地球サイズの人づくり

2017/12/12

『地球サイズの人づくり』 前書きと目次

Chikyusizeweb


地球サイズの人づくり
~子どもたちの未来を見すえる教育運動~


著者:鶴蒔靖夫
定価:本体1800円+税
ISBN978-4-87218-402-0
初版発行:2014年11月19日




 はじめに


少子化が進むなか、日本の教育のあり方が改めて問われようとしている。

二十世紀後半、学校教育の現場では受験戦争の激化を背景に知識偏重型の「詰め込み教育」がエスカレートする一方で、いじめや校内暴力、不登校などの問題が浮上。その反省から平成十四(二〇〇二)年度以降、文部科学省の学習指導要領においては「ゆとり教育」が打ち出された。だが、その反動で今度は日本の子どもたちの学力低下が指摘され、「ゆとり教育」は早くも見直しを迫られることになった。

このように、国が指し示す教育の方向性が揺らいでいるうちに、世界ではグローバル化が一段と進み、日本においても「グローバルな人材」の育成がより強く求められるようになってきた。

そうしたなかでいま、必要とされるのは他者とのコミュニケーション能力や自分自身の考えをきちんと伝えられる表現力、さらには困難にも屈しない強い心を持った子どもたちを育成することだ。そこで平成二十三年度以降、小・中・高校で順次導入がはじまった新しい学習指導要領では、「詰め込み教育」でも「ゆとり教育」でもなく、子どもたちの「生きる力」をいっそう育はぐくむことが理念として盛り込まれた。

目まぐるしく変化する、これからの社会を生きていくためには、単に知識や技能を習得するだけでなく、それらを活用して自ら考え、判断し、生活のなかで直面するさまざまな課題を解決していく力が求められる。そうした力とともに、豊かな人間性、たくましく生きるための健康や体力、すなわち知・徳・体のバランスのとれた力が「生きる力」というわけだ。

少子化、グローバル化の進展は、塾をはじめとする民間教育にも変化をもたらしている。親が子どもの将来を考え、できるだけいい教育を受けさせたいという思いは、いつの時代も変わらないだろう。ただ、教育の中身について、学力一辺倒だった保護者の意識に変化が見えはじめ、総合的な人間力を鍛えてやりたいと望む親が増えてきているという。

グローバル社会を生きていくためには、自らの力で困難に立ち向かい、それを乗り越えていく強さが求められる。どんなに厳しい状況に置かれようと、前向きに生きていく力、それを身につけさせることこそが、大人の役割だといえるのではないだろうか。

そうしたなか、昭和五十一(一九七六)年の創業当初から、すでに「生きる力」を育む教育を実践し、卓越した指導力で注目を集めているのが、本書で紹介する株式会社ティエラコム(通称「ティエラ」、本社:兵庫県神戸市、代表取締役社長:増澤空むなし氏)である。

同社は一斉集団型、個別型、映像授業型の教育事業を展開。それらの教育事業を核とし、合宿教育をはじめ多角的な学びの体験を提供するGE(Global Edutainment)事業、塾経営の総合支援システムを提供するASP(Application Service Provider)事業の三つを手がけている。

前身は、株式会社「能力開発センター」(通称「能開」)で、塾名としていまも継続しているが、これは学力アップや志望校合格のみに的が絞られた学習塾(いわゆる進学塾)とはひと味もふた味も違う。

「私は『学習塾』という言葉自体、好きではありません。本来、学習の指導と教育とは異なるものなのに、どうも混同されてしまう節があります。学習指導が教科学習を中心に知識の習得と理解をはかるものだとすれば、そこでは必ずしも人間性は問われないのです。一方、人間的な成長にかかわってくるのが教育です。あいさつをするとか、目上の人に敬意を払う、相手を思いやるといったことは、教科の学習とは直接関係ありません。でも、そうした人間としての基本動作が身についていなければ、どんなに学力レベルが高くても、社会に出て通用しないでしょう。私が提供したいのは『学習の指導』ではなく、あくまでも『教育』なのです」

こう語る増澤氏は、学力の養成にとどまらず、人間の「生き地じ」を鍛える教育の実践こそが同社の使命であると考え、こだわりつづけてきた。

「教えない教育」「魚を与えるな、釣り方を教えよ」「負の体験」などのユニークな指導方針は、単に偏差値が高い子ではなく、「困難にたじろがない ひとりで勉強できる子」を育てることを目的とし、これを教育理念として掲げている。

子どもを鍛え、強くするティエラの教育は、ゼミ・講習会・合宿・オープン模試の四つの柱で実践されるが、なかでも特長的なのが、多彩なコースが設定された合宿だ。いまの子どもたちの多くは、親の庇ひ護ごのもと、何不自由ない生活を送っている。そんな子どもたちも、やがて大きくなって、世間の荒波にもまれるときがくるだろう。生きていくということは決して楽なものではなく、世の中には理不尽なことも多い。それを乗り越える力をつけさせるため、「合宿教育」では、親元を離れ、あえて行動が制限される不自由な空間のなかで、みんなと一緒に生活することを強いてきた。

「子どものいうがままを受け入れて楽をさせてしまうのではなく、大人はその前に立ちはだかる壁、インヒビター(抑制者)とならなければいけないと思うのです。合宿生活を体験することで、子どもたちには困難を乗り越える力、人間関係能力、リーダーシップなどを身につけ、人と人をつなぐ架か橋きょう力りょくを持った人間に育ってほしいですね」

と、教育への熱い思いを語る増澤氏は、創業当初から、既存の塾の概念にとらわれることなく、どこにもない民間教育機関でありつづけようと、ユニークな教育プログラムを次々に開発・実践し、それが多くの子どもや保護者に支持されてきた。そして現在では、生徒数も二万名を擁し、一五〇教室を展開するまでに至った。

創業二十周年となる平成七年に、社名を能力開発センターから、スペイン語で“地球”や“大地”を意味する「ティエラ」に、平成十二年には「ティエラコム」に改称。その名が示すとおり同社では教育事業を核に、国際交流、環境保護活動などへとフィールドを広げ、「地球サイズの人づくり」をめざす。

実は、私は以前に一度、当時、塾業界の風雲児といわれていた増澤氏の思想や生き方に迫ろうと、『ティエラの挑戦』(IN通信社刊/平成八年発行)と題する書を上梓している。

あれから二十年近い歳月が流れ、その間、東進衛星予備校(株式会社ナガセ)のフランチャイジーとして大学受験市場に参入するなど、事業を着実に拡大させながらも、自立心旺盛な人材の育成、地球貢献活動など、増澤氏の教育への思いや経営姿勢にまったくぶれはない。そして、今後も「地球サイズの人づくり」をめざすと意欲を見せる。

本書は、躍進を続ける株式会社ティエラコムの事業活動を各事業部の統括責任者へのインタビューを交えながら紹介するとともに、創業社長・増澤空氏の企業哲学、教育理念ならびに経営理念や人材育成についても改めて検証するものである。教育に携わる方のみならず、未来を担う子どもたちのよりよい成長を願う方々にとって、本書がこれからの民間教育のあり方を考えるうえでの一助となれば、これに勝る喜びはない。

なお、本文中の敬称は略させていただいたことを、あらかじめお断りしておく。

平成二十六年十月   鶴蒔靖夫




はじめに


第1章 地球の未来、子どもたちの未来

「地球貢献」を企業哲学に
卒業生は語る


第2章 いま日本の教育に求められるもの

教育再生が最重要政策の一つに
システム疲労を起こしつつある義務教育
税金で運営される公教育での指導の限界
大人は子どもの前に立ちはだかる壁であれ
民間教育も含めた教育再生を考える
ゆとり教育はなぜ失敗したか
勉強でもスポーツでも何かに打ち込む姿は美しい
気になる大学入試改革の行方
学力を高める「学習」と人間力を高める「教育」


第3章 人間の「生地」を鍛える「教育運動体」

「困難にたじろがない ひとりで勉強できる子に」
ティエラの原点、「土日ゼミ」の大胆な方法
厳しいけれど愉たのしい「勉強道場」
保護者の「ウォンツ」を掘り起こす
自立学習をうながす「教えない教育」
一斉集団型は全国に五八教室、約八〇〇〇名の会員
個別型にチームコーチングを導入し、会員数二五〇〇名
一人ひとりにベストなプログラムを
子どもたちが明るくがんばる「集中豪雨型学習」
全国レベルで実力を知る「EXオープン模試」
大学以後までも視野に入れた「小中高一貫教育」
躍進するティエラの東進衛星予備校
映像メディアとICT、ライブの三つを融合


第4章 体験を通して「生きる力」を育む合宿教育 ――子どもとともに取り組む環境保護活動――

「合宿」はティエラの教育の原点
コンピテンスを養う「班活動」のドラマ
「食育」にも配慮する合宿中の献立
自然のなかで見せる子どもたちの意外な顔
合宿のフィールドは国内各地から世界へ
国際交流部を発足させ海外進学をサポート
ジュニアサミットキャンプ復活を望む声も
教室で鍛えられた子どもをワンランクアップのための舞台へ
ベトナムに「マングローブ子ども親善大使」を派遣
植林にも寄付される「ティエラがんばりポイント」
クール・ティエラ運動に子どもたちも協力
東日本大震災被災地に「復興の種」をまく


第5章 全スタッフに浸透する増澤イズム ――創業四十周年を迎えるティエラコムの軌跡――

映画漬けだった少年時代
シナリオライターを経て教育の世界へ
わずかな資金を元手に能力開発センターを創業
「城下町と日曜ゼミ」――姫路を皮切りに西日本の「城下町」へ教室拡大
心の師、教育者・斎藤喜博との出会い
大英断によるカリヨンハウス建設
魅せられた二人が語る「教育者&経営者」増澤
社名を地球・大地を意味する「ティエラ」に改称
「過去はすべて善である」
ICT化をいち早く進めたことで息を吹き返す
高校部門を東進衛星予備校に一気に切り替え
「ビットキャンパス」を社外に向けて提供するASP事業
山本塾との合併により地元兵庫の基盤を強化
教務改革を断行し、さらなる飛躍をめざす


第6章 次代を担う人材育成と学習塾のミッション

平成二十六年八月三十一日金沢「担任助手研修」
教育事業の成功は“人材”がすべて
「キオクに残したい二〇一四夏のキロク」
「担任助手」に対する思い
「循環型教育」という構図
学習塾の自立性とは
地球サイズの人づくり 学習塾のミッション

感謝のことば

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