*福祉・介護・高齢者

2018/02/06

『21世紀は「音楽と福祉」の時代』 前書きと目次

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21世紀は「音楽と福祉」の時代
~自由・創造・自立の精神で未来を切り開く国立音楽院~


著者:鶴蒔靖夫
定価:本体1800円+税
ISBN978-4-87218-378-8
初版発行:2012年11月21日




 はじめに

厚生労働省が発表した「平成二十三(二〇一一)年簡易生命表」によると、日本人の平均寿命は女性が八十五・九〇歳、男性が七十九・四四歳となり、男女とも前年を下まわった。これは東日本大震災で多くの人が亡くなったことが影響したとみられている。

その結果、女性は二十七年ぶりに世界一の座を明けわたし世界第二位に、男性も前年の第四位から第八位に順位を下げたものの、依然として世界有数の長寿国であることに変わりはなく、平均寿命は今後も延びつづけると推測される。ちなみに男女とも第一位は香港である。

また、内閣府発表の『平成二十四年版高齢社会白書』によると、六十五歳以上の高齢者人口は過去最高の二九七五万人に達し、総人口に占める割合(高齢化率)は二三・三%と、ほぼ四人に一人が高齢者という、世界に類をみない超高齢社会を迎えつつある。

ひと口に高齢者といっても元気度は千差万別で、要介護者が増える一方で、肉体的にも精神的にもまだまだ元気はつらつとしていて、実年齢より随分若く見える人もいる。仕事をリタイアしたことで生じた時間を有効活用し、音楽やダンスなどの趣味を楽しみながら、第二の人生を謳おう歌かしている人たちも少なくない。

そんなシニアたちに人気の趣味として、常に上位にランキングされているものの一つに、気軽に音楽が楽しめるカラオケがあげられる。ひところに比べ、若者たちの間ではカラオケ離れが進んでいるとの声も聞かれるが、中高年には依然として根強い人気がある。カラオケ店側も高齢社会にあってはシニア層を取り込むことが不可欠とみて、シニア割引や平日割引など、あの手この手のサービスを実施し、いまや街のカラオケ店では平日の昼間は大勢のシニア客でにぎわい、歌好きな仲間が集うコミュニケーションスペースにもなっているようだ。

懐メロなどを中心に、リズムに乗って声高らかに気持ちよさそうに歌いあげるシニアたち。大きな声を出すことはストレスの発散になるばかりか、手や顔を動かすことで脳を刺激し、脳の血流や神経細胞が活性化されれば、アンチエイジング効果も期待できる。

また、青春時代の懐かしい曲を歌ったり聴いたりすることで、若いころの自分の姿がよみがえり、生きる活力や希望が生まれるきっかけにもなるという。

だが、高齢者のなかには歌は好きでもカラオケの速いテンポについていくのがむずかしいという人もいるだろう。そこで、最近はシニア層を対象にカラオケに代わって生の伴奏で歌ったり、ソロやアンサンブルの演奏を気軽に楽しめるサロンも登場した。

本書で紹介する国くに立たち音楽院(本校:東京都世田谷区、理事長:新納重臣氏)とNPO法人ラポールミュージックセラピーサービスが、「音楽と福祉」をテーマとする活動の一環として新たに取り組みはじめた「シニアサロン」である。

「音楽は人の心を癒いやす天からの贈りもの。音楽を奏で歌いながら、楽しく元気に幸せをお届けしたい」

これが国立音楽院が考える福祉の心であり、昭和六十(一九八五)年の創立以来、同音楽院では「音楽と福祉」をテーマに好きな音楽を仕事に生かしながら福祉分野で活躍する人材を多数輩出してきた。

また、同音楽院が時代にさきがけて展開してきた「幼児リトミック」は、音楽やリズム遊びをとおしてこどもの心を育てるプログラムで、いまや全国約四五〇カ所の教室で実施され、講師として多くの卒業生が指導にあたっている。

この幼児リトミックのノウハウを応用して、高齢者向けの音楽療法として独自に開発したのが「若返りリトミック」だ。音楽の力を活用して頭・心・身体の若返りをはかり、できるだけ健康寿命を延ばすことを目的としたプログラムで、介護予防や高齢者のQOL(生活の質)の向上に有用な療法として、有料老人ホームやデイケアサービス、病院などで導入され、好評を博している。

同じくリトミックから派生した「シニアサロン」は、中高年世代を対象に希望と元気を生み出すメソッドとして開発され、音楽療法というより、健康増進のために音楽を楽しみながら幸せな気分に浸れる場を提供しようというものだ。音楽好きな仲間が集い、生伴奏に合わせて歌ったり体操したり、「笑いヨガ」で爽快な気分を味わったり……。カラオケと違って生伴奏の場合はみんなが歌いやすいよう、演奏者が即興でテンポを決められるので、誰もが気持ちよく歌えるというわけだ。

シニアサロンは国立音楽院の在校生や卒業生にとっても、好きな音楽を生かして活躍できる格好の場となり、若返りリトミック指導員のほか、生の伴奏や演奏が不可欠なため、ピアノ、ギター、ヴァイオリン、フルート、クラリネット、サックスなど、得意な楽器による音楽プレイヤーへの道も開かれている。

高齢化が進行するなか、こうした「音楽と福祉」に携わる人材へのニーズは、今後、いっそう高まるものと思われる。

「二十一世紀は心の豊かさが求められる時代であり、いまや赤ん坊からお年寄りまで、多くの人たちに心身の安らぎ、あるいは希望や元気をもたらす音楽の力が必要とされています。好きな音楽を通じて心を通わせ、喜びや幸せをお届けする。音楽を志す学生たちが理想とする、そんな働き方も決して夢ではないのです」

こう語るのは、国立音楽院の理事長・新納重臣氏である。

だが残念なことに、大好きな音楽を一生の仕事にしたくても、実際に音楽で食べていくのはむずかしそうだからと、自分の夢をいとも簡単にあきらめてしまう人が多いのが実情ではないだろうか。

たしかに、音楽大学を卒業してもプロの演奏家になれるのはほんのひと握りにすぎない。ほとんどの卒業生は自宅でピアノ教室を開いたり、音楽教師になるなど、限られた選択肢しかなく、音楽とはまったく関係のない仕事に就かざるえないケースがほとんどといってよい。

その点、国立音楽院では創立当初から「好きな音楽を一生の仕事に生かす」ことを基本理念として掲げ、学生一人ひとりの音楽への情熱を仕事につなげるべく、夢の実現を全面的にバックアップしてきた。即興演奏の能力をマスターすることに重点が置かれているのも、音楽のプロとして“現場で使える”人材を育てるためだ。

「音楽を学んでも仕事がないという世間の認識や考えは間違っています。音楽に携わる仕事はいくらでもあるはずです」

新納氏がこう語るように、国立音楽院では、リトミック本科や音楽療法学科など、「音楽と福祉」の仕事に就くための学科にとどまらず、楽器製作やリペア、ピアノ調律、音響デザイン、作曲アレンジなど、いずれも仕事に直結した多彩なカリキュラムが用意されている。

もちろん、シンガーソングライター科やジャズミュージシャン科、ロックプレイヤー科など、プロのミュージシャンをめざす人のための学科も充実しており、講師陣には各分野で活躍する現役のプロが顔をそろえる。

しかも、それらの授業は学科の垣根を越えて、自由に科目が選択できるオープンシラバス制を採用。興味や関心があれば、とことん学べる環境がそろっているのである。

入学に際して試験はなく、年齢や経歴、能力も一切問われない。「好きな音楽を仕事にしたい」という人にとっては、自由にのびのびと学べる、理想的な環境といってもいいだろう。

本書は、「音楽と福祉」を融合させたユニークな事業を展開しつつ、仕事としての音楽の可能性を広げる国立音楽院のさまざまな取り組みや、現場で活躍する卒業生の姿を紹介するとともに、創設者である新納氏の教育理念、音楽哲学に迫るものである。

「自分にとって好きでやりたいことこそ、天命として与えられた『天性』なのです。自分の未来は自分のものであり、天命を素直に受け入れる自分であってほしい」と新納氏は語る。

音楽を愛し、音楽の仕事を志す人たちにとって、本書が自らの進む道を考えるうえでの一助となれば、これに勝る喜びはない。

なお、本文中の敬称は略させていただいたことを、あらかじめお断りしておく。

平成二十四年十月   鶴蒔靖夫




 はじめに


第1章 音楽が持つ力と仕事としての可能性

音楽は人の心を癒す天からの贈りもの
先哲の言葉が示唆する音楽療法の原点
モンテッソーリ教育法との出合い
ギリシャ語の「リトミック」の語感に共鳴
幼児教育に音楽を取り入れた幼児リトミック
アメリカではじまった近代音楽療法
長寿社会でニーズが高まる音楽療法
喜びや感動、元気を与えるのが福祉の真髄
音楽と福祉を結びつけた「忘己利他」の精神


第2章 実践的「幼児リトミック」のパイオニア

音楽を使って豊かな感性や情操を育む
こどもたち一人ひとりの個性を伸ばす指導を
楽譜ではなく、こどもの顔を見ながら音を奏でる
現場実習に徹した授業で仕事につなげる
教育には終わりがないことを実感
仕事に直結する幼児教育関連の資格
親子のコミュニケーションが最高の笑顔を生む
音楽はこどもの豊かな心を育む“魔法”


第3章 心の時代の到来で注目される音楽療法

独自の資格認定で音楽療法士を養成
医療現場でのさらなる普及が望まれる臨床音楽療法
集団作業療法の一環として行われる集団セッション
高齢者のセッションでは大人の空間づくりを意識
音楽療法ならではの隙間のアプローチ
不登校だった少女が就労にこぎつけた例も
音楽療法士は“音楽”をきちんと使えることが基本
介護予防を目的とした「若返りリトミック」
現場での実習経験を経て認定試験にチャレンジ
一時間のプログラムを楽しんでもらうことが大切
一生続けられる仕事にめぐり合う
音楽を通じて福祉の増進に寄与するNPO法人を設立


第4章 音楽の可能性を広げる多彩なカリキュラム

好きな音楽を仕事に生かす
学科を超えて自由に選択できるオープンシラバス
学ぶ人にとってどれだけ付加価値がつけられるか
音楽のプロに求められるのは経験よりも感性
即興演奏を学ぶことで仕事領域が広がる
音楽とともに学べるアートセラピー
名演奏を陰で支える音づくりのプロたち
感動を与える音楽にものづくりで貢献する
演奏もできる管楽器リペアマンを養成
KMA楽器リペア製作工房を運営
音や映像に感性を生かす音響デザイン
プロの作曲家、プレイヤーへの道
二年制修了後は研究科やイギリス留学も


第5章 創設者・新納重臣の半生と音楽への思い

音楽を愛した少年時代
進駐軍のPXで働きながら音楽漬けの日々
生の音楽の素晴らしさにふれる
もって生まれた営業の才に目覚める
ピアノの販売でもトップ営業マンに
発想のヒントは足元に転がっている
音楽教育への足がかりとなった音楽ホーム教室
音楽教育とともに時流をとらえた事業を展開


第6章 心の時代、ますます求められる音楽の力

中高年向けのシニアサロンを開設
気分爽快、笑いに勝る良薬なし!
“稼げる”プレイヤーをめざす
美と健康を意識したリトミックヨガセラピー
インターンシップ制度の導入
日本のリトミックの先駆者としてバンダイとコラボ
“ひらめき”が音楽教育を進化させる


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2017/12/11

『理想の介護を求めて』 前書きと目次

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理想の介護を求めて
~地域と介護を結ぶエフビー介護サービスの挑戦~


著者:鶴蒔靖夫
定価:本体1800円+税
ISBN978-4-87218-393-1
初版発行:2014年2月28日




 はじめに


認知症の介護問題をいち早く取り上げた、有吉佐和子氏の長編小説『恍惚の人』(新潮社)が出版されたのは、昭和四十七(一九七二)年のこと。まだ痴ち呆ほう症と呼ばれていたころだが、社会的にも大きな反響を呼び、当時一四〇万部を売り上げる大ベストセラーとなり、翌昭和四十八年には森繁久彌氏が主演で映画化(監督:豊田四郎氏)もされている。

嫁を中心に自宅で介護に忙殺される家族の姿が描かれているが、多くの人が当時はまだどこか他人事で、介護問題が自分の身に降りかかってくるとは思わず、まして自分が介護される側になるなどとは思っていなかったのではないだろうか。

あれから四十年。当時は若手だった二十代、三十代も続々と高齢者の仲間入りをし、総務省の発表によると、六十五歳以上の高齢者人口は、平成二十四年には過去最高の三〇七九万人に達している。これは総人口の二四・一%にのぼり、国民の四人に一人が高齢者という超高齢社会を迎えているのである。

しかも六十五歳以上の高齢者のうち、認知症の人は推計で一五%いるといわれており、平成二十四年時点で約四六二万人にのぼることが厚生労働省研究班の調査で明らかになった。認知症は生活習慣病などと違って予防がむずかしく、誰もがなりうる病気であり、これといった特効薬も開発されていない。それだけに認知症介護はもはや他人事ではなく、国民の誰もが無関心ではいられない重要なテーマとなっているのである。

こうした超高齢社会や大介護時代を見据え、社会全体で高齢者の暮らしを支えようと、わが国では平成十二年に介護保険制度がスタートした。それにともない、さまざまな業種から多くの企業が介護分野に参入し、全国各地に有料老人ホームをはじめとする高齢者介護施設が次々に建てられてきた。認知症高齢者らが、少人数で共同生活をするグループホームという形態もその一つで、認知症の増加とともに急速に増えている。

平成二十五年十一月に全国公開された映画『ペコロスの母に会いに行く』(監督:森﨑東氏、出演:岩松了氏、赤木春恵氏ほか)は、長崎在住の漫画家、ペコロスこと岡野雄一氏のコミックエッセイを映画化したもので、グループホームで暮らす認知症の母と、その母に会いに行く息子の日常が愛情を込めて描かれている。

『恍惚の人』の時代に比べると、認知症に対する世間の人々の認識も随分変わってきており、介護保険制度により、いまではさまざまな介護サービスを利用できるようになった。

とはいえ、増えつづける高齢者や認知症患者に対し、介護施設の数も介護を担う人材もまだまだ不足しており、社会の仕組みとして決して十分な介護体制が整備されているとはいえないのが実情だ。

認知症も含め、要支援・要介護に認定されている六十五歳以上の高齢者は、平成二十四年四月現在で五三三万人(厚生労働省「介護保険事業状況報告」)にものぼる。政府は高齢者ができるだけ住み慣れた地域で暮らせるよう、医療・介護・予防・住まい・生活支援サービスを一体的に提供する「地域包括ケアシステム」の構築を推進しており、平成二十四年四月施行の介護保険法改正もその実現を念頭に置いた内容となっている。

たとえば、在宅介護を支える二十四時間対応の定期巡回・随時対応サービスや複合型サービスの創設などがあげられる。国の介護政策は医療政策と同様、いまや病院や施設中心の介護から自宅を中心とした住み慣れた地域での在宅介護へとシフトしつつあるようだ。

こうした状況下、長寿日本一の長野県を中心に、群馬、栃木、新潟、埼玉の五県において、介護サービス事業と福祉用具事業を二本柱に、多岐にわたる介護関連事業を展開し、着実に業績を伸ばしているのが、本書で紹介するエフビー介護サービス株式会社(本社:長野県佐久市、代表取締役社長:栁澤秀樹氏)である。

創業社長である栁澤秀樹氏がそれまで勤務していたフランスベッド販売株式会社を退職し、フランスベッドの販売代理店として、前身のエフビー信州を設立したのは昭和六十二年、三十八歳のときだった。事業は順調に拡大したが、母親の認知症介護にかかわったことがきっかけで、介護保険が施行された平成十二年に介護事業に参入している。

当初は前職での経験を生かした福祉用具レンタル事業を基盤に、居宅介護支援事業、訪問介護事業からスタート。平成十四年にエフビー介護サービスに商号を変更し、介護サービス事業を本格化させる一方で、グループ法人として社会福祉法人佐久平福祉会を設立し、栁澤氏は理事長に就任している。

エフビー介護サービスでは、その後、介護タクシー、介護付き有料老人ホーム、住宅型有料老人ホーム、グループホーム、デイサービス、ショートステイ、小規模多機能型居宅介護など、地域のニーズに応えるかたちで積極的に事業領域を拡大。平成二十五年八月からは訪問看護にも乗り出し、訪問リハビリにも対応できる体制を整えている。

佐久平福祉会としては介護老人保健施設、グループホーム、特別養護老人ホームの運営などを手がけ、営利法人と社会福祉法人を合わせたグループの事業所は六〇カ所を超え、利用者数は約二万名に達している。

経営理念の柱に「地域密着、二十四時間三六五日、すぐやる、必ずやる、できるまでやる、すべては利用者様のために」を掲げる同グループは、介護に関する多種多様なサービスを提供。訪問入浴介護以外はそろっているといっても過言ではない。こうした介護サービスをトータルで提供できることが同グループの強みであり、地元・長野県においては、在宅介護と施設介護を有機的に結合させることで切れ目のない支援を行えるよう、ワンストップサービスの確立をめざす。

「われわれが常に心がけているのは、利用者様目線のサービスの提供です。どうすれば利用者様に喜んでいただけるか。自分の親だったらどうしてほしいかといったことも、一つの判断の目安になるでしょう。そして、利用者様はもとより、職員、事業にかかわるすべての人たちの満足を追求すべく、新しいサービスの提供を通じて介護改革を実践していきたいと考えます」(栁澤氏)。

そのためにも理念教育を徹底しているが、栁澤氏は職員に対し、何も特別なことを求めているわけではない。あたり前のことをあたり前にやる。これが同グループのサービスの原点なのだという。

同グループでは介護の基本方針として、個別ケア、認知症ケア、看取りケア、地域ケアの四つを大切にしているが、これからは病院ではなく、自宅や施設など住まいでの看取りが増えていくことが確実視されているだけに、看取りケアの充実には特に力を注ぐ。

超高齢社会を迎え、介護事業でもう一つの重要なポイントが、先にもふれた認知症対応だ。自分の親が認知症になったとき、施設に入れることに後ろめたさを覚える人も少なくないだろう。しかし、グループホームをはじめ、プロの手にケアを委ねることで、認知症になっても楽しく和やかに生活していくことができるのなら、本人にとっても家族にとってもいいことではないだろうか。

また、高齢者が住み慣れた地域で安心して最期まで暮らせるよう、在宅介護を前提とした見守りと支援の仕組みを構築することが重要との考えから、地域包括ケアの中核の一つに位置づけられている小規模多機能型居宅介護事業も強化していく考えだ。

昨今は家族の介護のために仕事を辞めざるをえない“介護離職者”が増えているというが、「通い」「宿泊」「訪問」の三つの機能を備えた小規模多機能型居宅介護事業所は、介護する家族にとっても仕事との両立をサポートする存在となっているようだ。

介護保険制度の施行とともに介護事業に携わって十四年。エフビー介護サービスの利用者第一の経営姿勢と地域密着型のさまざまな取り組みは地元を中心に高く評価され、各施設は常に定員を満たしている状況で、これまで閉鎖に追い込まれた事業所は一カ所もない。利用者満足をとことん追求すれば、利益はあとからついてくるとしながらも、いまでは年間売上高約五〇億円、職員数約一〇〇〇名を数える法人グループに成長している。

今後も介護難民を少しでも減らし、一人でも多くの笑顔にふれるため、介護施設を増やし、訪問介護、訪問看護など在宅ケアのさらなる充実をめざすと同時に、介護職員の雇用を増やすことで社会に貢献していきたいとしている。

栁澤氏は常々「介護スタッフは利用者様を守り、われわれ経営陣には職員を守る責務がある」といっているが、職員を大事にする姿勢は業界他社に比べ、離職者が少ないことにも表れている。

本書は、利用者本位の介護保険サービスを提供することで急成長を遂げてきたエフビー介護サービスグループの事業活動、ならびに創業社長・栁澤秀樹氏の経営理念と介護哲学に迫るものである。

老いは誰にも必ず訪れる。そして、いずれは介護が必要となるかもしれない。人生の最後まで自分らしく生きるためにも、自分はどんな介護を受けたいか。

大介護時代にあっては、国民一人ひとりが真剣に考えておく必要があるのかもしれない。

本書をご一読いただき、介護を必要とする高齢者やそのご家族、あるいは介護業界に携わる方々が、理想の介護サービスのあり方を考えるうえでの一助となれば、これに勝る喜びはない。

なお、本文中の敬称は略させていただいたことを、あらかじめお断りしておく。

平成二十五年十二月   鶴蒔靖夫




はじめに


第1章 超高齢社会と大介護時代に突入した日本

世界に類を見ない速さで進む日本の高齢化
利用者本位のサービスを謳った介護保険制度
厳しい局面に立たされている介護保険財政
地域包括ケアの推進で見直される「互助」の役割
看取りも含め、高齢者介護は在宅中心に
入りたくてもなかなか入れない特別養護老人ホーム
終の住処を施設に求める高齢者も
在宅重視を反映したサービス付き高齢者住宅
介護業界にとって最大の課題は人材不足
東南アジアからの助っ人が頼みの綱?
介護は日本の成長産業になりうるか?


第2章 地域密着のトータル介護サービスを提供 ――エフビー介護サービスグループの事業概要――

長寿日本一の長野県で地域密着型の事業を展開
介護サービス事業と福祉用具事業を二本柱に
地域でのワンストップサービスの確立を
二十四時間三六五日、一貫専任制対応の福祉用具事業
地域に開かれた施設運営をめざす
介護事業では認知症対応と看取りがポイント
地域包括ケアの中核の一つと位置づけられている小規模多機能型居宅介護
介護職の教育訓練・人材養成事業にも着手


第3章 高齢者の自立した生活を支える在宅介護

在宅介護サービスがすべての事業のベースに
一人でどんな状況にも的確な判断力をもって対応
ヘルパーに求められる「気づきの介護」
長く勤めるメンバーの存在こそが何よりの財産
在宅での看取りでは訪問看護と連携
一人ひとりの気持ちに寄り添いながらケアプランを作成
頼りにされていると実感できたときの喜びはひとしお
社内外の多職種との緊密な連携体制を構築
在宅での生活を支援する各種介護サービス
社長の英断で開始した小規模多機能型居宅介護
利用者の生活圏内にある地域密着型サービス
日常生活の自立を助ける福祉用具事業
終わりの見えない介護に相談員としてどうかかわれるか


第4章 高齢者の安心・安全な暮らしを支える入居型施設

安心とやすらぎの介護付き有料老人ホーム
低料金を実現した住宅型有料老人ホーム
地域特性を考慮した施設づくり
入居者一人ひとりに寄り添いながら看取りまで
認知症の方の生活を支援するグループホーム
自宅にいるのと変わらない生活空間に
楽しい日々を演出する多彩なアクティビティ
行事は利用者と職員が一緒になって楽しむ
特別養護老人ホームに対する従来のイメージを払拭
安らかな旅立ちを迎えられるよう多職種と連携
スタッフ全員に理念の浸透をはかる


第5章 創業社長・栁澤秀樹の経営理念と介護哲学

農業後継者となる道を断念し営業職へ
フランスベッド時代に培われたマネジメント力
全員がゼロから手探りでのスタート
「すべては利用者様のために」
接遇こそがサービス業の原点
介護では人間性が何より重視される
理想のリーダーに求められる徳や人間性
中間管理職の人心把握がマネジメントの要
「一つ叱って三つ褒める」を実践
東日本大震災では職員を復興ボランティアに派遣
介護事業は一にも二にも人材がすべて


第6章 エフビー介護サービスが描く未来像

海外事業を経営の「第三の柱」に
中国の富裕層が日式介護に熱い視線
海外進出により介護人材の逆輸入も
フードサービス事業などの新領域を開拓
介護改革でさらなる社会貢献を
一人でも多くの笑顔に出会うために

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『ベストケアの挑戦』 前書きと目次

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ベストケアの挑戦
~利用者の真の欲求をかなえるリハビリ型介護サービス~


著者:鶴蒔靖夫
定価:本体1800円+税
ISBN978-4-87218-403-7
初版発行:2014年12月5日




 はじめに


幼子が日に日に成長する姿というものは、親でなくとも目を細めたくなるものだ。昨日まで歩けなかった赤ん坊が、今日はよちよちと歩き出し、ついこの間まで自分で着替えることができなかった子どもが、いまでは一人できちんと着替えることができるようになる。日ごとにできることが多くなり、理解できることが増えていくのが子どもの成長というものだ。

そんな幼子とは対照的に、人は老いていくと、いままであたり前のようにできていたことが、次第にできなくなっていく。若いころは、何キロ歩いても平気だった足腰の丈夫な人でも、老いれば足もとがおぼつかなくなる。記憶力に自信のあった人でさえ、物忘れが増えていく。それが“老い”というものの現実だ。どんなに憂いても、生きていくかぎり、われわれは“老い”を避けることはできない。それは、かつて存分に青春を謳おう歌かしてきた団塊の世代も例外ではない。彼らのもとにも“老い”は着実に忍び寄っているのだ。

だが、われわれには“老い”を回避することはできないが、その歩みを遅らせることはできる。そのカギを握るのが「リハビリ」である。リハビリというと、ケガによる骨折や脊せき髄ずい損傷、あるいは脳卒中などの疾患により生じた機能障害を回復させるためのものを思い浮かべる場合が多いだろう。

しかし、それだけではない。老化にともなう諸機能の低下においても、リハビリは大きな効果を期待できるのだ。若いころと同じとはいかないまでも、正しいリハビリは、心身の老いのスピードを遅らせてくれる。高齢者の暮らしの質を維持するうえで、とても有効な手段なのだ。

たとえば、「背中を掻く」という、若いころなら難なくこなせた行為でも、高齢者の多くは腕が回らなくなり、自分ではできなくなってくる。考えてみていただきたい。背中がかゆくなっても、自分で掻くことができないという現実が生む、はかりしれないストレスの大きさを。かゆみを覚えるたびに、人の手を借りなければならないとなれば、それは日常的に介護する側にも、大きな負担を強いることにもなってしまう。そんな状態は、本人にとってもつらいはずだ。

しかし、リハビリによって、孫の手を使い、自分で背中を掻くことができるようになれば、介護をされる側もする側も、ずっと楽になるだろう。

背中を自分で掻く──。些さ細さいなことではあるが、それが可能になるだけで、暮らしの質は大きく向上できる。そういった意味で、介護におけるリハビリの重要性を、私たちはもっと認識する必要があるはずだ。

総務省の発表によると、わが国の高齢者人口は過去最高の三一八六万人に達した(平成二十五〈二〇一三〉年九月十五日現在推計)。これは総人口の二五・〇%にあたり、国民の四人に一人が高齢者ということになる。すでに四七都道府県すべてにおいて六十五歳以上の老年人口が〇~十四歳の年少人口を上回っている。まさに日本は、世界でも類を見ない、超高齢社会となったのである。

人はいくつになっても、健康で自立した生活を送りたいと願うものだ。しかし、年齢を重ねるにつれ、有病率は高まり、身体機能も衰えてくる。実際、七十五歳以上の後期高齢者になると、介護を必要とする割合はぐんと高まる。人の手を借りずに生活を送ることが、次第にむずかしくなるのは、どうあがいても否めない。つまり、超高齢社会がますます進む今後の日本社会では、介護におけるリハビリの重要性が、いっそう高まるのは間違いないということだ。

現在のような超高齢社会の到来を見据え、平成十二年に介護保険制度がスタートし、早十四年が経つ。その間に、高齢化は想定を上回るスピードで進み、要支援・要介護認定者は当初の二・五倍以上にあたる五六四万人(平成二十五年四月末現在)に増加し、介護費用も三・六兆円から九・四兆円にまでふくれ上がった。

加えて、団塊の世代が七十五歳を迎える「二〇二五年問題」だ。現在の後期高齢者の割合は、国民の九人に一人近くであるが、団塊の世代が後期高齢者の仲間入りをすれば、一気にその割合は増え、なんと国民の五人に一人近くになるといわれている。そうなれば、当然、介護費用の増加も懸念され、その額は二〇兆円に達すると見込まれているのだ。このまま費用がふくらみつづけたら、公的介護保険制度は社会情勢にそぐわない、死に体の制度となってしまいかねない。

そこで政府は、介護保険制度の抜本改革に着手する方針を打ち出した。平成二十七年四月には、利用者の負担増や要支援者向けサービスの市町村事業への移管など、これまでにない、大幅な改正が行われる見通しとなっている。

このように、介護を取り巻く環境が大きく変化しつつあるなかで、リハビリ型デイサービスを中心に、独自の高齢者自立支援システムを構築し、着実に業績を伸ばしているのが、本書で紹介するベストケア株式会社(本社:愛媛県松山市、代表取締役社長:山田哲氏)である。理学療法士である同社代表取締役社長・山田哲氏は、病院勤務を経て、介護保険制度が導入されたのを機に、リハビリの考え方を取り入れた、介護サービス事業を手がけるべく、平成十一年七月、三十五歳の若さで独立・起業を果たした人物である。

設立から十五年、デイサービス、ホームヘルプサービス、ショートステイ、福祉用具レンタル、居宅介護支援、シニア向け娯楽施設の運営など、在宅介護支援の深耕に徹しつつ、事業分野と事業エリアを拡大し、ベストケアは現在、八都県に介護サービス事業所を三〇カ所、従業員六五〇名を擁する企業へと成長している。

同社がモットーとするのは「心を大切にする介護」である。ここでいう「心」とは、幸せを求める気持ちだ。この根底にあるのは、利用者が本当に望む幸せのかたちは、それぞれ違うものなのではないか、という考えである。つまり、「介護する側が幸せになりたいと願う利用者の立場に立って考え、一人ひとりのためにそれぞれの幸せを提供できなければ、真の介護サービスは実現できない」という信念が、「心を大切にする介護」という一文に込められているのである。

そして、利用者が幸せになるためには、介護にあたるスタッフも幸せであるべきだとの山田氏の考えから、「利用者を幸せに、職員も幸せに!」を経営理念の第一に掲げている。山田氏は、「介護は単なる作業の提案ではなく、高齢者に感動体験を与え、新しいかたちの価値を提供することである」とも語っている。その思いを具現化したのが、デイサービスにおける「ベストケア・リハビリメソッド(BRM)」と称する、独自の支援プログラムだ。

前述のように、従来はリハビリといえば機能訓練中心の“医療リハビリ”が主体だったが、このメソッドでは、利用者一人ひとりの「こんな生活を送れるようになりたい」という真の欲求を引き出し、それをかなえるための動作練習に重きを置いた“介護リハビリ”という、新しいカテゴリーを構築した。個々の利用者の自立を目標とする、オーダーメイドのリハビリを行うことで、一人ひとり、幸せが実感できる生活へと導いていくというものである。

競合ひしめく介護業界にあって、同社が急成長を遂げてきた要因としては、こうしたリハビリを取り入れた独自のビジネスモデルで、他社との差別化をはかってきたことがあげられるだろう。特に最近では、要介護度を上げないようにするための予防を視野に入れた機能訓練の重要性が認知されてきたため、リハビリに特化した介護サービスというものが、時宜にかなったようだ。

加えて、山田氏は人材採用へのこだわりを強調する。介護事業は介護をする人、される人の人間関係がベースになっていることはいうまでもない。そこで、採用にあたっては、設立当初から一貫して「人に好かれるタイプかどうか」を最も重視してきた。そのこだわりの積み重ねが、明るく、笑顔にあふれた社風を育はぐくみ、ベストケアの大きな強みとして現場に生きているのだという。

今後は、高齢者人口の急増が見込まれる首都圏での展開を加速させていく同社がめざすのは、日本一のサービスを提供することだ。そして、ハイレベルなベストケアのサービスが、日本の介護のスタンダードになることをめざし、高いクオリティの追求と、絶対的な信頼を得ることに尽力していきたいと、山田氏は抱負を語っている。

本書は、利用者の真の欲求をかなえる“介護リハビリ”を中心とした、ベストケアの事業活動を紹介するとともに、同社社長・山田哲氏の経営理念、介護事業にかける熱い思いに迫るものである。

人生の最後まで自分らしく生きるという、ささやかな、しかし実現するのは決して容易ではない願いをかなえるためには、避けることのできない“老い”に正面から向き合わなくてはならない。そして、人生の最終章において、どのような生活を望んでいるのか、私たち一人ひとりが自分自身の胸によく聞いておくべきだろう。そのうえで、理想的な人生のラストステージを実現するのに欠かせない“介護リハビリ”というものに関して、いま一度、真剣に考えておかなくてはならないのではないだろうか。

これは、介護事業に携わる人のみならず、これからの超高齢社会を生きるすべての人にとって、貴重な指針の書となるであろう。

なお、本文中の敬称は略させていただいたことを、あらかじめお断りしておく。

平成二十六年十月   鶴蒔靖夫




はじめに


第1章 超高齢社会の進展と、介護サービスの現状

国民の四人に一人が高齢者という超高齢社会に突入
高齢化の急激な進展に追い打ちをかける「二〇二五年問題」
大幅な改正が行われる介護保険制度
介護現場における最大の課題は人材不足
「老老介護」や「介護離職」に見る厳しい現実
高齢者の自立を支援する各種在宅介護サービス
生活の質の向上を目的としたリハビリの重要性


第2章 「心を大切にする介護」を提供するベストケア

在宅介護支援の深耕に徹した六つの事業領域
八都県で三〇カ所の介護サービス事業所を展開
高齢者の自立支援を第一に考えた経営を実践
リハビリに重きを置いた独自のビジネスモデルを構築
介護サービスを通じて高齢者に感動を与える価値を提供
みんながより幸せになれるサービスのあり方を追求
圧倒的なまでに高いクオリティと絶対的な信頼を


第3章 一人ひとりの欲求を満たす「BRM」

継続的な在宅介護に不可欠なレスパイトケア
機能訓練中心の医療リハビリからの脱却
介護リハビリという新カテゴリーへのチャレンジ
マズローの欲求五段階説に着目したリハビリメソッド
BRMの基本的な概念を全社員で共有する
三つのステップと五つのステージで意欲を引き出す
「こんな生活を送りたい」という自己実現をサポート
アフタヌーンサービスでワクワクするような時間を


第4章 利用者との心の絆こそがベストケアの宝物

ベストケアの精神を伝えるショートムービー
張り切りすぎてしまった運動会
第一回BRMコンテスト優勝――「夢は叶う」デイサービスセンター安佐南
「あなたがいるから、ここに来たくなる」という言葉が励みに
歩けるようになりたいという思いを込めた詩に感動
まだまだある、心温まる「ちょっといい話」


第5章 山田哲の経営理念と介護哲学

理学療法士として病院勤務を経て三十五歳で起業
苦境を乗り切らせた事業への熱意
「利用者を幸せに、職員も幸せに!」を経営理念に掲げる
人物重視の採用へのこだわり
人事管理体制の整備とガバナンスの強化を徹底
My CompanyからOur Companyヘ
座右の銘は「濃度の“こい”人生を送る」
独立していくスタッフに贈る「社長の心得」


第6章 ベストケアが描く介護事業の未来像

東京本部を設置し、首都圏での展開を加速
事業規模ではなくサービスの中身で日本一をめざす
団塊の世代の多様な価値観に対応した新サービスを
要介護になる前の介護予防サービスに注力
理想の介護の実現を後進に託す
地域包括ケアの中心的な役割を担う存在として
利用者の人生にかかわることの喜びと責任を胸に

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2017/06/22

『ジェロントロジー』 前書きと目次

Jerontoweb


ジェロントロジー
 ~未来の自分はいまの自分からつくられる~


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著者:山野正義
定価:本体1500円+税
ISBN978-4-87218-408-2
初版発行:2015年5月15日
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  はじめに

高齢者が多数となる社会とは、どのようなものなのか。
また、そうした社会を生きるうえで、私たちはどのような考え方をもち、どのような生き方をすべきか。

これらをすべての世代に共通するテーマとして捉え、研究する「ジェロントロジー」という学問を、前著『生き方の革命』(IN通信社)で日本の読者に紹介したのは平成二十四年のことである。団塊の世代がいよいよ六十五歳の高齢世代に入るという節目の年であり、山野学苑でジェロントロジーの講座がスタートした年であった。

あれから三年が経ち、平成二十六年の敬老の日に発表されたデータでは、六十五歳以上の人口は約三三〇〇万人。これは、日本の総人口の約二六%にあたる。いずれも過去最高の更新である。

ジェロントロジーとは、一九七〇年代から発展した学問で、日本語でいえば老年学や加齢学にあたる。その定義は「生涯にわたる人間の発展と加齢の研究。老化にかかわる諸問題について、医学・心理学・経済学など多くの学問分野の連携によって解決を探究する学際的な学問」とされ、豊かで幸せな高齢社会の実現を命題にしている。

現在、世界一六七か国の大学やシンクタンクで研究活動が推進されているジェロントロジーは、世界一の高齢社会である日本にとってこそ最も必要なものと思われるが、閉塞的な大学の構造が学部の壁を越えた学問を敬遠してきたのか、日本にはずっと〝輸入〟されないままだった。

そうしたなかにあって、その態勢に風穴を開けるべく先端的な教育活動を行っているのが学校法人「山野学苑」だ。世界最高レベルともいわれるアメリカ・南カリフォルニア大学デイビス校ジェロントロジー学部の講座を、オンラインシステムを用いて配信するという画期的な手法を用いたことで注目されている。インターネットを使える環境にあれば、学生はいつでもどこでも世界最先端の研究成果を受講できるのである。
 
山野学苑と南カリフォルニア大学(USC)が提携したのは平成二十年のことだ。

幸せな高齢社会をめざすには美容の力が必要不可欠であるという認識のもと、私たちはお互いのもてる知恵と技能を最大限に分かち合うことを約束し、日本人に向けた教育プログラムの共同開発に取り組んだのである。

人は誰でも美しくなることを願っている。美しくなる権利をもっている。そして美しくあろうとするのは、生きる歓びの表現にほかならない─これは山野学苑の創始者・山野愛子がいつも語っていた言葉である。

山野愛子は美道の理念である「美道五大原則=髪・顔・装い・精神美・健康美」を打ち立て、内面の美と外面の美を高い次元で一致させる重要さを生涯訴え続けた。そこには、美しさの解放によってすべての人々が幸せにあれという、願いと愛が込められている。

この人々への貢献と人間尊重というスピリチュアルな追究が、今日、ジェロントロジーとコスメトロジーを結びつける原点になっていることはいうまでもない。

急速に進む高齢化は、社会のしくみや法制度はもちろん、地域社会のコミュニティ、医療体制、家族関係、住環境……、あらゆる構造を変えていく。ライフスタイルもファッションも、生きる目的すら変わっていく。

そうした、これまで誰も体験したことがない社会で、どのような〝老後〟を送ることになるのか。

今、老後について考えるとき、頭をよぎるのは年金や介護への不安、認知症、老老介護、孤独死などといったネガティブな単語ばかりかもしれない。

しかし、総務省の「統計からみた我が国の高齢者(六十五歳以上)―「敬老の日」にちなんで―」(平成二十六年)によると、高齢者の就業者数は一〇年連続で増加し、平成二十五年には六三六万人と過去最多、就業者総数に占める割合は一〇・一%と過去最高となった。高齢者から現役世代への知恵、知識の伝授は重要であり、何より医療・介護費抑制にもつながることから、〝元気高齢者〟であること自体が大きな社会貢献にもなっているのだ。

とはいえ、人生八〇年時代の長い〝老後〟がどんな日々になるかは、ひとえに若いころからの準備や考え方にかかっている。そして、よりよい老後を迎え、人生を生き切るために、ジェロントロジーは間違いなく役に立つものだと確信している。

USCのある教授は、こんな表現で伝えている。

「私たちは年齢と呼ばれる時間の冒険旅行をしています。高齢者はあなたと同じ旅路のずっと先にいるだけのことなのです」

あらゆる学問を総合したジェロントロジーは、人間とは何か、生きるとは何かという、永遠のテーマを探究する学問でもある。

この本では、そうしたジェロントロジーの基本をおさえながら、講義の内容についてもわかりやすく簡略に紹介したい。

またもし、私自身の発言のなかで、あなたの生き方、考え方のヒントになるものがあれば、どんどん吸収していただければ幸いである。

高齢者のいちばんの持ち物は経験に裏打ちされた知恵であると、ジェロントロジーの研究者は指摘している。本書を読んでいただいたみなさん一人ひとりの経験に裏打ちされた知恵を、次の世代の人たちに伝えていくことは、人生の先達としての義務でもあると思う。

そしてそれは、より豊かな老後を送るうえで間違いなく必要なことだと、私は本書を執筆していて実感した。

この本を通して、一人でも多くの人にジェロントロジーを学びたいと思っていただければ、これほど嬉しいことはない。それが明るい高齢社会の未来を創る一歩になると信じているからだ。

  平成二十七年三月  山野正義


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はじめに


第1章・これからの高齢社会と高齢者像

老いを学ぶことは、人間そのものを学ぶこと 
日本にとって最も必要な学問 
生活のあらゆる面にかかわるジェロントロジー 
コスメトロジーとの融合で始まる新しい学問 
テーマは「生きるほどに美しく」 
「高齢者」の固定観念を変えていく 
山野愛子はジェロントロジーがめざす高齢者像だった 
福祉におもてなしの心をとりこんだ美容福祉 
リタイア後の人生を豊かなものにするために 
あなたはどんな老人になりたいですか 


第2章・日本のジェロントロジー普及に向けて (ジェロントロジー入門)

オンラインシステムで学ぶジェロントロジー 
いつでも・どこでも・何度でも 
世界の英知を結集したレッスン 
理解の度合いを確かめるきめ細かな工夫 
USCがジェロントロジーに取り組んだ理由 
学部の壁を取り払った東京大学 
山野学苑だからこそ可能なこと 
〈カテゴリーⅠ/身体編〉―――――
〝正常な老化〟とは? 
老化による一般的な変化 
運動が老化を予防する 
〈カテゴリーⅡ/精神編〉―――――
鬱病とストレス 
誰もが発症しうる認知症 
高齢者とのコミュニケーション 
〈カテゴリーIII/社会編〉―――――
介護がもたらす家族への影響 
高齢化で変わる家族のありよう 
高齢者の暮らしをサポートするテクノロジー 
ジェロントロジーを特に勧めたい職業 8


第3章・美容の力が高齢社会を豊かにする

美容福祉の真髄、生きるほどに美しく 
ジェロントロジーとコスメトロジーを結びつけた「美道五大原則」 
ジェロントロジー委員会の立ち上げ 
美容福祉がめざしてきたもの 
社会的にも認知された美容福祉 
幅広い社会貢献のできる美容福祉師 
すべての美容師に必要不可欠なジェロントロジー 
基本は人とのつながりを求める人間の心 
外見が変わると心が変わる 
第三者を意識することは生きがいの基本 
東京大学とQOLに関する共同研究 
癌患者の〝生きる〟を支える美容 
忘れてしまった健康な部分に光をあてる 
美道は人々を幸せにする 


第4章・美容福祉が担う地方創生とジェロントロジー

身のまわりからのパラダイムシフト 
美容師を地域コミュニティづくりの切り札に 
本物のコンシェルジュになるための再教育構想 
美容室とコミュニティセンターの一体化が地域活性化のカギ 
地方創生でピンチをチャンスに 
孤立は個人の問題ではなく地域全体の問題 
高齢者は地域を守る主役 
国への提案、地方創生の成功へのカギ 
健康づくり大学との連携 
高齢者にやさしい街づくりが地方創生を牽引 
〝お互いさま〟の精神とノーマライゼーション 


第5章・老いてなお輝くアクティブエイジング

ジェロントロジーの体現者・一〇三歳の日野原重明先生 
サクセスフルエイジングからアクティブエイジングへ 
生きがいがアクティブエイジングを引き出す 
健康年齢の延長が重要 
人の心は発達し続ける 
成人後も成長する脳細胞 
知恵が与えられるということ 
ドキドキワクワクのときめきが大事 
老いてなお輝くために 
自叙伝を書くということ 
「老年的超越」長寿の幸福感 
注目されるブルーゾーン 


最終章・死を見据え、生き切る人生を

未来を意識した選択を 
必要なのは死との折り合いをつけていくこと 
尊厳に満ちた最期を迎えるために 
本当の終活とは 
気づきを経験した受講生たち 
高齢化対策に哲学を 
一〇〇年後の高齢社会とは 
自分自身の第三の人生 
すべての人に生き切る人生を 


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『薬局新時代 薬樹の決断』 前書きと目次

Yakujuweb


薬局新時代 薬樹の決断
 ~「まちの皆さま」の健康を支えるために~


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著者:鶴蒔靖夫
定価:本体1800円+税
ISBN978-4-87218-409-9
初版発行:2015年6月22日
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 はじめに

医師の処方せんを扱う調剤薬局が一般的になり、医薬分業率が七〇%近くに達している現在。

最近は「医薬分業は国民のためになっているか」という再点検の声が、医療関係者だけでなく行政サイドからも起こり、メディアでもとりあげられるようになってきた。

先日、テレビ東京の経済情報番組「ワールドビジネスサテライト」(WBS)でも、「医薬分業は誰のため~患者負担をどう軽減するか」というタイトルで、医薬分業に関する特集が放映された(平成二十七年三月十七日)。患者目線で医薬分業をもう一度考えてみるべきという提言が盛り込まれた内容で、院内処方に戻した医療関係者や患者が主な発言者となっていた。調剤薬局には厳しい印象があったが、そのなかで薬局の新しい役割を打ち出す実例として紹介されたのが、「訪問薬樹薬局瀬谷」の薬剤師の活動である。

訪問の薬剤師は、在宅治療の患者をケアするチーム医療のメンバーの一員である。在宅治療のがん患者の家にあがり、「お薬はうまく飲めていますか?」と同じ目線で確認。上あごを切断したという女性患者が「大丈夫」という表情でうなずくと、症状を見ながら一つひとつの薬の説明に入る。患者の家族は「月に一回訪問される薬剤師さんには、いろいろ勉強させてもらってありがたい」と、安心した様子で語っていた。

番組のコメンテーターである大和総研チーフエコノミスト・熊谷亮丸氏は、調剤室から飛び出した新しい薬局の手ごたえを感じたのだろう。「やる気のある、ああいう薬局が伸びていくような、そんな世の中にしなければいけないですね。付加価値のあることが必要だと思います」と感想を述べた。

本書でとりあげるのは、この訪問薬局を運営する「薬樹株式会社」。新しい理念と提案を掲げ、地域社会と共に歩む二十一世紀型の薬局である。

薬樹の代表取締役社長・小森雄太氏は、

「薬を売ることより健康を守ることが、本来、薬局の果たす役割です。実績を積み上げて、頼りになる存在として地域に根ざしていく必要があると思います」

とコメントした。

小森氏は本書の中心人物で、医療人としての自覚を強く持ち、かつ経営者としても次世代を見すえた発想力と行動力を堅持。薬局のあるべき姿を追求し、成長力ある事業を次々と展開している人物である。

番組のテーマは、医薬分業における患者の自己負担の実態に関してであったが、在宅医療の現実と支援の様子が強く印象に残るものとなった。

薬樹株式会社は、首都圏を中心に一都五県に調剤薬局を約一五〇店舗展開している企業である。

調剤薬局は現在、全国に約五万五〇〇〇店ほどもあり、その数はコンビニエンスストアを上回っている。全国展開している企業もあり、調剤市場は六兆円超えという一大マーケットとなっている。

そのあまたある薬局のなかでも異彩を放っているのが「薬樹株式会社」であることは、ずいぶん前から意識していた。

昭和三十九年生まれ、経営者としては若い五〇歳の小森氏は、創業者である父親の侃氏から受け継いだ薬樹株式会社に独創性と近代性による改革を遂行し、新しい薬局をめざして挑戦を続けている渦中にある。

ダイナミックな動きのなかで、現在のスタンスを最も簡潔に表していると思われるメッセージはこれである。

「薬樹は、あえて全国展開はせず『地域に根ざした薬局』をめざしています。単に処方せんに従ってお薬を提供するだけでなく、一歩進んで地域の皆さまの健康なライフスタイルの実現をサポートしていきます」

ここには、これからの超高齢社会にとって重要な、三つのコンセプトが提示されている。①地域密着、②処方せんがなくても気軽に入れる薬局、③地域のヘルスケアの中心的役割、の三点だ。

そのコンセプトを具現化すべく打ち出したのが、薬局であることの原点とも言える「健康ナビゲーター」宣言(健ナビ宣言)である。

平成二十一年から出店を開始した「健ナビ薬局」の特色は、管理栄養士が店の顔となり、食生活や生活習慣の改善の指導にあたること。薬剤師と管理栄養士の連携によって、一人ひとりに合った健康プランを提供し、地域の健康度アップに貢献しようというものである。六年目を迎えた現在は「健ナビ薬樹薬局」として各地域に定着し、管理栄養士のアドバイスを受けるため、わざわざ電車に乗って訪れる客も少なくないという。「かかりつけ薬局」として地域の予防・未病の拠点に育っていこうとしている。

健康ナビゲーターの役割でもうひとつの柱となっているのが、テレビ番組でも扱った在宅医療である。薬剤師による在宅医療は、始まって間もない分野と言ってよく、手がけている薬局はまだ少数である。薬樹は平成二十二年から訪問健ナビ薬局として先陣を切るかたちでスタートし、現在「訪問薬樹薬局」として首都圏に三店舗を展開している。

注目すべきは、ターミナルケアを中心に居宅をまわるという業態である。残された日々を自宅で過ごす患者と向き合い、「最後の薬剤師」として触れ合う体験は、医療人としても人間としても大きな影響を受ける。本文中には訪問薬樹薬局の立ち上げからかかわってきた薬剤師の証言を掲載したが、生と死の最前線で訪問医師や家族、患者の間で交わされるやりとりは、重たい感動を伝えるものである。

つながりを持った人々の一生を丸ごと看ようという小森氏の思いは、地域に根ざした医療人の覚悟と言えよう。

薬樹の理念(薬樹では「〝進〟理念」と言う)は、

「まちの皆さまと共に、健康な毎日をつくり笑顔とありがとうの輪を広げる」

である。小森氏の魅力は、こうした「深さ」と同時に「広さ」をいかんなく発揮しているところにある。

健康へのこだわりは、突き詰めると個人の健康だけにとどまらないとして、小森氏が生み出したのは「健康な人、健康な社会、健康な地球」のすべてを包括した「健康さんじゅうまる」という概念であった。

「地域社会や自然環境という広がりのなかでとらえ、これらすべてが満たされていることが真に健康な状態」と小森氏は提言する。

「健康な社会」「健康な地球」をめざして、薬樹グループではそれぞれ特色のある取り組みが行われているが、代表的なものは、地域の障がい者が働く「特例子会社・薬樹ウィル株式会社」であろう。そこで働く障がい者たちの存在を通して社員たちがやさしさを取り戻していくという話は、現代社会に貴重な示唆を与えると思う。

また、「健康な地球」をめざして立ち上げたNPO法人「Liko‐net」と「スロースタイル薬樹薬局Liko」は、商品を購入することで地域や地球への貢献ができるという新しいライフスタイルを提唱している。東京の麻布十番にある「スロースタイル薬樹薬局Liko」では、地球にやさしい商品の販売と共にエコ関連のイベントも頻繁に行われ、地域の人たちにとって自然との共生を再考する大事な場所になっているという。

そうした「深さ」と「広さ」に加え、「新しさへの挑戦」も忘れてはならない要素である。

三菱商事との業務・資本提携を皮切りに推し進められている、異業種・異業態とのアライアンス。サプライチェーンの全体最適化をめざして開発・導入した業務サポートシステム「PRESUS(プレサス)」は、日本初の薬局版POSシステムとして話題を呼んだ。システム導入にいたる経緯はまことにドラマチックであるが、小森氏もスタッフも、よくこれほどの困難に合いながらも撤退しなかったものだと感心させられる。変わることへの恐怖に立ち向かい、それを乗り越える様子は、ぜひ本文を読んでもらいたい。

小森氏の話を聞きながら幾度も浮かんできたのは、「まちの小さな薬局から、新しい風が吹いている」という印象であった。地域医療に携わる薬局は、社会インフラの一環を担っているという強い自覚。薬局の職域として、日本の社会保障制度を守る責務があるという深い認識。

外に向かって挑戦を続ける薬樹は、新しい薬局のかたちを見せると同時に、新しい社会に向けた啓発と連帯の種を振りまいていることを実感する。

本書は、薬樹株式会社の事業活動を紹介すると同時に、小森氏の理念、足跡に関しても詳しく語っている。親子二代にわたる型破りな人間ドラマを存分に味わってもらいたい。

同時に、医薬品関連の事業に携わっている人のみならず、過渡期を迎える医薬分業を窓口にして超高齢社会のあり方を考えていく、貴重な指南の書となるであろう。

なお、本文中の敬称は略させていただいたことを、あらかじめお断りしておく。

  平成二十七年五月  鶴蒔 靖夫


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はじめに


第1章 超高齢社会に求められる薬局・薬剤師の役割

社会保障にとって最大のヤマ場「二〇二五年問題」
地域かかりつけ推進改定と受けとめる 
医薬分業、日本の歴史はまだ四〇年 
薬局の店舗数はコンビニエンスストアよりも多い 
医療提供施設のひとつとして位置づけられる 
調剤医療費の増加と批判 
医薬分業のそもそもの目的とは 
門前薬局型ビジネスモデルの終焉 
六年制の薬剤師の時代に 
地域包括ケアシステムにおける薬剤師の役割 
薬局にしかできないことを追究 


第2章 地域のかかりつけ薬局に ~次世代型薬局・健康ナビゲーター

まちの健康ナビゲーター、健ナビ薬樹薬局 
管理栄養士常駐の画期的スタイル 
「クスリ屋」から「健康支援」へ 
産みの苦しみを経て誕生した「健康ナビゲーター」 
五年間は学びの時期、毎年二割の成長
手本も何もないところから始まって 
『健康ごはん』出版、管理栄養士の奮闘は続く 
地域の健康をサポート、薬不要になるのを喜ぶ薬局 
調剤業務に特化した薬樹薬局、健ナビ薬局との連携 
在宅医療に薬剤師が加わりはじめた 
最も困難なターミナルケアから始めよう 
二四時間、三六五日態勢の在宅医療 
チーム医療に携わる一員として、命と向き合う薬剤師 
その人らしい逝き方を支える使命 ― 訪問薬剤師第一号・永瀬航の話 
訪問栄養士の役割とユニークな見守り 
東日本大震災の試練を通して薬剤師と管理栄養士が認め合う 
原点回帰 ― 地域のかかりつけ薬局として 


第3章 薬樹の理念 ~さんじゅうまる・エコ活動・オハナ

全一四七店舗のリニューアル、新生薬樹に込められたもの 
「健康さんじゅうまる」とは 
「健康さんじゅうまる」のもとで取り組むさまざまな事業 
すべての人と家族であり仲間である「オハナ」 
「クレド」に掲げられていること 


第4章 革新的システム実現による次世代型薬局の姿

国民を驚かせた「くすりの福太郎」事件 
オペレーションシステム「PRESUS」の効果と特徴 
在庫確認と発注作業は職人技の世界だった 
早い時期から取り組んできた業務効率化、PRESUSに変えることに全員が反対 
混乱を乗り越え、もう元には戻れない 
PRESUS導入後のメリット 
PRESUSを広めるのは私企業の利益を超えた社会正義ゆえ 


第5章 小森父子、二つの異なる個性が飛翔の力を生んだ

薬剤師のいない薬局、誕生 
ドクターと連携、新しい調剤薬局スタート 
社名は「薬樹」に決定、命名者へのお礼はクロスの万年筆 
「八・九・一〇」の符号 
ケンカあり家出あり、自立心が生んだ反抗の少年時代 
推薦で日大薬学科へ 
大学院では死に直面し、MR時代は人間の普遍的欲望を知る 
三〇歳を機に武田薬品を退職し薬樹へ 
異様で不思議な会社だった薬樹 
貸し剥がしにあい、綱渡りの日々 
「やらない」と決めたこと 
放浪の日々、今日はどこへ行こうかと 
二度目の「八・九・一〇」 
広さと深さ 


最終章 人を育て地域を守り健やかな社会をつくる薬樹

日本の医療問題を解決するキーパーソンとして 
未病・予防への働きかけ 
異業種との連携 
変えるべきことと守るべきこと 
障がい者も地域を構成する一員として迎えて 
志を同じくする人財にきてほしい。チームづくりの第一歩は「共感」 
近未来の薬局はドラスチックに変化する 
まるごと一生お世話をするのが地域の薬局の責務 


◦コラム◦
《顧客の懐深くまでかかわっていく》 神奈川事業部 事業部長 吉田圭吾  
《一人前になるためのお膳立てをするのが自分の役割》 東京事業部 事業部長 町田剛  
《自らのキャリアをデザインし実行できるスペシャリストの育成を》 常務取締役 吉澤靖博  
《元祖・健ナビ、健康さんじゅうまる》 NPO法人Liko‐net理事長 照井敬子  
《PRESUS導入奮闘物語》 情報本部 本部長 兼 営業推進本部 本部長 金指伴哉  


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2017/06/21

『心で寄り添う“終の住処”』 前書きと目次

Tsuinoweb


「先生方」への感謝と尊敬
心で寄り添う“終の住処”
 ~高品質の住まいとサービスで最高の顧客満足を~


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著者:鶴蒔靖夫
定価:本体1800円+税
ISBN978-4-87218-415-0
初版発行:2015年11月2日
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 はじめに

日本が超高齢社会に突入したのは、2007年のことだ。全人口に占める65歳以上の人の割合、いわゆる高齢化率が21・5%になったことが、危機感を持って伝えられた。そして2014年10月1日現在、高齢化率は約26%と過去最高を記録した。

国は、世界に類を見ないスピードで進む高齢化に懸命に対応しようとしているが、次々出現する問題に、なかなか追いついていけないのが現状である。

高齢化とともに進む少子化により、家族の形態が変わるなか、老老介護や一人暮らしの世帯は増えていき、孤独死の報道にも「他人ごととは思えない」という声が聞こえてくる。

特別養護老人ホームに入所できない高齢者は、全国で52万人以上にのぼると言われている。つまり、待機高齢者の数は、昨今問題視されている待機児童の数より、10倍以上も多いのだ。

老後をどこですごすのか。高齢社会の最大の課題は、「終の住処」をどうするかということにある。家族で支えきれない高齢者の受け皿づくりは、官民をあげて早急に取り組まなければならない課題である。

そこで近年、クローズアップされているのが、「サービス付き高齢者向け住宅(サ高住)」である。

サ高住とは、安否確認や生活相談などのサービスが付いている、高齢者向け賃貸住宅のこと。対象は60歳以上の単身・夫婦世帯で、高齢者の居住の安定を確保することを目的としている。国土交通省と厚生労働省が共同管轄するという異例の連携で、2011年4月から制度が施行された。

最大の特徴は、建物賃貸借契約を結ぶことで入居できることにあり、入居者は、ワンルームマンションと同じ感覚で暮らすことができる。建物はバリアフリー構造を有し、いざというときのために介護・医療機関とのつなぎの環境が確保されている。料金は年金で賄える範囲が前提となっており、要介護や入院になっても追い出されることはない。施設によっては看取りも行う。

政府は、このサ高住を高齢者住宅の切り札として、10年後には60万戸に増やすという壮大な目標を掲げ、工事費の1割相当分の助成金に加えて、さまざまな助成措置や税の軽減措置を総動員し、民間に推奨している。その効果は絶大で、医療・介護だけでなく、さまざまな業種が参入し、2015年2月時点の登録戸数は17万2000戸にも及んでいるという。

一種のブームとも言える状況だが、立地や設備、サービス面などに、事業者ごとのばらつきも見られ、「玉石混交」との声もあがっている。また、国土交通省と厚生労働省の間での齟齬もあり、ハードとソフト両面に及ぶ総合的な対策が望まれている。

こうしたなか、良質のサ高住を提供し、躍進している会社から、詳しい話を聞く機会を得た。それが、本書で紹介する株式会社三英堂商事である。

2014年7月、栃木県下野市にサ高住第1号の「家族の家ひまわり石橋」をオープンして以降、栃木県と埼玉県内に7軒のサ高住を新設。近い将来には約49カ所の開設が視野に入っているという。

サ高住「家族の家ひまわり」の主な特徴は、以下のとおりだ。

①リーズナブルな料金体系―石橋の場合、家賃・共益費・生活支援サービス・食費を含んで月額税別12万1000円。周囲のサ高住と比較して1万円近く安い。
②ほかのどこにもない独創的な空間―共有スペースを広めにとって、「小さな街づくり」をコンセプトに、笑顔と楽しさのあふれる空間を提供。
③建物内部には、居宅、訪問、通所の介護事業所を併設。デイサービスも隣接している。医療機関とも提携。
④きめ細かく行き届いたスタッフのケア―スタッフは入居者を「○○先生」と呼び、人生の大先輩として感謝と尊敬の念を持って、きめ細かなケアを行っている。

「これからはサ高住の時代です。高齢者対策だけでなく、雇用を生み出し、地域活性化にもつながるものですので、全力を尽くして取り組んでいかなければならないと思っています」

こう力強く語るのは、三英堂商事の創業者であり代表取締役社長の上村岩男氏である。

上村氏の経営方針である顧客本位の施設運営によって、サ高住「家族の家ひまわり」は、入居者の家族や地域から大きな信頼を寄せられている。

三英堂商事は、介護業界では異質の経歴を持つ会社である。そもそもは1977年、不動産業として上村氏によって設立され、企業の独身寮の管理運営という分野で急成長を遂げた。不動産業で成功を収めたのち、1998年に介護事業に参入。以後は、介護付き有料老人ホーム「家族の家ひまわり」やグループホーム「気手来手くんの家」の運営を軸に事業を進め、首都圏に合わせて23カ所の施設を開設した(2015年9月現在)。

不動産事業と介護事業は、一見かけ離れたもののように思えるが、実はその底辺部分のハードとソフトが精巧につながることで従来よりも一段上の施設・サービスを提供することが可能となる点で、共通するものがある。独身寮という特殊な建物が高齢者施設にふさわしい特質を持っていることに、いち早く着目した上村氏は、自ら介護事業に飛び込むことで、施設運営に新たな可能性を証明していくことになった。

その経営戦略の要点は、上村氏が築きあげた俺流、いわゆる「自前運営」にある。サ高住設立にふさわしい土地の情報収集から始まって、土地活用のマスタープラン、建築施行会社の紹介、入居者募集、賃貸借契約という、不動産業に関わる段取りに加え、居宅介護支援事業所の開設、職員の採用、研修、給食の提供など、入口の部分から施設運営開始までの工程が自前で行われるのである。これによって、設備面でも介護面でも質の高いサービスが、リーズナブルな料金で提供されることになった。

そして近年、有料老人ホーム(特定施設)からサ高住の拡充へと経営の軸足を移行したのは、高齢社会の切迫した要求に応えていくためだという。

「遊休地にサ高住を建設し、それによって、高齢化が進む日本と地域社会に、ともに貢献しようということです」

上村氏が推進するサ高住は、遊休不動産を持つ土地オーナーに建物を建設してもらい、それを20年以上という長期にわたって借り受けて運営する方式をとっている。これにより、利用者が負担する料金をぎりぎりまで抑えるとともに、土地オーナーの収益性や経営面も安定するというメリットをもたらすことに成功した。

オーナーを説得する際、上村氏は、土地活用は人のために役立つ事業に貢献してこそ価値があると伝えるという。

「介護事業の業績というものは、必ずしも売り上げや利益率のみをさすのではないでしょう。最も大切なことは、入居者やご家族にどれだけ満足していただけるかで決まるのです。私たちがめざすのは、その人らしく楽しい日々を送ってもらうこと。利用者への感謝と尊敬を忘れず、真心のお手伝いを貫いていった結果が、市場に受け入れられるのだと思います。介護はどこまでも、人に始まり、人に終わるものです。そうした『人』の事業を支援し、社会に貢献するものであることを、オーナー様にも理解していただきたいのです」

活動の根底にあるのは「感謝と尊敬」「真心のお手伝い」「家族の絆の架け橋」「社会参加と共生」「未来の価値の創造」「無上意のサービス」そして「進化への対応」の7つの理念だ。この7つの理念の実現を通して、三英堂商事はさらなる社会貢献をめざしている。

サ高住は、日本の超高齢社会における切り札であり、救済でもあろう。時代はサ高住を求めている。

その波を受け、三英堂商事の数年先の目標は、サ高住による全国展開と、100億円企業への挑戦である。その目標が果たされた暁には、日本の「終の住処」の光景も、ずいぶんと変わっているのではないだろうか。

本書は、独自のビジネススタイルで高齢者に安心・安全な「終の住処」を提供している三英堂商事のこれまでの企業活動を紹介するとともに、これからの将来に向かっての代表取締役社長・上村岩男氏の経営理念や人生哲学を伝えるものである。

情熱と気迫で「無い無い尽くし」のゼロからすべてを築いていった上村氏の半生は、人生とは未知と希望で満ちていることを示し、若者や読者に勇気を与えるに違いない。

また、全国の高齢者とその家族、土地オーナーはもとより、超高齢社会に生きるすべての読者にとっても、貴重な指針の書ともなるはずだ。

なお、本文中の敬称の一部は略させていただいたことを、あらかじめお断りしておく。

  2015年9月  鶴蒔靖夫


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  はじめに


第1章 いまこそ求められる安心・安全な「終の住処」

首都圏に介護難民が急増
単身・夫婦のみ世帯の終の住処として登場した「サ高住」
サ高住で高齢社会を支える三英堂商事
国土交通省が力を入れた高齢者のための「住居」
利用権契約と賃貸借契約、厚生労働省は囲い込みを警戒
年金で賄える料金、人が住むことを目的とした建物
主な高齢者向けの施設・住居
安らかな老後には準備と計画が必要
介護移住、全国初の計画を実現させた杉並区の英断
サ高住は人間の尊厳を守る受け皿


第2章 三英堂商事ならではの「サ高住」事業を展開

安心して入居できる料金設定
対象、併設施設、別途料金
他の施設より割安な価格設定を打ち出す
施設の中で繰り広げられる、懐かしく温かな街の光景
健康、笑顔、明るさで満たされた施設
長い旅をすごした人のため、食事は施設でつくる
すべて手づくり、行政の検査官も驚きを隠さない
プロの機能訓練指導員による機能回復と認知症予防に対応
高齢者は尊敬すべき先達
トータル管理システム「気手来手くん」のパワフルな機能
コスト削減と、いっそうのサービスの充実が図られる必須アイテム
不動産事業の強みを生かし、最初から最後まで自前で
長期借り上げで土地オーナーにも大きなメリット
不動産と介護の運営ノウハウを活用


第3章 三英堂商事の7つの理念と人材育成

7つの理念を通して社会に貢献
三英堂商事の道しるべ、7つの理念
介護事業の醍醐味を生み出す「感謝と尊敬」
マニュアル化できないサービスこそ真のサービス
「無上意のサービス」とは
「たかが理念、されど理念」が内包する深い世界
すべてを受け入れ、機能回復に最善を尽くす
介護職員の深刻な不足
介護報酬引き下げのダメージ
ネガティブな先入観を払拭すること
地方に眠っている人材を発掘し、雇用の場をつくる
ライフスタイルの多様性に応じた働き方の実現
「人財」育成のために
礼儀、挨拶を徹底して仕込む新人教育
将来への先行投資、専門学校へ通う社員に補助金提供
介護事業の業績は、利益率だけでは測れない


第4章 新しい街づくりを推進するサ高住の役割と課題

サ高住整備の現状と課題
地域コミュニティの先導的役割としてのサ高住
『三丁目の夕日』のようなご近所づきあい
地域密着をめざさないと生きていけない
有料老人ホームとしての稼働と監視
アメリカCCRCに見る「終の住処」のあり方
日本版CCRCとサ高住の新たな役割


第5章 上村岩男の歩みと人生哲学

いつもゼロからスタートする男
破けた靴に段ボールをあてがって
おたふく風邪で命拾い
集中のあまり上下別々のスーツで出勤
最大の危機、明日手形を落とさなければ……
大自然に囲まれて育った少年時代
人生初の挫折、開拓者魂に触れた札幌時代
鶏口となるも牛後となるなかれ
独身寮需要の推移から見えるもの
バブル崩壊、事業を根幹から見直すときがきた
有料老人ホーム第1号「ナースィングホームひまわり船橋」誕生
たった1人の利用者のために
寮という建物が持つ奥深さを再利用すること
5度の本社移転のすえ、現在の渋谷クロスタワーに


最終章 三英堂商事が描く未来

快進撃を続ける三英堂商事
九州で地盤を固め、全国展開へ
不動産業の参入で市場は健全に
土地オーナーにもうひと言
「気手来手くん」開発―ITとの融合で介護の現場は変化する
365日、経営のことを考える
経営者は孤独、心を強くしてくれる言葉
100億円企業への挑戦


《施設取材レポート》
  家族の家ひまわり石橋(サービス付き高齢者向け住宅)
  家族の家ひまわり宇都宮豊郷台(サービス付き高齢者向け住宅)
  家族の家ひまわり与野(介護付き有料老人ホーム)
  気手来手くんの家連光寺(グループホーム)


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『感謝な心』 前書きと目次

Kanshaweb


感謝な心 Kansha na kokoro
 ~医療と福祉の垣根を超えた高齢者ケアの理想を追求~


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著者:鶴蒔靖夫
定価:本体1800円+税
ISBN978-4-87218-417-4
初版発行:2016年1月15日
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 はじめに

「日本は高齢社会の現状を哲学的に変えていく必要があります」

こう指摘したのは、アメリカの老年学の教授であった。

日本が高齢化社会を迎えたのは1970年のことである。それからの約40年で世界一の高齢社会に上り詰め、いまや国民の4人に1人が高齢者である。高齢化のスピードは予想を超えたもので、家族のありようも、ライフスタイルも、経済活動も、大きな渦に巻き込まれるように、めまぐるしく変遷していった。

団塊の世代が75歳以上になる2025年が迫りつつあるが、それに対応する明確なグランドデザインはまだ描かれていない。介護移住や地方創生など、さまざまな案が立ち上がっては沈んでいる。圧倒的な財源不足のもとでの対症療法のみに追われる状況で、国にも個人にも「哲学」を生み出す余裕はないのかもしれない。

哲学とは、人の心に判断の基準を与え、未来の道標を示すものだ。それが希薄ないま、多くの老人が残りの人生に不安やおびえを抱きながら孤独に生きている。そして市民の大半は、そんな老人たちに無関心のままである。それぞれの心をつなげる共通のものが見つからないままなのだ。

介護保険制度が施行されて15年。国も個人も総がかりで、この先の社会のあり方を、覚悟を持って考えなければならないときがきている。

高齢者が幸せでない国は、国民全員も幸せになれない国である。誰もが自分の問題として取り組み、高齢者とともに未来を拓くつもりで動くことが必要ではないだろうか。

しかし、人々はなかなか動こうとしない。

そうした模索を続けるなかで、天宣会グループ理事長の西浦天宣氏と、仕事を通じて知己を得ることとなった。

天宣会グループは、千葉県東葛地区を中心にリハビリ総合病院、介護老人保健施設、特別養護老人ホームなどを運営している、医療法人社団および社会福祉法人の複合組織である。

西浦氏との出会いはなかなか強烈だった。最初に会ったときから「これは違う」とのインパクトがあった。強い理念の持ち主であることが、ほとんどすぐに確信できた。

はたして西浦氏は、介護老人保健施設(老健施設)の概念を日本で初めて提唱した人物だった。赤字病院の再建に奮戦するなかで、「人生の最後の日々を安らかに豊かにすごせる理想の施設を」という夢をふくらませた。そして独立後、ゼロの地点からほとんど独力で老健施設をつくりあげて、グループ化も果たした。

「口先だけの達人ならごまんといる。私がどんな人間で、どんなことを考えているかを知りたかったら、私のつくった施設を見てほしい」

余計なことは説明せず、そう促した西浦氏の要請を受け、私は天宣会の代表的な病院と施設をいくつか見てまわった。そして大きな感動を得ることになった。

圧倒的な規模の壁画や天井画、緑深い遊歩道、細やかな気配りが行き届いた飾りや小物など、高齢者施設とは思えぬクリエイティブな空間演出が展開されていたのである。しかも、部屋ごとに違う壁紙、どの部屋からも緑が見える構造など、細部にいたるまで徹底して利用者に配慮したつくりとなっていたのだ。

館内にあるもの、館外を構成するもの、すべての要素が連動し、癒やしと生きる喜びを利用者に与えていた。こんな施設が日本にあるとは驚きだった。しかも、その建物の構造から小物にいたるまで、すべて西浦氏の指示によるものだという。

施設内では、医療と介護の間の垣根は取り払われて、職員はみな平等にチームの一員としてリハビリやケアに取り組んでいた。西浦氏は職員に明言する。

「天宣会は人を助ける組織である。人を助けるためなら上司も飛び越えてかまわない」と。

アメイジングなつくりの施設も、職員へのメッセージも、すべては利用者優先の信念から生まれたものだ。

そうしたことのすべての基本になっているのが、「感謝な心」という、西浦氏がつくった独自の理念である。

「感謝な心」は、初めて聞く者には、只者ではない雰囲気が漂う謎の言葉だ。そこには、ひとりの人として向きあい、緊張感を持ちながら深い交流を続ける極意が秘められていた。

「感謝な心」は、「あなたと私」という対等な関係のなかで本当のやさしさを培い、その心を与えあっていくものであるという。だとしたら、それは世界中の人にも通じる理念ではないだろうか。

天宣会のような創造的な施設が増えていけば、日本の超高齢社会の光景も変わっていくことだろう。そうなってほしいという希望も込めて、この本を書くことにした。

といっても、天宣会の紹介でもないし宣伝でもない。西浦氏の話のなかから私自身が刺激され、学びにもなった部分を抽出し、また参考として、高齢社会の現状と課題を探っていこうというものだ。

ここから何を感じ取るかは、読者の感性と判断に委ねたい。この本をきっかけに、高齢社会のなかで自分にできることを考えてもらえれば、うれしいかぎりだ。

そして首都圏に住む人は、時間が許せば、天宣会の施設を一度覗いてもらいたいとも思う。このアーティスティックでヒューマンな施設を眺めて何かを感じ、それが起点になって自分の「哲学」が構築される可能性もゼロではない。

この本が、よりよい高齢社会をつくるために少しでも役に立てたら幸いである。

なお、本文中の敬称は略させていただいたことを、あらかじめお断りしておく。

  2015年12月  鶴蒔靖夫


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はじめに


第1章 病院らしくない病院、施設らしくない施設が訴えるもの

心を打った「感謝な心」
医療や福祉に関連する多様なサービスを手がける
施設の雰囲気は「文化度」を伝える
アートを意識した「北柏リハビリ総合病院」「北柏ナーシングケアセンター」
圧巻の天井画と癒やしの庭
自然を活かしつつ、独特の手づくり感のある庭
神社とマリア像
スタッフからの発言―外出時には家族も参加
個室と4人部屋が併設―特別養護老人ホーム「流山こまぎ安心館」
受診者本位の動線を採用している「柏健診クリニック」
老健第1号「梅郷ナーシングセンター」
いちばん質の高い食事
「家庭的」と「手づくり感」に天宣会の精神が込められている
建物そのものがイズムでできている


第2章 「感謝な心」の背景にあるものを探る

高齢者の医療・福祉の仕事は究極のサービス業
ずっと以前からあった高齢者虐待問題
現場レベルでもできることを
介護職に必要なものは理念、確固たる哲学
「感謝な心」が伝えるパワフルな理念
「利害関係」に含まれている深い意味
感謝の気持ちを分かちあう
「感謝な心」が生む「ここに来てよかった」という言葉
トイレに貼られている「おかげさまで」
「人間と人間」として接してほしい
信念にもとづいた長期にわたるやさしさこそ


第3章 介護とは創造的な仕事

2025年には介護職員が38万人不足する
低い報酬、国の責任
福祉には、そろばんははじかれない?
実は離職率は低い?
人材マネジメントの基礎「自分で考え、自分で行動する」
人を助けるとはどういうことか。職業的使命が打ち出す徹底したモラリスト精神
横のつながりを重視し、個として立つところにイノベーションは生まれる
お正月には餅を提供、逆転の発想のサービス
「かきくけこ」の精神をいつも念頭に
茶髪でもオーケー、みなが平等のチャレンジ精神
介護は楽しい、働く人も幸せでなければならない
キャリアアップ、現職員の80%が介護福祉士の有資格者


第4章 医療・福祉と経営(介護ビジネス)

厳しい変革の時代を迎える医療界
医療機関の倒産数
名医は必ずしも名経営者にあらず
医療機関は民間企業のノウハウを参照すべし
アメリカには20年もの遅れをとっている病院経営
病院経営は一般企業参加の時代に入った
患者本位を実現するなら、よい経営をすべき
病院再建の奮闘で身につけた経営感覚
医療現場と経営マネジメントの分離方式を直観で決断


第5章 介護保険と老健の存在意義

介護保険制度施行から15年
最初から破綻していた介護保険制度
老人の悲惨さを救おうと発案した日本版ナーシングホーム
医療と福祉の壁を取り払い、社会のニーズに応える老健
介護保険制度が促した第二の特養化
責任を持って出せる人しか出さない
在宅強化型への転換が生き残る道か?
社会福祉法人という存在の特異さ
社会福祉法人に改革を
社会福祉法人のM&A
老健のターミナルケア
ターミナルケアへの思いは篤い
老健の新しい存在意義とは
老健は地域の人にとって頼りになる存在


最終章 高齢社会という未知の領域に挑む

福祉立国スウェーデンの厳しい現実
医療・介護は成長産業となりうるか
介護の労働力が大幅に増えていく
介護職に外国人労働者を受け入れるということ
国に依存せずに行動していく
在宅介護は難しい
ちぐはぐな社会保障政策が「縮み」を起こす
チャレンジャーは常に時代の半歩先を行く
情熱こそが人を動かす
オリジナルで勝負する


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2017/06/20

『人生100年時代 いつまでも自分らしく暮らしたい』 前書きと目次

100nenweb


人生100年時代
いつまでも自分らしく暮らしたい

 ~老後の住まい第3の選択「シニア向け分譲マンション」~


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著者:鶴蒔靖夫
定価:本体1800円+税
ISBN978-4-87218-421-1
初版発行:2016年7月21日
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 はじめに

人生100年時代の到来と言われている。

厚生労働省は2015年9月に、100歳以上の高齢者数は6万1568人であると発表した。調査が始まった1963年には153人であったから、単純計算すると、半世紀で400倍も増えたことになる。特に、この1~2年の伸びは急速で、「医療の進歩や健康意識の高まりが背景にある」と厚生労働省は見ている。

雑誌などで「元気な100歳」の姿を見ることも多くなった。100歳で毎日ボウリングを楽しみ160点のスコアも出す元会社経営者、101歳で和菓子屋の店頭に立ち接客をする女性、101歳で携帯電話を自由に操り体操を欠かさない男性など、元気にはつらつと日々をすごしている人が増えてきている。

こんな時代がくるとは、30年ほど前には誰が想像しただろうか。「日本人は、いまや生物として別の種になった」と指摘する歴史人類学者もいるほどだ。

比類ない長寿を手に入れた日本だが、一方では、老後の生活設計を描ききれないことからくる不安も大きくなっている。ある生命保険会社の調査によると、65歳までの4人に1人は、長生きを願う気持ちはないと回答。また、長生き願望のある人も含めた約9割が、長生きに不安を感じているという。不安の三大理由は「お金」「病気・入院」「介護」である。

私たちは、この「人生100年時代」をどう迎え、どのようにすごしたらよいのだろうか。

人跡未踏の地に突然立たされているような状態で、誰もが願うのが、最後まで自分のことは自分でしたい、ということだ。理想の姿は「元気でぽっくり」だろう。

そこで現在、注目を集めているのが、元気ですごせる「健康寿命」を延ばすことである。これには国も自治体も、本腰を入れて対策に取り組んでいる。

国は、平均寿命と健康寿命との10年近くある差を縮めることを喫緊の課題として、「『国民の健康寿命が延伸する社会』に向けた予防・健康管理に関する取組の推進」を提唱。自治体でも、ストレッチ講座など、さまざまな試みを展開している。

なかでも神奈川県は、「人生100歳時代とロボット革命」と銘打って、ITを活用した健康増進をはかるというダイナミックな構想を進行中だ。「病気を治す」医療から「健康な状態を長く保つ」医療へ変えることをめざすと同時に、新たな市場の創出につなげようとの意気込みが感じられる。

「老い」は誰も避けて通ることはできないが、医学的な見解では、老化と寿命を決める要因の75%は環境的なものであるという。これは、生活様式や食生活がいかに重要かを示している。ならば、健康寿命を長くできるかどうかも、7割以上は本人次第ということだろう。この先、さまざまな対策や試みが打ち出されるなかで、心身ともに元気なうちから「自立した100歳」をめざして自分の環境や生活様式を改善する努力が、さらに求められていくに違いない。

そうしたなか、健康寿命の延伸を最大の目的として、新たな市場を開拓しようとしているデベロッパーを知ることになった。それが首都圏におけるシニア向け分譲マンションのパイオニア、ダイヤモンド地所株式会社(本社:東京都新宿区、代表取締役:外所行則氏)である。

シニア向け分譲マンションとは、通常の分譲マンションに高齢者が住むためのサービスと共用施設を付与した商品である。一般の分譲マンションにはない、高齢者向けの設備や共用施設、コミュニティ、日常生活・健康・安全を支えるサービスやサポートが付帯している。

有料老人ホームなどの「施設」とは異なり、居住者は「住宅」としての所有権を持ち、資産性を有することが最大の特徴だ。

入居の対象者は「自立したアクティブシニア」で、入居後は、安心・安全のサポートを受けながら、自由な暮らしと同世代との交流を満喫できる。

実は、日本の高齢者住宅は、要介護者を対象とした施設系が大半で、元気な人向けの本格的な住宅は極めて少ないのが現状だ。本文で詳しく述べるが、特別養護老人ホームを筆頭に10種類以上ある高齢者住宅の多くは、要介護者や社会的弱者のケアを目的にしている。

シニア向け分譲マンションの立ち位置は、それらとは真逆である。元気な高齢者を受け入れ、その状態を長く維持することが目標なのだ。ひと言で言えば、できるかぎり要介護にならないようにする終の住処だ。

そのために提供するサービスは、ハード面、ソフト面ともに、徹底した利用者本位が貫かれている。24時間の見守り体制や看護師常勤といったシステム面はもちろん、どんな依頼にも対応するコンシェルジュや、一人ひとりの状態に通じるスタッフを配置するなど、居住者が困ったときにはいつでも人の手が差し伸べられるきめ細かさが、隅々にまでいきわたっている。もちろん、医療や介護の体制に関しても、充分な準備が施されている。

外所氏は、自らが開発したシニア向け分譲マンション(ダイヤモンド地所では「中高齢者専用マンション」と呼んでいる)のことを「元気を維持するための箱」と表現した。

古くなり、維持や日常生活における負担が多くなった持ち家を離れ、このマンションに移り住んで新たな刺激や生き甲斐を見つけた居住者たちのアクティブな日々は、高齢者に新しい選択肢が生まれたことを実感させる。

というのも、65歳以上のいわゆる「高齢者」のなかで要介護者は意外に少なく、80%以上は介護の必要のない自立者として生活しているのが実態なのである。にもかかわらず、その人たちにふさわしい住まいが、これまでほとんど検討されてこなかった。

元気な高齢者は、立派な「社会的資源」である。その人たちに、さらにアクティブになってもらい、なんらかのかたちで社会に貢献してもらうことは、社会全体の活性化にもつながるに違いない。そうなるための元気を維持するしくみが、シニア向け分譲マンションには詰め込まれている。

シニア向け分譲マンションは、まだ物件が少なく、多くの人にその実態が知られていない。私自身も、これまで知る機会もなかったため、あまり関心が向かないままだった。しかし、取材を重ねるなかで、それはまことにもったいないと思うようになり、私自身が、その特性を紹介するレポーター役を買って出ることにした。健康寿命の延伸を推進するための創意工夫と、その実践のあり方を人々に知ってもらうことは、「人生100年時代」を生きる道標のひとつを示すことになるはずである。

本書を読むことで、豊かな老後を創造するヒントをひとつでも見つけることにつながれば、これ以上の喜びはない。

なお、本文中の一部の敬称は略させていただいたことを、あらかじめお断りしておく。

 2016年6月  鶴蒔靖夫


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はじめに


第1章 超高齢社会に突入した日本

予測を超えたスピードで進む高齢化
超高齢社会が促す変化とは
統計から見る高齢者の姿
健康寿命の延伸は、政府から個人まで総力をあげて取り組む課題
学際的な「高齢社会総合研究機構」を東京大学が創立
老後の家計簿、目減りする年金
「下流老人」が意味するもの
お金がある人もない人も、半数以上が幸せ
幸福度の決め手は人間関係
アクティブな楽しみと介護の日々から生まれる新しいライフスタイル
介護保険制度破綻の危機説をめぐって
介護職員の不足
意外な現実、要介護者は高齢者の2割に満たない
高齢者にやさしい街づくりが地域活性化を促す
元気な人たちにふさわしい住まいとは
シニア向け分譲マンション登場


第2章 高齢者の住宅事情

主な高齢者向けの住居・施設
公的施設の代表、介護保険施設
福祉型の施設と住居
さまざまな特徴を持った民間運営の施設と住居
「サ高住」は高齢者住宅の切り札となるか?
いまの住まいへの不満・不安とは
私自身の住まい事情
日本は高齢者用住宅が極端に少ない
85歳以上でも6割の人が健康状態「ふつう」以上
健康でいきいきした老後をサポートするシニア向け分譲マンション
有料老人ホームは「利用権」、シニア向け分譲マンションは「所有権」
「施設」と「住居」はまったく違う

《一人暮らしも不安なく―Sさん(70代)》 


第3章 シニア向け分譲マンションでの暮らしを検証

「ダイヤモンドライフ森の里」を端的な事例として
居住者の平均年齢は74歳
里山の風情を残す洗練された研究都市
高い付加価値を持つ共用施設
全員の楽しみ、天然温泉大浴場
食の楽しみは生きる楽しみ、ダイニング&レストラン
ペットと健康寿命の関係は深い
居室は広く、安全・安心の機能も充実
優れた利便性と地域交流
近くには自然豊かな公園があり、リゾート地も近い
24時間常駐の有人管理、コンシェルジュによるきめ細かいサービス
看護師も24時間常勤体制、気軽に利用できる「健康管理室」
協力医療機関や訪問介護との連携
3つの安心が保証されるシニア向け分譲マンション
居住者の傾向

《いちばん大事なのは人と人との関わり―Yさんご夫妻(夫70代・妻70代)》 


第4章 シニア向け分譲マンションの特殊性

元気なうちに準備と計画を
シニア向け分譲マンションの歴史
シニア向け分譲マンションとの出合い
首都圏のシニア向け分譲マンションの半数はダイヤモンド地所が携わったもの
奥が深く、容易には手を出せない事業
お任せではなく自主性を重んじる人にこそふさわしい
売るより運営
オーダーメイドの対応
手探りと試行錯誤で開発した唯一無二のソフト
「死ぬまでのおつきあい」に見る福祉の心
場合によっては退去してもらうことも
介護がしやすいマンションでQOL(生活の質)は維持される
自宅マンションでの看取りも行う

《安心・安全・自由を満喫―Kさんご夫妻(夫80代・妻70代)》 


第5章 元気な高齢者の新しい選択肢

高齢者自身が「住みたい」と思える場を提供したい
新たなコミュニティを生むシニア向け分譲マンション
アクティブの基本は社会とつながっていること
生涯現役、人のために役に立つことが元気の源
65歳は高齢者か
シニア向け分譲マンション事業に関する課題
契約までの長いおつきあい
シニア向け分譲マンションのスタンダードをつくる
中古市場への挑戦
日本版CCRCは広がるか?
幸せな老後の創造が、のちの人たちへの貢献につながる
安心を伝える雰囲気
元気を維持するための箱、ミドル層のための住まい
お金より夢を追う


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『薬剤師新時代の到来』 前書きと目次

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薬剤師新時代の到来
 ~笑顔創造ファーマシー・あけぼの薬局グループの挑戦~


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著者:鶴蒔靖夫
定価:本体1800円+税
ISBN978-4-87218-427-3
初版発行:2016年11月26日
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 はじめに

総務省は毎年「敬老の日」に65歳以上の推定人口を発表する。それによると、2016年9月15日時点の高齢者人口は3461万人で過去最高を更新し、総人口に占める割合は27・3%であるという。

高齢者人口の増加に伴い、医療ニーズ・介護ニーズはさらに高まり、それが国民医療費の増大を招いていることは周知のとおりだ。

医療費削減の命題のもとで近年、そのありようを大きく変えようとしているのが、薬剤師・薬局である。

2016年4月、厚生労働省は「薬局が生まれ変わる!」というキャッチコピーのもと、「かかりつけ薬剤師・薬局」制度を発足させた。一人ひとりの服薬状況を一元的・継続的に把握し、薬のことはもとより健康全般に関して指導・相談を受ける「あなたのための薬剤師」に、自治体からの公認を与えるというものである。詳細は本文で紹介するが、これは、調剤偏重であった薬剤師・薬局の業務を、「医薬分業」における本来の業務に戻すとの意図が込められた、大きな転換と言うことができる。

これには、町の薬局を地域の健康拠点として、健康寿命の延伸や医療費の削減という喫緊の課題に向けた切り札にしていこうとの狙いがある。

いまや、一人ひとりが自分の健康は自分で守っていく時代である。薬局は、最も身近な医療機関として、多くの人に対応する役割を担うことになるだろう。

はたしてこの先、町の薬局は、どのように変わっていくのか。国民のQOL(生活の質)とも直結するその動きを、われわれも注意深く見守っていく必要がある。

そうしたなかで今回「あけぼの薬局グループ」を紹介するのは、たいへんタイムリーだと言える。

あけぼの薬局グループは、首都圏と関西を中心に合計57店舗(2016年3月現在)を構える中堅薬局だ。同グループが展開している調剤薬局の多くは地域密着型の面対応薬局で、以前から近隣住民の「かかりつけ薬剤師・薬局」としての機能を果たしてきた。厚生労働省により「かかりつけ薬剤師・薬局」が制度化されるとわかったときは、顔なじみ患者の多くが「いままでやってきたことと同じだね」という反応を示したという。

あけぼの薬局グループを率いる岡田一平氏は現在43歳。2002年に29歳の若さで「有限会社あけぼの」を立ち上げ、現在は「株式会社あけぼの関西」(本社:大阪市北区)と「株式会社リバーサル」(本社:東京都中央区)の2社をメインに構成されるグループの代表として、組織運営の指揮を執り続けている。

近年、調剤報酬改正の影響などにより調剤薬局業界全体が厳しさを増しているなか、あけぼの薬局グループはM&Aを駆使して次々と出店を進め、地域の医療と健康増進に寄与している。

あけぼの薬局グループでは、「医師、患者、スタッフなど、医療と医薬に関わる人すべてが笑顔になれる」ことをめざした「笑顔創造ファーマシー」を経営理念に掲げる。社員に心からの笑顔がなければ、患者も周囲の人も幸せにすることはできないとして、社員満足を第一に打ち出しているのである。

「顧客満足より社員満足」のスローガンに込められているのは、「人」を大事にするという心意気である。一人ひとりの個性を最大限に伸ばすことを自らの責任として、さまざまな方策で社員のやる気を湧き立たせ、たりない面はみなで補いあって、ともに成長していくのが、あけぼの薬局グループのやり方だ。社員たちが和気藹々と仲良く、そして自由に自分の意見を発する社風は、閉塞感の漂ういまの世の中で際立つ明るさを見せている。

あけぼの薬局グループの薬剤師は、どんどん外に出て、積極的に地域と交わり、在宅医療を開拓している。あけぼの薬局グループでは、現時点で全店舗の8割が在宅医療に携わっているが、いずれは全店舗で行う予定であるという。

在宅医療では、医師とともに患者宅を訪問する「往診同行」がよく行われるが、これは医師からの絶大な信頼があってこそ成り立つ形態だと言える。

「薬剤師が医師の意向を正確に汲み取り、患者さんにしっかり伝えること。そして、医師には診察に専念してもらうこと。それが医薬分業の本筋です」

こう語る岡田氏がめざすのは、医師と協働で薬物治療にあたることのできる薬剤師の育成である。医師から質問され、相談される、「プロの医療人」としての薬剤師こそが、いま求められているのである。

あけぼの薬局グループでは、2020年までに100店舗への拡大をめざしているが、それより早くに目標を達成する可能性は十分ある。そして岡田氏は、淘汰の時代を迎えている調剤薬局業界の再編を演出する中心人物のひとりになることは間違いないだろう。

本書は、あけぼの薬局グループの事業活動の紹介を中軸としながら、今後の医療界における薬局・薬剤師のあり方を明示するものである。それだけでも十分に興味深いテーマではあるのだが、もうひとつ、岡田氏の今日までの歩みについても詳述する。子どものころからお金儲けにずばぬけた才覚を発揮し、長じてからは大手薬局チェーンと伍する地域密着型の調剤薬局チェーンとして独自の地位を確立してきた岡田氏の冒険譚を、じっくり読み進めていただきたい。成長のためのたゆまぬ努力、鮮やかな成功と転落の危機……、どれをとっても、通常の活劇より格段におもしろく、かつ、そこには独特の人生哲学が詰めこまれている。

こうした、ある意味で常識の枠を超えた人間が手がけているのだから、ほかの調剤薬局にはない新しい動きをどんどん見せていくのは当然と言えるだろう。その意味で本書は、薬剤師はもとより、これから人生の門を開けるという若者たちにとっても、なんらかのヒントを得られる書となるのではないだろうか。

なお、岡田氏のスケジュールの都合上、取材は2016年3月に行われたため、岡田氏の話の内容は3月時点のものとなっている。周辺取材に関しては同年4月以降も行ったので、周辺のデータに関してはできるだけ新しいものを使用したつもりだ。

また、本文中の敬称は略させていただいたことを、あらかじめお断りしておく。

 2016年9月  鶴蒔靖夫


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はじめに


第1章 かかりつけ薬剤師制度が導く今後の医療

ついに40兆円超えとなった国民医療費
新たに登場した「かかりつけ薬剤師・薬局」
顧客第一主義で選ばれる薬剤師・薬局
「かかりつけ薬剤師・薬局」創設の3つのビジョン
3つの持つべき機能と2つの強化すべき機能
かかりつけ薬剤師の条件
患者本位から離れていった医薬分業
患者自らの希望と意思で「選ばれる薬局」に
かかりつけ薬剤師の最大の任務はコミュニケーションにある
地域包括ケアシステムにおける薬剤師の役割
薬局にとっての「かかりつけ薬剤師・薬局」制度とは
厚生労働省の描く未来像


第2章 在宅医療に力を注ぎ、医師と信頼関係を結ぶ「あけぼの薬局グループ」

関東と関西の2社でグループを形成
キーワードは「勢い」「在宅」「設備」の3つ
いまだ認知度の低い在宅医療を積極的に開拓
在宅医療に特化した無菌調剤室完備の薬局も
充実の最新設備で安全性とスピードをアップ
患者と接する時間が多くなる
疑問があれば直接医師に聞きにいく
医師の思いを汲み取り、医師からも頼りにされる薬局に
利用者目線が生んだニュースタイルの薬局
面分業で地域と密着、デメリットはエリア運営で補完
地域のプライマリ・ケアに貢献

10年でパート事務員から社長に … 株式会社あけぼの関西 代表取締役 森あかね


第3章 薬剤師の人間力を育てるのは会社の責任

「顧客満足より社員満足」を掲げる心意気
経営理念は「笑顔創造」
6つのSを絶妙のバランスで運営して共有価値の実現につなげる
スタッフどうしの交流と共通した価値観
採用も年収も人柄本位
社員第一が生み出した、働きやすい環境
成長しあう研修で、やる気を高める
新人でも給与には差をつける
これから不可欠なコミュニケーション能力
独立起業を全面支援、すでに11人が独立
独立希望の人は大歓迎
小さな薬局から広がる笑顔

部下の未来をつくっていく … 株式会社リバーサル 執行役員 人事兼経営戦略部 田代雅也


第4章  創業者・岡田一平の成功と挫折、そして逆転への歩み

不安な時代に生まれた、特異な能力を持った少年
ビジネスの基本を学んだ小学校時代の瓶集め
ビジネス成功の秘訣は「コツコツ」にあり
誰にも言えなかった貯金額
MRとしてトップをめざすも、独立の道へ
コツコツ稼いだお金で次々と薬局をオープン
有限会社日本一をめざして
乗っ取り工作にはめられて
絶望からの復帰、神は乗り越えられる試練しか与えない
ゼロからリセット、第二の創業


第5章 薬局再編、激動の時代に

再編・淘汰の時代を迎えた調剤薬局業界
M&Aの大きな波が押し寄せている
「売るなら早く」が現在の状況
デッドストックの問題が深刻
厳しいM&A体験、1年がかりの再建
M&Aが成功するかしないかは人次第
薬局数が半分になるということは
コンビニエンスストアの調剤薬局
門内薬局が与える影響は?


第6章 岡田イズムが導く薬局・薬剤師のあるべき姿

かかりつけ薬剤師・薬局を知らない人が6割も
WHOが打ち出した、薬剤師の8つの役割
医療人としての自覚と責任
医薬分業発展の要は薬剤師にあり
薬剤師の究極の仕事は接客
疑義照会は薬剤師の義務であり、権利でもある
攻めの薬剤師にならなければ未来はない
今後重要視されるセルフメディケーション支援活動
一般市民の意識変化と薬剤師の意識変化
次世代に必要な薬剤師のスキル
薬剤師の未来を変えるリフィル処方せんと日本型CDTM
かかりつけ薬剤師が常駐する健康サポート薬局の広がり
岡田の人間力が調剤薬局業界の未来を創造


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2017/06/16

『お泊りデイサービスは、なぜ必要なのか』 前書きと目次

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お泊りデイサービスは、なぜ必要なのか
~「樹楽」が提案する、地域に必要とされる介護のカタチ~


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著者:鶴蒔靖夫
定価:本体1800円+税
ISBN978-4-87218-430-3
初版発行:2017年1月21日
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 はじめに

アベノミクスの新3本の矢のひとつに、「安心につながる社会保障」として「介護離職ゼロ」の目標が掲げられている。しかしながら、理想と現実は、あまりにも大きくかけ離れているような気がしてならない。

総務省が5年に1度実施している「就業構造基本調査」の平成24年(2012年)版によると、介護や看護のために離職を余儀なくされている人は年間約10万人にのぼる。やむにやまれぬ事情で、1人で親の介護をすることになって生活が破綻し、介護疲れから精神的に追い詰められて自殺したり、介護者が被介護者を殺害あるいは心中するといった、悲惨な事件もしばしばニュースで報じられる。そうした過酷な介護の現実を前にすると、「介護離職ゼロ」というのは、やはりむなしい響きでしかないように感じる。

政府は、具体的な施策として、介護が必要な高齢者の受け皿として、特別養護老人ホーム(特養)の増設をはじめ、在宅・施設サービスの拡充を図ろうとしているが、特養への入所待機者数は、2014年の時点ですでに全国で52万人を超えているのが実情だ。とりわけ都市部では、数年待ちというのもあたりまえで、それがにわかに解決されるとは思えない。しかも、介護が必要な高齢者は、今後も増え続けるのだ。

介護認定は、要支援1と2、それに要介護1から5までの、全部で7段階に分かれている。特養には、以前は要介護1から入所できたが、2015年の介護保険制度改正で、新規入所については要介護3以上という厳しい条件が設定されることになった。これは、立ち上がりや歩行が自力では難しく、排泄、入浴、着替えなどに介助が必要で、問題行動や理解力の低下なども見られるという、中重度レベルだ。

そうした高齢者を在宅でサポートするには、ヘルパーなどの支援があったとしても、家族の誰かが仕事を辞めて対応せざるをえないケースも出てくるだろう。一人暮らしや老老世帯となれば、要介護1や2であっても、在宅での生活が困難になることもあるはずだ。

介護保険で使えるサービスのなかで、365日24時間サービスが受けられるのは、特養などの施設サービスということになるが、かといって介護問題は、単純に施設を増やせば解決するというものでもない。なぜなら、介護が必要な高齢者本人はもとより、家族も高齢者を施設に入れることには抵抗があり、その多くが、できるだけ住み慣れた地域で暮らし続けたいと望んでいるからだ。

そもそも施設介護を増やすというのは、これまで政府が推進してきた在宅介護の流れと逆行するのではないかとの指摘もある。それに、仮に要介護者全員を施設でのケアに切り替えるとすると、年間約9兆円とも言われる介護保険給付費が倍増するという試算もあり、現在の国の財政状況では、とうてい対応しきれない。

2000年に介護保険制度がスタートして16年が経過したが、その間、高齢者は年々増え続け、総務省の推計によると2016年9月15日現在で3461万人に達している。総人口に占める割合は27・3%となり、実に国民の4人に1人以上が高齢者という超高齢社会を迎えているのである。

それに伴い、要支援・要介護認定者の数も増え続け、2014年度には600万人を超えた。介護保険サービスも、利用者負担を除いた給付費が8兆9005億円にまでふくれあがり、過去最高となった。高齢者の増加は国民医療費を増大させることにもなり、こちらも2014年度には40兆8071億円と過去最高を更新。いまや、わが国の介護保険財政、医療保険財政は、ともに危機に瀕している。

これに追い打ちをかけるのが「2025年問題」だ。2025年には団塊の世代全員が75歳を超え、国民の5人に1人が後期高齢者となる。そうなれば当然、医療や介護の必要性も増すことから、いま以上に財政が逼迫し、現行の社会保障制度の行き詰まりも懸念される。厚生労働省によると、利用者負担を除く介護給付費は、現在の2倍以上の20兆円近くにまで増加すると推計されている。

そこで政府は、介護保険制度の抜本的な改革に着手。介護保険制度は3年ごとに見直しが行われているが、2015年4月には、利用者の負担増や要支援者向けの訪問・通所介護サービスを2017年度までの3年をかけて市区町村事業に移管するなど、これまでにない大幅な改正を実施した。

さらに2018年の改正に向け、介護の必要度が低い要介護1や2の人向けの生活援助についても介護保険サービスからはずして自治体事業へ移行させることや、車椅子や介護ベッドなどの福祉用具レンタル支援などのサービス縮小が検討されてきたが、介護現場の負担を考慮し、生活援助の自治体への移行については、ひとまず見送られる方向となった。

このように介護を取り巻く環境が大きく変わるなか、小規模通所介護(小規模デイサービス)事業を中心に、要介護者の介護と自立のための支援システムを構築し、着実に業績を伸ばしているのが、本書で紹介する株式会社アクロス(本社:大阪府吹田市、代表取締役社長:原田健市氏)である。

なお、2016年4月から、定員18人以下の小規模通所介護は、市区町村が指定を行う介護保険の地域密着型サービスへと移行し、地域密着型通所介護と呼ばれるようになった。地域密着型サービスとは、認知症高齢者や中重度の要介護高齢者が、できるだけ住み慣れた地域での生活を継続できることを目的に、提供されるサービスである。

アクロスが介護事業に進出したのは2009年のことだ。定員10名の地域密着型通所介護、いわゆる小規模デイサービス施設の「樹楽」をフランチャイズで全国展開しており、7年間でその数は100カ所を超えるまでになった。
「樹楽」で注目すべきは、一般民家を利用して、家庭の団らんのような雰囲気をつくり出していることだ。

「人里離れた場所に立つコンクリート造りの施設に、自分の親や祖父母を送り出すのは、家族として忍びがたいものです。それだけに、住み慣れた地域にある一般住宅を利用した施設で、気心の知れたスタッフや近隣の顔見知りの人たちと親しく交わることができるサービスというのは、高齢者本人はもとより、家族にとっても、安心につながるのではないでしょうか」

と、同社社長の原田健市氏は語る。

「樹楽」では、定員10名に対し、法令で定められた人数の2倍以上となる最低4名のスタッフを常時配置し、きめ細かなサービスを提供していることも、特徴のひとつにあげられる。

原田氏がとりわけ強調するのが、「樹楽」では介護を担う家族のニーズに応え、24時間・365日の対応をしていることだ。通所介護は、主に在宅で介護を受けている高齢者が送迎つきで通って、食事や入浴、レクリエーションなどを受けられるサービスをさすが、「樹楽」では、利用者の条件が合えば、そのまま「お泊り」することも可能だ。老老世帯で夫の介護を担っていた妻が病気で入院することになったとか、親戚に不幸があって急遽、家を空けることになったなど、お泊りを利用する理由には、家族の都合や負担軽減など、さまざまなものがある。

こうした「お泊りデイサービス」は介護保険の適用外だが、近年は小規模の通所介護事業所を中心に、このサービスを提供するところが増えている。その背景には介護保険で宿泊できる高齢者施設が慢性的に不足していることがあげられるが、原田氏は、画一的なサービスになりがちな施設介護を増やすことには異を唱える。

お泊りデイサービスについては、東京都や大阪府など、一部の自治体では運営基準が早くから定められていたものの、その多くは介護保険制度外の自主事業ということで、運営方法などは事業者に一任されていた。そのため、利用者の個々のニーズに応じてサービス内容を柔軟に設定する優良事業者がいる一方で、狭いスペースに何人もの高齢者を押し込めて雑魚寝をさせるというような、劣悪な環境で運営する悪質な事業者の存在も明るみに出て、これが社会問題化した。

こうした事態を受けて、厚生労働省は、2015年の介護保険制度改正に伴い、介護報酬の引き下げを行うとともに、通所介護施設での宿泊サービス、すなわちお泊りデイサービスのガイドラインを作成。都道府県等への届け出を義務づけ、人員体制や基準を強化することで最低限の質を担保し、悪質業者の一掃を図ることにしたのである。

結果として、厚生労働省としても、お泊りデイサービスに対し、利用者の一定のニーズがあることは認めているかたちだ。この基準強化により、今後は家族や利用者にとって、なくてはならない介護保険外のサービスとして位置づけられることが期待される。

「日本では2025年から本当の超高齢化時代、大介護時代が始まるのであって、いまはまだ序章にすぎません。人口が減少し、国の財政が緊縮していく状況を考えると、国の介護保険制度だけに頼るのではなく、町会など地方の自治組織のような単位で、介護の必要な方々をケアしていかざるをえなくなるのではないでしょうか。すなわち、たがいに支えあうという『村意識』が必要とされる時代になると思われます。
そうなったときの介護のかたちとしては、地域に密着し、顔見知りどうしが共同で生活するような、小規模なデイサービスがいちばんいいはずです。一般民家を活用し、お泊りも含めて、家族のように接しながら、24時間お世話させていただく。介護サービスの最後の砦として、まさにこれしかないと思うのです」

と、原田氏はお泊りを含む地域密着型通所介護、いわゆる小規模デイサービスの必要性を力強く語る。

「樹楽」の利用者は、平均すると要介護2・7くらいとのことで、医療行為が必要な人や寝たきりの人は断らざるをえないが、認知症の場合は、どんなに重い症状の人でも受け入れる、原則的には「断らない介護」を標榜しているのだという。地域のデイサービスが断ったら施設に入るしかなく、その施設にも入れないとなると行き場を失ってしまう。そうなると、家族の誰かが在宅で世話をする必要に迫られ、介護離職を生じさせることにもなりかねないからだ。

アクロスでは、地域のなかで支えあう介護を実現するためには、将来的には中学校区ごとに1つ、つまり全国に1万2000カ所の、お泊りデイサービスを含む地域密着型通所介護事業所が必要と考え、当面の目標として、2020年までに「樹楽」を、現在の倍の200カ所で展開することをめざしたいとしている。

本書を執筆するにあたり、実際にいくつかの「樹楽」を訪問し、オーナーのみなさんにも取材させていただいたが、それぞれの介護事業への強い信念と熱き情熱とが言葉の端々から感じられた。それに、家庭的な雰囲気のなかで、高齢の利用者たちが穏やかで楽しそうな表情を浮かべていたのが印象的だった。

老いは誰にでも訪れるものであり、いまは介護する側の人も、いずれは介護される側になるかもしれない。そうなったとき、どうすれば住み慣れた地域で安心して最後まで暮らすことができるのか。介護のあり方を国民一人ひとりが真剣に考えておく必要があるのかもしれない。

本書は、一般住宅をベースにした地域密着型通所介護サービスを全国でフランチャイズ展開するアクロスの事業活動、ならびに、フランチャイズに加盟する事業者たちの介護現場を紹介するとともに、アクロス創業社長・原田健市氏の経営理念と介護哲学に迫るものである。

介護を必要とする高齢者や、そのご家族、あるいは介護事業に携わる方々にとって、これからの介護サービスのあり方を考えるうえでの一助となれば、これに勝る喜びはない。

なお、本文中の敬称は略させていただいたことを、あらかじめお断りしておく。

 2016年12月  鶴蒔靖夫


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はじめに


第1章 急速に進む高齢化と介護サービスの現状

国民の4人に1人が高齢者という超高齢社会に突入
高齢化の進展に追い打ちをかける「2025年問題」
地域包括ケアシステムの構築に向けて
介護離職や老老介護に見る厳しい現実
入所待ちが50万人以上の特別養護老人ホーム
要介護高齢者の住まいとしての居住系サービス
アベノミクスの新3本の矢が掲げる「介護離職ゼロ」
宿泊を伴う地域密着型サービスの拡充が鍵
お泊りデイサービスの先駆けとも言える「宅老所」
厚生労働省が宿泊サービスのガイドラインを制定


第2章 「誰でも気楽に過ごせるもうひとつの我が家」

24時間・365日対応の小規模デイサービス
個別に柔軟な対応が可能なお泊りデイサービス
個別対応ならではの居心地を提供
施設の判断基準は「自分の家族を預けることができるか」
ニーズがある以上、「断らない介護」を標榜
認知症の特効薬はコミュニケーション
お泊りデイサービスが介護離職の歯止めにも
介護は小規模であるほど満足度が増す


第3章 地域密着型のデイサービス「樹楽」の現場リポート

独自色が鮮明に打ち出された各地の「樹楽」
言葉がやさしく交差する場をつくる
  介護という「インフラ」に参画して地域に貢献
  幸せの原点はコミュニケーションにあり
  お泊りデイサービスでは安全性を最優先
  スタッフの成長をも後押し
  介護事業の王道は、よいサービスを提供すること
常識破りの「喜怒哀楽介護」を実践
  自分から行きたくなるような楽しいデイサービスを
  お客様扱いせず、家族のように接する
  要介護5が半年で要介護1に
  地域密着型サービスへの移行を機に「樹楽 団らんの家 五浦」を開業
地域のなかで必要とされることが生きがいに
  最初は単にビジネスとして介護事業に着目
  介護に懸ける覚悟で事業をリセット
  お泊りデイサービスにこそ、やりがいを感じる


第4章 高齢者介護の新地平を開く「樹楽」のフランチャイズ制度

介護施設らしからぬ光景に感動
超高齢社会を救うお泊りデイサービスの充実
開業には初期投資1000万円+運転資金が必要
営業では「樹楽」のよさや必要性をアピール
感謝される事業であることを伝える
付かず離れずの関係でオーナーをサポート
合理的な手順を踏む開業までの道筋
開業への申請書類の作成を代行
開業後も本部がオーナーやスタッフを手厚く支援
介護事業に求められるコンプライアンスの徹底
現場での万が一の事故に備える
介護事業こそフランチャイズ化すべきとの想いを強める


第5章 アクロスが描く福祉事業の近未来図

いまこそ求められる「村意識」の復活
日常生活動作の向上を図る「フィット&デイ」
「樹楽」を高齢者介護サービスのトータルブランドへ
障がい児を支援する「放課後等デイサービス」
2025年に向け、高まる介護人材ニーズ
家族のように寄り添い、看取るまでが、本当の介護
快適空間の提供により社会に一灯を燈す
株式上場を中止、捲土重来を期す
お泊りデイサービス1万2000カ所体制の実現に向けて


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