21世紀型互助会のすゝめ

2019/10/25

『21世紀型互助会のすゝめ』 前書きと目次

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21世紀型互助会のすゝめ
~百年企業をめざす、くらしの友の挑戦~


著者:鶴蒔靖夫
定価:本体1800円+税
ISBN978-4-87218-370-2
初版発行:2012年7月14日 初版発行




はじめに

葬儀のあり方には、それぞれの時代性が如実に反映されるものである。

近年では葬儀の簡素化と多様化が進み、「葬儀は不要」という論調もめずらしくはなくなった。

しかし、未曽有の被害をもたらした東日本大震災以降、その傾向は変わり、葬儀の意味と必要性をもう一度見直す機運が高まってきた。それは「人の命」の大切さを、多くの日本人が改めて痛感したからにほかならない。

事実、震災直後の遺体安置所でもっとも求められていたのは、死者がきちんと「供養」されることだったという。毎日、新たな遺体が運び込まれてくるなかで、たとえわずかな時間であっても死者のためにお経をあげてもらえれば、どれほどの慰めを得られたことか。震災数日後、僧侶が遺体安置所に到着したときには、これでようやく供養をしてもらえると、職員も遺族も安堵の表情を浮べたとの逸話は印象深いものだった。

その後も葬送は何カ月も続き、被災地は弔いと祈りに満ちた場となった。そこではどんなかたちでもいいから、せめて葬儀を出してあげたいと人々は望み、葬儀は不要と口にする人は誰もいなかった。

震災から一年を経た平成二十四(二〇一二)年三月十一日には、被災地だけでなく全国各地で僧侶の読経の声と鎮魂の鐘の音が響きわたり、多くの国民が黙とうを捧げた。

こうした「生と死」の紙一重とも思える境界線のなかで鮮明に浮かび上がってきたものは、私たちのDNAともいえる、古来からの宗教心や死者に対する弔いの思いである。世代から世代へと継承されてきた、いわゆる仏教的な心性が、どれほど深く日本人に根ざしているかを改めて気づかせることになったのだ。

葬儀は遺骨を埋葬するという物理的手続きだけでなく、生きている人と亡くなった人を分ける「別れの儀式」である。別れの儀式を執り行うことによって人々は死を見つめ、同時に命を発見する。死の認識と命の発見は人間にとって永遠の定理であり、葬儀はその厳粛さを体現させるために人類が編み出した最初の儀式といえるのかもしれない。

いずれにせよ、私たちは「供養」や「弔い」、「成仏」という言葉の裏に秘められた生者と死者のかかわりに思いを馳せながら、葬儀の持つ本来の意義や意味を改めて考察しなければならないところにきているといえるだろう。

本書で取り上げる「株式会社くらしの友」(本社:東京都大田区、代表取締役社長:伴良二氏)は、冠婚葬祭互助会のパイオニアとして知られている会社で、その会員数は三八万世帯、一七〇万人のファミリー会員を誇る業界でもトップクラスの規模を有している。

現在、同社では年間約六六〇〇件以上の葬儀を執り行っているが、その一件一件に故人と遺族の思いを深く汲み取るお客さま第一主義が貫かれており、同時に葬儀の持つ意義を的確に表現したものとして高い評価を得ている。

くらしの友の葬儀に向き合う真摯さ、誠実さは、遺族だけではなく、会葬者の胸を打つものであるとの声も高い。そこには同社の「故人を送る」ことへの揺るぎない信念が込められている。

創業者・伴和夫氏は太平洋戦争のなかでもっとも激戦地であったインド北東部におけるインパール作戦の生き残りである。九死に一生を得て日本に生還した和夫氏は、まさに死に取り囲まれたところから命を再発見した体験の持ち主である。昭和四十二年、五十歳で互助会事業を立ち上げるに至ったのは、多くの英霊の鎮魂と弔いのためであり、人生において葬儀はもっとも尊い儀式であるとの思いからであった。

互助会の立ち上げにともない和夫氏は「葬儀憲章」を掲げ、日本人の持つ死生観や来世観を反映した葬儀を重視した。それは、葬儀を通して日本人の伝統文化を継承するとの使命を受け止めてのことであった。

加えて、「儀式で金儲けをすべきではない」との自身の鉄則にもとづき、ぎりぎりの経営を生涯にわたり実践。互助会の原点である相互扶助の精神を礎に、地域の婦人団体とともに、会員の福利向上と地元の利益に貢献しつづけたのである。

その高い精神性は、平成五年に社長に就任した伴良二氏へと継承された。良二氏は、「創業者である父が唱えた相互扶助の精神と、日本の伝統文化としての儀式を大切にしたいという遺志を継ぎ、『感謝される儀式から、感動される儀式へ』をテーマに事業を進めていく」と明確に語る。

良二氏は「時代が変わっても失ってはいけないもの」と「変えてよいもの」を的確に見極めながら着実に事業を推進。儀式文化を歴史的、宗教的に深く追求するかたわら、CS(顧客満足)およびES(従業員満足)向上のためのシステムづくりにも尽力するとともに積極的な中・長期経営ビジョンを打ち出し、百年企業をめざす姿勢には微塵の迷いもない。

現在は、互助会運営・葬祭関連事業を行う「くらしの友」を中心に、冠婚関連事業を行う「グレイスホテル」、企業・団体向けに葬儀支援サービスを行う「全国儀式サービス」の三社で「くらしの友グループ」を形成し、冠婚葬祭に関する多角的な事業を展開。会員の暮らしに役立つさまざまなサービスを提供するなかで、日本人の心の復興に力を注いでいる。

本書は日本の伝統儀礼である冠婚葬祭の正しい継承と、相互扶助の精神に根ざした互助会システムの普及に取り組む「くらしの友グループ」の事業活動を紹介するとともに、創業者・伴和夫氏、現社長・伴良二氏の二代にわたり受け継がれてきた経営理念、人生哲学を検証したものである。

それに加え、葬儀の意義と命の尊厳、日本人の魂に宿る死生観を探っていく内容ともなった。冠婚葬祭関係者のみならず、日本人として生を享け、これからの時代を生きるすべての人々にとっても貴重な指針の書となるであろう。

なお、本文中の敬称は略させていただいたことを、あらかじめお断りしておく。


平成二十四年五月  鶴蒔靖夫




はじめに


第1章 現代葬儀事情 ―― いま、その本質を見直す時代へ

弔う意味を改めて考える契機になった東日本大震災
不眠不休での葬儀、その一方でトラブルも
お客さまのため、そして日本の伝統文化継承のために
国が取り組みはじめた「生と死」の啓発活動
力仕事からサービス業へ、質的変化が進む葬祭業
なぜ葬式は必要か
日本の葬儀の歴史と基礎知識
日本の死生観の変遷――仏教の影響と先祖供養
霊柩車と戦争が変えた葬送文化
自宅から会館葬へ
さまざまな新しい葬儀のかたち
二〇一〇年版「現代葬儀白書」にみる「生の声」


第2章 冠婚葬祭の互助会のパイオニア

互助会の原型「頼母子講」は相互扶助のシステム
家族の絆と地域社会の貢献のために
互助会法制化による通商産業大臣許可第一号を取得
葬祭業界のなか、ただ一社「消費者志向優良企業」の栄冠に二度輝く
互助会ならではの、安心の五つのサポート
新横浜総合斎場「もっと会」の挑戦
新横浜総合斎場から見る斎場の哲学
「葬儀憲章」が打ち出す葬儀の意義
故人と遺族の気持ちを汲み取り癒すということ
尊い役割を果たす儀式・湯灌
最初から最後まで寄り添う哀悼貢献者
感謝される儀式から、感動される儀式へ
伝統文化を忘れずに、変えるものは変える
働く人たちのための福利厚生、儀式共済サービス制度
葬儀・供養に関連するさまざまなサービス
こだわりブライダルを全面応援
会員の暮らし全般をサポートする「くら友倶楽部」


第3章 伴 良二の理念・継承と変革

第二ステージに入ったくらしの友の企業理念と経営方針
日本人の心と暮らしの奥に潜む仏教的心性
日本人に深く根づく死生観
互助会と仏教の関連
心は形から入る
伴 良二の歩み
家族葬、直葬の「流行」が見せる危うさ
「感動品質」が日本人の美しい心を回復させる
互助会は儲けてはいけない
CS向上委員会とCI
地域密着を第一に
教育の重要さ


第4章 受け継がれる思い
 ―― 創業者・伴 和夫の理念と人生哲学 ――

礎を築いた創業者・伴 和夫
インパール作戦の生き残りとして、生と死は紙一重
戦友の死を無駄にしてはいけない
幼少期に身につけたこと――甘露法雨
戦場よりもつらいどん底の日々
チケット販売で蒲田を日本一の商店街に
女性の力に注目
婦人団体の全面支援、万感胸に迫り、ただ泣けて泣けて
世直しをめざして
自分が幸せになるにはまわりの人も幸せに
法制化への和夫の努力、通商産業大臣許可第一号取得に皆が歓喜
冠婚葬祭標準化への取り組み
刃渡りの経営に秘められたもの
創業者・伴 和夫の心に残る葬儀
「日本童謡の会」に込めた心の文化的遺伝子の継承


第5章 それぞれの現場で息づく「くらしの友」の精神

現場からみつめる葬儀の意味
小さな心づかいの積み重ねが感動につながる
ご家族の節目節目に立ち会っていきたい
若手と年配者、どちらもお客さま本位で成功者に
「式は形で心が儀」
信念に貫かれた経営姿勢は変わらない


第6章 創業百年企業に向けて

「くらとも宣言」に見る、中・長期の志
助け合いの精神が発揮された東日本大震災
原点へのこだわり、専一と立志
ES向上のためのシステムづくりと人材育成
悲しみを乗り越えて――「つたえたい、心の手紙」に込められた思い
新しいかたちの互助会とブランド化をめざして
百年企業に向けて新たな一歩 ―― もうすぐ迎える創立五十周年
究極のホスピタリティ産業として
人の一生に寄り添う互助会


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