オフィス環境革命

2018/02/28

『オフィス環境革命』 前書きと目次

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オフィス環境革命
~パーティションでビジネスに進化を~


著者:鶴蒔靖夫
定価:本体1800円+税
ISBN978-4-87218-376-4
初版発行:2012年9月15日




 はじめに

人は働く環境の善し悪しによって、仕事の能率が大きく左右されてしまうものである。

考えてもみてほしい。資料を置く場所にも困るほど狭いデスクがずらりと並び、間仕切りもない――そんな隣の人と肘がふれ合わんばかりの状況で、細かい数字を扱う経理のような仕事に集中できるだろうか。

あるいは、いやがおうでも同僚たちの雑談や騒音が常に耳に飛び込んでくるような環境で、クリエイティブな発想を生み出すことは果たして可能だろうか。

自分の実力を発揮することもかなわず、さまざまな不満や苦痛に耐えなければならない――そんな劣悪な環境で働くオフィスワーカーは、不幸以外の何者でもない。生産性や労働意欲は著しく低下し、いいアイデアも湧いてはこないどころか、そこで働く人たちは、常に大きなストレスにさらされ、心身ともに摩耗してしまう危険すらあるのだ。

いまやオフィス環境がそこで働く人に大きな影響力をおよぼすことは、周知の事実である。しかし、だからといって、すべての企業が実際にオフィス環境の改善措置を講じ、従業員の働く空間の快適さを追求しているかといえば、決してそうではないのが現実だ。

一〇〇の会社があれば、一〇〇通りのワークスタイルがある。当然、それを支えるオフィスにも、一〇〇通りの顔があってしかるべきである。にもかかわらず、かつての日本企業ではどんな職種であろうとも、そのオフィスの姿に大きな違いは見られなかった。

いわゆる「オープンオフィス」といわれる大部屋スタイルが圧倒的に多く、オフィスレイアウトも向かい合わせに机を並べて、部署ごとに「島」をつくった「対向島型形態」と呼ばれるものがほとんどであった。それぞれの職場に適した空間の快適さや利便性を追求してきた欧米の企業に比べると、日本企業は「オフィスの質」という面で大きく後れを取っていたことは間違いない。

しかし、そんな紋切り型の日本のオフィスのあり方が、近年になって大きく変わってきた。

そのきっかけとなったのは、昭和五十一年以降、通商産業省(当時)主導の下に進められてきた「ニューオフィス化運動」であろう。オフィス環境を整えることによる生産性の改善や従業員モラル(士気)の向上を目標に掲げたこのムーブメントは、次第に日本の企業に浸透していき、オフィス環境における経営者の問題意識をも変えていった。

オフィスは「物を生まない場所」から「生産する場所」へと認識が大きく変わったのだ。

そればかりではない。

いまやオフィスは単なる「労働する場所」ではなく、「企業の顔」「広告塔」としての役割をも担うようになったのである。

たとえば、平成二十二年にソフトバンクは創業三十周年記念イベント「ソフトバンクオープンDAY」というイベントを開催した。本社オフィスにツイッターの一般ユーザー一〇〇〇組二〇〇〇名が招待され、さまざまな催しが盛大に行われた。特に招待客に社員食堂を開放したことが話題を呼び、マスコミにも大きく取り上げられたので、ご記憶の方も多いと思う。

このイベントなどは、まさしく自社のオフィスを広報の一環として有効に活用した一例といえるだろう。

本書で紹介するコマニー株式会社(本社:石川県小松市、代表取締役社長:塚本幹雄氏)は、もともとは事務用キャビネットの会社として昭和三十六年に設立された会社である。

しかし、同社は将来的に求められるであろう新たなオフィスのあり方を見据え、昭和四十五年以降、パーティション事業にシフトしていき、一九八〇年代には業界のトップメーカーへと成長し、さらに昭和六十年には品質管理のノーベル賞ともいわれるデミング賞実施賞中小企業賞を受賞。一九九〇年代には中国進出も果たすなど、日本のパーティション業界を牽引しながら、いまも躍進しつづけている。

「いい空間には、いいパーティションがある」というブランドポリシーを根幹に、これまでさまざまなパーティションで、日本のオフィス環境を理想的なものに変えてきた。「コマニー」という企業名を知らなくとも、多くの人が気がつかないうちに、同社のパーティションに囲まれて働いているのではないだろうか。

世界と対等に勝負することが求められる現代の日本では、高度な専門知識を持った人々が最大限に力を発揮し、仕事の能率を向上させられるオフィスが必要となる。そのためには、周囲からの過度な干渉を避け、業務に集中できるオフィス形態が望ましい。

その一方で「オフィスでのコミュニケーションが活発な企業では従業員のモラルが高い」といわれていることから、従業員間のコミュニケーションを活性化するための環境づくりも重要だ。

しかし、多くの企業が必要性を認識しながらも、長引く不況や業績の悪化などからオフィス環境の改善に多額の予算を割くことがむずかしいという厳しい現実もある。

そこで注目されるのがパーティションによるオフィス空間のリニューアルである。パーティションを利用したリフォームならば大がかりな工事が無用なため、予算も工期も大幅に短縮でき、なおかつオフィス環境の快適性を大幅に向上させることも可能だからである。

オフィスばかりではない。こうした環境づくりは、あらゆる空間づくりの場面で注目され、工場、病院、介護施設、学校と多岐にわたり、パーティションの活躍の場が広がっている。

コマニーはオフィス空間の快適性を追求するとともに、ユニバーサルデザインや地震対策にも積極的に取り組み、さらには工事の騒音が顧客企業の業務の邪魔にならないよう独自の小音工事を開発するなど、さまざまな側面から商品開発に取り組んできた。また、パーティションを機軸にさまざまな可能性を探り、新たに電子錠の販売に取り組むなど、業務の拡大にも力を入れてきた。

このように、パーティション業界のトップメーカーでありつづけることは、たしかな品質とすぐれた開発力、そして、それを生み出す柔軟な思考を持つ優秀な人材があるからにほかならない。

代表取締役社長・塚本幹雄氏は「企業というものは、従業員あってのもの。社会に貢献できる企業であることはもちろんですが、従業員やその家族にとっても魅力的な会社でありたいと考えています。そのうえでパーティションを極め、将来的に売上高五〇〇億円をめざす。そのためにも、日本国内だけではなく、中国や東南アジアにも力を入れていきたいですね」と語る。

本書はパーティションが持つ空間づくりへの可能性と、業界の展望を検証するとともに、業界のトップメーカーとして、他の追随を許さないコマニーと、創業者・塚本信吉氏から現社長・塚本幹雄氏へと受け継がれてきた人生哲学、時代に合わせて研磨されてきた経営理念の真髄に迫るものである。

モノづくりのみならず、人づくりにも心血を注ぐ同社の姿勢は、企業経営者のみならず、現代に生きるすべてのビジネスマンにとって貴重な指針となるであろう。

また、本書をご一読いただくことで一人でも多くの方にオフィス環境の重要性をより深くご理解いただき、一つでも多くのオフィスが快適に生まれ変わる端緒となれば幸いである。

なお、本文中の敬称は略させていただいたことを、あらかじめお断りしておく。


平成二十四年七月   鶴蒔靖夫




はじめに


第1章 時代とともに変化するオフィス環境の推移

文明開化とともに生まれた日本のオフィス
グレー一色だった日本のオフィス
「モノを生まない場所」から「生産する場所」へ
日本のオフィス事情に一石を投じた「ニューオフィス化運動」
コミュニケーションがモラルを高める?
モチベーションを向上させるオフィス環境
オフィス環境を左右するパーティション
微減する日本のパーティション市場


第2章 パーティションのトップ企業「コマニー」

めざすのは「いい空間」の創造
四十年を超えるオフィス空間づくりの実績
オフィス以外でも活躍するコマニーのパーティション
パーティションの可能性を追求する開発力
営業力を向上させた「お客さま貢献サイクル」
クレームから学ぶ クレームを生かす
コマニーの取り組み


第3章 さまざまなシーンで活躍するコマニーのパーティション

企業文化を育むコマニー仕様のオフィス
厳しい条件下で工場に快適な空間をつくる
最先端技術を守るクリーンルーム
クリーンルームの大型化にも対応
人が集う空間をいかに心地よくするか
ユニバーサルデザインへの取り組み
医療・福祉の現場で生きるコマニーの思いやりの心
分煙対策や携帯電話BOXにも
耐震基準震度六強をクリア


第4章 コマニーを支える人的財産

万人が使いやすいドアはどうやって生まれたか
“白くない”ホワイトボードを生んだ柔軟な発想力
コミュニケーションから生まれるアイデアの卵
本音で語れる関係をつくるために
心を高めるコマニーの人材教育システム
HPCシステムがもたらしたものとは
「モノづくり」を支えるのは「人づくり」
徹底した品質管理教育が従業員の意識を変えた
コマニーの強みとは


第5章 パーティションの軌跡とともに歩む

キャビネットからパーティションへ
参入後十年で達成した間仕切り業界売上高第一位
意識改革を狙って取り組んだTQC
CI導入により、ついに「コマニー」時代へ
大きな転機となったデミング賞受賞
名証二部上場――コマニー新時代の幕開け
独立採算制度のスタート
創業者・塚本信吉の人物像
貫き通した「原理原則」の追求
創立五十周年を機に新たに制定された「経営の理念」


第6章 コマニーはパーティションの可能性をどこまで広げるか

めざすは「超」一流企業
パーティションの可能性を広げる“レンタル事業”
新たな柱「電子錠」
施工技術センターの新設
“ゼロ”からはじまった中国進出
現地人材を心でつなぐ
そして東南アジア進出へ
次の百年を見据えたコマニーの未来戦略


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