「最優」へのあくなき挑戦

2017/12/12

『「最優」へのあくなき挑戦』 前書きと目次

Saiyuuweb


「最優」へのあくなき挑戦
~ほけんの窓口グループ・第二の創業元年~


著者:鶴蒔靖夫
定価:本体1800円+税
ISBN978-4-87218-396-2
初版発行:2014年5月24日




 はじめに


わが国で初めて近代的な生命保険制度を紹介したのは、福沢諭吉とされている。

諭吉は『西洋旅案内』という本の付録で生命保険のことを「人の生涯を請け合う仕事」と記している。

以来、百五十年余、明治維新から戦前・戦後、そして現在という激動の近代史のなかで、歴史とともに変遷を重ね、保険は一大産業へと成長を遂げてきた。

現在、日本は急速な少子高齢化の進行により、国のあり方から一人ひとりのライフスタイルに至るまで大きく様変わりしつつある。人の暮らしを支える安心と安全の保障がこれほど意識される時代はかつてなかったかもしれない。

保険が果たす役割も、広く多様になっている。消費者の保険に対する意識も高く、生命保険の加入率が男女とも八割に近いというのは世界のトップクラスである。また、社団法人生命保険協会によると、現在支払われている保険金・給付金・年金は年間二三兆円、一日あたり約六三〇億円におよんでいるというから、保険はいまや社会生活を支えるインフラの一部といっても過言ではない。

今後は、公的保障を補完する存在として、ますます重要な役割を果たすことになるだろう。勢い国民の保険に対する期待も高まり、新しいニーズも出現してくる。

この消費者意識の向上と、業界の変革に大きな影響を与えたのが、複数の保険会社の商品を取り扱う乗合代理店が展開する来店型保険ショップの台頭であろう。十数年前に登場したときは、戸惑いと奇異の目で見られたものだったが、複数の商品を組み合わせて加入者に最適な保険を提供する提案型の販売形態は消費者の支持を得て保険の流通革命を起こし、いまでは多くの国民の生活保障と豊かな暮らしの実現に寄与するまでになっている。

そうした来店型保険ショップを中心に展開する乗合代理店のパイオニアにして最大手の会社が、本書で紹介するほけんの窓口グループ株式会社(本社:東京都渋谷区、代表取締役会長兼社長:窪田泰彦氏)である。

いま、そのビジネスモデルは全国に広く普及し、多くの説明をする必要はないが、主な特長として、① 複数の保険会社の商品を「本人の意向」で選ぶことができる、② 相談は何度でも無料、③ 相談しても加入の義務はない、の三つがあげられる。

ほけんの窓口グループがそのビジネスモデルを携えて来店型保険ショップをオープンしたのは平成十二(二〇〇〇)年のことだが、現在ではフランチャイズチェーン(FC)を合わせて全国各地に四八〇余店(平成二十六年三月十日現在)を配するまでになっている。

その十数年間は自由化・国際化の大波にもまれながら、保険業界の競争が激化する時期でもあった。それと同時に消費者の意識行動も大きく変わり、積極的に自らのニーズをオーダーするスタイルが増えていった。

「流通と消費者の関係は劇的に変わったと考えています」

こう語るのは、平成二十五年四月、ほけんの窓口グループの代表取締役会長兼社長に就任した窪田泰彦氏である。

窪田氏は、昭和四十六年に大東京火災海上保険株式会社に入社後、平成十四年にあいおい損害保険株式会社代表取締役副社長、平成十九年にはあいおい生命保険株式会社代表取締役社長と、損保と生保の会社経営に携わったという異色の経歴の持ち主である。

その窪田氏が“あえて”代理店という世界に飛び込んだのは、顧客マーケットと最も接近するなかで、本当の意味の顧客満足を追求したいとの思いからであったという。

窪田氏は会長兼社長に就任するや、ほけんの窓口グループの「第二の創業元年」を提唱し、最大最強ではなく「最さい優ゆう」の会社づくりへ向けた数々の取り組みを宣言する。

「最優」とは「自分にとって損か得かではなくお客さまにとって正しいか否かをすべての物差しとする」ことを基軸とした窪田流経営哲学の背骨を貫くコンセプトである。それはまた、主人公は常にお客であり、お客の声こそが経営の原点、お客の満足と幸せの次に社員の幸せがある……、という徹底した顧客満足主義が反映されたものである。

その「最優企業」を実現するための指針として、① 顧客に向き合う、② 完璧な募集態勢の確立、③ CS(顧客満足度)の達成、という三つの経営方針を打ち出した。

ことに「お客さまのご意向を承る」を筆頭とする「お客さまと向き合うための七カ条」は、「最優」のエッセンスが込められたものとして、すべての社員の日常の命題となっている。

お客とのつながりを深めることによって、窪田氏がめざしているのは、マーケットインの変革を保険業界にもたらすことだ。それにより、長く続く保険会社・代理店・マーケットという硬直した三層構造に地殻変動が起こり、マーケットの側からメーカーを動かしていく真の流通革命が保険業界でも起こる可能性が生まれてくる。

「いまは自由化・国際化に相当する大きな変化が起こっています。それは業界の構造そのものが変わる変化で、インパクトはこちらのほうが甚大でしょう」

このうねりに対応すべく同社が最も力を入れているのは教育事業で、会社資源の多くを社員研修に投入している。四泊五日の合宿にはじまり、二カ月におよぶ初期導入研修は、保険の知識と最優精神を叩き込むことに費やされ、セールスの研修は一切行わないのが特徴である。保険会社から転職した者にとっては、いままで自分が受けた研修はなんだったのだろうという驚きを体験し、やがてそれは仕事観、人間観の転換へとつながっていく。

「お客さまに喜ばれることがどれほどうれしいことか一度でも体験したライフパートナーは、一気に成長していきます。人は変われるのです」

とは、自分自身がその体験によってよみがえった、ライフパートナーの弁である。

さらに窪田氏は、保険流通のさらなる多角化をはかるため、銀行アライアンス事業を積極的に展開。現在一四行の地方銀行と業務提携を結び、銀行窓販(窓口販売)による保険販売を地域の人々に普及させた。アライアンス事業により、お客と長期にわたる友好な関係を構築することの狙いは、「ライフプランをコアにしたリテール金融の新しいビジネスモデル」の実現である。

「金融のワンストップショップ化」「リテール金融のコングロマリット化」という窪田氏の遠大な構想が、現実のものとなりつつある様を目まのあたりにするのは、いままさに変革の現場に足を踏み入れているかのような印象を覚える。

「ほけんの窓口グループは業界のリーディングカンパニーですから、行く手に手本も教科書もありません。自分で変革を起こして進むのが宿命です」

この時期に、窪田氏がほけんの窓口グループのトップとして保険業界の流通を牽引することになったのは、単なる偶然ではないと感じざるを得ない。

本書は独自の理念と戦略によって保険の流通市場に革命を起こし、来店型保険ショップの最大手企業となった「ほけんの窓口グループ」の事業活動を紹介するとともに、同社会長兼社長・窪田泰彦氏の経営理念とビジネス哲学に迫るものである。

自分の生活は自分で守るものとなったいま、保険は確実に誰もが必要とする社会インフラになってきた。それだけに、本書はビジネスとして保険に携わる人のみならず、将来のライフスタイルを考え、安心できる暮らしを願う多くの一般読者にとっても貴重な指南の書となるであろう。

なお、本文中の敬称は略させていただいたことを、あらかじめお断りしておく。

平成二十六年三月   鶴蒔靖夫




はじめに


第1章 高まる自己防衛意識

揺らぐ公的社会保険制度と民間保険の役割
クローズアップされる民間保険と来店型保険ショップの歴史的役割
保険大国日本
高まる不安意識と自助努力
震災以降、独身男女が保険に目覚める
東日本大震災における保険会社の奮闘
契約者の利益を優先させた、百年ぶりの保険法改正
福沢諭吉一門によってはじまった生命保険事業
自由化から競争の時代へ
多様化する販売チャネル
賢い保険選びで大切なこと

 〈社会保険と民間保険の違い〉


第2章 来店型保険ショップのパイオニア ―第二の創業元年を宣言した「ほけんの窓口グループ」―

定着した来店型保険ショップ
急成長と広がりを示す数字
ほけんの窓口の強みとは
消えた“保険のおばちゃん”が意味するもの
「第二の創業元年」を宣言
お客は命を吹き込み、ライフパートナーは魂を吹き込む
お客にとって「最優」の会社に
お客と向き合うための「七カ条」
意向把握と情報公開による完璧な募集態勢の構築
困ったときはお客に聞け――顧客の声が経営の原点
「なでしこジャパン」が最優のモデル
お客にとってなくてはならない会社に
お客さまの声を集め、全員に共有させる最優のシンボル

 〈好評を博した新聞広告〉
 〈第一の創業〉
 〈来店型店舗第一号〉


第3章 人的装置産業としての教育 ―すべては教育からはじまる―

保険における「人」の役割
経営資源の最大限を人に注ぐ
経営資源を注ぐ研修の内容と期間
セールス技術の研修は一切しない
三年以内の資格取得が条件
知識から知恵になる設計を
長い時間をかける相談、個人情報に対する配慮
驚異の数字、九六%
一人ひとりのモラルを高めること
信頼される人間になる努力を絶え間なく
 ◆気づきが多い濃密な五日間
 ◆体験を共有する文化、人の変革を待つ文化
 ◆結果を生むのは、営業力ではなく人間力
すべては教育からはじまる――教育のビジネスモデル確立へ


第4章 「ほけんの窓口」の多角化戦略とは

多角化する「ほけんの窓口」
「ほけんの窓口@△△銀行」の誕生と進展
宝の持ち腐れ状態だった巨大代理店・銀行窓販
年収益三億円の銀行も
企業価値を高めるメリット
銀行にとっての成果
人が変わる、銀行が変わる
銀行との業務提携でリテール金融の新しいビジネスモデルを実現
フランチャイズチェーンへの完全なサポート態勢
「ザー」と「ジー」のシビアな関係
共に成長するパートナーとして
地域の大事なインフラに
十年間変わらない、お客さまへの思い


第5章 窪田泰彦の経営理念とビジネス哲学 ―経営とは変化の本質を見抜き的確に対応すること―

特異な経歴を持った保険マン
二十四時間ロードサービス付き自動車保険の生みの親
捨て身の覚悟で
大きな試練を乗り越えて
現場主義を確信した原点――トップの本籍は現場にあり
JR福知山線脱線事故現場に急行
お客のことだけ考えて、ケンカも辞さず
小異を残して大同(道)をつくれ
損保から生保へ――自分を一度ゼロにして
経営とは何か、“師”から学ぶ
窪田流「哲学」と「最優」の深いつながり
水戸黄門が将軍になった
プロダクトアウトからマーケットインへ――①
プロダクトアウトからマーケットインへ――②

 〈ほけんの窓口の社会貢献活動――「あしながおじさん奨学金制度」〉


第6章 ほけんの窓口グループが描く未来展望

経営理念の変革
膨大な借金を抱えている国の現状
自己責任と自助努力を民間が支えていく
保険会社と代理店の位置づけを同等にする意図とは
官から民へ移すための整備づくり
成熟期と成長期の同時併存、二正面作戦の展開
サムスンから学ぶマーケットイン戦略
踊り場の重要性とグローカル戦略
損保を活用し生涯顧客化を
ほけんの窓口は地域に必要な町医者に――マーケットインの基盤として
未来に向け、過去はすべて捨てる
上場をめざす
十年後、安心の輪は全国津々浦々に

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