*建築・建設・不動産

2018/09/10

『初めて家を持つ人を応援する』 前書きと目次

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初めて家を持つ人を応援する
~住まいの“ぜんぶ”を引き受ける「リビングライフ」のオンリーワン戦略~


著者:鶴蒔靖夫
定価:本体1800円+税
ISBN978-4-87218-372-6
初版発行:2012年8月5日




はじめに

国際競争力を失い、弱体化が進む経済。そこに襲った東日本大震災。まさに“泣き面にハチ”という状況の日本だが、荒廃した地からも新しい芽は伸びはじめる。

特に昨年の大震災は、多くの日本人に、新たな気づきをうながしたようだ。それは、幸福はどこに根ざしているのか、という人が生きていくうえでもっとも基本的な、そして、もっとも重要な問いかけだった。

津波で家を流された人、原発事故の影響でわが家から離れざるを得なくなった人、そうした人々の、わが家に対する深い思いをテレビ映像などで見聞きしながら、住まいは人生の場そのものであり、幸福の基本であると感じると同時に、家族とともに生きていくわが家をもっと大事に考えようと、多くの人々が改めてわが家の持つ大きな意味を認識したのである。

それを象徴しているのが、最近の住宅業界の動きではないか。不動産経済研究所の調べによれば、平成二十四(二〇一二)年一月の実績で、首都圏の建売住宅は対前年同月比で一四・二%増、マンションは同じく対前年同月比三二・六%増と、震災前の需要を大きく上回る活況ぶりを示している。

震災後、大きく沈み込んだ消費者マインドのなかで、いち早く住宅需要が元気を取り戻したことは、人々が人生の幸福は住まいからはじまることを再認識した証ということはできないだろうか。

こう考えたとき、私の脳裏にくっきり浮かんできたのが、本書の主役である株式会社リビングライフ(本社:東京都世田谷区)の代表取締役・炭谷久雄氏である。

炭谷氏と私の出会いは数年前にさかのぼる。私が二十八年間パーソナリティを務めているラジオ番組にゲストとして出演していただいたことがあり、含蓄深いお話をうかがったことがあるのだ。炭谷氏は、「住まいからはじまる人生の幸福づくり」を企業理念に掲げ、住宅事業を中心に、不動産に関するビジネスを幅広く展開している人物だ。

炭谷氏が経営するリビングライフは、「住まいからはじめる生涯幸福設計」をコンセプトに、常に、人が幸福な人生を送るための住宅を提供するという考えを貫いてきた。

売買仲介事業から一戸建て住宅、分譲マンションへと社業を拡大してきたのも、「住まいは生涯幸福の原点だ」という考えにもとづくもので、顧客の生涯にわたる住宅ニーズのすべてを満たしたいという強い願いがそこにある。現在ではさらに進化し、リノベーション、リフォーム、マンション管理、パーキング事業、不動産の積極的活用を行うアセットマネジメント業など、不動産にかかわるニーズのすべてにワンストップで応えるトータルソリューション機能を持つ組織を構築している。

この企業構造はいうまでもなく、企業としての安定・発展にも理想的なかたちになっている。

詳細は本文で述べるが、私が炭谷氏に再びお会いしたいと思ったのは、数年前に、いや、二十年以上前の創業時から、炭谷氏は、住まいと人生の幸福をしっかり結びつけて考えいたことが強く印象に残っていたからだ。

炭谷氏は創業当時から、住宅産業が果たすべき最大の使命は人の生涯幸福の基点となる住まいを提供することだという理念を持ち、それにもとづいてビジネスを展開してきた。その理念は、今回の東日本大震災の経験を経て、いま、多くの日本人が共通して持つ価値観となっていると思われたのだ。

一別以来数年、炭谷氏に再会し、リビングライフは実に数年前の予想をはるかにしのぐ企業規模に成長しており、事業内容も時代の最先端をいくものに進化させていた。このことにも目を見張った。現在、リビングライフでは「環境」をキーワードにした住宅・マンションの提供に力を注いでおり、さらに、業界初の分譲マンションの管理費負担をゼロにする独自のスキームも導入している。

本質を見失わないビジネスは、結果的には大きな繁栄をもたらすということだ。

炭谷氏がリビングライフを創業したのは平成二(一九九〇)年。バブル経済が崩壊した直後で、日本経済は混乱のさなかにあった。特に不動産業界はバブル崩壊の波をもろにかぶり、毎日のように、「あそこがつぶれた」「ここが倒産した」というニュースが飛び交い、まさにカオスそのものだった。

だが炭谷氏は、「こういうときこそ、幸福な人生の基点となる健全な住宅をしっかり提供していかなければならない」と、敢然と起業に踏み切った。火中の栗を拾うともいえるそんな行動を支えたのが、炭谷氏が信頼する「3KM」発想である。

「3KM」は、同じく住宅産業の土屋ホーム(現株式会社土屋ホールディングス、本社:北海道札幌市)の創業社長・土屋公三氏(現会長)が提唱する、人生の幸福設計理念である。幸福を実現するための目標を三つの「K」、つまり「個人」「家庭」「社会(会社)」に分けて考えていくところに最大の特徴がある。

具体的には、一人ひとりが三要素における目標設定を、たとえば年に一度など定期的に行い、これも定期的に、自ら設定した目標がどこまで達成されたかをチェックしていく。「M」は、「目標(Mark)」、「管理(Management)」、「意欲(Motivation)」を意味し、これらは目標達成を確実化するためのスキルになる。

土屋ホームはこの3KMを企業理念にして創業し、当時、すでに大きく成長を遂げていた。だが、炭谷氏が強く心惹かれたのは、めざましい成長力よりも、個人・家庭の幸福の実現をめざしつつ、社会の幸福にも貢献することが社員の共有意識となっている土屋ホームという企業のあり方だった。

早速、3KMについて勉強し、ますますその理念に心酔した炭谷氏は、「自分もこういう会社をつくりたい」と思うようになる。そして、バブル崩壊の逆風が吹くなかで、たった一人で小さな事務所を立ち上げたのである。

現在、リビングライフの年商は約一五〇億円。リーマンショックの直前はこの二倍くらいの年商規模だったが、リーマンショック後はより堅実な方向へと舵を切り、今日では足腰の強い、筋肉質の経営体質に鍛えなおしている。

また、リビングライフでは、「初めて家を持つ人を応援する」という姿勢を大事にしている。実は、不動産業界では大手のシェア拡大がじわじわと進んでいる。ところが大手はその経営構造上、どうしても高価格帯の住宅・マンションの供給に集中しがちなのだ。

「社会を支える若い世代の中間層は、実際そんな高い住宅は買えないのです。そういう人たちが無理なく買うことができ、しかもクオリティ的には他社の住宅・マンションとは遜色がないものを提供することに私は使命感を持っています」

炭谷氏のこうした発言を裏づけるように、リビングライフが現在展開している物件は、住宅・マンション、どれをとっても、リビングライフでなければできないオンリーワンの魅力に満ち、多くの顧客を惹きつけている。

本書では、リビングライフの企業理念のベースとなっている「3KM」について紹介するとともに、同社が手がける各事業について紹介し、リビングライフの全容に迫りたいと考えている。

炭谷氏の理念・考えを知ることで、読者一人ひとりが自分自身にとって、より幸福な人生とは何か、そして、そのためには何をすべきかを考える一つのきっかけとなれば幸いである。また、リビングライフの事業展開からは、低迷する日本経済のなかにあっても、どのような視点を持てば活路が開けるかという、多くの学びを得られるものと確信している。

なお、本文中の敬称は略させていただいたことを、あらかじめお断りしておく。

平成二十四年六月  鶴蒔靖夫




はじめに


第1章 リビングライフと「3KM」理念

社員の生涯幸福設計と「3KM手帳」
炭谷と3KMの出合い
マズローの欲求五段階説――生きがい・やりがいをもたらすもの
3KMを実際に使いこなす
人材を人財に変える3KM


第2章 不動産ニーズのすべてに応えるリビングライフ

人と街をつなぐ不動産のトータルソリューション
街と人をつなぐという使命を果たす
リビングライフグループの事業構造
徹底したドミナント戦略を展開
土地鑑を基盤にする不動産業には最高の事業展開


第3章 原点は真の幸福の追求
 ――炭谷久雄とリビングライフの歩み――

母一人子一人の家庭から大学に進学
不動産業でたちまち頭角を現す
「モリモト」での修業時代
「3KM」との出合い、そして独立
「リビングライフ」を創設
苦労が続いた創業期
本社ビルの完成
創立十周年を期してマンション事業へ進出
[リビングライフ宣言。]
リーマンショックという洗礼
オンリーワン企業への道


第4章 リビングライフが提供する生涯幸福住宅
 ――中核・ディベロップメント事業部の活動状況――

高まる住宅取得ニーズ
家族・地域とのつながりを再確認
平成二十四年はさらに着工戸数が拡大
高まるクオリティ重視傾向
新たなニーズ、エネルギーの自給自足
リビングライフの建築条件付分譲宅地
将来の資産価値も期待できる宅地
リビングライフの建築条件付分譲宅地「ライフアソート」
全戸に太陽光発電を設置する「サンサタウン」
将来的には、太陽光発電装置付住宅が常識に
全二三八邸でダブル発電を実現
神奈川スマートエネルギー構想
電気自動車充電コンセントも設置可
丘の上に誕生する最高の住み心地を実現する「サンサタウン」
三〇〇〇万円台中心という圧巻の価格
あこがれの街「ライフアソート横須賀見晴らしの丘」
第二弾「ライフアソート湘南田浦オレンジタウン」
リビングライフのマンション事業1――新築部門「ライフレビュー」
 マンション事業・新築マンション
 ホテルライクな外観のなかに広がる最上級の機能
 全四一棟、二六〇〇戸の実績を誇る「ライフレビュー」
 常に「初めて家を持つ人」のサポーターになる
 なぜ、リーズナブル価格を実現できるのか
 小~中規模マンションにこだわる理由
 リビングライフだけの安心「マルチアングル・チェックシステム」
 「安全・安心」を確実にする第三者検査機関でのチェック
 お客さまの代理という自覚
 日本初! 十年保証「住設あんしんサポート」
 画期的なシステム「MMP」
 今後は付加価値のあるマンションを提供していく
リビングライフのマンション事業2――リノベーション部門「リリファ」
 リノベーションという新しいマンションのかたち
 新しい時代の価値観から生まれたリノベーション市場
 リノベーション事業への本格参入
 新築マンション同様の「安全・安心」へのこだわり
 外装・内装もすべてリノベーション
 リノベーション案件の進行チャート
    〈コラム〉リビングライフの歴史が自分自身の人生と重なる


第5章 リビングライフのトータルソリューション型ビジネス
 ――住宅流通事業部・多彩なグループ会社展開などの活動状況――

さながら太陽系宇宙のように
地元のプロに徹して不動産売買の仲介を行う住宅流通事業部
ニーズ・時流に応じて変化する商品群
ローンセミナー、自分史などの戦略で顧客の気持ちを引きつける
    〈コラム〉少数精鋭体制で発揮する抜群の販売力が誇り
自社保有の資産の運用、管理で収益を生み出すアセットソリューション事業部
    〈コラム〉少数精鋭でスマートな職場づくりを実現
【グループ企業の活動】
 マンション管理業務を行う株式会社リビングコミュニティ
 安全・安心で長く住めるための充実したサポート
 賃貸管理やコインパーキング事業を展開する株式会社リビングセンター
 二十四時間カバーするリビングセンターのPM事業
 有望市場のコインパーキング
    〈コラム〉各事業部の拡大など、企業として大きく育ってきた喜びを実感
 技術力で圧倒的な信頼と実績をあげている朝日建設株式会社
 高性能・省エネ効果にすぐれた鉄筋コンクリート造の賃貸マンション
 賃貸経営サポートでも実績を拡大
 マンション・ビルのリニューアル事業
    〈コラム〉「ライフレビュー」「リリファ」でリビングライフと切磋琢磨
 「グレイスウッド」など戸建住宅をつくりつづけてきた株式会社東横建設
 仕入れから設計・施工まで自社の手で
 新幹線搭載の制震システムや狂いのこない乾燥集成材を採用
 木の魅力を生かした「グレイスウッド」シリーズ
    〈コラム〉三十五年来のつきあい。炭谷社長は仕事・人生最良のバディで


第6章 リビングライフが描く未来地図

人口減少社会の住宅事情
日本経済浮揚のカギを握る住宅産業
国の「新成長戦略」もリフォーム市場に着目
ワンストップ対応企業の真価を発揮するとき
最大の課題はスタッフの意識向上
リーダーをどう育てていくか
めざすは、個人・家庭・社会の生涯幸福
四十年、五十年と存続する企業をめざす


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2018/08/06

『人生100歳時代 不動産投資のフロンティア』 前書きと目次


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人生100歳時代
不動産投資のフロンティア
~将来の不安を安心に変えるフロンティアハウス~


著者:鶴蒔靖夫
定価:本体1800円+税
ISBN978-4-87218-445-7
初版発行:2018年7月30日




はじめに

最近では、「人生100年時代」「人生100歳時代」といった言葉をよく見聞きするようになった。

たとえば神奈川県知事の黒岩祐治氏は、2016年の年頭記者会見で、県民一人ひとりが、その人らしく生涯にわたって生き生きと暮らせるよう、県、市町村、大学、民間企業、NPOなどが「かながわ人生100歳時代ネットワーク」を立ち上げ、「人生100歳時代の設計図」として、協働してさまざまな取り組みを進めていくことを宣言した。

また、同年10月には、ロンドン・ビジネススクールのリンダ・グラットン教授とアンドリュー・スコット教授の共著による『THE 100-YEAR LIFE』の日本語翻訳版『LIFE SHIFT(ライフ・シフト) 100年時代の人生戦略』(東洋経済新報社)が発刊され、大きな反響を呼んだ。同書では、2007年に日本で生まれた子どもの50%が107歳まで生きると述べられており、ついにここまできたかと実感する。

そこで政府も、人生100年時代を見すえた政策のグランドデザインを検討する「人生100年時代構想会議」を、2017年9月に発足させている。

たしかに戦後、日本人の平均寿命は延び続けている。1950年には男女ともに60歳程度だった平均寿命は、2016年には男性80.98歳、女性87.14歳(厚生労働省「平成28年簡易生命表の概況 参考資料2 主な年齢の平均余命の年次推移」)にまで延び、「人生90年時代」も目前に迫っている。

この調子でさらに平均寿命が延びていけば、「人生100年時代」の到来も、いよいよ現実味を帯びてくる。そうなれば、その分、仕事をリタイアしたあとの、いわゆる「老後」の時間も長くなっていく。

しかし、少子高齢化の急速な進展により年金制度の基盤が揺らぎ、今後の年金受給額が目減りするなど、年金制度自体の将来も危ぶまれるなかで、老後の生活に対する金銭的な不安を抱いている人は少なくない。そのため、「老後の暮らしに必要な資金は、現役のなるべく早い時期から準備しておこう」という自己防衛意識が、一般の会社員はもとより、一定の資産を有する階層にまで広がっている。

老後の暮らしを安定させる手立てのひとつが、不労所得の確保、すなわち投資による資産運用である。投資の対象は、株式、投資信託、債券などの金融資産と、不動産や金などの実物資産に大別されるが、なかでも不動産投資は、経済状況や為替相場の変動等による影響が少なく、資産価値も落ちにくいうえ、相続税対策をはじめ税制面でもメリットがあり、長期保有することで安定した収入が望めるとあって、高い人気を集めている。

ゼロ金利とも言われる空前の低金利時代が続いていることも、不動産投資の人気の背景としてあげられる。しかし一方で、低金利時代ゆえのさまざまな問題も浮上してきている。

「融資したい」という金融機関と「建てたい」という不動産業者の思惑が一致し、立地や物件の良し悪しを問わずにワンルームマンションやアパートなどの賃貸住宅が続々と建てられた結果、エリアによっては空室が目立つようなところも出てきている。入居稼働率の悪化により、家賃を保証するサブリース契約をめぐる不動産業者とオーナー間のトラブルも相次いでいる。なかには、「長期的な安定が望める」はずが、期待どおりの収益が得られないどころか、ローンの返済もままならないというケースさえあるようだ。返済原資が家賃で賄えないとなれば、不良債権化が懸念される。そのため、金融庁が各金融機関の融資状況にメスを入れ始め、不動産への融資の引き締めにかかっている。

加えて、少子高齢化の進展や、人口減少、空き家問題の顕在化など、不動産業界を取り巻く環境は、必ずしも明るい材料ばかりではない。それだけに、不動産投資を始めるにあたっては、物件選びはもとより、誰(どの不動産会社)から買うか、誰に管理を任せるかといった「パートナー選び」が非常に重要になってくる。

「不動産投資における最大のリスクとも言えるのが空室でしょう。ですから、オーナー様に満足していただくために、収益性の高い物件を開発し、入居稼働率を100%に限りなく近づけることが、われわれの使命と考えます」

こう語るのは、本書で紹介する株式会社フロンティアハウス(本店:神奈川県横浜市)の代表取締役を務める佐藤勝彦氏である。大学を卒業後、マンションデベロッパーを経て、1999年に佐藤氏が32歳の若さで設立したフロンティアハウスは、横浜や東京を中心とした首都圏エリアでの一棟売りの収益物件の開発・販売を中心に、用地仕入れ、建築、販売、賃貸募集、賃貸管理までをワンストップで展開することで、顧客からの厚い支持を集め、着実に実績を積みあげてきた。現在では年間50棟近い物件の開発を手がけ、約2000戸の管理を行っている。

佐藤氏いわく、「収益物件の開発において最も重要なのは立地」とのことで、土地の仕入れが不動産投資の成否の鍵を握っていると言っても過言ではないようだ。建物についても、万人受けのする既存のワンルームでは入居稼働率に限界があるため、エリアの特性や入居者のターゲットを絞った間取りや設備、内装などに工夫を凝らしている。

加えて、空室を限りなくゼロに近づけるために、通常の賃貸契約にとどまらず、マンスリー賃貸や民泊などを組み合わせて対象となる利用者の層を広げるなど、リーシング・イノベーション戦略を展開していることも、フロンティアハウスの特徴のひとつだ。

それが可能なのは、オーナーが物件を一棟所有しているからこそである。不動産の収益物件では、ワンルームマンションなどのように、1戸ごとにオーナーが契約する区分所有もあるが、フロンティアハウスでは、建物全体をオーナーが契約する一棟所有を主にしているのだ。

「一棟所有の場合は、最終的に土地が残るため、将来的に建て替えが可能です。そのときは建設資金の投資だけですむため、より高い利回りが期待できます」

と、佐藤氏は一棟を丸ごと所有することのメリットを強調する。

会社設立から20年目を迎え、売上高50億円(2016年度)、従業員数50名を超える企業に成長したフロンティアハウスがめざすのは、「100年企業」だ。オーナーや入居者といった同社の顧客に対し、子どもや孫の世代まで親子何代にもわたって役に立てる会社となるよう、収益物件としての賃貸アパートやマンションから、ファミリー向けの分譲マンションや戸建住宅まで、不動産事業の幅広い領域を手がけ、住まいに関するあらゆる要望に応えられる体制を整えている。

そして「100年企業」のもうひとつの意味するところが、社員の子どもや孫の世代まで親子何代にもわたって誇りをもって勤められるような、魅力のある企業体をめざすというものだ。「企業は人材がすべて」と語る佐藤氏は、「人を育てる」ことにフォーカスを当てると同時に、社員一人ひとりの多様性を認め、それらを発揮できる環境づくりや、福利厚生の充実など、働き方改革にも力を注いでいる。

本書は、収益物件の開発・販売を中心に不動産の総合企業として成長を続けるフロンティアハウスの事業活動を紹介するとともに、創業社長・佐藤勝彦氏の経営理念と人生哲学に迫るものである。

超長寿社会を迎え、将来の安心を確保する手立てとして不動産投資を検討している人や、便利で快適なアパートライフやマンションライフを楽しみたいと考えている人にとって、本書がなんらかの指針となれば幸いである。

なお、本文中の敬称は略させていただいたことを、あらかじめお断りしておく。

2018年6月  鶴蒔靖夫




はじめに


第1章 将来の不安を安心に変える不動産投資

長寿化の進展でますます長くなる「老後」
老後の暮らしは自助努力によって守る時代に
預貯金は「リスクを取らないリスク」
投資対象の金融資産と実物資産を徹底比較
将来の生活を守るための不動産投資
税制面や生命保険代わりとしてのメリットも
不動産投資の最大のリスクが「空室」
サブリースをめぐるトラブルも多発
入居稼働率低下のリスクが少ない一棟売り物件
今後も有望な東京・横浜エリアの不動産投資
不動産投資は信頼のパートナー選びから


第2章 不動産投資をトータルサポートするフロンティアハウス

収益物件のトータル業務をワンストップで展開
立地へのこだわりで高い入居稼働率を維持
赤いライン入りの外観が特徴的な自社開発物件
入居者目線に立った間取りや仕様を工夫
多様化するニーズに合わせターゲットを絞った展開も
営業はインターネットでのアプローチが7割
オーナーに対する万全なアフターサポート体制
販売した物件を未来永劫管理していく使命
「収益物件のAtoZ」をめざす
自社保有物件を増やし経営安定の一助に


第3章 空室ゼロをめざすリーシング・イノベーション戦略

空室をなくすことが最大の使命
マンスリー賃貸と民泊を絡めて貸し方の引き出しを増やす
マンスリー賃貸がエリアのニーズに合致して満室を実現
住んでいてワクワクするような空間づくり
多様化するマンスリー賃貸のニーズ
地場の不動産仲介業者と組んで賃貸募集
サブリースの目的は顧客満足の向上


第4章 人材育成と働き方改革への取り組み

企業を動かす最大の要素は「人」
新入社員全員がまずは土地の仕入れを経験
「人を育てる文化」を醸成中
多様な働き方を選択できる環境づくり
社長室が現場の意見を集約
ワーク・ライフ・バランスを重視した働き方改革
資格取得支援と豊富な資格手当
社員とその家族の幸せを追求すべく福利厚生を充実
多様性を発揮できるステージづくり


第5章 創業社長・佐藤勝彦の経営理念と人生哲学

野球での活躍で注目を浴びた少年時代
野球部を去ることになった苦い思い出
勉強そっちのけでアルバイトに明け暮れた学生時代
バブル経済絶頂期にデベロッパーに入社
バブルが崩壊し、勤めていた会社が民事再生手続きへ
責任をまっとうすべく最後までやり切って「卒業」
身ひとつでフロンティアハウスを立ち上げる
管理までトータルで提供することの重要性を学ぶ
努力という無形財産が有形財産をつくる
顧客、社員、取引先への思いを経営理念に託す
飛躍の契機となった横浜地区の「難あり土地」
リーマンショックの危機を間一髪で逃れる
MBA取得をめざし大学院へ


第6章 フロンティアハウスが描く「100年企業」への未来図

親子3代にわたるおつきあい
人口減少時代の収益物件の市況を予測
収益物件においても高まるインバウンド需要
人口増の東南アジア市場での展開も視野に
収益物件と戸建住宅の組み合わせ
不動産関連ビジネスは協業の時代へ
セミナー開催による集客にも注力
プロダクトアウトからマーケットインへの転換
「100年企業」に向け、地に足をつけた戦略を


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2018/06/05

『土地を活かす知恵 人を活かす情熱』 前書きと目次

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土地を活かす知恵 人を活かす情熱
~エム・ケーの土地活用革命II~


著者:鶴蒔靖夫
定価:本体1800円+税
ISBN978-4-87218-444-0
初版発行:2018年6月20日




はじめに

「あれ、以前通ったときと景色がすっかり変わったなあ」

取材などで全国を飛びまわる日々を送る私だが、最近、新幹線やクルマの窓から見える景色が以前とは大きく変わったことに気がついて、驚くことがしばしばある。ふと目をやると、以前は茫漠とした空き地が広がっていたところに、工場や倉庫、あるいは配送センターといった、壮大な規模の建物が建っているのだ。

土地は無機的なものだと考えられがちだが、そこに建物が建ち、活用され始めると、土地は急に生き生きとした表情を取り戻す。その結果、一帯の景色までもが活気を帯びてきて、それを遠望する者にまで元気を与えてくれる。土地は、なんらかの目的で使われてこそ命を持つということを、身に沁みて実感する瞬間だ。

バブル経済の崩壊やリーマンショック、さらには歯止めの利かない少子化も重なり、日本の不動産事情は、以前とはまったく異なった様相を呈するようになっている。

かつては「土地信仰」という言葉もあったほど、土地は絶対的な資産であった。だが現在では、都市中心部のごく一部を除けば、ただ持っているだけの土地は「お荷物」と化しつつある。所有していれば税金を納めなければならず、相続のときにはもめごとの種になることもあるうえ、相続税も重くのしかかる。

だからといって売ろうと思っても、最近では、地方ばかりか、首都圏でも中心部から少し離れると、買い手がつかないというケースも珍しくないご時世だ。少子化により住宅需要は頭打ちになり、地方は言うまでもなく、都市部でも空き家が目立つようになってきている。

加えて、「失われた20年」とも称される長引く不況を体験した企業は、設備投資に二の足を踏んでいるところも少なくない。減反政策や後継者不足などにより、代々受け継がれてきた農地もいまでは耕作放棄地となり、荒れ地のまま放置されて雑草が生い茂り、なかには不法投棄のごみの山になってしまったところさえある。

かつては想像することのなかった「土地余り」の時代を迎え、いまや不動産は“負”動産とすら呼ばれるようになっている。

だが、そんな不動産市場に新たな価値観を導入し、使い道がないと考えられていた土地に息を吹き込み、有効活用の道を生み出している企業がある。それが本書で紹介するエム・ケー株式会社(本社・東京都日野市)であり、同社を率いる代表取締役の小林勁氏である。

エム・ケーの創業は1988年11月1日である。まさにバブル経済沸騰期の真っただ中であり、創業からおよそ1年後の1989年12月29日の大納会では、日経平均株価は3万8957円と史上最高値をつけた。

当時、株価以上に高騰していたのは地価である。そうした時期に創業した不動産会社と聞けば、不動産価格を吊りあげながら不動産を買っては売り、売っては買いを繰り返して大きく儲ける、そんなビジネスを展開してきたのではないかと考えるのが普通だろう。だが、小林氏は、不動産バブル最盛期の当時から、土地を有効活用することで安定的に収益を確保することを重視し、その収益を積みあげて会社の基礎体力にするという、堅実そのもののビジネススタイルにこだわっていた。

「人間の活動は、すべて土地の上で行われます。しかし、使える土地の広さには限界があります。だからこそ、土地をいかに利用するか、どう活用するかという知恵が重要なのです。活用方法しだいで、土地の価値を限りなく拡大し、発展させることができるはずです」

こうした独自の視点を持つ小林氏は、土地などの不動産に新たな生命を吹き込み、長期的に収益を生み出すものへと変革させていかなければならないと考えた。具体的に言えば、単に不動産を右から左へと売り買いするのではなく、その土地に長期的に価値を持つ上物を建て、その上物をリースして収益を生み出す「ヘッドリース事業」という独自のビジネスモデルを生み出したのである。

やがて、エム・ケーの土地活用技術はさらに進化していき、その技術で小林氏は、本来、開発ができないとされている「市街化調整区域」を開発するという新たなビジネスに乗り出し、エム・ケーを大きな成功へと導いていった。

多くの自治体にとって、「市街化調整区域」の存在は、頭の痛い問題だった。手つかずのまま放置されている広大な土地には雑草が生い茂り、不法投棄の場になっているところも少なくなかったが、その開発にはいくつもの困難があった。

「市街化調整区域」の活性化計画には、自治体などの許諾が必要であるうえ、相当数にのぼる土地オーナーの了解を取りつけるという困難を極める作業もともなう。そのため、膨大な時間と手間がかかるのが普通である。

ところが、小林氏が率いるエム・ケーは、それを驚くほどの短期間でやり遂げてしまうのだ。冒頭に書いた景色の変化は、小林氏が手掛けた「市街化調整区域」の開発プロジェクトにより、土地が新たな生命を得たことによる変化だったのである。

こうした「市街化調整区域」の開発により、それまで過疎化に悩んでいた地方に新たな雇用が生まれ、自治体としても新たな税収が期待できるようになる。これは、国が掲げている「地方創生」という課題に対する、これ以上ない解答にもなっている。それを証明するように、現在、エム・ケーには全国の自治体から次々と開発依頼が殺到しており、その応対だけで時間がなくなってしまうと、小林氏はうれしい悲鳴をあげている。

「不動産は、所有することに価値があるのではありません。不動産を活用し、長期的に収益を得られるものに変えていかなければならないのです。その実践を推進することが、不動産事業に求められる本来の社会的役割であるはずです」

と言う小林氏の発想は、不動産の価値観におけるコペルニクス的転回と言っても過言ではない。

この革新的発想がいかに時宜を得たものであるかは、エム・ケーの30年の軌跡が証明している。その間には、バブル経済の崩壊と、その後の長期的不況、さらにはリーマンショックなどもあり、不動産市場のみならず、日本経済そのものがたどった道は、平坦とはほど遠かった。だが、そうした時代背景のなかでもエム・ケーは、創業以来、おおむね右肩上がりの勾配を描いて着実に成長路線を歩んできた。

35平方メートルの狭い事務所に、小林のほかは女子社員が2人いるだけでスタートした小さな会社が、いまや年商200億円を超えるまでになり、時代の先端を走って日本の不動産活用の質的転換を力強く牽引する、堂々たる企業へと成長を遂げているのだ。

「不動産事業は、私の天性の職業だったのかもしれません」

と、謙虚な口調で語るこの言葉以上に、小林氏の正鵠を射るものはないだろう。

エム・ケーは、2017年11月に創業30年を迎えた。企業の寿命は30年という説があるが、それを踏まえるならば、2018年はエム・ケーにとって、新しい世紀の扉を開き、この先、さらに一段、また一段と新たなステージを駆けのぼっていく、まさに新たな出立の年だと言えよう。

本書では、小林氏とエム・ケーの30年の歩みをたどりつつ、その歩みを牽引する小林氏の不動産活用の理念と実績を、つぶさに紹介していく。

「生涯、仕事人でありたい」

これも、小林氏が掲げる理念のひとつだ。76歳(2018年時点)である小林氏のこの考え方は、いまや4人に1人は高齢者という日本を活性化させる、もうひとつの価値ある提唱と言えるだろう。

そうした意味からも、小林氏という傑出した人間像を描き出し、その足跡を紹介することは、現在の日本が抱える幾多の課題に対する答えを示唆し、その先への光明を示す、貴重な1冊となるものと自負している。

なお、本文中の敬称は略させていただいたことを、あらかじめお断りしておく。

2018年5月  鶴蒔靖夫




はじめに


第1章 “負”動産から“活”動産へ
―エム・ケーと小林勁が仕掛ける不動産革命―

エム・ケーの新たな一歩・創業30年パーティー
パーティーに集まった多様な顔ぶれとエム・ケー
安定的な経営基盤なくして企業の成長はありえない
「市街化調整区域」とはなにか
市街化調整区域開発のオンリーワン企業「エム・ケー」
エム・ケーが行った市街化調整区域開発事例
 事例Ⅰ 市街化調整区域開発プロジェクト「イオンモールつくば」
 事例Ⅱ 市街化調整区域開発プロジェクト「ネクストコア清久」
 事例Ⅲ 市街化調整区域開発プロジェクト「ネクストコアあきる野」
 事例Ⅳ 市街化調整区域開発プロジェクト「ネクストコア五霞」
 事例Ⅴ 市街化調整区域開発プロジェクト「ネクストコア海老名」
 事例Ⅵ 市街化調整区域開発プロジェクト「ネクストコア三島三ツ谷工業団地」
 事例Ⅶ 市街化調整区域開発プロジェクト「ネクストコア千葉誉田」


第2章 不動産価値革命の先駆者
―建築設計士から不動産業への転身―

土地に生命を吹き込むことを天職として
土地を愛するDNAを受け継いで
農地改革で土地を失う
建築の道を志す
生涯働き続けるために
建築は日本の将来像を具体化する仕事だ
超高層ビル時代の幕開け
建築設計家としての一歩を踏み出す
先輩から学んだ設計士としての技術と魂
いまも思い出に残る病院設計
一生の基盤が形成される
ゼネコンから住宅メーカーへ転進
いくつものカルチャーショックから学びを得る
芽生え始めた独立志向


第3章 農耕型不動産ビジネスとヘッドリース事業
―所有から活用へ。不動産の新しい価値を見出す―

エム・ケー株式会社の船出
マンションの一棟売りからスタート
困難な仕事だからこそ挑戦する
「農耕型」という新しい不動産ビジネスの開発へ
確かな収益基盤、それも継続的な収益基盤をつくろう
「ヘッドリース」というビジネスモデル
リスクはエム・ケーが負い、オーナーには迷惑をかけない
ヘッドリース事業第1号案件「北野ビル」
大量雇用時代の社員寮・社宅に着目
社員寮から有料老人ホームへの転用
耳たぶに触れる需要を聞き逃すな
不動産事業を通じて社会に貢献する企業へ
大きなペナルティを支払って学んだこと


第4章 働き方改革を先導する
―徹底した少数精鋭主義と女性の活用―

粒選りの少数精鋭集団
率先して働き方革命を実現していく
次世代型の不動産マンを育てていく
何歳になっても仕事をしてほしい
一騎当千の営業活動を支える女性スタッフ


第5章 100年後も存続する企業へ
―企業遺伝子を培い、それを継承していく―

敢えて成長速度をゆるめる
「安全・確実経営」を確保しているからこそ取れるリスク
数々の受賞が物語る、小林の経営手腕
不動産ビジネスが揺らぐことは永遠にない
変化を鋭く読み取る先見性が勝負を分ける
小林が描く次世代型不動産活用とは
大胆な発想の転換が求められる都市開発
企業遺伝子をつないで100年企業へ


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2018/05/23

『学歴がなくても、年収6億円を稼ぐ男の人生』 前書きと目次

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学歴がなくても、年収6億円を稼ぐ男の人生
~「顧客目線」で不動産業界の常識を打ち壊す、佐々木数修都の型破り経営~


著者:鶴蒔靖夫
定価:本体1800円+税
ISBN978-4-87218-442-6
初版発行:2018年6月3日




はじめに

日本が「長寿大国」と言われるようになって久しいが、長寿は、長く生きることで味わえる喜びや楽しさなどをもたらしてくれる一方で、これまでにない心配や不安も生じさせている。

その心配や不安の筆頭にくるのは、やはり健康とお金についてである。どうすれば豊かで活力のある老後を送ることができるのか。これからの時代は、年金だけでは心もとないし、銀行への預金も金利は限りなくゼロに近い。

それだけに、自分の責任で財産を蓄え、かつ、蓄えたお金は自分で守るという意識を持つことが不可欠だ。そこで注目されているのが不動産投資である。

不動産投資というと、投資のプロが行うものであり、素人が行うにはハードルが高いと思われがちだが、最近では一般の会社員でも不動産投資に取り組む人が増えているという。数ある投資商品のなかでも、不動産は安定感があり、かつ、わかりやすい商品であることが、広く一般に理解されてきたからだろう。仮に、急激な景気の変動に見舞われたとしても、不動産は、まったくの無価値になるようなことはない。

投資する物件と、その物件を手掛ける建設会社や不動産会社の選び方さえ間違えなければ、老後も家賃収入によって安心して暮らしていくことができる。そんな、ある意味で理想的とも言える老後の生活スタイルを、いまは普通の会社員でも手に入れることが可能な世の中になってきているのだ。

自分の将来を豊かで実り多いものにしたいなら、「自己責任」と「自助努力」を基盤にした準備が重要だ。とはいえ、自分だけではできないので、それを手助けしてくれるパートナーが大切となる。その準備をするときに力強い味方になってくれる不動産会社が、株式会社金太郎ホーム(本社:千葉県千葉市、代表取締役:佐々木数修都氏)である。

金太郎ホームは、グループ会社である株式会社金太郎カンパニーと株式会社エフと密接に連携し、東京から千葉に至る湾岸エリアを中心に、投資用賃貸マンションの施工・販売や自社施工物件の仲介・管理などをトータルに手掛けている。2002年に創業して以来、右肩上がりの成長をずっと続け、2017年度の年間売上高はグループ全体で100億円に達する。

創業者の佐々木数修都氏は、まだ47歳という若さで、ほとんどゼロの状態からここまで会社を築きあげてきた。

金太郎ホームの特徴は、すべてが顧客本位、入居者本位で貫かれていることである。
主力商品である新築賃貸マンション「ヒルズシリーズ」は、湾岸エリアの総武線沿線の駅から徒歩10分圏内に建つ、中低層のモダンなデザイナーズマンションだ。立地条件、設備、建築構造、デザインなど、どれをとっても秀逸で、かつ、新築か築浅のうえ、付加サービスも豊富なため、非常に人気が高く、入居率は平均96%を誇る。まさに、「入居者から選ばれる賃貸物件」だと言える。

そのため、500人ほどいる物件のオーナーは、全員が「勝ち組大家さん」である。全員が家賃収益を確保しており、これまでに債務不履行に陥ったケースは1件もない。つまり、金太郎ホームは「成功率100%」の優勝請負人なのである。

この成功と人気の秘密は、これまでの建設業界のやり方を根底から覆した建設手法にある。

手掛ける物件は法定耐用年数34年の重量鉄骨造の中低層マンションに限定し、物件のサイズや規格の標準化と徹底した効率化によって建設コストを3割以上削減することで、坪単価26万8000円という脅威の低価格を実現。さらに工期も同業他社の3分の2にまで短縮させた。

「最安値で最高品質、これに金太郎グループは挑戦します。『ヒルズシリーズ』は価格、品質、工期の3点セットで業界に革命を起こしたと思っています」

と、佐々木氏は言う。詳細は本文で説明するが、顧客本位の追求により生まれた画期的な施工法が、そのまま、従来のアパート・マンションの建設のあり方への問題提起となっていることにも注目してもらいたい。

最安値で最高品質という「金太郎流」は、土地を所有する人だけでなく、一般の会社員などにも、不動産投資への道を広く提供することになった。いまでは、金太郎ホームの物件オーナーの4割は、土地を持たない普通の会社員で占められている。しかも、彼らの多くは不動産投資を「事業」としてとらえ、2棟目、3棟目の購入に向かうという。

そうしたオーナーたちに的確なアドバイスをし、彼らの投資を成功に導けるのは、佐々木氏が洞察力と膨大な量の知識を持っているからにほかならない。

佐々木氏は、設計から収支計画の作成、現場管理、金融機関との交渉、さらには経営サポートや税金の相談に至るまで、すべてをコンサルティングできる不動産投資のエキスパートである。その教えを受けようと、不動産投資希望者が全国各地から金太郎ホームにやってくる。日本人だけでなく、外国人投資家のお客様も増えているという。

「私は、マンションを売っているのではなく、事業を売っているのです」

そう語る佐々木氏は、建物のほかにもうひとつ大事なものも売っている。それがサービスだ。

金太郎ホームでは、入居者に対し、スウェーデンのVOLVOの無料レンタカーをはじめとして、野球観戦チケットや東京ディズニーランドの招待券など、さまざまな特典を提供している。こうしたサービスの原資は、金太郎グループ内で信用保証や保険業務を担当する株式会社エフからの収入があてられている。

また、物件の仲介や管理などを受け持つ株式会社金太郎カンパニーによる管理体制も万全で、なにかのトラブルなどがあったとしても30分以内にスタッフが駆けつけられるように体制を整えている。

さらに、入居者どうしの交流会も金太郎カンパニー主導で行われており、その甲斐もあって更新率は84%にのぼる。つまり、金太郎ホームの物件に住んでいる入居者の大半が、長く住み続けることを希望しているわけだ。

なお、この金太郎カンパニーによる賃貸管理からのインカム収入により、金太郎グループの社員全員への給料がほぼ賄われている。つまり、金太郎ホームの年間100棟におよぶ賃貸マンション建設からの利益はそのままキャッシュとして残り、仮に金太郎ホームの売り上げがゼロであったとしても、社員全員の給料は問題なく支払われる体制ができあがっているというわけだ。

この金太郎グループの「潰れない会社」というビジネスモデルを、佐々木氏は身ひとつから築きあげた。キャッシュフローとインカム収入をベースにするこのビジネスモデルは、不動産業に限らず、すべての業界に通用する経営手法である。

さらに、徹底したむだの排除と時間の管理によって社員のコスト意識を高める手法は刮目すべきものがある。「習慣が人間をつくる」という信念を形にすることで若い社員を芯から鍛えていくことにより、成長速度を大きく向上させている。

このほかにも、社会貢献や海外戦略など、紹介すべきことは多くあるのだが、詳しくは本文を読んでもらいたい。すべての行動や考えが、佐々木氏の奮闘と努力のなかで生まれ、育まれたものであることが、感じとれると思う。

現在、佐々木氏は、約6億円の年収を得ている。この額は、グループ従業員数60人、年商100億円規模の企業の代表としては、一見、高額に見えるかもしれない。

しかし、本文をご一読いただき、「最安値で最高品質」のマンション建設を可能にし、年間100件の投資用マンションの一棟売り契約を結ぶと同時に、「潰れない会社」のビジネスモデルをつくりあげた優れた経営者であり、なおかつ、すべてのオーナーから寄せられる相談にも個別に応えている佐々木氏の素顔を知っていただければ、その金額の理由も納得できるはずだ。

また、自分の道を切り開くのは出自や学歴ではなく、物事の本質を見極める力と、誰かに喜んでもらいたいという想いがその原動力になることを、佐々木氏は身をもって伝えてくれている。

本書は、投資用賃貸マンションビジネスを展開する金太郎グループの事業活動を紹介するとともに、創業者・佐々木数修都氏の経営理念と人生哲学に迫るものである。これは、資産形成を考えている人だけでなく、生き残りを図る建設業界関係者、および、自らの人生の道を模索している若者にとっても、貴重な指南の書となるであろう。

なお、文中の敬称は略させていただいたことを、あらかじめお断りしておく。

2018年4月  鶴蒔靖夫




はじめに


第1章 過熱する不動産市場の現状と課題

過熱する不動産投資の背景にある老後の不安
相続税制の改正でブームが加速
集団訴訟まで招いたサブリース問題
入居者もオーナーも満足させる、成功率100%の金太郎ホーム
じりじりと上昇する空室率はなにを語るか
不動産会社の言いなりになっている金融機関
賃貸アパート・マンション投資のメリット
不動産オーナーになる必要最低条件は、自分で判断できること


第2章 投資用マンションで快進撃を続ける金太郎グループ

「勝ち組大家さん」への仲間入り
金太郎グループのアウトライン
不動産投資の素人には新築物件が最適
重量鉄骨造マンションの建設費で坪単価26万8000円を実現
「最高品質」「最安値」を実現するための8つの約束
「湾岸に集中」「駅から10分」という徹底したエリア戦略
不動産投資の成功はキャッシュフローにあり
「ヒルズシリーズ」に込められたオーナーへの配慮
コスト削減との闘い
投資初心者も安心のワンストップ体制
「不動産」ではなく「事業」を売る
パートナーとは対等の関係
事業収支計画のシミュレーションと出口戦略
自らマンション経営をしているからこそわかること
千葉県の賃貸市場


第3章 サービスを売る=潰れない会社

最後まで面倒をみる体制
徹底した入居者本位の姿勢
なにかあっても30分以内に駆けつける
入居者本位の数々の特典
滞納時の家賃を保証する株式会社エフがサービスの財源
サービスには値段がない
東日本大震災直後にとった行動
「潰れない会社」の法則
キャッシュへのこだわりが、何者にも振り回されない会社をつくる


第4章 強烈逆転人生・佐々木数修都の47年間

昭和の匂いが残る男
怠け者の大工の父親、貧しい家が出発点
友達は絶対に裏切らない
オートバイと学級委員とアルバイトの日々
研修期間中に会社を辞めて、次の会社へ
談合が許せず退社を決意
恵まれない環境だったから、すべて自分で覚えなければならなかった
身銭を切って物件を完成
いちばん迷惑をかけた人たちが、いちばん助けてくれた
創業時から佐々木を支えたスタッフ
独自の営業スタイルを確立し、「6億円稼ぐ男」へ


第5章 理念を込めた人材育成

顧客に対する非礼3回でクビ?
新入社員向けのユニークな研修
時間の管理が社是
限られた時間のなかで最高の結果を出す
あらゆることから「むだ」をなくす
「集中タイム」で残業ゼロに
相手を変えようと思ったら、まずは自分自身が変わる
家族を大事にする会社
仕事と家庭を両立できる会社
建設現場の光景を変える
生きた証をメモに残す
起業家を育てる「金太郎塾」


第6章 地域社会に寄り添いながら歩む金太郎グループ

超レトロ車輌「金太郎ホーム号」が走る
未来へつなぐまちづくり
小さいけれど、大事な貢献
いちばんの地域貢献は納税
スポーツ振興、「千葉ジェッツ」のスポンサーに
不動産業界のイメージの向上をめざす
なぜ「ライバルを育てる」のか
今後の動きから目が離せない金太郎グループ
金太郎グループの海外戦略
日本人起業家が結んでくれた台湾との縁
香港やシンガポールへの展開も視野に
20代の社長を誕生させることを宣言
後継者に未来を託し、ビジネスモデルの普及に尽くす


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2018/02/28

『オフィス環境革命』 前書きと目次

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オフィス環境革命
~パーティションでビジネスに進化を~


著者:鶴蒔靖夫
定価:本体1800円+税
ISBN978-4-87218-376-4
初版発行:2012年9月15日




 はじめに

人は働く環境の善し悪しによって、仕事の能率が大きく左右されてしまうものである。

考えてもみてほしい。資料を置く場所にも困るほど狭いデスクがずらりと並び、間仕切りもない――そんな隣の人と肘がふれ合わんばかりの状況で、細かい数字を扱う経理のような仕事に集中できるだろうか。

あるいは、いやがおうでも同僚たちの雑談や騒音が常に耳に飛び込んでくるような環境で、クリエイティブな発想を生み出すことは果たして可能だろうか。

自分の実力を発揮することもかなわず、さまざまな不満や苦痛に耐えなければならない――そんな劣悪な環境で働くオフィスワーカーは、不幸以外の何者でもない。生産性や労働意欲は著しく低下し、いいアイデアも湧いてはこないどころか、そこで働く人たちは、常に大きなストレスにさらされ、心身ともに摩耗してしまう危険すらあるのだ。

いまやオフィス環境がそこで働く人に大きな影響力をおよぼすことは、周知の事実である。しかし、だからといって、すべての企業が実際にオフィス環境の改善措置を講じ、従業員の働く空間の快適さを追求しているかといえば、決してそうではないのが現実だ。

一〇〇の会社があれば、一〇〇通りのワークスタイルがある。当然、それを支えるオフィスにも、一〇〇通りの顔があってしかるべきである。にもかかわらず、かつての日本企業ではどんな職種であろうとも、そのオフィスの姿に大きな違いは見られなかった。

いわゆる「オープンオフィス」といわれる大部屋スタイルが圧倒的に多く、オフィスレイアウトも向かい合わせに机を並べて、部署ごとに「島」をつくった「対向島型形態」と呼ばれるものがほとんどであった。それぞれの職場に適した空間の快適さや利便性を追求してきた欧米の企業に比べると、日本企業は「オフィスの質」という面で大きく後れを取っていたことは間違いない。

しかし、そんな紋切り型の日本のオフィスのあり方が、近年になって大きく変わってきた。

そのきっかけとなったのは、昭和五十一年以降、通商産業省(当時)主導の下に進められてきた「ニューオフィス化運動」であろう。オフィス環境を整えることによる生産性の改善や従業員モラル(士気)の向上を目標に掲げたこのムーブメントは、次第に日本の企業に浸透していき、オフィス環境における経営者の問題意識をも変えていった。

オフィスは「物を生まない場所」から「生産する場所」へと認識が大きく変わったのだ。

そればかりではない。

いまやオフィスは単なる「労働する場所」ではなく、「企業の顔」「広告塔」としての役割をも担うようになったのである。

たとえば、平成二十二年にソフトバンクは創業三十周年記念イベント「ソフトバンクオープンDAY」というイベントを開催した。本社オフィスにツイッターの一般ユーザー一〇〇〇組二〇〇〇名が招待され、さまざまな催しが盛大に行われた。特に招待客に社員食堂を開放したことが話題を呼び、マスコミにも大きく取り上げられたので、ご記憶の方も多いと思う。

このイベントなどは、まさしく自社のオフィスを広報の一環として有効に活用した一例といえるだろう。

本書で紹介するコマニー株式会社(本社:石川県小松市、代表取締役社長:塚本幹雄氏)は、もともとは事務用キャビネットの会社として昭和三十六年に設立された会社である。

しかし、同社は将来的に求められるであろう新たなオフィスのあり方を見据え、昭和四十五年以降、パーティション事業にシフトしていき、一九八〇年代には業界のトップメーカーへと成長し、さらに昭和六十年には品質管理のノーベル賞ともいわれるデミング賞実施賞中小企業賞を受賞。一九九〇年代には中国進出も果たすなど、日本のパーティション業界を牽引しながら、いまも躍進しつづけている。

「いい空間には、いいパーティションがある」というブランドポリシーを根幹に、これまでさまざまなパーティションで、日本のオフィス環境を理想的なものに変えてきた。「コマニー」という企業名を知らなくとも、多くの人が気がつかないうちに、同社のパーティションに囲まれて働いているのではないだろうか。

世界と対等に勝負することが求められる現代の日本では、高度な専門知識を持った人々が最大限に力を発揮し、仕事の能率を向上させられるオフィスが必要となる。そのためには、周囲からの過度な干渉を避け、業務に集中できるオフィス形態が望ましい。

その一方で「オフィスでのコミュニケーションが活発な企業では従業員のモラルが高い」といわれていることから、従業員間のコミュニケーションを活性化するための環境づくりも重要だ。

しかし、多くの企業が必要性を認識しながらも、長引く不況や業績の悪化などからオフィス環境の改善に多額の予算を割くことがむずかしいという厳しい現実もある。

そこで注目されるのがパーティションによるオフィス空間のリニューアルである。パーティションを利用したリフォームならば大がかりな工事が無用なため、予算も工期も大幅に短縮でき、なおかつオフィス環境の快適性を大幅に向上させることも可能だからである。

オフィスばかりではない。こうした環境づくりは、あらゆる空間づくりの場面で注目され、工場、病院、介護施設、学校と多岐にわたり、パーティションの活躍の場が広がっている。

コマニーはオフィス空間の快適性を追求するとともに、ユニバーサルデザインや地震対策にも積極的に取り組み、さらには工事の騒音が顧客企業の業務の邪魔にならないよう独自の小音工事を開発するなど、さまざまな側面から商品開発に取り組んできた。また、パーティションを機軸にさまざまな可能性を探り、新たに電子錠の販売に取り組むなど、業務の拡大にも力を入れてきた。

このように、パーティション業界のトップメーカーでありつづけることは、たしかな品質とすぐれた開発力、そして、それを生み出す柔軟な思考を持つ優秀な人材があるからにほかならない。

代表取締役社長・塚本幹雄氏は「企業というものは、従業員あってのもの。社会に貢献できる企業であることはもちろんですが、従業員やその家族にとっても魅力的な会社でありたいと考えています。そのうえでパーティションを極め、将来的に売上高五〇〇億円をめざす。そのためにも、日本国内だけではなく、中国や東南アジアにも力を入れていきたいですね」と語る。

本書はパーティションが持つ空間づくりへの可能性と、業界の展望を検証するとともに、業界のトップメーカーとして、他の追随を許さないコマニーと、創業者・塚本信吉氏から現社長・塚本幹雄氏へと受け継がれてきた人生哲学、時代に合わせて研磨されてきた経営理念の真髄に迫るものである。

モノづくりのみならず、人づくりにも心血を注ぐ同社の姿勢は、企業経営者のみならず、現代に生きるすべてのビジネスマンにとって貴重な指針となるであろう。

また、本書をご一読いただくことで一人でも多くの方にオフィス環境の重要性をより深くご理解いただき、一つでも多くのオフィスが快適に生まれ変わる端緒となれば幸いである。

なお、本文中の敬称は略させていただいたことを、あらかじめお断りしておく。


平成二十四年七月   鶴蒔靖夫




はじめに


第1章 時代とともに変化するオフィス環境の推移

文明開化とともに生まれた日本のオフィス
グレー一色だった日本のオフィス
「モノを生まない場所」から「生産する場所」へ
日本のオフィス事情に一石を投じた「ニューオフィス化運動」
コミュニケーションがモラルを高める?
モチベーションを向上させるオフィス環境
オフィス環境を左右するパーティション
微減する日本のパーティション市場


第2章 パーティションのトップ企業「コマニー」

めざすのは「いい空間」の創造
四十年を超えるオフィス空間づくりの実績
オフィス以外でも活躍するコマニーのパーティション
パーティションの可能性を追求する開発力
営業力を向上させた「お客さま貢献サイクル」
クレームから学ぶ クレームを生かす
コマニーの取り組み


第3章 さまざまなシーンで活躍するコマニーのパーティション

企業文化を育むコマニー仕様のオフィス
厳しい条件下で工場に快適な空間をつくる
最先端技術を守るクリーンルーム
クリーンルームの大型化にも対応
人が集う空間をいかに心地よくするか
ユニバーサルデザインへの取り組み
医療・福祉の現場で生きるコマニーの思いやりの心
分煙対策や携帯電話BOXにも
耐震基準震度六強をクリア


第4章 コマニーを支える人的財産

万人が使いやすいドアはどうやって生まれたか
“白くない”ホワイトボードを生んだ柔軟な発想力
コミュニケーションから生まれるアイデアの卵
本音で語れる関係をつくるために
心を高めるコマニーの人材教育システム
HPCシステムがもたらしたものとは
「モノづくり」を支えるのは「人づくり」
徹底した品質管理教育が従業員の意識を変えた
コマニーの強みとは


第5章 パーティションの軌跡とともに歩む

キャビネットからパーティションへ
参入後十年で達成した間仕切り業界売上高第一位
意識改革を狙って取り組んだTQC
CI導入により、ついに「コマニー」時代へ
大きな転機となったデミング賞受賞
名証二部上場――コマニー新時代の幕開け
独立採算制度のスタート
創業者・塚本信吉の人物像
貫き通した「原理原則」の追求
創立五十周年を機に新たに制定された「経営の理念」


第6章 コマニーはパーティションの可能性をどこまで広げるか

めざすは「超」一流企業
パーティションの可能性を広げる“レンタル事業”
新たな柱「電子錠」
施工技術センターの新設
“ゼロ”からはじまった中国進出
現地人材を心でつなぐ
そして東南アジア進出へ
次の百年を見据えたコマニーの未来戦略


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2018/02/16

『土地活用革命』 前書きと目次

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土地活用革命
~不動産のプロフェッショナル集団「エム・ケー」の挑戦~


著者:鶴蒔靖夫
定価:本体1800円+税
ISBN978-4-87218-377-1
初版発行:2012年10月13日




 はじめに

バブル経済崩壊後、日本の不動産を取り巻く環境は大きく変化した。地価は大きく下落し、土地神話は崩壊。不動産にまつわる関連法規も細部にわたり整備された。

その結果、不動産投資は、土地を転売して差額を得る(キャピタルゲイン)という、かつての手法が成り立たなくなっている。所有する土地を活用して、安定的な収入(インカムゲイン)を得る方法が主流となり、不動産投資は「所有」から「活用」へと移っているのだ。

遊休地活用の一般的な方法としては、アパートやマンションなど、賃貸住宅経営があげられる。しかし、地主・土地オーナーは、経営経験がない人がほとんどのため、事業に手を出すのはリスクが大きすぎる。

立地によっては、空室が埋まらないケースも増えており、賃貸住宅経営には二の足を踏む。かといって空き地にしておいても、税金は納めなくてはならないため、なんらかの対策を講じたいのだが……。

こうした現状に照らし、個々の物件に応じた不動産の有効活用を提案し、成長しているのが、本書で紹介する「エム・ケー株式会社」(本社:東京都日野市、代表取締役:小林勁氏)である。

同社は、マンションや一戸建住宅、オフィスビル、倉庫、物流施設などの建築物のプランニングから開発、販売、仲介まで、不動産に関するあらゆる事業を手がける総合不動産会社だ。

同社が強みとする事業が、地権者・土地オーナーから物件を借り上げ、テナント(事業者)に賃貸する「ヘッドリース事業」である。二十年余りにわたり培ってきたノウハウと実績を武器に、ヘッドリース(一般的にいうサブリース)事業を展開し、三多摩地区で確固たる地位を築いている。

また、同業他社が敬遠する、市街化調整区域における、大規模土地開発を得意としている点も、同社の大きな特徴である。

市街化調整区域における開発の問題点は、地権者の同意を得たり、開発の許認可を取得するのが、極めて困難な点にある。そのため、大規模な市街化調整区域の開発を進める不動産事業者は少ない。むしろ、やりたくてもできないのが実情だ。

現在、同社が力を入れているのが、埼玉県久喜市で造成中の工業団地「ネクストコア清久」の開発である。また、十二年の歳月を費やし、ようやく具体的に動き出した「イオンモールつくばSC」(茨城・つくば市)の事例もある。

エム・ケーは、このような大型プロジェクトを手がけながらも、社員数は三一名と少ない。これは、会社の規模拡大より、少数精鋭で安定した事業展開を進め、それにより、会社の信用力を高めるという、代表取締役・小林勁氏の考えによるものである。

同社の創業者である小林氏は、大学卒業後に小川建設を経てミサワホームに入社し、建設、設計、開発事業部の部長を歴任。昭和六十三(一九八八)年に独立し、エム・ケー株式会社を設立した。

国の基本政策に沿った事業展開で、着実に成果をあげており、近年では、行政のほうからエム・ケーに相談を持ちかけるケースも少なくないという。

「常に時代の需要を鋭く察知し、柔軟に対応しながら百年企業をめざす」と語る小林氏は、「地権者、事業者と行政間の風通しをよくし、土地の有効活用と地域発展に貢献していきたい」と今後の方針を語っている。

本書は、市街化調整区域の開発に取り組み、土地活用に革命を起こしたエム・ケーの事業活動を紹介するとともに、創業者・小林勁氏の経営理念、および人生哲学に迫るものである。不動産事業者や土地オーナー、工場や倉庫などの用地を求める企業はもとより、地域の活性化や街づくりに関心を持つ多くの一般読者にとっても、貴重な指針の書となるであろう。

なお、本文中の敬称は略させていただいたことを、あらかじめお断りしておく。

平成二十四年九月   鶴蒔靖夫




はじめに


第1章 土地は「所有」から「活用」へ

バブルとともに崩壊した土地神話
耳たぶにふれる需要を聞き逃すな?
東日本大震災で変化した土地感覚
不動産の活用に見られる市場の変容
不動産投資は所有から活用へ
ヘッドリースは底堅い計画が肝要
広い土地から狭小地までの活用法
需要変化にも守りとおすべき約束事
市街化調整区域の活用法に注目!


第2章 不動産の新たな可能性を切り開く多様性

明日、何が起きるかわからない
企業の特異性が業容に寄与する
不動産にかかわるすべての事業を展開
三多摩地区で築いた企業の基盤
少数精鋭、不動産業のプロたち
時代の需要を的確に読み取る力
新たな可能性を切り開く多様性
培ったヘッドリースのノウハウ
市街化調整区域の開発力に富む


第3章 新たな文化を生む市街化調整区域の開発

「市街化調整区域」とは
“死角”となりやすい無産農地
郊外型大規模施設「イオンモールつくばSC」の開発事例に探る需要と課題
農地を“稼げる”土地に転換
自治体、金融機関との信頼関係
ノウハウ、実績、資金力の強み
官民一体で開発、工業団地「ネクストコア清久」に見る新しい価値観の創出
自治体の企業誘致支援が追い風
開発事業に“独り勝ち”はない
地元に新たな雇用と文化を創造


第4章 地主と地域社会の需要に応えるヘッドリース事業

大はやらない&小はやれない論
相手の立場でものごとを考える
成長のカギ・ヘッドリース事業
土地の個性に合わせ多彩な提案
トータルサポートで利益最大化
“現場百遍”の真摯な企業姿勢
“三位一体”のバランスシート
土地開発による二酸化炭素削減
事業の集積が会社の財産


第5章 創業者・小林勁の経営理念と人生哲学

ミサワホームでの経験を生かす
義父・三澤二郎から学んだこと
ヘッドリース事業に着目した理由
職務の責任と遂行に関する思考
企業は人がつくり、育てるもの
切磋琢磨、社員と磨きつづける技
視点を変えろ! の意味とは
ムダ金づかいは死に金づかいである
“農耕型”経営で地域貢献する


第6章 オンリーワン企業「エム・ケー」が描く未来戦略

本格化した超高齢社会への対応
激動の時代を見据えるたしかな目
地域密着、顧客第一精神を貫く
快適な街づくりと社会への貢献
日本人に合う農耕型の企業文化
百年間続くオンリーワン企業へ


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2017/12/21

『信頼が絆を生む不動産投資』 前書きと目次

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信頼が絆を生む不動産投資

~片手に理想、片手にそろばんを――
 超堅実経営で不動産業界の常識を変えるAZESTグループの知的戦略~


著者:鶴蒔靖夫
定価:本体1800円+税
ISBN978-4-87218-439-6
初版発行:2017年12月24日




はじめに

日本では毎年、敬老の日に、その年に100歳を迎えた人全員に、総理大臣から銀の杯が贈られていることをご存じだろうか。口径9㎝×高さ3.2㎝のこの杯には、真ん中に「寿」の一文字と、裏面には年月日と「内閣総理大臣」の文字が刻まれている。

銀色に輝く杯を高齢者に贈るこの慣習は、1963年に老人福祉法が制定された際に、100歳を迎える人の長寿を祝い、社会への貢献に感謝する目的で始められた。
しかし、この祝いの杯は、実は純銀製ではない。かつては純度99.9%の純銀製だったのだが、2016年以降は銀メッキ仕様に変更となったのだ。

せっかくの祝い事なのに、なぜだと思われる向きもあるだろう。だが、この変更は、現状を鑑みるかぎり、どうにも避けられないものだと言える。なぜなら、現在では100歳を迎えようという人の数があまりにも多くなったため、銀杯にかける予算が莫大になりすぎてしまったからである。

老人福祉法が制定された1963年には、100歳を超える高齢者の合計数は、わずか153人にすぎなかった。しかし2017年には6万7824人となっている(2017年9月1日現在)。この数は47年連続で増加しており、今後もその傾向は続くと見られている。一説によると、2050年には100歳以上の人口が100万人を突破するとも言われているのだ。ちなみに、2017年度に100歳を迎える人は3万2097人が見込まれている(厚生労働省「H29百歳プレスリリース」)。

祝いの杯を純銀製にした場合、その時点の銀の価格によって多少変わってくるが、桐箱などを含めて、1つあたり約7600円程度の予算が必要だという。これを銀メッキに変更することで、単価を半分程度に抑えることができる。

しかし、対象者がここまで増えてしまうと、1つあたりの単価を抑えたところで、全体として大きな負担になることは否めない。実際、2016年には、この銀杯の予算だけで約2億6000万円を計上している。もはや、この事業そのものがむだ遣いではないのかという声も、噴出しているのだ。

長寿の実現は、人類が長いあいだ希求してきたものであり、本来ならば、百寿、紀寿とも言われる100歳は、おおいに祝うべきもののはずである。しかし、長寿化とともに少子化が極端に進んできた現在では、手放しで祝ってもいられなくなっているのが現実だ。

世界保健機関(WHO)が発表した2016年度版「世界保健統計」によると、日本人女性の平均寿命は86.8歳で世界第1位、男性は80.5歳で世界第6位、男女合わせた平均寿命は83.7歳で前年に続き世界第1位である。

その一方で、厚生労働省による「人口動態統計」では、2016年に日本で生まれた子どもの数は97万6978人であり、1899年に統計をとり始めてから初めて100万人を割りこんだ。1人の女性が生涯に産む子どもの数(合計特殊出生率)も1.44人と、前年を下まわっている(厚生労働省「平成28年(2016)人口動態統計(確定数)の概況」)。出産適齢期の女性の減少が、こうした少子化に拍車をかけているという。

このような極端なまでの少子高齢化の結果、本来ならば出生時の人口が最も多く、年齢を重ねるにつれ死亡などにより少なくなるという、ピラミッド状になるはずの人口構成が、わが国の場合には、若年層が少なく、40代~70代の人口のほうが多いという、歪なかたちになっている。それは、近い将来に、国や社会を支える現役世代よりも支えられる高齢者のほうが多くなることを意味する。そして、その影響をまともに受けるのが年金制度なのである。

総務省統計局の「家計調査年報(家計収支編)平成28年(2016年)」によると、2人以上の高齢者無職世帯(世帯主が60歳以上)の毎月の可処分所得は17万9087円なのに対し、消費支出は23万9604円で、毎月6万517円の赤字となっている。この状態が65歳から90歳まで続いたと仮定すると、単純計算で1815万5100円もの不足となってしまう。

年金制度の破綻や老後の蓄えの必要性などにまつわるさまざまなデータは、マスメディアを通じて広く世に知らしめられることとなり、いまや周知の事実となっている。そのため、「老後の生活に必要な資金は現役のときから準備をしなければ、いわゆる『下流老人』になりかねない」という考えが、一般的になりつつある。

「下流老人」とは、2015年に出版された『下流老人 一億総老後崩壊の衝撃』(藤田孝典著)によれば、「生活保護基準相当で暮らす高齢者、およびその恐れがある高齢者」のことである。この本が出版された2015年時点で、日本国内には推定600万人~700万人の「下流老人」がいるとされていた。著者の藤田氏は、現役時代に一般的な水準の年収を得ていた者でも、病気や認知症の発症、あるいは、ワーキングプアや引きこもりの子どもたちの存在をきっかけに、「下流老人」へと転落する可能性があると警鐘を鳴らす。

長年まじめに働いたあげくに「下流老人」になってはたまらない、と考えるのは当然だ。そこで、いま、自分の老後を不安視する人のあいだで注目を集めているのが、不動産投資なのだ。

「10年単位の息の長い投資としてとらえるならば、不動産は必ず利益を生み出します」

そう語るのは、投資用のワンルームタイプ(1R、1K)のマンションと賃貸アパートを中心に不動産事業を展開するAZESTグループのCEO兼COOであり、その中核企業であるAZEST株式会社(本社:東京都豊島区)の代表取締役会長兼社長を務める清水嘉夫氏である。

AZESTグループの事業内容は、投資用の単身者向けワンルームマンションとアパートの企画、開発、販売、賃貸仲介、賃貸管理、建物管理と、多岐にわたる。「デベロッパー機能から物件管理までをワンストップでサービスすることができることが当社の強み」と清水氏は語る。

AZESTグループが物件の企画と開発に際して最も重視しているのが「下町戦略」である。

「誰でも、東京の銀座や港区などの、いわゆる一等地に住むことに憧れを抱くものです。しかし、これらのエリアは家賃が高く、実際には、単身者にはなかなか手が出ません。憧れだけで住む場所を決めるのは、現実的とは言えないでしょう」

と、清水氏は言う。たしかに、実際に港区などの一等地に住んでいる人の話を聞いても、「家賃が高い」「スーパーマーケットが少なくて、日用品や生鮮食品などの買い物に困る」といった声が多い。衣食住にいくらでも金をかけられるほど裕福ならば問題ないかもしれないが、一般庶民ともなると、そうもいかない。

そこでAZESTグループでは、「通勤・通学に1時間以内」を目安に、JR山手線の主要駅から分岐する私鉄や地下鉄で10分から30分程度の距離にある駅で、しかも駅から徒歩10分以内という立地にこだわり、「住みたい街」ではなく「住みやすい街」に「住み心地の良い住まい」を開発することに注力している。これこそが、AZESTグループが推進している「下町戦略」なのである。

こうした戦略を展開している理由は、「単身の中間所得層」という最も入居希望需要が多い市場を確実に狙うことにある。この戦略を進めることで入居率を高めることができれば、オーナーも安定的に家賃収入が得られるというわけだ。実際にこの戦略は功を奏し、AZESTのマンションやアパートの入居率は常時98%を超えているという。

インターネットで「各種不動産評価」と「各種地価マップ」の情報を提供する株式会社タスが2017年8月31日に公表した「賃貸住宅市場レポート」によると、東京都の2017年6月期の空室率TVI(TAS空室インデックス:タスが開発した賃貸住宅の空室の指標)は12.73で、前月比でプラス0.13、前年同月比でプラス1.34である。東京23区では12.46で、前月比プラス0.15、前年同月比でプラス1.35、東京市部では15.21で、前月比プラス0.04、前年同月比プラス1.08となっている。都内の賃貸住宅の、特にアパート系(木造、軽量鉄骨)の空室率TVIは2015年の半ばくらいからじりじりと上昇傾向にあり、本来なら最も競争率が高いはずの新築アパートでさえ埋まりにくいのが現状らしい。

こうした状況下にもかかわらず、AZESTグループの賃貸物件が入居率98%以上の高い入居率を誇っていることには当然、理由がある。それは、「住みやすい街」を望む入居者に対し「立地の良い物件」を提供するだけでなく、「住み心地の良さ」をも提供しているからにほかならない。

特にAZESTグループが重視しているのはセキュリティである。AZESTグループが手掛けるマンションやアパートは、すべてが24時間対応のセキュリティシステムを備えており、マンションでは住戸の玄関ドアにダブルロックを標準装備しているという。

また、最近のペットブームにも対応し、一定の大きさのペットの飼育を可能にしている。そのうえ、住戸内にはオゾン消臭 除菌装置を標準装備し、フローリングの床材には表面強度が高く傷がつきにくい素材を採用するなど、物件の資産価値を維持するための配慮も万全だという。

こうした投資家と入居者の双方のニーズを満たす経営戦略によって、業績は創業以来ほぼ一貫して右肩上がりに成長。2017年3月期の売上高は117億円に達するまでになった。

そんなAZESTグループを率いる清水氏が経営施策上で力を注いでいるのが、事業部の分社化だ。

「不動産業界で働く人は、基本的に独立志向が強いのです。しかし、独立しても、その多くは失敗に終わります。そこで、独立への意欲を社内で活かし、優れた経営者に育てるために、事業部ごとに分社化して、意欲と才能のある社員をグループ会社の社長に抜擢しています」

と、清水氏は言う。いまでは、ホールディングス機能を有するAZEST株式会社を中心に、AZEST-PRO、AZEST-RENT、AZ-ONE、AZEST-NEOの4社を擁するAZESTグループを形成し、各々の事業に特化した各社が、たがいに連携しながら着実に成長を続けている。

本書は、投資用不動産市場で躍進を続けるAZESTグループの事業活動を紹介するとともに、同グループの創業者である清水嘉夫氏の経営理念と人生哲学に迫るものである。これは、豊かな老後のために有効かつ安全な投資を考えている人や、便利で快適なマンションやアパートでの暮らしを考えている人々にとって、貴重な指針の書となるであろう。

なお、本文中の敬称は略させていただいたことを、あらかじめお断りしておく。

2017年11月  鶴蒔靖夫




はじめに


第1章 老後の暮らしは自分で守る時代へ

長寿化がもたらす老後の暮らしへの不安
少子高齢化の進展で危機に瀕する年金制度
定年後も働くという選択肢
貯蓄だけでは資産を守れない時代
投資の対象は金融資産か実物資産か
東京オリンピックを控えて活況を呈する不動産市場
不動産投資に対するイメージも時代とともに変化
安定した家賃収入を得られるのはどんな物件か


第2章 不動産投資のプロフェッショナル集団「AZESTグループ」

不動産のAからZまでを手掛けるAZESTグループ
AZESTグループが訴求する不動産投資の6つのメリット
単身・中間所得層を入居対象とした物件を開発
賃貸管理でもAZESTが選ばれる理由
マンションの価値を高める建物管理
新たなニーズを開拓するアパート供給事業
一棟アパートへの投資は高利回りが魅力
個別相談で無理のない資金計画を提案


第3章 「住みやすい街」の「住み心地の良い住まい」

「住みたい街」より「住みやすい街」に特化
単身者のニーズに合致するエリアの条件
東京に特化する理由
安全と安心を保証するセキュリティ設備
AZESTブランドならではの快適な住空間
ペットとともに住む人にも配慮した住まい
女性でも安心して住めるアパート


第4章 不動産業界に新しい風を

業界では珍しい堅実な社風
フロービジネスとストックビジネスの融合で安定経営を実現
意欲ある社員を社長に任じて分社化を推進
不動産業界では珍しい土日完全週休2日制を導入
プレミアムフライデーが浸透する健全な職場環境
営業なしのアフターフォローセミナーを開催
既存投資家からの紹介・リピートが中心


第5章 創業者・清水嘉夫の経営理念と人生哲学

つくりたかったのは「誰もが『よかった』と思える会社」
幼くして父と死別し、母の苦労を見て育つ
不動産業界に入りトップセールスパーソンに
不動産投資を生涯の生業にしようと決意した理由
実績を買われて複数の会社の社長を歴任
前職の部下とともにAZESTを創立
業界に先駆けてコンプライアンスを重視
「なにがあっても社員は見捨てない」が信条
人との縁を重視したグループの経営理念


第6章 AZESTグループが描く未来展望

長期的な視点を重視した社員の育成
10年後の幹部の育成のために
リフォーム分野など新たな分社化も検討
社員を守るために決断した名古屋進出
台湾・香港にターゲットを絞った海外展開
世代交代をするタイミングでの上場を検討
確かな目標を掲げて一歩一歩前に進む


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2017/12/11

『技術立国 日本の復活』 前書きと目次

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技術立国 日本の復活


著者:鶴蒔靖夫
定価:本体1800円+税
ISBN978-4-87218-385-6
初版発行:2013年6月21日




 はじめに

平成二十四(二〇一二)年十二月、日本中が歓喜に湧いた。

京都大学教授・山中伸弥氏にノーベル生理学・医学賞が授与されたのだ(英・ケンブリッジ大学名誉教授・ジョン・ガードン氏と共同受賞)。受賞理由は、世界で初めてマウスの皮膚細胞からiPS細胞(人工多能性幹細胞)をつくり出したことによるものだ。

iPS細胞の登場により、生命科学はこれまでとはまったく異なる次元に足を踏み入れていくことになった。いまや世界中の研究所、大学、医療ベンチャーや医薬品メーカーがiPS細胞の実用化に向けた研究に取り組んでおり、かつてない熾し烈れつな競争が繰り広げられている。

ものづくりから知財立国へ。日本はいま、歴史的な転換点に立っているといえるだろう。たしかにiPS細胞をつくり出したのは日本だが、今後は世界レベルでの研究・開発(R&D)競争に打ち勝っていけるだろうか。

その行方が案じられてならない最大の理由は、日本のR&D環境が欧米諸国と比べ、いや、最近では中国、シンガポール、インドなどの新興国と比べてもかなり見劣りすることが国際競争力の足を引っ張っていることにある。

日本の国際競争力は一九九〇年代には世界のトップクラスを誇っていた。しかし、その後急落し、二〇一二年では世界第二七位となっている。ちなみに第一位は香港、第二位は米国、第三位はスイスで、近隣の競争国である韓国は第二二位、中国は第二三位と日本の上位にランキングされている。

日本の競争力低下が、すべてR&D環境の立ち遅れに起因すると断じるのは行き過ぎだろう。だが、人間は環境の動物だといわれている。恵まれない環境にあれば研究の効率が下がり、研究者のモチベーションも高まるわけはない。

三十五年前、日本の劣悪なR&D環境をなんとかしなければと立ち上がった男がいる。本書で紹介するオリエンタル技研工業株式会社(本社:東京千代田区)の代表取締役社長・林進氏である。

「私は日本の研究環境やインフラがあまりにひどいことに怒りさえ感じ、なんとかしなければという思いから起業に踏み切ったのです」

と語る林氏は、理化学系の機器メーカーの仕事を通じて大学の実験室や研究所に出入りするうちに、3K(暗い・汚い・臭い)とまでいわれていたR&D環境をなんとかしなければ優秀な研究者が育たない、それどころか研究者志望の若者も減ってしまうという危機感を抱き、安定した職を捨てて起業を決意する。

創業当初は、よりよいR&D環境の実現をサポートするというビジネスモデルを理解してもらえず、苦しい時期もあったというが、現在では研究施設の設計・施工から装置や機器の開発導入、メンテナンス、リフォームまでをワンストップで手がけ、使う人(研究者)の立場になってもっとも使いやすく、居心地もよく、最先端の進化形R&D環境を実現する、ラボづくりの専門企業として際立った存在感を放つ企業になっている。

大学の研究室や実験室、創薬メーカーなどの研究室、実験動物室、バイオ実験室など、全国各地の重要かつ主要な研究施設への納入実績からも、オリエンタル技研工業が各研究施設からどれほど信頼されているかがうかがえるだろう。

林氏にとって、オリエンタル技研工業の成長・拡大以上にうれしいのは、最近では日本でもR&D環境に対する認識が高まり、まだ限定的ではあるが、質の高いR&D環境を備えた研究室が出現してきていることだという。

だが、大半のラボはいまなお決して満足すべき水準に達しているとはいえず、林氏の実感では、日本の研究施設は欧米、特に米国から十年以上は遅れているという。
こうした事情を踏まえ、現在、林氏の視点は二つの方向に向けられている。

一つは、R&Dの最先端方向だ。世界のトップ研究施設はすでに次世代型のグリーンラボラトリーとスマートラボラトリーをめざす方向に向かっている。グリーンラボとは地球環境を意識し、省エネ発想を貫いたラボのことをいう。一方、スマートラボは最新のICT技術(Information and Communication Technology=情報通信技術)に対応し、より自由で快適なデータ活用が可能になるラボをいう。

さらに進んで、グリーンラボとスマートラボを融合することにより、研究拠点全体のエネルギー効率が改善され、省エネ・省コスト化が大幅に促進される次世代、いや近未来型の研究施設も視野に入っている。

そうしたなかにあって、オリエンタル技研工業は研究施設を取り巻くすべての環境においてグリーン化を推進し、スマートラボの進化にも積極的に貢献していく決意を固め、研究施設づくりで世界の最先端を走ろうとしている。その一方で、研究者のモチベーションを高めるために、居心地のよさに最大限配慮したラボづくりにも全力を注いでいる。

もう一つの視線は、最先端ラボのキャッチアップを実現するために、ラボに新しいテーマや新技術に即応するリノベーションを積極的に進め、R&D環境を引き上げることだ。R&D環境を改善することは必ず、研究成果の結実に結びついていくと確信しているからである。

「ひらめきの出るラボをいかにしてつくるかがわれわれの使命」という言葉には、国内外のR&D環境を長年見つめてきた林氏の深い思いがこもっている。

資源少国で技術立国の道しかない日本にとって、R&Dには未来がかかっているといっても過言ではない。オリエンタル技研工業は、技術の生命線を握るR&Dの舞台になる研究施設、ラボ設備の専業企業として、今後の日本をしっかりと支えていく重要な使命を担っているのである。

さらに二十一世紀に入ったころからは、日本で唯一のラボプランナーである設計事務所「PLANUS(プラナス)」と共同で多くの研究施設を手がけるようになり、それまで以上にデザイン性あふれるR&D環境の実現に力を発揮している。また、ラボデザインの世界的権威であるケネス・A・コーンバーグ氏と固い絆で結ばれていることも、オリエンタル技研工業の大きなアドバンテージになっている。

本書では、日本の再生のためにも、日本のR&D環境の現状と世界との大きな距離に焦点をあてながら、R&D環境を充実させることの重要性についての再認識をうながし、さらには研究者をリスペクトし、研究者志望者を増やしていくためのいくつかの提言も試みていきたいと考えている。

同時にR&D環境の向上と進化に取り組んできたオリエンタル技研工業のこれまでの実績にもふれながら、さらには今後への大きな期待と可能性に筆を伸ばす。

オリエンタル技研工業創業者・林進氏の企業人としての足跡にもふれていきたい。三十五年前、誰も考えたこともない独自のビジネスモデルを発案し、今日まで育成してきた林氏の先見性、強い意志と実行力、さらに将来を予見する力などは、どの領域で生きていく場合にも力となる多くの示唆、教えを含むものだろう。読者にとっても貴重な指針となる一冊として愛読していただければ、これ以上の喜びはない。

なお、本文中の敬称は略させていただくことを、あらかじめお断りしておく。

平成二十五年四月   鶴蒔靖夫




はじめに


第1章 ノーベル賞受賞から見えてきた日本の研究開発のいま ――iPS細胞に見る、世界の激烈なR&D競争――

日本の大きな夢と希望
生命科学、医療の未来が革新的に変わる新技術
日本チームの受賞
マラソンで研究費集め
マウスまでは圧倒的にリード
間一髪の差だったノーベル賞
米国から帰国後うつになった山中
日本の研究環境は“後進国”だ
利根川博士も日本のR&D環境の立ち遅れを指摘
異常なカーブを描く日本の研究論文数
国の総力と見識が問われる時代へ
明日の研究者が出てくるか


第2章 研究開発からはじまる技術創造立国 ――モノづくり大国から知財大国への転換ははかれるか――

低下する一方の日本の国際的プレゼンス
経常収支の赤字続きは国の経済の危険信号
科学技術創造立国宣言
科学技術創造立国構想
第四期科学技術基本計画の概要
主要国の研究開発費の推移
トップ研究者に集中投資
主要国の研究者数とその中身
止まらない頭脳流出
人材のグローバル化を進める各国
研究の「場」の充実が急務
研究環境の改善をミッションとする企業
国も本腰を入れる研究環境の改善
知財産業の中核を担う創薬・医療産業
二〇一六年には一兆二〇〇〇億ドル市場になる世界の医薬品市場
日本の医薬品市場は世界第二位。だがメーカーの力は……
「二〇一〇年問題」のその先に


第3章 ノーベル賞が生まれるラボをつくる ――世界のラボを知り日本のラボを牽引してきたオリエンタル技研工業――

進化しつづける欧米の研究施設
研究施設の聖地・コールドスプリングハーバー研究所
地域一帯が“研究村”を形成
ファームリサーチキャンパスと呼ばれるハワード・ヒューズ医学研究所
この研究環境から米国の科学の奥深さが生まれる
連携スペースをどうつくっていくか
留学後、研究者が直面する日本のラボラトリーの現実
これまでの研究施設づくりではもう通用しない
研究環境づくりの歩を加速させた貴重な出会い
ラボデザインの世界的オーソリティ・ケン・コーンバーグ
ケン・コーンバーグと林の出会い
研究者が心地よく、研究成果も上がる最先端ラボのあり方とは
「インサイドアウト」という新たな発想方法
徹底的な聞き込みからはじめる
研究者の動きや思いを知り尽くしたオリエンタル技研工業のプロダクツ
人を中心に据えた研究環境をつくる
ケン・コーンバーグの新たな傑作・沖縄科学技術大学院大学
設計・デザインはケン・コーンバーグが担当
山中が率いる京都大学iPS細胞研究所
米国仕込みのオープンラボを実現
ノーベル賞受賞者が生まれるラボをつくる


第4章 ラボの進化とともに成長するオリエンタル技研工業 ――ラボ機器メーカーからラボ環境全体を構築するラボ総合企業へ――

3K研究室への怒りから起業
常識を塗り替える実験機器を開発
いまも主力製品の中核を占めるドラフトチャンバー
常にオリジナリティに富んだ製品で勝負
念願の自社工場を建設
大阪営業所の開設
全国に広がる営業拠点
グローバルネットワークの構築
品質のたしかさを実証するラボラトリーデザインセンター
実際にふれて試せるショールーム
常に世界基準を意識した製品づくりを推進
世界の厳しい製品テストをクリアした安心・信頼のモノづくり
ラボ文化の発信者として
軌道に乗ってきた人材育成


第5章 次世代R&Dで世界に貢献する ――グリーンラボ・スマートラボ時代を牽引――

R&D競争と日本の危機
理想の研究環境を追いつづけてきた
《グリーンラボラトリー》省エネを“見える化”したオリエンタル技研工業のグリーンラボ
《スマートラボラトリー》研究環境のすべてを二十四時間マネジメントするスマートラボ
《ラボ・リノベーション》最先端リノベーション技術で研究施設をアップグレード
高い評価を得ているオリエンタル技研工業の付加価値
世界でただ一つのビジネスモデルを確立したオンリーワン企業
アジアのラボづくりのリーディングカンパニーに

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『経営道を究める』 前書きと目次

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経営道を究める
~プラント塗装業界のパイオニア・カシワバラコーポレーションの挑戦~


著者:鶴蒔靖夫
定価:本体1800円+税
ISBN978-4-87218-392-4
初版発行:2014年2月16日




 はじめに


欧米の家庭では、簡単なリフォームならあたり前のように自分たちでやってしまう。その代表例が、外壁や室内壁の塗り替えだ。映画やテレビドラマでおなじみのシーンである。

ローラーを使い、ペンキ塗りをするのを苦とせず、むしろ日曜大工のレベルで楽しむ。それが彼らの流儀なのだ。

戦後、米軍基地の近くに住んでいたことがある人はわかるだろうが、基地の内外に建てられた米軍住宅の壁や屋根はカラフルで、日本家屋に比べると随分華やかだった。山口県の米軍岩国基地の周辺でも、休日になると、屋根や壁を思い思いの色に塗っていた。

当時、日本の住宅の屋根には、防錆のためにコールタールを塗っていたから、黒い色があたり前だった。しかし、米軍住宅の屋根は赤や青など、色とりどりなのだ。そんな時代に、仕事で岩国基地に出入りしていた一人の男が、やがて日本もそうなるのではないかと天の啓示のようにひらめいた。

そこで一念発起し、独立開業して「柏原塗装店」を興した。その男こそが、本書で紹介する「株式会社カシワバラ・コーポレーション」(本社:山口県岩国市、代表取締役社長:柏原伸二氏)の創業者、柏原久雄氏(故人)だ。

個人経営の柏原塗装店は後に法人化され、柏原塗研工業株式会社と名称変更し、さらに現在のカシワバラコーポレーションとなる。現社長の柏原伸二氏は、二代目である。

山口県岩国市は、日本における石油コンビナート発祥の地として知られる。また、波静かな内海である瀬戸内海は、造船業が盛んとなる。こうしてみると、岩国は戦後の経済復興の最先端に位置していたともいえそうだ。

コンビナートのプラント塗装、あるいは船舶塗装と、こうした需要は天の配剤のように創業者に幸いした。やがてプラント塗装で柏原塗研工業は日本一となり、その名は、業界に鳴り響く。もちろんそれは、今日もなお揺るがない。

ところが、社業はこれからというときに久雄氏は病に倒れる。そこで陣頭指揮に立ったのが現社長の柏原伸二氏である。紆余曲折は本文に譲るが、大学を卒業し、そのまま柏原塗研工業の現場に入った柏原氏は、親譲りの気概の経営で、社業の発展に尽力した。

カシワバラコーポレーションは現在、年商約三一六億円(平成二十五〈二〇一三〉年一月期)、従業員数も六〇八名(平成二十五年五月現在)と六〇〇名を超える規模に成長した。創業以来、いまだかつて赤字を知らない超優良企業である。

現在は、主力であるプラント塗装に加えて、ビルやマンションの大規模修繕工事、戸建リフォームにも進出。さらに平成二十四年にはインドネシアにジャカルタオフィスを開設。次いで平成二十五年には台湾に合弁会社を設け、几帳面、真面目、丁寧な日本人のDNAに裏づけられた“日本品質”を訴求し、海外市場にも打って出た。

ともすると、塗料・塗装は配色やカラーリングといった側面ばかりが着目されがちだが、実際は塗膜による防錆、防汚、防食などにより資産を守り、結果的にランニングコストの低減がはかれるという効果がある。

建造物のもっとも重要なパートが塗装という仕上げにある。したがって、塗装業は「究極の仕上げ業」というのが、同社のスタンスである。

同社はまた、成果主義が一般化している今日、日本型経営の年功序列、終身雇用制を守り、安心して働ける家族主義的な経営を実践し、人材教育にはことのほか注力している。

こうした経営方針、人材育成術は、いまの時代にこそ求められているものだ。そして経営の王道は人材教育にあることを、柏原氏は究極の「経営道」として示している。この点もまた、本書でしっかり検証したい部分だ。

なお、本文中の敬称は略させていただいたことを、あらかじめお断りしておく。

平成二十五年十二月   鶴蒔靖夫




はじめに


第1章 社会インフラの維持・保全に不可欠な塗装 ――塗装の実体は品質保護の皮膜――

笹子トンネル事故は“劣化”警告
「国土強靱化」政策で現状を検証
老朽化が進む道路、橋、港湾施設
東北復興と社会インフラ二本立て
災害対策に適す基本に忠実な構造
“丈夫な皮膚”こそ健康の第一歩
一ミリにも満たない塗膜が腐食を防ぐ
塗膜性能のさまざまな効果・効能
美粧効果や機能性の付与にも注目
国民の生命・資産を守る仕上げ業


第2章 プラント塗装のパイオニアが究める仕上げ技

プラント塗装のフロントランナー
プラント塗装は“天の配剤”だった
関東モンが笑った“ノリ刷毛”
防錆か美観か企業基盤の別れ道
プラント塗装なら“カシワバラ”
高所の塗装に足場づくりは必須
コスト圧縮の利器「総合足場」
安全な足場が守るのは命と高品質な仕事
塗装の基本は下地づくりにある
ブラストマシンで現場に革命を


第3章 人の暮らしと社会を支える「kashiwabara」の技術力 ――“サービス業”の視点――

几帳面・真面目・丁寧な仕事魂
「kashiwabara」ブランドのDNA
世の中はリフォーム時代に転換
大規模修繕工事はサービス業
リピート性が強いリフォーム業
サービス業としてのプラスアルファ要素を訴求する
かゆいところに手が届いているか――緻密な居住者とのコミュニケーション
秩序ある現場をつくるのが前提
戸建リフォームの分野は狙い目
“人間力”と“現場力”の相関


第4章 プロフェッショナル集団「kashiwabara」を支える人間力

疲弊するシステム最優先の現代
システムよりプロ魂を涵養する
ビジネスで勤勉に勝る王道なし
主体的、能動的に動いているか
人材(財)を生かしきる経営術
3Kから5Kへ発想を転換する
一カ月間のホテル合同研修で絆
気(心)づかいは他人のためならず
一方通行は不可、双方向で理解を
若者の転職・離職志向を検証

第5章 親子二代にわたる気概の経営 ――柏原伸二の経営理念と人生哲学――

創業者と二代目の位置
伝わる勤勉の血と慧眼・判断力
禍福はあざなへる縄の如し
理不尽な要求には体を張ってわたり合う生一本の男魂
海外で学べたけれど死にかけた
かわいい子には旅をさせよ……
従業員満足度を優先させる理由
恩恵を受けた地元・社会に還元
自立した人が充実の人生を送る
“後顧の憂いなく”いまを生きる


第6章 グローバル・リノベーション企業への道 ――「kashiwabara」が描く近未来図――

働くことの幸せについて考える
近未来のツールを駆使して展開
業界全体の品質を高めるために
インドネシアと台湾に海外進出
長期的な展望で海外市場を深耕
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『喜働って、なに?』 前書きと目次

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喜働って、なに?
~「社員を活かす喜働環境とは」~


著者:鶴蒔靖夫
定価:本体1800円+税
ISBN978-4-87218-395-5
初版発行:2014年4月8日




 はじめに

平成二十三(二〇一一)年三月十一日に発生した東日本大震災の本格的な復興、原発事故の処理問題、平成二十六年四月の消費税増税以降の社会動向、さらに突発的ともいえる東京都知事の辞任とそれにともなう選挙……、めまぐるしくも問題山積の現況である。とはいえ、“アベノミクス”効果、二〇二〇年の東京オリンピック開催の決定で、ムードとしてはいい流れだ。あくまでムードではあるが、こうした“氣”は結構、じんわりと時代を変えていくものだ。ここはかすかな光明に導かれ、“新生日本”の船出としたいものである。

実際、被災地の復興、公共事業の復活、老朽化インフラの再整備、東京オリンピックにともなうインフラ整備など、建設業界は一気に活性化する気配を見せている。

その一方で、急激に膨張した需要のため、以前から指摘されていた人手不足が深刻な問題となっている。

こうした建設業界において独自の存在感を示しているのが、本書で紹介する「株式会社スギモトホールディングス」(本社:東京足立区、代表取締役社長:杉本義幸氏)を中心とするスギモトグループだ。

同グループは、① オフィスビル、商業ビル、マンションから戸建て、商店、幼稚園などの設計・施工、建設を手がける総合建設業、② コンクリートの再生・再利用、鉄・非鉄金属の再資源化を手がけるリサイクル事業、③ JRの橋脚耐震鋼板や土木、建設工事の鋼構造物製造・販売を手がける鉄工業、④ 分譲マンションや戸建て住宅の開発および販売を手がける開発事業を展開。グループ年商は平成二十六年七月期予想で一六〇億円、従業員数はグループ合計で約二〇〇人規模を誇る、建設業としては中堅クラス、リサイクル事業としてはトップクラスの企業グループだ。

創業は昭和二十九(一九五四)年、平成二十六年九月に創業六十年を迎える。創業者はグループの中核「杉本興業」を興した杉本儀一氏(平成二十三年三月没、享年八十二歳)である。

杉本儀一氏は、すでに半世紀も前に、いまでいう“都市鉱山”の先駆けともいうべき「東京鉱山」という言葉を使っていたというから、まさに慧けい眼がんの士といえる。また、何によらず「もったいない」が口グセで、クギ一本もムダにすることを戒めていたというから、これまた“もったいない”ブームの元祖といっていいだろう。

また儀一氏は「八義の精神」――正義、仁義、道義、義?、義理、義勇、徳義、信義をベースにした企業理念「義・恩・情」を掲げた。これは現社長・杉本義幸氏にも着実に受け継がれ、いまなお生かされている。

現在、スギモトグループは“総合資源循環型企業”を標榜し、コンクリートガラひとかたまり、古クギ一本も捨てることなく再資源化し、建設業とリサイクル事業を循環させることにより、資源枯渇、地球環境保全の問題に正面から取り組んでいる。
世の中がリサイクルと声高にいうよりはるか以前から、リサイクル=資源循環に着目し、事業化していた点は注目に値する。

そしてもう一つ、同グループを特徴づけているのが「大家族主義経営」である。

本書のテーマは、先代の残した精神的土壌を引き継ぎながら、近代合理主義に裏づけられた経営を実践する二代目・杉本義幸氏の新・創業がモチーフとなっている。

詳細は本文でじっくり語るが、無機質で殺伐とした今日の企業経営現場に、それは日本人が忘れ去った温もりをもたらすものとして、いまこそ必要とされるものなのかもしれない。これは決して懐古の情ではない。案外、これからの社会を担う若い世代が無意識に求めているものなのではないかと思う。

なお、本文中の敬称は略させていただいたことを、あらかじめお断りしておく。

平成二十六年一月   鶴蒔靖夫




はじめに


第1章 建設業の現状と環境問題の取り組み

変化と不変(普遍)を峻別する目
増加する転職・離職志向の要因
危機意識があるから“安定”訴求
震災復興と東京オリンピックの需給均衡
「国土強靱化基本法」と公共事業
待ったなしの老朽インフラ再整備
全国に拡大する技術者・資材不足
建設業界と不可分の環境保全意識
可能性に満ちたリサイクル事業


第2章 総合資源循環型企業・スギモトグループの果敢な挑戦 ―無資源国の知恵と工夫―

建設事業とリサイクルの一体化
“もったいない”精神の賜物
川上から川下までの流れが循環する――無資源国だからこその知恵と工夫
「八義の精神」で独自の経営観
「六面体経営」で推進する企業
“温故知新”という経営の刷新
“喜働”の社員が一隅を照らす
情報源としての“人”の動かし方
伝統は変えないが味変えはする


第3章 再生砕石技術の確立で躍進 ―グループ発展の基盤となった中核組織・杉本興業―

六十年の節目に新本社ビルを建設
“本丸”は地域の防災対策拠点
再生砕石技術の確立で躍進する
杉本興業とグループ企業の役割
新しい視点で見る総合資源循環型企業
時代に不可欠なリサイクル事業
出発は“なんでも屋”の杉本さん
電柱を再生、木造建築に進出
仕事の芽を見つける社風が定着
抜群の財務体質で判明した陰影


第4章 「八義の精神」で実践する日本的大家族主義経営 ―グループ企業躍進のカギ―

“八義”の意味を理解して実践
見えない部分こそていねいに――現場自主管理で効率アップの杉本鉄工①
移転した年にリーマンショック――はね返すために営業をかけた杉本鉄工②
いつまでもあると思うな親と金
人が選別することで製品の純度を高める――高品質が信頼を得る双葉商事①
需給バランスが崩れているなかでの競争――リピーターを確保する双葉商事②
どのように戦うのか――躍進のポイントは待ったなしの真剣勝負にあり
リサイクルをアピール――見学デッキを設け産業廃棄物再生を訴求する協和興業①
最前線で新しい形態を模索――個人レベルで組織のあり方を探る協和興業②


第5章 受け継がれる想い ―企業理念と経営哲学を踏襲するスギモトグループ六十年の礎―

同心円の経営から自律型組織へ
厳しさはやさしさの裏返しなのだ
父に背いて海外を放浪したころ
働いて、稼いで、ビッグに遊ぶ
正しい“集団行動”を継承する
二代目ではなく“一・五世代”感覚
夢を実現させるために一歩前へ


第6章 「光輝ある創業百周年」に向けて ―スギモトグループが描く未来戦略の絵柄―

信用度ランキング第一位の実力
IT時代で変わる現場の人的交流
広い心と視野で将来を展望する
共存・共栄・共闘する仲間集団であれ――若者を活かす“喜働環境”の創出
創業六十年から“光輝の世代”へ
常にスタンバイで次につなげる
新大家族主義の結束力を固める
総合資源循環型のソーラー事業
爽やかに新世代へバトンタッチ


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