あ:新たなる大学像を求めて

2021/04/30

群馬県の医療従事者と飲食店をお弁当で支援! 「結・群馬」プロジェクトがスタート


「結・群馬」プロジェクト


コロナ禍でたいへんな思いをしている群馬県内の医療従事者と飲食業従事者を支援するクラウドファンディング「結・群馬」プロジェクトが、締め切りを前に目標額の300万円を達成し、実現が決まりました。


結・群馬
https://www.yui-gunma.com


このプロジェクトは、クラウドファンディングで集めた資金で群馬県内の飲食店からお弁当を購入し、そのお弁当を群馬県内の医療機関で働く方たちに無料で提供するというものです。


外出自粛などの要請により経営面で打撃を受けている飲食店を、お弁当を購入することで支援し、医療の最前線で闘っている医療従事者を、おいしいお弁当を無料で提供することで励まします。


クラウドファンディングサイトでの支援募集は4月30日(金)午後11時で終了しますが、その後も銀行振込による支援金を募るそうです。また、このプロジェクトに参加する飲食店の募集もしています。詳細は「結・群馬」プロジェクトのウェブサイトをご覧ください。


このプロジェクトの実行委員は、共愛学園前橋国際大学の学生が中心となっています。また、副実行委員長は同大学教授の奥田雄一郎さんが務めています。


共愛学園前橋国際大学は、キリスト教主義にもとづく「共愛=共生」の精神を教育理念とし、約1000人を擁する学生のうちの約90%は県内出身者、卒業生の地元就職率も70%~80%と、地域貢献度が非常に高い大学です。そのような大学の学生たちだからこそ、このようなプロジェクトが実現したとも言えそうです。


共愛学園前橋国際大学を運営する学校法人共愛学園は、大学、高等学校、中学校、小学校、こども園、さらには学童クラブまでをも含む、群馬県初の総合学園です。その前身である前橋英和女学校は、1888年にキリスト教宣教師たちによって設立されました。


その長い歴史のなかで培った「共愛=共生」の精神を現代のニーズにマッチさせ、地域に求められる教育機関のあるべき姿を実現させた共愛学園の、さまざまな取り組みと今日までの歩みや、共愛学園前橋国際大学の教育哲学に関心をお持ちになりましたら、『新たなる大学像を求めて ~共愛学園前橋国際大学はなぜ注目されるのか~』を、お読みになってみてください。


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新たなる大学像を求めて
~共愛学園前橋国際大学はなぜ注目されるのか~
https://sites.google.com/view/intsushinsha/education#h.kpm69zrglqgl

第1章 大学教育に求められる新たな価値とは
第2章 V字回復を実現させた数々の施策
第3章 グローカル人材を育成する独自のカリキュラム
第4章 地域社会とともに歩む総合学園
第5章 「共愛」の理念とともに歩んだ131年
第6章 日本の明日を担うグローカル人材の育成に向けて

前書きと詳細な目次がこちらのページでご覧いただけます。



2021/03/22

群馬県で初となる女性の県教育長を起用

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世界経済フォーラム(World Economic Forum)は、各国の男女不平等状況を分析し、「ジェンダー間の経済的参加度および機会(経済)」「教育達成度(教育)」「健康と生存(健康)」「政治的エンパワーメント(政治)」の4種類の指標を基に男女格差を測るジェンダー・ギャップ指数(Gender Gap Index:GGI)を算定しています。そして、男女格差の少ない順に世界ランキングを発表しています。

その2020年のランキング(The Global Gender Gap Index 2020 rankings)で、日本のランクは世界153か国中、第121位。これは過去最低の順位であり、G7を構成するドイツ(10位)、フランス(15位)、カナダ(19位)、イギリス(21位)、アメリカ(53位)、イタリア(76位)のなかでダントツの最下位です。アジアの国のなかで見ても、タイ(75位)、インドネシア(85位)、ベトナム(87位)、マレーシア(104位)、中国(106位)、韓国(108位)よりずっと下です。


The Global Gender Gap Index 2020 rankings

The Global Gender Gap Index 2020 rankings(World Economic Forum)
http://reports.weforum.org/global-gender-gap-report-2020/the-global-gender-gap-index-2020/results-and-analysis/


4つの指標ごとに見ていくと、日本は、「健康」は40位と比較的上位ですが、「教育」は91位、「経済」は115位、「政治」は144位と、下から数えたほうが早い順位となっています。

なかでも「政治」は下から数えて10番目と、4つの指標のなかでも特にランクが低いことが目を引きます。日本より下位にいる国は、イラン、ナイジェリア、ベリーズ、ブルネイ、レバノン、オマーン、イエメン、パプアニューギニア、バヌアツだけです。


The Global Gender Gap Index rankings by subindex, 2020

Performance by Subindex(World Economic Forum)
http://reports.weforum.org/global-gender-gap-report-2020/the-global-gender-gap-index-2020/performance-by-subindex/


「経済」「政治」ともに、責任あるポジションにつく女性の割合が低いことがランキング下位の原因となっているようですが、こうした男女格差は教育の現場にもあるようです。

経済協力開発機構(OECD)が行った「国際教員指導環境調査(Teaching and Learning International Survey:TALIS)2018」によると、日本では女性校長の割合が7%で、OECD平均の47%に遠く及びません。


国際教員指導環境調査(TALIS)2018 の結果 - OECD
http://www.oecd.org/education/talis/TALIS2018_CN_JPN_ja.pdf


また、女性教育長の割合は2019年5月1日時点で、都道府県は8.5%、市町村では5.0%となっています。


文部科学省「令和元年度教育行政調査」
https://www.mext.go.jp/content/20201120-mxt_chousa01-100012455_b.pdf


これでも女性の比率は徐々に上がってきており、数字としては過去最高となったそうですが、それでもまだ1割に届きません。日本がGGIで先進諸国に並ぶためには、教育分野に限らず、今後もさまざまな分野で引き続き、女性が活躍することが期待されます。

世の中のそうした期待に応えたわけかどうかはわかりませんが、3月17日に内示された群馬県の部長級の幹部人事(4月1日付)では、女性を積極的に起用する姿勢が明らかになりました。地域機関を除く部長級14人のうち、女性は2人増の5人となり、その比率は35.7%になります。

また、群馬県教育長にも女性が起用されます。県教育長に女性が起用されるのは、群馬県では初だと言います。


群馬県幹部人事 女性積極登用3割超に 県教育長には女性初の平田氏起用へ(上毛新聞 [2021/03/18 06:00])
https://www.jomo-news.co.jp/news/gunma/politics/280816


その、群馬県で初めて女性の県教育長に起用されたのが、平田郁美(ひらた ゆみ)さんです。東京都立大学大学院と横浜国立大学大学院を修了し、2008年~2016年まで共愛学園前橋国際大学の学長を、2016年からは共愛学園前橋国際大学を運営する学校法人共愛学園の副学園長を務めています。専門は素粒子理論や統計、科学教育などで、共愛学園前橋国際大学の「情報・経営コース」で教授を務めるかたわら、県教育委員、県の総合計画や総合戦略の策定懇談会委員などにも携わってきました。

先の上毛新聞の記事によりますと、「県教育行政に携わってきたことに加え、情報通信技術(ICT)を活用した教育などで注目される同学園での経験を踏まえた起用とみられる」とのことです。

では、「情報通信技術(ICT)を活用した教育などで注目される」共愛学園とは、どのような学校なのでしょうか。

学校法人共愛学園は、大学、高等学校、中学校、小学校、こども園、さらには学童クラブまでをも運営する、群馬県初の総合学園です。前身である前橋英和女学校は1888年にキリスト教宣教師たちによって設立され、キリスト教主義にもとづく「共愛=共生」の精神を教育理念としています。

1999年に設立された共愛学園前橋国際大学では、約1000人いる学生のうち、およそ9割が群馬県内の出身者であり、卒業後の地元就職率も70%~80%に及ぶそうです。その意味で、地域貢献度が非常に高い大学と言えます。



(共愛学園前橋国際大学学長の)大森は、大学がこれからの時代を生き抜くためには、地域の理解や地域との連携が欠かせないと断言する。

「本学は本当に小さな大学ですので、自分たちだけでどうにかしようとしても、なにもできません。ですから、いろんな企業や地元の方々に学内に入ってきてもらう、あるいは、学生たちを学外へ出して育ててもらうということが、必要になってくるのです。大学にできることは本当に限られています。むしろ、できないことのほうが多いということを自覚して、『開かれた大学』をめざすことこそが、地方の大学が生き残る術なのではないでしょうか」

大学だけで学生を育ててみせる――。そんなプライドは、もう捨てるべきだと大森は言う。いろいろなところを巻き込む力や、一緒になって地域を活性化させていこうとする姿勢が、地方の大学には欠かせないと言うのだ。

『新たなる大学像を求めて』(鶴蒔靖夫・IN通信社)
第1章 大学教育に求められる新たな価値とは より
「かつて大学は『象牙の塔』などと揶揄されたように、社会とは一線を画す、まさに閉ざされた世界でした。しかし、いまの時代は、そんなにお高くとまってはいられません。

本学では、前橋市と包括協定を結んでいることをはじめ、あらゆる面で地域との絆を深めています。大げさに言うなら前橋市、さらには群馬県全体が、キャンパスのようなイメージです。そうした姿勢で運営しなければ、地方の小規模大学は、この時代を乗り切ってはいけません」

こう語るのは、共愛学園前橋国際大学を運営する学校法人共愛学園の理事長・須田洋一だ。地方都市の人口がどんどん減っていく現代だからこそ、大学は地域活性化におけるシンクタンク的な役割を求められる。そうした地域の求めに大学は全力で応えていかなければならないというのが須田の考えだ。

『新たなる大学像を求めて』(鶴蒔靖夫・IN通信社)
第1章 大学教育に求められる新たな価値とは より


このような考えをもつ大学だからこそ、地域からも求められ、地域とともに発展できるのでしょう。そして、こうした考えをもつ大学で前学長を務め、現在はその大学を運営する学校法人の副学園長である平田郁美さんは、群馬県初となる女性の県教育長にふさわしい人材と言えそうです。

その平田郁美さんから学生さんへの、共愛学園前橋国際大学教授としてのメッセージが、大学のウェブサイトでご覧になれます。


教員紹介:教授 平田 郁美(共愛学園前橋国際大学)
https://www.kyoai.ac.jp/course-teacher/course-teacher-1983/


平田郁美さんが教授を務める共愛学園前橋国際大学や、副学園長を務める学校法人共愛学園のことをもっと詳しく知りたい方は、『新たなる大学像を求めて』をお読みになってみてくださいね。


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新たなる大学像を求めて
~共愛学園前橋国際大学はなぜ注目されるのか~
https://sites.google.com/view/intsushinsha/education#h.kpm69zrglqgl

第1章 大学教育に求められる新たな価値とは
第2章 V字回復を実現させた数々の施策
第3章 グローカル人材を育成する独自のカリキュラム
第4章 地域社会とともに歩む総合学園
第5章 「共愛」の理念とともに歩んだ131年
第6章 日本の明日を担うグローカル人材の育成に向けて

前書きと詳細な目次がこちらのページでご覧いただけます。

ちなみに、IN通信社のKindleブックのなかで今月いちばん多く読まれているのは、この『新たなる大学像を求めて』だったりします。平田郁美さんが県教育長に起用されることとなにか関係があるのかなぁ。



2020/07/31

女子教育に対する地域の思いによって生まれた学校

群馬県前橋市にある、共愛学園という学校法人をご存じでしょうか。

情報サイト「ねとらぼ」に掲載された「群馬の制服に見られた“袴章”って? 着物に袴、女学生の制服にしるされた模様の歴史」という記事でとりあげられた『ぐんまの袴章 有機制服04』という同人誌のなかで、「群馬で最も長い歴史を誇る(元)女子校」として紹介されている学校です。


群馬の制服に見られた“袴章”って? 
着物に袴、女学生の制服にしるされた模様の歴史

(ねとらぼ 2020年07月26日 12時00分 公開)
https://nlab.itmedia.co.jp/nl/articles/2007/26/news016.html


いまでは幼稚園、小学校、中学校、高校、大学のすべてがある総合学園になっている共愛学園の前身は、1888年に設立された前橋英和女学校という女子校です。

その後、前橋英和女学校は、翌1889年に上毛共愛女学校、1905年に共愛女学校と改称し、1925年には当時の文部省から、共愛女学校の卒業生は高等女学校卒業生と同等以上の実力を有するという認定を受け、1945年に高等女学科を設置しています(共愛学園高等学校ウェブサイトより)

「ねとらぼ」の記事にある、制服がかわいい袴姿だったのは、おそらく共愛女学校という名称だったころのことだと思います。


その袴の裾につけられた「とも桜くずし」という袴章については、残念ながら画像をみつけることができませんでしたが、そのベースとなった共愛学園の徽章「ともさくら」を紹介しましょう。


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桜の花びらをモチーフにした、上品で可憐な感じのする徽章ですね。
落ち着いた色合いもすてきです。ちなみにこの色合いは、ディスプレイ上では見え方が異なるかもしれませんが、「DIC273」もしくは「C=40, M=100, Y=50」という指定になっています(出版社だから知っている豆知識)


ところで、この徽章の真ん中には、十字架が置かれていることにお気づきですか。
この十字架は、徽章がつくられた当初はなかったのですが、昭和の初めごろに加えられたのだそうです。

というのも共愛学園の前身である前橋英和女学校は、「これからの時代には女子教育がなんとしても必要だ」と考える前橋市民と、地域のキリスト教会および信者たちによって設立・運営された、キリスト教主義の学校だからです。

「共愛」という学園名も、新約聖書に出てくる「わたしがあなたがたを愛したように、互いに愛し合いなさい」(ヨハネによる福音書15章12節)がもとになっているようです。


女性に対する教育が日本でまだ軽視されていた時代に、キリスト教主義にもとづく人権思想や自由民権思想、男女平等についての先進的な考えをもっていた地域の人々の「女性にも教育を!」という強い想いで設立された共愛学園。

いまは共学となり、幼稚園から大学までのすべてを揃えた総合学園に成長しただけでなく、その大学は地方にある小規模私立大学のなかでも高い人気と強い魅力で注目をされる存在となっています。

そんな共愛学園に興味・関心をもたれた方におすすめしたいのが、この本。


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新たなる大学像を求めて
~共愛学園前橋国際大学はなぜ注目されるのか~

著者:鶴蒔靖夫
定価:本体1800円+税
ISBN978-4-87218-461-7
(前書きと目次が ここ で読めます)


ぜひ、お読みになってみてください。



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2019/11/12

『新たなる大学像を求めて』 前書きと目次

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新たなる大学像を求めて
~共愛学園前橋国際大学はなぜ注目されるのか~


著者:鶴蒔靖夫
定価:本体1800円+税
ISBN978-4-87218-461-7
初版発行:2019年11月16日 初版発行




はじめに

私が若いころは中学校を卒業すると同時に就職して家計を支える者も多く、「高校を出たら大学に進学する」ということは、いまのようにあたりまえではなかった。高校時代を思い返してみても、進学する者はクラスのなかでもほんの一握りだったように思う。

それもそのはずで、私が高校3年生だった1956年の大学進学率は全体で7.8%にすぎず、男女の内訳を見てみると、男性は13.1%とかろうじて1割を超えているものの、女性はたったの2.3%だった。それに対し2018年度の大学進学率は全体で53.3%だ。男女別では、男性が56.3%、女性が50.1%となっており、男女ともに、2人に1人は大学に進学していることがわかる(文部科学省「文部統計要覧」「文部科学統計要覧」)

こうした状況の背景には、高等教育をめぐる環境の変化がある。

日本では、1973年に209万1983人を記録して以降、出生数の減少傾向が続き、2018年には91万8397人(推計値)と、1973年の半分以下にまで減っている(厚生労働省「人口動態統計」)。それにもかかわらず大学の数は増え続け、1973年には405校だった学校数が2019年には786校(文部科学省「学校基本調査」)と、およそ2倍近くにまで増加しているのだ。

そうしたこともあり、2007年春には入学志願者総数が入学定員総数を下まわり、大学や学部を選ばなければ理論上はすべての受験生が大学に入れるようになる「大学全入時代」が到来するのではないかと、教育関係者のあいだで言われたこともあった。

実際には景気回復の影響もあり、2007年以降も入学志願者総数が入学定員総数を上まわり、「大学全入時代」の到来は見送られたが、その一方で大学を取り巻く現実は、もっと厳しいものになっている。大都市圏の有名大学に入学志願者が集中する一方で、地方の大学や知名度の低い大学は学生を集めることができず、定員割れとなる大学が増えているのだ。なかには経営危機に瀕している大学や、すでに閉鎖に追い込まれた大学も出てきた。

こうした状況を打開するために、文部科学省は2016年以降、定員超過抑制策を段階的に強化してきた。だが、大都市圏にある有名大学の入試は熾烈さを増す一方で、地方にある定員割れの大学とのあいだで二極化がますます進む結果となってしまった。

ただし、地方の大学のなかにも、入学志願者が押し寄せ、定員を満たしているところもある。そうした大学に共通しているのは、偏差値だけではみることができない価値を生み、受験生や地元企業から高く評価されていることだ。

本書で紹介する学校法人共愛学園(本部:群馬県前橋市)は、大学、高等学校、中学校、小学校、こども園、さらには学童クラブまでをも含む、群馬県初の総合学園である。なかでも共愛学園前橋国際大学は、そうした高い評価を得ている大学のひとつとして、そのユニークな取り組みが教育業界からおおいに注目を浴びている。

1999年に開設された共愛学園前橋国際大学は、地方にある小規模な私立大学ながらも受験者数は年々増加傾向にあり、『大学ランキング』(朝日新聞出版)の「学長からの評価ランキング:教育面で注目」部門第5位に2018年版から3年続けて入るなど、躍進著しい大学として知られている。学部は国際社会学部 国際社会学科のみで、「国際社会の在り方について見識と洞察力を持ち、国際化に伴う地域社会の諸課題に対処することのできる人材の養成」を目的にしている。

「いまの社会がどのような人材を求めているか、そのために学生たちにどのような力をつけさせる必要があるかを真剣に考えて、教育プログラムを推進しています」

と、共愛学園前橋国際大学学長の大森昭生氏は語る。その結果として同学は、文部科学省の採択プロジェクト事業であるスーパーグローバル大学創成支援事業の「経済社会の発展を牽引するグローバル人材育成支援(GGJ)」「地(知)の拠点整備事業(COC)」「地(知)の拠点大学による地方創生推進事業(COC+)」「大学教育再生加速プログラム(AP)」に選定されている。

また、共愛学園前橋国際大学は約1000人の学生を擁するが、そのうちの約90%が県内出身者であり、卒業生の地元就職率も70%~80%と、地方創生への貢献度も高い。

共愛学園前橋国際大学の母体である共愛学園の前身は、1888年にキリスト教宣教師たちによって設立された前橋英和女学校である。1988年の創立100周年を機に共愛学園女子短期大学が開設され、この短期大学を母体に1999年に、共学の4年制大学として共愛学園前橋国際大学は誕生した。キリスト教主義にもとづく「共愛=共生」の精神は、開校以来の教育理念となっている。

いまでは「地方大学の鏡」とでも言うべき共愛学園前橋国際大学だが、かつては苦境に立たされていたこともある。設立初年の1999年度こそ入学者が入学定員を上まわったものの、2年目からは早くも定員割れに陥り、2001年度にはFランク寸前にまで評価が落ちてしまったのだ。

そこで、起死回生を図るための対策として2002年から、まずコース制を導入した。単一学部である国際社会学部 国際社会学科を「英語コース」「国際協力・環境コース」「情報・経営コース」「地域・人間文化コース」の4つのコースに分け、「なにを勉強するか」を明確化したのだ。なお、その後に何回かのコース変更が行われ、現在は「英語コース」「国際コース」「情報・経営コース」「心理・人間文化コース」「児童教育コース」の5コースとなっている。

そして、もうひとつの対策として、「資格特待生制度」を導入した。これは、英語検定など大学が指定した資格を有している学生に対し、授業料を全額免除するという大胆な制度である(現在は初年度の授業料のみ)

その一方で組織改革にも取り組み、教職一体となって「人件費抑制規程」を定め、人件費が帰属収入(学校法人の負債とならない収入)の55%を超えた場合、その分を全員一律で給与カットするという画期的なしくみを構築した。

なお、共愛学園前橋国際大学では、具体的な大学運営に、すべての教職員が参画する。こうしたフラットな組織によるガバナンスを実現していることも、団結力を強める大きな要因となっている。

そして2016年には小学校を新設し、共愛学園は総合学園となった。

「世代間の交流が可能になったことで得られるようになった教育効果は計り知れません」

と、総合学園としてのメリットを共愛学園理事長の須田洋一氏は強調する。

本書では、長い歴史のなかで培った「共愛=共生」の精神を現代のニーズにマッチさせ、地域に求められる教育機関のあるべき姿を実現させた共愛学園の、さまざまな取り組みを紹介するとともに、同学園の今日までの歩みをたどりつつ、そこにみえる共愛学園前橋国際大学の教育哲学に迫ろうと思っている。それは、将来の進路に迷う青少年はもとより、教育のあるべき姿に思いをはせる多くの一般読者にとっても、貴重な指針となるはずだ。

なお、本文中の敬称は略させていただいたことを、あらかじめお断りしておく。


2019年10月  鶴蒔靖夫




はじめに


第1章 大学教育に求められる新たな価値とは

世界に取り残されつつある日本の大学
日本の大卒者が即戦力にならない理由
「大学全入時代」の到来で危惧される高等教育の劣化
平成の30年間で4年制大学が大幅増加
人気大学と定員割れ大学の二極化が加速
大学偏差値で採用を決める企業体質
新たな価値を模索する地方大学の試み
「選ばれる大学」となるためには、なにが必要か


第2章 V字回復を実現させた数々の施策

学内改革を成功させ、いまや全国大学ランキング5位
コース分けで学びの方向性を明確化
「資格特待生制度」で授業料全額免除
推薦の評定平均を維持してレベルの低下を防ぐ
全教職員対象の人件費抑制規程
「学生中心主義」を貫いて、めざす方向を共有
「地学一体」でグローカル人材を育成
地域から得られる学びで大きく育つ学生たち
「倒産か再生か」の分かれ道になるもの


第3章 グローカル人材を育成する独自のカリキュラム

カリキュラムの中核をなす「共愛コア科目」と「12の力」
「真の国際人の育成」をめざす「英語コース」
実体験で国際的知識を磨く「国際コース」
企業、地域、社会の課題解決スキルを身につける「情報・経営コース」
人間とのつながりを学ぶ「心理・人間文化コース」
教育と地域の国際化を学ぶ「児童教育コース」
「ちょっと大変だけど実力がつく大学です」がモットー
即戦力となる人材を育む研修の数々
文部科学省採択プログラムに同時採択
「GGJ」への採択がもたらしたもの
充実した就職支援
就職活動でも役立つ「Kyoai Career Gate + S」


第4章 地域社会とともに歩む総合学園

小学校の開校により群馬県初の総合学園に
幼稚園と保育園を統合し、幼保連携型認定こども園へ
受験に縛られない、ゆとりのある中学校生活
「英語の共愛」で名高い共愛学園高等学校
一貫教育で伝える「共愛」の精神
総合学園ならではの世代間交流による教育効果
地元への恩返しの意味を込めて学童クラブを開所


第5章 「共愛」の理念とともに歩んだ131年

宣教師たちが起ち上げた前橋英和女学校
世の中に先駆けて取り組んだ女子教育
創立100周年で設立した女子短期大学
短期大学を母体に4年制大学を設立
共愛学園と共に歩む理事長・須田洋一の50年
2018年問題を乗り越えた若き学長・大森昭生
現代の「共生の精神」につながる「共愛の理念」


第6章 日本の明日を担うグローカル人材の育成に向けて

地域に必要とされる大学
地域人材の定着・育成をめざす産官学連携の取り組み
地元学生9割、地元就職8割の実績
学生は大学運営のパートナー
次世代のグローカルリーダー育成へ向けて新プロジェクト始動
「共愛・共生」社会の担い手として飛び立つ卒業生
共愛学園前橋国際大学が描く未来像


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