光触媒の新時代

2017/12/11

『光触媒の新時代』 前書きと目次

Hikarishokubaiweb


光触媒の新時代
~フジコーの受け継がれるモノづくり精神~


著者:鶴蒔靖夫
定価:本体1800円+税
ISBN978-4-87218-400-6
初版発行:2014年10月26日




 はじめに

近年、都市の生活環境を脅かす問題が顕在化している。

中国で流行の兆しを見せている鳥インフルエンザは、鳥から人へ、さらに人から人へと感染し、日本での流行も懸念されている。PM2・5に代表される大気中の浮遊粒子(粉塵)も、呼吸器系に沈着し、健康に影響をおよぼす原因になっている。

病院や高齢者施設、学校などにおけるノロウイルスやインフルエンザウイルスの感染も心配の種だ。人が集まる場所であるだけに、集団感染は毎年のように起こる。

一般の住宅も「安全地帯」とはいえない。建材に含まれるホルムアルデヒドなどの化学物質を原因とする「シックハウス症候群」、ダニやカビ、タバコの煙などが原因のぜんそくやアレルギー性疾患もある。

こうした生活環境を脅かす各種ウイルス、細菌、有害化学物質を除去するのに有効な作用をする物質がある。それが「光触媒」だ。

光触媒とは、紫外線や可視光線を浴びることで触媒作用を発揮し、ウイルスや細菌、化学物質、臭いなどを二酸化炭素と水に酸化分解する物質である。この光触媒をタイルや壁などの建材、空気消臭殺菌装置に活用して注目を集めているのは、本書で紹介する株式会社フジコー(本社:福岡県北九州市、代表取締役社長:山本厚生氏)である。

「光触媒は五十年ほど前に日本で開発された画期的な素材であり、技術ですが、すぐれた応用技術がなく、ほとんど活用されていませんでした」

このようにフジコーの代表取締役社長・山本厚生氏はいう。

世間の耳目を集め、「潜在市場一兆円」といわれながらも、実用化するための技術や技法が確立されなかった。これを解決したのがフジコーの高機能ハイブリッド光触媒「MaSSC(マスク)」である。

同社の本業は鉄鋼業である。創業者の山本秀祐氏(故人)が、昭和二十七(一九五二)年、フジコーの前身である富士工業所を創業。当時、鉄鋼業界では絶対に不可能といわれていた鋳型の修理に成功、「鋳型修理の富士工業所」とその名をとどろかせたのである。その後、不屈の精神で、次々と技術を開発していった。

詳しくは本文に譲るが、フジコーの技術開発は、「技術立社」を標榜するだけに“業界初”といわれる技術をいくつも要している。なかでも、溶射を応用することによってフジコー独自の技術「MaSSC」が誕生したのである。

「光触媒を床のタイルや壁面に使えば、建物全体が清浄作用を有することになります。すでに北九州市のモノレール駅構内のトイレのタイルに使用して効果を上げています」

このように山本氏は語る。

権威ある研究機関の試験においても、抗菌・抗ウイルス性能にすぐれていることが実証されているのである。

また、平成二十四年四月に開設した複合型介護施設「都みやこの杜もり」では、居室、共有スペース、風呂、トイレ、厨房などにMaSSC製品を全面に導入している。

それにしても、鉄鋼会社がなぜ介護施設の運営なのか。詳しくは本文に譲るが、光触媒の事業化を契機に、事業内容を「鉄鋼事業」「環境事業(光触媒)」「介護事業」の三本柱としてさらなる飛躍を期しているのである。

本書は、溶射を応用して独自に開発した光触媒の事業化によって、鉄鋼市場はもとより、民生市場でも新たな地平を開いたフジコーの事業活動を紹介するとともに、同社社長・山本厚生氏の経営理念と独自のビジネス戦略に迫るものである。

これは環境関連業界や鉄鋼業界に携わる人たちはもとより、病院、介護施設をはじめとする生活環境の浄化・改善に関心を寄せる多くの一般読者にとっても貴重な指針の書となるであろう。

なお、本文中の敬称は略させていただいたことを、あらかじめお断りしておく。

平成二十六年九月   鶴蒔靖夫




はじめに


第1章 私たちの生活環境を脅かす数々の要因――増加する高免疫性ウイルスや有害物質――

日々の暮らしのなかで環境を見直す
健康と安全性を脅かすさまざまな要因
有史以来の未知の領域に突入か
脅威が増す新型インフルエンザ
怖い患者・医療従事者の院内感染
“命を衛(まも)る”のが衛生
健康へ悪影響 PM2・5の浮遊微粒子
ウイルスや有害物質の無害化


第2章 環境悪化を是正、浄化する素材・技術「光触媒」

「シックハウス症候群」の顕現
生活空間を清浄化する光触媒
実用化を阻んだ問題
高速フレーム低温溶射とハイブリッド光触媒で画期的なMaSSC誕生
驚異の殺菌性能を表すMaSSC
光触媒新時代の幕を開けろ
民生&産業用空気消臭殺菌装置
効果を一般に広めるために
「ものづくり日本大賞」を二度も受賞した確かな技術力


第3章 受け継がれる“モノづくり精神”

三味線と踊りはうまいけれど……
モノづくり精神を継続するために
日本の宝・隠れた名企業の技術
技術力とビジネスパワーの均衡
技術立社を支える技術開発センター
売り上げの四%を開発費として計上
光触媒の拠点、環境配慮型工場


第4章 常に変革・再構築で挑戦する社風――伝統の鉄鋼事業と人材の介護事業――

鋳型修理という未知に挑む精神
不屈の精神で確立した技術
基幹技術に見る独創性への執着
保全分野への進出により協働体制を構築
“苦渋の選択”から学んだ信念
苦境を脱した新生フジコーの快進撃
鉄鋼事業と環境は不可分の関係
“鉄は熱いうちに打て”の実践
フジコーらしい地域貢献を実現
高齢者の自立をうながし尊厳を重視


第5章 人生意気に感ずべし――受け継がれるフジコーの思いと技術――

“長いものに巻かれない”強い意志
「人は石垣 人は城」の武田節
フジコー精神の土台
受け継がれたDNA
“体験”してもらうのが大前提
誇りが持てる会社にするために
もともとはベンチャーだった
技術を伝承するマイスター制度
実証の裏づけで価値が出る技術
どこまでも可能性を求める姿勢


第6章 “技術立社”のフジコーが描く近未来の展望――クライアントと協働で海外進出――

“百年企業”フジコーへ向けて
企業は止まったら終わりだ
企業のコアの確保と周辺技術で海外展開を
“突発のフジコー”は信頼の証
介護にも使えるロボットスーツ
光触媒の市場を開く
文字にしてデータ化する介護技術
世界一の鉄鋼メーカーをめざす
組織の基本は人づくりに尽きる
遊び心は価値の高い仕事に通ず

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