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2021/01/25

『学校法人電子学園の新たなる挑戦』 前書きと目次

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学校法人電子学園の新たなる挑戦
~実践的な職業教育体系で専門職人材を育成~


著者:鶴蒔靖夫
定価:本体1800円+税
ISBN978-4-87218-466-2
初版発行:2021年1月30日




はじめに

日本の国際競争力の低下に歯止めがかからない。

スイスのIMD(International Institute for Management Development)が毎年発表している「世界競争力ランキング(World Competitiveness Ranking)」の2020年版によると、日本の順位は主要63か国中34位と前年より4ランク落とし、史上最低となった。このランキングで日本は、バブル経済が弾ける前にはトップにいたことを思うと、今の凋落ぶりは衝撃的ですらある。この間、何があったのだろうか。

評価項目の内訳を見てみると、政府や企業の効率性の低さが低評価の主たる理由のようだ。国際競争力の低下にそれらが影響していることは確かだろう。また、バブル経済崩壊後の長期の経済低迷や、少子化、高齢化といった社会環境の変化を指摘する声もある。こうしたいくつかの要因が重なった結果の競争力低下であることは間違いない。

しかし、もうひとつ、日本の国際競争力を下げている大きな理由がある。競争力のバロメーターとなる「イノベーション力」の低さである。複数の調査が指摘するように、日本ではイノベーションを起こす人材が育っていないのだ。

世界的な情報化の流れや産業のグローバル化に加え、少子高齢化による生産年齢人口の減少も重なり、日本は産業や社会の構造変革を迫られている。それも、従来の延長で何かを改善すれば済むレベルの話ではなく、何も無いところから世の中を劇的に変えていく「ゼロ・トゥ・ワン」の大変革が必要となっている。ハーバード・ビジネススクール教授のクレイトン・クリステンセン氏が提唱する「破壊的イノベーション」を果たさなければ、日本は間違いなく世界から取り残されるだろう。

だが、肝心のイノベーションを起こす人材が、日本では育っていない。

こうした時代を背景に登場したのが、学校法人 電子学園が2020年に開学した、情報経営イノベーション専門職大学(愛称・iU)である。

1951年に日本ラジオ技術学校(現・日本電子専門学校)を開学した電子学園は、以来、70年にわたって、専門技術を身につけた実践的な職業人材を数多く送り出してきた歴史を持つ。その伝統を踏まえて電子学園が新たに開学したiUは、ICTを中心とする先端テクノロジーを活用することによって旧来型の事業やビジネスを変革し、新しい価値を生み出すことでイノベーションを起こす、高度専門職人材を育成することを目的としている。そのために、学生が在学中に起業に挑戦することも積極的にサポートすると明言している。

つまり、iUは、日本が必要とするイノベーションを創出するための環境を整備し人材を育成するという役割を担っているのだ。

「専門職大学」という新しいカテゴリーの高等教育機関が誕生したのは2019年のことだ。大学制度に新たな教育機関が追加されたのは、短期大学制度が導入(恒久化)された1964年以来のことである。

現在ある11の専門職大学・専門職短期大学(2020年現在)は、保健医療、リハビリテーション、ファッションなどの各専門学校が専門職大学・専門職短期大学に移行したケースが目立つ。そうしたなかで電子学園では、クリエイターやエンジニアなどのスペシャリストを育成する日本電子専門学校とは別に、ICTをはじめとした幅広い知識を有し各産業分野でイノベーションを起こす人材を育成するiUを、新たに設置した。これは、職業教育の改革をめざす電子学園にとっても大きな挑戦だった。

職業教育に特化した大学の開設については、さまざまな意見がある。なかには「職業教育のための大学はいらない」「従来の大学でも職業教育は行っている」などと、専門職大学不要論を唱える声も少なくない。しかし、そうした声に対し、電子学園 理事長の多忠貴氏は、自信を持って次のように答える。

「急速な技術革新や、これにともなう産業構造の変化、グローバル化などによって、社会が求める人材が変わってきました。長年、職業教育に関わってきた私たちだからこそ、その経験をもとに、『この先、こういう高度な専門職人材が絶対に必要になる』という視点に立って人材育成に取り組むことは、私たちの使命であると考えています」

情報化への対応が遅れているとされる今の日本で、これからの社会が求める人材の育成を使命としてiUが設立された意味は、非常に大きいと言える。とはいえ、まだスタートしたばかりであり、教育の質の保証など課題も残るが、iUが今後、いかに独自性を発揮し、その使命を果たしていくのか、その動きに興味が尽きない。

もちろん、既存の大学も、時代を見据えた職業教育を意識し、改革に取り組んではいるが、残念ながらそのスピードは、けっして「速い」とは言えない。そうした点からも、iUが今後の日本の命運を左右するとも言えそうだ。日本のより良い未来のためにも、「ICTを活用してグローバル社会でビジネスにイノベーションを起こす高度な専門職人材を育成する」という同学の目的を実現してくれることを期待している。

本書は、創立以来、70年にわたって時代を先取りした職業教育を展開し、産業界のニーズにいち早く対応して数多くの職業人材を育成してきた電子学園にとっての、いちばん新しい挑戦であるiUに懸ける意欲と具体的な取り組みについて紹介するとともに、日本の職業教育を牽引してきた日本電子専門学校の今日までの歩みを振り返りつつ、理事長である多氏の職業教育理念に迫るものである。

本書を手にされた方が、電子学園への理解を深め、日本電子専門学校による実践的な職業人材の育成と、iUによる高度な専門職人材の育成の、両方が並び立つことの重要性を、より強く感じていただけたら幸いだ。

なお、本文中の敬称は略させていただいたことを、あらかじめお断りしておく。

2020年12月  鶴蒔靖夫




はじめに


第1章 次世代の職業人材を育成する専門職大学が始動

新しい職業教育の歴史を拓くという使命感
理論と実践力を兼ね備える教育が必要
高等教育機関が抱える職業教育の構造的な課題
これからは「知識基盤社会」を支える人材の確保が問われる
「職業教育の向上」を求めるさまざまな動き
なぜ「ICT」「ビジネス」「グローバルコミュニケーション」が重要なのか
イノベーションに不可欠となったICTの活用
数ある山を乗り越えて東京都墨田区に土地を確保
3つのポリシーと4つの科目群
学生に専門職大学での「学び」を体験してもらう
高い倍率だった入学試験
歴史が変わる瞬間に立ち会う覚悟


第2章 産業の未来を切り拓くイノベーション人材を育成

教育の真の目的は「平均的人間」を育成することではない
職業教育をどう定義するか
学生に「実践学」の場を提供する
「変化を楽しめ、恐れるな」という哲学
日本ならではの発想で人を幸せにする
現代の職業人に求められるのは「“想像”を“創造”できる力」
大学は「議論する場」
長期のインターンシップでビジネスの経験値を高める
「知識」を「知恵」に切り替える


第3章 起業にチャレンジする「イノベーションプロジェクト」

失敗を奨励する大学でありたい
学生のうちの失敗は「将来への糧」
イノベーションに必要な「デザイン思考」と「共感」
企画を社会的な成果につなげる
初回のプレゼンテーションで投資家の興味をそそるアイデアも
学生の起業を支援するベンチャーキャピタルを設立
めざすは「就職率0%」!? 「就職率300%」!?
ベンチャー企業だからこそ、やれることがある
「想像」を「創造」に転換する楽しさ


第4章 「挑戦する教育」で時代を先取りする電子学園

挑戦への決意を込めたシンボルマークを制定
産業界や企業と一緒に「次の技術」をつくってきた
「建学の精神」に投影された創設者の意思
技術教育の根幹は「学理と実習の併用」「人格の陶冶」にあり
いち早く視聴覚教育を導入
専門技術に加えて「人間力」も高める
コンピュータ教育の先駆けとなる「電子専門部」を開設
AIに関する教育でも先駆けとなる
世界で活躍できるゲーム制作のプロフェッショナルを育成
人と仕事を学びで結ぶ「MUSTな存在」になる
新大学の理念にふさわしい学長を迎え「21世紀の明治維新」を起こす


第5章 電子学園が描く職業教育の未来図

「職業教育の複線化」を実現
職業教育を体系化し、専門職人材の新たな育成モデルをつくる
職業教育における「高大接続改革」を自ら主導する
ハイブリッド型授業を時限措置と考えるのは間違い
いかにオンライン授業の質を守るか
「職業教育の質の向上」は永遠のテーマ
外部から「新しい風」を積極的にとりこむ
専門職大学は「地方創生」の使命を担う
職業教育改革へのあくなき挑戦


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