よ:洋館家グループの挑戦

2018/12/04

『洋館家グループの挑戦』 前書きと目次

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洋館家グループの挑戦
~住宅業界の常識を変える三次元ネットワーク~


著者:鶴蒔靖夫
定価:本体1800円+税
ISBN978-4-87218-449-5
初版発行:2018年12月7日




はじめに

よく「マイホームを買って、一国一城の主になってこそ一人前」などと言われるが、本当にそうだろうか。「一生でいちばん高い買い物」であるマイホームを購入することは、喜ばしいことであると同時に、大きな不安を抱える状況に自分や家族を追い込むことにもつながる。長期にわたるローンの返済に追われるだけでなく、地震や火災などによる被害や資産価値の下落の可能性など、多くのリスクを背負うことになるからだ。

生活の基盤である「衣食住」のなかでも、生活費におけるウエイトが最も大きいのは「住」だろう。住宅費の平均的な割合としては、ひとり暮らしでアパートを借りている若者なら給与の約3分の1程度を家賃に、ローンを組んでマイホームを購入した人なら収入の2割ほどを返済にあてる、といったところだろうか。

「衣」と「食」は、その日の気分でいかようにもできるが、「住」は、そうはいかない。買うにせよ、借りるにせよ、住まいを変えるには、多額の費用と手間暇を要する。だからこそ、住まい選びに関しては慎重にならざるをえない。

いま、日本の住宅市場は、転換期にさしかかろうとしている。戦後70年にわたり増加する一方だった住宅戸数が、ここにきて減少に転じているのだ。

国土交通省の発表によると、2017年度の新設住宅着工戸数は前年度比2.8%減の94万6396戸となっている(国土交通省「建築着工統計調査報告 平成29年度計」)。また、野村総合研究所では、2030年度には新設住宅着工戸数が、持ち家20万戸、分譲住宅14万戸、貸家26万戸の、合計60万戸にまで減少すると予測している(野村総合研究所ニュースリリース「2030年度の新設住宅着工戸数は60万戸、大工の人数は21万人に減少」2018年6月13日)

今後は日本の総人口や総世帯数の減少が進むと見込まれている以上、新設住宅着工戸数が減っていくのも当然だが、問題は、それだけにとどまらない。空き家の急激な増加が、日本各地で深刻な問題となっているのだ。2013年の時点では、総住宅数6062万9000戸のうちの13.5%にあたる819万6000戸が空き家だった(総務省統計局「平成25年住宅・土地統計調査(確報集計)結果の概要」)。その数は今後も増加の一途をたどり、2033年には総住宅数の27.3%にあたる約1955万戸にまでふくらむと、野村総合研究所では予測している(野村総合研究所「2018年度版 2030年の住宅市場と課題」)

こうした状況を踏まえて「住宅産業は斜陽化している」と言い切るのは、本書で紹介する株式会社洋館家本店(本社:栃木県鹿沼市)を中心とする洋館家グループの、グループ統括最高責任者兼代表取締役である福田功氏だ。

「終戦後、政府は復興を図るための経済政策の柱として、産業の工業化を推進しました。そのため、多くの労働者が大都市に集まり、その結果、住宅不足が生じました。そこで、民間業者はもとより、地方自治体や公共機関までもが、競うようにして住宅を提供したのです。それは、まさに住宅市場における『量の時代』でした。この傾向がバブル経済の崩壊後も続いたため、現在の住宅供給過多を招くことになったのです」

と、福田氏は日本の住宅市場の現状を分析する。

しかし、時代は変わり始めている。日本の総人口の減少を背景に、住宅の需給バランスに変化が現れるにつれ、住宅に対する国民の意識も大きく変容し、「理想は持ち家の取得」としつつも、住宅ローンの負担や、就労や勤務の状況、家族の暮らしなどを考慮し、賃貸住宅を志向する層が増え始めているのだ。

また、経済のグローバル化の進展により、勤労者の行動範囲は広がっている。東京で勤めていた人が大阪や北海道に転勤するなどというのは珍しくないし、海外に転勤するケースも増えてきている。外務省の統計によれば、2017年10月1日時点での長期滞在者数(海外に3カ月以上滞在しているが、その後は日本に戻る予定の日本人の数)は86万7820人となっており、これは34万929人だった1989年の海外長期滞在者数の約2.5倍にあたる(外務省「海外在留邦人数調査統計 平成30年要約版」)

日本の住宅の価格は、世界の水準に比べて高い。そのうえ、たとえば転勤が決まったので、家を売って家族全員で新しい赴任先に引っ越そうと思っても、売却価格がローンの残債金額に届かず、ローンを精算することができないというケースも少なくない。それならばと、転勤が終わるまでのあいだ、持ち家を賃貸に出そうと思っても、すぐに入居者が見つかるとは限らないし、運よく借り手が見つかったとしても、住宅の維持費や税金がかかるうえ、賃貸による収入は月々のローンの支払いで消えてしまうというのが実情だ。

「持ち家に住んでいる人が地方や海外に赴任することになった場合、たいていの人は家族を残して単身赴任せざるをえないのが現状でしょう。しかし、住んでいるのが賃貸住宅なら、そこを引き払って家族一緒に赴任先へと引っ越すことも気軽にできるはずです」

と、賃貸住宅で暮らすメリットを説く福田氏は、「借りるマイホーム」とも言える高品質で低価格の戸建賃貸住宅を、自身が率いる洋館家グループで提案する。

洋館家グループでは、他社が建てる品質が同等の住宅と比べて、イニシャルコスト30%減を実現している。それを可能にしたのは、福田氏が独自に生み出した「三次元ネットワーク」というシステムである。このネットワークは、住宅の建築と販売に関わる4つの企業群によって構成される。中核となる「洋館家本店」が商品開発や施工技術の指導をし、関連会社の「株式会社未来の住まい館」が資材を一括購入する。そして、その資材の供給を受けたグループ会員の「施工店」が施工し、それを同じくグループ会員である「販売専門店」、すなわち不動産業者が販売するというしくみである。

グループの中核企業である洋館家本店を福田氏が設立したのは2005年のことだ。それ以前に、30年以上にわたり不動産業を営んでいた福田氏は、2つの問題を解決しなければならないという強い想いを常に抱き続けていたという。その問題とは、ひとつは「日本の住宅の価格は高すぎる」ということ、そしてもうひとつは、日本の木造住宅は償却期間が25年と、欧米諸国の住宅に比べて短いことから、「住宅が資産としての価値を持たない」ということだ。この2つの問題を解決する手段として福田氏が考え出したのが、「三次元ネットワーク」というビジネスモデルなのである。

現在、洋館家グループの「三次元ネットワーク」には、全国で1666社が加盟している(2018年8月時点)。高品質かつ低価格の戸建賃貸住宅「セント・マリアージュ」、個人向けデザイナーズ規格住宅「シェリー・メイゾン」のほか、高齢者向け平屋住宅「和(なごみ)」を手がけ、これまでに合計で2700棟を建築してきた。

「できるだけ早く会員企業を2000社に増やし、2020年までに年間1000棟、2030年までに年間4000棟体制にしたいと考えています」

と、福田氏は抱負を語る。

現在、洋館家グループが特に力を注いでいるのが「ZEH(ゼロ・エネルギー・ハウス)仕様の戸建賃貸住宅」である。ZEHとは、創エネルギーと消費エネルギーの差をゼロあるいはそれ以下にするシステムを有する住宅のことだ。このZEHについては、経済産業省や国土交通省、環境省も連携し、国をあげて推進に取り組んでいる。

「資源の乏しい日本の将来における住宅は、これ以外に考えられません」

と、福田氏も言う。

本書は、「世界一高い」と言われる日本の住宅産業の改革を図り、住宅に対する消費者の意識を大きく変えるためのさまざまな試みを行っている洋館家グループの事業活動を紹介するとともに、「三次元ネットワーク」という独自のビジネスモデルを生み出したグループ統括最高責任者兼代表取締役・福田功氏の今日までの歩みをたどりつつ、その経営理念と住宅哲学に迫るものである。これは、住宅産業に携わっている人のみならず、快適で自由な暮らしを望む多くの一般読者にとっても、貴重な指針の書になるだろう。

なお、本文中の敬称は略させていただいたことを、あらかじめお断りしておく。


2018年11月  鶴蒔靖夫




はじめに


第1章 「質の時代」を迎えて変化する住まい選び

「量」が求められた戦後の住宅政策
いまや全国で約820万戸、増加し続ける空き家問題
大都市中心に供給過剰が続く住宅市場
住宅市場は「量の時代」から「質の時代」へ
「持ち家か、賃貸か」は永遠のテーマ
若年層を中心に増える積極的な賃貸志向
住宅ローンは過去のモデル
洋館家グループが提唱する「借りるマイホーム」という新概念


第2章 住まいづくりの常識を変える洋館家グループ

高品質かつ低価格の住宅づくりを実現した洋館家グループ
住まいのフレキシビリティが求められる
高すぎる日本の住宅市場の改革に挑む
住宅業界初の全国統一価格を実現
資材の一括購入で30%のコスト削減に成功
戸建賃貸から実需向け規格住宅や高齢者住宅まで
オーナーと入居者の双方に訴求する戸建賃貸住宅
それぞれの得意分野を活かす「三次元ネットワーク」


第3章 全国へ広がる洋館家グループの「三次元ネットワーク」

「三次元ネットワーク」で消費者価格と地域貢献を実現
全国規模のネットワークはいかにして生まれたか
「三次元ネットワーク」とフランチャイズの違い
受注の安定性で人件費を削減
仕事の安定供給が人件費を抑えるわけ
会員施工店の実績を伸ばすための1年更新制
大手は参入できない新しい領域を開拓
関わるすべての人にメリットをもたらすしくみ
「三次元ネットワーク」に協力する大手メーカーたち


第4章 時代の変化とオーナーの要望に応える多様な商品群

次世代仕様に進化する洋館家本店の各商品
新・戸建賃貸住宅「St.Mariage ~セント・マリアージュ~」
デザイナーズ規格住宅「CHERI LA MAISON ~シェリー・メイゾン~」
高齢者向け平屋住宅「和(なごみ)」
住宅の価値を向上させる「4つの新仕様」
耐震、温熱、劣化、維持管理等で最高等級の性能評価を取得
国際水準の住宅資産価値を実現
住宅の標準機能となる「ZEH仕様」
女性や高齢者も安心して住める戸建住宅
オーナーと入居者の喜びの声


第5章 創業社長・福田功の経営理念と住宅哲学

父から受け継いだ不動産会社
再許可を受けた建設業で粉骨砕身
30億円の負債を自力で完済
病を患っていた入居者の存在が福田を動かした
大赤字だった戸建賃貸住宅第1号
顕在するものにとらわれず、いかに潜在するものを引き出すか
めざすのは「相反利益」より「共存利益」を生む社会
格差社会の住宅事情に一石を投じる
ルールのないビジネスからの脱却


第6章 洋館家グループが描く未来展望

究極の姿は「住宅の通販」
通販が可能にする営業コストの大幅削減
モデルハウスの維持管理コストを削減するアイデア
戸建賃貸住宅を提供するという社会貢献
投資すべきエリアを見極め、「共存利益」をめざす
賃貸経営を成功に導くオーナーへのアドバイス
地域に貢献しながら共存利益を追求
グループ会員にいかに理念を伝えていくかが課題
めざすのは、すべての勤労者が一戸建てに住める社会


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