におけるコペルニクス的転回と言っても過言ではない。

この革新的発想がいかに時宜を得たものであるかは、エム・ケーの30年の軌跡が証明している。その間には、バブル経済の崩壊と、その後の長期的不況、さらにはリーマンショックなどもあり、不動産市場のみならず、日本経済そのものがたどった道は、平坦とはほど遠かった。だが、そうした時代背景のなかでもエム・ケーは、創業以来、おおむね右肩上がりの勾配を描いて着実に成長路線を歩んできた。

35平方メートルの狭い事務所に、小林のほかは女子社員が2人いるだけでスタートした小さな会社が、いまや年商200億円を超えるまでになり、時代の先端を走って日本の不動産活用の質的転換を力強く牽引する、堂々たる企業へと成長を遂げているのだ。

「不動産事業は、私の天性の職業だったのかもしれません」

と、謙虚な口調で語るこの言葉以上に、小林氏の正鵠を射るものはないだろう。

エム・ケーは、2017年11月に創業30年を迎えた。企業の寿命は30年という説があるが、それを踏まえるならば、2018年はエム・ケーにとって、新しい世紀の扉を開き、この先、さらに一段、また一段と新たなステージを駆けのぼっていく、まさに新たな出立の年だと言えよう。

本書では、小林氏とエム・ケーの30年の歩みをたどりつつ、その歩みを牽引する小林氏の不動産活用の理念と実績を、つぶさに紹介していく。

「生涯、仕事人でありたい」

これも、小林氏が掲げる理念のひとつだ。76歳(2018年時点)である小林氏のこの考え方は、いまや4人に1人は高齢者という日本を活性化させる、もうひとつの価値ある提唱と言えるだろう。

そうした意味からも、小林氏という傑出した人間像を描き出し、その足跡を紹介することは、現在の日本が抱える幾多の課題に対する答えを示唆し、その先への光明を示す、貴重な1冊となるものと自負している。

なお、本文中の敬称は略させていただいたことを、あらかじめお断りしておく。

2018年5月  鶴蒔靖夫




はじめに


第1章 “負”動産から“活”動産へ
―エム・ケーと小林勁が仕掛ける不動産革命―

エム・ケーの新たな一歩・創業30年パーティー
パーティーに集まった多様な顔ぶれとエム・ケー
安定的な経営基盤なくして企業の成長はありえない
「市街化調整区域」とはなにか
市街化調整区域開発のオンリーワン企業「エム・ケー」
エム・ケーが行った市街化調整区域開発事例
 事例Ⅰ 市街化調整区域開発プロジェクト「イオンモールつくば」
 事例Ⅱ 市街化調整区域開発プロジェクト「ネクストコア清久」
 事例Ⅲ 市街化調整区域開発プロジェクト「ネクストコアあきる野」
 事例Ⅳ 市街化調整区域開発プロジェクト「ネクストコア五霞」
 事例Ⅴ 市街化調整区域開発プロジェクト「ネクストコア海老名」
 事例Ⅵ 市街化調整区域開発プロジェクト「ネクストコア三島三ツ谷工業団地」
 事例Ⅶ 市街化調整区域開発プロジェクト「ネクストコア千葉誉田」


第2章 不動産価値革命の先駆者
―建築設計士から不動産業への転身―

土地に生命を吹き込むことを天職として
土地を愛するDNAを受け継いで
農地改革で土地を失う
建築の道を志す
生涯働き続けるために
建築は日本の将来像を具体化する仕事だ
超高層ビル時代の幕開け
建築設計家としての一歩を踏み出す
先輩から学んだ設計士としての技術と魂
いまも思い出に残る病院設計
一生の基盤が形成される
ゼネコンから住宅メーカーへ転進
いくつものカルチャーショックから学びを得る
芽生え始めた独立志向


第3章 農耕型不動産ビジネスとヘッドリース事業
―所有から活用へ。不動産の新しい価値を見出す―

エム・ケー株式会社の船出
マンションの一棟売りからスタート
困難な仕事だからこそ挑戦する
「農耕型」という新しい不動産ビジネスの開発へ
確かな収益基盤、それも継続的な収益基盤をつくろう
「ヘッドリース」というビジネスモデル
リスクはエム・ケーが負い、オーナーには迷惑をかけない
ヘッドリース事業第1号案件「北野ビル」
大量雇用時代の社員寮・社宅に着目
社員寮から有料老人ホームへの転用
耳たぶに触れる需要を聞き逃すな
不動産事業を通じて社会に貢献する企業へ
大きなペナルティを支払って学んだこと


第4章 働き方改革を先導する
―徹底した少数精鋭主義と女性の活用―

粒選りの少数精鋭集団
率先して働き方革命を実現していく
次世代型の不動産マンを育てていく
何歳になっても仕事をしてほしい
一騎当千の営業活動を支える女性スタッフ


第5章 100年後も存続する企業へ
―企業遺伝子を培い、それを継承していく―

敢えて成長速度をゆるめる
「安全・確実経営」を確保しているからこそ取れるリスク
数々の受賞が物語る、小林の経営手腕
不動産ビジネスが揺らぐことは永遠にない
変化を鋭く読み取る先見性が勝負を分ける
小林が描く次世代型不動産活用とは
大胆な発想の転換が求められる都市開発
企業遺伝子をつないで100年企業へ


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