日本の美容を支える力

2017/12/12

『日本の美容を支える力』 前書きと目次

Nihonnobiyouweb


日本の美容を支える力
~美容室のベストパートナー・ガモウ~


著者:鶴蒔靖夫
定価:本体1800円+税
ISBN978-4-87218-397-9
初版発行:2014年7月20日




 はじめに


平成二十五(二〇一三)年十二月十一日、日本を代表するサッカー選手の一人、本田圭佑選手のイタリアセリエA・ACミランへの完全移籍が発表された。このとき、思いがけないかたちで美容業界にも脚光が浴びせられたことを、私は鮮明に記憶している。

本田圭佑選手はACミラン移籍前まではロシア・プレミアリーグのCSKAモスクワで四年間プレーをしていたのだが、その間、三週間に一回、日本からお気に入りの美容師をモスクワに呼んでヘアカットをしていたという事実が明らかにされたのだった。

驚くのはこれからだ。
そのカット代はなんと一年間で約二〇〇〇万円になるというのだ。

イメージどおりのヘアスタイルを保つために、これだけのコストを投じるとは驚きを隠せない。このエピソードはまさに、自分という存在を大切にする人がヘアスタイルにどれだけの思いを注ぐかという、熱い思いを物語ってあまりある。

本田選手のヘアスタイルをつくっているのは東京・代官山の美容室「Ambesten(アムベステン)」オーナーの林勲氏だ。林氏のカット代は本田選手であれ、一般のお客であれ同額だという。ただ、本田選手の場合は、モスクワまでの往復の航空運賃(ビジネスクラス)とホテル代がかかる。

ミランに移籍後もこの“契約”は続けられ、林氏は今後もミラノに三週間に一度出かけ、ヘアカットするという。それにしても、思いどおりのヘアスタイルを保つために年間、これだけの金額を使うとは――。むかしから「髪は女の命」といわれたものだが、いまや、男性にとっても「髪は命」だということのようだ。

この話が示しているように、ヘアカットやヘアスタイルを整えるヘアビューティは極めて優先順位の高いニーズがあり、その結果、理美容を含めて年間およそ二兆三〇〇〇億円という巨大市場を形成している。内訳は理容三対美容七。美容室のみの市場の規模は平成二十四年度で一兆五五七五億円とされている。

本田選手の例からもわかるように、最近は男性や子どもも理容室よりも美容室に向かう傾向が強くなっており、理容と美容の乖かい離りはさらに加速している。

その流れも受けて、全国の美容室は微増ではあるが年々増えつづけ、平成二十五年三月末現在で二三万一一三四軒。コンビニの店舗数が四万七五二八軒というから、実にコンビニの五倍近い美容室が日々、しのぎを削っていることになる。

美容室ではパーマやカラーなど、お客のニーズに合わせて、美容師がパーマ液やカラー剤、シャンプーやトリートメント剤を使って施術してくれる。

ここで、はたと気づくはずだ。美容室は顧客と美容師だけで成り立っているわけではなく、美容剤やコーム、ハサミ、ドライヤーなどの器具、さらにいすやシャンプー台などがなければ成り立たないビジネスだということをだ。

これらの美容商材を、美容室のニーズに合わせて必要なときに届ける存在、それが美容ディーラーだ。

歌舞伎の舞台では役者が芝居をしたり、踊っている最中に必要になる小道具などを持って黒子が音も立てない足さばきで登場することがある。美容ディーラーはまさに美容ビジネスにおける黒子というべき存在で、美容室の活動の表舞台には立たないが、必要な商材を必要なときに必要なだけ届け、美容師の施術がスムーズに運ぶように下支えする。美容ディーラーなしでは美容室は一日として成り立たないことはたしかである。

本書で取り上げる株式会社ガモウ(本社:東京都港区、代表取締役執行役員会長:蒲生茂氏)はその美容ディーラーだ。なんと日本には現在、一〇〇〇社以上もの美容ディーラーがあるというから驚く。もっともその大多数は地元密着の美容ディーラーで、全国、もしくはそれに近い規模で事業展開している美容ディーラーはわずか数社にすぎない。

そうしたなかでガモウは、美容ディーラーとして国内のトップにまで成長している企業である。

創業は昭和二年と聞くと、ガモウは歴史と伝統に支えられた老舗しにせ企業なのだと思うだろうが、実質的には会長・蒲生茂氏を中心に育て上げた企業である。五十年ほど前、創業社長・蒲生清二郎氏の急逝の後を受け、蒲生氏が弱冠十九歳でガモウを継承したときは従業員二名の小さな企業にすぎなかった。そこからスタートし、一代で年商二七〇億円、社員総数六二〇名という一大企業グループに育て上げた蒲生茂氏の経営者としての力量ははかりしれず、敬服のほかはない。

なぜ、そんな奇跡のような発展を成し遂げることができたのだろうか。蒲生氏と同じ時代の美容業界で活躍してきた代表取締役執行役員社長・美濃部徹氏は、蒲生氏の仕事ぶりを、「常に美容室・美容師が活躍するためには、ということを考えているのです」と評している。

美容室の繁栄のために役立つことならなんでもやろうという美容室第一主義こそが、ガモウの今日を築いた力といえるだろう。

美容ディーラーが美容界に果たす役割は想像以上に多岐にわたる。必要な商材を的確に届けることはいうまでもないが、同時に美容室の発展・繁栄のために欠かせない日取り新情報の発信、美容室で働く美容師の育成、つまり美容室の運営、発展のために欠かせないコミュニケーションとエデュケーションをもサポートしている。

美容業界もごく一部の大手とその他大勢の地域密着型の美容室で成り立っている。しかも、過剰すぎるオーバーストア状態だから、美容室は、一方ではよりいっそうの繁栄を、その一方では生き残りの両方を追いかけて、必死で切磋琢磨している。

ガモウはそうした美容室の努力をしっかり支えようと、美容室繁栄の命運を握る技術向上のための研修や新しい美容情報を学べるセミナーを開催し、美容室の質的向上を力強くサポートしている。セミナー回数は平成二十六年の一年間で実に八六三回(予定)におよぶというから驚嘆のほかはない。毎日、どこか二カ所以上で開催されている計算になるわけだ。

試みに、知り合いの女性たちにこの話をし、彼女たちが行きつけの美容室で何げなく「新しい技術はどこで勉強しているの?」などとたずねてもらったところ、ほぼ例外なく「ガモウで」という答えが返ってきたという。ガモウのセミナーはまさに美容室のスタッフ教育に根付いているといっても過言ではないだろう。

ほかにも美容師のモチベーションアップのためのコングレスやフォトコンテストを開くなど、美容業界の明日の繁栄のための活動を精力的に続けている。

「美容室の活性化をうながすとともに、美容師のステータスが高くなり、経済的にも報われる、そんな状況を実現して、美容師を若い人たちの憧れの職業として確立したい」

これがガモウの、そして蒲生茂氏の真しん摯しな願いなのだ。その先は、美容室のさらなる繁栄があり、美容商材メーカーの発展につながっている。

見た目の美しさの提供はいうまでもなく、お客の心まで癒いやす“おもてなし”……。美容は究極のヒューマン産業だということもできるだろう。

本書では、その発展を支えつづけてきた蒲生茂氏の経営理念、人生哲学にふれながら、美容ディーラーのトップ企業・ガモウの多彩な活動を紹介し、さらには美容界の将来ビジョンにも筆を伸ばしたいと期している。

なお、本文中の敬称は略させていただいたことを、あらかじめお断りしておく。

平成二十六年五月   鶴蒔靖夫




はじめに


第1章 美容市場のダイナミクス

文化としての髪の美容
髪=神――独自の価値観が生まれた日本
美人の第一条件は髪が美しく長いこと
美容師の登場
いまや一・五兆円超の規模になった美容市場
市場縮小のなかで増えつづける美容室
安定的な人気がある美容師という仕事
ほとんどの美容室は個人経営
大型化、企業化に成功した美容室
垂直・水平方向へと立体的な伸び代のある世界
美容室の生命線を握る美容ディーラー


第2章 美容ディーラーのポテンシャル

美容ディーラーの存在と役割
業務用化粧品メーカーと美容ディーラーの関係
美容室が美容ディーラーに求める役割
美容室が美容ディーラーに望むこと
美容室が美容ディーラーの営業スタッフに望むこと
こんな美容ディーラーがいてくれたら
進む美容ディーラーの選別化


第3章 美容ディーラーのリーディングカンパニー「ガモウ」

美容ディーラー最大手・ガモウ
ガモウが貫いてきたもの
「必要なモノを、必要なときに、必要なだけ」届ける
フルライン化の水面下で行われた知られざる企業努力
オンリーワン美容ディーラーをめざす理由は「常に美容室発展のために」
ガモウの成長力の源泉・主要取引美容室の成長
ガモウはベストパートナー
美容師の話にとことん耳を傾ける
全国カバーを達成した圧巻のロジスティクス
北海道から九州まで、全国を網羅するガモウのネットワーク
グループ化でさらにネットワークを拡大
ガモウグループ会社・八社
ガモウの新戦略の一歩・アヴェダサービス
オリオセタ、モロッカンオイルなどの新商材の開拓も
業界随一・ガモウのエデュケーション活動
一年に八六三回のセミナーを開催
エデュケーション機能の拠点・スタジオの全国展開
美容技術研修から経営セミナーまで多彩なセミナーを展開
「勉強になった」「また、やってほしい」……参加者からの喜びの声
美容室との絆を深めるガモウツアー
世界の美容の最前線を見学する旅も
美容師の夢と憧れの舞台・TOKYO BEAUTY CONGRESS
美容師なら誰でも読んでいる『GAMO NEWS』
新資格の創設など、美容界のクオリティアップにも貢献


第4章 蒲生茂のフィロソフィー

十九歳の青年に突然、訪れた人生の転機
ガモウの創業者・蒲生清二郎と美容専門卸商
人の暮らしに絶対に欠かせない美容業
「蒲生清二郎商店」の代名詞になったオゾン美顔器の開発
すでに教育の重要性にも着眼していた
絆の復活……戦後の「蒲生清二郎商店」
東京中心の商いへ転進
株式会社「ガモウ」の誕生
オンリーワン美容ディーラーへの道
エデュケーションサポートへの進出
バブル絶頂期に向けて
バブル崩壊後にさらに発展
配送業務をアウトソーシング、全国どこでも、翌日配達体制を整備
リアル店舗「ガモウB‐ZONE」開設
美容界のランドマーク、青山本社完成
美濃部徹が社長に就任し、蒲生は会長に
大同団結の流れ


第5章 ガモウの未来像

美容界の牽引役・美容ディーラーの育成
美容師はあらゆる可能性を満たせる仕事
生活レベルが向上すると増える美容支出
ガモウの一員として働く日々
充実した社内教育・研修制度で「美容界の人材」を育成
ガモウで仕事をしてきて――現場からの生の声
美容界の牽引役・美容ディーラーの育成
人も生き、自分も生きている世界
一業専心
海外に美容ディーラーのノウハウを広めていく構想も
「知行と情は車の両輪、鳥の両翼なり」
尽くす心

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