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2020年2月

2020/02/21

『オーレックの挑戦』 前書きと目次

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オーレックの挑戦
~“モノづくり精神”で切り開く農業機械革命~


著者:鶴蒔靖夫
定価:本体1800円+税
ISBN978-4-87218-364-1
初版発行:2012年4月17日 初版発行




はじめに

日本の農業はいま、崖っぷちの状況にある。

農業従事者の高齢化や後継者難による休耕地の拡大。さらに、東日本大震災で被災した農地の復興計画はいまだ具体化せず、福島第一原発事故にともなう風評被害も深刻な問題だ。また、平成十九(二〇一一)年度の日本の食料自給率は、カロリーベースで四〇%にまで減少。これは、昭和三十五年度の七九%からほぼ半減した計算になる。ちなみに、世界では「三五%を下回ると国家として壊滅的な状態」という認識が一般的であり、これは有事のときに国家の安全が保てない恐れさえある。

こうした危機意識はここにきてようやく、政界、産業界、学界を中心に浸透し、食料自給率の向上策が議論されるようになった。加えて、農業は緑地造成の保存という環境保全の一面を有していることから、政府も農業・農地の持続的な発展と循環型社会の形成に向けて、農業政策の抜本的な改正に取り組む姿勢を見せ、その一環として市民農園などの普及を支援する方針も打ち出してはいる。

しかし、その一方で、環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)への参加に向けての事前協議が進められている。TPPでは加盟国間での輸出入は原則自由化が建前だから、今後、農産物への関税の撤廃、安全基準の緩和などが求められるのは必至で、海外から安い農産物が大量に輸入されるようになれば、国内の農業はこれまで以上に厳しい状況にさらされることになるのは間違いない。

こうした厳しい局面を迎えた日本の農業を農業機械メーカーの立場から支援しているのが、本書で紹介する株式会社オーレック(本社:福岡県八女郡広川町、代表取締役社長:今村健二氏)である。

同社は農業機械メーカーのなかでは「草刈機のトップシェアのメーカー」として知られているが、その製品構成は草刈機だけにとどまらず、管理機、耕運機、除雪機・運搬車にまでおよぶ。

創業は昭和二十三年、「戦後の食糧難を解決するためには、農作業の軽減をはかるべき」との思いから、創業者の今村隆起氏(故人)が徒手空拳、自宅脇の車庫を改造して、同社の前身である「大橋農機製作所」を立ち上げ、農業機械をつくったのがはじまりである。創業時の事業発展の契機になったのは動力モーターを利用した「水揚げポンプ」である。これが田植え前に行われる、用水路から田んぼへの水揚げ作業を画期的に改善した。さらに「養分をたくさん含んだクリーク(用水路)の泥土を、稲刈りを終えた田んぼに引き上げたいのだが」という農家の要望に応じて開発した「泥土揚げ機」が好評を博し、同社の農業機械メーカーとしての基盤を固めることになったのだ。

その後、隆起氏は手持ち式の草刈機しかなかった時代に、「もっと楽に草刈りができる機械はないか」という農家の要望に応え、業界初となるタイヤ装備の自走式草刈機を開発した。文字どおり自走式草刈機の草分けである。

「創業者の今村隆起は『世の中に役立つものを誰よりも先につくる』を信条とし、自走式草刈機を他社にさきがけて開発したのです」

こう語るのは隆起氏の長男であり、現在、オーレックの代表取締役社長を務める今村健二氏である。

さらに健二氏が入社したのを契機に、経営基盤のさらなる強化が進められた。

まず、健二氏の進言により昭和五十五年に埼玉県に営業所を開設した。当初、九州の小さな農業機械メーカーの製品に誰も見向きもしなかったが、粘り強い営業活動の末、商圏を関東に広げた。そして社名を「株式会社オーレック」に改めるとともに、工場の拡張、アメリカ・シアトルでの販売会社設立など経営の強化拡大策が推進され、「小型農業機械メーカーの雄」という地歩を確立していったのである。

本書は、オリジナリティと信頼性の訴求で草刈機市場でトップシェアを誇るオーレックの創業者・今村隆起氏の、日本の農業界に残した業績を振り返りつつ、その意志を受け継ぎ、オーレックの事業を世界規模へと拡充した今村健二氏の独自の経営戦略を紹介するとともに、その根幹にある経営理念や人生哲学を解き明かすものである。

現在、農業機械業界に身を置く人のみならず、日本の農業と食料、さらには環境問題などに関心を寄せる多くの一般読者にとっても貴重な指針となるであろう。

なお、本文中の敬称は略させていただいたことを、あらかじめお断りしておく。


平成二十四年二月  鶴蒔靖夫




はじめに


第1章 日本の「食」と「農」は危機状態!

日本は「農業国」か「工業国」か
食料自給率は先進国中最低の日本
輸入の七割を五つの国・地域に依存する
戦後の工業重視政策で農業は脆弱化
農家に迫る深刻な問題――高齢化・後継者難の波
農業と食料供給体制を見直す潮時
国は農業経営近代化と合理化支援
農業機械市場に見られる新しい波
足元にやるべきことがまだある


第2章 「草刈機」トップメーカーへの道のり

実体は大手メーカーのOEM製造者
用途別に種類がある草刈機
「農具」「農機具」「農業機械」の定義
関東進出で飛躍への契機をつかむ
地を這うように探る現場の情報
徒手空拳、新天地に拠点を構える
止血剤を飲みながら悪戦苦闘する日々
クレームを糧にする
無理に売らなくとも売れる製品
顧客こそがトップセールスマン


第3章 「超顧客志向」で独創的な製品を開発

品格のある農業機械製品とは
連綿と受け継がれる創業の精神
経営の核心を表現する「OREC」
「業界初」をつくることが存在証明
主要な部品の内製化で自立する
開発担当者一人が一製品を担当
バーチャル設計とリアル設計の決定的違い
ハイテク活用と人的な情報交換
マーケットインとプロダトアウト
売上高ではなく貢献高


第4章 小型農業機械分野のさきがけとして
 ――創業者・今村隆起の挑戦人生――

不撓不屈、決してぶれない思考
進取・先攻の気性に富んだ創始者
農作業の軽減化・省力化に注力
極意と日本一のモノづくり志向
先行投資で日本一、先を行く企業
DNAとして伝えられた困難に臨む勇気と決断力
節約しろ、使うときはドンと使え
食品売り場で食文化を諭された話
田舎娘は全国に通用しない
よい家庭環境こそが会社の基盤


第5章 継続のなかに革新を織り込む経営哲学
 ――一を一〇〇にする今村健二の思考法――

研究開発基地のテクノセンター
経営者に不可欠な人材の育成法
じっと十年、我慢の成果
一の力を百人力に変える
人財育成も兼ねたオーレック祭
人との融和で活性化する組織
一人ひとりが考える判断の基準
農業は健康産業であった
健康食品「黒の薩摩青汁」開発経緯
西日本と東日本、そして世界へ


第6章 受け継ぐモノづくり精神で世界へ

世界に飛翔するオーレック魂
難問山積の時代、突破口を探す
海外進出にともなう産業空洞化論に疑問
世界企業になるための四つの道筋
小型農業機械領域を進化・深化させる
伝統とノウハウを生かす新事業
健康食品で探る新機軸の方向性
実現に向け同時進行中の六事業
アジア、オーストラリア、南米の環太平洋州
世界人として世界企業への邁進


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2020/02/06

『信頼への挑戦』 前書きと目次

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信頼への挑戦
~千代田セレモニーグループのあくなき情熱~


著者:鶴蒔靖夫
定価:本体1800円+税
ISBN978-4-87218-365-8
初版発行:2012年4月29日 初版発行




はじめに

「男性七十九・六四歳、女性八十六・三九歳」

これは日本人の平均寿命(平成二十二〈二〇一〇〉年)で、女性は二十六年連続で世界第一位、男性は香港、フランス、スイスに次ぐ第四位である。第二次世界大戦前には、男女とも五十歳を下回っていたことを考えれば、なんと長命になったことか。

たしかに長寿にはなった。しかし、だからといって無限に生きられるわけではない。人間は、寿命が尽きれば死ぬ運命にある。たとえ若くしても、病気、事故、そして犯罪などに巻き込まれて生命を落とす人は少なくない。死は、いつも生の隣にあるのだ。

それを如実に見せつけられたのが、平成二十三年三月十一日に発生した東日本大震災である。地震と津波は、さっきまで生きていた多くの人たちの生命を一瞬にして奪い去った。それは、生の限界と死の必然、すなわち生あるものは必ず死ぬという冷徹な事実を改めて知らしめることになった。

実際、東日本大震災を契機に日本人の死生観、さらには死者を見送る葬式に対する考え方も変化してきた。震災をきっかけに、葬式は単なるセレモニーではなく、故人と残された人たちとの絆を見つめ直す場であり、祈りと鎮魂の場であることを改めて気づかされた人も少なくないはずだ。

本書で取り上げる千代田セレモニーグループ代表・大石和雄氏は、「大災害の発生を契機に日本人がむかしから大事にしている人と人の絆を見直す気運が高まっています」と指摘する。

その根拠として、被災地ではいまも行方の知れない身内を探索し、倒壊した家から先祖の位牌を捜す人たちが大勢いることをあげる。

人と人との絆は、生者と生者だけのものではない。共に生き、人生に歴史を刻みながら故人となった死者とも絆が結ばれているということだ。

平成二十三年八月十八日のNHKの「ニュースウォッチ9」で、大石氏の言葉を裏づけるような映像が放送された。

被災地の一つである宮城県では、身元不明の多くの遺体が、正規の弔いを受けないままに仮埋葬された。その事実に心を動かされた女性写真家・広瀬美紀氏が、震災から間もない四月に現地を訪れて、仮埋葬の様子を撮影しようとしたのだ。

彼女は、昭和二十年三月の東京大空襲で身元不明のままに埋葬された人たちの墓などを撮影し、『わたしはここにいる』という写真集を発刊し、写真展を開いている人物である。だから、東日本大震災で仮埋葬された人々の墓を写真に記録し、その人たちの生きていた証を世間に知らせたかったのだろう。

大石氏は「葬式は人と人の永遠の別れに際して心の区切りをつけ、故人の冥福を祈ると同時に、残された人たちの悲しみを癒す大切な行事です」と葬儀の意義と必要性を説く。すなわち、葬式は、死者と生者の関係に根ざす厳粛な儀式であり、やむにやまれぬ気持ちが葬式をあげる動機になっているということだ。だから、「葬式で大切なのは故人に対する深い愛情なのです」という。

だが大石氏は、従来の葬儀における葬儀業者と宗教者の考え方や振る舞いに問題があったことも認識している。だから、葬儀のあり方が議論されることは必然であり、生者と死者の永遠の別れを演出する葬式にも、時代の要請が反映されるのは当然ととらえている。

「現代日本人の葬式に対する要求は十人十色。多様化、個性化、簡素化が進むのは、時代のしからしむるところです。ですから、葬儀の主催者も葬儀業者も従来の形式、規模、施行方法にこだわる必要はありません。葬家が納得し、満足する葬式をあげるように最大限の努力をすればいいのです」と明言する。

千代田セレモニーは、この大石氏の考え方にもとづき、「葬家が納得し、満足する葬式の施行」を経営理念に掲げている。

同社は、創業時から一貫して、「故人のため、そして故人の身内のための個性豊かな葬儀を実現し、遺族や会葬者に感動をもたらす」ことを追求してきた。それが同社の企業テーマ「心のサービス」である。

また、大石氏が自身の経営施策においてもっとも重視している点は、「安心・安全の互助会システム」の堅持である。それは、近年、世間で話題を呼んだ『葬式は、要らない』(島田裕巳著/幻冬舎刊)という書物で指摘されている葬儀業者や宗教者に対する不信を払拭するものにほかならない。

同社が運営する「互助会」の正式名称は「冠婚葬祭互助会」である。会員が毎月一定額を積み立て、それを葬儀や結婚式の必要が生じたときに利用するという仕組みである。それは、江戸時代から戦後まで続いた「頼母子講」を起源とする「相互の助け合いの精神」を基盤にするもので、特徴は「少ない掛け金で大きな安心が得られる」ことである。

だから、互助会を運営する会社に経営の破綻は許されない。実際、大石氏は「互助会運営企業の破綻は、会員に対する重大な裏切り行為である」と明言している。

その互助会システムで「安心・安全」を確立するために同社は、① 経営基盤の確立、② 人的・物的サービスの向上、③ よいものをより安価に提供する努力、の三項目を経営指針として掲げている。

三項目の経営指針を掲げた裏には大石氏の経験がある。大石氏が入社したばかりのころの、同社を含めた互助会企業や葬儀業者の仕事は、旧態依然としたものだった。

葬家のなかには、式の施行後に感謝の言葉を述べる人もいたが、少なからぬ人たちが不満の念を抱き、実際に苦情の言葉を口にする人たちもいたのである。葬儀現場で、そうした事態を目のあたりにした大石氏は、「いつかきっと心のサービスを実現する」と心に誓ったのである。

大石氏がめざしたのは、「自分が真っ先に入会したい互助会システム」の構築であった。それを実現するために先にあげた三項目の経営指針を策定するとともに、厚生労働省が認定する葬祭ディレクターをそろえ、葬祭ホールや施設を整備、充実させ、二十四時間三六五日、いつでも電話で受け付ける体制を整えた。

同社は、葬祭ビジネスの強化、拡大に力を注ぐだけではなく、地域密着という社会的な使命を果たすことにも尽力している。

「葬祭業は地元産業」というのが大石氏の持論である。互助会会員は、同社の営業所や葬祭ホールがある地域で暮らす人たちである。いずれも同じ地域、町会に所属する「隣組」なのだ。この近隣に住む者同士の関係を重視し、長い間日本人が失っていた「人と人との絆」の再生をはかり、家族の絆と地域連帯意識の再生を達成するのが千代田セレモニーグループの究極の目的である。

本書は、冠婚葬祭互助会システムの普及により、新しい時代が求める葬祭儀式を施行しながら、人と人との絆の再生に取り組む千代田セレモニーグループの事業活動を紹介するとともに、同グループ代表・大石和雄氏の経営理念、葬祭思想を解説するものである。はからずも、東日本大震災は、年齢や病気の有無にかかわらず、死は誰にとっても身近なものであることを知らしめることとなった。それだけに、これは現在、冠婚葬祭業界に身を置く人だけではなく、自分自身、あるいは家族の葬祭儀式のあり方に思いをめぐらす多くの一般読者にとっても貴重な示唆を与えるものとなるはずだ。

なお、本文中の敬称は略させていただいたことを、あらかじめお断りしておく。


平成二十四年二月  鶴蒔靖夫




はじめに


第1章 いま、お葬式が変だ!

人生の節目で実施される冠婚葬祭
葬式論議に火をつけた書籍『葬式は、要らない』
葬式の通俗化に対する批判が主旨
葬式の知識と経験がない消費者たち
人と人との絆を中心にして葬式を考える
変貌する葬式のかたちと内容
「感動の葬式」の実現


第2章 千代田セレモニーグループ・大石和雄の情熱の軌跡

葬儀とは……
感動こそ「心の葬儀」の根幹
「いつかはきっと心の葬儀を」と心に誓う
なかなか成果を出しきれない日々
釣り仲間に誘われて冠婚葬祭会社に入社
会員なくして、なんの互助会ぞ
会員不評の改善を
顧客本位の考え方で葬祭部の業務を改革
脱脂綿を敷き詰める新しいかたちの納棺を実施
コンピュータ化で業務の効率化を
隔月集金の体制を取り、集金の効率化をはかる
労働組合対策の責任を担う
さらなる業務改革をめざして
築地本願寺での社葬の挙行
新たなる船出に向かって


第3章 千代田セレモニーの挑戦

「城北冠婚葬祭互助会」として発足
地域密着の活動で加入者を増やす
首都圏最大規模の冠婚葬祭グループ・千代田セレモニー
「心のサービス」で他社との差別化をはかる
「安心・安全」の互助会システム
時代を読みよりよいものを
旗艦店としてグループを牽引するセレス高田馬場
会員救済と業界の信用保持を目的に互助会再建に乗り出す
ゆかりの地・山梨での再建


第4章 互助会のあり方を問う

伝統的な美風「助け合いの精神」である互助会
「互助会加入者役務保証機構」を設立
儀式の施行と設備の新調などに使用される掛け金
葬祭ディレクターが儀式の万端を取り仕切る
昭和二十三年に横須賀市ではじめて誕生した互助会
経営規模が多様な互助会企業と葬儀業者
異業種からの参入相次ぐ葬儀市場
「安全・安心」「迅速・便利」の千代田セレモニー
頼りになる「安心プラン」と「やすらぎコース」
いざというときにあわてないために
緊急時における連絡と対応の仕方
満足と感動を与える


第5章 時代とともに変化する葬式事情

六万年も前から続いている葬儀
世間をにぎわす「葬式不要論」
変わりはじめた日本の葬式事情
すでに変化している葬式の形式
一挙に通夜と告別式を実施する「ワンデーセレモニー」
自分らしく死ぬ準備をした歴史上の人物
死と向き合い乗り越える
変化しつづける葬儀


第6章 いま「心のサービス」の時代を迎えて

個性化、多様化する市場に柔軟に対応
互助会の真価が発揮できる時代が到来
千代田セレモニーがめざす新しいかたちの葬式
後継者の育成が最後の仕事
在宅介護事業という新たなる分野へ
「とにかくやってみろ」


座談会 冠婚葬祭業界の未来のカギを握る「心のサービス」の継承

生き残りのカギは「心のサービス」
ぶれることのない大石の組織のあり方論
信頼を貫き通す力
受け継がれる「心のサービス」


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