ハートフル エンジニアリング

2017/06/21

『ハートフル エンジニアリング』 前書きと目次

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ハートフル エンジニアリング
 ~北海道から世界を見すえるアベールジャパンの挑戦~


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著者:鶴蒔靖夫
定価:本体1800円+税
ISBN978-4-87218-411-2
初版発行:2015年8月12日
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 はじめに

戦後の日本経済を支え、日本を世界でも有数の経済大国へと押し上げる原動力ともなった、いわゆる日本型経営の代名詞とも言える「終身雇用制」は、バブル経済崩壊後の「失われた20年」と経済のグローバル化の進展により、終わりを告げた。

それに伴い、急速に市場を拡大してきたのが、人材アウトソーシング・ビジネスだ。厚生労働省がまとめている「労働者派遣事業報告書の集計結果」によると、2013年度の人材派遣市場の規模は、約5兆1000億円にのぼる。

こうした時代背景のもと、技術者のアウトソーシング企業として着実に業績を伸ばしているのが、本書で紹介する株式会社アベールジャパン(本社:北海道札幌市、代表取締役:市原敏雄氏)である。

特定分野に専門特化している企業が多い技術者アウトソーシング業界にあって、同社の事業領域の広さは際立っている。同社社長・市原敏雄氏は、その狙いを、

「幅広い分野を総合的に手がけているため、仮にひとつの業界で受注が減っても、他の分野でカバーできることが強みになる」

と語る。

この狙いが正しかったことは、各種ソフトウェア/ハードウェアの設計・開発から、ネットワーク、通信、建築、土木、電気・電子関連の計測、制御、FA(ファクトリー・オートメーション)、メカトロニクス、プラント、宇宙開発と多岐にわたる分野で、同社の高い技術力を持った技術者が重用され、東証一部・二部上場の大手企業を中心に数多くのビッグプロジェクトに参加している、という実績に表れている。

この結果、同社は創業以来、年平均20%増のペースで売上高を伸ばし、2013年度の売上高は32億円にまで拡大。2015年現在では、全国12カ所に拠点を持ち、社員数約600名を数えるまでになっている。

その高い技術力を生み出す原動力となっているのが、待遇面をはじめとする、技術者が働きやすい環境をつくるための各種サポート体制だ。

アベールジャパンの派遣技術者は、すべて同社の社員である。社員という安定した立場のまま、派遣先で「やりたい仕事」ができるのだ。

さらには、各種手当、高い給与水準、全国各地の拠点に備えられた独身寮といった目に見える部分だけでなく、採用から派遣先の決定、アフターフォローまでを1人の営業担当者がきめ細かくサポートしてくれるので、安心して仕事に専念できるという、目に見えない部分の環境も整っている。

また、同社には定年もなく、未経験者やブランクのあった技術者も受け入れているため、20代~60代まで幅広い年代層の人材が活躍の場を得ているという。人材の育成にも力を入れ、採用後には、業務に必要な国家資格を取得するための勉強会や、ヒューマンスキル向上のための教育を徹底させている。こうした職場環境の良さから、社員の定着率も高い。

同社を率いる市原氏も、もともとは東京出身の技術者であった。父親が金属プレス加工の会社を経営していた影響で、少年時代から機械に関心を持ち、高校を卒業後は小型トランスメーカー、水処理プラント関連企業などで技術者としてのキャリアを積んだ。

しかし、その後に入社した総合エンジニアリング会社で「営業をやってほしい」との誘いを受けたことが大きな転機となった。

市原氏の、技術者の立場を理解したうえでの営業活動は着実に成果をあげ、やがて北海道での事業展開を任されるまでになった。

そして2003年、「もともと会社経営にロマンを感じていた」という市原氏は54歳で起業。景気が低迷するなかでの逆風吹き荒れる経営環境だったが、営業マン時代に培った人脈を活かし、事業は順調に発展していった。

創業以来、同社が掲げている経営理念は「誠実・貢献・創造・挑戦」である。社名の「AVAIL(役に立つ)」は、こうした経営理念に基づいて名付けられた。

また、市原氏の第一の経営哲学は「現場主義」ということにある。

「何かあったら、全国を飛びまわり、自分の目で見て確認する。現場を忘れた経営は崩壊する」

と、市原氏は断言する。

2013年に創業10周年を迎えた同社は、さらなる飛躍をめざし、開発センターを拡充。海外展開にも意欲を見せ、ベトナムやタイなどの東南アジアを中心に拠点を設ける計画もある。

市原氏は、

「培った技術を途上国のインフラ整備に活かしたい。今後は、農・医薬バイオ分野にも進出し、裾野を広げたい」

と、抱負を語る。

その一方で、技術者出身の市原氏の夢でもある、自社でのモノづくりにも今後、力を入れていきたいという。

本書は、技術者のアウトソーシング事業で成長を遂げたアベールジャパンの事業活動を紹介するとともに、同社社長・市原敏雄氏の経営理念、ビジネス哲学に迫るものである。

戦後の日本が飛躍的な経済成長を遂げるその裏で、多くの名もなき技術者たちの活躍があったことは間違いないだろう。

いま、日本は、長く続いた景気低迷から、ようやく抜け出しつつある。そして、日本経済が真に復活をするためには、技術者の力が不可欠と言える。

それだけに、本書は、技術職にかかわる人のみならず、日本の産業の将来に思いを巡らせる多くの一般読者にとっても、貴重な指針の書となるだろう。

なお、本文中の敬称は略させていただいたことを、あらかじめお断りしておく。

  2015年7月  鶴蒔靖夫


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はじめに


第1章 日本の産業を支える技術者アウトソーシング

アベノミクスで雇用は改善されたのか
グローバル化と不況で変化した雇用事情
雇用の流動化は必要不可欠
5兆円を超える規模となった人材派遣市場
引く手あまたの技術系派遣労働者
懸念される労働者派遣法改正案の影響


第2章 総合エンジニアリング企業・アベールジャパン

技術者による技術者のための会社
多岐にわたる産業に技術者をアウトソーシング
右肩上がりで前年比売上高平均120%成長を達成
創業わずか11年で全国展開を達成
大手ビッグプロジェクトに技術者を派遣
オリジナルのモノづくりへのこだわり


第3章 幅広い技術と知識を融合し社会に貢献 ― アベールジャパンの事業内容

経営理念は「誠実、貢献、創造、挑戦」
派遣先で重責を担う技術者の存在
派遣先と技術者をつなぐ営業の役割
「採用は購買」― トップクラスの技術者確保に力を注ぐ
RFID入退室管理システムに代表される自社開発
異業種の技術融合で創造力を生む


第4章 人が財産―技術者が本領を発揮できる企業

めざすはハートフルな総合エンジニアリング企業
技術者が働きやすい環境をつくる各種サポート体制
ブランク不問、生涯現役も可能
国家資格取得のための勉強会を実施
ヒューマンスキル向上のための教育にも注力
技術者のあるべき姿・ありたい姿を追い求めて
高い社員定着率が物語る信頼


第5章 創業社長・市原敏雄の経営の原点

父の仕事を通して培った技術への関心
技術者としての経験を積んだサラリーマン時代
転機となった営業職への抜擢
54歳、不況のなかでの「遅咲き」起業
第一の経営哲学は「現場主義」
儲かるしくみをつくるのが経営者の仕事


第6章 アベールジャパンが描く未来展望

ますます存在価値を高める技術者のアウトソーシング
常に危機感を持ち、変化の予兆を察知する
海外での事業展開や農業・医薬バイオ分野への進出も視野に
新しい環境で新しい挑戦を続けることが経営の本質
人材力と技術力で社会貢献を果たす
新たな10年に向けて挑み続ける日々


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