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2021年1月

2021/01/28

『白石幸生のアートビジネスの世界』 前書きと目次

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白石幸生の
アートビジネスの世界

~画廊経営から誕生した NEW ART HOLDINGS~


著者:鶴蒔靖夫
定価:本体1800円+税
ISBN978-4-87218-468-6
初版発行:2021年1月30日




はじめに

2020年に世界中を襲った新型コロナウイルス感染症(COVID-19)は、われわれの暮らしを一変させてしまった。

日本での感染拡大は、同年4月なかばからおよそ2か月間に及ぶ緊急事態宣言を経て、いったんはいくらか落ち着きを取り戻し始めたかに見えたが、7月から8月にかけて感染拡大の第2波が、11月には第3波が到来し、いまだ予断を許さない状況にある。

この新型コロナウイルス感染症の大規模な流行は、人々の生活のみならず、企業活動にもさまざまな影響を及ぼした。多くの企業では、リモートワークや時差通勤の導入および出張の禁止、アクリル板やビニールシートのオフィス内への設置およびマスク着用の義務化、消毒用アルコールの使用など、多岐にわたる新型コロナウイルス感染症対策を余儀なくされている。

感染防止のために自由な活動を制限されたことによる経済的損失は大きく、新型コロナウイルス感染症に関連する経営破綻は、2020年2月から12月16日までの累計で808件にのぼるという。業種別に見ると、「飲食店」が128件と最多で、次いで「ホテル・旅館」が70件、「建設・工事業」が58件、「アパレル・雑貨小売店」が51件、「食品卸」が42件、「アパレル卸」が28件となっている(株式会社帝国データバンク『「新型コロナウイルス関連倒産」動向調査〈12月16日(水)16時現在判明分〉』)。緊急事態宣言の解除後も、感染を恐れて外食や旅行に二の足を踏む人が多いことや、リモートワークが定着し服飾にお金をかける人が減少したことなどが原因だろう。

一方で、ステイホームの影響を受けて活気づいている業種もある。最も話題になったのは任天堂株式会社だろう。据え置きと携帯の両方の使い方ができるゲーム機「Nintendo Switch」や、ゲームソフトの「あつまれ どうぶつの森」が大ヒットし、2020年4月~6月(2021年3月期第1四半期)の売上高は前年同期比で2倍以上の3581億円、営業利益は5倍以上の1447億円というから驚きだ(任天堂「2021年3月期第1四半期 決算説明資料」)

そのほかにも、スーパーマーケットなど食料品を扱う小売店や、家庭向けの食品関連企業、衛生用品関連企業、あるいはリモートワークの導入により需要が高まった情報・通信関連企業といった業種は、着実に業績を伸ばしている。

ただ、同じ食品でも、ブランド牛や本マグロの大トロなどといった高級食材は、外食控えの影響で行き場を失い、値崩れを起こしているという。やはり、「不要不急」である贅沢品は、このような状況下では買い手が少ないということなのだろうと思うのだが、そんななかで実は、意外なものが売れている。「不要不急」なもののなかでも最も豪華で最も贅沢と言ってもよさそうな、ダイヤモンドである。

「2020年1月のなかばに日本でも新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)の感染者が確認され、それから徐々に感染が広がっていきました。その影響でブライダルジュエリーの売上が落ち込むのではないかと案じていましたが、2月に入ると、われわれが展開する『銀座ダイヤモンドシライシ』『エクセルコ ダイヤモンド』ともに、お客様のご来店数は増加の一途をたどりました。その結果、2月度の売上は、同月度の成果としては創業以来の最高額を達成することができました」

こう語るのは、株式会社NEW ART HOLDINGS(本社:東京都中央区)の代表取締役会長兼社長を務める白石幸生氏である。

新型コロナウイルスの感染拡大による影響で、いまの日本経済は深刻な不況のなかにいる。しかし、

「若いカップルの絆というものは、不況などで世の中が不安定なときほど、よりいっそう強くなるものなのでしょう」

と、白石氏は言う。その証が、「銀座ダイヤモンドシライシ」「エクセルコ ダイヤモンド」の好調な売上だというわけだ。

白石氏は、1994年に株式会社ダイヤモンドシライシを設立し、東京・銀座に日本初のブライダルジュエリー専門店「銀座ダイヤモンドシライシ」を開設した。会社設立から6年で株式を店頭登録し、ブライダルジュエリーをコア事業としながら、全身美容(エステ)、アート、スポーツなど、事業の多角化を進めてきた。その間に何度かの社名変更や新会社の設立およびグループ化などを経て、2017年に持株会社体制に移行。2018年に持株会社の社名を現在のNEW ART HOLDINGSに変更した。現在では、NEW ARTグループとして国内外に13社(2020年4月現在)の関連会社を有する企業グループへと成長を遂げている。

社名に「ART」とあることからもわかるように、NEW ARTグループの事業はすべて「美(アート)」をキーワードとし、アート的発想が基軸となっていることが特徴だ。というのも、会長兼社長の白石氏はギャラリスト(画廊をもつ美術商)でもあり、1967年に東京に「白石画廊」(現・「ホワイトストーン・ギャラリー」)を創業して以来、半世紀以上にわたって多くの画家を育ててきたからだ。白石氏の名は、いまや現代アート界を牽引する存在として世界に知られている。

「アートには、同じものはひとつとしてなく、革新性、独創性が求められます。人のまねは絶対にせず、オリジナリティをどこまで出せるか、そして常に新しいものを追求していく姿勢が、アートではなによりも重要です。これは経営においても同じことが言えます」

こう語る白石氏は、その言葉どおり、経営においてもアートの視点で臨み、独創的なビジネスモデルをデザインしてきた。

ジュエリー事業を立ち上げる際も、ブライダルジュエリーに特化し、かつ、ダイヤモンドに集中することで、他社との差別化を図った。ダイヤモンドシライシを設立した翌年には、ダイヤモンドの世界三大市場であるイスラエルに現地法人を設立するとともに、最高品質のダイヤモンドルース(裸石)を厳選して仕入れ、ルースとリングのデザイン枠の組み合わせによるセミオーダーシステムを他社に先駆けて確立した。顧客一人ひとりの要望に応えるという、こうした革新的かつ安定的なビジネスモデルにより、グループ内でブライダルジュエリー事業を担う株式会社ニューアート・シーマは、いまでは業界ナンバーワン企業へと躍進を遂げている。現在は、「銀座ダイヤモンドシライシ」と、ヨーロッパのダイヤモンドの名門であるEXELCOのフラッグシップショップである「エクセルコ ダイヤモンド」の、2つのショップブランドを展開し、全国に88店舗(2020年12月現在)を擁するほか、台湾、香港、上海など海外にも店舗網を広げている。

一方、全身美容事業では、エステティックサロンの先駆けとして1978年に誕生したブランド「ラ・パルレ」の事業を継承するグループ企業を2014年に設立。国内外に28店舗(2020年12月現在)を展開し、エステティシャンの育成強化と並行して、ウェブマーケティングなどIT技術の活用により利益の大幅改善を実現している。

また、アート事業では、絵画の卸売販売を行うほか、新旧作家を問わずに作品の発表や販売をサポートする新しいアートの実験の場として、本社ビル1階に「NEW ART LAB」を開設。戦後の日本を代表する現代美術「具体」の作品や、いまや世界的人気を誇る草間彌生氏の作品など、日本の現代アートを主に取り扱っている。さらに、日本アートの発信基地として2012年にオープンした「軽井沢ニューアートミュージアム」の活動をNEW ART HOLDINGSが支援するなど、一貫して日本の芸術文化の振興に力を注いできた。

白石氏が経営においてもアートの視点を重視するのは、「アートこそが人々を豊かにし、世界に平和と幸せをもたらしてくれる」と確信しているからだ。企業理念にも「みんなの夢の企業グループNEW ARTは、アートの持てるすべての力であなたを美と健康と幸せに導きます」とある。

「新型コロナウイルス感染症の大規模な流行で世界が混迷するいまこそが、アートがもつ底力を遺憾なく発揮できるタイミングでもあるのです」

と語る白石氏は、日本で新型コロナウイルスの感染拡大が本格化しつつあった2020年3月に、新しいものをつくり出す舞台であり、かつ、成長をドライブする組織として、株式会社NEW ARTブランド開発研究所を新たに設立している。

本書は、「美(アート)」をキーワードとした事業展開で着実に業績を伸ばしてきたNEW ARTグループの事業活動を紹介するとともに、グループを率いる白石幸生氏の経営理念と人生哲学に迫るものである。これは、同グループの顧客、株主、取引先などすべてのステークホルダー、さらには多くの企業経営者に、「アート」の力を広く知らしめるうえで貴重な指針の書となるだろう。

なお、本文中の敬称は略させていただいたことを、あらかじめお断りしておく。

2020年12月  鶴蒔靖夫




はじめに


第1章 コロナ禍と日本の結婚事情

新型コロナウイルス感染症が直撃したブライダル業界
新型コロナウイルスの感染拡大が変えた結婚への意識
不安な時代だからこそ絆が求められる
我慢の時代だからこそ、せめて指輪は豪華に
ふたりの絆をかたちにするため緊急事態宣言下でも休まず営業


第2章 ブライダルジュエリー業界のトップランナー

ダイヤモンドに特化したビジネスモデルを構築
自社買い付けで高品質なダイヤモンドを提供
セミオーダーシステムを他社に先駆けて確立
成約率70%以上を誇る独自のマンツーマン接客
オリジナルのデザインを追求
ダイヤモンドの名門・EXELCOの旗艦店
「顔」の見えるダイヤモンド ~Diamond Journey~
国内外に広がる2つのブランドの店舗網


第3章 アートを基軸とした事業展開で躍進するNEW ARTグループ

ギャラリストとして画家を育てて半世紀
「アート」を共通キーワードに事業を多角化
「アート的発想」が生む斬新なビジネスモデル
エステティックサロンの先駆け「ラ・パルレ」
新しいアートの実験場「NEW ART LAB」を開設
アートのもつ自由な精神と革新的独創力を経営に活かす
人々を豊かにし、世界を平和にするアートの力


第4章 夢中になれる人を応援する環境づくり

なにかに夢中になっている人は輝いている
「人」が会社の業績を大きく引き上げる
充実した研修で新卒社員を接客のプロに育てる
管理職全体の7割が女性
ナンバーワンブランドを支えるプロフェッショナルたち
やりがいを育てる「ラ・パルレ」のキャリアプラン
女性が誇りと安心をもって働きながら輝ける環境づくり
専門知識やスキル以上に大切なのは「人間力」


第5章 ナンバーワン経営をめざす白石幸生の発想の原点

23歳の若さで画廊を開廊
「具体」に魅せられて現代アートの世界へ
バブル経済の崩壊で縮小を余儀なくされた画廊経営
会社設立から6年で株式を店頭登録
人との出会いによって人生が変わることがある
ギャラリストであり実業家でもある白石幸生の人物像とは


第6章 「アート王国・日本」をめざし、さらなる飛躍へ

日本でもアートファンドの立ち上げをめざす
NEW ARTブランド開発研究所を設立
コロナ禍で落胆するトップアスリートの力になるために
ブランド力のさらなる向上のために海外展開を加速
めざすはナンバーワンブランド創造企業
アートの力で世界平和に貢献する「アート王国・日本」


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2021/01/25

『学校法人電子学園の新たなる挑戦』 前書きと目次

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学校法人電子学園の新たなる挑戦
~実践的な職業教育体系で専門職人材を育成~


著者:鶴蒔靖夫
定価:本体1800円+税
ISBN978-4-87218-466-2
初版発行:2021年1月30日




はじめに

日本の国際競争力の低下に歯止めがかからない。

スイスのIMD(International Institute for Management Development)が毎年発表している「世界競争力ランキング(World Competitiveness Ranking)」の2020年版によると、日本の順位は主要63か国中34位と前年より4ランク落とし、史上最低となった。このランキングで日本は、バブル経済が弾ける前にはトップにいたことを思うと、今の凋落ぶりは衝撃的ですらある。この間、何があったのだろうか。

評価項目の内訳を見てみると、政府や企業の効率性の低さが低評価の主たる理由のようだ。国際競争力の低下にそれらが影響していることは確かだろう。また、バブル経済崩壊後の長期の経済低迷や、少子化、高齢化といった社会環境の変化を指摘する声もある。こうしたいくつかの要因が重なった結果の競争力低下であることは間違いない。

しかし、もうひとつ、日本の国際競争力を下げている大きな理由がある。競争力のバロメーターとなる「イノベーション力」の低さである。複数の調査が指摘するように、日本ではイノベーションを起こす人材が育っていないのだ。

世界的な情報化の流れや産業のグローバル化に加え、少子高齢化による生産年齢人口の減少も重なり、日本は産業や社会の構造変革を迫られている。それも、従来の延長で何かを改善すれば済むレベルの話ではなく、何も無いところから世の中を劇的に変えていく「ゼロ・トゥ・ワン」の大変革が必要となっている。ハーバード・ビジネススクール教授のクレイトン・クリステンセン氏が提唱する「破壊的イノベーション」を果たさなければ、日本は間違いなく世界から取り残されるだろう。

だが、肝心のイノベーションを起こす人材が、日本では育っていない。

こうした時代を背景に登場したのが、学校法人 電子学園が2020年に開学した、情報経営イノベーション専門職大学(愛称・iU)である。

1951年に日本ラジオ技術学校(現・日本電子専門学校)を開学した電子学園は、以来、70年にわたって、専門技術を身につけた実践的な職業人材を数多く送り出してきた歴史を持つ。その伝統を踏まえて電子学園が新たに開学したiUは、ICTを中心とする先端テクノロジーを活用することによって旧来型の事業やビジネスを変革し、新しい価値を生み出すことでイノベーションを起こす、高度専門職人材を育成することを目的としている。そのために、学生が在学中に起業に挑戦することも積極的にサポートすると明言している。

つまり、iUは、日本が必要とするイノベーションを創出するための環境を整備し人材を育成するという役割を担っているのだ。

「専門職大学」という新しいカテゴリーの高等教育機関が誕生したのは2019年のことだ。大学制度に新たな教育機関が追加されたのは、短期大学制度が導入(恒久化)された1964年以来のことである。

現在ある11の専門職大学・専門職短期大学(2020年現在)は、保健医療、リハビリテーション、ファッションなどの各専門学校が専門職大学・専門職短期大学に移行したケースが目立つ。そうしたなかで電子学園では、クリエイターやエンジニアなどのスペシャリストを育成する日本電子専門学校とは別に、ICTをはじめとした幅広い知識を有し各産業分野でイノベーションを起こす人材を育成するiUを、新たに設置した。これは、職業教育の改革をめざす電子学園にとっても大きな挑戦だった。

職業教育に特化した大学の開設については、さまざまな意見がある。なかには「職業教育のための大学はいらない」「従来の大学でも職業教育は行っている」などと、専門職大学不要論を唱える声も少なくない。しかし、そうした声に対し、電子学園 理事長の多忠貴氏は、自信を持って次のように答える。

「急速な技術革新や、これにともなう産業構造の変化、グローバル化などによって、社会が求める人材が変わってきました。長年、職業教育に関わってきた私たちだからこそ、その経験をもとに、『この先、こういう高度な専門職人材が絶対に必要になる』という視点に立って人材育成に取り組むことは、私たちの使命であると考えています」

情報化への対応が遅れているとされる今の日本で、これからの社会が求める人材の育成を使命としてiUが設立された意味は、非常に大きいと言える。とはいえ、まだスタートしたばかりであり、教育の質の保証など課題も残るが、iUが今後、いかに独自性を発揮し、その使命を果たしていくのか、その動きに興味が尽きない。

もちろん、既存の大学も、時代を見据えた職業教育を意識し、改革に取り組んではいるが、残念ながらそのスピードは、けっして「速い」とは言えない。そうした点からも、iUが今後の日本の命運を左右するとも言えそうだ。日本のより良い未来のためにも、「ICTを活用してグローバル社会でビジネスにイノベーションを起こす高度な専門職人材を育成する」という同学の目的を実現してくれることを期待している。

本書は、創立以来、70年にわたって時代を先取りした職業教育を展開し、産業界のニーズにいち早く対応して数多くの職業人材を育成してきた電子学園にとっての、いちばん新しい挑戦であるiUに懸ける意欲と具体的な取り組みについて紹介するとともに、日本の職業教育を牽引してきた日本電子専門学校の今日までの歩みを振り返りつつ、理事長である多氏の職業教育理念に迫るものである。

本書を手にされた方が、電子学園への理解を深め、日本電子専門学校による実践的な職業人材の育成と、iUによる高度な専門職人材の育成の、両方が並び立つことの重要性を、より強く感じていただけたら幸いだ。

なお、本文中の敬称は略させていただいたことを、あらかじめお断りしておく。

2020年12月  鶴蒔靖夫




はじめに


第1章 次世代の職業人材を育成する専門職大学が始動

新しい職業教育の歴史を拓くという使命感
理論と実践力を兼ね備える教育が必要
高等教育機関が抱える職業教育の構造的な課題
これからは「知識基盤社会」を支える人材の確保が問われる
「職業教育の向上」を求めるさまざまな動き
なぜ「ICT」「ビジネス」「グローバルコミュニケーション」が重要なのか
イノベーションに不可欠となったICTの活用
数ある山を乗り越えて東京都墨田区に土地を確保
3つのポリシーと4つの科目群
学生に専門職大学での「学び」を体験してもらう
高い倍率だった入学試験
歴史が変わる瞬間に立ち会う覚悟


第2章 産業の未来を切り拓くイノベーション人材を育成

教育の真の目的は「平均的人間」を育成することではない
職業教育をどう定義するか
学生に「実践学」の場を提供する
「変化を楽しめ、恐れるな」という哲学
日本ならではの発想で人を幸せにする
現代の職業人に求められるのは「“想像”を“創造”できる力」
大学は「議論する場」
長期のインターンシップでビジネスの経験値を高める
「知識」を「知恵」に切り替える


第3章 起業にチャレンジする「イノベーションプロジェクト」

失敗を奨励する大学でありたい
学生のうちの失敗は「将来への糧」
イノベーションに必要な「デザイン思考」と「共感」
企画を社会的な成果につなげる
初回のプレゼンテーションで投資家の興味をそそるアイデアも
学生の起業を支援するベンチャーキャピタルを設立
めざすは「就職率0%」!? 「就職率300%」!?
ベンチャー企業だからこそ、やれることがある
「想像」を「創造」に転換する楽しさ


第4章 「挑戦する教育」で時代を先取りする電子学園

挑戦への決意を込めたシンボルマークを制定
産業界や企業と一緒に「次の技術」をつくってきた
「建学の精神」に投影された創設者の意思
技術教育の根幹は「学理と実習の併用」「人格の陶冶」にあり
いち早く視聴覚教育を導入
専門技術に加えて「人間力」も高める
コンピュータ教育の先駆けとなる「電子専門部」を開設
AIに関する教育でも先駆けとなる
世界で活躍できるゲーム制作のプロフェッショナルを育成
人と仕事を学びで結ぶ「MUSTな存在」になる
新大学の理念にふさわしい学長を迎え「21世紀の明治維新」を起こす


第5章 電子学園が描く職業教育の未来図

「職業教育の複線化」を実現
職業教育を体系化し、専門職人材の新たな育成モデルをつくる
職業教育における「高大接続改革」を自ら主導する
ハイブリッド型授業を時限措置と考えるのは間違い
いかにオンライン授業の質を守るか
「職業教育の質の向上」は永遠のテーマ
外部から「新しい風」を積極的にとりこむ
専門職大学は「地方創生」の使命を担う
職業教育改革へのあくなき挑戦


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2021/01/12

『再エネ投資で未来をつくる』 前書きと目次

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再エネ投資で未来をつくる
~自立・分散型社会の構築をめざすセンチュリー・エナジーの挑戦~


著者:鶴蒔靖夫
定価:本体1800円+税
ISBN978-4-87218-467-9
初版発行:2021年1月18日 初版発行




はじめに

2020年、新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)の大規模な感染拡大が、世界中を震撼させた。そこから生まれた「3密」「ソーシャルディスタンス」「テレワーク」などの言葉が日常的なものとなり、それにともない、私たちの暮らしのありようも変わってきている。

ここで大事なことは、「この災厄は、われわれになにをもたらすのか」を、いちど立ち止まって考えることだろう。「見直すことの大切さ」を世界中の多くの識者が指摘し、この「ピンチ」を「チャンス」に転換させるための方法を探っている。

新たな座標軸を早くに打ち出したのは、地球環境の危機に敏感な人たちだった。SDGs(持続可能な開発目標)の実現をめざす彼らは、人類がこれまで物質の豊かさを追い求め続けてきた結果、地球という土台が危うくなっていると警鐘を鳴らす。

人間の活動がいかに地球を傷めているかを表す「アース・オーバーシュート・デー」という指標がある。世界の人々のその年の自然資源の消費量が、1年間に地球環境が生産できる量を超える(オーバーシュートする)日を示したもので、国際シンクタンクのグローバル・フットプリント・ネットワーク(GFN)が毎年発表している。それによると、1960年代までは人間が消費する自然資源の量と地球の復元力は釣りあっていた。しかし、2020年の「アース・オーバーシュート・デー」は8月22日だったという。つまり、たった9か月弱で人類は、1年分の自然資源を使い果たしたということだ。

私たちはいま、経済的な復興だけでなく、環境、生物多様性、食糧、水といった点において持続的な社会を形成するための、具体的な行動を起こすことを求められている。社会インフラのベースであるエネルギー問題は、その動きの中核にある。これまでの化石燃料を中心とした社会から、再生可能エネルギーを中心に活用する社会へのアップデートをめざしていこうとの声が、世界中のあちこちから発せられているのだ。

今回のコロナ禍を奇貨として、環境、社会、金融、地域づくりなどのすべてを包括した新たな時代をつくっていこうとの取り組みが、エネルギーを中軸に実践されつつある。新たな時代を築く再生可能エネルギー事業にも、多くの企業が正面から取り組んでいる。

そのなかのひとつが、本書で紹介するセンチュリー・エナジー株式会社だ。

日本で再生可能エネルギーの普及が本格的に始まったのは、2011年に発生した東日本大震災に付随する東京電力福島第一原子力発電所の事故がきっかけだった。日本国民がエネルギー問題を身近に、かつ切実に考えるようになったのは、このときからと言ってもよいかもしれない。

センチュリー・エナジーは、もともとは不動産業を営んでいた。しかし、2012年にFIT(再生可能エネルギーの固定価格買取制度)がスタートしたことを機に、創業者で現・代表取締役の山中正氏は、まったく未知の分野である再生可能エネルギー事業への参入を決意。原子力発電所の事故の影響で苦しんでいた故郷・茨城県への支援と、いまこそ安全・安心なエネルギー源が必要だとの使命感から、行動を起こした。2013年に自らが所有する土地を提供して小規模な太陽光発電所を建設したことを皮切りに、北は北海道から南は九州・鹿児島県まで破竹の勢いで約170か所の太陽光発電所を設置。売上も100億円が視野に入るほどとなり、業界のリーディングカンパニーとしての地歩を固めていった。

センチュリー・エナジーの活動は、太陽光発電事業だけにとどまらない。山中氏がこれから取り組もうとしているのは、木質バイオマス発電、ソーラーシェアリング、風力発電といった再生可能エネルギー事業の総合体で、すでに複数のプロジェクトが進行中である。

再生可能エネルギーの特質は、エネルギーの分散化と地産地消化に適合することだ。特に木質バイオマスやソーラーシェアリングは、地域の雇用と所得の向上に寄与するものとして期待されている。

地域活性化や地方創生への貢献は、再生可能エネルギー事業を立ち上げた山中氏の最大の目的のひとつだった。さらに言うなら、「社会貢献」こそが、長い経営者人生を歩んできた山中氏にとっての事業のモチベーションである。

「そもそも事業は、世の中のためにやらなければ、儲かるはずがない」

という持論を、山中氏は取材中に何度も発した。

再生可能エネルギー事業は、脱炭素社会をめざし、気候変動リスクを軽減させるという点で、SDGsの実現に貢献するものだ。センチュリー・エナジーは、地域社会、従業員、顧客への配慮を真摯に続けることで、企業としての責任を果たし続けようとしている。そこには、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の大規模な流行によってダメージを受けた社会と経済を復興するための事業が、将来の持続可能性を潰すようなものであってはならないという、山中氏の意図が込められている。

新型コロナウイルスの感染拡大は、いまだに収束の気配も見えてこないが、そのなかでも「ピンチをチャンスに」という気運が、徐々にではあるが高まりを見せ始めている。「利潤の追求から生存の追求へ」「分断から共存へ」という本質的な問いかけが続くなかで、社会貢献と地域活性化を掲げて邁進するセンチュリー・エナジーの姿勢には、企業の使命および責任という点で多くの示唆が含まれていると感じる。

本書では、脱炭素社会の実現に向け、太陽光発電を中心とした総合再生可能エネルギー事業に取り組むセンチュリー・エナジーの事業活動を紹介しつつ、新型コロナウイルス感染症の猛威を経験した社会の変容と将来への展望についての検証も行っていく。地球環境の未来を見据えたい人はもとより、再生可能エネルギー発電事業への投資を考える人々にとっても、貴重な指南の書となるだろう。

なお、本文中の敬称は略させていただいたことを、あらかじめお断りしておく。


2020年11月  鶴蒔靖夫




はじめに


第1章 パンデミックからの回復とエネルギー政策

パンデミックによる「ピンチ」を「チャンス」に
環境改善と経済復興の連係を掲げる「グリーンリカバリー」
コロナ禍からの回復力が最もある電源が再生可能エネルギー
日本の太陽光発電の先駆者として
化石燃料時代の終焉は近い
価値観の変革を提唱するSDGs
儲けだけを考える時代は終わった
民間企業の脱炭素社会への動きが国内外で
石炭火力のフェードアウトに見る曖昧さ
脱炭素社会に向けての動きが鈍い日本


第2章 未来の環境のためのESG投資と太陽光発電

太陽光発電事業のパイオニア
投資としての魅力もある太陽光発電
センチュリー・エナジーならではの「3つの安心」
再生可能エネルギーの中心となった太陽光発電
まずは自分の土地で太陽光発電を
会社を軌道に乗せた第2号発電所
「安全な場所で安全な発電所を」
土地は「縁もの」、なにかの導きで使わせてもらっている
発電所の一つひとつがわが子のよう
FITを取り巻く状況に変化が
太陽光発電とマイニング事業のコラボレーション
活況を見せる中古市場
太陽光発電もESG投資へと意識が変化


第3章 太陽光発電事業者の社会的責任

太陽光発電の効率はメンテナンスで決まる
メンテナンスの不備は大きな事故につながる
遠隔操作と人の手でメンテナンスをきめ細かく迅速に
「JET PV O&M認証」で信頼度を向上
保守点検・維持管理の義務化
「隣は壊滅、うちは無傷」となった要因
20年間の安心と安全を保証するメンテナンス
パートナーシップ契約を76か所と


第4章 総合再生可能エネルギー事業者として地域を活性化

「新しい時代の新しいエネルギー」の一翼を
地域に貢献しSDGsにも寄与する木質バイオマス発電
森の再生にもつながる木質バイオマス発電
木質バイオマス発電は地域活性化の切り札になる
バイオマスで再生可能エネルギー自給率100%をめざす町
新たな社会形態「地域循環共生圏」
環境と経済の好循環をめざしてビジネスチャンスを創出する
小規模な木質バイオマス発電を優遇
めざすは木質バイオマス発電によるビジネスモデルの創出
木質バイオマス発電への投資は町づくりに貢献する
ソーラーシェアリングで農業と地方を発展させる
栃木県那須塩原に広がる約2000坪のソーラーシェアリング


第5章 創業者・山中正の理念と哲学

厳しい道も落ち着いた佇まいで乗り越える
青雲の志で上京し、社会貢献を胸に起業
新しい住文化をめざし、地球環境にも言及
原子力発電所の事故による風評被害をまともに受けた茨城県
67歳で異業種に足を踏み入れ、ゼロからのスタート
仕事は「たいへん」であってあたりまえ
社員から見た山中の人物像
チャレンジ精神で新天地を切り開け
成長スピードが速ければ人事で先輩社員を追い抜くことも普通


第6章 センチュリー・エナジーが描く再生可能エネルギーの未来図

コロナ禍収束後の世界はどうあるべきか
明確なビジョンを示せていない日本
次なるチャレンジは風力発電
再生可能エネルギーによる電気事業への進出をめざす
中小企業向け「RE100」の発足と社会貢献意識の高まり
自立・分散型のエネルギーシステムの構築で電気を効率的に利用
「スマートグリッド」で再生可能エネルギーを安定供給
再生可能エネルギーへの投資が地球の環境を救う
今日の続きではない明日のために
再生可能エネルギーの本番はこれからだ


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