新たなる大学像を求めて

2020/07/31

女子教育に対する地域の思いによって生まれた学校

群馬県前橋市にある、共愛学園という学校法人をご存じでしょうか。

情報サイト「ねとらぼ」に掲載された「群馬の制服に見られた“袴章”って? 着物に袴、女学生の制服にしるされた模様の歴史」という記事でとりあげられた『ぐんまの袴章 有機制服04』という同人誌のなかで、「群馬で最も長い歴史を誇る(元)女子校」として紹介されている学校です。


群馬の制服に見られた“袴章”って? 
着物に袴、女学生の制服にしるされた模様の歴史

(ねとらぼ 2020年07月26日 12時00分 公開)
https://nlab.itmedia.co.jp/nl/articles/2007/26/news016.html


いまでは幼稚園、小学校、中学校、高校、大学のすべてがある総合学園になっている共愛学園の前身は、1888年に設立された前橋英和女学校という女子校です。

その後、前橋英和女学校は、翌1889年に上毛共愛女学校、1905年に共愛女学校と改称し、1925年には当時の文部省から、共愛女学校の卒業生は高等女学校卒業生と同等以上の実力を有するという認定を受け、1945年に高等女学科を設置しています(共愛学園高等学校ウェブサイトより)

「ねとらぼ」の記事にある、制服がかわいい袴姿だったのは、おそらく共愛女学校という名称だったころのことだと思います。


その袴の裾につけられた「とも桜くずし」という袴章については、残念ながら画像をみつけることができませんでしたが、そのベースとなった共愛学園の徽章「ともさくら」を紹介しましょう。


Tomosakura


桜の花びらをモチーフにした、上品で可憐な感じのする徽章ですね。
落ち着いた色合いもすてきです。ちなみにこの色合いは、ディスプレイ上では見え方が異なるかもしれませんが、「DIC273」もしくは「C=40, M=100, Y=50」という指定になっています(出版社だから知っている豆知識)


ところで、この徽章の真ん中には、十字架が置かれていることにお気づきですか。
この十字架は、徽章がつくられた当初はなかったのですが、昭和の初めごろに加えられたのだそうです。

というのも共愛学園の前身である前橋英和女学校は、「これからの時代には女子教育がなんとしても必要だ」と考える前橋市民と、地域のキリスト教会および信者たちによって設立・運営された、キリスト教主義の学校だからです。

「共愛」という学園名も、新約聖書に出てくる「わたしがあなたがたを愛したように、互いに愛し合いなさい」(ヨハネによる福音書15章12節)がもとになっているようです。


女性に対する教育が日本でまだ軽視されていた時代に、キリスト教主義にもとづく人権思想や自由民権思想、男女平等についての先進的な考えをもっていた地域の人々の「女性にも教育を!」という強い想いで設立された共愛学園。

いまは共学となり、幼稚園から大学までのすべてを揃えた総合学園に成長しただけでなく、その大学は地方にある小規模私立大学のなかでも高い人気と強い魅力で注目をされる存在となっています。

そんな共愛学園に興味・関心をもたれた方におすすめしたいのが、この本。


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新たなる大学像を求めて
~共愛学園前橋国際大学はなぜ注目されるのか~

著者:鶴蒔靖夫
定価:本体1800円+税
ISBN978-4-87218-461-7
(前書きと目次が ここ で読めます)


ぜひ、お読みになってみてください。



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2019/11/12

『新たなる大学像を求めて』 前書きと目次

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新たなる大学像を求めて
~共愛学園前橋国際大学はなぜ注目されるのか~


著者:鶴蒔靖夫
定価:本体1800円+税
ISBN978-4-87218-461-7
初版発行:2019年11月16日 初版発行




はじめに

私が若いころは中学校を卒業すると同時に就職して家計を支える者も多く、「高校を出たら大学に進学する」ということは、いまのようにあたりまえではなかった。高校時代を思い返してみても、進学する者はクラスのなかでもほんの一握りだったように思う。

それもそのはずで、私が高校3年生だった1956年の大学進学率は全体で7.8%にすぎず、男女の内訳を見てみると、男性は13.1%とかろうじて1割を超えているものの、女性はたったの2.3%だった。それに対し2018年度の大学進学率は全体で53.3%だ。男女別では、男性が56.3%、女性が50.1%となっており、男女ともに、2人に1人は大学に進学していることがわかる(文部科学省「文部統計要覧」「文部科学統計要覧」)

こうした状況の背景には、高等教育をめぐる環境の変化がある。

日本では、1973年に209万1983人を記録して以降、出生数の減少傾向が続き、2018年には91万8397人(推計値)と、1973年の半分以下にまで減っている(厚生労働省「人口動態統計」)。それにもかかわらず大学の数は増え続け、1973年には405校だった学校数が2019年には786校(文部科学省「学校基本調査」)と、およそ2倍近くにまで増加しているのだ。

そうしたこともあり、2007年春には入学志願者総数が入学定員総数を下まわり、大学や学部を選ばなければ理論上はすべての受験生が大学に入れるようになる「大学全入時代」が到来するのではないかと、教育関係者のあいだで言われたこともあった。

実際には景気回復の影響もあり、2007年以降も入学志願者総数が入学定員総数を上まわり、「大学全入時代」の到来は見送られたが、その一方で大学を取り巻く現実は、もっと厳しいものになっている。大都市圏の有名大学に入学志願者が集中する一方で、地方の大学や知名度の低い大学は学生を集めることができず、定員割れとなる大学が増えているのだ。なかには経営危機に瀕している大学や、すでに閉鎖に追い込まれた大学も出てきた。

こうした状況を打開するために、文部科学省は2016年以降、定員超過抑制策を段階的に強化してきた。だが、大都市圏にある有名大学の入試は熾烈さを増す一方で、地方にある定員割れの大学とのあいだで二極化がますます進む結果となってしまった。

ただし、地方の大学のなかにも、入学志願者が押し寄せ、定員を満たしているところもある。そうした大学に共通しているのは、偏差値だけではみることができない価値を生み、受験生や地元企業から高く評価されていることだ。

本書で紹介する学校法人共愛学園(本部:群馬県前橋市)は、大学、高等学校、中学校、小学校、こども園、さらには学童クラブまでをも含む、群馬県初の総合学園である。なかでも共愛学園前橋国際大学は、そうした高い評価を得ている大学のひとつとして、そのユニークな取り組みが教育業界からおおいに注目を浴びている。

1999年に開設された共愛学園前橋国際大学は、地方にある小規模な私立大学ながらも受験者数は年々増加傾向にあり、『大学ランキング』(朝日新聞出版)の「学長からの評価ランキング:教育面で注目」部門第5位に2018年版から3年続けて入るなど、躍進著しい大学として知られている。学部は国際社会学部 国際社会学科のみで、「国際社会の在り方について見識と洞察力を持ち、国際化に伴う地域社会の諸課題に対処することのできる人材の養成」を目的にしている。

「いまの社会がどのような人材を求めているか、そのために学生たちにどのような力をつけさせる必要があるかを真剣に考えて、教育プログラムを推進しています」

と、共愛学園前橋国際大学学長の大森昭生氏は語る。その結果として同学は、文部科学省の採択プロジェクト事業であるスーパーグローバル大学創成支援事業の「経済社会の発展を牽引するグローバル人材育成支援(GGJ)」「地(知)の拠点整備事業(COC)」「地(知)の拠点大学による地方創生推進事業(COC+)」「大学教育再生加速プログラム(AP)」に選定されている。

また、共愛学園前橋国際大学は約1000人の学生を擁するが、そのうちの約90%が県内出身者であり、卒業生の地元就職率も70%~80%と、地方創生への貢献度も高い。

共愛学園前橋国際大学の母体である共愛学園の前身は、1888年にキリスト教宣教師たちによって設立された前橋英和女学校である。1988年の創立100周年を機に共愛学園女子短期大学が開設され、この短期大学を母体に1999年に、共学の4年制大学として共愛学園前橋国際大学は誕生した。キリスト教主義にもとづく「共愛=共生」の精神は、開校以来の教育理念となっている。

いまでは「地方大学の鏡」とでも言うべき共愛学園前橋国際大学だが、かつては苦境に立たされていたこともある。設立初年の1999年度こそ入学者が入学定員を上まわったものの、2年目からは早くも定員割れに陥り、2001年度にはFランク寸前にまで評価が落ちてしまったのだ。

そこで、起死回生を図るための対策として2002年から、まずコース制を導入した。単一学部である国際社会学部 国際社会学科を「英語コース」「国際協力・環境コース」「情報・経営コース」「地域・人間文化コース」の4つのコースに分け、「なにを勉強するか」を明確化したのだ。なお、その後に何回かのコース変更が行われ、現在は「英語コース」「国際コース」「情報・経営コース」「心理・人間文化コース」「児童教育コース」の5コースとなっている。

そして、もうひとつの対策として、「資格特待生制度」を導入した。これは、英語検定など大学が指定した資格を有している学生に対し、授業料を全額免除するという大胆な制度である(現在は初年度の授業料のみ)

その一方で組織改革にも取り組み、教職一体となって「人件費抑制規程」を定め、人件費が帰属収入(学校法人の負債とならない収入)の55%を超えた場合、その分を全員一律で給与カットするという画期的なしくみを構築した。

なお、共愛学園前橋国際大学では、具体的な大学運営に、すべての教職員が参画する。こうしたフラットな組織によるガバナンスを実現していることも、団結力を強める大きな要因となっている。

そして2016年には小学校を新設し、共愛学園は総合学園となった。

「世代間の交流が可能になったことで得られるようになった教育効果は計り知れません」

と、総合学園としてのメリットを共愛学園理事長の須田洋一氏は強調する。

本書では、長い歴史のなかで培った「共愛=共生」の精神を現代のニーズにマッチさせ、地域に求められる教育機関のあるべき姿を実現させた共愛学園の、さまざまな取り組みを紹介するとともに、同学園の今日までの歩みをたどりつつ、そこにみえる共愛学園前橋国際大学の教育哲学に迫ろうと思っている。それは、将来の進路に迷う青少年はもとより、教育のあるべき姿に思いをはせる多くの一般読者にとっても、貴重な指針となるはずだ。

なお、本文中の敬称は略させていただいたことを、あらかじめお断りしておく。


2019年10月  鶴蒔靖夫




はじめに


第1章 大学教育に求められる新たな価値とは

世界に取り残されつつある日本の大学
日本の大卒者が即戦力にならない理由
「大学全入時代」の到来で危惧される高等教育の劣化
平成の30年間で4年制大学が大幅増加
人気大学と定員割れ大学の二極化が加速
大学偏差値で採用を決める企業体質
新たな価値を模索する地方大学の試み
「選ばれる大学」となるためには、なにが必要か


第2章 V字回復を実現させた数々の施策

学内改革を成功させ、いまや全国大学ランキング5位
コース分けで学びの方向性を明確化
「資格特待生制度」で授業料全額免除
推薦の評定平均を維持してレベルの低下を防ぐ
全教職員対象の人件費抑制規程
「学生中心主義」を貫いて、めざす方向を共有
「地学一体」でグローカル人材を育成
地域から得られる学びで大きく育つ学生たち
「倒産か再生か」の分かれ道になるもの


第3章 グローカル人材を育成する独自のカリキュラム

カリキュラムの中核をなす「共愛コア科目」と「12の力」
「真の国際人の育成」をめざす「英語コース」
実体験で国際的知識を磨く「国際コース」
企業、地域、社会の課題解決スキルを身につける「情報・経営コース」
人間とのつながりを学ぶ「心理・人間文化コース」
教育と地域の国際化を学ぶ「児童教育コース」
「ちょっと大変だけど実力がつく大学です」がモットー
即戦力となる人材を育む研修の数々
文部科学省採択プログラムに同時採択
「GGJ」への採択がもたらしたもの
充実した就職支援
就職活動でも役立つ「Kyoai Career Gate + S」


第4章 地域社会とともに歩む総合学園

小学校の開校により群馬県初の総合学園に
幼稚園と保育園を統合し、幼保連携型認定こども園へ
受験に縛られない、ゆとりのある中学校生活
「英語の共愛」で名高い共愛学園高等学校
一貫教育で伝える「共愛」の精神
総合学園ならではの世代間交流による教育効果
地元への恩返しの意味を込めて学童クラブを開所


第5章 「共愛」の理念とともに歩んだ131年

宣教師たちが起ち上げた前橋英和女学校
世の中に先駆けて取り組んだ女子教育
創立100周年で設立した女子短期大学
短期大学を母体に4年制大学を設立
共愛学園と共に歩む理事長・須田洋一の50年
2018年問題を乗り越えた若き学長・大森昭生
現代の「共生の精神」につながる「共愛の理念」


第6章 日本の明日を担うグローカル人材の育成に向けて

地域に必要とされる大学
地域人材の定着・育成をめざす産官学連携の取り組み
地元学生9割、地元就職8割の実績
学生は大学運営のパートナー
次世代のグローカルリーダー育成へ向けて新プロジェクト始動
「共愛・共生」社会の担い手として飛び立つ卒業生
共愛学園前橋国際大学が描く未来像


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