カーシェアリングの時代がやってきた!

2017/06/20

『カーシェアリングの時代がやってきた!』 前書きと目次

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カーシェアリングの時代がやってきた!
 ~「タイムズカープラス」の魅力を徹底検証~


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著者:鶴蒔靖夫
定価:本体1800円+税
ISBN978-4-87218-425-9
初版発行:2016年11月13日
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 はじめに

モノを持たないで「シェア」する。そんなライフスタイルが、若い人たちを中心に、あたりまえのようになりつつある。その背景にあるのが、ソーシャルメディアやスマートフォンの急速な普及により、近年、欧米を中心に世界的な広がりを見せている、「シェアリングエコノミー(共有経済)」と呼ばれる概念だ。

これは、大量生産・大量消費の従来型経済とは異なる、個人や企業などの提供者が所有するモノやサービスを、インターネットを介して利用者が共有したり融通しあったりすることで成り立つ市場経済のしくみであり、その市場規模は、2025年には約3350億ドルに達するとの試算もある。

実際、シェアリングエコノミーの潮流は、巨大なビジネスチャンスを生み出している。代表的な例としては、アメリカで2000年代後半に誕生し、いまや世界を席巻しつつある勢いの民泊マッチングサービス、Airbnb(エアビーアンドビー)や、配車サービスのUber(ウーバー)などがあげられる。

シェアリングエコノミーの潮流は、日本にも押し寄せている。国家戦略特区に指定された東京都大田区では旅行者への民泊が解禁となったほか、ライドシェア(相乗り)が検討されるなど、政府もシェアリングエコノミーを受け入れるための規制緩和やルール整備に乗りだしたことから、2016年は「シェアリングエコノミー元年」とも言われている。

もっとも、シェアリングエコノミーのサービス自体は、いまに始まったことではない。たとえばカーシェアリングは、その走りとも言えるだろう。

カーシェアリングとは、会員のあいだでクルマを共同利用するシステムで、スイスが発祥とされている。1980年代後半からヨーロッパを中心に普及が始まり、その後、北米にも広まった。

なかでも、クルマ社会の典型と言われるアメリカで2000年に設立されたZipcar(ジップカー)は、カーシェアリングのトップ企業として一躍、世界的にも名を馳せるようになった。2013年にはアメリカのレンタカー大手、Avis Budget Group(エイビス・バジェット・グループ)に買収されたが、アメリカはもとより、カナダやヨーロッパなど20の主要都市と300の大学のキャンパスでサービスを展開し、車両台数約2万1000台、会員数は約100万人(2015年12月末時点)を数える。

日本では、1988年に外車専門のカーシェアリングが登場して話題となったが、普及が始まったのは2000年代になってからのことだ。

2002年にオリックス自動車株式会社がカーシェアリングサービスを開始したのに続き、2005年には株式会社マツダレンタカーがカーシェアリング事業に参入。2008年にはカーシェアリング・ジャパン株式会社が設立されるなど、その将来性に着目した企業が相次いでカーシェアリング事業に乗りだした。

しかし、カーシェアリング事業には「人(会員)・クルマ・駐車場」の3つの要素が不可欠だが、とりわけ都市部では駐車場の確保が難しいこともあって、なかなか本格的な普及には至らなかった。

日本でカーシェアリング市場が急激な伸びを見せ始めたのは、全国で時間貸駐車場「タイムズ」を展開する業界最大手のパーク24株式会社(本社:東京都千代田区、代表取締役社長:西川光一氏)が2009年にマツダレンタカーをグループ化して、カーシェアリング事業を本格的にスタートさせてからのことだ。

なお、2011年からパーク24は持ち株会社となり、駐車場事業やカーシェアリング事業はタイムズ24株式会社に継承されている。

パーク24グループの中核事業を担うタイムズ24は、「人と クルマと 街と、」をスローガンに、全国47都道府県に1万5609カ所(2016年8月時点)の時間貸駐車場「タイムズ」を展開している。

また、タイムズ24のカーシェアリングサービス「タイムズカープラス」は、その駐車場をステーションとして活用できることが最大の強みとなっている。サービスを開始してから7年が経過し、2016年8月時点でステーション数は全国45都道府県に8366カ所、車両台数1万5704台、会員数69万1155人を数える規模となった。後発にもかかわらず、圧倒的な強さで業界首位を独走している。

交通エコロジー・モビリティ財団によると、国内のカーシェアリング車両台数は約2万台、会員数は85万人近くまで伸びている(2016年3月時点)が、実にその7割以上を「タイムズカープラス」が占めていることになる。つまり、「タイムズカープラス」の車両台数や会員数の伸びが、国内全体の伸び率にそのまま反映されていると言っても過言ではないだろう。

実は、私は2011年に、人とクルマの新たな関係をめざし、当時は「タイムズプラス」のブランド名で展開していた同社のカーシェアリング事業について検証するべく、『なぜ、いまカーシェアリングなのか』(IN通信社刊)を上梓している。その取材のなかで、社長の西川光一氏が、

「やるからには一番にならないと意味がないし、しかもぶっちぎりで一番にならないと気がすまないのです(笑)」

と、語っていたことを思い出す。

2011年5月時点では、先行していた他社をすでに追い越し、早くも国内のシェアトップに躍り出ていたものの、ステーション数は1783カ所、車両台数は2252台にすぎなかった。その後も年間約2000台~3000台のペースという圧倒的なスピードで車両とステーションを増やし続け、いまでは全国の「タイムズ駐車場」の2カ所に1カ所にはステーションが併設されているまでに拡大している。

黄色の地に黒の文字と赤の数字で「24h Times」と横書きされた看板は、いまでは街の風景として、すっかり定着した感がある。そして最近は、そこに「Times Car PLUS」の看板が加わり、カーシェアの幟がはためいているのを目にすることが多くなった。

カーシェアリング事業は、クルマと駐車場への先行投資が必要となるため、事業を黒字化するまでには、一般的にある程度の年月を要する。

しかしタイムズ24の場合、すでに日本全国に普及している「タイムズ駐車場」が基盤となるので、新たな駐車場コストがかからず、コスト競争力で俄然、優位に立つことができる。2014年10月期の連結決算ではカーシェアリング事業の営業損益が初めて1600万円の黒字となり、翌2015年10月期には12億6000万円へと大きく拡大している。

カーシェアリングの利用が大きく伸びている理由を、西川氏は次のように分析する。

「とりわけ都心部では、若い人たちがクルマを保有することに対して抵抗感を持つようになりました。利用時間とコストを照らしあわせたら、こんなに割が合わないものはないというわけです。

その一方で、クルマは非常に便利な乗り物であることには違いなく、手頃な料金で利用できるのであれば使いたいという、潜在的な需要はあるはずです。加えて、当社の場合は全国にある『タイムズ駐車場』をステーションとして活用できるので、利用者に対し、利便性においても訴求力が高いのではないでしょうか」

若者がクルマを持たないのは経済的な負担が大きいからであって、けっしてクルマが嫌いだとか、必要ではないというわけではなさそうだ。実際、「タイムズカープラス」の会員数は1カ月に約1万人の勢いで順調に増え続けているが、その半分以上が20代、30代の若者たちで占められる。

彼らにしてみれば、どんなに便利なサービスでも、料金が高ければ、やはり躊躇してしまう。その点、「ミヂカ」「オトク」「ベンリ」をコンセプトにサービスの向上をはかる「タイムズカープラス」では、「ベーシック」クラスの利用料金は15分206円という魅力的な設定になっている。料金については、今後も極力抑えていく方針だという。

また、タイムズ24では、利便性のさらなる向上をめざし、カーシェアリングの車両を、新幹線停車駅など鉄道の主要路線の駅前や、空港、港などに配備して、他の交通機関とのスムーズな連携を推し進めている。

つまり、長い距離は鉄道などの公共交通機関を利用し、駅から先の細かな移動はカーシェアリングを利用できるようにするということだ。こういう使い方が、カーシェアリングの効率的な使い方ではないかというわけだ。

そのためにも、公共交通機関で目的地に着いたら、いつでもどこでもカーシェアリングサービスを気軽に利用できる環境を整備していきたいと、西川氏は言う。西川氏としては、将来的にはカーシェアリングを、電車、バス、タクシーに次ぐ第4の公共交通として根付かせたいとの思いもある。

また、「タイムズカープラス」では、個人会員の利用は土日が多く、平日は稼働率が下がる。そこで平日の稼働率を上げるために、法人会員の獲得にも力を注いでいる。会員となった法人からは、営業効率の向上やコストの削減に結びつくとあって、評判は上々のようだ。

今後は、車両台数を毎年3000台ずつ増やし、東京オリンピック・パラリンピックが開催される2020年までには3万台くらいを全国に配備したいとしている。

本書では、日本におけるカーシェアリングのNo.1ブランド「タイムズカープラス」のサービス内容と、「快適なクルマ社会の実現」をめざしてクルマ文化の創造と革新に挑み続けるパーク24グループの事業活動を紹介するとともに、様変わりしつつある人とクルマ、そして街との関係についても検証する。ご一読いただき、カーシェアリングの利用をはじめ、価値観が多様化する現代を賢く生きるうえでのヒントとしてお役立ていただければ、これに勝る喜びはない。

なお、本文中の敬称は略させていただいたことを、あらかじめお断りしておく。

 2016年10月  鶴蒔靖夫


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はじめに


第1章 世界的な潮流となったシェアリングエコノミー

シェアリングエコノミーとは何か
世界のシェアリングエコノミーをリードする2大企業
若い世代ほどシェアリングサービスの利用に前向き
2016年は日本のシェアリングエコノミー元年に
日本発のシェアリングサービスも続々
サービス業にとってはビジネスを展開しやすい環境に
世界の市場規模は2025年までに3350億ドルに拡大!?
シェアリングエコノミーがもたらす日本への経済効果


第2章 本格的なカーシェアリング時代の到来

スイスで誕生し、欧米を中心に広く普及
なぜ、カーシェアリングなのか
急成長を遂げつつある日本のカーシェアリング市場
利用拡大の背景にある若者のクルマに対する意識変化
カーシェアリング利用のメリット
カーシェアリングの環境負荷低減効果
レンタカーとカーシェアリングの徹底比較
寡占化が進む国内カーシェアリング市場


第3章 カーシェアリングのNo.1ブランド「タイムズカープラス」

「タイムズ」活用を武器に圧倒的なシェアを握る
交通インフラとしての位置づけをめざして
「オトク」な料金体系とパックメニュー
パーク24が誇るITシステム「TONIC」を活用
2次交通としてのニーズに着目
鉄道事業者との連携による「レール&カーシェア」を推進
会員サービスと施設送客サービスの融合
個人会員向けポイントプログラム「TCPプログラム」
顧客の声を具現化した便利な機能
改善を重ね、進化し続けるシステム


第4章 カーシェアリングの賢い活用方法

15分単位だから「チョイ乗り」にうってつけ
公共交通機関との組み合わせ利用が効率的
入会を決める前にチェックしておきたいポイント
「タイムズカープラス」入会から精算までの流れ
ライフスタイルに合わせて使い方はいろいろ
出張先や旅先での利用から緊急時の対応も
マイカーとカーシェアリングの使い分け
7割の企業が業務効率の向上を実感


第5章 快適なクルマ社会の実現をめざすパーク24グループ

企業スローガンは「人と クルマと 街と、」
地域に密着した営業活動を推進
顧客目線に立った駐車場の質へのこだわり
「TPS」を通じた送客にも注力
ビジネスモデルの根幹を成す「TONIC」
拡大するTONICの活用領域
モビリティ事業の一翼を担う「タイムズカーレンタル」
駐車場の保守・管理を担うタイムズサービス
顧客の声を拾い上げる自前のコンタクトセンター
入電率を限りなくゼロに近づける
ロードサービスを提供するタイムズレスキュー


第6章 パーク24グループが描くクルマ社会の近未来図

電車、バス、タクシーに次ぐ第4の公共交通に
レンタカーとカーシェアリングの融合
目的地のネットワーク化
ワンウェイ式カーシェアリングの共同実証実験
自動運転のクルマが街中を走る時代に!?
急増する訪日外国人への対応を強化
新サービス創出に向けたさまざまな取り組み
駐車場マッチングサービス「B‐Times」
IoT時代にはデータを有する企業が勝ち残る
スマートフォンのような感覚でクルマも持ち歩く!?
「人と クルマと 街と、」の具現化をめざして


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