毎日が産直!「わくわく広場」が変える食の風景

2018/09/05

『毎日が産直!「わくわく広場」が変える食の風景』 前書きと目次

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毎日が産直!
「わくわく広場」が変える食の風景
~つくる喜び、たべる楽しさが出会う場所~


著者:鶴蒔靖夫
定価:本体1800円+税
ISBN978-4-87218-446-4
初版発行:2018年10月1日




はじめに

いま、日本の農業は、さまざまな課題を抱えている。農林水産省によると、農業従事者の数は2017年7月時点で約182万人であり(農林水産省「農林水産基本データ集 農業就業人口及び基幹的農業従事者数」)、前年よりも約6%減少している。1990年には480万人を超えていたことを考えると、その激減ぶりには驚かされる。

また、1990年には33.1%だった農業就業人口における65歳以上の割合は、2017年には66.7%となっている。この数値からは、農業従事者の高齢化が著しいことが読み取れる。農業従事者の高齢化にともない耕作放棄地も急増しており、後継者不足はもはや待ったなしの深刻な問題となっている。こうした問題の解決を先送りし、ただ手をこまぬいているようでは、日本の農業が衰退の一途をたどるのは間違いない。

問題の背景にあるのは、離農者の増加に対して、新規就農者が一向に増加しない現実だ。2015年からの3年間で農業就業人口は約28万人も減少しているのに対し、新規就農者数は18万3000人程度でしかない。

実際、「農業では儲からない」「大手企業の農業参入で、小さな農家は立ち行かなくなってしまう」といった声も多く聞かれる。このままTPP(環太平洋パートナーシップ協定。当初のTPPからアメリカが脱退したことにより、現在は「環太平洋パートナーシップに関する包括的及び先進的な協定(CPTPP)」が正式な名称となっている)が本格始動し、外国産の安価な農産物が流入するようになれば、日本の農業がさらなる打撃を受けるのではないかとの懸念もある。

だが、一方では明るい材料もある。それは、地元で採れる農産物の価値を見直す動きが、近年になって顕著になってきたことである。日本人の健康志向やエコロジーに対する関心が年々高まるにつれて、安心・安全で良質な食材に対するニーズも増加し、国内産、さらには地元の農産物の地産地消を求める消費者が増えてきているのだ。そうした声に応えるように「産地直送」を売りにした農産物を扱うマーケットも登場し、人気を博すようになってきている。

「産地直送(産直)」は、実は農家にとってもメリットが大きい。従来の流通を介した販売方法と比べて中間マージンがかからない分、農家の収入が増え、生活の安定につながるからだ。また、消費者の声が農家に直接届くことにより、農業を行うことへの新たな喜びや大きなやりがいが生まれるという、金銭には換算できない効果も出ている。その結果、農業に従事したいという若年層も現れ始めている。

こうした事象を鑑みるに、これからの日本の農業を活性化させる鍵は、農産物流通の変革にあると言っても過言ではないだろう。

本書で紹介する株式会社タカヨシ(本社:千葉県千葉市、代表取締役社長:髙品政明氏)は、画期的な直販システムで農産物の地産地消に取り組み、急成長を遂げた会社である。私は、タカヨシが展開している農産物直売所「わくわく広場」こそが、停滞する日本の農業の現状を打破する可能性を秘めた、流通改革の担い手であると考えている。

タカヨシが直売所ビジネスに参入したのは2000年のことだが、現在では関東を中心に中部、近畿、中国、四国、九州地方にまでエリアを広げ、店舗数は108店舗、年間売上高は140億円(2017年度)にのぼるまでに成長した。「わくわく広場」はショッピングモール内に売り場を設けるケースが多く、野菜や果物のほかに肉や産直加工品、タカヨシでは「和シュラン」と称している調味料類、さらにはパンや惣菜なども扱っている。

産直を売りにした直売所といえば「道の駅」を思い浮かべる人が多いかもしれない。たしかに1990年代に登場して以来、「道の駅」は、長距離ドライブをする人々が24時間いつでも自由に使用できる休憩施設としての機能に加え、その地域の農産物の直売所としての役割も果たしてきた。こうした地産地消型の直売店は「道の駅」のほかにも存在するが、いずれも生産現場の近くに設けられていることが多いのが特徴だ。

それに対し「わくわく広場」は、街に住む消費者が購入しやすいように、生活圏内で地元の農産物を直売している。つまり、これまでは農家の軒先や畑の片隅、あるいはJA(農業共同組合)の販売所や「道の駅」など、生産者の近くにまで足を運ばなければ買えなかった農産物を、ふだんの買い物で利用しているショッピングモールで買えるようにしたというのが「わくわく広場」の最大の特徴であり、強みでもあるのだ。

「家から近い、あるいは、よく利用するショッピングモール内にあれば、お客様は一般的な直売所よりも足繁く通ってくれるようになります。実際、顧客はリピーターが中心で、モールでの買い物のついでに気軽に利用してくださいます」

と、タカヨシ代表取締役社長の髙品政明氏は語る。

「わくわく広場」を利用することで、消費者にとっては「新鮮な産直野菜がぐんと身近になる」というベネフィットが得られる一方、生産者サイドにとっても同店に商品を提供することで得られるメリットは大きい。

ちなみに、「わくわく広場」のシステムは少し変わっている。自分でつくった農産物を「わくわく広場」で売りたい生産者は、タカヨシと商品取引契約を結ぶのではなく、「わくわく広場」の各店舗ごとに委託販売の登録をするのだ。そして、生産者自身が農産物を「わくわく広場」の売り場に直接持ち込み、自分で商品を陳列する。販売価格の設定も自分で行う。「わくわく広場」の営業時間内であれば、生産者はいつでも自由に農産物を運び込むことができる。

そのうえ、売上のノルマを課せられることもない。タカヨシに対しては、売上の20%台の手数料を支払うことにはなるが、従来の流通コストに比べると、かなり安くすむ。そのため、生産者が手にする利幅は当然、従来の流通を通すよりも大きくなり、その分、消費者も新鮮な食材を安く手に入れられるようになる。

店舗への納品に訪れた生産者と消費者が店頭で言葉を交わし、直接コミュニケーションをとる光景も、「わくわく広場」ではよく見られる。こうしたコミュニケーションを通じて消費者は、野菜のおいしい食べ方や上手な保存方法などを生産者から聞くこともできる。生産者も、自分が丹精込めてつくった農産物を実際に口にした消費者からの率直な感想を聞くことができ、消費者がいま、どんな商品を求めているのかをリサーチすることもできる。髙品氏が「私たちは、生産者と顧客をつなぐプラットフォーマーとして、オンリーワンのビジネス展開をしている」と胸を張るのも当然だろう。

「わくわく広場」では、地元でその日の朝に採れた旬の食材を販売することにこだわるため、天候不順時には、売り場に商品が揃わないこともままある。しかし髙品氏は「それも自然なこと」と言い、品不足を恐れずに、あくまでも地元の産直野菜にこだわる。

「わくわく広場」のもうひとつの目玉と言えるのが、タカヨシが自社で厳選した調味料類の品揃えである。どのスーパーマーケットでも購入できるようなナショナルブランドは避け、地方の中小メーカーならではの特色のある商品をチョイスしており、その数は1000種類以上に及ぶ。

「わくわく広場」の生みの親である髙品氏は、自動車のセールスマンを経て、1970年に髙芳商事を設立し、事務機器の販売や、ガソリンスタンド、カーショップの経営などを行っていた。1979年には社名をタカヨシに変更し、ホームセンターの出店を開始するなど、順調に事業を拡大していったが、大手企業が参入してくると業績がしだいに悪化した。その打開策として2000年に始めたのが、ホームセンター内に設けた農産物直売コーナー「農家の八百屋さん」だった。

このアイデアは大当たりとなり、評判を呼んだ。そこで2001年から、農産物の直売事業に本格的に参入した。当初は路面店での展開が中心だったが、2009年にショッピングモール内に出店したことをきっかけに、急成長を遂げた。

「時代の変化に対応し、まず行動すること」がモットーであるという髙品氏のチャレンジは、さらに続く。すでに都市部への出店やフランチャイズ展開にも着手しており、「今後も時流を的確にとらえた方法で、1000店舗を展開する100年企業をめざす」と語る。

本書は、農産物直売市場に新風を巻き起こしたタカヨシの今日までの歩みをたどるとともに、創業社長・髙品政明氏の経営理念と人生哲学に迫るものである。「食」は、生きとし生けるすべての人にとって欠くことのできないものであり、最も身近で興味深いテーマでもある。それだけに本書は、日本の食を担う農業や食品事業に従事する人のみならず、すべての読者にとって貴重な指針の書となるであろう。

なお、本文中の敬称は略させていただいたことを、あらかじめお断りしておく。


2018年8月  鶴蒔靖夫




はじめに


第1章 流通改革から始まる日本の農業再生

日本の農家を悩ます高齢化と後継者不足
TPP始動で心配される日本の農業への影響
変わりゆく農業① ICT化で広がる新たな可能性
変わりゆく農業② 大手企業の農業参入
健康志向が求める「安心・安全」な食材
地産地消で注目される産直野菜と地元直売所
農業の活性化は流通の変革から


第2章 つくる人とたべる人をつなぐ「わくわく広場」

農産物直売所「わくわく広場」とは
「生活圏に位置する直売所」が強み
生産者の顔が見えることで生まれる「品質への安心感」
産直野菜と「和シュラン」によるオンリーワンの業態を確立
地元農家・生産者の手づくりジャムや惣菜類も好評
欠品は「地元の旬の野菜」の証


第3章 生産者・消費者・販売所の「三方よし」のビジネスモデル

納品から陳列、価格設定まで、すべてを生産者に一任
ノルマのない登録制システム
生産者システムで売上情報をリアルタイムで提供
「ローテク」を駆使した物流センター
パンに豆腐、弁当も。地域の商店に新たな収益場所を提供
いかに在庫のリスクを回避するか
「わくわく広場」のリピーターになる人とは
「売れる店づくり」で生産者やメーカーを支える


第4章 「わくわく広場」のパートナーたち

生産者やメーカーの喜びの声
長男の就農を機に「わくわく広場」一本で行くと決め、売上急増
全国各地の「わくわく広場」で自慢の野菜を販売
丹精込めたオーガニック野菜をきちんと評価してくれました
地元で人気のアップルパイが全国へ
こちらのペースで出荷できる自由度の高さがうれしい
こだわりの味噌から手軽な即席味噌汁まで揃っています
取り扱い商品数も増え、売上も急増
スーパーマーケットでは売れなかったこだわりのオリジナル羊羹が大ヒット
こちらの状況に合わせて柔軟性のある取引をしてくれる安心感
「わくわく広場」での販売を通じて深蒸し掛川茶の認知度を高めたい
「わくわく広場」での販売で毎月の売上が10%アップ


第5章 創業社長・髙品政明の半生と経営理念

自動車セールスマンから一転、髙芳商事設立へ
ホームセンターと書店を150店舗展開
本格的に「わくわく広場」をスタート
他社の追随を許さない新たなビジネスモデル
直売所ビジネス参入直後の苦労の数々
路面店展開からショッピングモールへの出店へ
人材教育で商品を見る目と管理能力を養う
的確で素早い経営判断と人を巻き込む力


第6章 「わくわく広場」がつくる、安心と笑顔が広がる世界

めざすは1000店舗、100年企業
フランチャイズ展開の本格化も視野に
オーガニック野菜日本一をめざして
新たな食の提案「わくわくキッチン」
「わくわくキッチン」がもたらすさまざまなメリット
野菜の提供で社会福祉にも貢献
タカヨシの未来を担う次世代のリーダー
日本の農業の未来を支えるための、タカヨシの飽くなき挑戦


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